(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前庭フランジ(2)及び前記上端舌−口蓋フランジ(6)は、前記咬合面(3)によってそれらの間にうまく近づけられて歯レールガイドを形成し、前記歯レールガイドは、上前歯領域(犬歯切歯)で少なくとも2mmの厚さを有し、後歯領域(小臼歯)で少なくとも5mmの厚さを有し、臼歯の最後部領域で少なくとも10mmの厚さを有し、前記前庭フランジ(2)及び前記下端舌−口蓋フランジ(6)は上側フランジよりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置(1,10,20,20’)。
前記咬合面(3)は、後咬合部(3b,3’b)よりも隆起される前咬合部(3a,3’a)を有することを特徴とする請求項1に記載の歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置(1,10,20,20’)。
前記咬合面(3'')は、下顎咬合に対する上顎前方スライド効果を伴って前咬合部(3''a)よりも隆起される後咬合部(3''b)を有することを特徴とする請求項1に記載の歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置(40)。
前記突起(9a,19a,29a,39a,49a,59a,69a)が「舌」であることを特徴とする請求項1に記載の歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置(1,10,20,20’,30,40,50,60)。
【背景技術】
【0003】
整形外科的な歯−頭蓋骨−顔面整形外科が、完全な神経筋と関節との平衡(ATM)で、顔面骨格の正確な位置決めを可能にして、歯−骨格不正咬合を決定する適切に成長を変え得る任意のマイナスの障害を排除することを目的とすることは知られている。このタイプの頭蓋骨−顔面整形外科は、顔面骨格の骨機能構造の変形の修正及び消散に対処される。相対的な小さい食い違いを伴う異なるタイプの頭蓋骨−顔面不平衡は、大体の場合に整骨特徴の問題によって決定され得る。加えて、頭蓋骨−顔面骨構造の障害は、不正咬合の存在下で、2つの臼歯(上側歯列アーチ及び下顎アーチ)に関連する問題に対して、及び、同じアーチ間の比率を不釣り合いにし得る頭蓋問題に関して、いずれでも評価されなければならない。このため、歯列アーチ及び頭蓋骨−顔面骨構造もまた、全ての筋肉構造が考慮に入れられなければならず、特に、舌、頭蓋筋肉、及び、関節が考慮に入れられなければならない。加えて、咀嚼機能及び咀嚼器官の成長機構も評価されなければならない。これに関連して、治療を可能な限り早期に開始し、患者の咀嚼パターンを変え得る全ての病気を一生の間にわたって監視することによって適切な「咀嚼機能」を達成するべきである。この目的を達成するために、頭蓋顔面系の骨格構造と下顎姿勢とを治療感覚で修正して、顎口腔機器を形成する骨格構造の機能及び形状を改善する整形外科機能器具を使用することが必要である。加えて、歯列矯正及び整形外科の作業が口蓋及び頭蓋骨−顔面系の形状に関して評価されなければならない。
【0004】
更に、口及び頭部の位置が姿勢回復力の成分であること、及び、頭部のそれぞれの位置ずれが偏向のタイプに関して異なる頸筋の不調和及び張力非対称性をもたらすことが考慮されるべきである。これらの張力は、下に横たわる体幹筋肉及び上に横たわる顔面咀嚼筋の他の部分に接続され、それにより、構造を変形させて、不正咬合を引き起こす。実際に、頭蓋骨−顔面系の骨は変成椎骨と見なすことができ、また、頭蓋骨と脊柱との間には構造的な連続性が存在する。これが、整骨損傷を規定する前述の構造の障害を主な原因として有する、結果として生じる脊柱の変成、したがって姿勢変化を伴って、ずんぐりした頭蓋骨−顔面の様々な推尺障害を決定し得る実際の頭蓋脊柱側弯症として不正咬合が存在し得る理由である。
【0005】
2つの頭蓋骨−顔面構造と歯列アーチとの間の関係は非常に明白である。顔面の審美性を読み取ることによってこのタイプの不具合を検出することもできる。不具合が存在するときには、頭蓋骨及び顔面の異なるタイプの変形、位置合わせされない口唇、鼻、眼の偏向、及び、不正咬合をもたらす系統的に歪んだ顎によって調整される顔面推尺障害を有することが想定し得る。この系の偏向が存在するときには、障害が多く、全ての頭蓋骨−顔面系及び顎口腔系に影響を及ぼす可能性があり、また、身体全体がその結果に苦しむ。
【0006】
整骨医、歯科矯正医、機能主義者、整体師による障害の決定的な鍵は、後頭部の偏向であり、頭蓋骨の基部で後方に位置される骨は特に重要である。これは、それが頸椎の第1椎骨を介して脊柱に接続されるからであり、また、ちょう形骨も、重要な骨であり、頭蓋骨−顔面系の中心に位置され、上顎の位置は、それらの接続により、ちょう形骨に依存する。
【0007】
実際に、これらの2つの構造、すなわち、後頭部及びちょう形骨が不正確に位置されるギアに起因して偏位すると、所定の軟骨結合−ちょう形−基礎(synchondrosis-spheno-basic:SSB)が上顎の回転を決定し、それにより、様々なタイプの不正咬合が、ちょう形骨のギアに対する直接的な接続を介して、頭蓋顔面系の関連する推尺障害を伴って引き起こされる。後頭部及びちょう形骨によって被られる異なる偏向は、曲げ障害、伸張障害、ねじれに起因する障害、外側屈曲−回転に起因する障害、高垂直歪みに起因する障害、低垂直歪みに起因する障害、両側、すなわち、左右から全て起こり得る横歪障害、及び、圧縮障害として分類される所定の障害である。
【0008】
