(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学的風化程度評価工程では、前記岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、前記データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の前記明度及び前記色度の部位が占める面積率と前記化学的風化の程度とに基づいて、前記岩盤の前記化学的風化の程度を評価する、請求項1に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記物理的風化程度評価工程では、前記岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、前記データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の前記穿孔速度の部位が占める割合と前記物理的風化の程度とに基づいて、前記岩盤の前記物理的風化の程度を評価する、請求項1又は2に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記物理的風化程度評価工程では、前記岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、前記データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の前記弾性率の部位が占める割合と前記物理的風化の程度とに基づいて、前記岩盤の前記物理的風化の程度を評価する、請求項1又は2に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記化学的風化程度評価工程では、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記明度及び前記色度の部位が占める前記面積率に関連付けられて記憶された前記化学的風化の程度を較正する、請求項2に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記物理的風化程度評価工程では、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された前記物理的風化の程度を較正する、請求項3に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記物理的風化程度評価工程では、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された前記物理的風化の程度を較正する、請求項4に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記風化変質評価区分導出工程では、前記入力装置に入力された前記岩石の前記種類と前記風化変質の前記評価区分とに基づく機械学習により、前記データベースに前記岩石の前記種類ごとに前記化学的風化の程度と前記物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された前記風化変質の前記評価区分を較正する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の岩盤の風化変質評価方法。
前記化学的風化程度評価部は、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記明度及び前記色度の部位が占める前記面積率に関連付けられて記憶された前記化学的風化の程度を較正する、請求項10に記載の岩盤の風化変質評価装置。
前記物理的風化程度評価部は、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された前記物理的風化の程度を較正する、請求項11に記載の岩盤の風化変質評価装置。
前記物理的風化程度評価部は、前記入力装置に入力された前記風化変質の前記評価区分に基づく機械学習により、前記データベースに任意の前記弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された前記物理的風化の程度を較正する、請求項12に記載の岩盤の風化変質評価装置。
前記風化変質評価区分導出部は、前記入力装置に入力された前記岩石の前記種類と前記風化変質の前記評価区分とに基づく機械学習により、前記データベースに前記岩石の前記種類ごとに前記化学的風化の程度と前記物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された前記風化変質の前記評価区分を較正する、請求項9〜15のいずれか1項に記載の岩盤の風化変質評価装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような技術では、岩盤の風化変質の評価の精度が低い場合がある。そのため、即時性を担保しつつ、定量的な岩盤の風化変質の評価の精度を向上させることが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、即時性を担保しつつ、定量的な岩盤の風化変質の評価の精度を向上させることができる岩盤の風化変質評価方法及び岩盤の風化変質評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入力装置が岩盤に含まれている岩石の種類を入力される岩種入力工程と、岩盤の化学的風化の程度を評価する化学的風化程度評価工程と、岩盤の物理的風化の程度を評価する物理的風化程度評価工程と、岩種入力工程により入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価工程により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価工程により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベースに互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分を導出する風化変質評価区分導出工程とを備えた岩盤の風化変質評価方法である。
