(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排出経路により排出される冷却水を貯留する冷却水貯留部が設けられ、前記冷却水貯留部内に前記不活性ガス貯留部が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料ガスの冷却システム。
前記ガス冷却器により冷却された燃料ガスに含まれる異物を除去する湿式電気集塵機が設けられ、前記湿式電気集塵機に洗浄水貯留部が設けられ、前記洗浄水貯留部内に前記不活性ガス貯留部が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料ガスの冷却システム。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクルプラントは、まず、天然ガスなどを燃料としてガスタービンを駆動して1回目の発電を行い、次に、排熱回収ボイラがガスタービンの排ガスの熱を回収して蒸気を生成し、この蒸気により蒸気タービンを駆動して2回目の発電を行うものである。そして、蒸気タービンを駆動した使用済の蒸気は、復水器により冷却されて復水となり、排熱回収ボイラに戻される。
【0003】
このコンバインドサイクルプラントにて、ガスタービンに供給される燃料として、高炉ガス(BFG、Blast Furnace Gas)を使用することがある。高炉ガスは、高炉で鉄鉱石を還元して銑鉄を製造するとき発生するものであり、高温である。そして、この高炉ガスは、ガス圧縮機により高温・高圧の燃料ガスとなってガスタービンの燃焼器に供給される。そのため、燃料ガスの供給ラインに高炉ガスを冷却するガス冷却器が設けられている。
【0004】
ガス冷却器を備えた発電プラントとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された発電プラントは、高炉ガスの一部をガス冷却機に供給し、高炉ガスに冷却水を接触させることで冷却し、温度低下した燃料ガスを高温の高炉ガスと混合した後にガスタービンに供給するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発電プラントにて、ガス冷却器は、下部に冷却水を貯留するホッパが設けられ、このホッパに冷却水を冷却水ピットに戻す冷却水戻り管が連結され、この冷却水戻り管にサイフォンブレーク部が設けられている。このサイフォンブレーク部は、ガス冷却器への冷却水の供給が停止したときに、内部に空気が浸入することでガス冷却器のホッパから冷却水の排出を停止し、ガス冷却器からの燃料ガスの漏洩を防止するものである。ところが、サイフォンブレーク部は、大気に開放されていることから、開放部から取り込んだ空気が冷却水に混入し、ガス冷却機内で空気中の酸素が燃料ガスに混入する。すると、酸素が混入した燃料ガスが電気集塵機を通ってガスタービンに供給されることとなり、電気集塵機やガスタービンに対して悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、安全性を確保して信頼性の向上を図る燃料ガスの冷却システム及びガスタービンプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の燃料ガスの冷却システムは、燃料ガスに冷却水を接触させて冷却するガス冷却器と、前記ガス冷却器に貯留される冷却水を排出する排出経路と、前記排出経路に設けられるサイフォン部と、不活性ガスを貯留する不活性ガス貯留部と、一端部が前記サイフォン部に連通されて他端部が前記不活性ガス貯留部に連通される連通経路と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、燃料ガスは、ガス冷却器により冷却水が接触して冷却され、燃料ガスを冷却した冷却水は、ガス冷却器の下部に貯留された後に排出経路から外部に排出される。このとき、ガス冷却器への冷却水の供給が停止しても、ガス冷却器の下部の冷却水量が低下すると、排出経路のサイフォン部に連通経路から不活性ガスが供給されることから、ガス冷却器からの冷却水の排出が停止し、ガス冷却器の下部に所定量の冷却水が確保される。そして、サイフォン部が排出経路を介して不活性ガス貯留部に連通されていることから、ガス冷却器内に空気中の酸素が入り込んで燃料ガスに混入することはなく、安全性を確保して信頼性の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の燃料ガスの冷却システムでは、前記不活性ガス貯留部は、大気より圧力の高い正圧に維持されることを特徴としている。
