特許第6941518号(P6941518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941518
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   A61F13/49 312Z
   A61F13/49 410
   A61F13/49 311Z
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-178354(P2017-178354)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-108338(P2018-108338A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2020年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-255626(P2016-255626)
(32)【優先日】2016年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】只井 智浩
(72)【発明者】
【氏名】恩田 藍子
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−87286(JP,A)
【文献】 特開2014−207973(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/066009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に腹側領域および背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収性材料を含む吸収体を具備する吸収性本体を有し、該腹側領域及び該背側領域それぞれに横方向に延びる腹側伸縮部及び背側伸縮部を有する吸収性物品であって、
前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部は、それぞれ、前記吸収性本体に接合される本体側シートと、該本体側シートの非肌対向面に配される外面側シートとを有し、
前記本体側シート及び前記外面側シートの少なくとも一方は、横方向に伸縮性を有する伸縮シートであり、
前記伸縮シートは、相対的に伸縮性の高い高伸縮部位と相対的に伸縮性の低い低伸縮部位とが横方向に交互に配されており、
前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部の少なくとも一方には、前記伸縮シートが配され、前記吸収体と重なる領域においては前記本体側シートと前記外面側シートとが前記高伸縮部位で接合される第1接合部位を形成し、前記吸収体よりも外方の該吸収体と重ならない領域においては該本体側シートと該外面側シートとが前記低伸縮部位で接合される第2接合部位を形成し且つ前記高伸縮部位で接合されていない第2非接合部位を形成している、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体と重なる領域においては、前記本体側シートと前記外面側シートとが前記低伸縮部位で接合されていない第1非接合部位を形成し、該第1非接合部位と前記第1接合部位とが、縦方向に連続して形成されており、横方向に交互に配されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体と重なる領域においては、前記第1接合部位は、前記高伸縮部位の全域に形成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記本体側シート及び前記外面側シートは、一方が前記伸縮シートであり、他方が非伸縮性のシートである、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品は、前記吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体を固定している外装体を具備し、
前記外装体は、前記本体側シートと前記外面側シートとを有し、
前記吸収性本体及び前記外装体との固定部位の位置と、前記吸収体と重なる領域における前記第1接合部位の位置とが重なっている、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記腹側伸縮部又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域の面積(S23NT)に対する、前記第2非接合部位の面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S23NT)×100)は、25%以上であり、そして、80%以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記腹側伸縮部又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域に関し、前記第2接合部位の面積の総和(S2JT)に対する、前記第2非接合部位の面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S2JT)×100)は、100%以上であり、そして、1000%以下である、請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パンツ型使い捨ておむつには、吸収体を備えた縦長の吸収性本体の外側に外装体が配されている。このような外装体に用いる伸縮性の複合シートとして、例えば、特許文献1に記載の複合シートが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の伸縮性の複合シートは、非伸縮性シート、伸縮性不織布、及び該非伸縮性シートと該伸縮性不織布とを貼り合わせる接着部分を備えるシートである。このような伸縮性の複合シートを、例えばパンツ型使い捨ておむつの外装体にしようすれば、使い捨ておむつの見栄えが良く、使用感が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/066009号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、非伸縮性シートと伸縮性不織布とを接着部分にて貼り合わせた伸縮性の複合シートを、外装体に用いる場合に、該複合シートと吸収性材料を含む吸収体との接合位置について、何ら記載されていない。例えば、吸収体と重なる位置に単に伸縮性の複合シートを接合配置しただけでは、複合シートの収縮によって吸収体に皺が発生し、吸収体の吸収性能が阻害され、漏れを生じてしまう可能性がある。
【0006】
したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、縦方向に腹側領域および背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収性材料を含む吸収体を具備する吸収性本体を有し、該腹側領域及び該背側領域それぞれに横方向に延びる腹側伸縮部及び背側伸縮部を有する吸収性物品であって、前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部は、それぞれ、前記吸収性本体に接合される本体側シートと、該本体側シートの非肌対向面に配される外面側シートとを有し、前記本体側シート及び前記外面側シートの少なくとも一方は、横方向に伸縮性を有する伸縮シートであり、前記伸縮シートは、相対的に伸縮性の高い高伸縮部位と相対的に伸縮性の低い低伸縮部位とが横方向に交互に配されており、前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部の少なくとも一方には、前記伸縮シートが配され、前記吸収体と重なる領域においては前記本体側シートと前記外面側シートとが前記高伸縮部位で接合される第1接合部位を形成し、前記吸収体よりも外方の該吸収体と重ならない領域においては該本体側シートと該外面側シートとが前記低伸縮部位で接合される第2接合部位を形成し且つ前記高伸縮部位で接合されていない第2非接合部位を形成している、吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸収体に皺が発生し難くて吸収性能が阻害され難く、吸収性物品の見栄えが良くて使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
図2図2は、図1に示すおむつを展開して引き伸ばした状態を肌当接面側から視た一部破断展開平面図である。
図3図3は、図1に示すおむつを分解して模式的に示す分解斜視図である。
図4図4は、図1に示すおむつを構成する伸縮性を有する外面側シートの斜視図である。
図5図5は、図2に示すV―V線断面図である。
図6図6(a)は図2に示すVI―VI線断面図であり、図6(b)は図6(a)が収縮した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品は、縦方向Xに腹側領域Aおよび背側領域Bと、それらA,Bの間に位置する股下領域Cとを備え、腹側領域Aと背側領域Bとに亘って吸収性材料を含む吸収体23を有し、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれに横方向Yに延びる腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBを有している。ここで、腹側領域Aとは使い捨ておむつの着用時に着用者の腹側に配される領域であり、背側領域Bとは使い捨ておむつの着用時に着用者の背側に配される領域である。そして、腹側伸縮部WAは、このような着用者の腹側に配される腹側領域Aに形成されている。また、背側伸縮部WBは、このような着用者の背側に配される背側領域Bに形成されている。
