【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28〜29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「水素利用等先導研究開発事業/大規模水素利用技術の研究開発/水素専焼対応型Dry Low NOx高温ガスタービンの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気室と前記燃料室とを仕切る多孔板であって、前記空気室と前記燃料室とを連通する第1開口、及び前記空気室と前記混合流路とを連通する第2開口を含む多孔板をさらに備え、
前記燃料ノズルは、一端側が閉塞し、他端側が開口された有底筒状に形成され、
前記燃料ノズルの前記他端側の前記開口が、前記多孔板の前記第1開口に接続される
ことを特徴とする、請求項1に記載の燃焼器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の燃焼器では、混合管内部の空気流に対し、管壁に形成された燃料入口を通じて燃料が合流される。そのため、空気流の径方向及び周方向のそれぞれにおいて、燃料を満遍なく行き渡らせることが難しい。このため、混合管内部の径方向及び周方向のそれぞれにおいて燃料濃度に偏りが生じやすい。この結果、燃料噴射孔から燃料を噴射して燃焼室で燃焼させた場合、燃料の部分的な高濃度化に起因し、窒素酸化物(NO
X)の生成量が増大し易くなる。
【0006】
また、燃料入口から混合管内部に燃料が供給されると、上記のように例えば径方向に満遍なく燃料を行き渡らせにくいため、管壁付近で燃料濃度が高くなり易い。これにより、燃料噴射孔から燃料を噴射して燃料室で燃焼させた場合、管壁付近の燃料濃度が高い部分に起因してフラッシュバック(逆火)が生じ易くなる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みて為されたものであり、本発明の少なくとも一実施形態は、低NO
X化を図りつつ、フラッシュバックを十分に抑制可能な燃焼器及びそれを備えるガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一実施形態に係る燃焼器は、空気が充満する空気室を内部に有するケーシングと、入口側が前記空気室に接続し、出口側が燃焼室に接続する少なくとも1つの混合流路を内部に形成する混合流路形成部材であって、前記混合流路の入口側に形成された前記空気室に連通する流入口を有する少なくとも1つの混合流路形成部材と、前記空気室の内部に配置される燃料ノズルであって、前記混合流路形成部材の前記流入口よりも上流側に位置し、下流側に向かって燃料を噴射するための燃料噴射孔を有する少なくとも1つの燃料ノズルと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、混合流路において、燃料と空気とを十分に混合することができる。即ち、比較的広い空間である空気室の空気が比較的狭い流入口を通る際に、混合流路において縮流が生じる。また、流入口の上流側に位置する燃料噴射孔からは燃料が噴射され、噴射された燃料は流入口から空気とともに流入する。そして、混合流路において生じる縮流作用により、流入した燃料と空気とが混合流路において十分に混合される。この結果、混合流路での燃料濃度の偏りを抑制し、低NO
X化を図ることができる。また、混合流路の流入口よりも上流において燃料噴射孔より下流で空気が流入することで、流路壁付近で燃料高濃度化に起因するフラッシュバック(逆火)を抑制できる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記燃料噴射孔は、前記ケーシングの軸線方向に沿って前記上流側から前記下流側に視認した場合に、前記流入口を指向するように構成されることを特徴とする。
【0011】
上記(2)の構成によれば、流入口に燃料を流し易くできる。これにより、空気室内部への燃料の飛散量を抑制でき、燃料量制御による火炎制御を行い易くすることができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記少なくとも1つの燃料ノズルは、第1燃料ノズルと、前記第1燃料ノズルに隣接して配置される第2燃料ノズルとを含む複数の燃料ノズルを含み、前記第1燃料ノズルが有する前記燃料噴射孔、及び前記第2燃料ノズルが有する前記燃料噴射孔の各々は、前記ケーシングの軸線方向に沿って前記上流側から前記下流側に視認した場合に、共通の前記流入口を指向するように構成されることを特徴とする。
【0013】
上記(3)の構成によれば、流入口に対して複数の燃料噴射孔から燃料を噴射できる。このため、混合流路における混合気体流れにおいて、径方向及び周方向の燃料濃度ムラを抑制できる。この結果、燃焼室で混合気体を燃焼させる際、火炎ムラの発生を抑制できる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記少なくとも1つの燃料ノズルは、複数の燃料ノズルを含み、前記燃料ノズルが有する前記燃料噴射孔の各々は、前記ケーシングの軸線方向に沿って前記上流側から前記下流側に視認した場合に、共通の前記流入口を指向するように構成されるとともに、前記流入口の周方向において等間隔に設けられることを特徴とする。
