特許第6941785号(P6941785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6941785培養容器連結装置、培養システムおよびニードルの洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941785
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】培養容器連結装置、培養システムおよびニードルの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   C12M3/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-545036(P2018-545036)
(86)(22)【出願日】2017年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2017036881
(87)【国際公開番号】WO2018070447
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2020年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-201996(P2016-201996)
(32)【優先日】2016年10月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】北原 聡文
(72)【発明者】
【氏名】畑林 邦忠
(72)【発明者】
【氏名】森 淳
(72)【発明者】
【氏名】白岩 裕嗣
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/125742(WO,A1)
【文献】 特表2004−512514(JP,A)
【文献】 特開昭61−274675(JP,A)
【文献】 特開2002−323494(JP,A)
【文献】 特開平6−190264(JP,A)
【文献】 特開2004−325422(JP,A)
【文献】 特開2005−181143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地の交換時に培養容器が連結される培養容器連結装置であって、
フレームと、
前記フレームに設けられ、前記培養容器を保持する容器保持部と、
前記容器保持部に保持される前記培養容器に進退可能なニードルであって、ニードル保持部に保持され、前記培養容器内の前記培地を交換する2つのニードルと、
前記ニードルを進退させる第1アクチュエータと、
前記フレームに回動可能に設けられ、前記第1アクチュエータを保持するアクチュエータ保持部と、
前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動させる第2アクチュエータと、
前記ニードルが進退可能に設けられ、前記ニードルを洗浄する洗浄部と、を備え、
前記容器保持部と前記洗浄部は、前記ニードルの回動方向に互いに異なる位置に配置され、
前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記容器保持部に保持される前記培養容器に対向する容器対向位置と、前記ニードルが前記洗浄部に対向する洗浄対向位置とに、位置づけ可能である、培養容器連結装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ保持部に係合する係合部を更に備え、
前記第2アクチュエータは、前記係合部を保持するとともに進退させ、
前記アクチュエータ保持部は、前記係合部が係合した、前記係合部の進退運動を前記ニードルの回動運動に変換する変換部を有している、請求項1に記載の培養容器連結装置。
【請求項3】
前記第2アクチュエータは、前記アクチュエータ保持部に保持され、
前記第2アクチュエータは、前記フレームに回動不能に固定された回動軸を有し、前記アクチュエータ保持部を前記フレームに対する反力で回動することにより、前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動可能に構成されている、請求項1に記載の培養容器連結装置。
【請求項4】
前記洗浄部は、前記ニードルが進退可能に設けられるとともに前記ニードルの内部洗浄を行う内部洗浄孔と、前記ニードルが進退可能に設けられるとともに前記ニードルの外部洗浄を行う外部洗浄孔と、を有し、
前記内部洗浄孔と前記外部洗浄孔は、前記ニードルの回動方向に互いに異なる位置に配置され、
前記洗浄対向位置は、前記ニードルが前記内部洗浄孔に対向する内部洗浄対向位置と、前記ニードルが前記外部洗浄孔に対向する外部洗浄対向位置と、を有し、
前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記内部洗浄対向位置と前記外部洗浄対向位置とに、位置づけ可能である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の培養容器連結装置。
【請求項5】
前記ニードルが進退可能に設けられ、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部を更に備え、
前記バイパス部は、前記容器保持部および前記洗浄部に対して前記ニードルの回動方向に異なる位置に配置され、
前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記バイパス部に対向するバイパス対向位置に、位置づけ可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の培養容器連結装置。
【請求項6】
前記ニードルが進退可能に設けられ、前記ニードルを滅菌する滅菌部を更に備え、
前記滅菌部は、前記容器保持部および前記洗浄部に対して前記ニードルの回動方向に異なる位置に配置され、
前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記滅菌部に対向する滅菌対向位置に、位置づけ可能である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の培養容器連結装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の前記培養容器連結装置と、
新しい前記培地を貯留するバッファタンクと、
前記培養容器連結装置の前記容器保持部に保持される前記培養容器から前記培地を排出する培地排出駆動部と、を備え、
前記培養容器連結装置の一方の前記ニードルは、前記バッファタンクに連結され、他方の前記ニードルは、前記培地排出駆動部に連結されている、培養システム。
【請求項8】
培地の交換時に培養容器に連結される培養容器連結装置の2つのニードルの洗浄方法であって、
前記ニードルを前記培養容器に差し込んで、前記培養容器内の前記培地を交換する工程と、
前記ニードルを前記培養容器から後退させて、前記培養容器に対向する容器対向位置に位置づける工程と、
前記容器対向位置から前記ニードルを回動して、前記ニードルを洗浄する洗浄部に対向する洗浄対向位置に前記ニードルを位置づけ、前記洗浄対向位置から前進させて、前記洗浄部において前記ニードルを洗浄する工程と、を備えた、ニードルの洗浄方法。
【請求項9】
前記培養容器連結装置は、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータを保持するアクチュエータ保持部と、前記アクチュエータ保持部を回動させる第2アクチュエータと、を備えており、
前記ニードルの前進および後退は、前記第1アクチュエータによって行われ、
前記ニードルの回動は、前記第2アクチュエータによって行われる、請求項8に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項10】
前記培養容器連結装置は、前記アクチュエータ保持部に係合する係合部を更に備えており、
前記第2アクチュエータは、前記係合部を保持するとともに進退させ、
前記アクチュエータ保持部は、前記係合部が係合した、前記係合部の進退運動を前記ニードルの回動運動に変換する変換部を有している、請求項9に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項11】
前記培養容器連結装置は、前記アクチュエータ保持部が回動可能に設けられたフレームを更に備えており、
前記第2アクチュエータは、前記アクチュエータ保持部に保持され、
