(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予測するステップにおいて、現在より0.5月以上5月以下の過去の計測データを用いて前記回帰式を作成し、現在から5月以内の将来期間の前記換算値の推移を予測する
請求項4に記載のアキュムレータの異常診断方法。
前記予測するステップにおいて、現在より0.5月以上2月以下の過去の計測データを用いて前記回帰式を作成し、現在から2月以内の将来期間の前記換算値の推移を予測する
請求項4に記載のアキュムレータの異常診断方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
(風力発電装置の全体構成)
まず、異常診断の対象となるアキュムレータを備える風力発電装置1について説明する。
図1は、一実施形態に係る風力発電装置1の全体構成を示す概略図である。同図に示すように、風力発電装置1は、風車翼4が取り付けられたハブ3と、ハブ3が連結される回転シャフト6とを含む風車ロータ2と、発電機10と、回転シャフト9を介して風車ロータ2の回転エネルギーを発電機10に伝えるためのドライブトレイン8と、を備える。発電機10は、ドライブトレイン8によって伝えられる風車ロータ2の回転エネルギーによって駆動されるように構成される。
【0013】
風力発電装置1において、風車翼4が受けた風の力によって風車ロータ2全体が回転すると、回転シャフト6からドライブトレイン8に回転が入力される。回転シャフト6から入力された回転はドライブトレイン8によって回転シャフト9を介して発電機10に伝達される。
【0014】
ドライブトレイン8は、回転シャフト6から入力された回転を増速するように構成された増速機であってもよい。ドライブトレイン8は、油圧ポンプと、高圧油ラインと、低圧油ラインと、油圧モータとを含む油圧式ドライブトレインや、機械式(ギヤ式)の増速機であってもよい。ドライブトレイン8及び発電機10は、タワー12に支持されるナセル11の内部に収容されていてもよい。タワー12は水上又は陸上の基礎に立設されてもよい。なお、風力発電装置1は、ハブ3と発電機10とがドライブトレイン8を介さずに直接連結されたダイレクトドライブ方式の風力発電装置であってもよい。
【0015】
(油圧回路の構成)
図2は、一実施形態に係る風力発電装置1の油圧回路の構成を示す概略図である。
図2に示すように、風力発電装置1は、風車翼4のピッチ角を調節するための翼ピッチ機構20と、翼ピッチ機構20を制御するように構成された風車コントローラ110とを備えている。
【0016】
風車コントローラ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えるコンピュータである。風車コントローラ110では、プロセッサ(CPU)がメモリ(RAM又はROM)に記憶されているプログラムを実行することにより、後述する各種機能を実現する。風車コントローラ110は、PLC(Programmable Logic Controller)を含んでいてもよい。
【0017】
翼ピッチ機構20は、風車翼4のピッチ角を変化させるように構成されたピッチ駆動装置14を含む。ピッチ駆動装置14は、複数の風車翼4の各々に設けられる。各ピッチ駆動装置14は、該ピッチ駆動装置14に対応する風車翼4のピッチ角を変化させるように構成されている。ピッチ駆動装置14は、風車翼4に接続されて、風車翼4のピッチ角を変化させるように作動する油圧式のピッチアクチュエータを含む。ピッチアクチュエータは、油圧シリンダ16を含む。
【0018】
翼ピッチ機構20は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)及び油圧バルブ18を含むピッチ駆動装置14と、油圧源としての油圧ポンプ22と、油を貯留するための油タンク24と、油圧ポンプ22と油圧シリンダ16との間に設けられた供給ライン26と、を含む。油タンク24に貯留された油は、供給ライン26を介して油圧シリンダ16に供給されるようになっている。なお、油圧シリンダ16は、各々の風車翼4の翼根部5(
図1参照)に設けられていてもよい。
【0019】
なお、図示する実施形態において、風力発電装置1は、第1翼〜第3翼からなる3枚の風車翼4を有し、ピッチ駆動装置14は、3枚の風車翼4の各々に対応して設けられている。
図2においては第1翼に対応するピッチ駆動装置14のみが明示的に図示されており、第2翼及び第3翼にそれぞれ対応するピッチ駆動装置14の図示は省略されているが、第2翼及び第3翼に対応するピッチ駆動装置14は、第1翼に対応するピッチ駆動装置14と同様の構成を有する。
【0020】
油タンク24には作動油が貯蔵されており、該作動油は、油圧ポンプ22によって昇圧され、供給ライン26を通って分配ブロック28及び流量調整弁30を介して、さらに風車翼4毎に設けられる分岐供給ライン27を通って各風車翼4毎に設けられた油圧バルブ18及び油圧シリンダ16へ供給される。
【0021】