多くは、頭蓋骨の後頭部及びちょう形骨の偏向に起因して、これらの障害が存在するときの歯−頭蓋骨−顔面構造全てのレベルでの崩壊である。これらの苦痛は、脊柱から始まって進退全体に広がり得る。
【0009】
そのため、歯−頭蓋顔面構造を調整する歯列矯正装置及び整形外科装置は、脊柱にも利点を与え、したがって、適切な姿勢を決定する。
【0010】
既知の解決策は、EPTAMED SRLに譲渡された特許出願第FO2014A000002号に記載される歯列矯正装置である。特に、この歯列矯正装置は、ユーザの上側歯列アーチと下側歯列アーチとの間に介挿されるようになっている。この装置は、少なくとも部分的に、弾性的に拡張可能な材料によって形成され、少なくとも歯列アーチの部分的なハウジングのための少なくとも1つの円弧形状のチャネルを備える。更に、記載される歯列矯正装置は、ハウジングチャネルを変更するために拡張されるように設計された所定の領域の少なくとも1つの位置インジケータ要素を備える。
【0011】
しかしながら、前述の特許出願の装置を含む他の既知の歯−顔面整形外科装置は、特に、顎の発育不全(顎が上顎の後方に位置される第2の骨格クラス)、又は、顎の過剰発育(顎が上顎に対して前方に位置される第3の骨格クラス)、又は、顎の横ずれ(上顎に対して右又は左へ変位される)に関連する特定のタイプの骨格不正咬合を治療するとともに、垂直基点又は矢状基点(前後移動)又は横断(上顎に対して右又は左へ移動される顎)となり得る骨格問題のみを考慮する。したがって、既知の装置は、頭蓋骨−顔面骨格問題、すなわち、頭蓋骨−顔面構造の任意の実体を形成する骨格構造の偏向(対称性を変える)の解決に全く適していない。更に、EPTAMED特許の装置は、人の体格の態様を考慮に入れず、アーチの形状のタイプの限界を有するとともに、歯−頭蓋顔面系の異なる推尺障害の解決に適していない特徴を有する。これは、フランジが歯とうまく一致せず、また、歯肉骨領域が必然的に非常に短くアーチとの境界にないからである。そのため、歯−頭蓋骨−顔面構造のバランスを取り戻すために必要な骨基質の固有受容刺激の効果をもたらすことができない。
【0012】
実際に、既知の装置は、頭蓋骨を移動させて頭蓋骨−顔面−下顎系の骨構造の構成を回復させることも、歯列アーチを調整することもできない。
【0013】
これらの問題を扱う2つの既知の解決策がどいつ独国特許出願公開第102013108291号明細書及び米国特許第5876199号明細書である。1番目の特許出願は、トップシート上に取り付くための装置本体を備える歯列矯正器具について記載し、装置本体は、トップシートの舌側に位置される内壁と、頬側で患者の上側アーチが位置される外壁とを有するとともに、ウェブを備え、このウェブは前記内壁及び外壁を接続し、それぞれの壁は、ウェブを越えて突出する上端部を有し、該上端部は、上側歯列アーチのための受け入れチャネルを画定し、また、内外壁はそれぞれ隆起部の下方に垂れ下がる下部を有し、該下部は、下側歯列アーチのための受け入れチャネルを画定し、内壁の上部に気付く患者の舌の先端を受け入れるように画定される舌開口の内壁の上部は、患者の舌の先端が受けられるときに口蓋の前方の先端が隣接するように構成される。
【0014】
2番目の特許は、様々な口及び歯のサイズに適合し得る、個人の口内に歯を適切に位置決めするのに役立つ歯列矯正器具について記載する。この器具は、口唇−口腔フランジと、口唇−口腔フランジから離間される舌フランジとを含み、これらのフランジはいずれも咬合視で略U形状形態を画定し、また、器具は、2つのフランジを相互に接続する峡部を含む。個人の歯の上側列又は下側列のいずれかを受け入れるために少なくとも1つの歯溝が口唇−口腔フランジと舌フランジとの間に画定される。この器具は、個々の歯ソケットを含まず、代わりに、口唇−口腔フランジ、舌フランジによって印加される圧力と、歯を適切に位置決めするための相対角度及び材料厚とを利用する。器具は、それが個々の歯ソケットを含まないため、様々なサイズの口及び歯に適合し得る。また、器具は、睡眠時無呼吸、いびき、及び、歯ぎしりを防止するための装置、並びに、競技用マウスガードとして役に立つ。
【0015】
これらの既知の解決策の問題点は、これらの問題が存在するときに舌及び嚥下の正しい再教育を行なわないという点である。実際に、舌は、それが歯列アーチの形態に影響を及ぼすことができ、とりわけ、不調和をもたらし得るため、口内で一番大事な役目がある。鼻を通じて呼吸する人は、舌が口蓋上ではなく口蓋の下方に位置されるとともに、嚥下の度に口蓋を拡張させて、呼吸一次副交感神経動作(CSP)に寄与する。代わりに、口を通じて呼吸する人は、舌が口蓋に当て付く上端ではなく下端に配置される。この位置で、舌は、その成長を刺激することができず、また、歯上に介挿されることにより、様々なタイプの不正咬合と、前歯の損失において時として不可逆的でさえある歯周組織への損傷とが引き起こされる。しかしながら、舌が正しい姿勢にあって嚥下が正確である場合には、それが、頭蓋骨−脊柱比率を安定させて、胃小窩−歯関係を同調させ、それにより、ちょう形骨と後頭部との間の関係を釣り合わせる。口蓋をコンパクトにせず不正確な嚥下を決定する舌は、これらの受容器官系全体と干渉して、姿勢変化をもたらし得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の正面図を示す。
【
図1B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の側面図を示す。
【
図2】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の背面図を示す。
