特許第6941885号(P6941885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941885
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】エアカーテンユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20210916BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   F24F9/00 C
   F24F7/06 C
   F24F9/00 E
   F24F9/00 L
   F24F9/00 G
   F24F9/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-224249(P2019-224249)
(22)【出願日】2019年12月12日
(65)【公開番号】特開2021-92361(P2021-92361A)
(43)【公開日】2021年6月17日
【審査請求日】2020年12月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591221134
【氏名又は名称】株式会社日本医化器械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】雉鼻 一郎
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−219282(JP,A)
【文献】 実開昭55−077790(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第104501490(CN,A)
【文献】 特開2010−060158(JP,A)
【文献】 実開昭57−134520(JP,U)
【文献】 特開昭62−196540(JP,A)
【文献】 米国特許第05113749(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0203712(US,A1)
【文献】 特開昭51−150857(JP,A)
【文献】 実開昭61−175840(JP,U)
【文献】 特開平06−137632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
F24F 7/06
B01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びるスリット、又は水平方向に列設される貫通孔からなり下方に向けて空気を吹き出す吹出口と、
前記吹出口の下方に設けられ、前記吹出口の列設方向に沿って設けられる多数の吸気口と、
前記吹出口の列設方向の両端に設けられ前記吹出口から空気を吹き出す左右一対の送気ファンと、
前記吹出口から吹き出す空気の除塵を行うフィルタと、
前記吸気口から前記吹出口へ空気を戻す左右一対のレターンダクトを有し、
前記吹出口に沿って設けられる噴出カーテンと
を備え、
前記噴出カーテンは、前記吹出口を挟んで対向するよう設けられた前後2枚の単カーテンを有し、前記吹出口から供給された空気を前後2枚の単カーテンの間から噴出するよう構成されており、
前記エアカーテンファンによって前記吹出口から噴出された空気によりエアカーテンを形成するよう構成されており、
前記前後2枚のカーテンは、下縁の高さが等しく、
前記前後2枚のカーテンの下縁は、前記出入口の下縁から上方へ離間して設けられており、
前記吸気口は、両端の側壁に近づくにつれ、数が少なくなるよう設けられていることを特徴とするエアカーテンユニット。
【請求項2】
前記単カーテンは、前記吹出口に沿って暖簾状に並ぶ複数の小カーテンからなる請求項1に記載のエアカーテンユニット。
【請求項3】
前記吹出口、及び前記吸気口は、前記一対の側壁間の間口の外側へ突出して設けられている請求項1、又は請求項2に記載のエアカーテンユニット。
【請求項4】
前記噴出カーテンの少なくとも一部が金属板からなる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエアカーテンユニット。
【請求項5】
前記一対のレターンダクトは前記吹出口を挟んで対称に設けられるとともに、互いに対称となる位置に、フィルタ付き取り入れ口を備えた空気取り込み用スライドダンパーを有する請求項1に記載のエアカーテンユニット。