なお、各風車翼4に設けられる油圧シリンダ16からの油は、分岐返送ライン31及び返送ライン32を通って油タンク24に返送されるようになっている。また、供給ライン26と返送ライン32とは、リリーフ弁34を介して接続され、供給ライン26の圧力が規定値を超えた時にリリーフ弁34を介して圧油が返送ライン32に逃れるようにして、供給ライン26の圧力が過大とならないようにしてもよい。
【0022】
供給ライン26には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ41が設けられていてもよい。また、供給ライン26には、供給ライン26における油圧を検出するための圧力センサ101が設けられていてもよい。アキュムレータ41には、アキュムレータ41の封入ガス圧を検出するための圧力センサ102が設けられていてもよい。
【0023】
供給ライン26には、油圧式のブレーキキャリパー及びヨーブレーキを駆動するための作動油を供給するための供給ライン25が接続されていてもよい。供給ライン25には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ43が設けられていてもよい。アキュムレータ43には、アキュムレータ43の封入ガス圧を検出するための圧力センサ103が設けられていてもよい。
【0024】
図3は、
図2に示す油圧回路のうちピッチ駆動装置14の部分をより詳細に示す図である。風力発電装置1は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)の作動に対する応答を示す応答値を計測する少なくとも1つのセンサ(例えば、
図3に示す圧力センサ201,202や、ナセル11の内部に設けられる温度センサ(不図示)等)を備える。
【0025】
図2及び
図3に示すように、油圧シリンダ16は、油圧シリンダ16内を摺動するピストン36により隔てられる第1室15と第2室17とを含む。そして油圧シリンダ16は、第1室15への油の供給と第2室17への油の供給の切り替えにより、風車翼4のピッチ角の変化をファイン側又はフェザー側との間で切り替え可能に構成される。すなわち、油圧シリンダ16のピストンロッド38には風車翼4が接続されており、第1室15又は第2室17への油の供給量に応じてピストン36が移動すると、それに伴ってピストンロッド38に接続された風車翼4のピッチ角がファイン側とフェザー側との間で変化するようになっている。
【0026】
油圧バルブ18は、分岐供給ライン27に設けられており、油圧シリンダ16への油の供給量を調節可能に、かつ、第1室15と第2室17との間で油の供給先を切り替え可能に構成される。
【0027】
幾つかの実施形態では、油圧バルブ18に供給される電流が制御され、油圧バルブ18の状態に応じて油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)が作動する。すなわち、油圧バルブ18に供給される電流等は、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)を駆動するための指令値である。
【0028】
一実施形態では、油圧バルブ18には、風車コントローラ110から風車翼4のピッチ角の調節のための指令値に応じた電流等が供給される。これにより、油圧バルブ18は、風車翼4のピッチ角を変化させる方向に応じて油圧流路を切り替えると共に、油圧シリンダ16へ供給する作動油の流量を制御する。このような油圧バルブ18により油の供給先および供給量を調節することで、風車翼4のピッチ角を、油の供給量に応じて所望の量だけ任意に調節可能である。
【0029】
油圧バルブ18は、比例弁であってもよい。例えば、一実施形態では、油圧バルブ18は、指令値を供給することにより油が流れる方向を制御し、指令値としての電流等の大きさを変えることにより油の流量を制御することが可能な電磁比例制御弁である。一実施形態では、油圧バルブ18は、指令値としてのサーボ電流が供給されることにより、油圧シリンダ16(ピッチアクチュエータ)を駆動するように構成されたサーボ比例弁である。
【0030】
図3に示すピッチ駆動装置14において、比例弁である油圧バルブ18は、Aポート、Bポート、Pポート及びTポートを含む4つのポートを有している。これらのポートは、それぞれ、第1室15と油圧バルブ18とを接続する第1シリンダライン42、第2室17と油圧バルブ18とを接続する第2シリンダライン44、分岐供給ライン27、及び分岐返送ライン31に接続されている。そして、油圧バルブ18に供給される指令値に応じて、各ポートの接続状態が変わるようになっている。
【0031】
分岐供給ライン27には、圧油を蓄積するためのアキュムレータ66が設けられたピッチオイルライン46が接続されている。ピッチオイルライン46には、ピッチオイルラインと分岐供給ライン27との連通状態を変更するためのアキュムレータ電磁弁56が設けられている。なお、アキュムレータ66に蓄積された圧油は、必要に応じて、分岐供給ライン27、又は、連通ライン48を介して、油圧シリンダ16の第1室15又は第2室17に供給可能になっている。
【0032】
ピッチオイルライン46に接続する連通ライン48からは、油圧シリンダ16の第1室15及び第2室17にそれぞれ接続される第1通路50及び第2通路52が分岐している。第1通路50及び第2通路52には、それぞれパイロットチェック弁62,64が設けられている。