【0008】
この構成によれば、岩種入力工程で入力装置が岩盤に含まれている岩石の種類を入力され、化学的風化程度評価工程で岩盤の化学的風化の程度が評価され、物理的風化程度評価工程で岩盤の物理的風化の程度が評価される。風化変質評価区分導出工程では、岩種入力工程により入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価工程により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価工程により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベースに互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分が導出される。これにより、岩盤の化学的風化の程度と物理的風化の程度との両方が風化変質の評価区分の導出に用いられるため、化学的風化の程度と物理的風化の程度のいずれか一方しか用いない方法に比べて、即時性を担保しつつ、定量的な岩盤の風化変質の評価の精度を向上させることができる。
【0009】
この場合、化学的風化程度評価工程では、岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度を評価することが好適である。
【0010】
この構成によれば、化学的風化程度評価工程では、岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度が評価されるため、岩盤に接触及び近接しなくとも、短時間で簡単に岩盤の化学的風化の程度を評価することができる。
【0011】
また、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価することが好適である。
【0012】
この構成によれば、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価されるため、岩盤に穿孔しながら短時間で簡単に岩盤の物理的風化の程度を評価することができる。
【0013】
あるいは、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価することが好適である。
【0014】
この構成によれば、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価されるため、短時間で簡単に岩盤の物理的風化の程度を評価することができる。
【0015】
また、化学的風化程度評価工程で岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率に基づいて化学的風化の程度が評価される場合には、化学的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の明度及び色度の部位が占める面積率に関連付けられて記憶された化学的風化の程度を較正することが好適である。
【0016】
この構成によれば、化学的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の明度及び色度の部位が占める面積率に関連付けられて記憶された化学的風化の程度が較正されるため、化学的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0017】
また、物理的風化程度評価工程で岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合に基づいて物理的風化の程度が評価される場合には、物理的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度を較正することが好適である。
【0018】
この構成によれば、物理的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正されるため、物理的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0019】
また、物理的風化程度評価工程で岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合に基づいて物理的風化の程度が評価される場合には、物理的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度を較正することが好適である。
【0020】
この構成によれば、物理的風化程度評価工程では、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正されるため、物理的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0021】
また、風化変質評価区分導出工程では、入力装置に入力された岩石の種類と風化変質の評価区分とに基づく機械学習により、データベースに岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された風化変質の評価区分を較正することが好適である。