【0015】
上記(4)の構成によれば、周方向で等間隔に燃料が噴射されるため、周方向の燃料濃度ムラをより十分に抑制できる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れか1つの構成において、前記ケーシングは、前記燃焼室と前記ケーシング内部の前記空気室との間に形成される、前記燃料を貯留するための燃料室を内部に有することを特徴とする。
【0017】
上記(5)の構成によれば、燃料流路を空気室を避けるように形成でき、空気室の内部空間を十分に確保できる。そして、空気室の内部空間が十分に確保されることで、空気室から流入口への空気の流入が、混合流路形成部材の位置によらず、満遍なく行われ易くなる。この結果、混合流路ごとの空気流入量の偏りを特に十分に抑制できる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、前記空気室と前記燃料室とを仕切る多孔板であって、前記空気室と前記燃料室とを連通する第1開口、及び前記空気室と前記混合流路とを連通する第2開口を含む多孔板をさらに備え、前記燃料ノズルは、一端側が閉塞し、他端側が開口された有底筒状に形成され、前記燃料ノズルの前記他端側の前記開口が、前記多孔板の前記第1開口に接続されることを特徴とする。
【0019】
上記(6)の構成によれば、簡便な構成で燃料室内部の燃料を、多孔板の第1開口を通じて、混合流路の流入口に供給できる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れか1つの構成において、前記燃料ノズルは、一端側が前記燃料の供給源である燃料供給源に接続され、前記流入口と対面する他端側が閉塞された有底筒状に形成されることを特徴とする。
【0021】
上記(7)の構成によれば、それぞれの燃料ノズルの長さを、燃料ノズルごとに変更できる。これにより、燃料ノズルの長さに対応させて混合流路の長さを変更できる。この結果、共振を抑制して、燃焼器の燃焼振動を抑制し易くできる。
【0022】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、前記少なくとも1つの混合流路は、複数の混合流路を含み、前記混合流路形成部材は、前記複数の混合流路の各々を形成する複数の混合管であって、互いに間隔をあけて設けられた複数の混合管を備えることを特徴とする。
【0023】
上記(8)の構成によれば、混合管間の隙間を通じて、空気を混合管の流入口に導くことができる。これにより、流入口の上流側に加えて下流側からも空気を混合管に供給でき、上記の縮流作用をより大きくできる。この結果、混合流路において、燃料と空気とをより十分に混合できる。
【0024】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、前記少なくとも1つの混合流路は、複数の混合流路を含み、前記混合流路形成部材は、前記複数の混合流路の各々を仕切る複数の隔壁の集合によって構成された隔壁集合体を備えることを特徴とする。
【0025】
上記(9)の構成によれば、混合流路に不具合が生じた場合に、隔壁集合体の全体を交換することでその不具合を解消できるため、メンテナンスを容易に行うことができる。また、混合流路同士が隔壁で仕切られるため、無駄スペースがなく、燃焼器の小型化を図ることができる。さらには、混合流路が密に形成されるため、1つの燃料ノズルを通じて、より多くの混合流路に燃料を供給できる。この結果、燃料ノズルの本数を削減できる。さらには、横風を受ける噴流に近い混合を生じさせることができ、特に十分な混合が可能となる。
【0026】
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、上記(1)〜(9)の何れか1つに記載の燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記空気を圧縮するための圧縮機と、前記燃焼器の前記燃焼室から排出された燃焼ガスにより駆動されるように構成されたタービンと、を備えることを特徴とする。
【0027】
上記(10)の構成によれば、上記のように十分に混合された混合気体を燃焼させて、安定して運転可能なガスタービンを提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、低NO
X化を図りつつ、フラッシュバックを十分に抑制可能な燃焼器及びそれを備えるガスタービンを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、以下に実施形態として記載されている内容又は図面に記載されている内容は、あくまでも例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、任意に変更して実施できる。また、各実施形態は、2つ以上を任意に組み合わせて実施できる。さらに、以下で説明する各実施形態において、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