【0033】
パイロットチェック弁62,64は、パイロットライン54を介してパイロット圧が付与されるパイロットポートを有している。パイロットライン54と、分岐供給ライン27及び分岐返送ライン31との間には危急弁58が設けられており、この危急弁58の切替えによって、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与されるパイロット圧が切替えられるようになっている。
【0034】
図示する実施形態においては、危急弁58は電磁弁であり、危急弁58の励磁時には、パイロットライン54と比較的高圧の分岐供給ライン27が連通可能となり、該分岐供給ライン27の圧力がパイロット圧として、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与される。また、危急弁58の非励磁時には、パイロットライン54と比較的低圧の分岐返送ライン31が連通可能となり、該分岐返送ライン31の圧力がパイロット圧として、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに付与される。
【0035】
以下、パイロットチェック弁62,64のパイロットポートに比較的高圧の分岐供給ライン27の圧力がパイロット圧として付与される状態をパイロットONといい、比較的低圧の分岐返送ライン31の圧力がパイロット圧として付与される状態をパイロットOFFという。
【0036】
パイロットチェック弁62は、パイロットONのときには連通ライン48と第1通路50との間の圧油の流れを遮断するとともに、パイロットOFFのときには連通ライン48から第1通路50への圧油の流れを許容するチェック弁として機能する。パイロットチェック弁64は、パイロットONのときには連通ライン48と第2通路52との間の圧油の流れを遮断するとともに、パイロットOFFのときには第2通路52から連通ライン48への圧油の流れを許容するチェック弁として機能する。
【0037】
分岐供給ライン27には、チェック弁68が設けられており、供給ライン26から供給される油圧が低下したときには、供給ライン26と分岐供給ライン27とを非連通状態とするようになっている。また、ピッチオイルライン46には、ピッチオイルライン46の圧力を検出するための圧力センサ201が設けられる。アキュムレータ66には、アキュムレータ66のガス圧力を検出するための圧力センサ202が設けられる。
【0038】
ここで、風車翼4のピッチ角を調節するときのピッチ駆動装置14の動作について簡単に説明する。
【0039】
風力発電装置1の通常運転時において、風車翼4のピッチ角をファイン側に変化させるときには、油圧バルブ18に指令値を与えて、油圧バルブ18のPポートとBポート、及び、TポートとAポートがそれぞれ接続されるように作動させる。そうすると、分岐供給ライン27からの圧油が、Pポート、Bポート、及び第2シリンダライン44を介して油圧シリンダ16の第2室17に導かれるとともに、第1室15の中の圧油が、第1シリンダライン42、Aポート及びTポートを介して分岐返送ライン31に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第1室15側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はファイン側に変化する。
【0040】
風力発電装置1の通常運転時において、風車翼4のピッチ角をファイン側に変化させるときには、油圧バルブ18に指令値を与えて、油圧バルブ18のPポートと、Aポート及びBポートとが接続されるように作動させる。そうすると、分岐供給ライン27からの圧油が、Pポート、Aポート、及び第1シリンダライン42を介して油圧シリンダ16の第1室15に導かれるとともに、第2室17の中の圧油が、第1シリンダライン42、Aポート及びBポートを介して第1室15に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化する。
【0041】
なお、風力発電装置1の通常運転時には、チェック弁68を介して、供給ライン26からの圧油がピッチ駆動装置14に供給される。また、アキュムレータ電磁弁56は励磁状態とされ、ピッチオイルライン46と分岐供給ライン27とが連通した状態となる。これにより、アキュムレータ66と分岐供給ライン27の圧力がほぼ同一となり、アキュムレータ66に圧油が蓄積された状態となる。また、危急弁58は励磁状態とすることにより、パイロットチェック弁62,64はそれぞれ閉止された状態となる。
【0042】
風力発電装置1の危急時において、風車翼4のピッチ角をフェザー側に変化させるときには、油圧バルブ18に与える指令値を中立とし、分岐供給ライン27、分岐返送ライン31、第1シリンダライン42及び第2シリンダライン44の接続が遮断されるように作動させる。また、危急弁58を非励磁状態として、これにより、パイロットチェック弁62,64がそれぞれチェック弁として機能し、上述したように規定方向の圧油の流れが許容される。
【0043】