【
図3A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図3B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図3C】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の咬合面を示す。
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図4A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第1の代替案の正面図を示す。
【
図4B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第1の代替案の側面図を示す。
【
図5】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第1の代替案の背面図を示す。
【
図6A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第1の代替案の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図6B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第1の代替案の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図7A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第2の代替案の正面図を示す。
【
図7B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第2の代替案の側面図を示す。
【
図8】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第2の代替案の背面図を示す。
【
図9A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第2の代替案の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図9B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第2の代替案の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図10A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第3の代替案の正面図を示す。
【
図10B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第3の代替案の側面図を示す。
【
図11】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第3の代替案の背面図を示す。
【
図12A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第3の代替案の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図12B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の第3の代替案の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図13A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の正面図を示す。
【
図13B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の側面図を示す。
【
図14】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の背面図を示す。
【
図15A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図15B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図16A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の正面図を示す。
【
図16B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の側面図を示す。
【
図17】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の背面図を示す。
【
図18A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図18B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図19】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の咬合面を示す。
【
図20】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の咬合面を示す。
【
図21A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の側面図を示す。
【
図21B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の背面図を示す。
【
図22】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の上端アーチの内壁の図を示す。
【
図23A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の側面図を示す。
【
図23B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の背面図を示す。
【
図24A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の斜視図を示す。
【
図24B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の上側アーチの内壁の図を示す。
【
図24C】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の下側アーチの内壁の図を示す。
【
図25】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案の咬合面を示す。
【
図26A】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態の咬合ガイドを示す。
【
図26B】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態の咬合ガイドを示す。
【
図26C】本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態の咬合ガイドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの図、特に
図1−
図3を参照すると、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第1の実施形態が示される。より詳細には、歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置1は、本質的に、歯列アーチのための上端ガイド及び下端ガイド2の対を備える弾性的に変形可能な咬合両顎(上顎及び下顎)機器から成る。特に、ガイド2の対は、上歯及び下歯並びに円蓋の領域まで延在される前庭歯肉表面全体を覆う外側ガイド2、すなわち、所定の前庭フランジと、歯肉位置、下顎位置、舌位置、及び、部分的な口蓋位置を完全に被覆する内側ガイド6、すなわち、所定の舌−口蓋フランジとを備える。
図2に示されるように、2つのアーチが咬合面3によって接続され、咬合面3は、弾性的に変形可能であるとともに、それを使用する人による咀嚼動作に晒される場合があり、したがって、フランジ2と接触する領域を擦って穏やかにマッサージできる。このようにして、咬合面は、筋神経系(筋肉及び神経支配)の筋肉弛緩作用を得るように仕向けられる並びに歯肉及び骨の再調整(歯周)を伴う一連の刺激をもたらす。
【0022】
例えば約2mmに等しい厚さを有する挿入可能で取り外し可能な
結合体を咬合面3の上面に連結しつつ位置決めして装置1の咬合面の変化をもたらすために、
図2に示される装置1の咬合面の上面の背後には、第1及び第2の溝が横方向に設けられ、第1の溝は、咬合面3と前庭フランジ2との間の角部に設けられ、第2の溝は、咬合面3と舌フランジ6との間に設けられる。
【0023】
更に、臼歯又は6番臼歯に対応するフランジ6の上部の背後領域の縁部には、患者の歯列アーチの範囲に対する装置のサイズを検出するのに役立つ装置1の測定基準として2つの突出ボタン9が設けられる。
【0024】
また、装置1は、唇小帯、舌小帯、及び、側面小帯を逃がすための要素10a,11,12としてより良く画定される入口も含み、これらの入口は、唇小帯、舌小帯との及びその側小帯との正確な位置決めをそれぞれ可能にする
【0025】
図3に示されるように、装置1の内部、すなわち、舌と接触する部分も、前述した上側アーチ及び下側アーチを覆うためにフランジ2よりも小さい高さ及びフットプリントを有する舌−口蓋内側フランジ6の対(上端部の口蓋及び下端部の舌)と共に成形される。
【0026】
再び
図3を参照すると、口蓋上側フランジ6が後切歯乳頭を逃がすために使用される凹領域8を備えることに気付くことができる。実際に、口蓋のこの領域内には姿勢受容体が位置され、この姿勢受容体は、装置1を使用する患者の舌によって常に刺激される必要があり、また、凹領域8は、口蓋姿勢受容体の領域を装置1の作用下での該受容体の刺激のために完全に自由な状態のままにしておき、それにより、後切歯乳頭を押圧することなく、任意の擦れを回避する。
【0027】
更に、上側口蓋フランジ6は、舌を位置決めするための急勾配の傾斜面6aと、低い姿勢に伴う特殊な嚥下問題が存在するとき、又は、方向転換されるとき、回転されるときに舌を案内して、それにより適切な嚥下のために舌の再教育運動を可能にするためのボタン9aとを備える。また、底側後切歯口蓋上縁から舌小帯の縁まで延びる傾斜面6aは、舌の介在に対するシールドとして歯に作用するように傾斜されることに加えて、舌を小さいボタン9aへ向けて案内するために舌の支持をもたらすように構成される。したがって、舌は、休止段階中に正しい姿勢(スポット)となるように作用され、また、口蓋へ向かう蠕動移動によって正しい嚥下となるように作用される。
【0028】
前下歯に至るまで延びるこのタイプの急勾配の傾斜面6aは三重機能を伴って設計される。これは、傾斜面が、舌の介在のためのシールドとしても歯に作用し、それにより、位置の悪い歯(下顎切歯)の再配置を、これらの歯が停滞するときに、これらの歯を正確なアライメント位置で案内する目的で、緩やかな押圧により決定するからである。
