【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年3月21日と22日の2日間、スカイホール豊田(豊田市総合体育館)で開催された展示会「第10回 とよたビジネスフェア」(主催:豊田市、豊田商工会議所)のブース「豊田市役所ものづくり産業振興課/ものづくりミライ塾」に出展し、発明した「おむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法」の開発を公開 また、2019年9月17日に開催された“令和元年度ものづくりミライ塾修了式・開講式”の様子を取材した新聞記事、及びテレビ番組に、発明した「おむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法」の開発を公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつの廃棄処理を行うおむつ廃棄処理装置において、
前記使用後おむつの前記表面材に切り込みを付ける切断手段と、
一対の押圧部材を有し、前記切断手段により、切り込みを付した状態の前記使用後おむつを、前記一対の押圧部材に挟み込んで、前記高分子吸収体を圧搾することにより、前記高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部と、前記高分子吸収体とを、互いに分離させる圧搾分離手段と、
前記水分を含有した前記高分子吸収体に、紫外波長の光を照射する脱水手段と、
電気的な制御を行う制御手段と、を備え、
前記使用後おむつを投入する側にある始端部から延出して終端部側へと導く搬送経路上には、前記始端部側から順に、前記切断手段、及び前記圧搾分離手段が設けられ、前記切断手段は、前記搬送経路に沿う送出方向と、前記送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って、前記切り込みを付けるものであること、
前記脱水手段は、紫外線殺菌灯であること、
を特徴とするおむつ廃棄処理装置。
水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつを廃棄処分する使用後おむつの廃棄処理方法において、
始端部側に投入した前記使用後おむつを、終端部側へと導く搬送経路を有し、
投入した前記使用後おむつの前記表面材に、前記搬送経路に沿う送出方向と、前記送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って切り込みを付ける切断処理工程と、
前記搬送経路上で、前記切断処理工程で切り込みを付した状態の前記使用後おむつを、一対の押圧部材に挟み込んで圧搾することにより、前記水分を含有した前記高分子吸収体を、前記表面材の切り込みからの排出で、前記使用後おむつから除去する圧搾処理工程と、
前記圧搾処理工程で前記高分子吸収が除去された状態のおむつ廃棄残部と、前記高分子吸収体とを、前記搬送経路上で分離させる分離処理工程と、
前記分離処理工程後、集めた前記高分子吸収体に、紫外線殺菌灯から紫外波長の光を照射することにより、前記高分子吸収体に吸収されていた水分を脱水させる脱水処理工程と、
脱水処理後の前記高分子吸収体を濾過し、脱水した前記水分を排水する排水処理工程と、を有すること、
を特徴とする使用後おむつの廃棄処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、回転ドラム内に収容した使用済み紙おむつを、膨潤抑制剤水溶液に浸漬させなければならず、膨潤抑制剤水溶液が必要となり、特許文献1の技術は、コスト高である。しかも、膨潤抑制剤水溶液を、80〜100℃、好ましくは85℃以上に加熱することで、不織布製のカバー類を軟化させて、使用済み紙おむつの解体が行われる。そのため、回転ドラム内の膨潤抑制剤水溶液を、このような高温状態に維持する上で、より大量のエネルギが、処理装置の運転中に消費されることから、ランニングコストは高額である。
【0009】
加えて、特許文献1の技術では、排液工程の実施後、解体された使用済み紙おむつのカバー類は、回転ドラム内に残されたままになっている。そのため、作業者は、濾過後に残ったセルロース及び吸水性ポリマーの回収とは別に、これら使用済み紙おむつのカバー類を、回転ドラム内から手作業で取り出さなければならず、使用済み紙おむつを廃棄処分するにあたり、その作業に手間が掛かる。従って、特許文献1の技術は、使用済み紙おむつの廃棄処理を、効率良く行うことができない。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、使用済みおむつの廃棄処分を、安価なコストで、かつ簡単に効率良く行うことができるおむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るおむつ廃棄処理装置は、以下の構成を有する。
(1)水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつの廃棄処理を行うおむつ廃棄処理装置において、前記使用後おむつの前記表面材に切り込みを付ける切断手段と、一対の押圧部材を有し、前記一対の押圧部材により、切り込みを付した状態の前記使用後おむつを挟み込んで、前記高分子吸収体を圧搾する圧搾手段と、前記水分を含有した前記高分子吸収体に、脱水可能な波長の光を照射する脱水手段と、電気的な制御を行う制御手段と、を備え、前記圧搾手段は、前記使用後おむつを投入する側にある始端部から延出して終端部側へと導く搬送経路上に設けられ、前記切断手段は、前記搬送経路に沿う送出方向と、前記送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って、前記切り込みを付けるものであること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するおむつ廃棄処理装置において、前記脱水手段は、前記搬送経路の前記始端部と前記圧搾手段との間で、前記搬送経路の下に配設され、圧搾された前記高分子吸収体に、前記光を照射すること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するおむつ廃棄処理装置において、前記切断手段は、前記搬送経路に沿い、前記始端部から前記圧搾手段に向けて移動可能であること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するおむつ廃棄処理装置において、前記使用後おむつから前記高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部を回収する廃棄物回収部を備え、前記廃棄物回収部は、前記圧搾手段を挟み、前記切断手段の反対側にある前記搬送経路の前記終端側に設けられていること、を特徴とする。