【0011】
従って、不活性ガス貯留部が大気より圧力の高い正圧に維持されることから、ガス冷却器への冷却水の供給が停止し、ガス冷却器の下部の冷却水量が低下したとき、不活性ガス貯留部の不活性ガスを連通経路からサイフォン部に適切に供給し、ガス冷却器からの冷却水の排出を停止することができる。
【0012】
本発明の燃料ガスの冷却システムでは、前記排出経路により排出される冷却水を貯留する冷却水貯留部が設けられ、前記冷却水貯留部内に前記不活性ガス貯留部が設けられることを特徴としている。
【0013】
従って、一端部がサイフォン部に連通する連通経路の他端部を冷却水貯留部内の不活性ガス貯留部に連通することから、別途、不活性ガス貯留部を設ける必要がなく、設備の大型化を抑制することができる。
【0014】
本発明の燃料ガスの冷却システムでは、前記ガス冷却器により冷却された燃料ガスに含まれる異物を除去する湿式電気集塵機が設けられ、前記湿式電気集塵機に洗浄水貯留部が設けられ、前記洗浄水貯留部内に前記不活性ガス貯留部が設けられることを特徴としている。
【0015】
従って、一端部がサイフォン部に連通する連通経路の他端部を湿式電気集塵機に洗浄水貯留部に連通することから、別途、不活性ガス貯留部を設ける必要がなく、設備の大型化を抑制することができる。
【0016】
また、本発明のガスタービンプラントは、圧縮機と燃焼器とタービンとを有するガスタービンと、前記燃焼器に供給する燃料を冷却する前記燃料ガスの冷却システムと、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
従って、燃料ガスは、ガス冷却器により冷却水が接触して冷却され、燃料ガス供給ラインを通してガスタービンの燃焼器に供給されて燃焼する。一方、燃料ガスを冷却した冷却水は、ガス冷却器の下部に貯留された後に排出経路から外部に排出される。このとき、サイフォン部が排出経路を介して不活性ガス貯留部に連通されていることから、ガス冷却器内に空気中の酸素が入り込んで燃料ガスに混入することはなく、燃料ガス供給ラインに電気集塵機が配置されていても、燃料ガスが電気集塵機や燃焼器に悪影響を及ぼすことはなく、安全性を確保して信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の燃料ガスの冷却システム及びガスタービンプラントによれば、安全性を確保して信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明に係る燃料ガスの冷却システム及びガスタービンプラントの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0021】
図1は、本実施形態の燃料ガスの冷却システムが適用されたコンバインドサイクルプラントを表す概略構成図である。
【0022】
本実施形態において、
図1に示すように、コンバインドサイクルプラント10は、ガスタービン11と、排熱回収ボイラ(HRSG)12と、蒸気タービン13と、発電機14とを備えている。このコンバインドサイクルプラント10は、ガスタービン11の回転軸と蒸気タービン13の回転軸が一直線に配置され、この回転軸に発電機14が連結された一軸型形式となっている。但し、コンバインドサイクルプラント10は、一軸型形式に限定されるものではなく、ガスタービン11の回転軸と蒸気タービン13の回転軸を別に配置してもよい。
【0023】
ガスタービン11は、圧縮機21と、燃焼器22と、タービン23とを有しており、圧縮機21とタービン23は、ロータ(回転軸)24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みラインL1から空気取り込み口を通して取り込んだ空気Aを圧縮するものであり、空気取り込みラインL1にフィルタ25が設けられている。燃焼器22は、圧縮機21から圧縮空気供給ラインL2を通して供給された圧縮空気ACと、燃料ガス供給ラインL3から供給された燃料ガスF(圧縮燃料ガスFC)とを混合して燃焼するものである。タービン23は、燃焼器22から燃焼ガス供給ラインL4を通して供給された燃焼ガスFGにより回転駆動するものである。
