特許第6941554号(P6941554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6941554シートパッド及びシートパッドの製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941554
(24)【登録日】2021年9月8日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】シートパッド及びシートパッドの製造方法。
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   A47C27/15 A
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-246123(P2017-246123)
(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公開番号】特開2019-111042(P2019-111042A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003425
【氏名又は名称】株式会社東洋クオリティワン
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】大年 洋
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓至
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−022982(JP,A)
【文献】 特開2015−047217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂から構成されるパッド本体と、そのパッド本体の表面に貼り付けられると共に前記パッド本体とは異なる機能性を有する貼付体と、を備えるシートパッドにおいて、
前記貼付体の貼付面には、前記貼付体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部が形成され、
前記パッド本体の表面には、そのパッド本体の厚み方向に延びる貫通孔として構成される第2位置決め部が形成され、
前記第2位置決め部が前記第1位置決め部と連通される位置に形成されることを特徴とするシートパッド。
【請求項2】
発泡樹脂から構成されるパッド本体と、そのパッド本体の表面に貼り付けられると共に前記パッド本体とは異なる機能性を有する貼付体と、を備えるシートパッドにおいて、
前記パッド本体の表面または前記貼付体の貼付面のいずれか一方には、前記パッド本体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部が形成され、いずれか他方には、前記第1位置決め部を嵌め込み可能な凸状の第2位置決め部が形成されることを特徴とするシートパッド。
【請求項3】
前記貼付体が1個貼り付けられる領域内において、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部がそれぞれ2以上形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートパッド。
【請求項4】
前記パッド本体に複数の前記貼付体が貼り付けられ、
一の前記貼付体が貼り付けられる領域内における前記第1位置決め部どうしの配置間隔と、他の前記貼付体が貼り付けられる領域内における前記第1位置決め部どうしの配置間隔とが異なる寸法に設定されることを特徴とする請求項3記載のシートパッド。
【請求項5】
前記パッド本体に複数の前記貼付体が貼り付けられ、
一の前記貼付体が貼り付けられる領域内における前記第1位置決め部と、他の前記貼付体が貼り付けられる領域内における前記第1位置決め部とは、前記貼付体の厚み方向と直交する平面での断面形状がそれぞれ異なる形状に形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシートパッド。
【請求項6】
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、前記貼付体が貼り付けられる領域において、前記パッド本体の外縁側の端部に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシートパッド。
【請求項7】
前記第2位置決め部は、湾曲面からなる前記パッド本体の表面に凸状に形成されると共に前記パッド本体の湾曲面の稜線方向に延設され、
前記第1位置決め部は、前記貼付体の貼付面に凹状に形成されることを特徴とする請求項2記載のシートパッド。
【請求項8】
パッド本体、及び、前記パッド本体とは異なる機能性を有する貼付体を準備する準備工程と、その準備工程により準備した前記パッド本体を固定台に固定する固定工程と、その固定工程により前記固定台に固定されたパッド本体の表面に前記貼付体を貼り付ける貼付工程と、を備えるシートパッドの製造方法において、
前記準備工程では、前記貼付体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部を前記貼付体の貼付面に形成し、前記パッド本体の表面における所定の貼り付け領域に前記貼付体を貼り付けた場合に、前記第1位置決め部に連通される位置に、前記パッド本体の厚み方向に延びる貫通孔として構成される第2位置決め部を前記パッド本体に形成し、
前記固定工程における前記固定台は、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部に嵌め込み可能な位置に形成されると共に前記パッド本体の固定状態において前記第2位置決め部から突出する寸法で前記パッド本体側に延びる突起を備え、
前記固定工程では、前記突起に前記第2位置決め部を嵌め込むことで前記固定台に前記パッド本体を固定し、
前記貼付工程では、前記第2位置決め部から突出する前記突起に前記第1位置決め部を嵌め込むことで前記パッド本体に前記貼付体を位置決めすることを特徴とするシートパッドの製造方法。
【請求項9】
前記準備工程では、1個の前記貼付体に前記第1位置決め部を2以上形成し、少なくとも前記2以上の第1位置決め部のそれぞれに対応する位置に前記第2位置決め部を形成し、
前記固定工程における前記固定台には、前記2以上の第1位置決め部のそれぞれに対応する位置に前記突起が形成されることを特徴とする請求項8記載のシートパッドの製造方法。
【請求項10】
前記準備工程では、一の前記貼付体の前記第1位置決め部どうしの配置間隔と、他の前記貼付体の前記第1位置決め部どうしの配置間隔とを異なる寸法に設定し、
前記固定工程における前記固定台には、一の前記貼付体の前記第1位置決め部と、他の前記貼付体の前記第1位置決め部とのそれぞれに対応する位置に前記突起が形成されることを特徴とする請求項9記載のシートパッドの製造方法。
【請求項11】
前記準備工程では、一の前記貼付体の前記第1位置決め部と、他の前記貼付体の前記第1位置決め部とを、前記貼付体の厚み方向と直交する平面での断面形状をそれぞれ異なる形状で形成し、
前記固定工程における前記固定台には、一の前記貼付体の前記第1位置決め部と、他の前記貼付体の前記第1位置決め部とのそれぞれに対応する形状の前記突起が形成されることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のシートパッドの製造方法。
【請求項12】
前記準備工程では、前記第1位置決め部および前記第2位置決め部を、前記貼付体が貼り付けられる領域において前記パッド本体の外縁側の端部に形成することを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載のシートパッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッド及びシートパッドの製造方法に関し、特に、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度を向上させることができるシートパッド及びシートパッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シートパッドのパッド本体に機能性を有する貼付体を貼り付ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、下型の凹嵌部に嵌め込まれた貼付体(スラブパッド)に接着剤を塗布し、パッド本体が固定された上型を圧締することで、パッド本体に貼付体を貼り付ける技術が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−020734号公報(例えば、段落0015,0016、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、上型に対するパッド本体の固定位置の公差、下型に対する貼付体の固定位置の公差、及び、上型と下型との間の圧締機構の公差のそれぞれの公差が積み重なることにより、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度が低下する恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度を向上させることができるシートパッド及びシートパッドの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のシートパッドは、発泡樹脂から構成されるパッド本体と、そのパッド本体の表面に貼り付けられると共に前記パッド本体とは異なる機能性を有する貼付体と、を備えるものであり、前記貼付体の貼付面には、前記貼付体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部が形成され、前記パッド本体の表面には、そのパッド本体の厚み方向に延びる貫通孔として構成される第2位置決め部が形成され、前記第2位置決め部が前記第1位置決め部と連通される位置に形成される。