油圧シリンダの第2室17内の圧油は、第2通路52及び第1通路50を介して第1室15に導かれる。これにより、油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化する。
【0044】
(アキュムレータの異常診断システム)
以下、アキュムレータの異常診断システム100について説明する。以下の説明において、アキュムレータの異常診断システム100を、上述した風力発電装置1に適用した場合について説明する。
【0045】
異常診断の対象は、複数のアキュムレータ41、43、66である。しかし、異常診断の対象はこれらのアキュムレータに限られない。例えば、アキュムレータ41、43、66のうち一以上のアキュムレータであってもよいし、他のアキュムレータであってもよい。また、アキュムレータの異常診断システム100を適用する風力発電装置1の構成は上述した構成に限られない。
【0046】
図4は、一実施形態に係るアキュムレータの異常診断システム100の構成を示す概略図である。
図4に示すように、アキュムレータの異常診断システム100は、風車コントローラ110と、診断装置200とを備える。幾つかの実施形態において、風車コントローラ110及び診断装置200は、ネットワークNWを介して、サーバ装置300やストレージ装置400と接続されていてもよい。ネットワークNWは、例えば、WAN(World Area Network)、LAN(Local Area Network)等である。
【0047】
風車コントローラ110は、風力発電装置1の油圧回路の油圧を所定圧力以上に保持するための複数のアキュムレータ41、43、66のうちの少なくとも一つのアキュムレータにおける封入ガスの圧力を油圧回路が非加圧状態のときに計測した計測値と、封入ガスの温度を示す温度計測値とを取得するように構成される。
【0048】
診断装置200は、封入ガスの温度計測値を用いて封入ガスの圧力の計測値を基準温度の圧力に換算した換算値を取得するように構成される。また、診断装置200は、取得した換算値に基づいてアキュムレータ(例えばアキュムレータ41、43、66)の異常の有無を診断するように構成される。
【0049】
幾つかの実施形態では、診断装置200は、アキュムレータ41、43、66の圧力の計測値と封入ガスの温度を示す温度計測値とを外部装置から取得するように構成される。この場合、外部装置は、風車コントローラ110であってもよいし、サーバ装置300であってもよいし、ストレージ装置400であってもよい。
【0050】
診断装置200は、保守作業者が使用するパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの通信端末であってもよいし、サーバ装置であってもよい。なお、
図4に示す実施形態では、診断装置200は、風車コントローラ110及びサーバ装置300から独立した装置である。しかし、診断装置200は、風車コントローラ110と一体化されていてもよいし、サーバ装置300と一体化されていてもよい。
【0051】
サーバ装置300は、例えば、風力発電装置1の運転状況を示すデータを収集して制御に用いるSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)や風力発電装置1の状態を監視するためのCMS(Condition Monitoring System)を含んでいてもよい。ストレージ装置400は、サーバ装置300が収集したデータを蓄積するように構成される。
【0052】
(計測値の換算方法)
以下、診断装置200による圧力の計測値の換算方法について説明する。上述のように、風力発電装置1の油圧回路には、ピッチアクチュエータ、ブレーキ、他の各油系に設置された系統を作動させるための油圧が保持されている。油圧回路には油圧を保持するための複数のアキュムレータが設けられる。例えばハブ3内にはピッチ駆動用の3つのアキュムレータ66が設けられる。ナセル11側には、ポンプ補助用の1つのアキュムレータ41と、油圧ブレーキ用の1つのアキュムレータ43とが設けられる。
【0053】
これらのアキュムレータ41、43、66の封入ガスは、窒素を主成分とするガスである。アキュムレータ41、43、66の封入ガスは、正常状態においても徐々に抜けていく。例えば、アキュムレータ41、43、66がプラダ型のアキュムレータである場合、風船ゴムを窒素ガスが透過して油圧側に拡散(Gas Permeation)する。
【0054】
圧力の計測値の換算において使用する温度計測値は、複数のアキュムレータ41、43、66のそれぞれの封入ガス自体の温度の計測値であってもよい。一方、温度計測値は、複数のアキュムレータ41、43、66に共通に使用されてもよい。すなわち、温度計測値は1つの位置の温度計測値であってもよい。例えば、温度計測値は、封入ガスの環境温度の計測値(例えば、ハブ3内又はナセル11内の温度計測値)であってもよい。
【0055】
アキュムレータ41、43、66の封入ガスの温度を直接的に計測した温度計測値を使用する場合、封入ガスの温度計測値としては信頼性が高い。しかし、ガス系に温度センサを設けることはガス漏れの原因になり得る。また、ガス温度は、断熱膨張や断熱圧縮によって変動してしまうため、安定するまで待つ必要がある。このように、封入ガス自体の温度を計測することはあまり好ましくない場合がある。