【0022】
この構成によれば、風化変質評価区分導出工程では、入力装置に入力された岩石の種類と風化変質の評価区分とに基づく機械学習により、データベースに岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された風化変質の評価区分が較正されるため、風化変質の評価の精度をさらに向上させることができる。
【0023】
一方、本発明は、岩盤に含まれている岩石の種類を入力される入力装置と、岩盤の化学的風化の程度を評価する化学的風化程度評価部と、岩盤の物理的風化の程度を評価する物理的風化程度評価部と、岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とが互いに関連付けられて記憶されたデータベースと、入力装置に入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価部により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価部により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベースに互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分を導出する風化変質評価区分導出部とを備えた岩盤の風化変質評価装置である。
【0024】
この場合、岩盤を撮像するカメラをさらに備え、化学的風化程度評価部は、カメラによる岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度を評価することが好適である。
【0025】
また、岩盤の任意の部位に穿孔する削岩機をさらに備え、物理的風化程度評価部は、削岩機により岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価することが好適である。
【0026】
また、岩盤の任意の部位に打撃を加えるハンマーをさらに備え、物理的風化程度評価部は、ハンマーにより岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベースに互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価することが好適である。
【0027】
また、化学的風化程度評価部で岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率に基づいて化学的風化の程度が評価される場合には、化学的風化程度評価部は、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の明度及び色度の部位が占める面積率に関連付けられて記憶された化学的風化の程度を較正することが好適である。
【0028】
物理的風化程度評価部で岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合に基づいて物理的風化の程度が評価される場合には、物理的風化程度評価部は、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度を較正することが好適である。
【0029】
物理的風化程度評価部で岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合に基づいて物理的風化の程度が評価される場合には、物理的風化程度評価部は、入力装置に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベースに任意の弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度を較正することが好適である。
【0030】
また、風化変質評価区分導出部は、入力装置に入力された岩石の種類と風化変質の評価区分とに基づく機械学習により、データベースに岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された風化変質の評価区分を較正することが好適である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の岩盤の風化変質評価方法及び岩盤の風化変質評価装置によれば、即時性を担保しつつ、定量的な岩盤の風化変質の評価の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る岩盤の風化変質評価方法及び岩盤の風化変質評価装置の実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の風化変質評価装置10は、入力装置11、カメラ12、削岩機13、ハンマー14、化学的風化程度評価部15、物理的風化程度評価部16、データベース17及び風化変質評価区分導出部18を備える。本実施形態の風化変質評価装置10は、例えば、切羽の岩盤への穿孔位置をコンピュータにより制御可能なドリルジャンボ等のトンネル工事用機械に搭載され、トンネルを掘削しつつ即時的に切羽の岩盤の風化変質の定量的な評価を行う装置である。
【0034】
入力装置11は、地質技術者等により切羽の岩盤に含まれている岩石の頁岩や砂岩等の種類を入力される。また、入力装置11は、地質技術者等により切羽の岩盤の風化変質の評価区分を入力される。入力装置11は、キーボード、タッチパネル等から構成されている。入力装置11は、化学的風化程度評価部15、物理的風化程度評価部16及び風化変質評価区分導出部18に接続されている。