(5)(4)に記載するおむつ廃棄処理装置において、前記一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する転動体であり、挟み込んだ前記使用後おむつを、前記廃棄物回収部に向けて送出可能に設けられていること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載するおむつ廃棄処理装置において、前記一対の押圧部材では、挟み込んだ前記使用後おむつへの与圧が、調整可能であること、を特徴とする。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載するおむつ廃棄処理装置において、前記切断手段は、前記搬送経路の前記幅方向に張設された電熱線であること、を特徴とする。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載するおむつ廃棄処理装置において、前記脱水手段は、紫外線殺菌灯であること、を特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る使用後おむつの廃棄処理方法は、以下の構成を有する。
(9)水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつを廃棄処分する使用後おむつの廃棄処理方法において、始端部側に投入した前記使用後おむつを、終端部側へと導く搬送経路を有し、投入した前記使用後おむつの前記表面材に、前記搬送経路に沿う送出方向と、前記送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って切り込みを付ける切断処理工程と、前記搬送経路上で、一対の押圧部材により、切り込みを付した状態の前記使用後おむつを挟み込んで、前記水分を含有した前記高分子吸収体を、前記表面材の前記切り込みから圧搾する圧搾処理工程と、圧搾された前記高分子吸収体を、前記搬送経路上から落下させて濾過可能な受け部に集め、集めた前記高分子吸収体に、脱水可能な波長の光を照射する脱水処理工程と、脱水処理後の前記高分子吸収体を濾過し、脱水した前記水分を排水する排水処理工程と、を有すること、を特徴とする。
(10)(9)に記載する使用後おむつの廃棄処理方法において、前記一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する転動体であり、前記圧搾処理工程の実施により、前記使用後おむつから前記高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部を、前記一対の押圧部材により、前記搬送経路の前記終端部に送出して、廃棄物回収部で回収する廃棄物回収処理工程を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を有する本発明に係るおむつ廃棄処理装置の作用・効果について説明する。
(1)水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつの廃棄処理を行うおむつ廃棄処理装置において、使用後おむつの表面材に切り込みを付ける切断手段と、一対の押圧部材を有し、一対の押圧部材により、切り込みを付した状態の使用後おむつを挟み込んで、高分子吸収体を圧搾する圧搾手段と、水分を含有した高分子吸収体に、脱水可能な波長の光を照射する脱水手段と、電気的な制御を行う制御手段と、を備え、圧搾手段は、使用後おむつを投入する側にある始端部から延出して終端部側へと導く搬送経路上に設けられ、切断手段は、搬送経路に沿う送出方向と、送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って、前記切り込みを付けるものであること、を特徴とする。
【0014】
この特徴により、特許文献1の技術のように、高温に加熱する等、より大きなエネルギを投じることなく、圧搾手段により、使用後おむつから、水分を含む高分子吸収体を機械的に圧搾して、絞り出した高分子吸収体に、脱水手段による光を照射するだけで、水分を簡単に、効率良く脱水することができる。そのため、本発明に係るおむつ廃棄処理装置では、使用後おむつの廃棄処分に掛かるコストは、安価である。
【0015】
従って、本発明に係るおむつ廃棄処理装置によれば、使用後おむつの廃棄処分を、安価なコストで、かつ簡単に効率良く行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0016】
(2)に記載するおむつ廃棄処理装置において、脱水手段は、搬送経路の始端部と圧搾手段との間で、搬送経路の下に配設され、圧搾された高分子吸収体に、光を照射すること、を特徴とする。
【0017】
この特徴により、投入された使用後おむつは、搬送経路上にある圧搾手段から始端部に向けて、高分子吸収体と、それ以外のおむつ廃棄残部に、確実に分別できる。そのため、始端部の下に落として脱水手段に集めた高分子吸収体に対し、含有した水分の脱水処理を、複数の使用後おむつ分、まとめて効率良く行うことができる。
【0018】
(3)に記載するおむつ廃棄処理装置において、切断手段は、搬送経路に沿い、始端部から圧搾手段に向けて移動可能であること、を特徴とする。
【0019】
この特徴により、切断手段は、使用後おむつの表面材に切り込みを付す切断位置以外には、その切断位置を回避した待避位置に移動できるため、投入した使用後おむつの載置に必要なスペースが確保できれば、始端部を、より省スペースに小さく抑えることができる。そのため、本発明に係るおむつ廃棄処理装置全体を、コンパクト化して構成することができる。
【0020】
(4)に記載するおむつ廃棄処理装置において、使用後おむつから高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部を回収する廃棄物回収部を備え、廃棄物回収部は、圧搾手段を挟み、切断手段の反対側にある搬送経路の終端側に設けられていること、を特徴とする。
【0021】
この特徴により、作業者は、直におむつ廃棄残部に触れることなく、廃棄物回収部に設けた袋等におむつ廃棄残部を収容して、そのまま袋等に入ったおむつ廃棄残部を、ごみ回収者に出すことができる。従って、作業者は、手間をかけずに、おむつ廃棄残部の廃棄処分を行うことができる。
【0022】
(5)に記載するおむつ廃棄処理装置において、一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する転動体であり、挟み込んだ使用後おむつを、廃棄物回収部に向けて送出可能に設けられていること、を特徴とする。
【0023】
この特徴により、高分子吸収体は、一対の転動体の回転により、使用後おむつから絞り出されると同時に、使用後おむつから高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部を、自動で廃棄物回収部に収容することができる。そのため、高分子吸収体の脱水処理後に生成された脱水ケーキと、排水する水分と、おむつ廃棄残部とを、混合することなく確実に分別して廃棄処分を行うことができる。
【0024】
(6)に記載するおむつ廃棄処理装置において、一対の押圧部材では、挟み込んだ使用後おむつへの与圧が、調整可能であること、を特徴とする。
【0025】
この特徴により、使用後おむつの吸収部の状態に応じて、高分子吸収体を、使用後おむつから絞り出すことができるため、高分子吸収体が、使用後おむつから高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部に残留する蓋然性も低い。そのため、おむつ廃棄残部は、高分子吸収体をほとんど残留していないことから、比較的軽くなっており、作業者が、廃棄物回収部に収容したおむつ廃棄残部を、ごみ回収者に出す負担の軽減化に貢献することができる。
【0026】