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のシートパッドによれば、貼付体の貼付面には、貼付体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部が形成され、パッド本体の表面には、そのパッド本体の厚み方向に延びる貫通孔として構成される第2位置決め部が形成され、第2位置決め部が第1位置決め部と連通される位置に形成される。よって、第1位置決め部および第2位置決め部に嵌め込み可能な突起を固定台(貼付体の貼り付け時にパッド本体を固定するもの)に設けることにより、その突起に第2位置決め部を嵌め込むことで固定台にパッド本体を固定できる。また、第2位置決め部から突出する突起に第1位置決め部を嵌め込むことでパッド本体に対する貼付体の位置決めを行うことができる。即ち、固定台の突起を基準にして、固定台に対するパッド本体の固定位置と、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置との双方の位置決めができるので、かかる固定位置や貼り付け位置の公差に起因する貼付体の位置ずれを低減できる。よって、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度を向上させることができるという効果がある。
【0008】
なお、「第1位置決め部および第2位置決め部に嵌め込み可能な突起」とは、「第1位置決め部および第2位置決め部に嵌め込み可能な位置に形成され、パッド本体の固定状態において第2位置決め部から突出する寸法でパッド本体側に延びる突起」である。
【0009】
請求項2記載のシートパッドによれば、パッド本体の表面または貼付体の貼付面のいずれか一方には、パッド本体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部が形成され、いずれか他方には、第1位置決め部を嵌め込み可能な凸状の第2位置決め部が形成されるので、第1位置決め部を第2位置決め部に嵌め込むことでパッド本体に対する貼付体の位置決めを行うことができる。即ち、第1位置決め部および第2位置決め部どうしの直接的な係合で貼付体の位置決めができるので、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度を向上させることができるという効果がある。
【0010】
また、第1位置決め部が第2位置決め部に嵌め込まれるので、パッド本体に対する貼付体の位置ずれを第1位置決め部および第2位置決め部の係合によって規制できる。これにより、シートパッドの使用時に貼付体に荷重が加わっても、パッド本体に対して貼付体が位置ずれすることを抑制できるという効果がある。
【0011】
また、第1位置決め部や第2位置決め部を互いに嵌め込まれる凹凸として構成することにより、第1位置決め部や第2位置決め部を貫通孔として構成する場合に比べ、パッド本体や貼付体の機能性を確保できるという効果がある。
【0012】
請求項1に従属する請求項3記載のシートパッドによれば、請求項1記載のシートパッドの奏する効果に加え、貼付体が1個貼り付けられる領域内において、第1位置決め部および前記第2位置決め部がそれぞれ2以上形成されるので、第1位置決め部(第2位置決め部)の数に対応する個数の突起を固定台に設け、その突起に第2位置決め部を嵌め込むことにより、固定台に対するパッド本体の回転を2以上の突起によって規制できる。また、第2位置決め部から突出する突起に第1位置決め部を嵌め込むことにより、パッド本体に対する貼付体の回転を2以上の突起によって規制できる。即ち、パッド本体への貼付体の貼り付け時に、固定台に対してパッド本体が回転することや、パッド本体に対して貼付体が回転することを抑制できるので、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度をより向上させることができるという効果がある。
【0013】
請求項2に従属する請求項3記載のシートパッドによれば、請求項2記載のシートパッドの奏する効果に加え、貼付体が1個貼り付けられる領域内において、第1位置決め部および第2位置決め部がそれぞれ2以上形成されるので、パッド本体に対する貼付体の回転を2以上の第1位置決め部および第2位置決め部によって規制できる。これにより、パッド本体への貼付体の貼り付け時にパッド本体に対して貼付体が回転することを抑制できるので、パッド本体に対する貼付体の貼り付け位置の精度をより向上させることができるという効果がある。また、第1位置決め部および第2位置決め部がそれぞれ2以上形成されることにより、シートパッドの使用時に貼付体に荷重が加わっても、パッド本体に対して貼付体が位置ずれすることをより効果的に抑制できるという効果がある。
【0014】
請求項4記載のシートパッドによれば、請求項3記載のシートパッドの奏する効果に加え、次の効果を奏する。パッド本体に複数の前記貼付体が貼り付けられ、一の貼付体が貼り付けられる領域内における第1位置決め部どうしの配置間隔と、他の貼付体が貼り付けられる領域内における第1位置決め部どうしの配置間隔とが異なる寸法に設定される。これにより、パッド本体における一の貼付体の貼り付け領域に他の貼付体を貼り付けようとしても、第2位置決め部から突出される突起に第1位置決め部を嵌め込むことや、第1位置決め部を第2位置決め部に係合させることが不能となる(他の貼付体の貼り付け領域に一の貼付体を貼り付けようとした場合も同様である)。よって、例えば、それぞれ形状(輪郭)や機能性が異なる複数の貼付体をパッド本体に貼り付ける場合に、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に貼付体が貼り付けられることを抑制できるという効果がある。
【0015】
請求項5記載のシートパッドによれば、請求項1から4のいずれかに記載のシートパッドの奏する効果に加え、次の効果を奏する。パッド本体に複数の前記貼付体が貼り付けられ、一の貼付体が貼り付けられる領域内における第1位置決め部と、他の貼付体が貼り付けられる領域内における第1位置決め部とは、貼付体の厚み方向と直交する平面での断面形状がそれぞれ異なる形状に形成される。これにより、パッド本体における一の貼付体の貼り付け領域に他の貼付体が貼り付けられることを抑制できる(他の貼付体の貼り付け領域に一の貼付体を貼り付けようとした場合も同様である)。よって、例えば、それぞれ形状(輪郭)や機能性が異なる複数の貼付体をパッド本体に貼り付ける場合に、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に貼付体が貼り付けられることを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項6記載のシートパッドによれば、請求項1から5のいずれかに記載のシートパッドの奏する効果に加え、第1位置決め部および第2位置決め部は、貼付体が貼り付けられる領域において、パッド本体の外縁側の端部に形成されるので、貫通孔や凹凸から構成される第1位置決め部や第2位置決め部を貼付体の貼り付け領域の外縁側に位置させることができる。これにより、シートパッド(貼付体の貼り付け領域)の中心側において、パッド本体や貼付体の機能性を確保できるという効果がある。
【0017】
請求項7記載のシートパッドによれば、請求項2記載のシートパッドの奏する効果に加え、次の効果を奏する。第2位置決め部は、湾曲面からなるパッド本体の表面に凸状に形成されると共にパッド本体の湾曲面の稜線方向に延設されるので、パッド本体の湾曲面の稜線方向に沿って第2位置決め部と第1位置決め部とが係合される。この場合、第1位置決め部は、貼付体の貼付面に凹状に形成されるので、第1位置決め部が形成される領域における貼付体の断面積が減少し、かかる領域付近で貼付体を湾曲させやすくすることができる。これにより、パッド本体の湾曲面に貼付体が貼り付けられる場合でも、パッド本体に貼付体を密着させて貼り付けることができるという効果がある。
【0018】
請求項8記載のシートパッドの製造方法によれば、準備工程では、貼付体の厚み方向に延びる貫通孔または凹状の第1位置決め部を貼付体の貼付面に形成し、パッド本体の表面における所定の貼り付け領域に貼付体を貼り付けた場合に、第1位置決め部に連通される位置に、パッド本体の厚み方向に延びる貫通孔として構成される第2位置決め部をパッド本体に形成する。固定工程における固定台には、第1位置決め部および第2位置決め部に嵌め込み可能な位置に形成されると共にパッド本体の固定状態において第2位置決め部から突出する寸法でパッド本体側に延びる突起を備える。固定工程では、突起に第2位置決め部を嵌め込むことで固定台にパッド本体を固定し、貼付工程では、第2位置決め部から突出する突起に第1位置決め部を嵌め込むことでパッド本体に貼付体を位置決めするので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0019】