【請求項6】
長尺の中空直方体をなす吹出ユニットを備え、
前記吹出口は、前記吹出ユニットの下面の長手方向に沿って設けられており、
前記一対の送気ファンは、前記吹出ユニットの長手方向の両端から空気を供給するよう構成されており、
前記吹出ユニットの長手方向の中央にフィルタ付き取り入れ口を備えたスライドダンパーを有する請求項1に記載のエアカーテンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場や実験室等の内部に設置して局所的に清浄な空気環境を得るためのクリーンブース等に付設する設備に関し、特に、クリーンブース等の出入口に設置するエアカーテンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クリーンブースの入口にエアカーテンを設けて作業者がクリーンブース内に入る際にクリーンブース内に塵埃を持ち込むことを抑制する技術が各種提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この、特許文献1のクリーンブースは、暖簾状にシート材で空気を案内することで効果的にエアカーテンを形成するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−29324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のクリーンブースでは、カーテンに沿って噴射される空気が、カーテンから遠ざかる方向に広がって、勢いのあるエアカーテンを形成できないという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、噴射する空気が広がりにくいエアカーテンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、水平方向に延びるスリット、又は水平方向に列設される貫通孔からなり下方に向けて空気を吹き出す吹出口と、前記吹出口の下方に設けられ、前記吹出口の列設方向に沿って設けられる多数の吸気口と、前記吹出口の列設方向の両端に設けられ前記吹出口から空気を吹き出す左右一対の送気ファンと、前記吹出口から吹き出す空気の除塵を行うフィルタと、前記吸気口から前記吹出口へ空気を戻す左右一対のレターンダクトを有し、前記吹出口に沿って設けられる噴出カーテンとを備え、
前記噴出カーテンは、前記吹出口を挟んで対向するよう設けられた前後2枚の単カーテンを有し、前記吹出口から供給された空気を前後2枚の単カーテンの間から噴出するよう構成されており、前記エアカーテンファンによって前記吹出口から噴出された空気によりエアカーテンを形成するよう構成されており、前記前後2枚のカーテンは、下縁の高さが等しく、前記前後2枚のカーテンの下縁は、前記出入口の下縁から上方へ離間して設けられており、前記吸気口は、両端の側壁に近づくにつれ、数が少なくなるよう設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように、本発明のエアカーテンユニットでは、前後2枚の単カーテンからなる噴出カーテンの間を通って空気が噴き出すので、エアカーテンを構成する空気が前後に広がることを抑制できる。
【0008】
前記単カーテンは、前記吹出口に沿って暖簾状に並ぶ複数の小カーテンからなることが好ましい。
こうすることで、出入口に入る人が噴出カーテンを潜りやすくなる。
【0009】
前記吹出口、及び前記吸気口は、前記一対の側壁間の間口の外側へ突出して設けられていることが好ましい。こうすることで、間口より広い範囲にエアカーテンを設けることができる。ただし、建築構造や設備の取り合いにより出入口の内側や壁内に取り込まれることも想定される。
【0010】
前記噴出カーテンの少なくとも一部が金属板からなることが好ましい。このように噴出カーテンを金属板とすることで、空気が噴出した際に当該金属の部分の揺れを少なくしてより効果的にエアカーテンの広がりを抑制できる。
また、前記一対のレターンダクトは前記吹出口を挟んで対称に設けられるとともに、互いに対称となる位置に、フィルタ付き取り入れ口を備えた空気取り込み用スライドダンパーを有することが好ましい。