(7)に記載するおむつ廃棄処理装置において、切断手段は、搬送経路の幅方向に張設された電熱線であること、を特徴とする。
【0027】
この特徴により、使用後おむつの吸収部に対し、表面材や防水フィルム材等への切り込みを、より短い時間で、確実に簡単に付すことができる。しかも、表面材等の切断を電熱線とした切断手段では、その構造が簡素化でき、切断手段に掛かるコストも安価である。
【0028】
(8)に記載するおむつ廃棄処理装置において、脱水手段は、紫外線殺菌灯であること、を特徴とする。
【0029】
この特徴により、高分子吸収体が、紫外線殺菌灯から紫外線を吸収することで、含有した水分を脱水する以外に、高分子吸収体から分離した水分と、高分子吸収体の脱水処理後に生成された脱水ケーキに対し、殺菌効果と消臭効果が生じる。
【0030】
上記構成を有する本発明に係る使用後おむつの廃棄処理方法の作用・効果について説明する。
(9)水分を吸収可能な高分子吸収体が、表面材による被覆で内装された使い捨ておむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつを廃棄処分する使用後おむつの廃棄処理方法において、始端部側に投入した使用後おむつを、終端部側へと導く搬送経路を有し、投入した使用後おむつの表面材に、搬送経路に沿う送出方向と、送出方向と直交する上下方向、及び幅方向のうち、少なくとも一方向の成分を含む向きに沿って切り込みを付ける切断処理工程と、搬送経路上で、一対の押圧部材により、切り込みを付した状態の使用後おむつを挟み込んで、水分を含有した高分子吸収体を、表面材の切り込みから圧搾する圧搾処理工程と、圧搾された高分子吸収体を、搬送経路上から落下させて濾過可能な受け部に集め、集めた高分子吸収体に、脱水可能な波長の光を照射する脱水処理工程と、脱水処理後の高分子吸収体を濾過し、脱水した水分を排水する排水処理工程と、を有すること、を特徴とする。
【0031】
この特徴により、特許文献1の技術のように、高温に加熱する等、より大きなエネルギを投じることなく、使用後おむつから、水分を含む高分子吸収体を機械的に圧搾して、絞り出した高分子吸収体に、脱水可能な波長の光を照射するだけで、水分を簡単に、効率良く脱水することができる。そのため、本発明に係る使用後おむつの廃棄処理方法では、使用後おむつの廃棄処分に掛かるコストは、安価である。
【0032】
従って、本発明に係る本発明に係る使用後おむつの廃棄処理方法によれば、使用後おむつの廃棄処分を、安価なコストで、かつ簡単に効率良く行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0033】
(10)に記載する使用後おむつの廃棄処理方法において、一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する転動体であり、圧搾処理工程の実施により、使用後おむつから高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部を、一対の押圧部材により、搬送経路の終端部に送出して、廃棄物回収部で回収する廃棄物回収処理工程を有すること、を特徴とする。
【0034】
この特徴により、絞り出された高分子吸収体に対し、含有する水分を脱水して排水し、高分子吸収体の脱水処理後に生成された脱水ケーキだけを集めて廃棄処分を行うと同時に、使用後おむつから高分子吸収体が除去された状態のおむつ廃棄残部だけを集めた廃棄処分を、手間をかけずに、簡単に行うことができる。特に、作業者は、直におむつ廃棄残部に触れることなく、廃棄物回収部に設けた袋等におむつ廃棄残部を収容して、そのまま袋等に入ったおむつ廃棄残部を、ごみ回収者に出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係るおむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。近年、いわゆる使い捨て紙おむつ(紙おむつ)は、それを一度使用したら捨てることができるとして、おむつを必要とする人や幼児等の間で、広く利用されている。本発明に係るおむつ廃棄処理装置は、水分を吸収可能な高分子吸収体を、表面材による被覆で内装したこのような紙おむつを対象に、使用済みとなった使用後おむつの廃棄処理を行う装置である。このおむつ廃棄処理装置は、例えば、病院、老人ホーム、介護施設、保育園や託児所、商業施設や娯楽施設、空港施設等の大型施設内にあるトイレ等のほか、在宅による介護等を要する人で、日常的に紙おむつを多く使用する一般的な家庭等でも、使用することができる装置である。
【0037】
はじめに、一般的な紙おむつの構造について、
図14を用いて簡単に説明する。
図14は、一般的な紙おむつの要部の内部構造を模式的に示す説明図である。なお、
図14では、説明の便宜上、使用前の状態にある紙おむつと、使用済みとなった状態の紙おむつとを区別する目的で、使用前の紙おむつ80、使用済みとなった使用後おむつ80Sのように、異なる符号を付しているが、おむつ自体は、使用前後の違いだけで実質的に同じである。
【0038】
図14に示すように、紙おむつ80は、不織布製の立体ギャザー81に、排出された尿等の水分を吸う吸収部82を設けてなる。吸収部82は、内側と外側にある不織布製の表面材83と、吸収紙84と、綿状パルプ85と、高吸収性ポリマーである高分子吸収体86と、防水樹脂フィルム87とからなる。吸収部82では、綿状パルプ85と高分子吸収体86とが、防水樹脂フィルム87や吸収紙84に重装した状態で、内側の表面材83と外側の表面材83によって覆われている。紙おむつ80では、屎尿に含む水分は、内側の表面材83及び吸収紙84を通じて、綿状パルプ85と高分子吸収体86に吸収されて保持される一方、防水樹脂フィルム87は、吸収した水分を、外側の表面材83から外部への漏出を防いでいる。
【0039】
次に、おむつ廃棄処理装置の構成について、説明する。
図1は、実施形態に係るおむつ廃棄処理装置を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すおむつ廃棄処理装置を、カバーを外した状態で、前方から見た斜視図であり、後方から見た斜視図を
図3に、上方から見た平面図を
図4に、側方から見た側面図を
図5に、それぞれ示す。
図6は、
図5中、A−A矢視断面図である。
【0040】
なお、本実施形態では、
図1中、左上‐右下方向を「X軸方向(または送出方向)」とし、左下‐右上方向を「Y軸方向(または幅方向)」とし、X軸とY軸に直交する方向を「Z軸方向(上下方向)」として、おむつ廃棄処理装置1の各方向を定義する。また、
図1中、X軸方向右側を、おむつ廃棄処理装置1の前側とし、X軸方向左側を、おむつ廃棄処理装置1の後側とする。
図2以降の各図面も、
図1で定義した方向に準じる。また、各図とも、図を見易くするため、バネ等の部品類や電気ケーブル等の配線の図示を省略している場合がある。
【0041】
図1〜
図6に示すように、おむつ廃棄処理装置1は、略直方体形状に組まれた本体フレームに、蓋9と受け部43とを開閉可能に設けると共に、カバー8で被覆した態様で形成されたバッチ式の処理装置である。カバー8は、紫外線の影響を外部に遮断可能な材質からなる。おむつ廃棄処理装置1は、搬送経路2と、制御部6(制御手段)と、操作部7と、切断部10(切断手段)と、圧搾部20(圧搾手段)と、脱水部40(脱水手段)と、廃棄物回収部60等を備えている。