【0031】
また、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスタービン100を示す概略構成図である。
図1に示すように、一実施形態に係るガスタービン100は、燃焼器4に供給される酸化剤としての空気を圧縮(即ち圧縮空気を生成)するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器4(ガスタービン燃焼器)と、燃焼器4の燃焼室124(後記する)から排出された燃焼ガスにより駆動されるように構成されたタービン6と、を備える。発電用のガスタービン100の場合、タービン6には発電機(図示しない)が連結され、タービン6の回転エネルギーによって発電が行われる。
【0033】
ガスタービン100に備えられる燃焼器4では、燃料との空気との混合気体を燃焼させることで、上記の燃焼ガスが発生する。そして、詳細は後記するが、この燃焼器4では燃料と空気とを十分に混合できる。そのため、このような燃焼器4を備えるガスタービン100では、上記のように十分に混合された混合気体を燃焼させることで、低NO
X化を図りつつ、ガスタービン100の運転を安定して行うことができる。
【0034】
燃焼器4で燃焼される燃焼される燃料としては、水素、メタン、軽油、重油、ジェット燃料、天然ガス、ガス化した石炭等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を任意に組み合わせて燃焼できる。
【0035】
圧縮機2は、圧縮機車室10と、圧縮機車室10の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口12と、圧縮機車室10及びタービン車室22を共に貫通するように設けられたロータ8と、圧縮機車室10内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口12側に設けられた入口案内翼14と、圧縮機車室10側に固定された複数の静翼16と、静翼16に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼18と、を含む。このような圧縮機2において、空気取入口12から取り込まれた空気は、複数の静翼16及び複数の動翼18を通過して圧縮されることで高温高圧の圧縮空気となる。そして、高温高圧の圧縮空気は圧縮機2から後段の燃焼器4に送られる。
【0036】
燃焼器4は、ケーシング20を備えて構成される。
図1においては1つのみ図示するが、燃焼器4は、図示しないガスタービンケーシング(ケーシング20の一部又は全部として構成されてもよい)の内部に、ロータ8を中心として環状に複数配置される。燃焼器4には燃料と圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン6の作動流体である燃焼ガスが発生する。そして、燃焼ガスは燃焼器4から後段のタービン6に送られる。
【0037】
タービン6は、タービン車室22と、タービン車室22内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、タービン車室22側に固定された複数の静翼24と、静翼24に対して交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の動翼26と、を含む。タービン6においては、燃焼ガスが複数の静翼24及ぶ複数の動翼26を通過することで、ロータ8が回転駆動する。これにより、ロータ8に連結された発電機(図示しない)が駆動される。
【0038】
また、タービン車室22の下流側には、排気車室28を介して排気室30が連結される。タービン6を駆動した後の燃焼ガスは、排気車室28及び排気室30を介して外部へ排出される。
【0039】
図2は、燃焼器4の近傍を示す断面図である。
図2において一点鎖線は、ケーシング20の軸線Lを示す。また、
図2においては、図示の便宜上、混合流路形成部材131(混合管)の数を
図3に示す形態よりも少なく記載している。
【0040】
燃焼器4は、上記のようにケーシング20を備えて構成される。ケーシング20の内部には筒部材105が配置され、筒部材105は、その周方向外壁に等間隔で配置された支持部材106により、ケーシング20の内部に支持固定される。なお、支持部材106は、周方向に間隔を有して設けられる。また、ケーシング20の内部には、筒部材105の後側に、空気流路110を通流して車室40から流入した空気(圧縮空気)が充満する空気室121が形成される。
【0041】
