特許第6941544号(P6941544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6941544広告媒体アプリにより表示するコンテンツ上のクリックされたリンク先記述を所定の広告主要件に照らして要件適合であればASPシステムに通知すること
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941544
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】広告媒体アプリにより表示するコンテンツ上のクリックされたリンク先記述を所定の広告主要件に照らして要件適合であればASPシステムに通知すること
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20210916BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20210916BHJP
【FI】
   G06F13/00 540R
   G06F13/00 540P
   G06F13/00 540F
   G06Q30/02 380
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-222469(P2017-222469)
(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公開番号】特開2019-95877(P2019-95877A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】599158144
【氏名又は名称】バリューコマース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信敬
【審査官】 木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−073061(JP,A)
【文献】 特開2017−191443(JP,A)
【文献】 特開2009−295142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つぎの事項(1)〜(8)により特定される方法。
(1)アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)が運用するASPシステムと、利用者に提供された広告媒体主に係るアプリ(広告媒体アプリ)が稼働する利用者端末とによって実施されるコンピューティングの方法であること
(2)ASPシステムは、広告媒体アプリ識別子に対応付けした媒体別の広告情報リストを記憶しており、当該広告情報リストは広告識別子と広告主リソース照合記述の対応付け情報を含んだリストであること
(3)利用者端末において広告媒体アプリは、広告媒体主に係る情報提供サーバーと通信し、文書や画像中の種々の視覚要素に種々のリンク先記述が紐付けされた種々のリンク要素が含まれたコンテンツを取得して利用者に提示すること
(4)広告媒体アプリのASP連携モジュールは、利用者端末とASPシステムとを適時に通信させ、当該広告媒体アプリの識別子(a)に対応付けされた広告情報リスト(b)をASPシステムから取得して記憶すること
(5)広告媒体アプリのASP連携モジュールは、利用者端末において提示したコンテンツ中のリンク要素が利用者により指定された場合、当該リンク要素に該当するリンク先記述(c)を取得して誘導前処理を行うこと
(6)誘導前処理においては、取得したリンク先記述(c)が記憶した広告情報リスト(b)中の広告主リソース照合記述のいずれかと所定関係にあるか否かを調べ、リンク先記述(c)が広告識別子(d)に対応付けされた広告主リソース照合記述と所定関係にあると判断した場合、広告媒体アプリ識別子(a)とリンク先記述(c)と広告識別子(d)に基づいてASP連携誘導処理を行うこと
(7)ASP連携誘導処理においては、利用者端末とASPシステムとを通信させ、識別子(a)の広告媒体アプリ上のコンテンツで広告識別子(d)に係るリンク要素が指定されたことを知らせるクリック通知をASPシステムに送信するとともに、利用者端末をリンク先記述(c)に該当する広告主リソースに誘導すること
(8)ASPシステムは、利用者端末から受信したクリック通知に対応したクリック記録を保存しておき、後にネットワークを介して受信する成果報告電文と保存されたクリック記録とに基づいて広告成果を判定すること