【0035】
カメラ12は、切羽の岩盤を撮像する。カメラ12は、ドリルジャンボ等のトンネル工事用機械に搭載されており、風化変質評価装置10の化学的風化程度評価部15に接続されている。また、カメラ12は、タブレット型のパーソナルコンピュータ等に内蔵されており、当該タブレット型のパーソナルコンピュータが風化変質評価装置10の化学的風化程度評価部15に接続可能にされていてもよい。
【0036】
削岩機13は、切羽の岩盤の任意の部位に穿孔する。削岩機13は、例えば、切羽の岩盤への穿孔位置をコンピュータにより制御可能なドリルジャンボ等のトンネル工事用機械である。削岩機13は、風化変質評価装置10の物理的風化程度評価部16に接続されている。
【0037】
ハンマー14は、切羽の岩盤の任意の部位に打撃を加える。ハンマー14の打撃を加える部位は、金属の球体である。ハンマー14には加速度センサが取り付けられており、加速度センサは風化変質評価装置10の物理的風化程度評価部16に接続されている。なお、風化変質評価装置10は、削岩機13及びハンマー14のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0038】
化学的風化程度評価部15、物理的風化程度評価部16及び風化変質評価区分導出部18は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットであり、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の工程を実行する。また、データベース17は、ドリルジャンボ等のトンネル工事用機械に搭載されたHDD[Hard disk drive]等により構成されている。
【0039】
化学的風化程度評価部15は、切羽の岩盤の化学的風化の程度を評価する。化学的風化とは、水、酸素及び紫外線等が関係した化学反応によって岩盤の岩石が分解又は溶解することを意味する。後述するように、化学的風化程度評価部15は、カメラ12による切羽の岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度を評価する。
【0040】
物理的風化程度評価部16は、切羽の岩盤の物理的風化の程度を評価する。物理的風化とは、岩盤の岩石に加わる圧力の変化等により、岩石を形成する鉱物間の結合が緩まり、結合が破壊されることを意味する。後述するように、物理的風化程度評価部16は、削岩機13により切羽の岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価する。
【0041】
また、後述するように、物理的風化程度評価部16は、ハンマー14により切羽の岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度を評価する。
【0042】
データベース17には、岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とが互いに関連付けられて記憶されている。風化変質の評価区分とは、例えば、「トンネル施工管理要領(計測工編)」、日本道路公団、1997年、p.24に記載の風化変質の評価区分を意味する。また、データベース17には、切羽の岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とが互いに関連付けられて記憶されている。また、データベース17には、削岩機13により切羽の岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とが互いに関連付けられて記憶されている。また、データベース17には、ハンマー14により切羽の岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とが互いに関連付けられて記憶されている。
【0043】
風化変質評価区分導出部18は、入力装置11に入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価部15により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価部16により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベース17に互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分を導出する。
【0044】
以下、本実施形態の岩盤の風化変質評価装置10の動作及び風化変質評価装置10を用いた本実施形態の岩盤の風化変質評価方法について説明する。
図2に示すように、地質技術者等により風化変質評価装置10の入力装置11が切羽の岩盤に含まれている岩石の頁岩や砂岩等の種類を入力される岩種入力工程が行われる(S1)。
【0045】
風化変質評価装置10の化学的風化程度評価部15により、切羽の岩盤の化学的風化の程度を評価する化学的風化程度評価工程が行われる(S2)。化学的風化程度評価工程では、岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度が評価される。
【0046】
まず、予めトンネル工事の現場の岩石の試料が採取される。現場の岩石の試料中で最も化学的風化の進んでいない試料の明度及び色度である色調値(L*a*b*値)が測定され、現場の岩石の試料中で最も化学的風化が進んだ試料の明度及び色度である色調値が測定される。