【0042】
図2〜
図6に示すように、おむつ廃棄処理装置1内では、搬送経路2は、装置前側に位置する始端部2Aから、送出方向(X軸方向)に沿って装置後側に延び、上下方向下側(Z軸方向下側)に向きを変えて終端部2Bまで延出された経路である。搬送経路2の始端部2Aは、その下方の空間と連通する開口4を有した梯子状の支持部材3により、使用後おむつ80Sを載置可能となっている。使用後おむつ80Sは、搬送経路2の始端部2Aに投入され、支持部材3上に載置される。
【0043】
搬送経路2上には、切断部10と圧搾部20が配設され、切断部10は、搬送経路2の始端部2A側に配置されている。圧搾部20は、搬送経路2の一部をなし、始端部2Aと一続きに連接されている。脱水部40は、搬送経路2の始端部2Aと圧搾部20との間で、始端部2Aをなす梯子状の支持部材3の下に配設されている。また、搬送経路2上において、圧搾部20を挟む切断部10の反対側には、板状の案内部材5が、圧搾部20と一続きに連接されており、搬送経路2の一部として、終端部2Bをなす。案内部材5の下にある内部空間は、廃棄物収容室61となっている。廃棄物回収部60は、廃棄物収容室61内に設けられ、使用後おむつ80Sから、吸収した水分Wを含む高分子吸収体86Sが除去された状態のおむつ廃棄残部92(
図11参照)を回収する。
【0044】
<切断部10の構成>
切断部10は、投入された使用後おむつ80Sの吸収部82S(
図7参照)に対し、外側の表面材83及び防水樹脂フィルム87、あるいは内側の表面材83及び吸収紙84に、切り込み91(
図10参照)を付ける切断ユニットである。切断部10は、圧搾部20手前までの始端部2Aの間を、搬送経路2に沿って移動可能な駆動制御部11と、駆動制御部11に装着された電熱線張設部13を有する。切断部10は、本実施形態では、電熱線15の通電により発熱する熱で、表面材83等を加熱し、融かすことで切り込む。電熱線15は、電熱線張設部13により、搬送経路2の幅方向Yに張設され、投入された使用後おむつ80Sの吸収部82Sに、幅方向Yに沿って切り込み91を付す。
【0045】
電熱線15の一端は、図示しないコイルバネを介して、電熱線張設部13に取付けて支持されている。電熱線15は、テンションを可変することができているため、使用後おむつ80Sの表面材83等の切り込み時に作用する引張り応力により、過大な負荷に起因した断線を抑制できている。また、電熱線張設部13は、駆動制御部11の壁12との間に介装したコイルバネ14により、電熱線15による表面材83等の切り込み時に、使用後おむつ80Sから受ける反力を吸収可能な状態で、駆動制御部11の壁12に取付けられている。
【0046】
駆動制御部11は、モータの回転によりピニオンを駆動させ、このピニオンと螺合するラックの相対変位に基づいて、送出方向Xに移動する。駆動制御部11では、コイルバネ(図示省略)が、壁12を挟む電熱線張設部13の反対側に、リニアガイドと共に介装されており、駆動制御部11の壁12は、このコイルバネの弾性力により押圧された状態になっている。これにより、駆動制御部11は、ピニオンとラックとのバックラッシュを抑えた状態で、圧搾部20に向けてスムーズに移動することができる。
【0047】
<圧搾部20の構成>
圧搾部20は、搬送経路2上に設けられ、一対の押圧部材により、切り込み91を付した状態の使用後おむつ80Sを挟み込んで、使用後おむつ80Sに包含していた高分子吸収体86Sを圧搾する。圧搾部20は、一対の押圧部材として、本実施形態では、互いに反対方向に回転可能な第1押圧ローラ21、第2押圧ローラ25(転動体)であり、挟み込んだ使用後おむつ80Sを、廃棄物回収部60に向けて送出可能に設けられている。圧搾部20では、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、挟み込んだ使用後おむつ80Sへの与圧が、調整可能となっている。
【0048】
具体的には、
図1、
図2及び
図5に示すように、圧搾部20では、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25は、それぞれの軸心を、幅方向Yに配置すると共に、上下方向Zに対し、同一の仮想平面内に配置する態様で、設けられている。第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25は、前述したように、搬送経路2の一部をなし、始端部2Aと終端部2Bとの間に配置されている。第2押圧ローラ25は、搬送経路2の始端部2Aに対し、支持部材3よりやや低い高さに設けられ、第1押圧ローラ21は、第2押圧ローラ25上に設けられている。
【0049】
第1押圧ローラ21の第1軸22は、第1駆動モータ31の出力軸と連結している。
図5に示すように、第1軸22は、第1軸受け部23で軸支されている。第1軸受け部23は、本体フレームに固着した第1支持板24に固定されている。また、第2押圧ローラ25の第2軸26は、第2駆動モータ32の出力軸と連結している。第2軸26は、第2軸受け部27で軸支されている。第2軸受け部27は、第2支持板28に固定されている。第2支持板28は、第1支持板24と平行に配置され、第1支持板24と第2支持板28との間には、第1コイルバネ34と第1支持ガイド35が、複数箇所でそれぞれ、並列に介装されている。第2支持板28は、第1コイルバネ34の弾性変位により、上下方向Zに対し、第1支持ガイド35に摺動しながら、自在に上下に動くことができている。
【0050】
また、第2支持板28は、平板状の第3支持板33とも、平行に配置されている。第2支持板28と第3支持板33との間には、第2コイルバネ36と第2支持ガイド37が、複数箇所でそれぞれ、並列に介装されている。第3支持板33は、第2コイルバネ36の弾性変位により、上下方向Zに対し、第2支持ガイド37に摺動しながら、自在に第2支持板28と相対的に上下に動くことができている。
【0051】
図1及び、参照する
図7に示すように、蓋9の内側には、押圧部材38が設けられている。第3支持板33は、蓋9の閉塞により、押圧部材38と当接して押圧可能な位置に配置されている。蓋9が開いていると、押圧部材38が第3支持板33を押圧していないため、第1コイルバネ34と第2コイルバネ36は、双方とも自然長の状態となる。そのため、第2支持板28は、第1コイルバネ34の自然長に相当する距離分、第1支持板24から離間して、第1コイルバネ34で支えられている。この状態では、セッティング時に、投入した使用後おむつ80Sの端を、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25に少しだけ把持させるのに必要な間隔として、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25との隙間は、適度な距離となっている。
【0052】