前記第2アクチュエータは、前記フレームに回動不能に固定された回動軸を有し、前記アクチュエータ保持部を前記フレームに対する反力で回動することにより、前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動可能に構成されている、請求項9に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項12】
前記洗浄部は、前記ニードルの内部洗浄を行う内部洗浄孔と、前記ニードルの外部洗浄を行う外部洗浄孔と、を有し、
前記洗浄対向位置は、前記ニードルが前記内部洗浄孔に対向する内部洗浄対向位置と、前記ニードルが前記外部洗浄孔に対向する外部洗浄対向位置と、を有し、
前記ニードルを洗浄する工程は、前記ニードルを前記内部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記内部洗浄対向位置から前記ニードルを前進させて、前記内部洗浄孔において前記ニードルを内部洗浄する工程と、前記内部洗浄孔から後退させて前記内部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記内部洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、前記外部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記外部洗浄対向位置から前記ニードルを前進させて、前記外部洗浄孔において前記ニードルを外部洗浄する工程と、を有している、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項13】
前記ニードルを前記洗浄部から後退させて前記洗浄対向位置に位置づける工程と、
前記洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部に対向するバイパス対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、
前記バイパス対向位置から前記ニードルを前進させて、前記バイパス部において2つの前記ニードルを連通させる工程と、を更に備えた、請求項8乃至12のいずれか一項に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項14】
前記ニードルを前記洗浄部から後退させて前記洗浄対向位置に位置づける工程と、
前記洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、前記ニードルを滅菌する滅菌部に対向する滅菌対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、
前記滅菌対向位置から前記ニードルを前進させて、前記滅菌部において前記ニードルを滅菌する工程と、を更に備えた、請求項8乃至12のいずれか一項に記載のニードルの洗浄方法。
【請求項15】
前記ニードルを前記滅菌部から後退させて前記滅菌対向位置に位置づける工程と、
前記滅菌対向位置から前記ニードルを回動して、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部に対向するバイパス対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、
前記バイパス対向位置から前記ニードルを前進させて、前記バイパス部において2つの前記ニードルを連通させる工程と、を更に備えた、請求項14に記載のニードルの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養容器連結装置、培養システムおよびニードルの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞培養により、目的とする組織や臓器を人工的に作成する再生医療の研究開発が進められている。細胞の培養操作等を行うためには、所定の基準、例えばGMP(Good Manufacturing Practice)を充足した培養システムが用いられている。
【0003】
培養システムでは、通常、培養容器内の培養環境が徐々に悪化することを防止するために、培養容器内の液体の培地(培養液とも言う)を定期的に交換する。この際、新しい培地を培養容器に供給することで、培養容器内の古い培地を培養容器から押し出して排出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−109877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
閉鎖系の培養容器を使用する場合には、培養容器の流入口を閉塞しているゴム栓と流出口を閉塞しているゴム栓とを2つのニードルが貫通して、培養容器内に差し込まれ、培地の交換が行われる。培地交換時には、一方のニードルを介して新しい培地が培養容器に供給されるとともに、他方のニードルを介して古い培地が培養容器から排出される。ニードルは、培地の汚染を防止するために、使い捨てのニードルを使用することが一般的である。
【0006】
しかしながら、使い捨てのニードルを使用する場合、培地交換後にニードルの交換が行われる。このため、培地交換作業の手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、培地交換作業の効率を向上させることができる培養容器連結装置、培養システムおよびニードルの洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、培地の交換時に培養容器が連結される培養容器連結装置であって、フレームと、前記フレームに設けられ、前記培養容器を保持する容器保持部と、前記容器保持部に保持される前記培養容器に進退可能なニードルであって、ニードル保持部に保持され、前記培養容器内の前記培地を交換する2つのニードルと、前記ニードルを進退させる第1アクチュエータと、前記フレームに回動可能に設けられ、前記第1アクチュエータを保持するアクチュエータ保持部と、前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動させる第2アクチュエータと、前記ニードルが進退可能に設けられ、前記ニードルを洗浄する洗浄部と、を備え、前記容器保持部と前記洗浄部は、前記ニードルの回動方向に互いに異なる位置に配置され、前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記容器保持部に保持される前記培養容器に対向する容器対向位置と、前記ニードルが前記洗浄部に対向する洗浄対向位置とに、位置づけ可能である、培養容器連結装置、を提供する。
【0009】
上述した培養容器連結装置において、前記アクチュエータ保持部に係合する係合部を更に備え、前記第2アクチュエータは、前記係合部を保持するとともに進退させ、前記アクチュエータ保持部は、前記係合部が係合した、前記係合部の進退運動を前記ニードルの回動運動に変換する変換部を有している、ようにしてもよい。
【0010】
上述した培養容器連結装置において、前記第2アクチュエータは、前記アクチュエータ保持部に保持され、前記第2アクチュエータは、前記フレームに回動不能に固定された回動軸を有し、前記アクチュエータ保持部を前記フレームに対する反力で回動することにより、前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動可能に構成されている、ようにしてもよい。
【0011】
上述した培養容器連結装置において、前記洗浄部は、前記ニードルが進退可能に設けられるとともに前記ニードルの内部洗浄を行う内部洗浄孔と、前記ニードルが進退可能に設けられるとともに前記ニードルの外部洗浄を行う外部洗浄孔と、を有し、前記内部洗浄孔と前記外部洗浄孔は、前記ニードルの回動方向に互いに異なる位置に配置され、前記洗浄対向位置は、前記ニードルが前記内部洗浄孔に対向する内部洗浄対向位置と、前記ニードルが前記外部洗浄孔に対向する外部洗浄対向位置と、を有し、前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記内部洗浄対向位置と前記外部洗浄対向位置とに、位置づけ可能である、ようにしてもよい。
【0012】
上述した培養容器連結装置において、前記ニードルが進退可能に設けられ、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部を更に備え、前記バイパス部は、前記容器保持部および前記洗浄部に対して前記ニードルの回動方向に異なる位置に配置され、前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記バイパス部に対向するバイパス対向位置に、位置づけ可能である、ようにしてもよい。
【0013】