【0056】
温度計測値がナセル11において外気温に近い位置で計測した温度計測値である場合、アキュムレータ41、43、66の封入ガスの温度と乖離するため好ましくない。したがって、温度計測値は、ハブ3内又はナセル11内において、油圧の周囲の位置で計測され、変動が少ない温度計測値であることがより好ましい。
【0057】
封入ガスの圧力の計測値は、油圧回路が非加圧状態のときに計測した計測値である。例えば、風力発電装置1の油圧回路に設けられた油圧ポンプ22の停止又はリリーフ弁34の開放により、油圧に対する加圧を停止させる。これにより、油圧回路を非加圧状態にすることができる。
【0058】
風車コントローラ110は、油圧回路が非加圧状態における、各油圧回路にアキュムレータが接続された通常状態での圧力の計測値を圧力センサ102、103、202の何れか一つ以上から取得する。診断装置200は、風車コントローラ110が取得した圧力の計測値を示すデータを、風車コントローラ110、サーバ装置300又はストレージ装置400から取得する。圧力の計測値は、油圧回路を閉回路とした状態で、ピッチアクチュエータの油圧シリンダ16のピストン36及びピストンロッド38が第2室17側に向かって移動し、風車翼4のピッチ角はフェザー側に変化することで、油圧シリンダ内の油量が増加し、一方油圧回路内の油量がその分減少することで、封入ガスの体積が最大となっている状態として計測された圧力の計測値であってもよい。
【0059】
図5は、一実施形態に係るアキュムレータ41、43、66における封入ガスの圧力の計測値の一例を示すグラフである。
図6は、
図5に示す圧力の計測値を基準温度の圧力に換算した換算値の一例を示すグラフである。これらのグラフにおいて、横軸は計測した時期(年)を示し、縦軸は計測値であるガス圧(MPa)を示している。
【0060】
図5において、プロットP1はアキュムレータ66の封入ガスの圧力の計測値を示し、プロットP2はアキュムレータ41の封入ガスの圧力の計測値を示し、プロットP3はアキュムレータ43の封入ガスの圧力の計測値を示している。なお、
図5において、3つのアキュムレータ66のうち一つのアキュムレータ66のみの封入ガスの圧力の計測値であるプロットP1を代表例として示している。実際には、アキュムレータ66ごとにプロットP1が取得される。
【0061】
図6において、プロットP4はプロットP1に対応する換算値を示し、プロットP5はプロットP2に対応する換算値を示し、プロットP6はプロットP3に対応する換算値を示している。なお、
図6において、プロットP4は、一つのアキュムレータ66のみの計測値であるプロットP1に対応する換算値を代表例として示している。実際には、アキュムレータ66ごとに換算値P4が取得される。
【0062】
換算値は、例えば、次の式(1)で算出される。封入ガスの体積Vは、アキュムレータ41、43、66の容積に応じて一定となる。そのため、式(1)は、ボイル・シャルルの法則において体積V=一定を適用した場合の式である。なお、式(1)では、ゲージ圧を絶対圧に変換している。
【0063】
ここで、P
t(Mpa)は、圧力の計測値の換算値である。P
gauge(Mpa)は、圧力の計測値のゲージ圧である。T
0は、基準温度(℃)である。Tは、温度計測値(℃)である。基準温度T
0は、例えば、20(℃)に設定される。なお、基準温度T
0は、風力発電装置1の設置地域における年間平均気温に応じて異なり、0〜30(℃)の範囲内の値(すなわち0(℃)以上30(℃)以下の温度)に設定されてもよい。
【0064】
このような演算によって換算値が得られる。
図5におけるプロットP1、P2、P3を見ると、計測値に年間の外気温度による変化が生じていることがわかる。一方、
図6におけるプロットP4、P5、P6を見ると、換算値は、計測値よりも変化が小さいことがわかる。
【0065】
一実施形態では、アキュムレータ41、43、66が正常かつ封入ガスの漏れが無い状態において、年間の外気温度による計測値の変化に対して、換算値の変化は3分の1以下である。この場合、異常検出の検出精度において、年間の外気温度の変化に対するロバスト性を向上させることができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、計測値及び換算値の取得間隔は1週間以上かつ2ヶ月以内である。この場合、計測値及び換算値の取得間隔は1週間以上かつ2ヶ月以内であるため、メンテナンスの実情に適している。
【0067】
幾つかの実施形態では、アキュムレータの異常診断システム100の風車コントローラ110は、風力発電装置1の運転状態又は風況に応じて、計測値の取得タイミングを延期又はスキップするように構成されてもよい。例えば、風力発電装置1への風速が所定値以上である場合、主軸回転数が所定値以上である場合、風力発電装置1が運転中である場合、風力発電装置1を停止できない場合等において計測値の取得がスキップされてもよい。なお、圧力の計測値の取得タイミングを延期又はスキップすると、その換算値の取得も延期又はスキップされる。この場合、圧力の計測値の取得に伴う設備運用への影響を低減することができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、アキュムレータの異常診断システム100の診断装置200は、換算値が基準値より低い場合に警報を出力するように構成される。基準値は、封入ガスの圧力の正常範囲における下限値に対応する換算値である。