さらに、本発明のエアカーテンユニットは、長尺の中空直方体をなす吹出ユニットを備え、前記吹出口は、前記吹出ユニットの下面の長手方向に沿って設けられており、前記一対の送気ファンは、前記吹出ユニットの長手方向の両端から空気を供給するよう構成されており、前記吹出ユニットの長手方向の中央にフィルタ付き取り入れ口を備えたスライドダンパーを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のエアカーテンユニットによれば、エアカーテンの空気が前後に広がって勢いがなくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態、及び第2実施形態に係るエアカーテンユニットを備えるクリーンブースセットを示した斜視図である。
図2図1のクリーンブースの部分断面正面図である。
図3図1のエアシャワーブースの部分断面正面図である。
図4図2におけるC―C線断面図である。
図5図2におけるD−D線断面図である。
図6図2のエアシャワーブースの床壁上面と側壁内部とを透視して示した平面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るエアカーテンユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
図1は、本発明の第1、及び第2実施形態に係るエアカーテンユニット50,60を備えたクリーンブースセット100を示している。クリーンブースセット100は、クリーンブース10と、エアシャワーブース20と、を備えている。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るエアカーテンユニットは、図1に示すように、クリーンブース10に設けられる。
クリーンブース10は、図1に示すように、天壁11と、天壁11を支持する支持部材12(側壁121,122、及び柱(図には表れず))と、支持部材12を支持する底壁13と、側方に設けた2箇所の出入口151,152とを備えている。支持部材12は、天壁11、及び底壁13に連結固定されている。
【0015】
天壁11は、図1図2に示すように、中空の箱型をなし、室内給気ファン31と、HEPAフィルタ32等と、2台のエアカーテンファン33,33が設けられている。本実施形態はクリーンブースであるためHEPAフィルタを用いるが、他の施設であれば、他のフィルタを用いることができる。例えば、植物園の温室等では、目詰まり防止を優先して中性能フィルタが好ましく用いられる。
【0016】
クリーンブース10は、図1の右奥側が側壁121で閉塞され、手前側が側壁122で閉塞されている。クリーンブース10の図1奥側には、側壁121から柱123の間を全幅に渡って開放するドアの無い出入口151が設けられ、図1左側には、柱123と側壁122の間を全幅に渡り開放するドアの無い出入口152が設けられている。天壁11の2つの出入口151,152の間の角は、図に表れないところで、柱により支持されている。
【0017】
側壁121、側壁122は、中空の箱型に設けられ、底壁13から天壁11への還気を通すレターンダクトを構成する。側壁122は、図10に示すように、下端に沿って、多数のスリットからなる不図示の吸気口を備え、室内16の空気を内部空間へ吸引するよう構成されている。
また、側壁122は、上端の下向き傾斜部に、LEDライト36が設けられている。
底壁13は、平面視矩形をなす中空の扁平箱状をなしている。
【0018】
クリーンブース10の出入口151、152には、図1に示すように、第1実施形態に係るエアカーテンユニット50が設けられている。エアカーテンユニット50は、水平方向に延びるスリット、又は水平方向に列設される貫通孔からなり下方に向けて空気を吹き出す吹出口35と、吹出口35の下方に設けられる吸気口53と、吹出口35に沿って設けられる噴出カーテン34とを備えている。噴出カーテン34は、吹出口35から供給された空気を前後2枚の単カーテン34A,34Aの間から噴出させる。
【0019】
噴出カーテン34は、出入口、151、152の上縁から暖簾状に垂下するよう設けられている。天壁11は、図2に示すように、前部(図2の右側部)を隔離したエア供給室51を有しており、エア供給室51内に、エアカーテンファン33が配設されている。噴出カーテン34は、図2に示すように、エアカーテンファン33から天壁11の下面111を貫通して垂下している。噴出カーテン34は、2枚の単カーテン34A,34Aを前後に重ね、その間を通して吹出口35から供給されたエアカーテン用の空気を噴出する。また、噴出カーテン34は、表裏とも出入口15の上縁に沿って複数枚の小カーテン34aを並べることで人が入るときに捲り上げ易いように構成されている。エアカーテンファン33へは、図2に示すように、HEPAフィルタ32等で除塵された空気が供給される。