【請求項2】
つぎの事項(9)により特定される請求項1に記載の方法。
(9)特定事項(7)のASP連携誘導処理において、利用者端末を誘導すべき広告主リソースを示すリンク先記述(c)が広告主ウエブページのURLである場合、ASP連携モジュールは、利用者端末をASPシステムにリダイレクトしてクリック通知をした後に利用者端末を当該URLの広告主ウエブページにリダイレクトすること
【請求項3】
つぎの事項(10)により特定される請求項2に記載の方法。
(10)特定事項(7)のASP連携誘導処理において、利用者端末を誘導すべき広告主リソースを示すリンク先記述(c)が広告主アプリのURLスキームである場合、ASP連携モジュールは、利用者端末において当該URLスキームの広告主アプリを起動するとともにASPシステムにクリック通知を送信すること
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコンピューティングの方法を実施するようにプログラムされたASPシステム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のコンピューティングの方法を実施するように利用者端末にインストールされる広告媒体アプリに組み込まれたASP連携モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出願人のようなアフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)が運用するASPシステムと、利用者に提供された広告媒体主に係るアプリ(広告媒体アプリ)が稼働する利用者端末とによって実施されるコンピューティングに関し、とくに、利用者端末の広告媒体アプリで表示するコンテンツ上のクリックされたリンク先記述を所定の広告主要件に照らして要件適合であればASPシステムに通知してリンク先記述の広告主リソースに誘導することに関する。
【背景技術】
【0002】
===ニュースアプリとニュースサイト===
周知のとおり、スマートフォンやタブレット端末などの情報端末(利用者端末と記すことがある)を利用する人は、アプリストア(AppStoreやGooglePlayなど)からさまざまな機能のアプリをダウンロードしてインストールし、それらアプリを随時に選択起動して活用している。たとえば、さまざまな事業者が提供しているニュースアプリやキュレーションアプリの類は、多くの人々が日常的に活用する超人気アプリとなっている。
【0003】
周知のとおり、ニュースメディア事業者がニュースアプリを制作して利用者に配布するとともにニュースサイトを運営しているのが普通である。利用者が情報端末のニュースアプリを起動すると、ニュースアプリはインターネット上のニュースサイトのサーバープログラムと通信し、ニュースサイトから取り寄せたニュース記事が情報端末に表示される。
【0004】
===ニュースメディア事業者が広告媒体主となるアフィリエイト広告===
つぎのようなアフィリエイト広告サービスが実施されている。たとえば、情報端末のニュースアプリにより利用者に提示されるコンテンツ(ニュース記事)に広告を掲載し、その広告を通じて利用者端末を広告主リソース(広告主が運営する広告主ウエブサイトであったり、広告主が端末利用者に提供する広告主アプリであったりする)に誘導し、その広告主リソースの発信情報に従って利用者が特定の行動をとるとASPシステムにより広告成果があったと判定され、広告主から広告媒体主(この例ではニュースメディア事業者)に成果報酬(広告料)を支払うための処理がASPシステムにより行われる。
【0005】
上記の例においては、ニュースメディア事業者が広告媒体主であり、ニュースアプリにより表示されるニュース記事が広告媒体である。広告媒体主は、広告を掲載しようとするニュース記事レイアウト中に広告枠を設定するとともに、その広告枠にどのような広告を掲載するのかを指定することを、ASPシステムにおける当該広告媒体主アカウントの広告媒体管理画面を通じて事前に行い(広告配信用の情報を事前登録しておく)、同時に、広告媒体となる記事にも広告配信用および広告追跡用の情報を事前に紐づけしておく。広告追跡用の情報には、ASPシステムへのリンク情報と広告主リソースへのリンク情報が含まれている。
【0006】