【0011】
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)が示されている。おむつ1は、図1及び図2に示すとおり、吸収性本体2と、吸収性本体2の非肌対向面側に配されて該吸収性本体2を固定する外装体3とを備え、外装体3は腹側領域A及び背側領域Bそれぞれに横方向Yに延びる腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBを有している。おむつ1は、外装体3の腹側領域Aの左右両側縁部3a1,3a1と外装体3の背側領域Bの左右両側縁部3b1,3b1とが接合されて一対のサイドシール部5,5、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている使い捨ておむつである。好適に、おむつ1の外装体3は、図2に示すように、展開させかつ伸長させた状態を平面視して、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域A、着用時に着用者の背側に配される背側領域B、及び腹側領域Aと背側領域Bとの間の股下領域Cに区分されている。
【0012】
上述したおむつ1を展開させかつ伸長させた状態とは、図2に示すように、サイドシール部5を引き剥がして、おむつ1を展開状態とし、その展開状態のおむつ1を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態を意味する。
【0013】
本明細書において、「肌対向面」とは、おむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌対向面」とは、おむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、縦方向(X方向)とは、平面に展開させかつ伸長させた状態で、腹側領域Aから背側領域Bにわたる方向のことである。また、横方向(Y方向)とは、縦方向(X方向)と直交する方向であり、平面に展開させかつ伸長させた状態のおむつ1の幅方向のことである。
また、おむつ1は、図2に示す、縦方向(X方向)に延びる縦中心線CL1に対して左右対称形となっている。尚、図2中のCL2は、おむつ1を縦方向(X方向)に二分する横方向(Y方向)に延びる横中心線であり、縦中心線CL1に直交している。
【0014】
おむつ1では、吸収性本体2は、図2に示すとおり、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態において、縦方向(X方向)が相対的に長い縦長の形状を有している。吸収性本体2は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート21と、非肌対向面を形成する液難透過性(撥水性も含む)の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23とを具備する。おむつ1では、吸収性本体2の縦方向(X方向)の全長は吸収体23のそれと同じであり、吸収体23の前後端部23A,23Bの外端23A1,23B1の位置は、図2に示すように、吸収性本体2の前後端部の外端の位置と同位置にある。また、吸収性本体2の縦方向(X方向)に沿う両側部には、図2に示すように、縦方向(X方向)に伸長状態で配された弾性部材25を有する防漏カフ24,24が設けられている。具体的には、防漏カフ24は、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成されており、各防漏カフ24の自由端部近傍には、防漏カフ形成用弾性部材25が縦方向(X方向)に伸長した状態で配されている。おむつの着用時には、防漏カフ形成用弾性部材25の収縮により防漏カフ24の自由端部側が起立して、横方向(Y方向)への体液の流出が阻止される。
【0015】
以上のように構成された吸収性本体2は、図2に示すように、その縦方向(X方向)を、展開かつ伸長状態におけるおむつ1の縦方向(X方向)に一致させて、外装体3の中央部に、本体固定用接着剤4によって接合されている。本体固定用接着剤4の塗工位置は、図3に示すように、吸収性本体2の縦方向Xに沿う両側部に少なくとも対応した位置に形成されている。このように、外装体3は、使い捨ておむつ1の厚み方向における、吸収性本体2を構成する裏面シート22の非肌対向面側に配されて本体固定用接着剤4によって接着固定されている。従って、おむつ1では、吸収性本体2を構成する吸収体23が、腹側領域Aと背側領域Bとに亘って配されている。
【0016】
腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBは、それぞれ、吸収性本体2に接合される本体側シート32と、該本体側シート32の非肌対向面に配される外面側シート31とを有している。本発明では、本体側シート32及び外面側シート31の少なくとも一方は、横方向に伸縮性を有する伸縮シートであるところ、おむつ1では、外面側シート31が横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮シートである。また、本発明では、腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBの少なくとも一方に、前記伸縮シートが配されていればよいところ、おむつ1では、腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBの両方に、前記伸縮シートが配されている。尚、おむつ1では、本体側シート32は、伸縮性を有しておらず非伸縮性のシートである。
【0017】
おむつ1では、図3に示すように、吸収性本体2を接着固定する外装体3が、着用状態においておむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外面側シート31と、外面側シート31の肌対向面に対向配置された本体側シート32とを有し、外面側シート31及び本体側シート32の積層体を含んで構成されている。おむつ1の着用状態において、外面側シート31は着用者の身体から遠い側に位置して、おむつ1の非肌対向面(外面)を形成し、本体側シート32は着用者の身体に近い側に位置して、おむつ1の肌対向面(内面)を形成する。外面側シート31と本体側シート32とは、所定の部位においてヒートシール、超音波シール、接着剤等の接合手段を介して互いに接合されている。
【0018】
おむつ1では、図3に示すように、本体側シート32は1枚の連続したシートから構成されているのに対し、外面側シート31は複数枚のシートが組み合わされて構成されており、具体的には、腹側領域Aを構成する腹側外面側シート31Aと、背側領域Bを構成する背側外面側シート31Bと、両シート31A,31間に位置して股下領域Cを構成する股下外面側シート31Cとを含んで構成されている。外面側シート31を構成する各シート31A,31B,31Cは、それらの縦方向Xの端部どうしが重ね合わされ、その重ね合わせ部分において接着剤、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合され一体化されている。シート31A,31とシート31との重ね合わせ部分においては、それぞれ、縦方向Xの中央に位置するシート31が吸収性本体2から相対的に近い側に位置し、シート31の縦方向Xの両端部の非肌対向面はシート31A,31で被覆されている。
【0019】
おむつ1では、図3に示すように、腹側外面側シート31Aは、本体側シート32の腹側領域A側の縦方向Xの端部から外方に延出する腹側延出部31AEを有し、また、背側外面側シート31Bは、本体側シート32の背側領域B側の縦方向Xの端部から外方に延出する背側延出部31BEを有しており、両延出部31AE,31BEは、それぞれ、本体側シート32上に配置固定された吸収性本体2の縦方向Xの両端部を覆うように、本体側シート32側に折り返され、接着剤によって、両延出部31AE,31BEと対向するおむつ1の他の構成部材(本体側シート32、吸収性本体2、防漏カフ24)に固定されている。
【0020】
上述の通り、おむつ1の外面側シート31は横方向Yに伸縮性を有しているところ、特におむつ1では、外面側シート31は部分的に横方向Yに伸縮性を有している。即ち、おむつ1では、図3に示すように、外面側シート31を構成する3枚の腹側外面側シート31A、背側外面側シート31B及び股下外面側シート31Cのうち、腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bが横方向Yに伸縮性を有し、股下外面側シート31Cは伸縮性を有しておらず非伸縮性である。
【0021】
