(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る光電センサ1の構成例を示す図である。
光電センサ1は、例えば半導体装置等の製造ライン上を流れる物体(部品又は製品等)の有無を検出する。以下では、光電センサ1が透過形である場合を示す。この光電センサ1は、
図1に示すように、複数の発光素子101、複数の受光素子102、複数の信号伝送ケーブル(第1信号伝送ケーブル)103、複数の信号伝送ケーブル(第2信号伝送ケーブル)104及び本体部105を備えている。また、本体部105には、切替え部106、アンプ部107、制御部108、通信部109及び表示部110が搭載されている。
図1では、N系統の発光素子101(101−1〜101−N)、受光素子102(102−1〜102−N)、信号伝送ケーブル103(103−1〜103−N)及び信号伝送ケーブル104(104−1〜104−N)を備えた場合を示している。
【0013】
発光素子101は、当該発光素子101が接続された信号伝送ケーブル103により伝送された送信信号に応じ、当該送信信号を変換した光を発光するチップLED又はフォトIC等のセンサ素子である。また必要に応じて、チップ抵抗又は保護ダイオード等も接続される。
【0014】
受光素子102は、発光素子101と対となって設けられ、光を受光するフォトダイオード等のセンサ素子である。また必要に応じて、チップ抵抗又は保護ダイオード等も接続される。なお、受光素子102は、物体の有無を検出する検出領域を挟んで、対となる発光素子101に対向配置される。この受光素子102により受光された光を示す受信信号は、当該受光素子102が接続された信号伝送ケーブル104に出力される。受信信号は電流の値の変化から成る。
【0015】
信号伝送ケーブル103は、発光素子101毎に設けられ、一端に発光素子101が接続され、他端が切替え部106(本体部105)に接続される。信号伝送ケーブル103は、信号ライン1031、グランドライン1032、及び、信号ライン1031及びグランドライン1032を被膜する絶縁体1033を有している(
図3参照)。また必要に応じて、電源ライン(不図示)も追加される。この信号伝送ケーブル103は、切替え部106により出力された送信信号を伝送して発光素子101に出力する。送信信号は電流の値の変化から成る。
【0016】
信号伝送ケーブル104は、受光素子102毎に設けられ、一端に受光素子102が接続され、他端が切替え部106(本体部105)に接続される。信号伝送ケーブル104は、信号ライン1041(不図示)、グランドライン1042(不図示)、及び、信号ライン1041及びグランドライン1042を被膜する絶縁体1043(不図示)を有している。この信号伝送ケーブル104は、受光素子102により受光された光を示す受信信号を伝送して切替え部106に出力する。
【0017】
切替え部106は、制御部108の後述する選択部1083により選択された信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104との間で信号の入出力を行う。すなわち、切替え部106は、まず、選択部1083により選択された信号伝送ケーブル103に対し、制御部108の後述する信号生成部1084により生成されてアンプ部107により増幅された送信信号を出力する。その後、切替え部106は、選択部1083により選択された信号伝送ケーブル104により伝送された受信信号を入力する。この切替え部106により入力された受信信号は、アンプ部107に出力される。
【0018】
アンプ部107は、選択部1083により選択された信号伝送ケーブル103に基づいて、発光量制御部1085により得られた送信信号を増幅する。このとき、アンプ部107は、電圧である送信信号を電流に変換する場合もある。なお、アンプ部107における信号伝送ケーブル103毎の増幅量は、PC等により、発光素子101及び受光素子102の位置関係に基づいて適切な値に設定される。このアンプ部107により増幅された送信信号は、切替え部106に出力される。また、アンプ部107は、切替え部106により入力された受信信号をフィルタリング等でノイズを除去した後に増幅する。このとき、アンプ部107は、電流である受信信号を電圧に変換する場合もある。このアンプ部107により増幅された受信信号は、制御部108に出力される。アンプ部107は、主にアナログ回路で構成される。
【0019】
制御部108は、切替え部106、アンプ部107、通信部109及び表示部110を制御する。この制御部108は、システムLSI等の処理回路や、メモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU等により実現される。制御部108は、
図2に示すように、記憶部1081、モード設定部1082、選択部1083、信号生成部1084、発光量制御部1085、受光量検出部1086、信号復調部1087及び物体検出部1088を備えている。
【0020】