上述した培養容器連結装置において、前記ニードルが進退可能に設けられ、前記ニードルを滅菌する滅菌部を更に備え、前記滅菌部は、前記容器保持部および前記洗浄部に対して前記ニードルの回動方向に異なる位置に配置され、前記ニードルは、前記第2アクチュエータによって、前記ニードルが前記滅菌部に対向する滅菌対向位置に、位置づけ可能である、ようにしてもよい。
【0014】
また、本発明は、上述した前記培養容器連結装置と、新しい前記培地を貯留するバッファタンクと、前記培養容器連結装置の前記容器保持部に保持される前記培養容器から前記培地を排出する培地排出駆動部と、を備え、前記培養容器連結装置の一方の前記ニードルは、前記バッファタンクに連結され、他方の前記ニードルは、前記培地排出駆動部に連結されている、培養システム、を提供する。
【0015】
また、本発明は、培地の交換時に培養容器に連結される培養容器連結装置の2つのニードルの洗浄方法であって、前記ニードルを前記培養容器に差し込んで、前記培養容器内の前記培地を交換する工程と、前記ニードルを前記培養容器から後退させて、前記培養容器に対向する容器対向位置に位置づける工程と、前記容器対向位置から前記ニードルを回動して、前記ニードルを洗浄する洗浄部に対向する洗浄対向位置に前記ニードルを位置づけ、前記洗浄対向位置から前進させて、前記洗浄部において前記ニードルを洗浄する工程と、を備えた、ニードルの洗浄方法を提供する。
【0016】
上述したニードルの洗浄方法において、前記培養容器連結装置は、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータを保持するアクチュエータ保持部と、前記アクチュエータ保持部を回動させる第2アクチュエータと、を備えており、前記ニードルの前進および後退は、前記第1アクチュエータによって行われ、前記ニードルの回動は、前記第2アクチュエータによって行われる、ようにしてもよい。
【0017】
上述したニードルの洗浄方法において、前記培養容器連結装置は、前記アクチュエータ保持部に係合する係合部を更に備えており、前記第2アクチュエータは、前記係合部を保持するとともに進退させ、前記アクチュエータ保持部は、前記係合部が係合した、前記係合部の進退運動を前記ニードルの回動運動に変換する変換部を有している、ようにしてもよい。
【0018】
上述したニードルの洗浄方法において、前記培養容器連結装置は、前記アクチュエータ保持部が回動可能に設けられたフレームを更に備えており、 前記第2アクチュエータは、前記アクチュエータ保持部に保持され、前記第2アクチュエータは、前記フレームに回動不能に固定された回動軸を有し、前記アクチュエータ保持部を前記フレームに対する反力で回動することにより、前記アクチュエータ保持部を介して前記ニードルを回動可能に構成されている、ようにしてもよい。
【0019】
上述したニードルの洗浄方法において、前記洗浄部は、前記ニードルの内部洗浄を行う内部洗浄孔と、前記ニードルの外部洗浄を行う外部洗浄孔と、を有し、前記洗浄対向位置は、前記ニードルが前記内部洗浄孔に対向する内部洗浄対向位置と、前記ニードルが前記外部洗浄孔に対向する外部洗浄対向位置と、を有し、前記ニードルを洗浄する工程は、前記ニードルを前記内部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記内部洗浄対向位置から前記ニードルを前進させて、前記内部洗浄孔において前記ニードルを内部洗浄する工程と、前記内部洗浄孔から後退させて前記内部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記内部洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、前記外部洗浄対向位置に位置づける工程と、前記外部洗浄対向位置から前記ニードルを前進させて、前記外部洗浄孔において前記ニードルを外部洗浄する工程と、を有している、ようにしてもよい。
【0020】
上述したニードルの洗浄方法において、前記ニードルを前記洗浄部から後退させて前記洗浄対向位置に位置づける工程と、前記洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部に対向するバイパス対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、前記バイパス対向位置から前記ニードルを前進させて、前記バイパス部において2つの前記ニードルを連通させる工程と、を更に備える、ようにしてもよい。
【0021】
上述したニードルの洗浄方法において、前記ニードルを前記洗浄部から後退させて前記洗浄対向位置に位置づける工程と、前記洗浄対向位置から前記ニードルを回動して、前記ニードルを滅菌する滅菌部に対向する滅菌対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、前記滅菌対向位置から前記ニードルを前進させて、前記滅菌部において前記ニードルを滅菌する工程と、を更に備えた、ようにしてもよい。
【0022】
上述したニードルの洗浄方法において、前記ニードルを前記滅菌部から後退させて前記滅菌対向位置に位置づける工程と、前記滅菌対向位置から前記ニードルを回動して、2つの前記ニードルを連通させるバイパス部に対向するバイパス対向位置に前記ニードルを位置づける工程と、前記バイパス対向位置から前記ニードルを前進させて、前記バイパス部において2つの前記ニードルを連通させる工程と、を更に備える、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、培地交換作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1の実施の形態における培養システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す培養容器を示す平面図である。
図3図3は、図2に示す培養容器を示す断面図である。
図4図4は、図1に示す培養容器連結装置を示す概略構成図である。
図5図5は、図4に示す培養容器連結装置を示す概略平面図である。
図6図6は、図4の培養容器連結装置の洗浄ブロックを示す断面図である。
図7図7は、図4の培養容器連結装置のニードルの洗浄方法において、内部洗浄時のニードルを示す断面図である。
図8図8は、図4の培養容器連結装置のニードルの洗浄方法において、外部洗浄時のニードルを示す断面図である。
図9図9は、図4の培養容器連結装置のニードルの洗浄方法において、滅菌時のニードルを示す断面図である。
図10図10は、図4の培養容器連結装置のニードルの洗浄方法において、バイパス時のニードルを示す断面図である。
図11図11は、第2の実施の形態における培養容器連結装置を示す概略構成図である。
図12図12は、図11に示す培養容器連結装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示の理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0026】
各実施の形態による培養システムは、あらゆる細胞を培養するために用いることができ、(ヒト)iPS細胞、(ヒト)ES細胞等の多能性幹細胞、骨髄間質細胞(MSC)等の軟骨細胞、樹状細胞等の様々な細胞を培養する際に用いることができる。各実施の形態では、以下、iPS細胞を培養する用途を主に想定して説明するが、これはあくまでも一例である。
【0027】
(第1の実施の形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る培養システムの概略構成を説明する。
【0028】
図1に示すように、培養システム1は、新しい培地を供給する培地供給源2と、培地交換時に細胞を培養するための培養容器100が連結される培養容器連結装置3と、培養容器連結装置3に連結された培養容器100から排出される培地の成分を分析する培地分析部4と、を備えている。
【0029】
培地供給源2は、培養容器100に供給するための細胞培養用の新しい培地を保管する。培地供給源2は、例えば保冷庫内に設けられており、保管時には、培地は低温(例えば約4℃)で保管され、成分の劣化を防止している。
【0030】
培地供給源2と培養容器連結装置3との間に、インレットヒータ5および新液用バッファタンク6がこの順に設けられている。
【0031】
インレットヒータ5は、培地供給源2から培養容器100に供給される培地を加熱して、培地の温度を高温(例えば、約37℃)にする。加熱された培地は、インレットヒータ5から排出されて、新液用バッファタンク6に供給される。なお、培地供給源2とインレットヒータ5との間には、培地供給源2からインレットヒータ5を介して新液用バッファタンク6に培地を供給するためのインレットポンプ7が設けられている。
【0032】