【0069】
(回帰式に基づく予測手法)
以下、診断装置200が作成する回帰直線と回帰直線に基づく予測手法について説明する。
図7は、一実施形態に係るアキュムレータの異常診断システム100が作成する回帰式を説明するための概念図である。
【0070】
図7において、プロットP7は、圧力の計測値の換算値を示し、直線L1は、プロットP7に基づく回帰直線を示している。回帰直線は、最小二乗法による線形回帰式(一次関数)に基づいて描かれている。回帰の決定係数R2は相関係数Rの二乗に一致する。
【0071】
診断装置200は、過去の第1期間の計測データを用いて換算値の時間的変化を示す回帰式を作成してもよい。診断装置200は、作成した回帰式の外挿に基づいて、将来の第2期間における換算値の推移を予測してもよい。なお、第1期間と第2期間は同じくらいの期間であることが好ましい。
【0072】
例えば、診断装置200は、過去の換算値の最小二乗法によって回帰式を導出し、将来の換算値の推移をその回帰式の外挿によって求めるように構成される。
図8は、一実施形態に係るアキュムレータの異常診断システム100が取得する換算値の推移の予測結果の一例を示す図である。
【0073】
長期予測として、診断装置200は、現在より0.5月以上5月以下の過去の計測データを用いて回帰式を作成し、現在から5月以内の将来期間の換算値の推移を予測するように構成されてもよい。例えば、
図8に示すように、診断装置200は、過去の圧力の計測データを示すプロット群P8があった場合に、現在より0.5月以上5月以下の計測データを用いて回帰式を作成し、その回帰直線L3の外挿により、現在から5月以内の将来期間の換算値の推移を予測してもよい。これにより、現在より5か月後の換算値を示すプロットP10が予測される。
【0074】
短期予測として、診断装置200は、現在より0.5月以上2月以下の過去の計測データを用いて回帰式を作成し、現在から2月以内の将来期間の換算値の推移を予測するように構成されてもよい。例えば、
図8に示すように、診断装置200は、過去の圧力の計測データを示すプロット群P8があった場合に、現在より0.5月以上2月以下の計測データを用いて回帰式を作成し、その回帰直線L2の外挿により、現在から2月以内の将来期間の換算値の推移を予測してもよい。これにより、現在より2か月後の換算値を示すプロットP9が予測される。
【0075】
診断装置200は、換算値の推移において、将来の予測結果の少なくとも一部が基準値を下回る場合には警報を出力するように構成されてもよい。例えば、将来の換算値の予測結果が
図8において破線で示す基準値を下回った場合に警報が出力されてもよい。
【0076】
(アキュムレータの異常診断方法)
以下、アキュムレータの異常診断方法の具体例について説明する。
図9は、一実施形態に係るアキュムレータの異常診断方法の手順を示すフローチャートである。
【0077】
以下に説明する各々の手順において一部又は全部がユーザの手動によって実行されてもよい。以下に説明するアキュムレータの異常診断方法は、上述したアキュムレータの異常診断システム100(例えば診断装置200)が実行する処理に対応するように、各々の手順を適宜変形することが可能である。以下の説明では、アキュムレータの異常診断システム100の説明と重複する説明については省略する。なお、本実施形態で説明するアキュムレータの異常診断方法の実行主体は、上述したアキュムレータの異常診断システム100のハードウェア構成に限定されない。
【0078】
図9に示すように、風力発電装置1の複数のアキュムレータ41、43、66のうちの少なくとも一つのアキュムレータ41、43、66における封入ガスの圧力の計測値を取得する(ステップS1)。例えば、診断装置200が、風車コントローラ110等から圧力の計測値を取得する。
【0079】
なお、封入ガスの圧力の計測値は、特許文献1に記載されている方法と同様の条件で圧力センサ102、103、202等が計測したものであってもよい。その計測値を風車コントローラ110が取得して、その記憶データを診断装置200が取得してもよい。封入ガスの圧力は、例えば、リリーフ弁34を開放して油圧回路を非加圧状態としたうえで計測される。
【0080】
封入ガスの温度を示す温度計測値を取得する(ステップS2)。温度計測値を用いて圧力の計測値を基準温度の圧力に換算した換算値を取得する(ステップS3)。換算値に基づいて少なくとも一つのアキュムレータ41、43、66の異常の有無を診断する(ステップS4)。
【0081】
ここで、換算値が基準値より低いか否かを判別する(ステップS5)。換算値が基準値より低いと判別した場合(ステップS5;Yes)、警報を出力する(ステップS6)。換算値が基準値より高いと判別した場合(ステップS5;No)、ステップS6をスキップする。
【0082】