筒部材105の内部には、第1支持板111と、第2支持板112と、第3支持板113とが間隔を有して配置される。第1支持板111と第2支持板112との間には、混合気体噴射孔141から噴射される混合気体中の燃料を貯留するための燃料室122が形成される。即ち、ケーシング20は、燃焼器ライナ46の内部に形成された燃焼室124とケーシング20内部の空気室121との間に、燃料を貯留するための燃料室122を備える。なお、燃料室122から混合気体噴射孔141への燃料の供給は後記する。燃料室122には、燃料ポート52と連通する燃料流路(図示しない)が接続されている。このため、燃料室122には、燃料ポート52及び燃料流路を通じて燃料が供給される。
【0042】
上記の位置に燃料室122が形成されることで、燃料流路を空気室121を避けるように形成でき、空気室121の内部空間を十分に確保できる。具体的には例えば、燃料ポート52と連通する燃料流路は、空気室121の外部を通り、空気流路110の途中で空気流路110を横断させることで、燃料室122に接続できる。なお、上記の支持部材106がこの燃料流路を兼ねるようにしてもよい。そして、空気室121の内部空間が十分に確保されることで、空気室121から流入口142への空気の流入が、混合流路形成部材131の位置によらず、満遍なく行われ易くなる。この結果、混合流路134ごとの空気流入量の偏りを特に十分に抑制できる。
【0043】
第2支持板112と第3支持板113との間には、冷却用空気室123が形成される。詳細は後記するが、第3支持板113の前側に燃焼室124が形成される。そのため、燃焼室124での燃料燃焼により、第3支持板113は高温になる。そこで、第3支持板113を冷却するための冷却用空気が、燃焼室124とは反対側に形成された冷却用空気室123に供給される。なお、冷却用空気室123への冷却用空気の供給は、冷却用空気供給系統(図示しない)を通じて行われる。また、第3支持板113を冷却した後の使用済み冷却用空気は、排気流路(図示しない)を通じて例えば燃焼室124に排気される。
【0044】
第1支持板111、第2支持板112及び第3支持板113は、円筒状に形成された筒部材105に嵌るようにいずれも円板状に構成される。第1支持板111、第2支持板112及び第3支持板113は、ケーシング20の軸線Lに対し垂直、かつ、それぞれの中心点(図示しない)を軸線Lが通るように配置される。
【0045】
また、第1支持板111、第2支持板112及び第3支持板113は、いずれも図示しない貫通孔を有している。そして、当該貫通孔に管状の混合流路形成部材131が挿通されることで、混合流路形成部材131が第1支持板111、第2支持板112及び第3支持板113に支持される。
【0046】
混合流路形成部材131は、例えば金属製であり、管状に形成された混合管として構成される。そのため、1つの混合流路形成部材131に1つの混合流路134が形成される。そして、燃焼器4は複数の混合流路形成部材131(1つでもよい)を備えることで、複数の混合流路134が形成される。従って、混合流路形成部材131は、複数の混合流路134の各々を形成する複数の混合管として構成される。そして、当該複数の混合管(混合流路形成部材131)は、互いに間隔をあけて設けられることで、燃焼器4に備えられる。
【0047】
混合流路形成部材131は、その内部に、流入した燃料及び空気を混合するための混合流路134(
図5参照)を備える。混合流路134の入口側(後側)は空気室121に接続し、出口側(前側)は燃焼室124に接続される。混合流路形成部材131は、ケーシング20の軸線Lに沿ってケーシング20の内部に少なくとも1つ備えられる。
【0048】
混合流路134の入口側には、空気室121に連通する流入口142が形成されており、流入口142を通じて、燃料及び空気が流入する。流入した燃料と空気とは上記の混合流路134において十分に混合され、混合気体が生成する。混合気体は、混合流路134の出口側に形成された混合気体噴射孔141を通じて燃焼室124に噴射される。
【0049】
図3は、燃焼器4の混合気体噴射孔141近傍を拡大して示す斜視図である。筒部材105の内部であって前側には、上記
図2を参照しながら説明したように、円板状の第3支持板113が配置される。そして、第3支持板113には、混合管により構成された混合流路形成部材131が支持される。また、混合流路形成部材131内部の混合流路134の出口側には、少なくとも1つの混合気体噴射孔141が形成され、混合気体噴射孔141は燃焼室124(
図3では図示しない)と連通する。これにより、混合気体噴射孔141から噴射された燃料は、図示しない着火源により着火され、燃焼室124の内部で燃焼する。
【0050】
また、ケーシング20の内側かつ筒部材105の外側には、車室40(
図2参照)と空気室121(
図2参照)とを連通する空気流路110が形成される。なお、筒部材105の前側には、上記の
図2に示すように、燃焼器ライナ46(
図2参照)が配置される。従って、車室40及び空気流路110と、混合気体噴射孔141と連通する燃焼室124とは、燃焼器ライナ46により区画される。
【0051】