本発明において、「横方向Yに伸縮性を有する」とは、伸縮性を有するシートの横方向Yの最大伸度が100%以上であり、該シートを該横方向Yに伸度100%まで伸長させた後、収縮させたときの伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が、少なくとも70%以上であることを意味する。おむつ1では、腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bが何れも横方向Yに伸縮性を有するシートである。シートの伸長回復率は、以下の測定方法により測定される。
【0022】
<シートの伸長回復率の測定方法>
測定対象のシートから長さ50mm、幅25mmのサンプル片を用意する。引張試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTC−1150A)のチャック間(チャック間隔K0)にサンプル片を固定し、引張速度300mm/minでチャック間を拡げることでサンプル片を引っ張り、サンプル片の100%伸長時の長さK2(=K0×2)まで伸長させた後、引張速度と同速度でチャック間を狭めていき、引張応力が0になった時点でのサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。次式により、測定対象のシートの100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2−K1)/(K2−K0)〕×100
【0023】
また本発明において、非伸縮性のシートとは、前記<シートの伸長回復率の測定方法>により測定した伸長回復率が20%以下のシート、又は100%伸長する前に破断するシートを意味する。おむつ1では、股下外面側シート31C及び本体側シート32が何れも非伸縮性のシートである。
【0024】
おむつ1の伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bとしては、例えば(1)弾性繊維層の両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮シート、(2)ネット状の弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮シート、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されている伸縮シート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等を好ましく用いることができる。弾性繊維層と伸長可能な繊維層との一体化の方法としては、例えば、これらを積層して水流交絡したり、エアスルー等により繊維を交絡させる方法、ヒートエンボス、接着剤、超音波等によって接合させたりする方法が挙げられる。
【0025】
おむつ1では、伸縮シートである外面側シート31は、相対的に伸縮性の高い高伸縮部位31Hと相対的に伸縮性の低い低伸縮部位31Lとが横方向Yに交互に配されている。好適に、おむつ1では、図5及び図6に示すように、外面側シート31を構成する伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bが、高伸縮部位31Hと低伸縮部位31Lとが横方向Yに交互に配されて形成されている。
【0026】
図4には、おむつ1に使用する伸縮シートの好ましい一例が示されている。図4に示す腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bは、前記(4)の伸縮シートに相当するもので、非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層の一面に糸状の弾性フィラメントが接合した構成を有し、該繊維層としての2枚の繊維シート36,37と、両シート36,37間に介在配置された該弾性フィラメントとしての弾性部材38とを含んで構成されている。斯かる構成を有する伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bは、例えば、特開2009−61743号公報に記載の方法に従って、歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロールの噛み合わせ部分に挿入し、延伸して形成される。高伸縮部位31Hは、一方の歯溝ロールの歯及び他方の歯溝ロールの歯によって大きく延伸された部位であり、低伸縮部位31Lは、一方の歯溝ロールの歯及び他方の歯溝ロールの歯それぞれとの当接部位であり殆ど延伸されていない部位である。おむつ1の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bにおいては、縦方向Xに連続して延びる高伸縮部位31Hと縦方向Xに連続して延びる低伸縮部位31Lとが、横方向Yに交互に配されている。
【0027】
おむつ1では、伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bを構成する2枚のシート36,37(図4参照)は、何れも伸長可能なものである。シート36,37は、弾性部材38の延びる方向(横方向Y)と同方向に伸長可能になっている。伸長可能とは、(a)シート36,37の構成繊維自体が伸長する場合と、(b)構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、シート36,37全体として伸長する場合とを包含する。
【0028】
おむつ1では、伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bを構成する弾性部材38(図4参照)は、弾性樹脂が溶融又は軟化した状態で延伸されて形成された弾性フィラメントである。複数の弾性部材38は、それぞれ、腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bの全長(外装体3の横方向Yの全長)にわたって実質的に連続している。複数の弾性部材38は、互いに交差せずに一方向(横方向Y)に延びるように配列している。弾性部材38は、実質的に非伸長状態で2枚のシート36,37に接合されている。腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bにおける弾性部材38のシート36,37との接合は、シート36,37を構成する繊維(非弾性繊維)が弾性部材38中に埋没した状態で該弾性部材38に融着することによりなされたものであり、ホットメルト型接着剤等の接着剤を用いてなされたものではない。従って、シート36,37(非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層)とこれに接合されている弾性部材38との間には接着剤が存在しない。
【0029】
おむつ1では、伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bは、弾性部材38の延びる方向(横方向Y)と同方向に伸縮可能になっている(図4参照)。腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bの伸縮性は、高伸縮部位31Hにおける弾性部材38の弾性に起因して発現する。腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bを弾性部材38の延びる方向と同方向に引き伸ばすと、高伸縮部位31Hにおける弾性部材38及びシート36,37が伸長する一方、低伸縮部位31Lにおける弾性部材38及びシート36,37は伸長しない。そして腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bの引き伸ばしを解除すると、高伸縮部位31Hにおける弾性部材38が収縮し、その収縮に連れて高伸縮部位31Hにおけるシート36,37が引き伸ばし前の状態に復帰する。
【0030】
高伸縮部位31H及び低伸縮部位31Lそれぞれに関し、弾性部材38の延びる方向(横方向Y)の伸長時の長さは、収縮時を100%としたとき、高伸縮部位31Hの横方向Yの長さが低伸縮部位31Lの横方向Yの長さよりも長いことを前提として、高伸縮部位31Hが、130%以上であることが好ましく、300%以上であることが更に好ましく、上限値が600%以下であることが好ましい。そして、低伸縮部位31Lが、200%以下であることが好ましく、170%以下であることが更に好ましく、下限値が100%以上であることが好ましい。前記伸長時の長さは、以下の測定方法により測定される。
【0031】
<高伸縮部位31H及び低伸縮部位31Lの横方向Yの伸長時の長さ>
高伸縮部位31Hと低伸縮部位31Lとが横方向Yに交互に配された伸縮シートを、弾性部材38の延びる方向(横方向Y)へ200mm、縦方向Xへ50mmの大きさで矩形のサンプル片を切り出す。そして、ペン等を用いて、高伸縮部位31H及び低伸縮部位31Lの部分に印を付け、高伸縮部位31H及び低伸縮部位31Lの部分それぞれの横方向Yの長さを予め測定する。該サンプル片を、オリエンテック製テンシロンRTC1210Aに装着する。チャック間距離は150mmである。装着したサンプル片を、弾性部材38の延びる方向(横方向Y)へ100mm/分の速度で伸長させ、サンプル片の伸びが止まったところで、伸長時の高伸縮部位31H及び低伸縮部位31Lの部分それぞれの横方向Yの長さを測定する。そして得られた、高伸縮部位31Hの部分の横方向Yの長さをLaとし、伸長時の高伸縮部位31Hの部分の横方向Yの長さをLbとしたとき、{Lb/La}×100を、高伸縮部位31Hの横方向Yの伸長時の長さ(%)として算出する。また、低伸縮部位31Lの横方向Yの伸長時の長さ(%)も、同様にして算出する。