ニュースアプリにはASPからソフトウエア開発キットSDKとして提供されたASP連携モジュールが組み込まれている。利用者端末においてASP連携モジュールは、広告配信用の情報設定がされているニュース記事を表示する際に、当該記事に紐づいた広告配信用の設定情報に従ってASPシステムの広告配信部門と通信して掲載すべき広告を取得し、その広告をニュース記事中の広告枠に組み合わせて表示する。
【0007】
また、利用者端末においてASP連携モジュールは、上記のニュース記事に掲載された広告を利用者が選択する入力(便宜的にクリックとする)を検出すると、その広告に紐づいた広告追跡用の設定情報に従って利用者端末とASPシステムとを通信させ、広告媒体主を特定する情報とクリックされた広告を特定する情報を含むクリック通知をASPシステムに送信するとともに、クリックされた広告に紐づいた広告主リソースに利用者端末を誘導する。
【0008】
ASPシステムは、利用者端末から受信したクリック通知に対応したクリック記録を保存しておき、後にネットワークを介して受信する成果報告電文と保存されたクリック記録とに基づいて広告成果を判定する。
【0009】
周知のとおり、広告成果の典型例は、広告クリックした利用者が広告主リソース(ECサイト)に誘導されて買物をすると、ECサイトから直接または利用者端末を介してASPシステムに成果報告電文が送達され、その成果報告電文がどのクリック記録と対応するものなのかがトラッキング情報に基づいて解析され、成果報酬を支払うべき広告主と成果報酬を受けとるべき広告媒体主が特定される。
【0010】
周知のように、アフィリエイト広告に参加する広告主のビジネスモデルはさまざまであり、広告クリックした利用者がその後どのような行動をした場合に広告成果ありと判断するのかという取り決めもさまざまであり、したがって成果報告電文の生成源がどこになるのかもビジネスモデルに応じてさまざまである。そして広告成果行動を追跡して特定のクリック記録と結びつけるコンピューティングの仕組みは単純であるとは言えない面があるところ、この仕組みは当業者が熟知している事項であるし、この出願に係る発明により開示する新規事項ではないので、本書面においては当業者にとって周知慣用な事項に関する煩雑な説明は省略する。
【発明の概要】
【0011】
===既存技術についての問題認識===
ニュースメディア事業者が広告媒体主となるアフリエイト広告の前述した既存技術においては、ニュースアプリにより表示されるニュース記事が広告媒体であり、広告媒体主は広告を掲載しようとするニュース記事について、ASPシステムと事前に通信して広告配信用および広告追跡用の情報を登録する人手による設定操作を行う必要がある。この設定操作はかなり煩雑で面倒である。広告媒体主が「このニュース記事にはこの広告をこのようなレイアウトで組み合わせたい」と考えるのであれば、面倒であっても広告掲載記事についての事前の設定操作を省くわけにはいかない。
【0012】
===この発明による新規な視点===
この出願の発明者は、ニュースメディアの例で述べると、ニュースアプリにより表示するニュース記事に広告を組み合わせるという考え方をやめ、さまざまな内容の大量のニュース記事を利用者に提示するのに使われるニュースアプリそれ自体を広告媒体と捉え、不特定のニュース記事中のリンク要素のいずれかを利用者がクリックしたときに、当該リンク要素のリンク先記述を所定の広告主要件に照らすことで広告主ビジネスに関連したリンク先かどうかを判定し、所定の広告主要件を満たす場合には、そのことをASPシステムに通知した上で、当該リンク先記述の広告主リソースに誘導するというアフィリエイト広告の新概念を着想した。
【0013】
よく知られているように、たとえば、家電製品や自動車を製造販売するメーカー、家電量販店のような実店舗や電子商店街を運営する商人などに関連し、それらの事業者がインターネット上の自社サイト(これを商人サイトとする)を通じて取り扱い商品に関連する大量の情報を継続的に発信しており、発信された新商品情報などはメディアで取り上げられて拡散し、一般消費者による各種商品のレビューやクチコミあるいはブログなどの情報もインターネット上に溢れている。
【0014】
よく知られているように、ニュースメディアやキュレーションメディアなどは、メディア運営者のコンセプトに従って、ウエブコンテンツを収集して編集し、新たなコンテンツの形態で利用者に提示するサービスを実施している。その具体的な実施形態として、メディア事業者がニュースアプリやキュレーションアプリを利用者に配布し、メディア事業者が運営する情報提供サーバーが発信しているコンテンツを利用者端末上のそれらアプリを通じて見るというコンピューティング環境を構築している。
【0015】