図2に戻って、第1支持板111は、空気室121と燃料室122とを仕切る多孔板により構成される。第1支持板111を構成する多孔板は、空気室121と燃料室122とを連通する第1開口111a(
図2では図示しない、
図5参照)、及び空気室121と混合流路134とを連通する流入口142(第2開口)を含んでいる。なお、空気室121と燃料室122とは、上記第1開口111aに加えて、以下で説明する燃料ノズル132が有するノズル部噴射孔133を介して連通する。
【0052】
第1支持板111の後側には、例えば金属製の燃料ノズル132が接続される。従って、燃料ノズル132は、第1支持板111の後側に配置された空気室121の内部に配置されたものである。燃料ノズル132は、少なくとも1つ備えられる。燃料ノズル132は、混合流路形成部材131の流入口142よりも上流側に位置し、下流側に向かって燃料を噴射するノズル部噴射孔133(燃料噴射孔)を有する。燃料ノズル132について、
図4を参照しながら説明する。
【0053】
図4は、燃焼器4の燃料ノズル132近傍を拡大して示す斜視図である。なお、
図4では、燃焼器4に備えられる燃料ノズル132のうちの一部を抜き出して図示している。
図4において示す実線矢印は、ノズル部噴射孔133から噴射された燃料の流れを示す。
【0054】
燃料ノズル132は、上記のように少なくとも1つ形成され、一端側(後側)が閉塞し、他端側(前側)が開口された有底筒状に形成される。そして、燃料ノズル132の他端側に形成された当該開口が、第1支持板111を構成する多孔板の第1開口111a(
図4では図示しない、
図5参照)に接続される。従って、燃料ノズル132の内部は、上記の燃料室122と連通する。このようにすることで、簡便な構成で燃料室122内部の燃料を、多孔板の第1開口111aを通じて、混合流路134の流入口142に供給できる。
【0055】
燃料ノズル132の側面には、空気室121(
図2参照、
図4では図示しない)と連通するノズル部噴射孔133が形成される。ノズル部噴射孔133は、燃料室122の燃料を、第1支持板111に支持された混合流路形成部材131の流入口142に噴射するものである。ノズル部噴射孔133から燃料が噴射されると、噴射された燃料は、
図4において実線矢印で示すように流入口142に至る。また、流入口142は、
図4では図示しない空気室121と連通する。そのため、空気室121に充満する空気も、流入口142に至る。
【0056】
これらのように、流入口142を通じて燃料及び空気の双方が混合流路形成部材131の内部に流入することで、その内部に形成された混合流路134においてこれらが混合され、混合気体が生成する。そして、生成した混合気体は、混合流路134の下流側に形成された混合気体噴射孔141から燃焼室124に噴射され、燃焼される。
【0057】
図5は、流入口142から流入する燃料(実線矢印)及び空気(破線矢印)の流れを示す図である。
図5において、空気流を示す破線矢印のうち、燃料ノズル132の内部に示した流れは、燃料ノズル132の周囲を通る空気流であるが、図示の便宜上、燃料ノズル132の内部を通るように示している。
【0058】
上記のように、流入口142から流入する燃料は、流入口142の上流側(後側)に位置するノズル部噴射孔133から噴射されたものである。一方で、流入口142から流入する空気は、流入口142が形成される空間である空気室121に充満したものである。従って、空気は、流入口142よりもずっと大きな空間を有する空気室121の内部から、流入口142に流入する。そのため、空気は、流入口142の周囲において様々な方向から流入口142に流入する。
【0059】
具体的には例えば、
図5において破線で示すように、燃料ノズル132のノズル部噴射孔133のさらに上流側(後側)から流入口142に直線的に向かう空気流が生じるほか、ノズル部噴射孔133と流入口142との間の領域において上下方向から流入口142に曲線的に向かう空気流も生じる。そのため、様々な方向から混合流路134に空気が流入する。そうすると、混合流路134の流入口142近傍のA部において縮流が生じる。そして、生じた縮流によって、
図5において実線矢印で示すように流入した燃料と、
図5において破線で示すように流入した空気とが十分に混合される。
【0060】
即ち、上記のように比較的広い空間である空気室121の空気が比較的狭い流入口142を通る際に、混合流路134において縮流が生じる。また、流入口142の上流側に位置するノズル部噴射孔133(燃料噴射孔)からは燃料が噴射され、噴射された燃料は流入口142から空気とともに流入する。そして、混合流路134において生じる縮流作用により、流入した燃料と空気とが混合流路134において十分に混合される。この結果、混合流路134での燃料濃度の偏りを抑制し、低NO
X化を図ることができる。また、混合流路134の流入口142よりも上流においてノズル部噴射孔133より下流で空気が流入することで、流路壁付近で燃料高濃度化に起因するフラッシュバック(逆火)を抑制できる。