尚、吹出口35の詳細な図示は省略したが、例えば、吸気口53と同様の貫通孔や一本の長いスリット等が挙げられる。
【0020】
噴出カーテン34の材質として、捲り易さを優先する場合は、透明な軟質性、硬質性の樹脂等が好ましく用いられる。一方で、吹き出す空気による揺動を抑止して安定したエアカーテンを形成することを優先する場合は、重量を確保するために、その一部、又は全部をアルミニウムや鉄、ステンレス等の金属製とすることもできる。また、単カーテン34Aは、暖簾状に分割せずに、水平方向の全長に渡り連続した1枚のみで構成してもよく、暖簾のように前後に揺動可能にしてもよいし、揺動不能に固定してもよい。
【0021】
底壁13は、平面視矩形をなす中空の扁平箱状をなしている。底壁13の表面131には、図1に示すように、出入口151,152の下縁に沿って、多数のスリット状の貫通孔からなる吸気口53,53が設けられている。詳細には、吸気口53,53は、底壁13に設けられた溝を塞ぐグレーチングに設けられている。噴出カーテン34から噴出された空気が、吸気口53,53へ吸引されて、出入口151,152にエアカーテンが形成される。
また、吸気口53,53からは、室内給気ファン31から室内16に給気された空気が吸引されて、室内16に下降気流を形成する。吸気口53,53から吸引された空気は、底壁13の内部空間から側壁121,122の内部空間を介して天壁11の内部空間へ還流される。
【0022】
(第2実施形態)
次に、エアシャワーブース20に設置する第2実施形態のエアカーテンユニットについて説明する。
エアシャワーブース20は、図3に示すように、上壁21と、上壁21を支持する左右一対の支持壁22,23と、支持壁22,23を支持する床壁24からなる矩形の短いトンネル形状を有し、支持壁22,23は、内面223,233にジェットエアーを吹き出す吹出ノズル44が設けられている。支持壁22,23は、上壁21、及び床壁24に対し連結固定されている。エアシャワーブース20は、奥側(図3の紙面奥側)にクリーンブース10の出入口15に連通する内部連絡口25を有し、手前側に当該エアシャワーブース20に出入りするための外部連絡口(特許請求の範囲の「出入口」)26を有している。内部連絡口25、及び外部連絡口26は扉を有さず、常時開放されている。
【0023】
上壁21は、平面視長方形の中空箱型をなしており、図3に示すように、内部空間がHEPAフィルタ41を介して連通する上室211と下室212に区画されている。上壁21の下面213には、LEDライト42が設けられている。
【0024】
右側の支持壁22は、直方体の箱状をなし、図4に示すように、内面223に円形の吹出ノズル4個が分散配置されている。支持壁22は、図2に示すように、内部空間が内側の給気室221と外側の還気室222とに区画されており、還気室222は、床壁24の内部空間、及び上壁21の上室211に連通し、給気室221は、上壁21の下室212に連通している。還気室222の下部には、ジェットファン43が設けられている。
【0025】
左側の支持壁23は、直方体の箱状をなし、図5に示すように、内面233に右側の支持壁23と対称に4個の吹出ノズル44が分散配置されている。左側の支持壁23は、図3に示すように、内部空間が内側の給気室231と外側の背室232に区画されている。給気室231は、上壁21の下室212に連通しており、背室232は、デッドスペースである。
尚、図4図5における符号45a、45bは、エアシャワーブース20に人が入ったことを感知する光電センサーの投受光器と反射板である。
【0026】
エアシャワーブース20の床壁24は、平面視長方形の扁平箱型をなし、図1図3に示すように、上面241の左右の両端縁に沿って、多数のスリット状の貫通孔からなる吸気口242,242を備えている。
【0027】
エアシャワーブース20の外部連絡口26には、図1に示すように、第2実施形態に係るエアカーテンユニット60が設けられている。エアカーテンユニット60は、エアシャワーブース20の上壁21の前縁に沿って設けられるエア供給室61と、エア供給室61の下面に設けられる吹出口35と、吹出口35に沿って設けられる噴出カーテン34と床壁24の前縁に沿って設けられるエア吸引室62と、エア吸引室62の上面に吹出口35に平行に列設される吸気口53と、を備えている。噴出カーテン34は、吹出口35から供給された空気を前後2枚の単カーテン34A,34Aの間から噴出させる。