【0029】
2つの外側前庭フランジ2と、口蓋−舌内側フランジ6と、接続手段としての機能を果たす咬合面3とによって境界付けられる凹状の容積7内には、装置を使用する患者の歯が配置される。
【0030】
好適には、本発明によれば、装置1は、円形形状に最も近い丸顔形状向けに設計される。
【0031】
図4−
図6は、装置1の第1の代替案としての装置10を示し、この装置10は、特に、S字曲線形状に最も近い丸顔形状向けに設計される。
【0032】
図7−
図9は、装置1の第2の代替案としての装置20を示し、この装置20は、特に、長方形状に最も近い顔形状向けに設計される。
【0033】
図10−
図12は、特に通常の人の形態を反映する顔の正常に丸みを帯びた形状向けに設計される装置1の第3の代替案である装置20’を示す。
【0034】
装置1,10,20,20’の全ては、第1の骨格クラスのために、又は、上側アーチと拮抗筋下側アーチとの咬合関係の正確な位置状況に関して使用できると考えられる。特に、装置1,10,20,20’は、歯肉隆起部とかなり一致してアーチとの境界までほぼ延在される前庭フランジ2及び舌フランジ6を備える。
【0035】
本発明の一態様によれば、前庭上側フランジ2は、骨基質の固有受容刺激のためのアーチ付近の境界領域における1.5mmと、咬合面の中央領域へ向けて減少する3mmとの間の厚さを有し、一方、前庭下端フランジ2は、前庭上側フランジ2よりも辛うじて大きい厚さを有するとともに、下前歯と対応して約5/7mmの歯上にわたって延在し、それにより、下唇の筋肉を再調整するためのリップシールド効果をもたらす。この配置は、口の垂直寸法の損失に起因して良好な筋肉唇緊張が存在しないときに特に有益である。
【0036】
本発明の他の態様によれば、後下端前庭フランジ2は、歯にうまく合わせて形成されて取り付けられ、歯を約2.4mm越えて延在するとともに、最後の後方位置決め臼歯との境界へと至る長さで延在する。しかしながら、上側口蓋フランジは、最小後切歯口蓋支持を伴う口蓋との境界で所定の底側領域にあり、3mmから5mmまで幅がある厚さを伴う。
【0037】
本発明の他の態様によれば、下端舌フランジ6は、歯に対してうまく取り付けられて、約3−4mmの歯肉骨領域と接触してこれを越えて延在するとともに、下側アーチの良好な拡張を促進させるために3−5mmの厚さを有する。
【0038】
2つの側面舌フランジ6は、急勾配の傾斜面6aを有する舌シールドから、歯とかなり一致して延在するとともに、最後の後方位置決め臼歯まで広がる。2つの前庭フランジ2及び舌フランジ6は、それらの間で咬合面3から一致しており、それにより、歯肉隆起部の外壁及び内壁へ向かう歯へのガイドトラックを形成するようにアーチ形状のタイプに関連するガイドを形成する。ガイドの厚さは、上前歯(切歯犬歯)の領域内の約2mmから、後歯(小臼歯)の領域内の5/6mmまで、及び、臼歯の後領域内の10mmに至るまで変化する。代わりに、下側アーチのガイドは、同じであるが、約1mm狭い。このタイプのトラックは、歯に対して及び骨レベル(歯周)でもうまく引掛けられるフランジの取り付け及び刺激(固有受容)による歯列アーチの骨格ベース及び歯の両方の適切な再配置に不可欠である。
【0039】
好適には本発明によれば、2つのフランジを接続する咬合面のタイプは、個々の自然の生理機能に関連する特性を考慮して設計される。これは、それらの特性が、曲線に対する及びそれらを特徴付ける上昇に対する固有受容接触を得るための関節(ATM)の支持に相当するからである。実際に、第1のクラスの歯列矯正装置1,10,20,20’の咬合面は、
図3Cに示されるように、後咬合部3bに対して前領域に、例えば約2mmの更に隆起した前咬合部3aを有する。これは、使用される弾性材料のタイプによってもたらされる弾性効果と共に、口の垂直寸法以上で、後歯の押し出し刺激を確保する。これは、それが、骨格問題及び筋肉問題の両方の結果的な改善を伴って、顎を自由にする、その後、ATMを自由にする治療の成功において極めて重要な構成要素のうちの1つだからである。更に、過蓋咬合によって又は口の垂直寸法の減少によって決定される骨格不正咬合の大部分に関して、後咬合面は、適切な顎成長のためのスピー及びウィルソンの機能曲線との関連で、適切な曲線を伴う形状を有する。
【0040】
図13−
図15は、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第2の実施形態を示す。
図13−
図15に示される装置30は、特に、後退下顎又は正常な下顎に対して背後に位置される下顎、後に位置される下顎切歯、及び、口蓋に当て付く縁切歯と関連付けられる非常に顕著な過蓋咬合を示す、第2の骨格クラスに言及される不正咬合の問題を解決するように設計され、一方、上顎切歯は、非常に後生的であり、前方へ扇形に広げられる。この骨格形態は、唇の大きな不全をもたらすようになっており、それにより、筋神経系に障害を来たす(筋緊張損失に起因する筋肉の緊張及び咀嚼筋拘縮)とともに、マイナスの結果及び非常に不愉快な顔面審美性を伴って関節(ATM)に障害を来たす(顎が過蓋咬合によって閉塞されることに起因する関節の障害)。更に、そのような場合、咀嚼及び発生に障害を来たす異常な嚥下を伴って、舌は、口腔領域内の空間の欠如のため、口蓋に当て付くのではなく下端に位置される。
【0041】