【0032】
おむつ1では、腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bを構成する2枚のシート36,37(図4参照)は、それぞれ、短繊維の不織布であり得る。不織布としては、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。シート36とシート37とは、同種のものでも良く、あるいは異種のものでも良い。ここで言う、「同種のシート」とは、シートの製造プロセス、シートの構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、シートの厚みや坪量等がすべて同じであるシートどうしを意味する。これらのうちの少なくとも1つが異なる場合には、「異種のシート」である。
【0033】
おむつ1では、伸縮性の腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bを構成する弾性部材38(弾性フィラメント)(図4参照)は、例えば熱可塑性エラストマーやゴム等を原料とするものである。特に熱可塑性エラストマーを原料として用いると、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた弾性フィラメントは熱融着させやすいので、腹側外面側シート31A及び背側外面側シート31Bに好適である。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)、SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα−オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。
【0034】
一方、おむつ1では、非伸縮性の股下外面側シート31C及び本体側シート32(図3参照)として、それぞれ、各種製法による不織布が好ましく用いられ、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等である。非伸縮性のシート31C,32として用いる不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非伸縮性の股下外面側シート31C及び本体側シート32として用いる不織布を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
おむつ1では、図2及び図3に示すように、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれには、糸状又は帯状のウエスト弾性部材33が横方向Yに伸長状態で複数本配され、それら複数本のウエスト弾性部材33は縦方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。このように、ウエスト弾性部材33がその弾性伸縮性が発現される状態で配されていることにより、ウエスト開口部WHの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成される。また、一対のレッグ開口部LH,LHそれぞれの開口縁部を形成するレッグ縁部には、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材34が伸長状態で配されており、これによって一対のレッグ開口部LH,LHそれぞれの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。これらの弾性部材33,34は、何れも外装体3を構成する外面側シート31と本体側シート32との間に接着剤等の接合手段により挟持固定されている。
【0036】
おむつ1では、腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBは、それぞれ、図5及び図6(a)に示すように、本体側シート32の非肌対向面に伸縮シートから形成された外面側シート31が横方向Yに伸長状態で配されて形成されている。好適に、おむつ1の腹側伸縮部WAは、本体側シート32の非肌対向面に伸縮性の腹側外面側シート31Aが横方向Yに伸長状態で配され固定されて形成されている。また、おむつ1の背側伸縮部WBは、本体側シート32の非肌対向面に伸縮性の背側外面側シート31Bが横方向Yに伸長状態で配され固定されて形成されている。ここで、外面側シート31を横方向Yに伸長状態で配するとは、図2に示すように、糸状又は帯状のウエスト弾性部材33及びレッグ弾性部材34、並びに弾性フィラメントである弾性部材38を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態を意味する。
【0037】
おむつ1の腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBには、それぞれ、吸収体23と重なる領域23PTにおいては本体側シート32と外面側シート31とが伸縮シートの高伸縮部位31Hで接合される第1接合部位1JTを形成し、吸収体23よりも外方の吸収体23と重ならない領域23NTにおいては本体側シート32と外面側シート31とが伸縮シートの低伸縮部位31Lで接合される第2接合部位2JTを形成し且つ伸縮シートの高伸縮部位31Hで接合されていない第2非接合部位2NJTを形成している。好適に、おむつ1の腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBにおいては、それぞれ、図5に示すように、非伸縮性のシートである本体側シート32と伸縮シートである外面側シート31とを有し、吸収体23と重なる領域23PTでは本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTで接合された状態となっている。そして、おむつ1の腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBにおいては、それぞれ、吸収体23よりも外方の吸収体23と重ならない領域23NTでは本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとが第2接合部位2JTで接合され且つ本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが接合されていない状態となっている。
【0038】
好適に、おむつ1の腹側領域Aでは、非伸縮性の本体側シート32の非肌対向面に伸縮性の腹側外面側シート31Aが横方向Yに伸長状態で配され、図5に示すように、本体側シート32及び腹側外面側シート31Aが、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの伸長状態の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTで接合されて腹側伸縮部WAが形成されている。さらに、本体側シート32及び腹側外面側シート31Aが、吸収体23よりも外方の吸収体23と重ならない領域23NTでは、図6(a)に示すように、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの伸長状態の低伸縮部位31Lとが第2接合部位2JTで接合され且つ本体側シート32と腹側外面側シート31Aの高伸縮部位31Hとが接合されずに腹側伸縮部WAが形成されている、おむつ1の腹側領域Aにおいて、「吸収体23と重ならない領域23NT」とは、図2に示すように、吸収性本体2を構成する吸収体23の縦方向(X方向)の前端部23Aの外端23A1よりも縦方向Xの外方(横中心線CL2側と反対側)に位置するエンドフラップ部分である。そして、該エンドフラップ部分に加えて、吸収体23の縦方向(X方向)に沿う両側部よりも横方向Y外方であって、該エンドフラップ部分の縦方向Xの下端とサイドシール部5の下端との間に位置するサイドフラップ部分を加えた領域を意味する。
【0039】
図5に示す腹側領域Aと同様に、おむつ1の背側領域Bでは、非伸縮性の本体側シート32の非肌対向面に伸縮性の背側外面側シート31Bが横方向Yに伸長状態で配され、本体側シート32及び背側外面側シート31Bが、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32と背側外面側シート31Bの伸長状態の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTで接合されて背側伸縮部WBが形成されている。さらに、本体側シート32及び伸長状態の背側外面側シート31Bが、吸収体23よりも外方の吸収体23と重ならない領域23NTでは、図6(a)に示す腹側領域Aと同様に、本体側シート32と背側外面側シート31Bの伸長状態の低伸縮部位31Lとが第2接合部位2JTで接合され且つ本体側シート32と背側外面側シート31Bの伸長状態の高伸縮部位31Hとが接合されずに背側伸縮部WBが形成されている。おむつ1の背側領域Bにおいて、「吸収体23と重ならない領域23NT」とは、おむつ1の腹側領域Aと同様に、図2に示すように、吸収性本体2を構成する吸収体23の縦方向(X方向)の後端部23Bの外端23B1よりも縦方向Xの外方(横中心線CL2側と反対側)に位置するエンドフラップ部分である。そして、該エンドフラップ部分に加えて、吸収体23の縦方向(X方向)に沿う両側部よりも横方向Y外方であって、該エンドフラップ部分の縦方向Xの下端とサイドシール部5の下端との間に位置するサイドフラップ部分を加えた領域を意味する。