図3に示すように、現場の岩石で最も化学的風化の進んでいない試料の色調値Cfと、現場の岩石で最も化学的風化の進んだ試料の色調値Cwとが取得される。化学的風化程度評価部15により、データベース17に、色調値Cfと色調値Cwとの間が0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分となるように、等間隔に色調値の閾値が設定される。
【0047】
図4に示すように、カメラ12により切羽20の岩盤が撮影される。化学的風化程度評価部15により、カメラ12による撮像画像の各画素が色調値に変換される。撮影時には、カラーバー30による色調補正が行われ、同一の色調値を有する物体が撮影された場合には、デジタル画像である撮像画像内の画素は同一の色調値を示すように較正される。切羽20の撮像画像の各画素の色調値は、0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分に区分される。
図5に示すように、切羽20の岩盤の撮像画像における0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分が切羽20の岩盤の撮像画像の全面積に占める面積率が算出される。なお、以下の説明において、切羽20の岩盤の化学的風化の程度の評価、物理的風化の程度の評価及び風化変質の評価区分の導出は、切羽20の天端21、左肩部22及び右肩部23に分類されて行われてもよい。
【0048】
化学的風化程度評価工程では、化学的風化程度評価部15により、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習によって、データベース17に任意の明度及び色度の部位が占める面積率に関連付けられて記憶された化学的風化の程度が較正される。
図6(A)に示すように、化学的風化程度評価部15によりデータベース17に、合計面積率に対して初期設定として、平均値μ1=20[%]、標準偏差σ1=10[%]とする正規分布を示す評価曲線E1が設定され、平均値μ2=40[%]、標準偏差σ2=10[%]とする正規分布を示す評価曲線E2が設定され、平均値μ3=60[%]、標準偏差σ3=10[%]とする正規分布を示す評価曲線E3が設定され、平均値μ4=80[%]、標準偏差σ4=10[%]とする正規分布を示す評価曲線E4が設定される。
【0049】
評価曲線E1,E2,E3,E4のそれぞれは、風化変質の評価区分1,2,3,4に対応している。本実施形態では、人間による風化変質の評価区分のばらつきを考慮して、正規分布を示す評価曲線E1,E2,E3,E4が設定される。なお、平均値μ1,μ2,μ3,μ4及び標準偏差σ1,σ2,σ3,σ4の初期設定は任意であり、μ1≦μ2≦μ3≦μ4であれば、どのような初期設定であってもよい。例えば、μ4−μ3≒μ3−μ2≒μ2−μ1でもよい。また、例えば、μ1=μ2=0[%]であり、μ3=μ4=100[%]でもよい。
【0050】
図6(B)に示すように、化学的風化程度評価部15により、色調値区分a以上の色調値区分a、b、c及びdの色調値区分の合計面積率=B+C+D+Eが算出される。例えば、色調値区分a以上の色調値区分a、b、c及びdの色調値区分の合計面積率=B+C+D+E=26[%]が算出される。化学的風化程度評価部15により、合計面積率=26[%]に対して、評価曲線E1,E2,E3,E4のそれぞれの度数P1,P2,P3,P4が算出される。化学的風化程度評価部15は、最も度数P1〜P4が大きい評価曲線E1〜E4が対応する風化変質の評価区分を化学的風化の程度として評価する。
図6(B)の例では、P1>P2>P3>P4であるため、化学的風化程度評価部15により、化学的風化の程度として、切羽20の岩盤の風化変質の評価区分1が導出される。
【0051】
一方、地質技術者等により入力装置11に入力された切羽20の岩盤の風化変質の評価区分は評価区分2であると仮定する。風化変質の評価区分2に対応する評価曲線E2の平均値μ2=40[%]である。化学的風化程度評価部15により、データベース17の評価曲線E2の再設定が行われる。
図6(C)に示すように、カメラ12の撮像による測定から得られた合計面積率=26[%]に平均値μ2が接近するように、化学的風化程度評価部15により、測定による合計面積率=26[%]と、入力された評価区分2に対応する評価曲線E2の平均値μ2=40[%]との平均値が新たな平均値μ2として算出される。新たな平均値μ2=(26+40)/2=33[%]である。化学的風化程度評価部15により、評価曲線E2の平均値μ2=33[%]となるように、データベース17に記憶された評価曲線E2の移動が行われる。この場合、評価曲線E2の標準偏差σ2が増大させられてもよい。
【0052】
化学的風化程度評価部15により、色調値区分b以上の色調値区分b、c及びdの色調値区分の合計面積率=C+D+E、色調値区分c以上の色調値区分c及びdの色調値区分の合計面積率=D+E及び色調値区分dの面積率=Eについても、同様の処理が行われる。このように、機械による判断と人間による判断とを比較し、コンピュータプログラムと人間との対話により、評価曲線E1〜E4を適切に再設定することで機械学習が行われる。機械学習により、化学的風化程度評価部15により、人間と同様の評価が行われるようになる。
【0053】
なお、色調値区分aのみの合計面積率ではなく、色調値区分a以上の色調値区分の合計面積率=B+C+D+E等の複数の色調値区分の合計面積率が用いられる理由は、上記の機械学習により評価曲線E1〜E4が大きく変動し過ぎ、例えば、評価曲線E4の平均値μ4が評価曲線E3の平均値μ3を下回るような事態が生じることを防止するためである。また、合計面積率=B+C+D+E、合計面積率=C+D+E等により化学的風化の程度として導出された風化変質の評価区分が互いに異なる場合には、化学的風化程度評価部15は、例えば、合計面積率=B+C+D+E、合計面積率=C+D+E等により導出された風化変質の評価区分の中で、最も導出された頻度が多いものや、最も風化変質の評価区分の値が大きい評価区分を採用する。