過去の第1期間の計測データを用いて換算値の時間的変化を示す回帰式を作成する(ステップS7)。作成した回帰式の外挿に基づいて、将来の第2期間における換算値の推移を予測する(ステップS8)。
【0083】
ここで、換算値の推移において、将来の予測結果の少なくとも一部が基準値を下回るか否かを判別する(ステップS9)。予測結果の少なくとも一部が基準値を下回ると判別した場合(ステップS9;Yes)、警報を出力する(ステップS10)。予測結果が基準値を下回らないと判別した場合(ステップS9;No)、ステップS10をスキップする。
【0084】
アキュムレータの異常診断方法の手順は、
図9に示す例に限られない。例えば、ステップS1とステップS2は順序が逆であってもよい。ステップS5及びステップS6より前にステップS7〜ステップS10が実行されてもよい。ステップS5〜ステップS10は、適宜省略されてもよい。
【0085】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、複数の実施形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0086】
(まとめ)
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0087】
(1)本開示に係るアキュムレータの異常診断方法は、
風力発電装置(1)の油圧回路の油圧を所定圧力以上に保持するための複数のアキュムレータ(41、43、66)のうちの少なくとも一つの前記アキュムレータ(41、43、66)における封入ガスの圧力を前記油圧回路が非加圧状態のときに計測した計測値を取得するステップと、
前記封入ガスの温度を示す温度計測値を取得するステップと、
前記温度計測値を用いて前記計測値を基準温度の圧力に換算した換算値を取得するステップと、
前記換算値に基づいて前記アキュムレータ(41、43、66)の異常の有無を診断するステップと、
を含む。
【0088】
上記(1)に記載の方法によれば、温度計測値を用いて圧力の計測値を基準温度に換算した換算値に基づいてアキュムレータ(41、43、66)の異常の有無を診断するため、異常診断における精度を向上させることができる。
【0089】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の方法において、
前記温度計測値は、ハブ内又はナセル内の温度計測値である。
【0090】
上記(2)に記載の方法によれば、封入ガスの温度を計測して使用する構成に比べて、種々の点で優れている。例えば、封入ガスの温度を計測する場合、ガス系にセンサを設ける必要があり、そこからガス漏れを引き起こす虞がある。また、封入ガスの温度は、断熱膨張や断熱圧縮によって変動する場合があり、かかる変動は異常診断における誤差になり得る。この点、上記方法では、そのような問題を低減することができる。
【0091】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の方法において、
前記アキュムレータ(41、43、66)が正常かつ前記封入ガスの漏れが無い状態において、年間の外気温度による前記計測値の変化に対して、前記換算値の変化は3分の1以下である。
【0092】
上記(3)に記載の方法によれば、異常検出の検出精度において、年間の外気温度の変化に対するロバスト性を向上させることができる。
【0093】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れか一項に記載の方法において、
前記換算値が基準値より低い場合に警報を出力するステップを含む。
【0094】
上記(4)に記載の方法によれば、換算値に基づく警報によって、作業者がメンテナンス対応を取ることが可能となる。
【0095】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れか一項に記載の方法において、
過去の第1期間の計測データを用いて前記換算値の時間的変化を示す回帰式を作成するステップと、
前記回帰式の外挿に基づいて、将来の第2期間における前記換算値の推移を予測するステップと、
を含む。
【0096】
上記(5)に記載の方法によれば、将来の換算値の推移を予測することによって、メンテナンス対応の必要性を考えることができる。
【0097】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の方法において、
前記予測するステップにおいて、現在より0.5月以上5月以下の過去の計測データを用いて前記回帰式を作成し、現在から5月以内の将来期間の前記換算値の推移を予測する。
【0098】
上記(6)に記載の方法によれば、計画的にメンテナンス対応を検討する場合の長期予測に適している。
【0099】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の方法において、
前記予測するステップにおいて、現在より0.5月以上2月以下の過去の計測データを用いて前記回帰式を作成し、現在から2月以内の将来期間の前記換算値の推移を予測する。
【0100】