【0040】
このように、おむつ1の腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBでは、それぞれ、図5に示すように、非伸縮性の本体側シート32と伸縮性を有する外面側シート31とが、吸収体23と重なる領域23PTにおいては、本体側シート32と外面側シート31の伸長状態の高伸縮部位31Hとで接合されている。その為、吸収体23と重なる領域23PTにおいては、外面側シート31の伸長状態を解除しても、高伸縮部位31Hの収縮が阻害され易く、おむつ1には、吸収体23に皺が発生し難く、吸収体23の吸収性能が阻害され難い。
【0041】
また、おむつ1の腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBでは、それぞれ、図6(a)に示すように、吸収体23と重ならない領域23NTにおいては、おむつ1の外面を形成する伸縮性の外面側シート31の伸長状態の低伸縮部位31Lと本体側シート32とで接合され且つ外面側シート31の高伸縮部位31Hと本体側シート32とで接合されていない。その為、吸収体23と重ならない領域23NTにおいては、図6(b)に示すように外面側シート31の伸長状態を解除すると、高伸縮部位31Hの収縮が阻害され難く、おむつ1の外面を形成する外面側シート31に皺が発生し難く、おむつ1の外面の見栄えが良い。また、外面側シート31の伸長状態を解除すると、図6(b)に示すように、高伸縮部位31Hの収縮により、高伸縮部位31Hに隣り合う一対の低伸縮部位31L,31Lで接合された本体側シート32の部分どうしの間の本体側シート32の部分が肌対向面側に膨らむように変形し易いため、高伸縮部位31Hとの間に空間Gが形成され易く、その結果肌触りが良好になり易くなり、また、通気性が向上し、使用感が向上する。特に、おむつ1では、本体側シート32が非伸縮性のシートである為、高伸縮部位31Hとの間に空間Gが更に形成され易く、肌触りが良好になり易く、通気性が更に向上し、使用感が更に向上する。
【0042】
おむつ1では、吸収体23と重なる領域23PTにおいては、本体側シート32と外面側シート31とが伸縮シートの低伸縮部位31Lで接合されていない第1非接合部位1NJTを形成している。即ち、吸収体23と重なる領域23PTにおいては、図5に示すように、本体側シート32と伸縮シートで形成された外面側シート31の低伸縮部位31Lとが接合されていない。好適には、おむつ1の腹側領域Aでは、本体側シート32及び腹側外面側シート31Aが、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの伸長状態の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTにて接合されており、且つ本体側シート32と腹側外面側シート31Aの低伸縮部位31Lとが第1非接合部位1NJTにて接合されていない。同様に、おむつ1の背側領域Bでは、本体側シート32及び背側外面側シート31Bが、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32と背側外面側シート31Bの伸長状態の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTにて接合されており、且つ本体側シート32と背側外面側シート31Bの低伸縮部位31Lとが第1非接合部位1NJTにて接合されていない。
【0043】
おむつ1の吸収体23と重なる領域23PTでは、図3に示すように、本体側シート32及び外面側シート31の第1接合部位1JTと、本体側シート32及び外面側シート31の第1非接合部位1NJTとが、縦方向Xに連続して形成されており、横方向Yに交互に配されている。好適に、吸収体23と重なる領域23PTでは、腹側外面側シート31A或いは背側外面側シート31Bの高伸縮部位31Hと本体側シート32との第1接合部位1JTが、縦方向Xに連続しており、腹側外面側シート31A或いは背側外面側シート31Bの低伸縮部位31Lと本体側シート32との第1非接合部位1NJTが、縦方向Xに連続している。そして、縦方向Xに連続する第1接合部位1JTと縦方向Xに連続する第1非接合部位1NJTとが横方向Yに交互に配されている。
【0044】
おむつ1では、吸収体23と重なる領域23PTでは、図5に示すように、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとが第1非接合部位1NJTにて接合されておらず、本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTで接合されている。また、吸収体23と重なる領域23PTでは、図3に示すように、本体側シート32及び外面側シート31の第1接合部位1JTと、本体側シート32及び外面側シート31の第1非接合部位1NJTとが、縦方向Xに連続して形成されており、横方向Yに交互に配されている。その為、おむつ1には、吸収体23に更に皺が発生し難く、吸収性能が更に阻害され難い。
【0045】
おむつ1では、吸収体23よりも外方の吸収体23と重ならない領域23NTでは、図6(a)に示すように、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとが第2接合部位2JTにて接合され、本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが第2非接合部位2NJTにて接合されていない。重ならない領域23NTにおいても、図3に示すように、第2接合部位2JT及び第2非接合部位2NJTが、縦方向Xに連続しており、縦方向Xに連続する第2接合部位2JTと縦方向Xに連続する第2非接合部位2NJTとが横方向Yに交互に配されている。また、ウエストの折り返し部に関しても同様に縦方向Xに連続する第2接合部位2JTと縦方向Xに連続する第2非接合部位2NJTとが横方向Yに交互に配されている。おむつ1では、図3に示すように、吸収体23に重なる領域23PTと吸収体23に重ならない領域23NTとの縦方向Xの境界において、吸収体23に重なる領域23PTに配された縦方向Xに連続する第1接合部位1JT及び第1非接合部位1NJTが、吸収体23と重ならない領域23NTに配された縦方向Xに連続する第2接合部位2JT及び第2非接合部位2NJTと連続しておらず、分断している。このように吸収体23に重なる領域23PTと吸収体23に重ならない領域23NTとの縦方向Xの境界において、縦方向Xに連続する第1接合部位1JT及び第2接合部位2JTが分断していると、吸収体23に更に皺が発生し難く、吸収性能が更に阻害され難い。
【0046】
吸収体23に重なる領域23PTにおいて吸収体23に更に皺が発生し難く、吸収性能が更に阻害され難くする観点からは、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32及び外面側シート31の第1接合部位1JTは、外面側シート31の高伸縮部位31Hの全域に形成されていることが好ましい。好適には、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態において、腹側外面側シート31A或いは背側外面側シート31Bの高伸縮部位31Hを平面視して、該高伸縮部位31Hの輪郭で囲まれた領域内全域に第1接合部位1JTが形成されていることが好ましい。
【0047】
また、おむつ1では、図5に示すように、吸収性本体2及び外装体3との固定部位の位置、即ち本体固定用接着剤4の塗工位置と、吸収体23と重なる領域23PTにおける本体側シート32及び外面側シート31の第1接合部位1JTの位置とが重なっている。このように重なっていれば、吸収体23に重なる領域23PTにおいて吸収体23に更に皺が発生し難くなる。図5に示すように断面視して、吸収体23に皺が発生し難くなるとの観点から、本体固定用接着剤4の塗工部分と第1接合部位1JTとは、横方向Yに一部重なっていればよいが、本体固定用接着剤4の塗工部分の横方向Yの範囲内に第1接合部位1JTの横方向Yの全域が含まれていることが好ましい。
【0048】
上述した効果を一層奏する観点から、おむつ1では、以下の構成の1つ又は複数を備えていることが好ましい。
【0049】
おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図2に示すように平面視して、腹側領域Aに関し、吸収体23と重ならない領域23NTの横方向Yの長さの総和(各前記サイドフラップ部分の横方向Yの長さの総和)に対する吸収体23と重なる領域23PTの横方向Yの長さの割合((L23PT/L23NT)×100)は、吸収体にしわが発生するのを防止し吸収性能の低下を防ぐ観点から、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、そして、65%以下であることが好ましく、55%以下であることが更に好ましく、具体的には、20%以上65%以下であることが好ましく、30%以上55%以下であることが更に好ましい。そして、背側領域Bに関しても同様に、吸収体23と重ならない領域23NTの横方向Yの長さの総和(各前記サイドフラップ部分の横方向Yの長さの総和)に対する吸収体23と重なる領域23PTの横方向Yの長さの割合((L23PT/L23NT)×100)は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、そして、65%以下であることが好ましく、55%以下であることが更に好ましく、具体的には、20%以上65%以下であることが好ましく、30%以上55%以下であることが更に好ましい。