尚、第2実施形態以降の実施形態において、第1実施形態と共通する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
エア供給室51は、図3に示すように、中空直方体をなし、上壁21の下室212に連通している。エア供給室61の内部には、HEPAフィルタ41で除塵されて下室212へ流送された空気を吹出口35へ噴出するエアカーテンファン33が設けられている。
噴出カーテン34を構成する2枚の単カーテン34A,34Aは、図3に示すように、吹出口35を前後(図3の左右)から挟むように、吹出口35の前縁と後縁に沿って吊設され、吹出口35からの空気をその間から下方へ噴出する。
また、単カーテン34A,34Aは、外部連絡口26の上縁に沿って複数枚の小カーテン34aを並べることで人が入るときに捲り上げ易いように構成されている。
【0029】
エア吸引室62は、図3に示すように、扁平の中空直方体からなり床壁24と内部空間が連通している。エア吸引室62の表面には、多数のスリット状の貫通孔からなる吸気口53が設けられたグレーチング54が載置されている。噴出カーテン34から噴出された空気が、吸気口53へ吸引されて、外部連絡口26にエアカーテンが形成される。吸気口53から吸引された空気は、床壁24の内部空間から支持壁22,23の内部空間を介して、上壁21の内部空間へ還流される。
【0030】
クリーンブースセット100を用いる際には、クリーンブース10を工場や実験室内の適宜の場所に設置し、出入口151,152から収容すべき装置(図示の例では、安全キャビネット)Xを搬入する。次に、図1に示すように、クリーンブース10の出入口152に、エアシャワーブース20を連結する。ただし、装置Xの搬入は、エアシャワーブース20の連結後に行ってもよい。
【0031】
クリーンブースセット100、及び装置Xを使用する際には、予め、クリーンブース10、及びエアシャワーブース20に電源を入れて起動しておく。すると、クリーンブース10では、図2に示すように、室内給気ファン31が、底壁13の吸気口53,53、側壁122の不図示の吸気口、及び側壁121の吸込み金網121aから取り込んだ空気をHEPAフィルタ32で除塵したのち室内16、及びエアカーテンファン33へ供給し、エアカーテンファン33は、この空気を噴出カーテン34から噴出する。室内給気ファン31、エアカーテンファン33から供給された空気は、吸気口53,53から底壁13、及び側壁121,122の内部空間を介して天壁11の内部空間に還気される。クリーンブース10が起動されている間、この空気循環が維持される。
尚、図2の吸込み金網121aは、室内16を陽圧にするために、外部からの空気を補充するための吸気口である。
【0032】
一方、エアシャワーブース20においても、エアカーテンファン33が駆動して、上壁21の下室212から空気を吸引して、吹出口35、及び噴出カーテン34,34から吹き出し、この空気をエア吸引室62の吸気口53から吸引する。こうして、外部連絡口26にエアカーテンが形成される。
【0033】
この状態で、作業者Mは、図1に2点鎖線で示したように、まず、外部連絡口26からエアシャワーブース20内に入る。すると、外部連絡口26に形成されたエアカーテンが作業者Mに吹き当たり、作業者Mの体表から塵埃を吹き飛ばす。
【0034】
さらに進んで作業者Mがエアシャワーブース20の中央まで入ると、光電素子45が作業者Mを感知して、ジェットファン43を起動する。ジェットファン43は、図3に示すように、吸気口53,及び吸気口242から吸引した空気を床壁24の内部空間を介して支持壁22の還気室222から上壁21の上室211へ流送する。上室211に流送された空気は、HEPAフィルタ41、下室212を介して左右の支持壁22,23の給気室221,231へ供給され、吹出ノズル44、及び吹出口35から吹き出される。
【0035】
作業者Mは、吹き出されたエアシャワーを浴びて塵埃を除去した後、エアシャワーブース20の内部連絡口25、及び出入口152を介してクリーンブース10の室内16へ移動する。この際、出入口151,152は、噴出カーテン34から噴出されたエアカーテンによりシールドされているため、エアシャワーブース20からクリーンブース10への塵埃の侵入を抑制することができる。
【0036】