よく知られているように、ニュースアプリやキュレーションアプリなどにより表示されるコンテンツには、文書や画像中の種々の視覚要素に種々のリンク先記述が紐づけされた種々のリンク要素が含まれている。そうしたコンテンツ中のあるリンク要素をクリックすると、ある商人サイトに掲示されているある商品の紹介ページに誘導されるということが頻発する。このことはコンテンツの来歴から容易に理解できることである。
【0016】
ニュースメディアの例から離れて普遍化すると、AppStoreやGooglePlayなどで配布されて、スマートフォンやタブレット端末で活用されている多くの種類のアプリは、アプリ提供事業者に係る情報提供サーバーと通信してコンテンツを取得して表示する機能のアプリケーションプログラムという範疇に属するものであり、表示されるコンテンツの文書や画像中の種々の視覚要素に種々のリンク先記述が紐づけされた種々のリンク要素が含まれており、利用者がリンク要素をクリックすると該当するリンク先記述のリソースに誘導されるという点においても共通している。
【0017】
===この発明に係るビジネスモデル===
上記のようなアプリ提供事業者に対してASPは、「貴社アプリが利用者に提示するコンテンツにアフィリエイト広告用の面倒な事前設定をしなくても、コンテンツ中に意図せずに含まれていた広告主ビジネスに関連したリンク要素を利用者がクリックして広告主リソースに誘導され、その後に広告成果行動が認められると広告主から広告料が支払われる仕組みのアフィリエイトサービス」を説明し、参加を希望するアプリ提供事業者を広告媒体主として登録し、そのアプリを広告媒体主アプリとして登録する。
【0018】
またASPは広告主に対し、「インターネット上に溢れている膨大なウエブコンテンツに貴社商品情報にリンクする要素が数多く含まれています。貴社の商品広告を広告媒体に付加するのではなく、広告媒体アプリにより利用者に提示されるコンテンツのリンクを辿って利用者が貴社商品情報に触れ、その後に広告成果行動が認められると広告媒体主に広告料を支払うという仕組みのアフィリエイトサービス」を説明し、参加を希望する広告主を登録し、サービス対象となる広告媒体主を選択してもらうとともに、サービス対象となるリンク先記述(貴社商品情報を掲示している広告主リソースに対応する)を特定してもらい、これらの情報を登録する。
【0019】
===この発明の基本となる特定事項===
以上詳しく説明した背景と観点において創作されたこの発明の核心とするところは、つぎの事項(1)〜(8)により特定される方法であると捉えることができる。
(1)アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)が運用するASPシステムと、利用者に提供された広告媒体主に係るアプリ(広告媒体アプリ)が稼働する利用者端末とによって実施されるコンピューティングの方法であること
(2)ASPシステムは、広告媒体アプリ識別子に対応付けした媒体別の広告情報リストを記憶しており、当該広告情報リストは広告識別子と広告主リソース照合記述の対応付け情報を含んだリストであること
(3)利用者端末において広告媒体アプリは、広告媒体主に係る情報提供サーバーと通信し、文書や画像中の種々の視覚要素に種々のリンク先記述が紐付けされた種々のリンク要素が含まれたコンテンツを取得して利用者に提示すること
(4)広告媒体アプリのASP連携モジュールは、利用者端末とASPシステムとを適時に通信させ、当該広告媒体アプリの識別子(a)に対応付けされた広告情報リスト(b)をASPシステムから取得して記憶すること
(5)広告媒体アプリのASP連携モジュールは、利用者端末において提示したコンテンツ中のリンク要素が利用者により指定された場合、当該リンク要素に該当するリンク先記述(c)を取得して誘導前処理を行うこと
(6)誘導前処理においては、取得したリンク先記述(c)が記憶した広告情報リスト(b)中の広告主リソース照合記述のいずれかと所定関係にあるか否かを調べ、リンク先記述(c)が広告識別子(d)に対応付けされた広告主リソース照合記述と所定関係にあると判断した場合、広告媒体アプリ識別子(a)とリンク先記述(c)と広告識別子(d)に基づいてASP連携誘導処理を行うこと
(7)ASP連携誘導処理においては、利用者端末とASPシステムとを通信させ、識別子(a)の広告媒体アプリ上のコンテンツで広告識別子(d)に係るリンク要素が指定されたことを知らせるクリック通知をASPシステムに送信するとともに、利用者端末をリンク先記述(c)に該当する広告主リソースに誘導すること