請求項9記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項8記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、準備工程では、1個の貼付体に第1位置決め部を2以上形成し、少なくとも2以上の第1位置決め部のそれぞれに対応する位置に第2位置決め部を形成し、固定工程における固定台には、2以上の第1位置決め部のそれぞれに対応する位置に突起が形成されるので、請求項1に従属する請求項3と同様の効果を奏する。
【0020】
請求項10記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項9記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、準備工程では、一の貼付体の第1位置決め部どうしの配置間隔と、他の貼付体の第1位置決め部どうしの配置間隔とを異なる寸法に設定し、固定工程における固定台には、一の貼付体の第1位置決め部と、他の貼付体の第1位置決め部とのそれぞれに対応する位置に突起が形成されるので、一の貼付体の第1位置決め部に嵌め込まれる突起どうしの配置間隔と、他の貼付体の第1位置決め部に嵌め込まれる突起どうしの配置間隔とが異なる寸法となる。
【0021】
これにより、貼付工程において、一の貼付体および他の貼付体の双方をパッド本体に貼り付ける場合、パッド本体における一の貼付体の貼り付け領域に他の貼付体を貼り付けようとしても、第2位置決め部から突出される突起に第1位置決め部を嵌め込むことが不能となる(他の貼付体の貼り付け領域に一の貼付体を貼り付けようとした場合も同様である)。よって、パッド本体に複数の貼付体が貼り付けられる場合に、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に貼付体が貼り付けられることを抑制できるという効果がある。
【0022】
請求項11記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項8から10のいずれかに記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、次の効果を奏する。準備工程では、一の貼付体の第1位置決め部と、他の貼付体の第1位置決め部とを、貼付体の厚み方向と直交する平面での断面形状をそれぞれ異なる形状で形成し、固定工程における固定台には、一の貼付体の第1位置決め部と、他の貼付体の第1位置決め部とのそれぞれに対応する形状の突起が形成されるので、一の貼付体の第1位置決め部に嵌め込まれる突起と、他の貼付体の第1位置決め部に嵌め込まれる突起とがそれぞれ異なる形状となる。
【0023】
これにより、貼付工程において、一の貼付体および他の貼付体の双方をパッド本体に貼り付ける場合、パッド本体における一の貼付体の貼り付け領域に他の貼付体が貼り付けられることを抑制できる(パッド本体における他の貼付体の貼り付け領域に一の貼付体を貼り付けようとした場合も同様である)。よって、パッド本体に複数の貼付体が貼り付けられる場合に、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に貼付体が貼り付けられることを抑制できるという効果がある。
【0024】
請求項12記載のシートパッドの製造方法によれば、請求項8から11のいずれかに記載のシートパッドの製造方法の奏する効果に加え、準備工程では、第1位置決め部および第2位置決め部を、貼付体が貼り付けられる領域においてパッド本体の外縁側の端部に形成するので、請求項1に従属する請求項6と同様の効果を奏する。また、準備工程では、第1位置決め部および第2位置決め部を、貼付体が貼り付けられる領域においてパッド本体の外縁側の端部に形成するので、例えば、作業者が固定工程において固定台の突起にパッド本体の第2位置決め部を嵌め込む場合に、突起と第2位置決め部との位置関係を把握しやすくなる。これにより、固定台にパッド本体を容易に固定できるので、固定工程における作業性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態におけるシートパッドの上面図である。
図2】(a)は、図1のIIa−IIa線におけるシートパッドの断面図であり、(b)は、図1のIIb−IIb線におけるシートパッドの断面図である。
図3】固定台、パッド本体および貼付体の斜視図である。
図4】(a)は、固定台にパッド本体を固定した状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)の状態からパッド本体に貼付体を貼り付けた状態を示す斜視図である。
図5】第2実施形態におけるシートパッドの上面図である。
図6】固定台、パッド本体および貼付体の斜視図である。
図7】(a)は、第3実施形態におけるシートパッドの上面図であり、(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線におけるシートパッドの部分拡大断面図である。
図8】固定台、パッド本体および貼付体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態におけるシートパッド1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるシートパッド1の上面図である。図2(a)は、図1のIIa−IIa線におけるシートパッド1の断面図であり、図2(b)は、図1のIIb−IIb線におけるシートパッド1の断面図である。なお、図1及び図2の矢印U−D,L−R,F−Bは、シートパッドの上下方向(厚み方向)、幅方向(左右方向)、前後方向をそれぞれ示している。
【0027】
図1に示すように、シートパッド1は、着座者の尻下部に配置されるシートクッションの基材となるクッションパッドであり、ファブリックや合成皮革または皮革等の表皮(図示せず)が表面に装着される。
【0028】
シートパッド1は、その本体部分を構成するパッド本体2と、そのパッド本体2の表面に貼り付けられる複数(本実施形態では、3個)の貼付体3とを備える。パッド本体2は、軟質ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂により一体形成されるシート用基材であり、着座者の大腿部裏側を支持する前部サポート部20と、臀部を支持する後部サポート部21と、大腿部および臀部の側部を支持するサイドサポート部22とを備える。
【0029】
前部サポート部20と、後部サポート部21と、サイドサポート部22との境界には、表皮(図示せず)を引張固定するための溝部23,24(パッド本体2の表面に凹設される溝)が形成される。溝部23は、シートパッド1の前後方向(矢印F−B方向)に沿って延設されると共にシートパッド1の幅方向(矢印L−R方向)で所定間隔を隔てて一対が配設され、それら一対の溝部23どうしがシートパッド1の幅方向で溝部24によって接続される。
【0030】
一対の溝部23と溝部24とによって取り込まれる部位のうち、シートパッド1の前部に位置する部位が前部サポート部20、後部に位置する部位が後部サポート部21であり、一対の溝部23よりもシートパッド1の幅方向外側に位置する部位がサイドサポート部22である。
【0031】
前部サポート部20、後部サポート部21のそれぞれに貼付体3が貼り付けられる。即ち、前部サポート部20及び後部サポート部21の表面が貼付体3の貼り付け領域であり、かかる貼り付け領域は溝部23,24によって区画される。
【0032】
貼付体3は、軟質ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂を連続的に発泡成形したブロック状の成形体から切り出された直方体状(平板状)のスラブパッドであり、パッド本体2よりも軟質に形成される。なお、以下の説明において、貼付体3のうち、後部サポート部21に貼り付けられるものを第1貼付体30、前部サポート部20において幅方向一対に貼り付けられるものを第2貼付体31及び第3貼付体32、とそれぞれ定義して説明する。
【0033】
第1貼付体30は、その幅方向(矢印L−R方向)における寸法が第2貼付体31(第3貼付体32)よりも長く、且つ、前後方向(矢印F−B方向)における寸法が第2貼付体31(第3貼付体32)よりも短く形成される。即ち、シートパッド1の上面視において、第1貼付体30の輪郭は、第2貼付体31及び第3貼付体32とは異なる形状に形成される(第1〜3貼付体30〜32の厚み方向における寸法はそれぞれ同一である)。第1貼付体30は、その前後方向中央よりも後方側(矢印B側)に形成される貫通孔30aを備える。貫通孔30aは、第1貼付体30の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面矩形の貫通孔として構成される。
【0034】