新液用バッファタンク6は、インレットヒータ5により加熱された培地を貯留し、培地中の気泡を除去する。新液用バッファタンク6は、培地を貯留する内部空間と、ベント部(いずれも図示せず)と、を有しており、新液用バッファタンク6内の内部空間は新液用バッファタンク6の周囲雰囲気(新液用バッファタンク6が収容されたチャンバ内の清浄な雰囲気)とベント部を介して連通している。このことにより、新液用バッファタンク6に貯留されている培地に気泡が混入している場合には、その気泡が浮き上がって培地から除去される。すなわち、新しい培地に含まれる気泡は、高温になったことによって膨張するため、内部空間に貯留された培地から気泡を効率良く除去することができる。また、ベント部を有していることにより、新液用バッファタンク6に対する培地の供給および排出をスムースにさせることができる。なお、ベント部にはベントフィルター(図示せず)が設けられており、新液用バッファタンク6の内部空間への異物の混入防止を図っている。
【0033】
新液用バッファタンク6の内部空間における培地の貯留容量は、培養容器100内の培地を交換する際に培養容器100内の古い培地を押し出すための培地を供給できるように、培養容器100の容量よりも大きくすることが好適である。例えば、新液用バッファタンク6の培地の貯留容量は、培養容器100の容量が18mLである場合には、これよりも大きい30mLとすることが一例として挙げられる。
【0034】
インレットポンプ7とインレットヒータ5との間には、第1インレット開閉弁8が設けられている。この第1インレット開閉弁8は、培地供給源2から新液用バッファタンク6への培地の供給を制御している。新液用バッファタンク6と培養容器連結装置3との間には、第2インレット開閉弁9が設けられており、新液用バッファタンク6から培養容器100への培地の供給を制御している。新液用バッファタンク6は、培養容器連結装置3よりも高い位置に配置されており、新液用バッファタンク6から培養容器連結装置3に連結された培養容器100への培地の供給が容易に供給可能になっている。
【0035】
培養容器連結装置3は、培養容器100を保持して連結するように構成されている。培養容器連結装置3は、滅菌チャンバ10に収容されている。滅菌チャンバ10は、連結された培養容器100の温度、湿度および気体濃度の少なくとも一つが調整されるように構成されており、例えば、培養容器100の温度が約37℃になるように雰囲気の温度を調整する。この滅菌チャンバ10内は滅菌空間となっている。培養容器100の詳細は後述する。
【0036】
培養容器連結装置3と培地分析部4の間には、アウトレットポンプ11(培地排出駆動部)、培地フィルター12およびアウトレット開閉弁13が、この順に設けられている。このうちアウトレットポンプ11は、培養容器100から細胞培養後の培地を引き出して培地を排出し、培地分析部4に培地を供給する。この際、培養容器100からの培地の引き出しと同時に、新液用バッファタンク6から培養容器100への新しい培地の供給が促される。このことにより、培養容器100に新しい培地が供給され、培地交換がなされる。培地フィルター12は、培養容器100から排出される培地に含まれる固形物(例えば、培養していた細胞など)を培地から除去するように構成されている。アウトレット開閉弁13は、培養容器100から培地分析部4への培地の供給を制御するように構成されている。
【0037】
本実施の形態による培養システム1は、インレット洗浄液供給源14とアウトレット洗浄液供給源15とを更に備えている。このうちインレット洗浄液供給源14は、第1ニードル32a(後述)を洗浄するために、インレットヒータ5および新液用バッファタンク6を介して第1ニードル32aに洗浄液(例えば、純水)を供給する。インレット洗浄液供給源14とインレットヒータ5との間には、インレット洗浄ポンプ16およびインレット洗浄開閉弁17がこの順に設けられており、インレット洗浄液供給源14から第1ニードル32aへの洗浄液の供給を制御している。アウトレット洗浄液供給源15は、第2ニードル32b(後述)を洗浄するために、アウトレットポンプ11を介して第2ニードル32bに洗浄液(例えば、純水)を供給する。アウトレット洗浄液供給源15とアウトレットポンプ11との間には、アウトレット洗浄ポンプ18およびアウトレット洗浄開閉弁19がこの順に設けられており、アウトレット洗浄液供給源15から第2ニードル32bへの洗浄液の供給を制御している。
【0038】
図1に示すように、培養システム1は、制御部20を更に備えている。この制御部20は、上述した各開閉弁やポンプを制御するように構成されている。
【0039】
次に、図2および図3を用いて、本実施の形態による培養容器100について説明する。ここでは、カルチャープレート型の培養容器100を例にとって説明する。
【0040】
図2および図3に示すように、培養容器100は、容器本体101と、容器本体101の一面に貼り付けられた平板102と、を備えている。容器本体101は、培地(培地以外にも細胞が分散された懸濁液、剥離剤、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)など)が流入される流入口103と、流入口103から流入した培地が通過する通路104と、通路104を通過した培地が流出される流出口105と、を有している。このうち流入口103は、上述した新液用バッファタンク6に連結され、流出口105は、培地分析部4に連結されている。
【0041】
容器本体101の通路104は、容器本体101の平板102が貼り付けられた一面側に溝状に形成されている。通路104の口径(すなわち溝の深さ及び幅)は、一例として、2mm〜4mmである。また、容器本体101の通路104は、平面視において蛇行する部分、すなわち直線部と折り返し部とが交互に接続された部分を有している。これにより、容器本体101を大型化させることなく、通路104の全長を延伸させて、細長状の通路104が形成されている。
【0042】
図2および図3に示すように、通路104の通路底面104aには、通路104を通過する細胞が播種される複数の細胞播種領域106が、当該通路104に沿って並んで設けられている。本実施の形態では、通路104の通路底面104aには、細胞播種領域106と同心状に窪み107が凹設されている。
【0043】
流入口103に流入口ゴム栓108が挿入され、流出口105に流出口ゴム栓109が挿入されており、流入口103および流出口105が閉塞されている。流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109には、後述するニードル32が貫通可能になっている。
【0044】
このような培養容器100内の培地を交換する際には、流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109にそれぞれ後述するニードルが接続された状態でアウトレットポンプ11が駆動され、通路104内の古い培地が引き出されて流出口105から流出される。これに伴い、新液用バッファタンク6から供給される新しい培地が流入口103から通路104に流入される。この間、通路104内の古い培地は、新しい培地により押し出されるようにして流出口105から流出される。この場合、新しい培地と古い培地は、通路104に沿って流れるため、新しい培地と古い培地とが混ざることを防止できるとともに、古い培地を新しい培地に容易に交換することができる。
【0045】
次に、図4乃至図6を用いて、本発明の第1の実施の形態による培養容器連結装置3について説明する。培養容器連結装置3は、上述した滅菌チャンバ10内に設けられている。
【0046】
図4および図5に示すように、培養容器連結装置3は、一対のフレーム30と、一対のフレーム30に設けられ、培養容器100を保持する容器保持部31と、容器保持部31に保持された培養容器100内の培地を交換する2つのニードル32と、第1アクチュエータ33と、を備えている。このうちフレーム30は起立して互いに平行に設けられており、図示しない連結部材によって一体化されている。容器保持部31は、図5に示すように、一対のフレーム30の間に配置されており、各フレーム30によって支持されている。
【0047】