作業者Mは、エアシャワーブース20からクリーンブース10へ移動する際、吸気口132を跨ぐことになるため、作業者Mによるクリーンブース10の室内16への塵埃の持ち込みが効果的に抑制される。
【0037】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係るエアカーテンユニット70を示している。エアカーテンユニット70は、図7に示すように、矩形の枠状をなし、その上辺をなす吹出ユニット73と、下辺をなす吸引ユニット74とを主に備える他、ダクト72と、左右一対の送気ファン71,71と、左右一対のレターンダクト75,75とを備えている。
【0038】
吹出ユニット73は、長尺の中空直方体をなし、下面に沿って延びるスリット、又は列設された貫通孔からなる不図示の吹出口を備える。吹出ユニット37の下面には、噴出カーテン34が設けられている。噴出カーテン34は、第1、第2実施形態のものに比べ、長さが半分ほどに設けられている。噴出カーテン34は、当該吹出口を前後から挟む2対の単カーテン34A,34Aからなる。吹出ユニットは、内部にHEPAフィルタを備えており、吹出口から吹き出される空気は、HEPAフィルタにより除塵される。
【0039】
ダクト72は、吹出ユニット73と一体に設けられた長尺の中空直方体をなし、左右一対の送気ファン71,71が左右一対のレターンダクト75,75から流送した空気を吹出ユニット73へ供給するよう構成されている。
【0040】
吸引ユニット74は、長尺の中空直方体をなし、上面に載置されたグレーチング53に多数の貫通孔からなる吸気口53a,53a,…を備えている。吸気口53a,53a,…は、両端のレターンダクト75,75へ近づくにつれ数が少なくなるよう設けられている。これにより、送気ファン71からの吸引力を吸引ユニット74全体にバランスよく供給して、より均質なエアカーテンを形成できる。
【0041】
また、レターンダクト75,75の前面上部には、多数のスリットを備えた表板76aをスライド板76bで開閉する(図7(b)参照)フィルタ付き取り入れ口を備えた空気取り込み用スライドダンパー76,76が取り付けられている。これにより送気ファン71へ流送する空気量を増やし、プッシュエアーの力を拡大し、エアカーテンとしての機能を強化することができる。スライドダンパー76は、建築上の取り合いやドアの有無、柱の位置や客先の希望等の現場環境に応じ、スライド板をスライドさせて開口部分の大きさを調節して、取り込み空気量をマニュアル的に調整でき、プッシュ気流の風量が可変である。スライドダンパー76は、レターンダクトの前面上部に限らず、図7(a)に二点鎖線で示したように、吸気ファン七一の側面や、吹きだしユニット3に設けてもよく、レターンダクトの他の面や上下方向の中間部分、下部に設けてもよい。
尚、送気ファン71の能力は、上、中、下3段階や上、下2段階等に変換できエアカーテンの能力を適宜調節することができる。
【0042】
以上、本発明のエアカーテンユニットは、上記の実施例に限らず、例えば、ドアなしの出入口に限らず、ドア付きの出入口に取り付けることもでき、クリーンブースやエアシャワーブースに限らず、クリーンルーム、陰圧室、恒温恒湿室、場合によっては温室、屋外型人口気象室のドアのところに取り付け、ドアを開いたときにエアカーテンを作動させる形でも取り付けることができる。
また、吹出口、及び吸気口は、多数のスリットや貫通孔の他、直線状の1本の長いスリットであってもよい。噴出カーテンは、前後で長さや材質が異なってもよい。暖簾状の小カーテンのうち、一部を金属にして残部を硬質の透明樹脂にしたようなものも含まれる。前後の噴出カーテンの隙間を一定にした状態で、前後2枚の噴出カーテンを連結してもよいし、隙間を確保するためにスぺーサーを挟んでもよい。
本発明のエアカーテンユニットは、底壁や、床壁を備えないクリーンブースやエアシャワーブースにも用いることができ、このような場合、吸気口は、吹出口の直下に限らず、側壁や柱等の支持部材やレターンダクトの内面等に設けることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 クリーンブース
20 エアシャワーブース
151,152 出入口
50,60,70 エアカーテンユニット
35 吹出口
53a 吸気口
34 噴出カーテン
34A 単カーテン
34a 小カーテン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7