(8)ASPシステムは、利用者端末から受信したクリック通知に対応したクリック記録を保存しておき、後にネットワークを介して受信する成果報告電文と保存されたクリック記録とに基づいて広告成果を判定すること
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】利用者端末において広告媒体アプリにより表示されるコンテンツの例
図2】広告情報リストの例
【発明を実施する態様】
【0021】
===コンテンツとリンク要素とリンク先記述の例===
実施例として説明する広告媒体アプリは、たとえばニュースアプリやキュレーションアプリの類のアプリであり、App StoreやGoogle Playなどを通じて利用者に当該広告媒体アプリ(文脈により本アプリとも記す)を配布する事業者(広告媒体主)が本アプリ向けの情報提供サーバー(文脈により広告媒体主サーバーあるいは本サーバーとも記す)をインターネット上で運用している。もちろん、この広告媒体主はASPに登録されているとともに、広告媒体主が利用者に提供する広告媒体アプリも登録されている。
【0022】
利用者は自分のスマートフォンやタブレット端末などの情報端末に広告媒体アプリをインストールしておき、随時に本アプリを起動して、広告媒体主サーバーと本アプリとを通じて提供されるクラウドサービスを利用することができる。そのサービスの典型的な1つが、あるコンセプトに従って広告媒体主が選択・編集・制作したコンテンツを本サーバーから本アプリによって取得し、利用者端末の画面で当該コンテンツを見ることである。そうしたコンテンツの具体例を図1に示している。
【0023】
利用者端末における広告媒体アプリにより表示されるコンテンツは、文書や画像中の種々の視覚要素に種々のリンク先記述が紐付けされた種々のリンク要素が含まれたコンテンツである。図1に示したコンテンツ例は、大阪城の話題に関する文書記事である。この記事においては、「大阪城天守閣」「大阪城模型」「大阪城周辺のホテル」「難波宮跡公園」「大阪博物館」「豊國神社」という6個所の文字列にリンクが貼られており、そのリンク先記述の例を図1の下方に添付している。
【0024】
(1)リンク要素「大阪城天守閣」に紐付けられたリンク先記述は大阪城の公式ウエブサイトのURLである。
(2)リンク要素「大阪城模型」に紐付けられたリンク先記述は、あるショッピングサイトXXX(ウエブサイト)における大阪城模型の商品を掲示しているウエブページのURLである。
(3)リンク要素「大阪城周辺のホテル」に紐付けられたリンク先記述は、ホテルYYYの事業者が一般利用者向けに配布しているホテル予約アプリで大阪城周辺のホテル情報を提示するためのURLスキームである。
(4)リンク要素「難波宮跡公園」に紐付けされたリンク先記述は該当の公式ウエブサイトのURLである。
(5)リンク要素「大阪博物館」に紐付けされたリンク先記述は該当の公式ウエブサイトのURLである。
(6)リンク要素「豊國神社」に紐付けされたリンク先記述は該当の公式ウエブサイトのURLである。
【0025】
これから具体的に詳しく説明する広告主要件を検証する仕組みにより、図1のコンテンツ具体例における(2)のリンク先記述は本アプリと本サーバーに係る広告媒体主とASPにより関係付けされた広告主リソース(ショッピングサイトXXXの広告主ウエブページ)を示すものであることが判明する。同様に、(3)のリンク先記述は本アプリと本サーバーに係る広告媒体主とASPにより関係付けされた広告主リソース(ホテルYYYの広告主アプリ)を示すものであることが判明する。その他の(1)(4)(5)(6)のリンク先記述はこの発明に係るアフィリエイトサービスとは無関係のリンク先であることが判明する。
【0026】
===ASPシステムにおける広告媒体別の広告情報リスト===
この発明に係るASPシステムは、この発明に係る新規なアフィリエイトサービスに関連して、広告媒体アプリ識別子に対応付けした広告媒体別の広告情報リストを作成して保存している。ASPは、複数の広告媒体主および複数の広告主との契約に基づいて、たとえば、ある広告媒体アプリPについては、広告主Qと広告主Rと広告主Sが広告主として登録され、広告主Qの広告情報qと、広告主Rの広告情報rと、広告主Sの広告情報sとが当該アプリPの広告媒体アプリ識別子に対応付けされて集約されている。それが媒体別の広告情報リストである。
【0027】
===広告媒体アプリに組み込まれたASP連携モジュール===