【0050】
おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図2に示すように平面視して、腹側領域Aに関し、吸収体23と重なる領域23PTの面積(S23PT)に対する、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの高伸縮部位31Hとの接合部位である各第1接合部位1JTの面積の総和(S1JT)の割合((S1JT/S23PT)×100)は、25%以上であることが好ましく、35%以上であることが更に好ましく、そして、70%以下であることが好ましく、60%以下であることが更に好ましく、具体的には、25%以上70%以下であることが好ましく、35%以上60%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0051】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図5に示すように断面視して、腹側領域Aの吸収体23と重なる領域23PTに関し、外面側シート31の高伸縮部位31Hの横方向Yの長さ(W2)に対する、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの高伸縮部位31Hとの接合部位である第1接合部位1JTの横方向Yの長さ(W1)の割合((W1/W2)×100)は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、そして、150%以下であることが好ましく、120%以下であることが更に好ましく、具体的には、60%以上150%以下であることが好ましく、80%以上120%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
このような範囲にすることにより、吸収体にしわが発生するのを防止するだけでなく、防漏シートとの未接着部位を作ることにより隙間ができ、通気性が向上するという効果をより奏しやすい。
【0052】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図5に示すように断面視して、腹側領域Aの吸収体23と重なる領域23PTに関し、外面側シート31の低伸縮部位31Lの横方向Yの長さ(W3)に対する、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの高伸縮部位31Hとの接合部位である第1接合部位1JTの横方向Yの長さ(W1)の割合((W1/W3)×100)は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、そして、140%以下であることが好ましく、120%以下であることが更に好ましく、具体的には、50%以上140%以下であることが好ましく、70%以上120%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0053】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図5に示すように断面視して、腹側領域Aの吸収体23と重なる領域23PTに関し、吸収性本体2と外装体3との固定部位である本体固定用接着剤4の横方向Yの長さ(W4)に対する、外面側シート31の高伸縮部位31Hの横方向Yの長さ(W2)の割合((W2/W4)×100)は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、そして、150%以下であることが好ましく、120%以下であることが更に好ましく、具体的には、60%以上150%以下であることが好ましく、80%以上120%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0054】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図2に示すように平面視して、腹側領域Aに関し、吸収体23と重ならない領域23NTの面積(S23NT)に対する、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとの接合部位である各第2接合部位2JTの面積の総和(S2JT)の割合((S2JT/S23NT)×100)は、20%以上であることが好ましく、35%以上であることが更に好ましく、そして、75%以下であることが好ましく、65%以下であることが更に好ましく、具体的には、20%以上75%以下であることが好ましく、35%以上65%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
このような範囲にすることにより、ホットメルト塗工量を低減し、剛性を低減させることで風合いが向上する効果をより奏しやすい。
【0055】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図2に示すように平面視して、腹側領域Aに関し、吸収体23と重ならない領域23NTの面積(S23NT)に対する、本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが接合されていない部位である各第2非接合部位2NJTの面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S23NT)×100)は、25%以上であることが好ましく、35%以上であることが更に好ましく、そして、80%以下であることが好ましく、65%以下であることが更に好ましく、具体的には、25%以上80%以下であることが好ましく、35%以上65%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
このような範囲にすることにより、ホットメルト塗工量を低減し、剛性を低減させることで風合いが向上する効果をより奏しやすい。
【0056】
さらに、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図2に示すように平面視して、腹側領域Aの吸収体23と重ならない領域23NTに関し、各第2接合部位2JTの面積の総和(S2JT)に対する、各第2非接合部位2NJTの面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S2JT)×100)は、100%以上であることが好ましく、200%以上であることが更に好ましく、そして、1000%以下であることが好ましく、800%以下であることが更に好ましく、具体的には、100%以上1000%以下であることが好ましく、200%以上800%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bの吸収体23と重ならない領域23NTに関しても、腹側領域Aの吸収体23と重ならない領域23NTと同様である。
【0057】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図6(a)に示すように断面視して、腹側領域Aの吸収体23と重ならない領域23NTに関し、外面側シート31の高伸縮部位31Hの横方向Yの長さ(W2)に対する、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとの接合部位である第2接合部位2JTの横方向Yの長さ(W5)の割合((W5/W2)×100)は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、そして、150%以下であることが好ましく、100%以下であることが更に好ましく、具体的には、50%以上150%以下であることが好ましく、70%以上100%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0058】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図6(a)に示すように断面視して、腹側領域Aの吸収体23と重ならない領域23NTに関し、外面側シート31の低伸縮部位31Lの横方向Yの長さ(W3)に対する、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとの接合部位である第2接合部位2JTの横方向Yの長さ(W5)の割合((W5/W3)×100)は、40%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、そして、140%以下であることが好ましく、100%以下であることが更に好ましく、具体的には、40%以上140%以下であることが好ましく、70%以上100%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0059】