他方で、蓋9を閉じると、押圧部材38が、当接した第3支持板33を押圧する。そのため、第3支持板33による下向きの押圧力により、第1コイルバネ34と第2コイルバネ36は、双方とも、自然長の状態から圧縮されて、第2支持板28は、第1支持板24に向けて下降する。そのため、蓋9の開放時の状態に比べ、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25との軸間距離は、小さくなり、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、挟み込む使用後おむつ80Sへの与圧を、より大きく調整することができる。かくして、圧搾部20は、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、挟み込んだ使用後おむつ80Sへの与圧を調整することができる。
【0053】
なお、使用後おむつ80Sへの与圧を調整するにあたり、本実施形態では、押圧部材38による第3支持板33への押圧により、第2支持板28を第1支持板24に近づけ、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25との軸間距離を小さくしたが、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25との軸間距離の調整は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、蓋9に装着された押圧部材38とは別の系統で、第1支持板24に対し、第2支持板28との距離を調整することが可能な支持板間距離調整手段や、第1押圧ローラ21の第1軸22と第2押圧ローラ25の第2軸26との軸間距離調整手段を、おむつ廃棄処理装置に設けても良い。
【0054】
<脱水部40の構成>
図5及び
図6に示すように、脱水部40は、搬送経路2の始端部2Aをなす梯子状の支持部材3の下に設けられている。脱水部40は、使用後おむつ80Sに包含されていて、水分Wを含んだ状態にある高分子吸収体80Sに、脱水可能な波長の光を照射する脱水ユニットである。脱水部40では、照射光は、本実施形態では、紫外線殺菌灯41から発する紫外線UVである。具体的には、紫外線殺菌灯41は、出力数十W、紫外線照射度数千μW/cm
2程のランプで、おむつ廃棄処理装置1に2つ搭載されている。紫外線殺菌灯41で発光する紫外線は、一例として、200nm前後から300nm前後にかけた帯域内の波長である。
【0055】
高分子吸収体80、80Sは、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等に代表されるように、特に水分の吸着能力を高めた高吸水性高分子(高分子ポリマー)の樹脂材からなる。紫外線殺菌灯41は、このような高分子ポリマー材の構成成分であるモノマー同士の重合を、解除可能となる波長で紫外線UVを照射するUVランプである。すなわち、紫外線殺菌灯41から照射される紫外線UVは、水分を含んだ高分子ポリマー材に吸収されて、高分子ポリマーの状態をなす三次元網目構造を破壊することにより、重合しているモノマー同士の結合を解除して、モノマーを分離させる。
【0056】
紫外線殺菌灯41は、搬送経路2の始端部2Aの下で、下側に窄む逆V字状に配設された2枚の取付け板42に、それぞれ1つずつ装着されている。取付け板42の下には、受け部43が、当該おむつ廃棄処理装置1の内外の間を移動可能に設けられている。受け部43は、濾過可能なメッシュ構造に形成されたフィルタ44を具備している。高分子吸収体80Sの吸収部82Sから圧搾された高分子吸収体86Sは、搬送経路2の始端部2Aにある支持部材3の開口4を通じて落下し、区画板46と2枚の取付け板42の間を通過し、脱水処理前の高分子吸収体86Saとして、フィルタ44上に堆積される。フィルタ44は、高分子吸収体86Sa(高分子吸収体86S)から脱水した水分Wをドレイン45に排水すると共に、水分Wの脱水後に残る脱水ケーキ86Sbを貯留する。
【0057】
<制御部6の構成>
制御部6は、操作部7と共に、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ32、駆動制御部11の動力源であるモータや、電熱線15、紫外線殺菌灯41等と電気的に接続されている。制御部6は、電熱線15の通電制御、紫外線殺菌灯41の発光制御を行う。また、制御部6は、使用後おむつ80Sの投入後から、廃棄物回収部60でおむつ廃棄残部92の回収、圧搾した高分子吸収体86Sa(高分子吸収体86S)の脱水処理等、装置全体で行う一連の全処理を、自動運転で制御する中央制御回路や、図示しないセンサの入力I/O等を備えている。中央制御回路は、内部のバスに、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマ回路、及び不揮発性メモリ等を電気的に接続し配線された回路である。CPUは、ROMや不揮発性メモリに記録された制御プログラムに基づいて、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ32に対する出力軸の回転制御や、駆動制御部11の動力源であるモータの回転制御のほか、前述した自動運転の制御を行う。
【0058】
次に、本実施形態に係る使用後おむつ80Sの廃棄処理方法に基づき、使用後おむつの廃棄処分の要領について、
図7〜
図13を用いて説明する。
図7は、実施形態に係る使用後おむつの廃棄処理方法に基づき、使用後おむつから高分子吸収体を取出して廃棄処分するまでの一連の工程のうち、使用後おむつを廃棄処理装置にセットする様子を示す第1工程図である。
図8は、使用後おむつを一対の押圧部材に挟み込む様子を示す第2工程図である。
図9は、使用後おむつに切り込みを付す様子を示す第3工程図である。
図10は、使用後おむつから高分子吸収体を圧搾する様子を示す第4工程図である。
図11は、おむつ廃棄残部を廃棄物回収部に捨てる様子を示す第5工程図である。
図12は、受け部に集めた高分子吸収体に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射する様子を示す第6工程図である。
図13は、受け部で脱水処理後の高分子吸収体を濾過する様子を示す第7工程図である。
【0059】
本実施形態に係る使用後おむつ80Sの廃棄処理方法は、後述するように、切断処理工程と、圧搾処理工程と、廃棄物回収処理工程と、脱水処理工程と、排水処理工程を有する。
【0060】
はじめに、おむつ廃棄処理装置1では、切断部10の電熱線15は、通電した状態にあり、切断部10の駆動制御部11は、
図7に示すように、送出方向X前側(
図7中、右側)に後退した待避位置にいる。次に、作業者は、おむつ廃棄処理装置1の蓋9を開けて、小さくまとめた態様で投入した使用後おむつ80Sの吸収部82Sを、搬送経路2の始端部2A上のセット位置に載置する。セット位置は、使用後おむつ80Sの吸収部82Sを切断部10の電熱線15に対向させると共に、使用後おむつ80Sの一部分を、圧搾部20において、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25との間で挟持可能となる配置位置である。
【0061】
次に、作業者は、
図8に示すように、おむつ廃棄処理装置1の蓋9を閉じる。これにより、第2支持板28が第1支持板24に向けて下がり、前述した使用後おむつ80Sの一部分が、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25によって軽く挟み込まれる。次に、切断部10の駆動制御部11を、送出方向X後側(