背景技術で説明した既存のアフィリエイトサービスと同様に、広告媒体アプリにはASPからソフトウエア開発キットSDKとして提供されたASP連携モジュールがあらかじめ組み込まれている。ただし、この発明に係るASP連携モジュールの機能は既存アフィリエイトサービスのものとは明確に相違しており、以下のように動作する。
【0028】
利用者端末にインストールされた広告媒体アプリが起動されると、ASP連携モジュールは、利用者端末とASPシステムとを適時に通信させ、当該広告媒体アプリに対応付けされた広告情報リストをASPシステムから取得して記憶する。なお、広告情報リストの取得処理は、広告媒体アプリが起動されるごとに実施してもよいし、適宜時間が経過している場合に実施してもよいし、ASPシステムから広告情報リストが更新されている旨が知らされた場合に実施してもよい。要するに、ASPシステムが保有する最新の広告情報リストを利用者端末(ASP連携モジュール)が取得できるようにすることが望まれる。
【0029】
===利用者端末に記憶された広告情報リストの具体例===
図2に示すのは、広告媒体アプリ識別子が2107535である広告媒体アプリがインストールされた利用者端末においてASPシステムから取得して記憶している広告情報リストの具体例である。識別子2107535の広告媒体アプリに対しては、「XXXショッピング」「YYYホテル」「ZZZブック」「AAA自動車」の4社が広告主として登録されていることが図2に示されている。また図2の例においては、広告主である4社がそれぞれ広告主リソースとして広告主ウエブページと広告主アプリの両方を登録している。
【0030】
図2に例示した広告情報リストにおける1行目の「XXXショッピング」について広告情報を詳しく見ると、つぎの4項目の情報が対応付けされていることが分かる。
《広告識別子》882172681
《リソースタイプ》ウエブページ
《広告主リソース照合記述》https://www.XXXshopping.co.jp
《ASP連携誘導記述》
https://cks.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=2107535&pid=882172681
【0031】
図2に例示した広告情報リストにおける4行目の「YYYホテル」の広告情報について詳しく見ると、つぎの4項目の情報が対応付けされていることが分かる。
《広告識別子》871630512
《リソースタイプ》アプリ
《広告主リソース照合記述》YYYhotel://
《ASP連携誘導記述》
http://urls.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=2107535&pid=871630512
【0032】
===リンク要素がクリックされると(誘導前処理)===
広告媒体アプリが稼働している利用者端末おいて図1に例示した文書を見ている利用者が6個のリンク要素のいずれかを指定する入力操作(便宜的にクリックとする)を行った場合、広告媒体アプリのASP連携モジュールは、クリックされたリンク要素のリンク先記述を取得し、当該リンク先記述を図2に例示した広告情報に照らして、リンク先が登録された広告主の広告主リソースであるのか否かをまず判断する。つまり、クリックされたリンク先記述が設定された広告主要件に適合するか否かを検証する。
【0033】
===広告主要件の検証の仕方===
広告主要件の検証は、クリックされたリンク先記述中に、図2に例示した8個の広告主リソース照合記述のいずれかと一致する文字列を含んでいるか否かを調べることにより行う。クリックされたリンク先記述中に図2に示す8個の広告主リソース照合記述のいずれとも一致する文字列が含まれていない場合、当該リンク先記述は広告主リソースとは無関係であると判断し、当該リンク先記述に従って利用者端末をリンク先に誘導する。そのようにASP連携モジュールがプログラム記述されている。
【0034】
図1に示したコンテンツ例において、利用者が6個のリンク要素のうちの本発明のアフィリエイトサービスとは無関係のリンク要素(1)(4)(5)(6)のいずれかをクリックした場合、前述した誘導前処理において広告主要件は不適合と判断され、利用者端末はクリックしたリンク要素に対応するウエブサイトに誘導される。
【0035】
===広告主要件に適合すると(ASP連携誘導処理)===
誘導前処理において、クリックされたリンク先記述(ア)が図2の例示した8個の広告主リソース照合記述中の1つの記述(イ)と一致する文字列を含んでいた場合、そのリンク先記述(ア)は広告主リソース照合記述(イ)との関係において広告主要件に適合すると判断される。