【0061】
図6は、燃料ノズル132及び混合流路形成部材131の配置を示す図である。この図は、ケーシング20の軸線L(
図2参照)方向に沿って、上流側から下流側(即ち後側から前側)に視認した場合の様子を示している。ただし、
図6では、図示の都合上、第1支持板111の図示を省略している。
【0062】
この
図6に示すように、燃料ノズル132の側面に形成された複数のノズル部噴射孔133は、いずれも流入口142を指向するように構成される。流入口142は上記のように空気室121に形成され、空気室121には、車室40からの空気が流入する。そして、空気室121から流入口142に向かう空気流が形成される。そのため、上記の視認をした場合に、流入口142を指向するように燃料が噴射されることで、流入口142に燃料を流し易くできる。これにより、空気室121内部への燃料の飛散量を抑制でき、燃料量制御による火炎制御を行い易くすることができる。
【0063】
また、
図6に示すように、本発明の一実施形態に係る燃焼器4では、1つの混合流路形成部材131の周囲に複数の燃料ノズル132が配置される。即ち、燃料ノズル132は、任意の燃料ノズル132(第1燃料ノズル)と、当該燃料ノズル132(第1燃料ノズル)に隣接して配置される燃料ノズル132(第2燃料ノズル)とを含む複数の燃料ノズル132を含む。そして、上記任意の燃料ノズル132(第1燃料ノズル)が有するノズル部噴射孔133、及び上記隣接する燃料ノズル132(第2燃料ノズル)が有するノズル部噴射孔133の各々は、上記の視認をした場合に、共通の流入口142を指向するように構成される。
【0064】
このようにすることで、流入口142に対して複数のノズル部噴射孔133(燃料噴射孔)から燃料を噴射できる。このため、混合流路134における混合気体流れにおいて、径方向及び周方向の燃料濃度ムラを抑制できる。この結果、燃焼室124で混合気体を燃焼させる際、火炎ムラの発生を抑制できる。
【0065】
さらに、上記のように、複数の燃料ノズル132におけるノズル部噴射孔133の各々は、上記の視認をした場合に、共通の流入口142を指向するように構成される。そして、それぞれのノズル部噴射孔133は、1つの流入口142の周方向において等間隔に設けられる。具体的には、
図6に示す例では、4つのノズル部噴射孔133が、1つの流入口142の周方向に等間隔で配置される。このようにすることで、周方向で等間隔に燃料が噴射されるため、周方向の燃料濃度ムラをより十分に抑制できる。
【0066】
また、
図6に示すように燃料ノズル132と混合流路形成部材131とを正方格子状に交互に配列することで、1つの燃料ノズル132によって4つの混合流路形成部材131に燃料を噴射できる。即ち、燃料ノズル132の軸線、及び、混合流路形成部材131の軸線が、上記視認をした場合に正方格子を構成する各交点の中心に交互に位置する。これにより、混合気体噴射孔141が等間隔に配置されるため、燃焼室124で混合気体を燃焼させる際、火炎ムラの発生を抑制できる。
【0067】
図7は、燃料ノズル132及び混合流路形成部材131の配置を示す図であり、
図6とは異なる実施形態を示す図である。この
図7に示す様子も、上記の
図6に示す場合と同様に、ケーシング20の軸線L(
図2参照)方向に沿って、上流側から下流側(即ち後側から前側)に視認した場合を示している。
【0068】
この
図7に示す配置形態では、燃料ノズル132と混合流路形成部材131とは、最密格子配列状に配置される。即ち、1つの燃料ノズル132の周囲には、等間隔で6つの混合流路形成部材131が配置される。このことを換言すれば、上記視認をした場合に、1つの燃料ノズル132の軸線の周囲に、6つの混合流路形成部材131の軸線が最密格子状に位置する。これにより、1つの燃料ノズル132から6つの混合流路形成部材131に燃料を噴射できる。この結果、周方向で等間隔に燃料が噴射されるため、周方向の燃料濃度ムラをより十分に抑制できる。また、燃料ノズル132の数を混合流路形成部材131の数よりも少なくできる。
【0069】
図8は、本発明の二実施形態に係る燃焼器4A近傍を示す断面図である。上記の燃焼器4(
図2参照)では、第1支持板111と第2支持板112との間に燃料室122が形成されていた。そして、燃料室122を仕切る第1支持板111の後側に、燃料室122と連通するノズル部噴射孔133を備える燃料ノズル132が備えられていた。しかし、
図8に示す燃焼器4Aでは、燃料室122が備えられず、空気室121を横断するようにしてケーシング20の後側内壁20aから延びる燃料ノズル132が備えられる。燃料ノズル132は、燃焼室124で燃焼される燃料の供給源である燃料供給源(図示しない)に対し、燃料ポート52を介して接続される。
【0070】
燃料ノズル132は、その一端側が上記燃料供給源に接続される。一方で、その他端側は、混合流路形成部材131の流入口142と対向している。そして、燃料ノズル132の当該他端側は、閉塞された有底筒状に形成される。また、燃料ノズル132の当該他端側の側面には、流入口142から流入する燃料を噴射するためのノズル部噴射孔133が形成される。なお、