ニードル32は、容器保持部31に保持された培養容器100に進退可能になっている。2つのニードル32のうちの一方(第1ニードル32a)は、上述した新液用バッファタンク6に連結され、他方(第2ニードル32b)は、上述した培地分析部4に連結されている。2つのニードル32は、ニードル保持部32Hに保持されている。容器保持部31に保持された培養容器100の流入口103および流出口105は、アクチュエータ保持部34の回動シャフト36(いずれも後述)の軸方向に並んで離間して配置されている。同様にして、2つのニードル32は、回動シャフト36の軸方向に並んで配置されており、培養容器100の流入口103および流出口105と同様の間隔で配置されている。このことにより、培地交換時には、2つのニードル32が培養容器100に差し込まれる。より具体的には、第1ニードル32aが、培養容器100の流入口103に挿入された流入口ゴム栓108を貫通して流入口103に差し込まれ、新液用バッファタンク6から第1ニードル32aを通って培養容器100に新しい培地が供給される。一方、第2ニードル32bが、流出口105に挿入された流出口ゴム栓109を貫通して流出口105に差し込まれ、培養容器100内の培地は、第2ニードル32bを通って排出される。
【0048】
第1アクチュエータ33は、一対のフレーム30の間に配置されており、2つのニードル32を進退(前進および後退)させる。より具体的には、第1アクチュエータ33は、ニードル保持部32Hを保持するとともに、ニードル32の長手方向(図4における左右方向)に沿ってニードル保持部32Hを直線移動させ、2つのニードル32を同時に直線移動させる。
【0049】
第1アクチュエータ33は、アクチュエータ保持部34によって保持されている。このアクチュエータ保持部34は、第1アクチュエータ33を進退不能かつ回動不能に保持しており、後述する第2アクチュエータ37によって、ニードル32および第1アクチュエータ33と共に回動するように構成されている。
【0050】
アクチュエータ保持部34は、上方から見た場合に一対のフレーム30の間に配置されており、各フレーム30に回動可能に設けられている。より具体的には、図5に示すように、アクチュエータ保持部34は、第1アクチュエータ33とフレーム30との間に設けられた一対の保持プレート35と、各保持プレート35から対応するフレーム30に延びる回動シャフト36と、を有している。一方の回動シャフト36が一方のフレーム30に回動可能に支持され、他方の回動シャフト36が他方のフレーム30に回動可能に支持されている。一対の保持プレート35は、図示しない連結部材によって連結されており、一対の保持プレート35、一対の回動シャフト36は、一体に形成されている。
【0051】
図4に示すように、2つのニードル32は、フレーム30に固定された第2アクチュエータ37によって回動する。この第2アクチュエータ37は、アクチュエータ保持部34を介してニードル保持部32Hを回動させる。これにより、ニードル32が同時に回動するように構成されている。
【0052】
第2アクチュエータ37は、アクチュエータ保持部34に係合するピン38(係合部)を進退させる。より具体的には、ピン38は、ピン保持部38Hに保持されており、第2アクチュエータ37は、ピン保持部38Hを介してピン38を保持するとともに進退させる。ピン38の進退運動の軌跡を図4においてL1で示す。他方、アクチュエータ保持部34は、ピン38が係合した変換部39を有している。この変換部39は、ピン38の進退運動をニードル32の回動運動に変換するためのものである。変換部39は、一方の保持プレート35から上方に延びるように形成されており、当該保持プレート35に一体に形成されている。
【0053】
本実施の形態では、変換部39は、ピン38が係合するとともに摺動可能な長孔40を含んでいる。この長孔40の長手方向は、ニードル32の長手方向に直交しており、図4に示す形態では、上下方向に延びている。図5では、ピン38が長孔40に係合している状態を、変換部39の断面で示している。
【0054】
アクチュエータ保持部34の回動シャフト36の軸方向で見たときに、第2アクチュエータ37によるピン38の進退運動の軌跡L1は、回動シャフト36の回動中心Oを通ることはなく、回動中心Oに対して所定の距離離れている。このことにより、ピン38が前進または後退すると、アクチュエータ保持部34の変換部39が、回動シャフト36の回動中心Oを中心とするモーメントをピン38から受ける。このため、アクチュエータ保持部34が、ニードル32および第1アクチュエータ33と共に当該回動中心Oを中心として回動する。この間、ピン38は、アクチュエータ保持部34の長孔40内を摺動し、回動シャフト36の回動中心Oからの距離が変化する。ニードル32の先端の回動軌跡を図4においてL2で示す。なお、図4に示す形態では、長孔40の長手方向の延長上に回動シャフト36の回動中心Oが配置されている例が示されているが、ピン38の進退によってアクチュエータ保持部34がスムースに回動可能であれば、これに限られることはない。
【0055】
図4に示すように、本実施の形態による培養容器連結装置3は、ニードル32を洗浄する洗浄ブロック50(洗浄部)と、ニードル32を滅菌する滅菌ブロック70(滅菌部)と、を更に備えている。洗浄ブロック50および滅菌ブロック70には、ニードル32がそれぞれ進退可能になっている。洗浄ブロック50および滅菌ブロック70は、いずれもフレーム30に取り付けられている。
【0056】
図6に示すように、洗浄ブロック50は、ニードル32の内部洗浄を行う2つの内部洗浄孔51と、ニードル32の外部洗浄を行う2つの外部洗浄孔52と、を有している。内部洗浄孔51および外部洗浄孔52は、ニードル32が進退可能に形成されており、ニードル32の少なくとも一部が挿入される。このうち外部洗浄孔52は、垂直方向に延びるように形成されている。
【0057】
2つの内部洗浄孔51には、第1排出ライン53が連結されており、2つの内部洗浄孔51内の洗浄液は、第1排出ライン53に排出されるようになっている。2つの外部洗浄孔52には、第2排出ライン54が連結されており、2つの外部洗浄孔52内の洗浄液は、第2排出ライン54に排出されるようになっている。第1排出ライン53には第1排出弁55が設けられ、第2排出ライン54には第2排出弁56が設けられている。第1排出ライン53および第2排出ライン54は、下流側で第3排出ライン57に合流している。第3排出ライン57には、排出ポンプ58(例えば、真空ポンプ)が設けられており、排出ポンプ58が駆動されることにより、洗浄液が排出可能になっている。
【0058】
2つの内部洗浄孔51は、アクチュエータ保持部34の回動シャフト36の軸方向に並んで配置されており、培養容器100の流入口103および流出口105と同様の間隔で配置されている。2つの外部洗浄孔52の配置も同様である。このことにより、2つのニードル32が、2つの内部洗浄孔51に同時に挿入可能であるとともに、2つの外部洗浄孔52に同時に挿入可能になっている。図6においては、2つの内部洗浄孔51のうちの一方の内部洗浄孔51を示すとともに、2つの外部洗浄孔52のうちの一方の外部洗浄孔52を示しており、他方の内部洗浄孔51および他方の外部洗浄孔52の図示は省略している。
【0059】
洗浄ブロック50の上面には、2つの凹状の連通路59が設けられている。各連通路59は、一方の内部洗浄孔51と、これに対応する(内部洗浄孔51に挿入されるニードル32が挿入される)外部洗浄孔52とを連通しており、外部洗浄孔52からオーバーフローする洗浄液を内部洗浄孔51に案内する。
【0060】
図6に示すように、洗浄ブロック50は、互いに連通された2つのバイパス孔60(バイパス部)を更に有している。このバイパス孔60は、ニードル32が進退可能に形成されており、ニードル32の少なくとも一部が挿入される。2つのバイパス孔60の配置は、上述した2つの内部洗浄孔51の配置と同様になっており、2つのニードル32が、2つのバイパス孔60に同時に挿入可能になっている。なお、図6においては、一方のバイパス孔60の図示は省略している。
【0061】
2つのバイパス孔60は、バイパスライン61を介して互いに連通されている。すなわち、上述した第1ニードル32aに対応するバイパス孔60と、第2ニードル32bに対応するバイパス孔60とが、バイパスライン61を介して連通されている。このことにより、各ニードル32a、32bが対応するバイパス孔60に挿入されると、第1ニードル32aおよび第2ニードル32bは、2つのバイパス孔60およびバイパスライン61を介して互いに連通される。このため、第1ニードル32aに供給された培地は、第1ニードル32aに対応するバイパス孔60、バイパスライン61、および第2ニードル32bに対応するバイパス孔60を介して、第2ニードル32bに供給可能になっている。第2ニードル32bに供給された培地は、培地分析部4(図1参照)に回収される。なお、第1ニードル32aに対応するバイパス孔60は、バイパスライン61とは異なる他のライン(図示せず)に連通し、当該他のラインが、培地分析部4に直接的または間接的に連結されていてもよい。この場合においても、第1ニードル32aに供給された新しい培地を、培地分析部4に回収することができる。
【0062】