第2貼付体31は、その幅方向および前後方向における寸法が第3貼付体32と同一であり、シートパッド1の上面視において、第2貼付体31及び第3貼付体32の輪郭が同一の形状に形成される。第2貼付体31及び第3貼付体32は、その幅方向中央よりもシートパッド1の幅方向中央側に偏心した位置に形成される貫通孔31a及び貫通孔32aを備える。貫通孔31a及び貫通孔32aは、第2貼付体31及び第3貼付体32の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面円形の貫通孔として構成され、貫通孔31a及び貫通孔32aの直径はそれぞれ同一の値に設定される。
【0035】
図2(a)に示すように、パッド本体2における貫通孔30aと対応する位置には、パッド本体2の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる貫通孔25aが形成される。貫通孔25aは、貫通孔30aと連通されると共に貫通孔30aと同一の断面積の断面矩形の貫通孔として構成される。
【0036】
この貫通孔25a及び貫通孔30aは、着座センサ(図示せず)の配線を通すための貫通孔として構成される。即ち、貫通孔25a及び貫通孔30aは、後述する固定台10の突起13(図3参照)を嵌め込む機能に加え、車両用シート(シートパッド1)に配設される他の構成部品を配設するための機能を兼用する。これにより、固定台10の突起13(図3参照)を嵌め込むための貫通孔を別途設ける構成に比べ、パッド本体2に形成される貫通孔の数を減らすことができるので、パッド本体2の機能性(例えば、クッション性)を確保できる。
【0037】
図2(b)に示すように、パッド本体2における貫通孔31a及び貫通孔32aのそれぞれに対応する位置には、パッド本体2の厚み方向に延びる貫通孔25b,25cが形成される。貫通孔25b,25cは、貫通孔31a,32aと連通されると共に貫通孔31a,32aと同一の直径の断面円形の貫通孔として構成される。
【0038】
貫通孔25b,25cは、パッド本体2における最も厚みの薄い部位に形成される。これにより、パッド本体2に貫通孔25b,25cを形成した場合でも、パッド本体2のクッション性が低下することを抑制できる。
【0039】
第2貼付体31の幅方向中央よりもシートパッド1の幅方向外側(矢印L側の端部)には、パッド本体2の表面から離間する方向に凹設される断面台形状の凹部31bが形成され、第3貼付体32の幅方向中央よりもシートパッド1の幅方向外側(矢印R側の端部)には、パッド本体2の表面から離間する方向に凹設される断面台形状の凹部32bが形成される。
【0040】
それら凹部31b及び凹部32bに対応する位置におけるパッド本体2(前部サポート部20)の表面には、凹部31b及び凹部32bに向けて断面台形状に突設される凸部26a,26bが形成される。
【0041】
凸部26a及び凹部31bの係合と、凸部26b及び凹部32bの係合とにより、パッド本体2に対する第2貼付体31及び第3貼付体32の幅方向における相対変位が規制される。これにより、シートパッド1の使用時(例えば、乗員の着座時)に第2貼付体31及び第3貼付体32に荷重が加わっても、パッド本体2に対して第2貼付体31及び第3貼付体32が幅方向に位置ずれすることを抑制できる。
【0042】
また、凸部26a,26bは、それぞれ第2貼付体31及び第3貼付体32の幅方向中央よりもシートパッド1の幅方向外側(第2貼付体31及び第3貼付体32の貼り付け領域における外縁側の端部)に形成されるので、凸部26a,26bを形成することによる着座感の悪化を抑制できる。
【0043】
ここで、パッド本体2に対する第2貼付体31及び第3貼付体32の幅方向での相対変位を規制するために、例えば、凸部26a,26bや凹部31b,32bを断面円形(例えば、円柱状や球状)の凹みや突起として形成する構成を採用することは可能である。しかしながら、かかる構成では、パッド本体2に対して第2貼付体31及び第3貼付体32が回転しようとする相対変位を規制することができない。
【0044】
これに対して、本実施形態では、凸部26a,26b及び凹部31b,32bは、シートパッド1の前後方向(矢印F−B方向)に延設されるので(図3参照)、凸部26a及び凹部31bの係合と、凸部26b及び凹部32bの係合とによって、パッド本体2に対する第2貼付体31及び第3貼付体32の回転を規制できる。
【0045】
また、凸部26a,26bは、それぞれ第2貼付体31及び第3貼付体32の貼り付け領域内において、シートパッド1の前後方向で所定間隔を隔てて一対が配設される。これにより、凸部26a,26bの分断部分においてパッド本体2(前部サポート部20)を変形させやすくすることができる。よって、凸部26a,26bがそれぞれ前後方向で連続して延設される場合に比べ、パッド本体2(前部サポート部20)のクッション性を確保できる。
【0046】
次いで、図3及び図4を参照して、シートパッド1の製造方法について説明する。図3は、固定台10、パッド本体2および貼付体3の斜視図である。図4(a)は、固定台10にパッド本体2を固定した状態を示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の状態からパッド本体2に貼付体3を貼り付けた状態を示す斜視図である。
【0047】
シートパッド1の製造においては、パッド本体2及び貼付体3を準備する準備工程と、その準備工程により準備したパッド本体2を固定台10に固定する固定工程と、その固定工程により固定台10に固定されたパッド本体2の表面に貼付体3を貼り付ける貼付工程とが順に行われる。
【0048】
図3に示すように、準備工程は、パッド本体2及び貼付体3を上述した構成でそれぞれ形成する工程である。パッド本体2や貼付体3(スラブパッド)の形成方法は、公知の方法が採用可能であるのでその説明は省略する。
【0049】
固定工程は、固定台10にパッド本体2を固定する工程である。固定台10は、パッド本体2の裏面に沿う形状に形成される固定面11と、その固定面11を取り囲むと共に上面視(矢印D方向視)略矩形状の枠部12と、固定面11から上方(矢印U方向)に延びる複数(本実施形態では、3個)の突起13,14,15と、を備える。
【0050】
本実施形態では、固定台10への固定状態において、パッド本体2の一部が枠部12からはみ出る寸法で固定面11(枠部12)が形成されるが(図4参照)、パッド本体2の全体が収まる寸法で固定面11(枠部12)を形成しても良い。
【0051】
突起13は、断面矩形に形成され、その断面形状が貫通孔25a及び貫通孔30aと略同一の形状に形成される(図3参照)。突起13は、固定台10へのパッド本体2の固定時に、貫通孔25a及び貫通孔30aに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0052】
突起14,15は、円柱状に形成され、その直径が貫通孔25b,25c及び貫通孔31a,32aと略同一の値に設定される。固定台10へのパッド本体2の固定時に、突起14は貫通孔25b及び貫通孔31aに嵌め込み可能な位置に形成され、突起15は貫通孔25c及び貫通孔32aに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0053】
図4に示すように、固定工程では、固定台10の突起13,14,15のそれぞれを、パッド本体2の貫通孔25a,25b,25cに嵌め込む。これにより、固定台10に対するパッド本体2の相対変位が突起13,14,15によって規制され、固定台10にパッド本体2が固定される。特に、本実施形態では、2以上の突起13,14,15がパッド本体2に嵌め込まれるので、固定台10に対してパッド本体2が回転することを規制できる。
【0054】
固定台10へのパッド本体2の固定状態において、突起13,14,15は、貫通孔25a,25b,25c(図3参照)から突出する寸法で形成され、貼付体3の貼り付け領域内においてパッド本体2の表面から突起13,14,15が突出される。
【0055】
貼付工程では、パッド本体2の表面または貼付体3の貼付面(若しくは、その両方)に接着剤を塗布し、パッド本体2の表面に貼付体3の貼付面を貼り付ける。この時、パッド本体2の表面から突起13,14,15が突出しているので(図4(a)参照)、かかる突起13,14,15に貫通孔30a,31a,32aを嵌め込むことにより、パッド本体2に対する貼付体3の位置決めを行うことができる。
【0056】
即ち、突起13,14,15を基準にして、固定台10に対するパッド本体2の固定位置と、パッド本体2に対する貼付体3の貼り付け位置との双方の位置決めができるので、かかる固定位置や貼り付け位置の公差に起因する貼付体3の位置ずれを低減できる。よって、パッド本体2に対する貼付体3の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0057】
この場合、第1貼付体30が嵌め込まれる突起13と、第2貼付体31及び第3貼付体32が嵌め込まれる突起14,15とが異なる断面形状で形成されているので、第1貼付体30を第2貼付体31及び第3貼付体32の貼り付け領域に貼り付けることを抑制できる。
【0058】