図8に示す燃料ノズル132においても、上記の燃焼器4に備えられる燃料ノズル132と同様に、周方向に等間隔で4つのノズル部噴射孔133が形成される。
【0071】
このような燃料ノズル132を備えることで、それぞれの燃料ノズル132の長さを、燃料ノズル132ごとに変更できる。これにより、燃料ノズル132の長さに対応させて混合流路134の長さを変更できる。この結果、共振を抑制して、燃焼器4Aの燃焼振動を抑制し易くできる。
【0072】
また、燃焼器4Aを構成するケーシング20の後側内壁20aは、平面で構成された上記燃焼器4とは異なり、ケーシング20の軸線Lに沿って前側に湾曲する曲面によって構成される。具体的には、後側内壁20aは、中央方向に向かって前側(ケーシング20の内部)に張り出すような曲面により構成される。
【0073】
後側内壁20aをこのように構成することで、上下に配置された一方の空気流路110から空気室121に流入した空気が、他方の空気流路110の側に抜けることを抑制できる。これにより、空気流路110に最も近い流入口142から中央に配置された流入口142までのそれぞれの流入口142に対し、同程度の空気を流し込むことができる。この結果、それぞれの混合流路134において、混合ムラを抑制できる。
【0074】
さらに、燃焼器4Aでは、混合流路形成部材131(混合管)が空気室121の内部に突出している。そして、混合流路形成部材131同士の間には隙間が形成されている。このように構成された混合流路形成部材131を備えることで、混合流路形成部材131同士の間の隙間を通じて、空気を混合流路形成部材131の流入口142に導くことができる。これにより、流入口142の上流側に加えて下流側からも空気を混合流路形成部材131に供給でき、上記の縮流効果をより大きくできる。この結果、混合流路形成部材131の内部において、燃料と空気とをより十分に混合できる。
【0075】
図9は、本発明の二実施形態に係る燃焼器4Aにおいて、流入口142から流入する燃料及び空気の流れを示す図である。燃焼器4Aにおいても、流入口142の上流側に燃料ノズル132が配置される。ただし、燃料ノズル132は、混合流路形成部材131の流入口142の少なくとも一部(
図9に示す例では全部)が空気室121に露出するように空気室121に配置される。このようにすることで、燃料ノズル132のノズル部噴射孔133から燃料が噴射されたときに、噴射された燃料が流入口142から流入し易くできる。
【0076】
燃料ノズル132のノズル部噴射孔133からの燃料の噴射は、上記の燃焼器4と同様に、ケーシング20の軸線L(
図2参照)方向に沿って、上流側から下流側(即ち後側から前側)に視認した場合に、流入口142を指向するように行われる。これにより、流入口142からは、上記の燃焼器4において説明した内容と同様に、燃料及び空気が流入する。この結果、A部において縮流を生じさせることができ、混合流路134において燃料と空気とを十分に混合できる。
【0077】
特に、
図9に示す例では、図示の簡略化のために図示を省略するが、上記のような第1支持板111(
図2参照)が備えられていないため、流入口142の前側においても流入口142に向かう空気流が形成される。即ち、混合管により構成された混合流路形成部材131の隙間を通る空気流が形成される。これにより、流入口142に対し、上記の燃焼器4と比べてより様々な方向からの空気流が形成される。この結果、A部における縮流作用をより大きくし、混合流路134において燃料と空気とをより十分に混合できる。
【0078】
なお、
図9に示す例では、燃料ノズル132の前端面と流入口142との間には、隙間が形成される。しかし、燃料ノズル132の前端面と流入口142とを接触させるようにしてもよい。この場合、例えば、燃料ノズル132の前端面に、流入口142の開口端の一部を嵌めることができるような溝を設け、この溝に流入口142の開口端の当該一部を嵌めるようにすることができる(所謂インロー嵌合)。このようにすることで、燃料ノズル132に対する流入口142の位置決めを容易に行うことができる。
【0079】
また、上記の燃焼器4Aにおいて、混合流路形成部材131の前後方向の長さは、混合流路形成部材131に応じて変更してもよい。即ち、混合流路形成部材131の前後方向の長さは、混合流路形成部材131の全てで同じでもよく、異なっていてもよい。混合流路形成部材131の長さを混合流路形成部材131ごとに変更することで混合流路134の長さを混合流路134ごとに変更することができ、燃焼器4の燃焼振動を抑制し易くできる。
【0080】
図10は、本発明の三実施形態に係る燃焼器4Bに備えられる燃料ノズル132及び隔壁集合体160の配置を示す図である。隔壁集合体160は、上記混合流路形成部材131としての混合管に代えて使用可能なものであり、複数の混合流路134を含むものである。従って、1つの隔壁集合体160(混合流路形成部材の一例)に複数の混合流路134が含まれる。隔壁集合体160は、複数の混合流路134の各々を仕切る複数の隔壁161の集合によって構成されたものである。