ところで、バイパス孔60に挿入されたニードル32の先端は、バイパス孔60の壁面に当接可能になっている。より具体的には、バイパス孔60は、ニードル32の側に設けられた大径孔部60aと、バイパスライン61の側に設けられた小径孔部60bと、大径孔部60aと小径孔部60bとの間に設けられたテーパー孔部60cと、を含んでいる。このうち、小径孔部60bは、大径孔部60aよりも小さい径を有している。大径孔部60aおよびテーパー孔部60cは、バイパス孔60に挿入されたニードル32の長手方向に沿うように形成されている。小径孔部60bのうちテーパー孔部60cの側の部分は、ニードル32の長手方向に沿うように形成されているが、バイパスライン61の側の部分は、上下方向に沿うように形成されている。すなわち、小径孔部60bは、折れ曲がるように形成されている。一方、ニードル32は、その先端部に設けられたテーパー部32T(図10参照)を含んでいる。このことにより、バイパス孔60にニードル32が挿入されると、ニードル32のテーパー部32Tが、第1アクチュエータ33の駆動力を受けて、バイパス孔60のテーパー孔部60cの壁面に当接して押圧される。このことにより、第1ニードル32aの先端から吐出された培地が、大径孔部60aの側に流出することを抑制している。また、バイパスライン61から供給された培地が、第2ニードル32b内にスムースに流入することができ、当該培地が、大径孔部60aの側に流出することを抑制している。なお、培地の流出を効果的に抑制するために、洗浄ブロック50は樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))で形成され、ニードル32はステンレス(例えば、SUS316L)で形成されることが好適である。
【0063】
図4に示すように、滅菌ブロック70は、ニードル32の滅菌を行う2つの滅菌孔71を有している。滅菌孔71は、ニードル32が進退可能に形成されており、ニードル32の少なくとも一部が挿入される。滅菌ブロック70は、滅菌孔71に挿入されたニードル32を加熱するヒータ(図示せず)を有している。滅菌時には、ニードル32は200℃程度まで加熱される。2つの滅菌孔71の配置は、上述した2つの内部洗浄孔51の配置と同様になっており、2つのニードル32が2つの滅菌孔71に同時に挿入可能になっている。図6においては、一方の滅菌孔71の図示は省略している。
【0064】
図4に示すように、上述した容器保持部31、洗浄ブロック50および滅菌ブロック70は、回動中心Oに対してニードル32の回動軌跡L2よりも外周側であって、ニードル32の回動方向に互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態では、容器保持部31、滅菌ブロック70および洗浄ブロック50が、この順に、フレーム30への取り付け高さが低くなるように配置されている。
【0065】
洗浄ブロック50においては、内部洗浄孔51、外部洗浄孔52およびバイパス孔60が、ニードル32の回動方向に互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態では、バイパス孔60、内部洗浄孔51および外部洗浄孔52が、この順に、容器保持部31および滅菌ブロック70から遠ざかるように配置されている。
【0066】
ニードル32は、第2アクチュエータ37によって、容器保持部31に保持された培養容器100の流入口103および流出口105に対向する容器対向位置P1と、洗浄ブロック50に対向する洗浄対向位置(P2、P3)と、に位置づけ可能になっている。ニードル32が容器対向位置P1に位置づけられた場合、2つのニードル32は、その長手方向において、培養容器100の流入口103および流出口105にそれぞれ整列される。図4に示す形態では、容器対向位置P1においてニードル32は水平に配置される。そして、第1アクチュエータ33によって前進して(流入口103および流出口105に向かって直線移動して)、2つのニードル32は、流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109を同時に貫通して、培養容器100内に差し込まれる。
【0067】
洗浄対向位置は、ニードル32が内部洗浄孔51に対向する内部洗浄対向位置P2と、ニードル32が外部洗浄孔52に対向する外部洗浄対向位置P3と、を有している。すなわち、ニードル32は、内部洗浄対向位置P2と、外部洗浄対向位置P3と、位置づけ可能になっている。ニードル32が内部洗浄対向位置P2に位置づけられた場合、2つのニードル32は、その長手方向において、対応する内部洗浄孔51にそれぞれ整列される。そして、第1アクチュエータ33によって前進して、2つのニードル32は、2つの内部洗浄孔51に同時に挿入される。ニードル32が外部洗浄対向位置P3に位置づけられた場合、2つのニードル32は、その長手方向において、対応する外部洗浄孔52にそれぞれ整列される。図4に示す形態では、外部洗浄対向位置P3においてニードル32の長手方向は垂直になる。そして、第1アクチュエータ33によって前進して、2つのニードル32は、2つの外部洗浄孔52に同時に挿入される。
【0068】
また、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって、洗浄ブロック50のバイパス孔60に対向するバイパス対向位置P4に位置づけ可能になっている。ニードル32がバイパス対向位置P4に位置づけられた場合、2つのニードル32は、その長手方向において、対応するバイパス孔60にそれぞれ整列される。そして、第1アクチュエータ33によって前進して、2つのニードル32は、2つのバイパス孔60に同時に挿入される。
【0069】
さらに、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって、滅菌ブロック70の滅菌孔71に対向する滅菌対向位置P5に位置づけ可能になっている。ニードル32が滅菌対向位置P5に位置づけられた場合、2つのニードル32は、その長手方向において、滅菌ブロック70の対応する滅菌孔71にそれぞれ整列される。そして、第1アクチュエータ33によって前進して、2つのニードル32は、2つの滅菌孔71に同時に挿入される。
【0070】
第1アクチュエータ33および第2アクチュエータ37は、上述した制御部20に接続されている。制御部20は、第1アクチュエータ33および第2アクチュエータ37を制御するように構成されている。
【0071】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用(ニードルの洗浄方法)について説明する。
【0072】
培地交換時には、図4に示すように、まず、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって回動して、容器対向位置P1に位置づけられる。このことにより、2つのニードル32は、容器保持部31に保持された培養容器100(図2参照)の流入口103および流出口105にそれぞれ整列される。
【0073】
続いて、ニードル32は、容器対向位置P1から第1アクチュエータ33によって流入口103および流出口105に向かって前進し、流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109に突き刺さり、貫通する。このことにより、ニードル32が流入口103および流出口105に同時に差し込まれ、新液用バッファタンク6(図1参照)と流入口103が連結されるとともに、流出口105と培地分析部4とが連結される。
【0074】
その後、アウトレットポンプ11が駆動されて、培養容器100の通路104から古い培地が第2ニードル32bを介して引き出されて、培地分析部4に供給される。この際、新液用バッファタンク6内に貯留されている新しい培地が、第1ニードル32aおよび培養容器100の流入口103を介して通路104に流入し、通路104内の古い培地が、新しい培地に押し出されるように排出される。このようにして、培養容器100内の培地が交換される。
【0075】
培地交換の後、ニードル32は、第1アクチュエータ33によって、流入口ゴム栓108および流出口ゴム栓109から後退して抜き出される。ニードル32が後退後の各ゴム栓108、109は、その材料の弾性特性によって、再び流入口103および流出口105を閉塞する。後退したニードル32は、再び容器対向位置P1に位置づけられる。
【0076】
容器対向位置P1に位置づけられた後、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって回動し、洗浄ブロック50において内部洗浄される。
【0077】
この場合、まず、図4に示すように、2つのニードル32は、容器対向位置P1から回動して内部洗浄対向位置P2に位置づけられ、洗浄ブロック50の対応する内部洗浄孔51にそれぞれ整列される。