上記(7)に記載の方法によれば、速やかなメンテナンス対応を検討すべき短期予測に適している。
【0101】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れか一項に記載の方法において、
前記計測値及び前記換算値の取得間隔は1週間以上かつ2ヶ月以内である。
【0102】
封入ガスの圧力の計測には、風力発電設備(1)を実質的に停止させた状態にする必要がある。そのため、封入ガスの圧力の計測を頻繁に行うことは設備運用の観点で好ましくない。換算値の取得を頻繁に行うことも演算処理の負担を増加させるため好ましくない。一方、封入ガスの圧力の計測及び換算値の取得間隔が長すぎると、異常検出の実効性を確保できない。この点、上記(8)に記載の方法によれば、計測値及び換算値の取得間隔は1週間以上かつ2ヶ月以内であるため、メンテナンスの実情に適している。
【0103】
(9)幾つかの実施形態では、上記(5)乃至(8)の何れか一項に記載の方法において、
過去の前記換算値の最小二乗法によって前記回帰式を導出し、将来の前記換算値の推移を前記回帰式の外挿によって求める。
【0104】
本願発明者の知見によれば、過去の換算値の最小二乗法によって導出した回帰式の外挿によって将来の換算値の推移を求めることが精度の観点で好ましい。この点、上記(9)に記載の方法によれば、そのような方法を用いているため、精度の観点で好ましい。
【0105】
(10)幾つかの実施形態では、上記(5)乃至(9)の何れか一項に記載の方法において、
前記換算値の推移において、将来の予測結果の少なくとも一部が基準値を下回る場合には警報を出力するステップを含む。
【0106】
上記(10)に記載の方法によれば、予測結果に基づく警報によって作業者に将来的なメンテナンスの実施を促すことができる。
【0107】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れか一項に記載の方法において、
前記風力発電装置(1)の運転状態又は風況に応じて、前記計測値の取得タイミングを延期又はスキップする。
【0108】
上記(11)に記載の方法によれば、圧力の計測値の取得に伴う設備運用への影響を低減することができる。
【0109】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れか一項に記載の方法において、
前記基準温度は、前記風力発電装置(1)の設置地域における年間平均気温に応じて異なり、0〜30℃の範囲内の値に設定される。
【0110】
上記(12)に記載の方法によれば、外気温度の条件に基づいた温度を基準温度としているため、外気温度の条件から外れた温度を基準温度とする場合に比べて、異常診断の精度を向上させることができる。
【0111】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(12)の何れか一項に記載の方法において、
前記封入ガスは、窒素を主成分とするガスである。
【0112】
風力発電装置(1)では、窒素を主成分とするガスを封入ガスとして使用される場合が多く、かかる封入ガスの漏れ(窒素分子数の低減)を検出したいというニーズが多い。この点、上記(13)に記載の方法によれば、そのようなニーズを満たすことができる。
【0113】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(13)の何れか一項に記載の方法において、
前記計測値は、ピッチアクチュエータがフェザー位置に固定され、前記封入ガスの体積が最大となっている状態で計測された圧力の計測値である。
【0114】
上記(14)に記載の方法によれば、異常診断における誤差を低減することができる。
【0115】
(15)本開示に係るアキュムレータの異常診断システム(100)は、
風力発電装置(1)の油圧回路の油圧を所定圧力以上に保持するための複数のアキュムレータ(41,43,66)のうちの少なくとも一つの前記アキュムレータ(41,43,66)における封入ガスの圧力を前記油圧回路が非加圧状態のときに計測した計測値と、前記封入ガスの温度を示す温度計測値とを取得するように構成された風車コントローラ(110)と、
前記温度計測値を用いて前記計測値を基準温度の圧力に換算した換算値を取得して、前記換算値に基づいて前記アキュムレータ(41,43,66)の異常の有無を診断するように構成された診断装置(200)と、
を備える。
【0116】
上記(15)に記載の構成によれば、温度計測値を用いて圧力の計測値を基準温度に換算した換算値に基づいてアキュムレータ(41,43,66)の異常の有無を診断するため、異常診断における精度を向上させることができる。
【解決手段】アキュムレータの異常診断方法は、風力発電装置の油圧回路の油圧を所定圧力以上に保持するための複数のアキュムレータのうちの少なくとも一つのアキュムレータにおける封入ガスの圧力を油圧回路が非加圧状態のときに計測した計測値を取得するステップS1と、封入ガスの温度を示す温度計測値を取得するステップS2と、温度計測値を用いて計測値を基準温度の圧力に換算した換算値を取得するステップS3と、換算値に基づいてアキュムレータの異常の有無を診断するステップS4と、を含む。