記憶部1081は、信号生成部1084で用いる波形を構成するための情報を格納する。例えば、記憶部1081は、上記情報として、各信号伝送ケーブル103のIDを示す情報を格納する。また、記憶部1081は、上記情報に代えて、信号伝送ケーブル103毎に異なる波形そのものを示す情報を格納してもよい。なお、記憶部1081は必須の構成ではなく、制御部108から取り除いてもよい。
【0021】
モード設定部1082は、光電センサ1を使用する使用者による入力に応じ、光電センサ1の運用モードを調整モード又は通常モードに設定する。
調整モードは、発光素子101及び受光素子102の位置決めを行うためのモードである。この調整モードでは、制御部108は、ある特定の発光素子101及び当該発光素子101と対となる受光素子102の位置決めが完了するまでは、当該発光素子101に接続された信号伝送ケーブル103のみに送信信号を出力し続け、且つ、全ての受光素子102による受光結果が観測可能となるように切替え部106を制御する。
通常モードは、検出領域における物体の有無を検出するためのモードである。この通常モードでは、制御部108は、予め設定されたタイミング及び順序で、対象とする信号伝送ケーブル103を1つずつ選択して当該信号伝送ケーブル103に送信信号を出力し、且つ、当該信号伝送ケーブル103に接続された発光素子101と対である受光素子102による受光結果が観測可能となるように切替え部106を制御する。
【0022】
選択部1083は、信号の入出力を行う信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を選択する。
光電センサ1が調整モードの場合には、選択部1083は、ある特定の信号伝送ケーブル103及び全ての信号伝送ケーブル104を選択する。また、上記信号伝送ケーブル103に接続された発光素子101及び当該発光素子101と対となる受光素子102の位置決めが完了した場合には、選択部1083は、次の信号伝送ケーブル103に切替える。
また、光電センサ1が通常モードの場合には、選択部1083は、予め設定された時間間隔及び順序で、一対の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を切替えながら選択する。N対の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104の切替えは、例えば一対の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104に対して数msから数十msの選択時間を設けること等が考えられる。信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104のケーブル長さが数mである場合、ケーブル長さ1mに対して数nsの伝搬遅延時間が発生する程度であるため、発光時間に対して選択時間に余裕を持たせることができる。
なお上記では、選択部1083は、予め設定された時間間隔及び順序で、一対の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を切替えるものとした。しかしながら、これに限らず、選択部1083は、選択した一対の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を用いて物体の検知ができた時点で次の信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を選択するようにしてもよい。
この選択部1083により選択された信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を示す信号は、信号生成部1084、切替え部106及びアンプ部107に出力される。
【0023】
信号生成部1084は、送信信号を生成する。この信号生成部1084により生成された送信信号は、発光量制御部1085に出力される。
また、受光素子102が外乱光の存在する場所に設置される場合や、受光素子102により受光された光の発光元である発光素子101を特定する必要がある場合には、送信信号を信号伝送ケーブル103毎に固有な信号としてもよい。すなわち、信号生成部1084は、選択部1083により選択された信号伝送ケーブル103に基づいて、送信信号として、当該信号伝送ケーブル103に固有な波形の信号を生成する。この際、例えば、制御部108に記憶部1081が設けられている場合には、信号生成部1084は、当該記憶部1081に格納された情報から得られた波形で変調を掛けることで、上記送信信号を生成可能である。
【0024】
発光量制御部1085は、信号生成部1084により生成された送信信号を、発光素子101による発光量を連続的に変化させる送信信号とする。具体例としては、発光量制御部1085は、信号生成部1084により生成された送信信号に対し、アナログ増幅器により増幅率を変化させ、抵抗により可能な限り線形な電流値の変化とさせること等が考えられる。この発光量制御部1085により得られた送信信号は、アンプ部107に出力される。
【0025】