第2の骨格クラスのための整形外科装置30は、装置1,10,20,20’の同じ特性を有するが、特に、正確な第1のクラスの骨格位置に歯列アーチ(上顎及び下顎)を位置決めするという目的をもって、機能(筋肉再調整及び関節)レベル及び審美的レベルの両方で利益を得るためにその機能を向上させる他の構成要素の付加を考慮に入れて、(明確な咬合面ガイドを用いた)顎の前進により顎の正確な位置を回復するように設計される。
【0042】
好適には本発明によれば、第2の骨格クラスのための装置30の咬合面は、前領域(切縁−犬歯領域)で、第1のクラスの咬合面に対して僅かに上昇される。このようにして、垂直寸法は、咀嚼筋を緩めるために更に上昇され、したがって、筋神経系を改善する。急勾配の傾斜面6aにより、顎が突出位置(前方位置)で調整される。その後、顎をこの形態で安定させるために、特別な刺激運動が患者によって日中に行なわれるべきであり、また、装置も夜間中に保持されなければならない。
【0043】
好適には本発明によれば、歯列矯正装置30は、上側アーチとの境界に非常に高い前庭フランジ2を有し、また、上前歯の領域に、円蓋との接点からフランジを除去する傾向を一般に有すると同時に上唇を妨げる上前歯(切歯)の広がりに起因して、インデント効果を有する、すなわち、円蓋に更に一致する効果を有する。
【0044】
加えて、歯列矯正装置30は下側前庭フランジ2を提供し、この下側前庭フランジ2は、歯にその全周に沿ってうまく引掛けられるが、通常は非常に低張の下唇を特別な運動によって再構築して更に筋緊張状態にするために、下歯(切歯)領域では更に下円蓋との境界までほぼ延在される(例えば、下唇シールドとして作用する)。また、舌フランジ6は、歯にうまく引掛けられるが、特に舌シールド及び急勾配の傾斜面を伴う中央後下領域で、刺激として作用するための小さいボタンを用いて、舌が関与することを考慮する特別な運動(発話治療)により、舌を正確な姿勢でスポットへ向けて案内するように延在し、また、時として、そのような運動は、(舌が正確な位置にあって規則正しい嚥下を伴うときに)関節(ATM)を再調整するためにも極めて重要である。小さいボタンとの境界におけるインソールの中央領域には、後切歯乳頭と干渉しない小さい凹面が存在し、一方、2つの前庭フランジ及び舌フランジは、咬合面に接続するとともに、唇の良好な能力及び(通常は制御されない)筋神経系の回復を同時に決定する歯列アーチ及び装置の対称性のための整形外科的効果のため、並びに、機能及びより良い審美性のために、歯及び歯肉隆起部にうまく結合される。
【0045】
図16−
図18は、特に第3の骨格クラスを対象とする、歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第3の実施形態を示す。とりわけ、装置40は、第3の骨格クラスのために特別に設計される。このタイプの骨格クラスは、機能性、関節(ATM)、及び、頸椎によりもたらされる不正咬合によって特徴付けられるとともに、審美的に患者にとってかなりの不快を伴う。下顎は、突出位置にあり、すなわち、通常の位置と比べて前方に配置され、この場合、上顎切歯は下顎切歯に対して反対の位置にあり(交差咬合)、それにより、異常な咬合関係がもたらされ、したがって、2つの顎の矢状方向(前−後)の誤った動きに起因する重度の不正咬合がもたらされる。第3の機能クラスの骨格性質の不正咬合の主な原因のうちの1つは、下歯に押し付く舌の低い姿勢と下顎位置に及ぼされる異常な推力とを伴う非定型的嚥下であり、それにより、下顎の成長が突出位置で引き起こされるとともに、歯、特に下顎切歯の広がりが引き起こされ、時として、骨歯周レベルでその移動性を伴う重大な損傷がもたらされる。歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置40は、骨格クラスのタイプに合わせた非常に特別な咬合面の形態によって歯列アーチを規則正しい切歯比率で位置決めする下顎疑似突顎(mandibular pseudo-prognazie)の処置のために設計される。特に、上歯は、後−前摺動面上に、逆に、複合効果のための逆の力の対を決定する目的で、第1のクラスにおける上顎及び下顎の正確な位置の回復に加え、更にこれらが存在するときの装置の偏向の対称性も加えて、歯にまさに引掛けられて下円蓋へ向けて下方に延在する下前フランジ6の
図18に示される唇のシールド46cを介して顎の制動作用のための圧力を及ぼすことによって位置される。より具体的には、第3のクラスのための歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置40は、歯列アーチの調整効果のために歯にかなり一致する前庭フランジ2及び舌−口蓋フランジ6を有する。加えて、前庭フランジ2は、アーチとの境界で、しかしながら前歯の前領域(前上顎骨)で、高く良好に方向付けられる。フランジ2は、一種の上唇シールドを形成するように歯肉骨領域から僅かに切り離される。この特徴は、発達を許容しない非常に過緊張の唇に起因する同じ領域内の骨後退の想定し得る存在に対応する。唇圧を排除することは、前上顎骨の領域での骨の成長及び発達を可能にすると同時に、口唇を規則正しい筋緊張に刺激する。代わりに、下側前庭フランジ2は、下顎成長の抑制シールドを形成するように、前歯の領域で、歯とかなり一致する。更に、前庭フランジ2は、歯とかなり一致するとともに、特に、歯の不安定の内在する原因のうちの1つを排除する特別な運動(発話治療)により、刺激として作用するための小さいボタンを用いて、舌を正確な姿勢でスポットへ向けて案内するように急勾配の傾斜面を伴う中央後舌領域で延在する。小さいボタンとの境界におけるインソールの前中央領域には、後切歯乳頭と干渉しない小さい凹面が存在する。
【0046】