即ち、突起13よりも突起14,15の断面積が小さく設定されているので、第1貼付体30の貫通孔30aに突起14,15を挿通させることは可能である。しかし、作業者が第1貼付体30の貫通孔30aに突起14,15を挿通させようとしても、突起14,15が貫通孔30aと異なる形状であることを認識させることにより、第2貼付体31や第3貼付体32の貼り付け領域に誤って第1貼付体30が貼り付けられることを抑制できる。
【0059】
一方、突起13よりも突起14,15の断面積が小さく設定されているので、第2貼付体31や第3貼付体32の貫通孔31a,32aに突起13を嵌め込むことは不能となる。よって、第1貼付体30の貼り付け領域に誤って第2貼付体31や第3貼付体32を貼り付けることを確実に抑制できる。
【0060】
また、貫通孔30aは、第1貼付体30の幅方向中央から偏心した位置であって、第1貼付体30の前後方向中央から偏心した位置に形成される。これにより、第1貼付体30の貼付面(矢印D側の下面)とは反対側の面(矢印U側の上面)をパッド本体2に向けた状態で貫通孔30aを突起13に嵌め込もうとすると、後部サポート部21(貼り付け領域内)から第1貼付体30がはみ出るように構成される。
【0061】
また、貫通孔31a(貫通孔32a)も同様に、第2貼付体31(第3貼付体32)の幅方向中央から偏心した位置であって、第2貼付体31(第3貼付体32)の前後方向中央から偏心した位置に形成される。これにより、第2貼付体31(第3貼付体32)の貼付面(矢印D側の下面)とは反対側の面(矢印U側の上面)をパッド本体2に向けた状態で貫通孔31a(貫通孔32a)を突起14(突起15)に嵌め込もうとすると、前部サポート部20(貼り付け領域内)から第2貼付体31(第3貼付体32)がはみ出るか、若しくは突起14(突起15)に干渉するように構成される。
【0062】
これにより、作業者が第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32の表裏を反対にした状態でパッド本体2に貼り付けようとした場合に、所望の貼り付け領域からはみ出ていることを作業者に認識させることができる。よって、第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32の所望の貼付面とは異なる面がパッド本体2に貼り付けられることを抑制できる。
【0063】
また、突起13は、その断面形状が矩形に形成されるので、パッド本体2に対する第1貼付体30の回転を1個の突起13によって規制することができる。よって、第1貼付体30の貼り付け領域に複数の貫通孔を形成する必要がない。これにより、固定台10へのパッド本体2の固定時や、パッド本体2への第1貼付体30の位置決め時に、1個の突起13に貫通孔25aや貫通孔30aを嵌め込むだけで良いので、固定工程や貼付工程での作業性を向上させることができる。
【0064】
この場合、例えば、第2貼付体31の貫通孔31aや第3貼付体32の貫通孔32aと、突起14,15とをそれぞれ断面矩形に形成すれば、1個の突起14,15によって第2貼付体31や第3貼付体32の回転を規制できる。しかしながら、第2貼付体31や第3貼付体32の回転を1個の突起14,15で確実に規制するには、突起14の断面積を比較的大きく形成しなければならない。
【0065】
この一方で、突起14,15に加えて新たな突起を第2貼付体31や第3貼付体32に嵌め込み、第2貼付体31や第3貼付体32の回転を2以上の突起で規制する構成であれば、第2貼付体31及び第3貼付体32の回転をより確実に規制することができる。しかしながら、かかる構成では、貫通孔25b,25c(図3参照)に加えて新たな貫通孔をパッド本体2に形成する必要があり、パッド本体2の着座感が悪化する恐れがある。
【0066】
これに対して、本実施形態では、第2貼付体31及び第3貼付体32には凹部31b,32bが形成され、それら凹部31b,32bに凸部26a,26bが係合される。これにより、突起14,15及び貫通孔31a,32aの係合と、凸部26a,26b及び凹部31b,32bの係合との2箇所の係合によって第2貼付体31及び第3貼付体32の回転を規制できる。よって、貫通孔25b,25cに加えて新たな貫通孔をパッド本体2に形成することを不要にできるので、パッド本体2の着座感が悪化することを抑制しつつ、第2貼付体31及び第3貼付体32の回転を規制できる。
【0067】
この場合、凸部26a,26b及び凹部31b,32bは、パッド本体2(第2貼付体31及び第3貼付体32)の前後方向に延設されるので、突起14,15及び貫通孔31a,32aの係合を省略しても、凸部26a,26b及び凹部31b,32bの係合のみによって第2貼付体31及び第3貼付体32の回転を規制することは可能である。しかしながら、凸部26a,26b及び凹部31b,32bの係合状態(相対位置)は、第2貼付体31及び第3貼付体32を貼り付ける際に視認することが困難となるため、突起14,15及び貫通孔31a,32aの係合を省略する構成の場合、凸部26a,26bに対する凹部31b,32bの係合位置がずれやすくなる。
【0068】
これに対して、本実施形態では、突起14,15に貫通孔31a,32aを嵌め込みつつ第2貼付体31及び第3貼付体32の外縁を溝部23,24に沿わせて貼り付けることにより、第2貼付体31及び第3貼付体32が所望の貼り付け位置に位置決めされるので、凸部26a,26bに対する凹部31b,32bの係合位置の精度を向上させることができる。即ち、突起14,15及び貫通孔31a,32aの係合と、凸部26a,26b及び凹部31b,32bの係合と組み合わせることにより、パッド本体2に形成する貫通孔の数を極力減らしつつ、パッド本体2に対する第2貼付体31及び第3貼付体32の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0069】
また、第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32をパッド本体2に貼り付けた状態では、貫通孔30a,31a,32aから突出するように突起13,14,15の寸法が設定される。これにより、突起13,14,15が貫通孔30a,31a,32aに確実に挿入されているか否か(第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32が所望の貼り付け位置に位置決めされているか否か)を容易に判断することができる。
【0070】
本実施形態では、パッド本体2に第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32を貼り付けた後の圧着は、手作業で行われる。この場合、突起13が第1貼付体30の後端側に嵌め込まれ、突起14,15が第2貼付体31及び第3貼付体32の幅方向中央側の端部に嵌め込まれる(即ち、突起13,14,15が第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32の中心から偏心した外縁側に嵌め込まれる)ので、第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32の圧着の作業時に突起13,14,15が作業者に干渉することを抑制できる。これにより、第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32の中心を押さえつけて圧着できるので、パッド本体2に第1貼付体30、第2貼付体31及び第3貼付体32を密着させやすくすることができる。
【0071】
次いで、図5及び図6を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、第2貼付体31及び第3貼付体32にそれぞれ1個の突起14,15が嵌め込まれる場合を説明したが、第2実施形態では、第2貼付体231及び第3貼付体232にそれぞれ2個の突起14,216及び突起15,217が嵌め込まれる場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】
図5は、第2実施形態におけるシートパッド201の上面図である。図6は、固定台210、パッド本体202および貼付体203の斜視図である。
【0073】
図5に示すように、シートパッド201は、その本体部分を構成するパッド本体202と、そのパッド本体202の表面に貼り付けられる複数(本実施形態では、3個)の貼付体203とを備える。
【0074】
第1貼付体230は、その前後方向中央よりも後方側(矢印B側)に形成される貫通孔230aを備える。貫通孔230aは、第1貼付体230の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面楕円形の貫通孔として構成される。
【0075】
第2貼付体231は、その幅方向中央よりもシートパッド201の幅方向外側(矢印L側の端部)に形成される貫通孔231cを備える。貫通孔231cは、第2貼付体231の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面円形の貫通孔として構成され、貫通孔231cの直径は貫通孔31aの直径と同一の値に設定される。
【0076】
第3貼付体232は、その幅方向中央に形成される貫通孔232cを備える。貫通孔232cは、第3貼付体232の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面円形の貫通孔として構成され、貫通孔232cの直径は貫通孔32aの直径と同一の値に設定される。