【0081】
隔壁集合体160は、ケーシング20の軸線L(
図2参照)方向に沿って、上流側から下流側(即ち後側から前側)に視認した場合に、正六角形状に形成された混合流路134を複数備える。即ち、隔壁集合体160はハニカム状に構成される。そして、上記視認をした場合に、任意の1つの開口部162と重なるようにして燃料ノズル132が配置される。一方で、燃料ノズル132には、周方向に等間隔でノズル部噴射孔133が6つ形成される。従って、6つのノズル部噴射孔133のそれぞれからは、燃料ノズル132が重なる開口部162の周囲に配置された6つの流入口142に燃料が噴射される。
【0082】
混合流路形成部材131として隔壁集合体160を備えることで、混合流路134に不具合が生じた場合に、隔壁集合体160の全体を交換することでその不具合を解消できるため、メンテナンスを容易に行うことができる。また、混合流路134同士が隔壁161で仕切られるため、無駄スペースがなく、燃焼器4Bの小型化を図ることができる。さらには、混合流路134が密に形成されるため、1つの燃料ノズル132を通じて、より多くの混合流路134に燃料を供給できる。この結果、燃料ノズル132の本数を削減できる。さらには、横風を受ける噴流に近い混合を生じさせることができ、特に十分な混合が可能となる。
【0083】
図11は、流入口142から流入する燃料及び空気の流れを示す図である。燃料ノズル132のノズル部噴射孔133からの燃料の噴射は、上記の視認をした場合に、隔壁集合体160の流入口142を指向するように行われる。ただし、隔壁集合体160の流入口142のうち、燃料は、燃料ノズル132と重なる開口部162の周囲に配置された6つ(
図10を併せて参照)の流入口142に指向して噴射される。これにより、6つの流入口142からは、上記の燃焼器4において説明した内容と同様に、燃料及び空気が流入する。この結果、A部において縮流を生じさせることができ、混合流路134において燃料と空気とを十分に混合できる。
【0084】
図12は、燃料ノズル132及び隔壁集合体160の配置を示す図であり、
図10とは異なる実施形態を示す図である。
図12に示す隔壁集合体160は、上記のハニカム状に構成された隔壁集合体160とは異なり、千鳥格子状に構成される。そして、図示は省略するが、
図12に示すように、任意の1つの開口部162と重なるように1つの燃料ノズル132が配置される。そして、燃料ノズル132には、周方向等間隔に6つのノズル部噴射孔133が形成される。このため、燃料は、燃料ノズル132と重なる開口部162の周囲に配置された6つの流入口142に指向して噴射される。これにより、6つの流入口142からは、上記の燃焼器4,4A,4Bにおいて説明した内容と同様に、燃料及び空気が流入する。この結果、A部(
図11参照)において縮流を生じさせることができ、混合流路134において燃料と空気とを十分に混合できる。
【0085】
図13は、本発明の四実施形態に係る燃焼器4C近傍を示す断面図である。燃焼器4Cでは、筒部材105の前後方向の長さが上記の燃焼器4A(
図8参照)に備えられる筒部材105の長さよりも短くなっている。即ち、燃焼器4Cでは、筒部材105の後端が、支持部材106の設置位置とほぼ同じになっている。従って、燃焼器4Cにおける空気室121は、筒部材105とケーシング20の内壁との間に形成される空気流路110が短くなる分、上記の燃焼器4Aに形成される空気室121よりも大きくなっている。
【0086】
さらに、燃焼器4Cでは、筒部材105の後端とケーシング20の後側内壁20aとの間に、邪魔板170が設置される。邪魔板170は、空気流路110の空気流と衝突する位置(空気流を遮るような位置)において、ケーシング20の内壁面に支持される。
【0087】
車室40から空気流路110に流入した空気は、ケーシング20の内壁面に沿って空気流路110を流れ、空気室121に至る。このとき、空気室121には、空気流路110の空気流に衝突する位置に邪魔板170が設置されているため、空気室121に至った空気の流れは邪魔板170により変化する。具体的には、
図13において実線矢印で示すように、互いに間隔を有して配置された混合流路形成部材131同士の間の隙間を通って、空気室121全体に行き渡る。即ち、空気流路110の空気流が邪魔板170に衝突することで当該空気流が乱され、空気流路110を流れてきた空気は、混合流路形成部材131の隙間を通り、空気室121の全体に行き渡る。
【0088】
このような構成により、空気流路110から流出した空気を混合流路形成部材131の隙間を通らせて流入口142に至らせるまでの圧力損失に応じて、円筒状の筒部材105の半径方向での混合流路形成部材131の長さを調整し易くできる。この結果、流入口142から流入する空気の量を、同程度にし易くできる。そして、それぞれの混合流路134において混合される空気量を、同程度にし易くできる。