【0078】
続いて、ニードル32は、内部洗浄対向位置P2から第1アクチュエータ33によって対応する内部洗浄孔51に向かって前進し、図7に示すように、内部洗浄孔51に挿入される。
【0079】
次に、インレット洗浄ポンプ16が駆動されるとともにインレット洗浄開閉弁17が開き、インレット洗浄液供給源14からインレットヒータ5および新液用バッファタンク6を介して第1ニードル32aに洗浄液が供給される。一方、アウトレット洗浄ポンプ18が駆動されるとともにアウトレット洗浄開閉弁19が開き、アウトレット開閉弁13を閉じる。このことにより、アウトレット洗浄液供給源15からアウトレットポンプ11を介して第2ニードル32bに供給される。この場合、洗浄液は、アウトレットポンプ11において、培地交換時に培地が流れる方向とは反対方向に流れる。
【0080】
ニードル32の内部洗浄の間、排出ポンプ58が駆動され、第1排出ライン53に設けられた第1排出弁55は開く。このことにより、各ニードル32に供給された洗浄液は、ニードル32の内部流路を通って、各ニードル32の先端から吐出される。吐出された洗浄液は、第1排出ライン53を介して第3排出ライン57に排出される。この間、洗浄液は、各ニードル32の内部流路を通り、内部流路が洗浄液で洗浄される(ニードル32が内部洗浄される)。
【0081】
内部洗浄の後、インレット洗浄ポンプ16およびアウトレット洗浄ポンプ18を停止するとともに、インレット洗浄開閉弁17およびアウトレット洗浄開閉弁19を閉じる。そして、ニードル32は、内部洗浄孔51から第1アクチュエータ33によって後退し、内部洗浄孔51から引き出され、再び内部洗浄対向位置P2に位置づけられる。
【0082】
内部洗浄対向位置P2に位置づけられた後、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって回動し、洗浄ブロック50において外部洗浄される。
【0083】
この場合、まず、図4に示すように、2つのニードル32は、内部洗浄対向位置P2から回動して外部洗浄対向位置P3に位置づけられ、洗浄ブロック50の対応する外部洗浄孔52にそれぞれ整列される。
【0084】
続いて、ニードル32は、外部洗浄対向位置P3から第1アクチュエータ33によって対応する外部洗浄孔52に向かって前進し、図8に示すように、外部洗浄孔52に挿入される。この際、外部洗浄孔52へのニードル32の挿入深さは、内部洗浄孔51への挿入深さよりも深いことが好ましい。また、外部洗浄孔52へのニードル32の挿入深さは、培地交換時に培養容器100の流入口103および流出口105に差し込まれるニードル32の差込深さよりも深いことが好ましい。
【0085】
次に、内部洗浄時と同様にして、各ポンプ16、18を駆動するとともに、各洗浄開閉弁17、19を開く。また、アウトレット開閉弁13を閉じる。このことにより、インレット洗浄液供給源14から第1ニードル32aに洗浄液が供給されるとともに、アウトレット洗浄液供給源15から第2ニードル32bに洗浄液が供給される。
【0086】
ニードル32の外部洗浄の間、排出ポンプ58が駆動され、第1排出弁55は開くとともに第2排出弁56を閉じる。このことにより、各ニードル32に供給された洗浄液は、先端から吐出されて外部洗浄孔52に溜まり、外部洗浄孔52が洗浄液で満たされて、各ニードル32の外面が洗浄液で洗浄される(ニードル32が外部洗浄される)。
【0087】
外部洗浄孔52からオーバーフローした洗浄液は、洗浄ブロック50の上面に設けられた連通路59を通って対応する内部洗浄孔51に流れる。内部洗浄孔51に達した洗浄液は、第1排出ライン53を介して第3排出ライン57に排出される。外部洗浄の間、第2排出弁56が閉じられているため、外部洗浄孔52内に、下流側から(排出ポンプ58の側から)菌が進入することを防止でき、外部洗浄孔52の清潔性を向上させることができる。また、外部洗浄の間、外部洗浄孔52自体を洗浄することにもなる。一方、第1排出弁55を閉じるとともに第2排出弁56を開いて、排出ポンプ58を駆動して内部洗浄孔51にニードル32を挿入して洗浄液を吐出させると、内部洗浄孔51から洗浄液をオーバーフローさせることができ、内部洗浄孔51自体を洗浄することもできる。
【0088】
外部洗浄の後、各ポンプ16、18を停止するとともに、各洗浄開閉弁17、19を閉じる。また、第2排出弁56が開き、外部洗浄孔52に溜められた洗浄液が、第2排出ライン54に排出される。そして、ニードル32は、外部洗浄孔52から第1アクチュエータ33によって後退し、外部洗浄孔52から引き出され、再び外部洗浄対向位置P3に位置づけられる。
【0089】
外部洗浄対向位置P3に位置づけられた後、ニードル32は、第2アクチュエータ37によって回動し、滅菌ブロック70において滅菌される。
【0090】
この場合、まず、図4に示すように、2つのニードル32は、外部洗浄対向位置P3から回動して滅菌対向位置P5に位置づけられ、滅菌ブロック70の対応する滅菌孔71にそれぞれ整列される。
【0091】
続いて、ニードル32は、滅菌対向位置P5から第1アクチュエータ33によって対応する滅菌孔71に向かって前進し、図9に示すように、滅菌孔71に挿入される。この際、滅菌孔71へのニードル32の挿入深さは、培地交換時に培養容器100の流入口103および流出口105に差し込まれるニードル32の差込深さよりも深いことが好ましい。
【0092】
次に、滅菌ブロック70のヒータが駆動されて、滅菌孔71に挿入されたニードル32が加熱され、滅菌される。
【0093】
滅菌の後、ヒータを停止し、ニードル32は、滅菌孔71から第1アクチュエータ33によって後退し、滅菌孔71から引き出され、再び滅菌対向位置P5に位置づけられる。
【0094】
滅菌後に新しい培地の成分分析を行う場合には、ニードル32は、滅菌対向位置P5から第2アクチュエータ37によって回動して、図4に示すように、バイパス対向位置P4に位置づけられる。このことにより、2つのニードル32は、洗浄ブロック50の対応するバイパス孔60にそれぞれ整列される。
【0095】
続いて、第1アクチュエータ33によって、ニードル32は、バイパス対向位置P4から対応するバイパス孔60に向かって前進し、図10に示すように、バイパス孔60に挿入される。この場合、第1ニードル32aおよび第2ニードル32bは、対応するバイパス孔60にそれぞれ挿入され、第1ニードル32aおよび第2ニードル32bは、2つのバイパス孔60およびバイパスライン61を介して互いに連通される。
【0096】
次に、第2インレット開閉弁9が開き、新液用バッファタンク6から新しい培地が第1ニードル32aに供給される。供給された培地は、第1ニードル32aの先端から吐出され、吐出された培地が、第1ニードル32aが挿入されたバイパス孔60、バイパスライン61、および第2ニードル32bが挿入されたバイパス孔60を介して第2ニードル32bに供給される。第2ニードル32bに供給された培地は、培地分析部4に回収される。すなわち、新しい培地は、培養容器100を通過することなく培地分析部4に回収される。回収された培地は、培地分析部4において成分分析される。
【0097】
分析用の培地の回収の後、第2インレット開閉弁9を閉じる。そして、2つのニードル32は、バイパス孔60から第1アクチュエータ33によって後退し、バイパス孔60から引き出され、再びバイパス対向位置P4に位置づけられる。
【0098】
このように本実施の形態によれば、培養容器100内の培地を交換するニードル32が、第2アクチュエータ37によって、洗浄ブロック50に対向する洗浄対向位置P2、P3に位置づけられ、第1アクチュエータ33によって、洗浄ブロック50に前進することができる。このことにより、培地交換後のニードル32を、洗浄ブロック50に前進させて洗浄させることができ、ニードル32の交換を不要にすることができる。このため、培地交換作業の効率を向上させることができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、第2アクチュエータ37が進退させるピン38が、アクチュエータ保持部34の変換部39に係合し、ピン38の進退運動がニードル32の回動運動に変換される。このことにより、ニードル32を回動させるための構成をコンパクト化させることができる。このため、滅菌チャンバ10内に占める培養容器連結装置3のスペースを小さくすることができる。また、培地交換後のニードル32を洗浄させるための機構を2つのアクチュエータ33、37で実現することができ、構造が複雑化することを防止できる。このため、培養容器連結装置3を簡素化させることができる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、アクチュエータ保持部34の変換部39の長孔40に、ピン38が係合するとともに摺動する。