【0077】
図6に示すように、パッド本体202における貫通孔230aと対応する位置には、パッド本体202の厚み方向に延びる貫通孔225aが形成される。貫通孔225aは、貫通孔230aと連通されると共に貫通孔230aと同一の断面積の断面楕円形の貫通孔として構成される。
【0078】
パッド本体202における貫通孔231c及び貫通孔232cのそれぞれに対応する位置には、パッド本体202の厚み方向に延びる貫通孔225d,225eが形成される。貫通孔225d,225eは、貫通孔231c,232cと連通されると共に貫通孔231c,232cと同一の直径の断面円形の貫通孔として構成される。
【0079】
次いで、シートパッド201の製造方法について説明する。シートパッド201の製造においては、パッド本体202及び貼付体203を準備する準備工程と、その準備工程により準備したパッド本体202を固定台210に固定する固定工程と、その固定工程により固定台210に固定されたパッド本体202の表面に貼付体203を貼り付ける貼付工程とが順に行われる。準備工程は、パッド本体202及び貼付体203を上述した構成でそれぞれ形成する工程である。
【0080】
固定工程は、固定台210にパッド本体202を固定する工程である。固定台210は、固定面11から上方に延びる突起213,216,217を備える。突起213は、断面楕円形に形成され、その断面形状が貫通孔225a及び貫通孔230aと略同一の形状に形成される。また、突起213は、固定台210へのパッド本体202の固定時に、貫通孔225a及び貫通孔230aに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0081】
突起216,217は、円柱状に形成され、その直径が貫通孔225d,225e及び貫通孔231c,232cと略同一の値に設定される。また、固定台210へのパッド本体202の固定時において、突起216は貫通孔225d及び231cに嵌め込み可能な位置に形成され、突起217は貫通孔225e及び232cに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0082】
固定工程では、固定台210の突起213,14,15,216,217のそれぞれに、パッド本体202の貫通孔225a,25b,25c,225d,225eを嵌め込む。これにより、固定台210に対するパッド本体202の相対変位が突起213,14,15,216,217によって規制され、固定台210にパッド本体202が固定される。突起213,216,217は、固定台210へのパッド本体202の固定状態において、貫通孔225a,225d,225eから突出する寸法で形成される。
【0083】
貼付工程では、パッド本体202の表面または貼付体203の貼付面(若しくは、その両方)に接着剤を塗布し、パッド本体202の表面に貼付体203の貼付面を貼り付ける。この時、貫通孔225a,25b,25c,225d,225eから突起213,14,15,216,217が突出しているので、かかる突起213,14,15,216,217に貫通孔230a,31a,231c,32a,232cを嵌め込むことにより、パッド本体202に対する貼付体203の位置決めを行うことができる。これにより、第1実施形態と同様、パッド本体202に対する貼付体3の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0084】
この場合、突起213が断面楕円形に形成されるので、パッド本体202に対する第1貼付体230の回転を1個の突起213によって規制することができる。
【0085】
また、第2貼付体231(第3貼付体232)には2個の突起14,216(突起15,217)が嵌め込まれるので、パッド本体202に対する第2貼付体231(第3貼付体232)の回転を2個の突起14,216(突起15,217)によって規制できる。よって、パッド本体202に第2貼付体231(第3貼付体232)が回転することを抑制できるので、パッド本体202に対する第2貼付体231(第3貼付体232)の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0086】
また、第2貼付体231に嵌め込まれる突起14及び突起216どうしの配置間隔と、第3貼付体232に嵌め込まれる突起15及び突起217どうしの配置間隔とが異なるので、第3貼付体232の貼り付け領域に第2貼付体231を貼り付けようとしても、突起15及び突起217に第2貼付体231を嵌め込むことが不能となる(第2貼付体231の貼り付け領域に第3貼付体232を貼り付けようとした場合も同様である)。よって、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に第2貼付体231や第3貼付体232が貼り付けられることを抑制できる。
【0087】
ここで、例えば、第2貼付体231に嵌め込まれる突起と、第3貼付体232に嵌め込まれる突起との直径(断面積)を異なる値に設定する構成でも、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に第2貼付体231や第3貼付体232が貼り付けられることを抑制できる。しかしながら、かかる構成では、第2貼付体231又は第3貼付体232に嵌め込まれる突起のいずれか一方の直径(断面積)が大きくなるので、かかる突起を嵌め込むための貫通孔の直径(断面積)も大きくする必要がある。よって、パッド本体202や第2貼付体231又は第3貼付体232の機能性が低下する。
【0088】
これに対して、本実施形態では、突起14及び突起216どうしの配置間隔と、突起15及び突起217どうしの配置間隔とが異なるので、突起14,15,216,217の直径が同一であっても、所望の貼り付け領域とは異なる貼り付け領域に第2貼付体231や第3貼付体232が貼り付けられることを抑制できる。これにより、突起14,15,216,217の全てを同一の直径のもの(極力小径のもの)から構成できるので、パッド本体202や第2貼付体231又は第3貼付体232の機能性を確保できる。
【0089】
次いで、図7及び図8を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、凸部26a,26b及び凹部31b,32bがパッド本体2の前後方向に延設される場合を説明したが、第3実施形態では、凸部326a,326b及び凹部331b,332bがパッド本体2の幅方向に延設される場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0090】
図7(a)は、第3実施形態におけるシートパッド301の上面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線におけるシートパッド301の部分拡大断面図である。図8は、固定台310、パッド本体302および貼付体303の斜視図である。
【0091】
図7に示すように、シートパッド301は、その本体部分を構成するパッド本体302と、そのパッド本体302の表面に貼り付けられる複数(本実施形態では、3個)の貼付体303とを備える。
【0092】
第1貼付体330は、その対角方向の両端部に形成される一対の貫通孔330a,330bを備える。貫通孔330a,330bは、第1貼付体330の厚み方向(矢印U−D方向)に延びる断面円形の貫通孔として構成される。
【0093】
第2貼付体331は、その幅方向中央よりもシートパッド301の外側(矢印L側の端部)に形成される貫通孔331aを備える。貫通孔331aは、第2貼付体331の厚み方向に延びる断面円形の貫通孔として構成される。
【0094】
第3貼付体332は、その幅方向中央よりもシートパッド301の外側(矢印R側の端部)に形成される貫通孔332aを備える。貫通孔332aは、第3貼付体332の厚み方向に延びる断面円形の貫通孔として構成され、貫通孔332aの直径は貫通孔331aの直径よりも大きい値に設定される。
【0095】
図8に示すように、パッド本体302における貫通孔330a,330bと対応する位置には、パッド本体302の厚み方向に延びる貫通孔325a1,325a2が形成される。貫通孔325a1,325a2は、それぞれ貫通孔330a,330bと連通されると共に貫通孔330a,330bと同一の直径の断面円形の貫通孔として構成される。
【0096】
パッド本体302における貫通孔331a,332aのそれぞれに対応する位置には、パッド本体302の厚み方向に延びる貫通孔325b,325cが形成される。貫通孔325b,325cは、貫通孔331a,332aとそれぞれ連通されると共に貫通孔332aと同一(即ち、貫通孔331aよりも大きい)の直径の断面円形の貫通孔として構成される。
【0097】
第2貼付体331及び第3貼付体332の前後方向中央よりも前方側の端部(矢印F側の端部)には、パッド本体302の表面から離間する方向に断面台形状に凹設される凹部331b,332bが形成される。凹部331b,332bに対応する位置におけるパッド本体302(前部サポート部320)の表面には、凹部331b,332bに向けて断面台形状に突設される凸部326a,326bが形成される。
【0098】