図9中、左側)に前進させ、停止させた切断位置で、切断部10の電熱線15を、使用後おむつ80Sの吸収部82Sに接触させる。これにより、通電状態にある電熱線15が、吸収部82Sにある表面材83及び防水樹脂フィルム87、あるいは内側の表面材83及び吸収紙84に、幅方向Yに沿った切り込み91を付ける旨の切断処理工程を行う。
【0062】
次に、
図10に示すように、切断部10の駆動制御部11を、待避位置に後退させた後、第1押圧ローラ21を、一の方向(
図10の場合、紙面に対し、第1押圧ローラ21の軸心を時計周り方向)に回転させると共に、第2押圧ローラ25を、その反対の方向(
図10の場合、紙面に対し、第2押圧ローラ25の軸心を反時計周り方向)に回転させる。使用後おむつ80Sは、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25の回転により、押圧した状態で挟み込まれながら、廃棄物回収部60に送出される。
【0063】
このとき、使用後おむつ80Sには、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25による押圧力が作用しているため、吸収部82Sに包含されていた高分子吸収体86Sは、切り込み91から圧搾される。すなわち、搬送経路2上で、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、切り込み91を付した状態の使用後おむつ80Sを挟み込んで、水分Wを含んだ高分子吸収体86Sを、表面材83等の切り込み91から圧搾する旨の圧搾処理工程を行う。
【0064】
次いで、廃棄物回収処理工程を行う。廃棄物回収処理工程では、
図11に示すように、圧搾処理工程の実施により、使用後おむつ80Sから高分子吸収体86Sが除去された状態のおむつ廃棄残部92を、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、搬送経路2の終端部2Bにある案内部材5に送出し、箱状の廃棄物回収部90に収容して回収する。おむつ廃棄残部92は、水分Wを含んだ高分子吸収体86S以外の廃棄物で、使用後おむつ80Sの立体ギャザー81等のほか、立体ギャザー81等により、小さくまとめて包含された便等の排泄物である。
【0065】
他方、圧搾処理工程の実施により、高分子吸収体86Sは、
図10及び
図12に示すように、使用後おむつ80Sの吸収部82Sから支持部材3の開口4(搬送経路2の始端部2A)を通じて、区画板46にガイドされながら、脱水部40の受け部43に落下して、フィルタ44上に堆積される。次に、フィルタ44上に集められた脱水処理前の高分子吸収体86Sa(高分子吸収体86S)は、所定時間の間、紫外線殺菌灯41より、紫外線UVの照射を受ける。
【0066】
すなわち、圧搾された高分子吸収体86Sを、搬送経路2の始端部2A上から落下させて濾過可能な受け部43に集め、集めた脱水処理前の高分子吸収体86Saに、脱水可能な波長の紫外線UVを照射する旨の脱水処理工程を行う。
【0067】
このとき、集められた脱水処理前の高分子吸収体86Saに対し、紫外線UVの照射面積がより大きくなるよう、脱水処理前の高分子吸収体86Saは、なるべく平坦な状態で、フィルタ44上に堆積されていることが好ましい。集められた脱水処理前の高分子吸収体86Saに対し、紫外線UVの照射面積がより大きくなると、高分子吸収体86Sの脱水効率が向上すると共に、後述するように、紫外線UVにより、高分子吸収体86Sの殺菌効果や消臭効果が向上するからである。
【0068】
水分Wを含んだ高分子吸収体86Sは、高分子ポリマーの樹脂材である。脱水処理工程では、紫外線UVを高分子吸収体86Sに照射したことにより、高分子吸収体86Sにおいて、水分Wが脱水すると共に、モノマー同士の重合が切断される。その結果、高分子吸収体86Saは、水分Wと、分離したモノマーの樹脂材を主成分とした脱水ケーキ86Sbに変化する。
【0069】
次に、脱水処理工程の実施後、排水処理工程を行う。排水処理工程では、受け部43のフィルタ44で濾過した水分Wは、ドレイン45を通じて排水する。他方、作業者は、
図2に示すように、受け部43を外側に引き出して、フィルタ44上に堆積した脱水ケーキ86Sbを、一般的なごみとして、廃棄処分する。
【0070】
ところで、おむつ廃棄処理装置1では、紫外線殺菌灯41による紫外線UVの照射は、高分子吸収体86Sに含む水分Wを脱水させる以外にも、高分子吸収体86Sに対し、殺菌効力と消臭効力をもたらす。そこで、本出願人は、紫外線殺菌灯41による紫外線UVの照射で、高分子吸収体86Sに対する殺菌効果と消臭効果を確認する目的で、実験1〜3の検証実験を行った。実験1〜3では、高分子吸収体86Sは、一般家庭から供給された使用後おむつ80Sに、実際に存在していたものである。実験1〜3は、専門の分析機関に依頼して実施され、本出願人は、この分析機関からこれら実験1〜3の結果を得た。
【0071】
実験1は、実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1の紫外線殺菌灯41により、高分子吸収体86Sにおける一般生菌の殺菌効果について検証した実験であり、採取した高分子吸収体86Sの試料1,2から検出される一般生菌の数を、試料毎に、紫外線UVの照射処理前後でそれぞれ測定して対比させた実験である。実験2は、実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1の紫外線殺菌灯41により、高分子吸収体86Sにおける大腸菌の殺菌効果について検証した実験であり、採取した高分子吸収体86Sの試料1,2から検出される大腸菌の数を、試料毎に、紫外線UVの照射処理前後でそれぞれ測定して対比させた実験である。実験3は、実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1の紫外線殺菌灯41により、高分子吸収体86Sの臭度の変化について、臭度計を用いて検証した実験であり、採取した高分子吸収体86Sの試料1〜3の臭度指数を、試料毎に、紫外線UVの照射処理前後でそれぞれ測定して対比させた実験である。実験1〜3では、紫外線殺菌灯41により照射する紫外線UVの波長は、特に260nm前後をピークに、殺菌作用を有するとされた波長帯域内にある253.7nmである。
【0072】
(実験結果)
図15は、実験1の結果を示すグラフである。
図15に示すように、実験1の試料1では、紫外線UVの照射処理前の一般生菌数は、170万(個/g)であったが、紫外線UVの照射処理後の一般生菌数は、処理前時から99.98%減少した350(個/g)にまで減っていた。同様に、実験1の試料2では、紫外線UVの照射処理前の一般生菌数は、16万(個/g)であったが、紫外線UVの照射処理後の一般生菌数は、処理前から99.9以上も減少した10(個/g)以下にまで減っていた。
【0073】
図16は、実験2の結果を示すグラフである。
図16に示すように、実験2の試料1では、紫外線UVの照射処理前の大腸菌数は、19万(個/g)であったが、紫外線UVの照射処理後の大腸菌数は、処理前から99.9以上も減少した10(個/g)以下にまで減っていた。同様に、実験2の試料2では、紫外線UVの照射処理前の大腸菌数は、1.5万(個/g)であったが、紫外線UVの照射処理後の大腸菌数は、処理前から99.9以上も減少した10(個/g)以下にまで減っていた。
【0074】