【0054】
図2に戻り、風化変質評価装置10の物理的風化程度評価部16により、切羽の岩盤の物理的風化の程度を評価する物理的風化程度評価工程が行われる(S3)。物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価される。
【0055】
図7に示すように、削岩機13により切羽20の岩盤の任意の部位に穿孔部24が穿孔される。物理的風化程度評価部16により、穿孔部24に穿孔したときの穿孔速度が取得される。物理的風化程度評価部16により、切羽20の岩盤で最も穿孔速度が高く、最も物理的風化の進んでいない部位である穿孔部24と、切羽20の岩盤で最も穿孔速度が低く、最も物理的風化の進んだ部位である穿孔部24とがその穿孔速度とともに取得される。物理的風化程度評価部16により、データベース17に、最も高い穿孔速度と最も低い穿孔速度との間が0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分となるように、等間隔に穿孔速度の閾値が設定される。
図8に示すように、切羽20の岩盤の穿孔部24における0、a、b、c及びdの5段階の穿孔速度区分の穿孔部24が切羽20の岩盤の全ての穿孔部24に占める割合が算出される。
【0056】
物理的風化程度評価工程では、物理的風化程度評価部16により、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習によって、データベース17に任意の穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正される。0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分の面積率を0、a、b、c及びdの5段階の穿孔速度区分の割合に置き換えて、上記の化学的風化程度評価工程と同様に、物理的風化程度評価部16により、データベース17に記憶された物理的風化の程度が較正される。
【0057】
また、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価される。
図9に示すように、ハンマー14により切羽20の岩盤の任意の部位に打撃が加えられる。物理的風化程度評価部16により、ハンマー14により打撃を加えられた岩盤の被打撃部25の弾性率が算出される。
【0058】
以下、ハンマー14により打撃を加えられた岩盤の被打撃部25の弾性率の算出について説明する。物理的風化程度評価部16により、ハンマー14と岩盤との接触時間と、ハンマー14の球体の速度とが測定される。例えば、モニタの液晶ディスプレイにハンマー14により岩盤に打撃を加えたときの加速度の波形が表示される。ハンマー14と岩盤との接触時間は、当該加速度の波形を解析することにより測定することができる。また、ハンマー14の球体の速度は、例えば、ハンマー14が岩盤に接触するまでにハンマー14に取付けられた加速度センサにより検出されたハンマー14の球体の加速度を積分することにより測定することができる。
【0059】
物理的風化程度評価部16により、測定された接触時間及びハンマー14の球体の速度と、ハンマー14の球体のポアソン比と、ハンマー14の球体の弾性係数と、ハンマー14の球体の質量と、ハンマー14の球体の半径と、岩盤のポアソン比とから、岩盤の弾性係数が算出される。本実施形態では、Hertzの弾性接触理論を応用して岩盤の弾性係数が算出される。Hertzの弾性接触理論によれば、接触時間Tは、下式(1)により算出することができる。下式(1)において、接触時間=T、ハンマー14の球体の速度=V
0、ハンマー14の球体のポアソン比=ν
H、ハンマー14の球体の弾性係数=E
H、ハンマー14の球体の質量=m、ハンマー14の球体の半径=r、岩盤のポアソン比=ν
C、岩盤の弾性係数=E
C、無次元係数=aである。
【数1】
【0060】
ハンマー14の球体については、接触時間T、速度V
0、ポアソン比ν
H、弾性係数E
H、質量m及び半径rが既知である。一方、岩盤については、弾性係数E
C及びポアソン比ν
Cが不明である。しかし、ただし、ポアソン比ν
Cは、ハンマー14の球体の変形量には大きな影響を与えないパラメータであるため、常に同じ概算値等を用いても実用上問題が無い。すなわち、ハンマー14の球体の接触時間T、速度V
0、ポアソン比ν
H、弾性係数E
H、質量m及び半径rと、仮定した岩盤のポアソン比ν
Cとから、岩盤の弾性係数E
Cを下式(2)により求めることができる。
【数2】
【0061】
物理的風化程度評価部16により、切羽20の岩盤で最も弾性率が高く、最も物理的風化の進んでいない被打撃部25と、切羽20の岩盤で最も弾性率が低く、最も物理的風化の進んだ被打撃部25とがその弾性率とともに取得される。物理的風化程度評価部16により、データベース17に、最も高い弾性率と最も低い弾性率との間が0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分となるように、等間隔に弾性率の閾値が設定される。
図10に示すように、切羽20の岩盤の穿孔部24における0、a、b、c及びdの5段階の弾性率区分の被打撃部25が切羽20の岩盤の全ての被打撃部25に占める割合が算出される。