【0024】
排熱回収ボイラ12は、ガスタービン11(タービン23)から排ガス排出ラインL5を介して排出された排ガスEGの排熱によって蒸気(過熱蒸気)Sを発生させるものである。排熱回収ボイラ12は、図示しないが、熱交換器として、過熱器と蒸発器と節炭器とを有している。排熱回収ボイラ12は、ガスタービン11からの排ガスEGが内部を通過することで、過熱器、蒸発器、節炭器の順に熱回収を行うことで蒸気Sを生成する。そして、排熱回収ボイラ12は、蒸気Sを生成した使用済の排ガスEGを排出する排ガス排出ラインL6を介して煙突26が連結されている。
【0025】
蒸気タービン13は、排熱回収ボイラ12により生成された蒸気Sにより駆動するものである。蒸気タービン13は、タービン27を有しており、回転軸28がガスタービン11のロータ24と一直線状をなして連結されている。そして、排熱回収ボイラ12の過熱器の過熱蒸気をタービン27に供給する蒸気供給ラインL7が設けられると共に、タービン27を駆動した使用済の蒸気Sを排熱回収ボイラ12の再熱器に戻す蒸気回収ラインL8が設けられており、蒸気回収ラインL8に復水器29と復水ポンプ30が設けられている。復水器29は、タービン27から排出された蒸気Sを冷却水(例えば、海水)により冷却して復水Wとするものである。
【0026】
また、ガスタービン11は、図示しない高炉から排出された高炉ガス(BFG)を燃料ガスFとして圧縮してから燃焼器22に供給するものである。燃料ガスFとしてのBFGを圧縮するガス圧縮機31は、軸流圧縮機であって、タービン32を有しており、回転軸33の端部に従動歯車34が固定されている。蒸気タービン13のタービン27は、回転軸28の端部に駆動歯車35が固定されており、駆動歯車35が従動歯車34に噛み合っている。そのため、蒸気タービン13のタービン27が駆動すると、その回転力が回転軸28から駆動歯車35及び従動歯車34を介して回転軸33に伝達され、ガス圧縮機31のタービン32が駆動回転する。
【0027】
ガス圧縮機31は、ガス取り込み口に燃料ガスFとしてのBFGが供給される燃料ガス供給ラインL11が連結されている。燃料ガス供給ラインL11は、開閉弁36と電気集塵機(湿式または乾式)37が設けられており、電気集塵機37は、燃料ガスFに含まれるダストなどの異物を集塵して除去する。また、燃料ガス供給ラインL3は、ガス圧縮機31が圧縮した圧縮燃料ガスFCの一部を余剰ガスとして燃料ガス供給ラインL11に戻す燃料ガス戻しラインL12が設けられている。燃料ガス戻しラインL12は、一端部が燃料ガス供給ラインL3に接続され、他端部が燃料ガス供給ラインL11における開閉弁36と電気集塵機37の間に接続されている。そして、燃料ガス戻しラインL12は、バイパス弁38とガス冷却器39が設けられている。
【0028】
ガス冷却器39は、余剰ガスとしての圧縮燃料ガスFCの一部を冷却水に接触させて冷却するものである。冷却水ピット40は、ガス冷却器39の下方に配置され、ガス冷却器39と冷却水ピット40との間に冷却水供給ラインL13と冷却水排出ラインL14が設けられている。冷却水供給ラインL13は、冷却水供給ポンプ41が設けられ、冷却水供給ポンプ41を駆動することで、冷却水ピット40の冷却水を冷却水供給ラインL13からガス冷却器39に供給し、圧縮燃料ガスFCに冷却水を噴霧して冷却する。圧縮燃料ガスFCを冷却した冷却水は、自重により冷却水排出ラインL14から冷却水ピット40に戻される。
【0029】
そのため、コンバインドサイクルプラント10の稼働時、燃料ガスFとしてのBFGは、電気集塵機37は、燃料ガスFに含まれるダストなどの異物が除去された後、ガス圧縮機31により圧縮されて圧縮燃料ガスFCとなり、燃焼器22に供給される。このとき、圧縮燃料ガスFCは、一部が余剰ガスとしてガス冷却器39で冷却されてから燃料ガス供給ラインL11に戻される。ガスタービン11にて、圧縮機21は空気Aを圧縮し、燃焼器22は供給された圧縮空気ACと圧縮燃料ガスFCとを混合して燃焼する。このとき、ガス圧縮機31は、燃料ガスFとしてのBFGを圧縮して圧縮燃料ガスFCとし、燃焼器22に供給する。タービン23は、燃焼器22から供給された燃焼ガスFGにより回転駆動する。また、ガスタービン11(タービン23)から排出された排ガスEGは、排熱回収ボイラ12に送られ、排熱回収ボイラ12は蒸気(過熱蒸気)Sを生成し、蒸気Sが蒸気タービン13に送られる。タービン27は、この蒸気Sにより回転駆動する。発電機14は、ガスタービン11及び蒸気タービン13によりロータ24及び回転軸28が駆動回転することで発電を行う。