図17は、実験3の結果を示すグラフである。
図17に示すように、実験3では、紫外線UVの照射処理前の臭度指数は、試料1〜試料3のいずれとも、例えば、駅のトイレで呈する臭度指数に相当した320近傍であった。これに対し、紫外線UVの照射処理後の臭度指数は、試料1〜試料3のいずれとも、例えば、一般家庭の屋内にある居間で呈する臭度指数に相当した85前後まで、下がっていた。
【0075】
(考察)
実験1の場合、高分子吸収体86Sに存在していた一般生菌は、紫外線殺菌灯41から照射された波長253.7nmの紫外線UVを受けたことにより、ほぼ全数の菌が死滅に至ったものと考えられる。同様に、実験2の場合でも、高分子吸収体86Sに存在していた大腸菌は、紫外線殺菌灯41から照射された波長253.7nmの紫外線UVを受けたことにより、ほぼ全数の菌が死滅に至ったものと考えられる。従って、紫外線殺菌灯41による紫外線UVの照射は、高分子吸収体86Sに存在する一般生菌及び大腸菌に対し、一定の殺菌効果を有していることが判る。
【0076】
実験3の場合、不快な臭いを呈した高分子吸収体86Sが、紫外線殺菌灯41から照射された波長253.7nmの紫外線UVを受けたことにより、高分子吸収体86Sから放つ臭度指数が改善されたものと考えられる。従って、紫外線殺菌灯41による紫外線UVの照射は、高分子吸収体86S自体に有する臭度に対し、一定の消臭効果を有していることが判る。
【0077】
なお、厳密に言えば、実験1〜3とも、紫外線UVの照射処理後の高分子吸収体86Sは、水分Wと脱水ケーキ86Sbに分離した状態になっている。そのため、おむつ廃棄処理装置1で、受け部43に堆積した高分子吸収体86Saに、紫外線UVの照射処理を実際に施すと、ドレイン45から排水する水分Wと、フィルタ44上に堆積している脱水ケーキ86Sbはいずれも、殺菌と共に消臭されていて、衛生的な状態となっている。
【0078】
次に、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1、及び使用後おむつの廃棄処理方法の作用・効果について説明する。
【0079】
本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1は、水分を吸収可能な高分子吸収体80が、表面材83による被覆で内装された使い捨ておむつ80を対象に、使用済みとなった使用後おむつ80Sの廃棄処理を行うおむつ廃棄処理装置である。廃棄処理装置1は、使用後おむつ80Sの吸収部82の表面材83に切り込み91を付ける切断部10と、一対の押圧部材(第1押圧ローラ21、第2押圧ローラ25)を有し、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、切り込み91を付した状態の使用後おむつ80Sを挟み込んで、高分子吸収体86Sを圧搾する圧搾部20と、水分Wを含有した高分子吸収体85Sに、脱水可能な波長の紫外線UVを照射する脱水部40と、電気的な制御を行う制御部6と、を備え、圧搾部20は、使用後おむつ80Sを投入する側にある始端部2Aから延出して終端部2B側へと導く搬送経路2上に設けられ、切断部10は、搬送経路2に沿う送出方向X、及び上下方向Zに直交する幅方向Yに沿って、切り込み91を付けるものであること、を特徴とする。
【0080】
この特徴により、特許文献1の技術のように、高温に加熱する等、より大きなエネルギを投じることなく、圧搾部20により、使用後おむつ80Sから、水分Wを含む高分子吸収体86Sを機械的に圧搾して、絞り出した高分子吸収体86Sに、紫外線UVを照射するだけで、水分Wを簡単に脱水することができる。そのため、おむつ廃棄処理装置1では、使用後おむつ80Sの廃棄処分に掛かるコストは、安価である。しかも、作業者により投入された使用後おむつ80Sは、切断部10により、吸収部82の表面材83を切り込んだ上で、圧搾部20により、高分子吸収体86Sが取り出されるため、投入された使用後おむつ80Sに対し、極めて高い歩留まりで、高分子吸収体86Sを、より確実に効率良く取出すことができる。
【0081】
従って、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1によれば、使用後おむつ80Sの廃棄処分を、安価なコストで、かつ簡単に効率良く行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0082】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、脱水部40は、搬送経路2の始端部2Aと圧搾部20との間で、搬送経路2の下に配設され、圧搾された高分子吸収体86Sに、紫外線UVを照射すること、を特徴とする。
【0083】
この特徴により、投入された使用後おむつ80Sは、搬送経路2上にある圧搾部20から始端部2Aに向けて、高分子吸収体86Sと、それ以外のおむつ廃棄残部92に、確実に分別できる。そのため、始端部2Aの下に落として脱水部40に集めた高分子吸収体86Saに対し、含有した水分Wの脱水処理を、複数の使用後おむつ80S分、まとめて効率良く行うことができる。一例として、脱水部40において、受け部43のフィルタ44が、縦横400mm程の大きさに形成されたおむつ廃棄処理装置1で、複数の使用後おむつ80Sを、自動運転で連続して廃棄処理を行う場合、脱水部40は、時間当たり数十個の使用後おむつ80S分の高分子吸収体86Sを、まとめて脱水処理することができる。他方、時間当たり数十個のおむつ廃棄残部92を、廃棄物回収部60にまとめて回収することができる。加えて、脱水処理後に生じた脱水ケーキ86Sbも、受け部43のフィルタ44上にまとめて貯留されるため、おむつ廃棄処理装置1内から受け部43を引出せば、脱水ケーキ86Sbの廃棄処分も、簡単に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、切断部10は、搬送経路2に沿い、始端部2Aから圧搾部20に向けて移動可能であること、を特徴とする。
【0085】
この特徴により、切断部10は、切断位置で、吸収部82の表面材83に切り込み91を付す以外には、待避位置に移動できるため、投入した使用後おむつ80Sを始端部2Aの支持部材3に載置する場合や、切り込み91を付した状態の使用後おむつ80Sから、高分子吸収体86Sを絞り出す場合に、切断部10が邪魔になることはない。また、切断部10は、切断位置で、吸収部82の表面材83に切り込み91を付す以外には、待避位置に移動できる。そのため、投入した使用後おむつ80Sの載置に必要なスペースが確保できれば、始端部2Aを、より省スペースに小さく抑えることができる。これにより、おむつ廃棄処理装置1全体を、コンパクト化して構成することができる。
【0086】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、使用後おむつ80Sから高分子吸収体86Sが除去された状態のおむつ廃棄残部92を回収する廃棄物回収部60を備え、廃棄物回収部60は、圧搾部20を挟み、切断部10の反対側にある搬送経路2の終端部2B側に設けられていること、を特徴とする。
【0087】
この特徴により、作業者は、直におむつ廃棄残部92に触れることなく、廃棄物回収部60に設けた袋等におむつ廃棄残部92を収容して、そのまま袋等に入ったおむつ廃棄残部92を、ごみ回収者に出すことができる。従って、作業者は、手間をかけずに、おむつ廃棄残部92の廃棄処分を行うことができる。