【0062】
物理的風化程度評価工程では、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベース17に任意の弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正される。0、a、b、c及びdの5段階の色調値区分の面積率を0、a、b、c及びdの5段階の弾性率区分の割合に置き換えて、上記の化学的風化程度評価工程と同様に、物理的風化程度評価部16により、データベース17に記憶された物理的風化の程度が較正される。なお、岩種入力工程、化学的風化程度評価工程及び物理的風化程度評価工程が行われる順序は特に限定されない。
【0063】
図2に戻り、風化変質評価装置10の風化変質評価区分導出部18により、岩種入力工程により入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価工程により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価工程により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベース17に互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分を導出する風化変質評価区分導出工程が行われる(S18)。
【0064】
図11に示すように、データベース17には、岩石の種類ごとに互いに関連付けられた化学的風化の程度cと物理的風化の程度pと風化変質の評価区分C
wを算出するための要素(係数)とからなるマトリクスMが記憶されている。本実施形態では、化学的風化程度評価工程により評価された岩盤の化学的風化の程度cの値と、物理的風化程度評価工程により評価された岩盤の物理的風化の程度pの値とを基に、風化変質の評価区分を算出するためのマトリクスMとから最終的な風化変質の評価区分C
wが算出される。
図11に示すように、マトリクスMの要素m
cpの添字c,pはマトリクスMの行及び列に対応しており、下式(3)により風化変質の評価区分C
wが算出される。なお、下式(3)において、qは任意の補正係数である。
【数3】
【0065】
このときマトリクスMは、既存の施工データを基に岩石の種類ごとに決定されているものとする。例えば、頁岩のマトリクスMが
図12(A)のように設定されている場合は、化学的風化の程度c=1で、物理的風化の程度p=1のときは、マトリクスMの要素m
cp=m
11=0.5であることから、頁岩の風化変質の評価区分C
wは下式(4)のように算出される。なお、下式(4)において、補正係数q=1とする。
【数4】
【0066】
同様に、他の化学的風化の程度cの値と物理的風化の程度pの値とについて頁岩の風化変質の評価区分C
wを求めると、
図13(A)に示すようになる。岩石の種類によって化学的風化及び物理的風化への耐性が異なるため、岩石の種類によって風化変質の評価区分C
wを算出するためマトリクスMや風化変質の評価区分C
wも異なるものとなる。例えば、砂岩のマトリクスMは
図12(B)のように設定される。また、様々な化学的風化の程度cの値と物理的風化の程度pの値とについて砂岩の風化変質の評価区分C
wを求めると、
図13(B)に示すようになる。
【0067】
上述した
図13(A)及び
図13(B)に示すように、データベース17には、岩石の種類ごとに、化学的風化の程度cと物理的風化の程度pと風化変質の評価区分C
wとがデータベース17に互いに関連付けられて記憶されている。例えば、
図13(A)において、岩盤に含まれている岩石が頁岩で、化学的風化程度評価工程で化学的風化の程度cが3と評価され、物理的風化程度評価工程で物理的風化の程度pが2と評価された場合には、風化変質評価区分導出部18は、当該岩盤の風化変質の評価区分C
wを3として導出する。また、例えば、
図13(B)において、岩盤に含まれている岩石が砂岩で、化学的風化程度評価工程で化学的風化の程度cが3と評価され、物理的風化程度評価工程で物理的風化pの程度が2と評価された場合には、風化変質評価区分導出部18は、当該岩盤の風化変質の評価区分C
wを2として導出する。
【0068】
図13(A)に示すように、物理的風化よりも化学的風化の方が風化変質への影響が大きい頁岩では、物理的風化の程度pよりも化学的風化の程度cの方が重視されて、風化変質の評価区分C
wが導出される。一方、
図13(B)に示すように、化学的風化よりも物理的風化の方が風化変質への影響が大きい砂岩では、化学的風化の程度cよりも物理的風化の程度pの方が重視されて、風化変質の評価区分C
wが導出される。
【0069】
風化変質評価区分導出工程では、風化変質評価区分導出部18により、入力装置11に入力された岩石の種類と風化変質の評価区分C
wとに基づく機械学習によって、データベース17に岩石の種類ごとに化学的風化の程度cと物理的風化の程度pとに関連付けられて記憶された風化変質の評価区分C
wが較正される。
図13(A)において、岩盤に含まれている岩石が頁岩で、化学的風化程度評価工程で化学的風化の程度cが3と評価され、物理的風化程度評価工程で物理的風化の程度pが2と評価され、入力装置11に入力された風化変質の評価区分C
wが2である場合が任意の閾値を超える回数だけあった場合には、風化変質評価区分導出部18により、頁岩について化学的風化の程度cが3及び物理的風化の程度pが2に関連付けて記憶された風化変質の評価区分C
wが3から2に変更されて、データベース17に記憶される。
【0070】
上記の機械学習による風化変質の評価区分C
wの較正は、風化変質の評価区分C