【0036】
この場合、図2の広告情報リストにおいて広告主リソース照合記述(イ)に対応付けされている広告識別子・リソースタイプ・ASP連携誘導記述に基づいてASP連携誘導処理を実行し、利用者端末からASPシステムにクリック通知を送信するとともに、利用者端末をリンク先記述(ア)に該当する広告主リソースに誘導する。そのようにASP連携モジュールがプログラム記述されている。
【0037】
ASP連携誘導処理において、利用者端末を誘導すべき広告主リソースを示すリンク先記述(ア)が広告主ウエブページのURLである場合、ASP連携モジュールは、利用者端末をASPシステムにリダイレクトしてクリック通知をした後に利用者端末を当該URLの広告主ウエブページにリダイレクトする。そのようにASP連携モジュールがプログラム記述されている。
【0038】
またASP連携誘導処理において、利用者端末を誘導すべき広告主リソースを示すリンク先記述(ア)が広告主アプリのURLスキームである場合、ASP連携モジュールは、利用者端末において当該URLスキームの広告主アプリを起動するとともにASPシステムにクリック通知を送信する。そのようにASP連携モジュールがプログラム記述されている。
【0039】
===「大阪城模型」がクリックされた場合===
図1のコンテンツ例において「大阪城模型」がクリックされると、このリンク要素のリンク先記述はhttps://www.XXXshopping.co.jp/?itemid=22345xxxであり、図2の広告情報リスト中の広告主リソース照合記述https://www.XXXshopping.co.jpと一致する文字列を含んでいるので、広告識別子882172681のレコードとの関係において広告主要件に適合すると判断される。
【0040】
この場合、図2の広告情報リスト中から広告識別子882172681に対応付けされたASP連携誘導記述https://cks.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=2107535&pid=882172681を抽出するとともに、この記述に、リンク先記述https://www.XXXshopping.co.jp/?itemid=22345xxxの変換記述(URLエンコード)を続けた下記URLを作成してインターネットに送出する。
https://cks.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=2107535&pid=8821726XX&vc#url=https%3a%2f%2fwww%2eXXXshopping%2eco%2ejp%2f%3fitemid%3d22345xxx
【0041】
===この後は既存技術と同じでよい===
この後のプロセスは周知慣用のアフィリエイトサービスの既存技術とまったく同じでよい。つまり、上記URLのリクエストをASPシステムがまず受信し、利用者端末において広告媒体アプリ識別子2107535の広告媒体アプリによって表示したコンテンツ中の広告識別子882172681に該当するリンク要素がクリックされたという事象をASPシステムが認知し、これに基づいて生成したユニークなトラッキングキーを含むクリック記録を作成して保存するとともに、このトラッキングキーを利用者端末に送信する。
【0042】
トラッキングキーを受信した利用者端末(ASP連携モジュール)は、「大阪城模型」のリンク先記述https://www.XXXshopping.co.jp/?itemid=22345xxxの広告主ウエブページにリダイレクトされる。周知のとおり、トラッキングキーを利用者端末から広告主ウエブサイトに伝えるトラッキング方式1と伝えないトラッキング方式2がある。
【0043】
こうして利用者は広告主ウエブサイトに誘導されて広告主の商品情報に接することとなり、たとえば当該サイトで閲覧者が商品購入の行為をすると、広告主システム(前記の広告主ウエブサイトを含んでいる)は広告成果ありと判定して、トラッキングキーを含む成果報告電文を生成してASPシステムに直接に送信するか(トラッキング方式1)、あるいは、利用者端末に送信する取引完了ページに埋め込んだタグにより利用者端末経由で成果報告電文をASPシステムに送達させる(トラッキング方式2)。
【0044】