【0030】
図2は、本実施形態の燃料ガスの冷却システムを表す概略構成図である。
【0031】
本実施形態の燃料ガスの冷却システムは、燃料ガスとして、ガスタービン11の燃焼器22に供給する圧縮燃料ガスFCを冷却するものである。
図2に示すように、ガス冷却器39は、ハウジング51と、ヘッダー52と、噴霧ノズル53と、ホッパ54とを有している。ハウジング51は、中空形状をなし、下部にガス導入部61が設けられ、上部にガス排出部62が設けられている。また、ハウジング51は、内部にガス導入部61に連続する第1ガイド部材63が設けられると共に、第1ガイド部材63の上方に対向して第2ガイド部材64が設けられることで、ガス導入部61とガス排出部62との間に屈曲通路65が設けられる。
【0032】
ヘッダー52は、ハウジング51の外部に上方に配置されており、冷却水供給ラインL13の下流側端部が接続されている。噴霧ノズル53は、ハウジング51内の屈曲通路65に複数配置されており、ヘッダー52からの冷却水ラインL21が接続されている。ホッパ54は、ヘッダー52の下部で、ガス導入部61の周囲に配置されており、複数の噴霧ノズル53から噴霧された冷却水CWが一時的に貯留される。ホッパ54は、下部に冷却水排出ライン(排出経路)L14の上流側端部が連通されている。
【0033】
冷却水ピット(冷却水貯留部)40は、ガス冷却器39より下方に配置されており、所定量の冷却水CWを貯留することができる。冷却水ピット40は、液相部71と気相部(不活性ガス貯留部)72とから構成されており、液相部71に冷却水CWが貯留され、気相部72に不活性ガス(例えば、窒素)Nが充填される。そして、冷却水供給ラインL13の上流側端部が液相部71に連通すると共に、冷却水排出ラインL14の下流側端部が液相部71に連通する。そして、冷却水供給ラインL13は、冷却水供給ポンプ41が設けられている。また、冷却水ピット40は、液相部71に不活性ガスNを供給してパブリングさせる不活性ガス供給ラインL22が設けられている。そのため、冷却水ピット40は、気相部72が大気より圧力の高い正圧に維持される。更に、冷却水ピット40は、液相部71の冷却水CWに溶存して気相部72に至る一酸化炭素COを排出するガス排出ラインL23が設けられている。
【0034】
冷却水排出ラインL14は、中途部にサイフォン部81が設けられると共に、サイフォン部81にガスライン(連通経路)L24が連通している。このサイフォン部81とガスラインL24によりサイフォンブレーク部が構成される。このサイフォンブレーク部は、冷却水供給ポンプ41が停止してガス冷却器39への冷却水CWの供給が停止しても、ガス冷却器39からの冷却水CWの排出を止め、ガス冷却器39のホッパ54に所定量の冷却水CWを確保することで、圧縮燃料ガスFCによるガス冷却器39の高温化を抑制するものである。
【0035】
サイフォン部81は、第1鉛直部82と、第2鉛直部83と、第1鉛直部82と第2鉛直部83を連結する水平部84とを有する。なお、第1鉛直部82と第2鉛直部83は、傾斜部であってもよい。そして、水平部84は、鉛直方向における位置がガス冷却器39のホッパ54に貯留される冷却水CWの上限レベルになるように設定される。そして、サイフォン部81は、水平部84の上部にガスラインL24の一端部が連通され、ガスラインL24は、他端部が冷却水ピット40の気相部72に連通されている。ここで、水平部84は、ガスラインL24の一部を構成する配管であり、ガスラインL24が配管の上部に連結され、配管の下部の位置がガス冷却器39のホッパ54に貯留される冷却水CWの上限レベルになる。
【0036】