wを算出するためのマトリクスM及び補正係数qを較正することにより行われる。マトリクスMの要素m
cp及び補正係数qは、施工によってデータが増加することによって較正される。たとえば、頁岩のマトリクスMの要素m
13が0.5で、風化変質の評価区分C
w=2との結果が得られていても、現場で地質技術者が風化変質の評価区分C
w=1と判断するのが妥当とし、入力装置11に入力された風化変質の評価区分C
wが1である場合には、風化変質評価区分導出部18は、例えば、風化変質の評価区分C
wが1となるようにマトリクスMの要素m
13及び補正係数qの値を減少させるものとする。このように本実施形態の風化変質評価装置10は自己学習により、より地質技術者の判断に近づけていく機能を有するものとする。
【0071】
本実施形態では、岩種入力工程で入力装置11が岩盤に含まれている岩石の種類を入力され、化学的風化程度評価工程で岩盤の化学的風化の程度が評価され、物理的風化程度評価工程で岩盤の物理的風化の程度が評価される。風化変質評価区分導出工程では、岩種入力工程により入力された岩盤に含まれている岩石の種類と、化学的風化程度評価工程により評価された岩盤の化学的風化の程度と、物理的風化程度評価工程により評価された岩盤の物理的風化の程度と、岩石の種類ごとにデータベース17に互いに関連付けられて記憶された化学的風化の程度と物理的風化の程度と風化変質の評価区分とに基づいて、岩盤の風化変質の評価区分が導出される。これにより、岩盤の化学的風化の程度と物理的風化の程度との両方が風化変質の評価区分の導出に用いられるため、化学的風化の程度と物理的風化の程度のいずれか一方しか用いない方法に比べて、即時性を担保しつつ、定量的な岩盤の風化変質の評価の精度を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、化学的風化程度評価工程では、岩盤の撮像画像における任意の明度及び色度の部位が占める面積率と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の明度及び色度の部位が占める面積率と化学的風化の程度とに基づいて、岩盤の化学的風化の程度が評価されるため、岩盤に接触及び近接しなくとも、短時間で簡単に岩盤の化学的風化の程度を評価することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に穿孔したときの任意の穿孔速度の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の穿孔速度の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価されるため、岩盤に穿孔しながら短時間で簡単に岩盤の物理的風化の程度を評価することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、物理的風化程度評価工程では、岩盤の各部位に打撃を加えることにより測定された任意の弾性率の部位が占める割合と、データベース17に互いに関連付けられて記憶された任意の弾性率の部位が占める割合と物理的風化の程度とに基づいて、岩盤の物理的風化の程度が評価されるため、短時間で簡単に岩盤の物理的風化の程度を評価することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、化学的風化程度評価工程では、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベース17に任意の明度及び色度の部位が占める面積率に関連付けられて記憶された化学的風化の程度が較正されるため、化学的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、物理的風化程度評価工程では、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベース17に任意の穿孔速度の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正されるため、物理的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、物理的風化程度評価工程では、入力装置11に入力された風化変質の評価区分に基づく機械学習により、データベース17に任意の弾性率の部位が占める割合に関連付けられて記憶された物理的風化の程度が較正されるため、物理的風化の程度を評価する精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、風化変質評価区分導出工程では、入力装置11に入力された岩石の種類と風化変質の評価区分とに基づく機械学習により、データベース17に岩石の種類ごとに化学的風化の程度と物理的風化の程度とに関連付けられて記憶された風化変質の評価区分が較正されるため、風化変質の評価の精度をさらに向上させることができる。例えば、機械学習がある程度まで進んだ状態では、地質技術者等の専門家がいなくとも、地質技術者等の専門家と同等の精度で風化変質の評価区分を導出することができる。本実施形態では、機械学習のアルゴリズムによって、得られたデータにおける必要なものを選択しながら、風化変質の評価区分の導出の精度を向上させることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、上記実施形態では、トンネル工事において切羽20の岩盤の風化変質の評価区分が導出される態様を中心に説明したが、本発明はトンネル工事以外の場合でも、任意の岩盤の風化変質の評価区分を導出することが可能である。