受光量検出部1086は、アンプ部107により増幅された受信信号が閾値を超えた時間を受光量として検出する。すなわち、受光量検出部1086は、アンプ部107により増幅された受信信号から、閾値に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。この受光量検出部1086により検出された受光量を示すPWM信号は、信号復調部1087に出力される。
【0026】
信号復調部1087は、受光量検出部1086により出力されたPWM信号を復調する。この際、信号復調部1087は、受光量検出部1086により出力されたPWM信号のパルス幅を、信号生成部1084で生成された送信信号の波形により規定される閾値幅と比較する。そして、信号復調部1087は、PWM信号のパルス幅が閾値幅の範囲内である場合に、該当する送信信号の出力先である発光素子101を発光元と判断する。この信号復調部1087により復調された(発光素子101が発光元と判断された)PWM信号は、物体検出部1088に出力される。また、信号生成部1084と信号復調部1087は、互いに同期をとっており、信号生成部1084が送信信号を出力した後、所定時間内に信号復調部1087で当該送信信号に対応するPWM信号が検出されない場合には、その旨を物体検出部1088に通知する。
【0027】
物体検出部1088は、光電センサ1が通常モードの場合において、信号復調部1087により復調されたPWM信号に基づいて、物体の有無を検出する。すなわち、物体検出部1088は、信号復調部1087により復調されたPWM信号に基づいて、受光量が閾値以下である受光素子102が存在すると判断した場合に、検出領域に透明体等の物体が有ると判断する。また、信号復調部1087により該当するPWM信号が検出されないと通知された場合には、検出領域に物体が有ると判断する。この物体検出部1088により検出された物体の有無を示す信号は、通信部109又は表示部110のうちの少なくとも一方に出力される。
なお、制御部108は、光電センサ1が調整モードの場合には、信号復調部1087により出力されたPWM信号をそのまま表示部110に出力する。
【0028】
通信部109は、外部装置との間で通信を行う。なお、通信部109と外部装置との間の接続は、有線(RS−485又はイーサネット(登録商標)等)でも無線でもよい。この通信部109は、制御部108により出力された信号を外部装置に送信し、また、外部装置により送信された信号を受信する。
【0029】
表示部110は、制御部108により出力された信号に応じた表示を行う。ここで、表示部110は、制御部108によりPWM信号が出力された場合には、当該PWM信号が示す光の受光量を表示する。また、表示部110は、制御部108の物体検出部1088により物体の有無を示す信号が出力された場合には、当該物体の有無を表示する。
【0030】
次に、発光素子101と信号伝送ケーブル103との接続方法の一例について、
図3を参照しながら説明する。
発光素子101と信号伝送ケーブル103は、
図3に示すように、配線が成された回路基板111を介して導通されている。すなわち、発光素子101は回路基板111上にはんだ付け又は接合により接続され、信号伝送ケーブル103は信号ライン1031及びグランドライン1032の一端が回路基板111上にはんだ付け又は接合により接続されている。また、発光素子101の上部には、光学レンズ112が装着される。また、発光素子101、信号伝送ケーブル103の一端及び回路基板111は、被膜部113により覆われる。
【0031】
なお、発光素子101と信号伝送ケーブル103との接続は上記に限らない。例えば、市販のコネクタのオス側に発光素子101が接続され、メス側に信号伝送ケーブル103が接続されてもよい。このような構成により、発光素子101を信号伝送ケーブル103に対して容易に着脱可能となり、発光素子101が劣化した場合に信号伝送ケーブル103の配線はそのままに発光素子101だけを交換可能となる。
【0032】
また上記では、発光素子101と信号伝送ケーブル103との接続方法について示したが、受光素子102と信号伝送ケーブル104との接続方法についても同様であり、その説明を省略する。
【0033】
次に、信号伝送ケーブル103と切替え部106との接続方法の一例について、
図4を参照しながら説明する。
切替え部106では、基板上に、切替え部106を実現するマルチプレクサIC1061と、複数のコネクタのオス側1062とが接続されている。マルチプレクサIC1061は制御部108によって制御される。一方、信号伝送ケーブル103の信号ライン1031及びグランドライン1032の他端には、上記コネクタのメス側1034が接続されている。そして、メス側1034がオス側1062に接続されることで、マルチプレクサIC1061と信号伝送ケーブル103とが導通される。このような構成により、信号伝送ケーブル103を切替え部106(本体部105)に対して容易に着脱可能となる。
【0034】
なお上記では、信号伝送ケーブル103と切替え部106との接続方法について示したが、信号伝送ケーブル104と切替え部106との接続方法についても同様であり、その説明を省略する。