【0088】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する第1押圧ローラ21、第2押圧ローラ25であり、挟み込んだ使用後おむつ80Sを、廃棄物回収部60に向けて送出可能に設けられていること、を特徴とする。
【0089】
この特徴により、高分子吸収体86Sは、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25の回転により、使用後おむつ80Sから絞り出されると同時に、おむつ廃棄残部92を、自動で廃棄物回収部60に収容することができる。そのため、脱水ケーキ86Sbと、排水する水分Wと、おむつ廃棄残部92とを、混合することなく確実に分別して廃棄処分を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25では、挟み込んだ使用後おむつ80Sへの与圧が、調整可能であること、を特徴とする。
【0091】
この特徴により、使用後おむつ80Sの吸収部82Sの状態に応じて、高分子吸収体86Sを、使用後おむつ80Sから絞り出すことができるため、高分子吸収体86Sが、おむつ廃棄残部92に残留する蓋然性も低い。そのため、おむつ廃棄残部92は、高分子吸収体86Sをほとんど残留していないことから、比較的軽くなっており、作業者が、廃棄物回収部60に収容したおむつ廃棄残部92を、ごみ回収者に出す負担の軽減化に貢献することができる。また、ごみとして回収されたおむつ廃棄残部92を、焼却場で焼却処分する場合でも、高分子吸収体86Sの水分Wが、おむつ廃棄残部92にほとんど残っていないため、焼却処分時に、必要以上におむつ廃棄残部92を加熱する必要がなく、焼却処分に支障を来すことが抑制できている。
【0092】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、切断部10は、搬送経路2の幅方向Yに張設された電熱線15であること、を特徴とする。
【0093】
この特徴により、使用後おむつ80Sの吸収部82に対し、表面材83や防水樹脂フィルム87等への切り込み91を、より短い時間で、確実に簡単に付すことができる。しかも、表面材83等の切断を電熱線15とした切断部10では、その構造が簡素化でき、切断部10に掛かるコストも安価である。
【0094】
また、本実施形態に係るおむつ廃棄処理装置1では、脱水部40は、紫外線殺菌灯41を有してなること、を特徴とする。
【0095】
この特徴により、高分子吸収体86Sが、紫外線殺菌灯41から紫外線UVを吸収することで、含有した水分Wを脱水する以外に、高分子吸収体86Sから分離した水分Wと、脱水ケーキ86Sbに対し、殺菌効果と消臭効果が生じる。そのため、排水する水分Wや、廃棄処分を行う脱水ケーキ86Sbは、衛生的な状態になっている。特に水分Wは、下水動に排水することも可能である。
【0096】
また、本実施形態に係る使用後おむつ80Sの廃棄処理方法は、水分を吸収可能な高分子吸収体86が、表面材83による被覆で内装された使い捨ておむつ80を対象に、使用済みとなった使用後おむつ80Sを廃棄処分する使用後おむつの廃棄処理方法において、始端部2A側に投入した使用後おむつ80Sを、終端部2B側へと導く搬送経路2を有し、投入した使用後おむつ80Sの表面材83等に、搬送経路2に沿う送出方向X、及び上下方向Zに直交する幅方向Yに沿って切り込み91を付ける切断処理工程と、搬送経路2上で、一対の押圧部材(第1押圧ローラ21、第2押圧ローラ25)により、切り込み91を付した状態の使用後おむつ80Sを挟み込んで、水分Wを含有した高分子吸収体86Sを、表面材83の切り込み91から圧搾する圧搾処理工程と、圧搾された高分子吸収体86Sを、搬送経路2上から落下させて濾過可能な受け部43に集め、集めた高分子吸収体86Sa(86S)に、脱水可能な波長の紫外線UVを照射する脱水処理工程と、水分Wと混ざる脱水ケーキ86Sbを濾過し、脱水した水分Wを排水する排水処理工程と、を有すること、を特徴とする。
【0097】
この特徴により、特許文献1の技術のように、高温に加熱する等、より大きなエネルギを投じることなく、使用後おむつ80Sから、水分Wを含む高分子吸収体86Sを機械的に圧搾して、絞り出した高分子吸収体86Sに、紫外線UVを照射するだけで、水分Wを簡単に脱水することができる。そのため、使用後おむつ80Sの廃棄処分に掛かるコストは、安価である。しかも、作業者により投入された使用後おむつ80Sは、吸収部82の表面材83を切り込んだ上で、高分子吸収体86Sが圧搾されるため、投入された使用後おむつ80Sに対し、極めて高い歩留まりで、高分子吸収体86Sを、より確実に効率良く取出すことができる。
【0098】
従って、本実施形態に係る使用後おむつ80Sの廃棄処理方法によれば、使用後おむつ80Sの廃棄処分を、安価なコストで、かつ簡単に効率良く行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0099】
また、本実施形態に係る使用後おむつ80Sの廃棄処理方法では、一対の押圧部材は、互いに反対方向に回転する第1押圧ローラ21、第2押圧ローラ25であり、圧搾処理工程の実施により、使用後おむつ80Sから高分子吸収体86Sが除去された状態のおむつ廃棄残部92を、第1押圧ローラ21と第2押圧ローラ25により、搬送経路2の終端部2Bに送出して、廃棄物回収部60で回収する廃棄物回収処理工程を有すること、を特徴とする。
【0100】
この特徴により、絞り出された高分子吸収体86Sに対し、含有する水分Wを脱水して排水し、脱水ケーキ86Sbだけを集めて廃棄処分を行うと同時に、おむつ廃棄残部92だけを集めた廃棄処分を、手間をかけずに、簡単に行うことができる。特に、作業者は、直におむつ廃棄残部92に触れることなく、廃棄物回収部60に設けた袋等におむつ廃棄残部92を収容して、そのまま袋等に入ったおむつ廃棄残部92を、ごみ回収者に出すことができる。
【0101】
以上において、本発明のおむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法を、実施形態に即して説明したが、本発明のおむつ廃棄処理装置、及び使用後おむつの廃棄処理方法は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0102】
(1)例えば、実施形態では、切断部10は、電熱線15で発熱した熱により、使用後おむつ80Sの表面材83等を融かして、表面材83等に切り込み91を付けた。しかしながら、切断手段は、例えば、刃具、超音波カッタ、レーザ光メス等でも良く、高分子吸収体を包含した使用後おむつの吸収部に対し、内部にある高分子吸収体を外部に取り出すことが可能な切り込みを付すことができれば、何でも良い。
【0103】
(2)また、実施形態では、脱水部40において、脱水処理前の高分子吸収体86Saを受け部43のフィルタ44上に堆積したが、フィルタ44上に集めた高分子吸収体86Saを平坦な状態に維持するために、堆積した高分子吸収体86Saの山を平坦にならす部材を設けても良い。また、紫外線殺菌灯41は、取付け板42以外にも、搬送経路2上や、廃棄物回収部60等、おむつ廃棄処理装置1の内部に設置しても良い。