また、おむつ1を展開させかつ伸長させた状態を図5及び図6(a)に示すように断面視して、腹側領域Aに関し、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとの接合部位である第2接合部位2JTの横方向Yの長さ(W5)に対する、本体側シート32と腹側外面側シート31Aの高伸縮部位31Hとの接合部位である第1接合部位1JTの横方向Yの長さ(W1)の割合((W1/W5)×100)は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることが更に好ましく、そして、200%以下であることが好ましく、150%以下であることが更に好ましく、具体的には、50%以上200%以下であることが好ましく、70%以上150%以下であることが更に好ましい。尚、背側領域Bに関しても、腹側領域Aと同様である。
【0060】
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22、吸収体23及び防漏カフ24等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート22としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。吸収体23としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成された吸収性材料からなる吸収性コアをティッシュペーパーによって被覆されているものを用いることができる。また、防漏カフ24としては、撥水性の単層又は多層構造の不織布等を用いることができる。
【0061】
弾性部材(防漏カフ形成用弾性部材25、ウエスト弾性部材33、レッグ弾性部材34等)としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形、若しくは多角形状等の糸状(糸ゴム等)、又は紐状(平ゴム等)のもの等を好ましく用いることができる。
【0062】
本体固定用接着剤4、又はレッグ弾性部材34を固定する帯状の接着剤(不図示)としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のホットメルト接着剤等を特に制限なく用いることができる。本体固定用接着剤4の塗工は、例えば、コーターを用いて、吸収性本体2を構成する裏面シート22の非肌対向面及び外装体3を構成する本体側シート32の肌対向面の一方に塗工されている。
【0063】
本体側シート32及び外面側シート31の第1接合部位1JT及び第2接合部位2JTは、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のホットメルト接着剤等を、例えば、コーターを用いて塗工することにより形成できる。また、第1接合部位1JT及び第2接合部位2JTは、熱エンボス加工、超音波シール加工、レーザー加工等を用いて形成できる。
【0064】
サイドシール部5を形成する加工としては、熱エンボス加工、超音波シール加工、レーザー加工等が挙げられる。
【0065】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述したおむつ1では、図5及び図6に示すように、外面側シート31が横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮シートで形成されており、且つ本体側シート32が非伸縮性のシートで形成されているが、本体側シート32が横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮シートで形成されており、且つ外面側シート31が非伸縮性のシートで形成されていてもよく、本体側シート32及び外面側シート31が何れも横方向に伸縮性を有する伸縮シートで形成されていてもよい。本体側シート32が伸縮シートの場合、肌に対して襞のない伸縮材が触れるため、ギャザー痕がつきにくくなる。
【0066】
また、おむつ1では、腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBの両方に、伸縮シートが配されているが、腹側伸縮部WA及び背側伸縮部WBの何れか一方に、伸縮シートが配されていればよい。
【0067】
また、おむつ1では、図5に示すように、吸収体23と重なる領域23PTでは、本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとが第1接合部位1JTで接合されており、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとが第1非接合部位1NJTにて接合されていないが、本体側シート32と外面側シート31の高伸縮部位31Hとの接合のみならず、本体側シート32と外面側シート31の低伸縮部位31Lとが接合されていてもよい。即ち、吸収体23と重なる領域23PTには、第1非接合部位1NJTが形成されていなくてもよい。
【0068】
また、上述した使い捨ておむつ1においては、図2に示すように、外装体3が腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる砂時計状等の連続した形状のパンツ型使い捨ておむつであるが、外装体3が、腹側外装体、背側外装体及び股下外装体に別部材として区分された分割型のパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0069】
また、上述した使い捨ておむつ1においては、図1に示すように、外装体3を有するパンツ型使い捨ておむつであるが、展開型の使い捨ておむつであってもよい。
【0070】
また、上述した吸収性物品は、図1に示すように、パンツ型使い捨ておむつ1であるが、女性用のショーツタイプの生理用ナプキンであってもよい。
【0071】
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
【0072】
<1>
縦方向に腹側領域および背側領域と、それらの間に位置する股下領域とを備え、前記腹側領域と前記背側領域とに亘って吸収性材料を含む吸収体を具備する吸収性本体を有し、該腹側領域及び該背側領域それぞれに横方向に延びる腹側伸縮部及び背側伸縮部を有する吸収性物品であって、
前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部は、それぞれ、前記吸収性本体に接合される本体側シートと、該本体側シートの非肌対向面に配される外面側シートとを有し、
前記本体側シート及び前記外面側シートの少なくとも一方は、横方向に伸縮性を有する伸縮シートであり、
前記伸縮シートは、相対的に伸縮性の高い高伸縮部位と相対的に伸縮性の低い低伸縮部位とが横方向に交互に配されており、
前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部の少なくとも一方には、前記伸縮シートが配され、前記吸収体と重なる領域においては前記本体側シートと前記外面側シートとが前記高伸縮部位で接合される第1接合部位を形成し、前記吸収体よりも外方の該吸収体と重ならない領域においては該本体側シートと該外面側シートとが前記低伸縮部位で接合される第2接合部位を形成し且つ前記高伸縮部位で接合されていない第2非接合部位を形成している、吸収性物品。
【0073】
<2>
前記吸収体と重なる領域においては、前記本体側シートと前記外面側シートとが前記低伸縮部位で接合されていない第1非接合部位を形成し、該第1非接合部位と前記第1接合部位とが、縦方向に連続して形成されており、横方向に交互に配されている、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記吸収体と重なる領域においては、前記第1接合部位は、前記高伸縮部位の全域に形成されている、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記本体側シート及び前記外面側シートは、一方が前記伸縮シートであり、他方が非伸縮性のシートである、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記吸収性物品は、前記吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体を固定している外装体を具備し、
前記外装体は、前記本体側シートと前記外面側シートとを有し、
前記吸収性本体及び前記外装体との固定部位の位置と、前記吸収体と重なる領域における前記第1接合部位の位置とが重なっている、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0074】
<6>
前記外面側シートが横方向に伸縮性を有する伸縮シートであり、前記本体側シートは、伸縮性を有しておらず非伸縮性のシートである、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記外面側シートは、前記腹側領域を構成する腹側外面側シートと、前記背側領域を構成する背側外面側シートとを含んで構成されており、
伸縮性の前記腹側外面側シート及び前記背側外面側シートは、弾性部材の延びる方向と同方向に伸縮可能になっている、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記腹側伸縮部及び前記背側伸縮部は、それぞれ、非伸縮性の前記本体側シートと伸縮性を有する伸長状態の前記外面側シートとが、前記吸収体と重なる領域においては、前記第1接合部位が形成されている、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