このことにより、ピン38の進退運動をスムースにニードル32の回動運動に変換することができる。このため、第2アクチュエータ37の動力の損失を低減することができ、ニードル32をスムースに回動させることができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、洗浄ブロック50は、内部洗浄孔51と外部洗浄孔52とを有し、内部洗浄対向位置P2に位置づけられたニードル32を内部洗浄孔51に挿入することができ、外部洗浄対向位置P3に位置づけられたニードル32を外部洗浄孔52に挿入することができる。このことにより、内部洗浄孔51においてニードル32の内部洗浄を行うことができるとともに、外部洗浄孔52においてニードル32の外部洗浄を行うことができる。このため、ニードル32の洗浄効果をより一層高めることができる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、洗浄ブロック50は、バイパス孔60を有し、バイパス対向位置P4に位置づけられたニードル32をバイパス孔60に挿入することができる。このことにより、第1ニードル32aから吐出された新しい培地をバイパスライン61および第2ニードル32bを介して培地分析部4に回収することができ、回収された新しい培地の成分分析を効率良く行うことができる。
【0103】
さらに、本実施の形態によれば、培養容器100内の培地を交換するニードル32が、第2アクチュエータ37によって、滅菌ブロック70に対向する滅菌対向位置P5に位置づけられ、第1アクチュエータ33によって、滅菌ブロック70に前進することができる。このことにより、洗浄後のニードル32を、滅菌ブロック70において滅菌させることができる。このため、ニードル32に菌が付着することを防止し、ニードル32をより一層除菌することができる。
【0104】
なお、上述した本実施の形態においては、培養容器連結装置3が、滅菌ブロック70を備えている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、滅菌ブロック70を備えていなくてもよい。
【0105】
また、上述した本実施の形態においては、洗浄ブロック50が、成分分析用の培地を回収するバイパス孔60(バイパス部)を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、バイパス孔60は、洗浄ブロック50および滅菌ブロックに対してニードル32の回動方向に互いに異なる位置に配置されていれば、洗浄ブロック50とは別体のブロックに設けられていてもよい。
【0106】
(第2の実施の形態)
次に、図11および図12を用いて、本発明の第2の実施の形態における培養容器連結装置およびニードルの洗浄方法について説明する。
【0107】
図11および図12に示す第2の実施の形態においては、第2アクチュエータが、アクチュエータ保持部に保持されており、アクチュエータ保持部をフレームに対する反力で回動することによりニードルを回動可能に構成されている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図10に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11および図12において、図1乃至図10に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0108】
図11および図12に示すように、本実施の形態では、2つのニードル32は、第1アクチュエータ80によって進退可能になっている。この第1アクチュエータ80は、フレーム30のサポート部30aに回動可能に設けられたアクチュエータ保持部81に保持されている。ニードル32は、アクチュエータ保持部81を介して、第2アクチュエータ82によって回動可能になっている。
【0109】
本実施の形態では、第2アクチュエータ82は、アクチュエータ保持部81に保持されている。すなわち、本実施の形態によるアクチュエータ保持部81は、ケース状に形成されており、第1アクチュエータ80および第2アクチュエータ82を収容して保持している。ニードル保持部32Hは、アクチュエータ保持部81に直線移動可能に取り付けられている。
【0110】
図12に示すように、第1アクチュエータ80は、回転軸83を有しており、この回転軸83を回転駆動するように構成されている。第1アクチュエータ80には、例えば、ステッピングモータを好適に用いることができる。一方、ニードル保持部32Hには、ナット84が連結されている。このナット84は、外周面におねじが形成されたねじ軸85(例えば、すべりねじ、ボールねじなど)に螺合している。ねじ軸85は、アクチュエータ保持部81内に回転可能に保持されている。第1アクチュエータ80の回転軸83とねじ軸85は、互いに平行に配置されている。また、ねじ軸85の両側には、ねじ軸85に平行に延びるガイドロッド86が設けられている。これらのガイドロッド86は、ナット84の直線移動を案内し、ねじ軸85の回転によってナット84が直線移動可能になっている。
【0111】
回転軸83の端部には、第1プーリ87が設けられている。一方、ねじ軸85の端部には、第2プーリ88が設けられている。第1プーリ87と第2プーリ88に、タイミングベルト89が巻き掛けられており、第1プーリ87の回転は、タイミングベルト89を介して第2プーリ88に伝達される。このようにして、第1アクチュエータ80の回転駆動力が、ねじ軸85に伝達され、ニードル保持部32Hに保持されたニードル32が、直線移動するように構成されている。
【0112】
第2アクチュエータ82は、フレーム30に回動不能に固定された回動軸90を有している。回動軸90は、第2アクチュエータ82の本体を貫通するように形成されている。第2アクチュエータ82には、例えば、ステッピングモータを好適に用いることができる。
【0113】
第2アクチュエータ82は、アクチュエータ保持部81をフレーム30に対する反力で回動することにより、アクチュエータ保持部81を介してニードル32を回動可能に構成されている。すなわち、回動軸90がフレーム30に回動不能に固定されているため、第2アクチュエータ82が駆動されると、回動軸90が回動するのではなく、第2アクチュエータ82自体が回動軸90に対して反力で回動する。この場合、第2アクチュエータ82を保持しているアクチュエータ保持部81がフレーム30に対して回動し、これにより、ニードル32が回動するようになる。
【0114】
このような第1アクチュエータ80および第2アクチュエータ82は、第1の実施の形態における第1アクチュエータ33および第2アクチュエータ37と同様に、上述した制御部20よって制御される。すなわち、2つのニードル32は、第2アクチュエータ82によって、容器対向位置P1、洗浄対向位置P2、P3、バイパス対向位置P4、滅菌対向位置P5に位置付け可能になっている。ニードル32は、容器対向位置P1に位置付けられた場合、第1アクチュエータ80によって培養容器100に対して進退可能になる。ニードル32は、内部洗浄対向位置P2に位置付けられた場合、第1アクチュエータ80によって内部洗浄孔51に対して進退可能になり、外部洗浄対向位置P3に位置付けられた場合、第1アクチュエータ80によって外部洗浄孔52に対して進退可能になる。ニードル32は、バイパス対向位置P4に位置付けられた場合、第1アクチュエータ80によってバイパス孔60に対して進退可能になり、滅菌対向位置P5に位置付けられた場合、第1アクチュエータ80によって滅菌孔71に対して進退可能になる。
【0115】
このように本実施の形態によれば、アクチュエータ保持部81に保持された第2アクチュエータ82が、アクチュエータ保持部81をフレーム30に対する反力で回動することができ、アクチュエータ保持部81を介してニードル32を回動することができる。このことにより、ニードル32を回動させるための構成をコンパクト化させることができる。このため、滅菌チャンバ10内に占める培養容器連結装置3のスペースを小さくすることができる。また、培地交換後のニードル32を洗浄させるための機構を2つのアクチュエータ80、82で実現することができ、構造が複雑化することを防止できる。とりわけ、第2アクチュエータ82からニードル32への回動駆動力の伝達機構を簡素化することができる。このため、培養容器連結装置3を簡素化させることができる。また、アクチュエータ保持部81が、第1アクチュエータ80および第2アクチュエータ82を収容していることにより、ニードル32を回動させるための構成をより一層コンパクト化させることが可能である。
【0116】
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12