ASPシステムは、広告主システムから直接または利用者端末経由でトラッキングキーを含む成果報告電文を受信した場合、保存してあるクリック記録中からトラッキングキーが一致するクリック記録を抽出し、そのクリック記録により特定されるアフリエイターに対して該当の広告主から成果報酬を支払うための処理を実行する。
【0045】
よく知られているように、上述したアフィリエイト広告モデルにおいては、さまざまな事業を営む商人が広告主となっており、広告主サイトで物品を通信販売する商人だけでなく、広告主サイトで保険商品を販売したり旅行の予約を受け付けるなどのサービス商品を取り扱う商人も広告主として活動している。そして、広告主が広告成果があったと判定するアルゴリズムも広告主商人の業態によっていろいろである。トラッキング方式および成果判定方式については、当業者に周知のいくつかのアルゴリズムが従来から実施されており、また下記の参考文献にも開示されている。
【0046】
《参考文献1》特許第3863365号公報 ネットワーク広告配信管理システム及びネットワーク広告配信管理システムの管理サイト装置
《参考文献2》特許第3961213号公報 ユーザのアクティビティをトラッキングする電子商取引システム
《参考文献3》特許第4165937号公報 コマーシャルトラッキングシステム及び方法
《参考文献4》特許第4647439号公報 電子商取引においてユーザのアクティビティをトラッキングする方法、トラッキングサーバーサイト
《参考文献5》特許第4960835号公報 アフィリエイト広告管理装置及びアフィリエイト広告管理方法
《参考文献6》特許第5210707号公報 携帯アフィリエイト・トラッキングシステム
《参考文献7》特許第5240903号公報 アフィリエイト広告監視システム及び方法
《参考文献8》特許第5355198号公報 実店舗アフィリエイトシステムのコンピューティングの方法
【0047】
===「大阪城周辺のホテル」がクリックされた場合===
図1のコンテンツ例において「大阪城周辺のホテル」がクリックされると、このリンク要素のリンク先記述はYYYhotel://area=osakajouであり、図2の広告情報リスト中の広告主リソース照合記述YYYhotel:// と一致する文字列を含んでいるので、広告識別子871630512のレコードとの関係において広告主要件に適合すると判断される。
【0048】
この場合、図2の広告情報リスト中から広告識別子871630512に対応付けされたASP連携誘導記述http://urls.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/referral?sid=2107535&pid=871630512を抽出してASPシステムのAPIに当該利用者端末の識別情報を加えてクリック通知として送信するとともに、リンク先記述YYYhotel://area=osakajouを利用者端末のOSにAPI通知をして該当するアプリ(広告主アプリ)を起動するように要求する。
【0049】
===この後は既存技術と同じでよい===
この後のプロセスは周知慣用のアフィリエイトサービスの既存技術とまったく同じでよい。つまり、利用者端末から上記クリック通知を受信したASPシステムは、利用者端末において広告媒体アプリ識別子871630512の広告媒体アプリによって表示したコンテンツ中の広告識別子882172682に該当するリンク要素がクリックされたという事象を認知し、受信した利用者端末識別情報を含むクリック記録を作成して保存する。
【0050】
利用者端末において広告主アプリが起動されると、大阪城周辺のホテルのページが表示される。この表示に従って利用者が宿泊予約を完了すると、広告主アプリからASPシステムに成果報告電文(広告主識別子、端末識別情報、取引情報を含む電文)が送達される。ASPシステムは、成果報告電文を受信した場合、保存してあるクリック記録中から端末識別情報が一致するとともに広告識別子により特定される広告主識別子が一致するクリック記録を抽出し、そのクリック記録により特定される広告媒体主に対して該当の広告主から成果報酬を支払うための処理を実行する。
【0051】
===その他の実施形態について===
個々の広告識別子に対応付けしてASP連携誘導記述をあらかじめ作成してテーブル化しておくのではなく、ASP連携誘導記述の作成規則をASP連携モジュールおよび広告情報リストにプログラム記述しておく実施形態でも同様な機能を実現することができる。また、広告主リソース照合記述から広告主リソースがウエブページなのかアプリなのかを区別できるので、実施例で示したようなリソースタイプの識別フラグを広告情報リストに含めなくてもよい。
図1
図2