ウエストの折り返し部に関して、前記吸収体と重ならない領域においては、前記本体側シートと前記外面側シートの折り返し部とが前記第2接合部位を形成されており、該第2接合部位と、該本体側シート及び該外面側シートの折り返し部の前記第2非接合部位とが、縦方向に連続して形成されており、横方向に交互に配されている、前記<2>に記載の吸収性物品。
<10>
前記吸収体に重なる領域と前記吸収体に重ならない領域との縦方向の境界において、縦方向に連続する前記第1接合部位及び前記第1非接合部位が、縦方向に連続する前記第2接合部位及び前記第2非接合部位と連続しておらず、分断している、前記<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記腹側領域に関し、前記吸収体と重ならない領域の横方向の長さの総和に対する前記吸収体と重なる領域の横方向の長さの割合((L23PT/L23NT)×100)は、20%以上、好ましくは30%以上であり、そして、65%以下、好ましくは55%以下である、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0075】
<12>
前記背側領域に関し、前記吸収体と重ならない領域の横方向の長さの総和に対する前記吸収体と重なる領域の横方向の長さの割合((L23PT/L23NT)×100)は、20%以上、好ましくは30%以上であり、そして、65%以下、好ましくは55%以下である、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記腹側領域及び前記背側伸縮部の少なくとも一方に関し、前記吸収体と重なる領域の面積(S23PT)に対する、前記第1接合部位の面積の総和(S1JT)の割合((S1JT/S23PT)×100)は、25%以上、好ましくは35%以上であり、そして、70%以下、好ましくは60%以下である、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記腹側領域又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重なる領域に関し、前記外面側シートの高伸縮部位の横方向の長さ(W2)に対する、前記本体側シートと前記外面側シートの高伸縮部位との接合部位である第1接合部位の横方向の長さ(W1)の割合((W1/W2)×100)は、60%以上であることが好ましく、80%以上であり、そして、150%以下、好ましくは120%以下である、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記腹側領域又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重なる領域に関し、前記外面側シートの低伸縮部位の横方向の長さ(W3)に対する、前記第1接合部位の横方向の長さ(W1)の割合((W1/W3)×100)は、50%以上、好ましくは70%以上であり、そして、140%以下、好ましくは120%以下である、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0076】
<16>
前記腹側領域又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重なる領域に関し、前記吸収性本体と前記外装体との固定部位である本体固定用接着剤の横方向の長さ(W4)に対する、前記外面側シートの高伸縮部位の横方向の長さ(W2)の割合((W2/W4)×100)は、60%以上、好ましくは80%以上であり、そして、150%以下、好ましくは120%以下である、前記<5>に記載の吸収性物品。
<17>
前記腹側領域及び前記背側伸縮部の少なくとも一方に関し、前記吸収体と重ならない領域の面積(S23NT)に対する、前記第2接合部位の面積の総和(S2JT)の割合((S2JT/S23NT)×100)は、20%以上、好ましくは35%以上であり、そして、75%以下、好ましくは65%以下である、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>
前記腹側伸縮部又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域の面積(S23NT)に対する、前記第2非接合部位の面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S23NT)×100)は、25%以上、好ましくは35%以上であり、そして、80%以下、好ましくは65%以下である、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>
前記腹側伸縮部又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域に関し、前記第2接合部位の面積の総和(S2JT)に対する、前記第2非接合部位の面積の総和(S2NJT)の割合((S2NJT/S2JT)×100)は、100%以上、好ましくは200%以上であり、そして、1000%以下、好ましくは800%以下である、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記腹側領域又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域に関し、前記外面側シートの高伸縮部位の横方向の長さ(W2)に対する、前記第2接合部位の横方向の長さ(W5)の割合((W5/W2)×100)は、50%以上、好ましくは70%以上であり、そして、150%以下、好ましくは100%以下である、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21>
前記腹側領域又は前記背側伸縮部の前記吸収体と重ならない領域に関し、前記外面側シートの低伸縮部位の横方向の長さ(W3)に対する、前記第2接合部位の横方向の長さ(W5)の割合((W5/W3)×100)は、40%以上、好ましくは70%以上であり、そして、140%以下、好ましくは100%以下である、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
前記腹側領域及び前記背側伸縮部の少なくとも一方に関し、前記第2接合部位の横方向の長さ(W5)に対する、前記第1接合部位の横方向の長さ(W1)の割合((W1/W5)×100)は、50%以上、好ましくは70%以上であり、そして、200%以下、好ましくは150%以下である、前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0077】
<23>
前記外面側シートを構成する3枚の腹側外面側シート、背側外面側シート及び股下外面側シートのうち、該腹側外面側シート及び該背側外面側シートが横方向に伸縮性を有し、該股下外面側シートは伸縮性を有しておらず非伸縮性である、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記腹側外面側シート及び前記背側外面側シートは、非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層の一面に糸状の弾性フィラメントが接合した構成を有し、該繊維層としての2枚の繊維シートと、両シート間に介在配置された該弾性フィラメントとしての弾性部材とを含んで構成されている、前記<23>に記載の吸収性物品。
<25>
複数の前記弾性部材は、互いに交差せずに一方向(横方向)に延びるように配列している、前記<24>に記載の吸収性物品。
<26>
前記弾性部材は、実質的に非伸長状態で2枚の前記繊維シートに接合されている、前記<24>又は<25>に記載の吸収性物品。
<27>
前記繊維シート(非弾性繊維を主体とする伸長可能な繊維層)とこれに接合されている前記弾性部材との間には接着剤が存在しない、前記<24>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
<28>
前記高伸縮部位及び前記低伸縮部位それぞれに関し、前記弾性部材の延びる方向の伸長時の長さは、収縮時を100%としたとき、該高伸縮部位の横方向の長さが該低伸縮部位の横方向の長さよりも長いことを前提として、前記高伸縮部位が、130%以上であり、好ましくは300%以上であり、上限値が600%以下であり、そして、前記低伸縮部位が、200%以下、好ましくは170%以下であり、下限値が100%以上である、前記<24>〜<27>の何れか1に記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0078】
1 パンツ型使い捨ておむつ(吸収性物品)
WA 腹側伸縮部
WB 背側伸縮部
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
23PT 吸収体と重なる領域
23NT 吸収体と重ならない領域
24 防漏カフ
25 防漏カフ形成用弾性部材
3 外装体
31 外面側シート
31A 腹側外面側シート
31AE 腹側延出部
31B 背側外面側シート
31BE 背側延出部
31C 股下外面側シート
31H 高伸縮部位
31L 低伸縮部位
32 本体側シート
33 ウエスト弾性部材
34 レッグ弾性部材
4 本体固定用接着剤
1JT 第1接合部位
2JT 第2接合部位
1NJT 第1非接合部位
2NJT 第2非接合部位
A 腹側領域、B 背側領域、C 股下領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6