図19は第2の骨格クラスのための咬合面3’を示し、この場合、前咬合面3’aは、後咬合面3’bに対して僅かに高い。
図20に示される第3の骨格クラスのための咬合面3''は、第1のクラス及び第2のクラスのための咬合面とは異なり、異なって設計される面を有する。これは、後咬合面3''bが、下顎咬合と比べて上顎の前方へ向かう摺動効果を伴って咬合前面3''a(切歯犬歯領域)よりも僅かに高いからである。最後に、2つの前庭フランジ2及び舌フランジ6は、咬合面に接続され、その結果、正確な下姿勢及び嚥下のために、並びに、歯列アーチ、したがって頭蓋顔面系の整形外科的対称効果のために、整形外科的効果のために歯に付着し、歯列アーチを第1の骨格クラスに配置し、それにより、より良い機能及び外観のために口唇の良好な能力が確保される。
【0047】
図21−
図22は、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態を示し、また、
図23−
図24は、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の第4の実施形態の第1の代替案を示す。
図21−
図22及び
図23−
図24にそれぞれ示される両方の装置50,60は、頭蓋顔面系の偏向と関連付けられる歯列アーチの偏向及び欠陥が存在するときに、第1のクラスの整形外科装置の同じ特徴を伴って、完全に抜け代わる歯(乳歯)を有する非常に幼い子供のために特別に設計される。これらの装置は、歯及び歯肉隆起部にうまく引掛かる前庭フランジ2及び舌フランジ6を備え、また、舌をスポットへ方向付けるために急勾配の傾斜面を伴う舌シールドが常に存在する。また、インソールの中央領域には、後切歯乳頭のためのハウジングも存在する。
【0048】
更に、好適には本発明によれば、装置1,10,20,20’,30,40,50,60は、舌をスポットへ向けて更に刺激して子供を正しい嚥下へと促すためのタブ9a,19a,29a,29’a,39a,49a,59a,69aを有する。
【0049】
好適には本発明によれば、
図25に示されるように、装置50,60の咬合面3”’は、第1の永久臼歯の不存在を考慮して、スピー曲線及びウィルソン曲線を伴わずに完全に水平である。
【0050】
好適には本発明によれば、
図26に示されるように、装置1,10,20の咬合ガイド13,14,15は、咬合キーの正確な位置決めを可能にする。
【0051】
更に、好適には本発明によれば、装置60は、外側グリップ要素61、例えばおしゃぶりを備える。歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置60のこのタイプは、子供がおしゃぶりを使用することを強く求める際、3歳又は5歳後(通常は、子供が夜間の歯ぎしりとも関連付けられる神経筋緊張を有するときに起こる)でさえ使用される。
【0052】
加えて、装置は、非緊張型器具のように、また、特に頭蓋骨−顔面骨格構造に対する非常に遮る予防的処置のために、非常に良好な弾性を有する。実際に、好適には本発明によれば、装置1,10,20,20’,30,40,50,60の構造のために使用される材料は、弾力性があり、特に、ショアスケールで測定される53又は58又は62の硬度を有する生体適合性のあるシリコン又は熱可塑性タイプである。
【0053】
装置50,60の場合、硬度は、ショアAスケールで測定される45に等しい。
【0054】
材料のそれぞれのタイプは、咀嚼荷重に関してそれ自体の固有の機能を有し、したがって、咀嚼力及び異なる緊張性を有する子供及び大人の治療に適応される。
【0055】
本発明の一態様によれば、図示の装置を形成する材料は、以下から選択される。
【0056】
−摩耗時にかなり有効で快適であって処理において困難を与えない3つの等級のショア硬度53−58−62を有するDinabase;
【0057】
−3つのレベルのショア硬度45−60−80を伴うCorflex。特に、材料Corflex Soft 45及び60は、緊張性障害(筋肉の緊張)及び神経筋に適応とされ、一方、Corflex 80は、ある種の関節障害においてより適応とされ、特に、頭蓋骨−顔面構造の異なる偏向を伴って病変が存在するときに純粋に整形外科的な整骨作用のために用いられる。
【0058】
これらの特徴は、使用中に負傷又は粘膜の表皮剥離の危険を伴うことなく歯肉及び筋肉のマッサージ動作を行なうことができる能力を図示の装置に与える。
【0059】
添付の図に係る本発明の好ましい実施形態は、標準的なアーチのサイズに適した装置1の実施形態を考慮する。小さい口に適合される異なるサイズで表わされるような装置1も実現される。
【0060】
動作の観点から、前述の装置を使用するエンドユーザは、装置を自身の口の中の正確な位置に配置しなければならず、また、ほぼ規則正しい間隔にわたり、毎日特定の回数にわたって、装置の咀嚼動作を行なうことができる。この咀嚼動作は、以下で説明されるように複数の有益な効果をもたらす、上側及び下側の両方で咬合面を規則正しくかむ上顎及び下顎の歯(前庭フランジ、口蓋−舌フランジ、及び、咬合面によって境界付けられる凹状空間内に位置される)の動作で実現される。場合に応じて、装置の使用は、前庭フランジの内層に付着されるべきゲルの形態を成す特定の製品、すなわち、歯及び歯茎と直接に接触する部分を伴う装置それ自体の使用にも関連付けられ得る。
【0061】