このように構成された本実施形態の燃料ガスの冷却システムにて、圧縮燃料ガスFCは、燃料ガス戻しラインL12によりガス冷却器39に供給される一方、冷却水CWは、冷却水供給ポンプ41を駆動することで、冷却水ピット40から冷却水供給ラインL13によりガス冷却器39に供給される。ガス冷却器39では、圧縮燃料ガスFCがガス導入部61から屈曲通路65を通ってガス排出部62に流れ、冷却水CWが噴霧ノズル53により屈曲通路65に噴霧されることで、圧縮燃料ガスFCが冷却水CWに接触して冷却される。冷却された圧縮燃料ガスFCは、燃料ガス戻しラインL12から燃料ガス供給ラインL11に流れ、燃料ガスFに混入されて電気集塵機37に流れる。一方、圧縮燃料ガスFCを冷却した冷却水CWは、ホッパ54に一時的に貯留された後、自重により冷却水排出ラインL14により冷却水ピット40に戻される。
【0037】
このガス冷却器39の作動中、冷却水供給ポンプ41を停止すると、冷却水ピット40から冷却水供給ラインL13によるガス冷却器39への冷却水CWの供給が停止する。すると、ガス冷却器39は、ホッパ54に貯留されている冷却水CWが継続して冷却水排出ラインL14により冷却水ピット40に戻されることから、ホッパ54に貯留されている冷却水CWの貯留量が低下する。そして、ホッパ54の冷却水CWの貯留量が下限レベルを下回ると、冷却水ピット40の不活性ガスNがガスラインL24を通してサイフォン部81の水平部84に供給されることから、サイフォンブレーク効果によりホッパ54から冷却水排出ラインL14を通した冷却水CWの排出が停止し、ガス冷却器39のホッパ54に所定量の冷却水が確保される。
【0038】
また、このとき、サイフォン部81に供給された不活性ガスNが冷却水排出ラインL14によりガス冷却器39内に侵入し、圧縮燃料ガスFCに混入する可能性がある。しかし、不活性ガスNは、空気を含んでいないことから、ガス冷却器39内の不活性ガスNを含んだ圧縮燃料ガスFCが電気集塵機37を通過したり、その後、ガスタービン11の燃焼器22に供給されたりしても、電気集塵機37や燃焼器22に悪影響を及ぼすことがない。
【0039】
なお、上述した実施形態では、冷却水排出ラインL14にサイフォン部81を設け、サイフォン部81にガスラインL24の一端部を連通し、他端部を冷却水ピット40の気相部72に連通したが、この構成に限定されるものではない。
図3は、本実施形態の燃料ガスの冷却システムの変形例を表す概略構成図である。
【0040】
本実施形態の燃料ガスの冷却システムの変形例において、
図3に示すように、燃料ガス供給ラインL11は、電気集塵機37が設けられている。この電気集塵機37は、入口部91と出口部92を有するハウジング93内に集塵電極94が配置されて構成されている。また、電気集塵機37は、集塵電極94の上方にこの集塵電極94に付着した異物を除去するための洗浄水の噴射ノズル95が複数設けられている。洗浄水ピット96は、電気集塵機37の下方に配置され、電気集塵機37と洗浄水ピット96との間に洗浄水供給ラインL31と洗浄水排出ラインL32が設けられている。洗浄水供給ラインL31は、洗浄水供給ポンプ97が設けられ、洗浄水供給ポンプ97を駆動することで、洗浄水ピット96の洗浄水を洗浄水供給ラインL31から噴射ノズル95に供給し、集塵電極94に洗浄水を噴霧して洗浄する。集塵電極94を洗浄した洗浄水は、自重により洗浄水排出ラインL32から洗浄水ピット96に戻される。
【0041】
洗浄水ピット(冷却水貯留部)96は所定量の洗浄水WWを貯留することができる。洗浄水ピット96は、液相部101と気相部(不活性ガス貯留部)102とから構成されており、液相部101に冷却水WWが貯留され、気相部102に不活性ガス(例えば、窒素)Nが充填される。また、洗浄水ピット96は、液相部101に不活性ガスNを供給してパブリングさせる不活性ガス供給ラインL33が設けられている。そして、洗浄供給ラインL31の上流側端部が液相部101に連通すると共に、冷却水排出ラインL32の下流側端部が液相部101に連通する。ガス冷却器39(
図2参照)からの冷却水排出ラインL14は、中途部にサイフォン部81が設けられると共に、サイフォン部81にガスライン(連通経路)L24の一端部が連通され、ガスラインL24は、他端部が洗浄水ピット96の気相部102に連通されている。
【0042】