前部サポート部320の前端側の表面は、上方に凸の湾曲面として構成され(図7(b)参照)、その湾曲面の稜線方向(矢印L−R方向)に沿って凸部326a,326b及び凹部331b,332bが延設される(凸部326b及び凹部332bについては、図8参照)。この場合、凹部331b,332bが第2貼付体331及び第3貼付体332に凹設されるので、凹部331b,332bが形成される領域における第2貼付体331及び第3貼付体332の断面積が減少する。
【0099】
よって、凹部331b,332bの形成領域付近で第2貼付体331及び第3貼付体332を湾曲させやすくすることができるので、パッド本体302(前部サポート部320)の湾曲面に第2貼付体331及び第3貼付体332が貼り付けられる場合でも、パッド本体302に第2貼付体331及び第3貼付体332を密着させて貼り付けることができる。
【0100】
次いで、シートパッド301の製造方法について説明する。シートパッド301の製造においては、パッド本体302及び貼付体303を準備する準備工程と、その準備工程により準備したパッド本体302を固定台310に固定する固定工程と、その固定工程により固定台310に固定されたパッド本体302の表面に貼付体303を貼り付ける貼付工程とが順に行われる。準備工程は、パッド本体302及び貼付体303を上述した構成でそれぞれ形成する工程である。
【0101】
固定工程は、固定台310にパッド本体302を固定する工程である。固定台310は、固定面11から上方に延びる突起313a,313b,314,315を備える。突起313a,313bは、円柱状に形成され、その直径が貫通孔325a1,325a2及び貫通孔330a,330bと同一の値に設定される。また、突起313a(突起313b)は、固定台310へのパッド本体302の固定時に、貫通孔325a1(貫通孔325a2)及び貫通孔330a(貫通孔330b)にそれぞれ嵌め込み可能な位置に形成される。
【0102】
突起314は、貫通孔325bに嵌め込まれる円柱状の大径部314aと、その大径部314aよりも小径の円柱状に形成されると共に貫通孔331aに嵌め込まれる小径部314bと、それら大径部314a及び小径部314bどうしを接続する円錐台形のテーパ部314cと、を備える。
【0103】
大径部314aは、貫通孔325bと略同一の直径に設定され、小径部314bは、貫通孔30aと略同一の直径に設定される。固定台310へのパッド本体302の固定時において、突起314は貫通孔325bに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0104】
突起315は、円柱状に形成され、その直径が貫通孔325c及び貫通孔332aと略同一の値に設定される。固定台310へのパッド本体302の固定時において、突起315は貫通孔325c及び貫通孔331aに嵌め込み可能な位置に形成される。
【0105】
固定工程では、固定台210の突起313a,313b,314,315のそれぞれに、パッド本体2の貫通孔325a1,325a2,325b,325cを嵌め込む。これにより、固定台310に対するパッド本体302の相対変位が突起313a,313b,314,315によって規制され、固定台310にパッド本体302が固定される。
【0106】
この場合、突起314は、その先端側に貫通孔325bの直径よりも小径の小径部314bと、その小径部314bの下端から下方に向けて徐々に拡径するテーパ部314cとを備えるので、貫通孔325bに小径部314bを容易に挿入できると共に、貫通孔325bの下端側の開口(図示せず)にテーパ部314cが摺動することで貫通孔325bへの大径部314aの挿入が案内される。これにより、貫通孔325bに大径部314aを容易に嵌め込むことができるので、固定台310にパッド本体302を固定する作業の作業性を向上させることができる。
【0107】
固定台310へのパッド本体302の固定状態においては、突起313a,313b,314,315は、貫通孔325a1,325a2,325b,325cから突出する寸法で形成される(突起314のテーパ部314cは、貫通孔325bの内部に位置しており、小径部314bのみが貫通孔325bから突出している)。
【0108】
貼付工程では、パッド本体302の表面または貼付体303の貼付面(若しくは、その両方)に接着剤を塗布し、パッド本体302の表面に貼付体303の貼付面を貼り付ける。この時、貫通孔325a1,325a2,325b,325cから突起313a,313b,314,315が突出しているので、かかる突起313a,313b,314,315に貫通孔330a,330b,331a,332aを嵌め込むことにより、パッド本体302に対する貼付体303の位置決めを行うことができる。これにより、第1実施形態と同様、パッド本体302に対する貼付体303の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0109】
この場合、突起313a,313bが第1貼付体330の対角方向両端部に嵌め込まれるので、突起313a及び突起313bどうしの配置間隔を最大限に確保できる。即ち、突起313a及び突起313bどうしの間隔を広げることにより、第1貼付体330の外縁側の部位の位置決めを精度良く行うことができるので、パッド本体302に対する第1貼付体330の貼り付け位置の精度を向上させることができる。
【0110】
また、第2貼付体331に嵌め込まれる突起314の小径部314bの直径と、第3貼付体332に嵌め込まれる突起315の直径とが異なる値に設定されるので、第2貼付体331及び第3貼付体332が所望の貼付領域とは異なる領域に貼り付けることを抑制できる。
【0111】
即ち、第2貼付体331の貫通孔331aよりも突起315の直径が大きいため、第2貼付体331を突起315に嵌め込むことが不能となる。一方、第3貼付体332の貫通孔332aよりも突起314の小径部314bの直径は小さいため、第3貼付体332の貫通孔332aに突起314の小径部314bを挿通させることは可能である。しかし、作業者に貫通孔332aと突起314の小径部314bとの直径が異なることを認識させることにより、第3貼付体332が第2貼付体331の貼り付け領域に誤って貼り付けられること抑制できる。
【0112】
また、突起313a,313b,314,315は、それぞれ第1貼付体330、第2貼付体331及び第3貼付体332の外縁側の端部に嵌め込まれるので、貫通孔330a,330b,331a,332aを、それぞれ第1貼付体330、第2貼付体331及び第3貼付体332の外縁側(シートパッド301の幅方向両端側もしくは前後方向両端側)の端部に設けることができる。更に、パッド本体302の貫通孔325a1,325a2,325b,325cも、貼付体3の貼り付け領域における外縁側に設けることができる。また、凸部326a,326b及び凹部331b,332bも、パッド本体302の前端側に設けられる。
【0113】
このように、貫通孔や凹凸からなる部位を貼付体303の貼り付け領域の外縁側に設けることにより、シートパッド301の幅方向および前後方向中央付近(即ち、着座者が座る領域)でのパッド本体2のクッション性や貼付体3の機能性(ソフトな座り心地)を確保できる。
【0114】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0115】
上記各実施の形態におけるシートパッドの一部または全部を、他の実施の形態におけるシートパッドや固定台の一部または全部と組み合わせてシートパッドや固定台を構成しても良い。例えば、第1実施形態や第3実施形態の凸部26a,26b,326a,326bや凹部31b,32b,331b,332bに相当する構成を第2実施形態のシートパッド201に適用することや、第3実施形態の突起314に相当する構成を第1実施形態および第2実施形態の固定台10,210に適用することは当然可能である。
【0116】
上記各実施形態では、シートパッド1,201,301がクッションパッドとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、シートパッド1,201,301をバックパッド、アームレストパッド(アームレストに用いられるパッド)から構成しても良い。即ち、クッション性のパッドに機能性を有する貼付体を貼り付ける構成を備えるものであれば、本発明の技術思想を適用できる。
【0117】
上記各実施形態では、貼付体3,203,303が軟質ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂からなるスラブパッドである場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、貼付体3,203,303をゴムスポンジ、硬質の綿、ウレタンゴム、プラスチックから構成しても良い。
【0118】
上記各実施形態では、パッド本体2,202,302に貼付体3,203,303が3枚(第1〜第3貼付体が)貼り付けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パッド本体2,202,302に1枚、2枚、若しくは、4枚以上の貼付体3,203,303を貼り付ける構成でも良い。
【0119】