使用中、本発明に係る装置は、装置自体の構造及び幾何学的形態のタイプに対する特定の刺激を介して、顎を位置決めすることによって上顎に対する作用をもたらすとともに、使用される弾性材料の効果によりうまく決定される筋肉作用を与える。歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置は、縫合糸の張力及び頭蓋構造に影響を及ぼして、異なる頭蓋骨の位置、その後、頭蓋顔面系全体の位置を再調整して変えることができ、その結果、実際の適切な体操によって歯を(この新たな骨バランスに対して)位置決めすることができる。フランジ及び咬合面の両方が歯肉隆起部に良好に取り付けられる歯全てを覆うように上方に延在して、バイナリ、すなわち、上側アーチ及び下側部分の両方を形成するとともに、歯茎領域の固有受容作用を決定するため、したがって、頭蓋顔面構造の異なる推尺障害が回復され、その結果、アーチ状にうまく位置決めされていない歯の位置合わせがもたらされる。加えて、整形外科装置の両顎作用も、顎の偏向が存在するときには、顎の再配置にとって決定的に重要である。また、装置は、姿勢の再教育のために配置され、また、異常な嚥下が存在するときには、刺激として作用する小さいボタン及び舌フランジの中央で舌を推し動かす傾斜面を介して、舌嚥下を矯正する。加えて、装置は、同時に、整形外科的作用をもたらすことができる製造材料に起因する弾性タイプの作動のおかげにより、拡張器及び歯列アーチとして作用する。したがって、歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置は、その治療有効性のため、及び、頭蓋骨−顔面骨格障害の回復のために、幾つかの他の異常機能病変、歯科病変、咬合病変、関節(TMJ)病変、緊張性神経筋病変、及び、姿勢病変の消散に適した、並びに、嚥下、咀嚼、発話、歯ぎしり、及び、夜間のいびきなどの阻害された機能のリハビリテーションにおいて適した道具としての役目を果たす。装置の動作は、前述の障害を再び釣り合わせて調整する真の自己刺激を得るべく特定の運動を実行する意欲を患者に起こさせることによって行なわれる。
【0062】
したがって、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置は、より包括的で適切な治療をそれらのクラス及び任意の形態の非対称性で与え、それにより、アーチの異なるタイプの形状と患者がそのまさに瞬間にいて不具合修正に可能な限り最も適している顎口腔機器の異なるタイプの開発とを考慮に入れ、3つの空間平面(垂直面、水平面、及び、矢状面)内で作用する歯列アーチの良好な垂直神経中枢(verticentrica)及び良好な調整を得るための治療優先度を方向付けて、治療の臨床効果の基準である(歯列矯正用弾性調整歯−頭蓋骨−顔面装置の完全に弾力性のある効果によって)神経の興奮を果たし、骨格頭蓋骨−顔面改変ディスメトリックシステムの全ての障害及び原因を排除する。
【0063】
加えて、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置を大人及び子供の両方により使用できる。
【0064】
本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の他の利点は、歯列アーチを成形するのに有効な上顎及び下顎のための弾力性がある機能装置であって、歯又は歯周組織への想定し得る外傷又は損傷を決定せず、その結果、侵襲的でないという点である。装置の整形外科的なリハビリ作用は、顎口腔系(歯、歯周組織、咀嚼筋、関節(TMJ)、頬、唇、舌、神経支配、脈管化、、上顎骨、及び、下顎骨)の全体にわたって反映され得るとともに、その作用機構を介して、最も適した神経筋機能に関する真の筋肉体操訓練を可能にする。伸張の排除及び筋肉の収縮をもたらす筋肉弛緩作用は、実際に、顎の再調整を得ることができ、歯がそれらの場所を取り戻し、また、頭蓋骨の骨間の関係が改善する。
【0065】
本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置の他の利点は、非侵襲であって、より神経質な患者にとってさえ耐えるのが容易であるという点である。
【0066】
更に、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置は、ATM機能障害(側頭下顎関節)、関節外機能障害、側頭下顎半月板、及び、咬合を有する患者に適応とされる。特定の運動に関連付けられ、また、正確な姿勢舌を補正することができる。したがって、嚥下、呼吸、咀嚼、発声を正すために、様々な重大な歯の疾患、歯周、頭蓋骨−下顎、神経筋、及び、姿勢の改善、並びに、口の自律機能の回復を見ることができる。
【0067】
結局、本発明に係る歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置は、機能的で且つ生理学的な覚醒発達を引き起こす筋肉の動きにより生成されるパルスを案内して刺激し、それにより、これらの刺激の方向、強度、及び、頻度に応じて組織の形成、組織の適応、及び、組織の形態を促す。機能レベルでは、顆状領域の成長を刺激して、不正咬合を修正し、その後、神経学的にリロードして、その結果、筋肉系を再生することができる。頭蓋顔面機器の全てで伝えられる実際の体操に相当する特定の運動によって得られる振動効果により、装置は、電圧及び筋拘縮症の排除をもたらす筋肉弛緩作用を生じさせる際にきわめて重要である。また、装置は、炎症性プロセスの代謝退化及び浮腫性の除去を改善して神経筋系の正常化に有利に働く深部組織マッサージももたらす。
【0068】
最後に、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の保護範囲から逸脱することなく、ここで説明されて図示される歯−頭蓋骨−顔面機器のための歯列矯正用弾性調整装置が変更及び変形を受けることができるのは明らかである。