ガス冷却器39は、冷却水CWの供給が停止すると、冷却水CWの貯留量が下限レベルを下回り、集塵電極94洗浄水ピット96の不活性ガスNがガスラインL24を通してサイフォン部81に供給される。すると、サイフォンブレーク効果によりガス冷却器39から冷却水排出ラインL14を通した冷却水CWの排出が停止し、ガス冷却器39に所定量の冷却水が確保される。このとき、サイフォン部81に供給された不活性ガスNが冷却水排出ラインL14によりガス冷却器39内に侵入するが、不活性ガスNは、空気を含んでいないことから、電気集塵機37や燃焼器22に悪影響を及ぼすことがない。
【0043】
このように本実施形態の燃料ガスの冷却システムにあっては、燃料ガス(圧縮燃料ガスFC)に冷却水CWを接触させて冷却するガス冷却器39と、ガス冷却器39に貯留される冷却水CWを排出する冷却水排出ラインL14と、冷却水排出ラインL14に設けられるサイフォン部81と、不活性ガスを貯留する不活性ガス貯留部としての冷却水ピット40の気相部72と、一端部がサイフォン部81に連通されて他端部が気相部72に連通されるガスラインL24とを設けている。
【0044】
従って、サイフォン部81がガスラインL24により冷却水ピット40の気相部72に連通されていることから、ガス冷却器39内に空気中の酸素が入り込んで燃料ガスに混入することはなく、安全性を確保して信頼性の向上を図ることができる。
【0045】
本実施形態の燃料ガスの冷却システムでは、不活性ガス貯留部としての冷却水ピット40の気相部72を大気より圧力の高い正圧に維持している。従って、ガス冷却器39への冷却水CWの供給が停止し、ガス冷却器39のホッパ54の冷却水CWの貯留量が低下したとき、気相部72の不活性ガスNをガスラインL24からサイフォン部81に適切に供給し、ガス冷却器39からの冷却水CWの排出を停止することができる。
【0046】
本実施形態の燃料ガスの冷却システムでは、冷却水排出ラインL14により排出される冷却水CWを貯留する冷却水ピット40の気相部72に不活性ガスNを充填し、または、電気集塵機37の冷却水ピットの気相部に不活性ガスNを充填し、一端部がサイフォン部81に連通するガスラインL24の他端部を冷却水ピット40の気相部72に連通することから、別途、不活性ガス貯留部を設ける必要がなく、設備の大型化を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のガスタービンプラントにあっては、圧縮機21と燃焼器22とタービン23とを有するガスタービン11と、燃焼器22に供給する燃料ガス(圧縮燃料ガスFC)を冷却する燃料ガスの冷却システムとを設けている。
【0048】
従って、燃料ガスは、ガス冷却器39により冷却水CWが接触して冷却され、燃料ガス供給ラインL3を通してガスタービン11の燃焼器22に供給されて燃焼する。一方、燃料ガスを冷却した冷却水CWは、ガス冷却器39のホッパ54に貯留された後に冷却水排出ラインL14からに排出される。このとき、サイフォン部81がガスラインL24により冷却水ピット40の気相部72に連通されていることから、ガス冷却器39内に空気中の酸素が入り込んで燃料ガスに混入することはなく、燃料ガスが燃料ガス供給ラインL3に配置されている電気集塵機37や燃焼器22に悪影響を及ぼすことはなく、安全性を確保して信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、一端部がサイフォン部81に連通するガスラインL24の他端部を、ガス冷却器39における冷却水ピット40の気相部72、または、電気集塵機37における冷却水ピットの気相部に連通したが、別途、サイフォン部81に連通するガスラインL24の他端部を連通する専用の不活性ガス貯留部を設けてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、本発明の燃料ガスの冷却システムを、燃料ガスとしての高炉ガス(BFG)を圧縮するものとして説明したが、その他の燃料ガスを冷却するものに適用してもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、本発明のガスタービンプラントをコンバインドサイクルプラント10に適用して説明したが、排熱回収ボイラ12や蒸気タービン13がなく、ガスタービン11を有するガスタービンプラントとしてもよい。