また、第2貼付体31,231,331及び第3貼付体32,232,332のように幅方向で並設される構成ではなく、前後方向や幅方向で複数の貼付体が並設される(例えば、第1貼付体、第2貼付体および第3貼付体が前後方向で並設される)構成でも、本発明の技術思想を適用できる。
【0120】
上記各実施形態では、貼付工程において、パッド本体2,202,302の表面に手作業によって貼付体3,203,303を貼り付ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パッド本体2,202,302に対する貼付体3,203,303の圧着は、固定台10,210,310(下型)と上型とを備える装置で行っても良い。かかる装置で圧着を行う場合には、例えば、パッド本体2,202,302及び貼付体3,203,303の上面に沿った圧着面を上型に形成し、固定台10,210,310の枠部12の後端(矢印B側の端部)に上型を回転可能に軸支して、上型をアクチュエータによって昇降させれば良い。
【0121】
この場合には、固定台10,210,310の突起を挿通可能な凹みを上型に設けるか、上型の昇降に連動させて突起を昇降させることで突起が上型に干渉することを抑制できる。突起を昇降させるための手段としては、例えば、突起を嵌め込み可能な凹部を固定面11に設け、その凹部の内部においてバネやアクチュエータで突起を支持する構成が例示される。バネで支持する構成であれば、上型の圧着面が突起に当接することで突起が凹部の内部に向けて(バネの付勢力に抗して)短縮する。アクチュエータで支持する構成の場合には、上型の昇降に連動させてアクチュエータを伸縮させれば、突起が上型に干渉することを抑制できる。
【0122】
上記各実施形態では、固定台10,210,310の突起13,14,15,213,216,217,313a,313b,314,315によってパッド本体2,202,302に対する貼付体3,203,303の位置決めを行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、固定台10,210,310の突起13,14,15,213,216,217,313a,313b,314,315を省略し、パッド本体2,202,302と貼付体3,203,303に形成される凹凸(凸部26a,26b,326a,326bや凹部31b,32b,331b,332bに相当する構成)どうしの係合のみでパッド本体2,202,302に対する貼付体3,203,303の位置決めを行っても良い。
【0123】
また、パッド本体2,202,302に凹部を形成し、貼付体3,203,303に凸部を形成する構成でも良い。この場合には、貼付体3,203,303の断面積を増大させることができるので、貼付体3,203,303の機能性(ソフトな座り心地)を向上させることができる。
【0124】
また、貼付体3,203,303の外縁を取り囲む凸部(一部が分断されていても良い)をパッド本体2,202,302の表面に設けることで、貼付体3,203,303の位置決めを行う構成でも良い。
【0125】
上記各実施形態では、第2貼付体31,231,331の幅方向および前後方向における寸法が第3貼付体32,232,332と同一であり(シートパッド1,201,301の上面視において、第2貼付体31,231,331及び第3貼付体32,232,332の輪郭が同一の形状に形成され)、第2貼付体31,231,331及び第3貼付体32,232,332がそれぞれ同一の材質から形成される(クッション性や通気性等の機能性が同一である)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2貼付体の幅方向および前後方向における寸法を第3貼付体とは異なるものとする(シートパッドの上面視において、第2貼付体および第3貼付体の輪郭をそれぞれ異なる形状に形成する)構成や、第2貼付体および第3貼付体の材質(機能性)をそれぞれ異なるものとする構成でも良い。
【0126】
かかる構成の場合には、第2実施形態や第3実施形態のように、第2貼付体の複数の貫通孔どうしの配置間隔と、第3貼付体の複数の貫通孔どうしの配置間隔とを異なる寸法に設定することや、第2貼付体の貫通孔(固定台の突起)や凹部(パッド本体の凸部)の形状を、第3貼付体の貫通孔や凹部とは異なる形状にすることが好ましい。これにより、第2貼付体と形状(輪郭)や機能性の異なる第3貼付体が第2貼付体の貼り付け領域に貼り付けられることを抑制できる。
【0127】
上記各実施形態では、貼付体3,203,303の第1位置決め部を貫通孔30a,31a,32a,230a,231c,232c,330a,331a,332aとして構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。貼付体3,203,303の第1位置決め部を貼付体3,203,303の貼付面に凹む凹み(固定台の突起を嵌め込み可能なもの)として構成しても良い。
【0128】
上記各実施形態では、貫通孔30a,31a,32a,230a,231c,232c,330a,330b,331a,332a、貫通孔25a,25b,25c,225a,225d,225e,325a1,325a2,325b,325c、及び突起13,14,15,213,216,217,313a,313b,314,315の断面形状が矩形、円形、又は楕円形である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、貫通孔や突起の断面形状を矩形以外の多角形や、直線や曲線を組み合わせた形状から形成しても良い。即ち、突起と貫通孔(凹み)との係合によってパッド本体2,202,302や貼付体3,203,303の変位を規制できるものであれば、その断面形状は限定されない。
【0129】
よって、例えば、パッド本体2,202,302及び貼付体3,203,303の貫通孔の直径(断面積)と固定台10,210,310の突起の直径(断面積)とは必ずしも同一でなくても良い。例えば、貫通孔の直径(断面積)を突起の直径(断面積)よりも若干小さい値に設定しても、パッド本体2,202,302や貼付体3,203,303が弾性変形することで貫通孔を突起に嵌め込むことができる。
【0130】
上記各実施形態では、1枚の貼付体3,203,303(例えば、第1実施形態の第1貼付体30や第2実施形態の第2貼付体231)に1個の位置決め部(例えば、貫通孔30a)や2個の位置決め部(例えば、貫通孔31a,231c)を形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、1枚の貼付体3,203,303に3以上の位置決め部を形成しても良く、その数に対応した貫通孔や突起をパッド本体2,202,302や固定台10,210,310に設ければ良い。
【0131】
上記第1実施形態および第3実施形態では、凸部26a,26b,326a,326bに凹部31b,32b,331b,332bが係合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹部31b,32b,331b,332bを貫通孔から構成し、凸部26a,26b,326a,326bに係合させる構成でも良い。
【0132】
また、凸部26a,26b,326a,326b及び凹部31b,32b,331b,332bを省略する構成でも良い。この構成の場合でも、固定台10,310の突起13,14,15,313a,313b,314,315によってパッド本体2,302に対する貼付体3,303の位置決めを行うことができる。
【0133】
上記第1実施形態および第3実施形態では、凸部26a,26b,326a,326b及び凹部31b,32b,331b,332bの延設方向と直交する平面での断面形状が台形である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹部および凸部の断面形状を矩形形状、V字状、又は、曲面状に形成しても良い。また、凹部や凸部を円柱状や半球状の凹凸から構成しても良い。
【0134】
上記第1実施形態および第3実施形態では、凸部26a,26b,326a,326b及び凹部31b,32b,331b,332bのそれぞれの前後方向や幅方向における寸法の詳細な説明を省略したが、例えば、第2貼付体が貼り付けられる領域における凹部および凸部の形状(前後方向や幅方向における寸法、延設方向、延設長さ、又は、複数の凹部や凸部どうしの配置間隔)と、第3貼付体が貼り付けられる領域における凹部および凸部の形状とを異ならせる構成でも良い。これにより、第2貼付体が貼り付けられるべき領域に第3貼付体が貼り付けられることを抑制できる。
【符号の説明】
【0135】
1,201,301 シートパッド
2,202,302 パッド本体
25a,25b,25c,225a,225d,225e,325a1,325a2,325b,325c 貫通孔(第2位置決め部)
26a,26b,326a,326b 凸部(第2位置決め部)
3,203,303 貼付体
30a,31a,32a,230a,231c,232c,330a,330b,331a,332a 貫通孔(第1位置決め部)
31b,32b,331b,332b 凹部(第1位置決め部)
10,210,310 固定台
13,14,15,213,216,217,313a,313b,314,315 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8