【0035】
次に、実施の形態1に係る光電センサ1の動作例について、
図5を参照しながら説明する。
図5では、一対の発光素子101及び受光素子102を用いた場合での動作例を示している。
実施の形態1に係る光電センサ1では、まず、発光量制御部1085が、信号生成部1084により生成された送信信号を変化させることで、発光素子101による発光量を連続的に変化させる送信信号とする。そして、発光素子101は、発光量制御部1085により得られた送信信号に応じ、発光量が連続的に変化する光を発光する。
図5Aでは、発光素子101が、発光量が線形に変化する光(三角波状の光)を発光した場合を示している。
【0036】
次いで、受光素子102が、発光素子101により発光されて検出領域を通過した光を受光する。この受光素子102により受光され、アンプ部107により所定の割合で増幅された光の一例を
図5B、
図5Dに示す。
図5Bは受光量が多い場合を示し、
図5Dは受光量が少ない場合を示している。この
図5B、
図5Dに示すように、発光素子101が連続的に変化する光を投光することで、受光素子102での受光波形は、受光素子102の応答の遅れによる影響が抑制され、発光素子101により発光された光の波形と同様の波形となる。また、
図5B、
図5Dにおいて、破線は閾値を示している。
【0037】
次いで、受光量検出部1086は、受信信号が閾値を超えた時間を受光量として検出する。すなわち、受光量検出部1086は、上記受信信号から、閾値に基づいて、PWM信号を検出する。この受光量検出部1086により検出されたPWM信号の一例を
図5C、
図5Eに示す。ここで、
図5Bでは受光量が多いため、
図5Cに示すPWM信号のパルス幅が長くなっている。一方、
図5Dでは受光量が少ないため、
図5Eに示すPWM信号のパルス幅が短くなっている。
【0038】
このように、発光素子101で発光量が連続的に変化する光を発光し、受光量検出部1086で受信信号が閾値を超えた時間を受光量として検出することで、受光量を正確に類推できる。なお、受信信号が閾値を超えた時間(PWM信号のパルス幅)と受光量との関係は線形にはならないが、受光素子102の特性に応じて演算で補正可能である。
また、受光量検出部1086で受信信号が閾値を超えた時間を受光量として検出するため、後段の信号復調部1087で当該時間(PWM信号のパルス幅)と信号生成部1084により生成された送信信号から作られる閾値幅とを比較することで、ノイズ又は外乱光による誤判別を回避でき、ノイズ耐量が向上する。例えば外乱光の場合、PWM信号が極端に長くなったり(外乱光を受光し続ける)、極端に短くなったり(スパイク的な光)するので、信号復調部1087にて送信信号と比較することで外乱光と判断できる。物体検出部1088では、外乱光と判断された場合には、その受信信号を無視したり、通信部109を介して外部にその旨を伝えることが考えられる。
【0039】
次に、発光量制御部1085により出力される送信信号の一例について、
図6を参照しながら説明する。
図6では、信号生成部1084が、予め設定された時間間隔で3系統の発光素子101(101−1〜101−3)に対する送信信号を順に生成し、発光量制御部1085が、この送信信号を変化させて出力する場合を示している。
【0040】
この場合、まず、選択部1083は、信号の入出力を行うケーブルとして、信号伝送ケーブル103−1及び信号伝送ケーブル104−1を選択する。そして、信号生成部1084は、信号伝送ケーブル103−1に接続された発光素子101−1に対する送信信号を生成し、発光量制御部1085は、この送信信号を変化させた送信信号f1を出力する。
図6では、発光量制御部1085は、送信信号f1として、三角波状の送信信号を生成している。そして、発光量制御部1085は、生成した送信信号f1を、時間T1の間にアンプ部107及び切替え部106を介して信号伝送ケーブル103−1に出力する。その後、発光素子101−1は送信信号f1を変換した光を発光し、受光素子102−1は光の受光を行い、制御部108は信号伝送ケーブル104−1、切替え部106及びアンプ部107を介して受信信号の検出を行う。
【0041】
時間T1が経過した後、選択部1083は、信号の入出力を行うケーブルとして、信号伝送ケーブル103−2及び信号伝送ケーブル104−2を選択する。そして、信号生成部1084は、信号伝送ケーブル103−2に接続された発光素子101−2に対する送信信号を生成し、発光量制御部1085は、この送信信号を変化させた送信信号f2を出力する。
図6では、送信信号f2の波形が、送信信号f1の波形とは異なっている。そして、発光量制御部1085は、生成した送信信号f2を、時間T2の間にアンプ部107及び切替え部106を介して信号伝送ケーブル103−2に出力する。その後、発光素子101−2は送信信号f2を変換した光を発光し、受光素子102−2は光の受光を行い、制御部108は信号伝送ケーブル104−2、切替え部106及びアンプ部107を介して受信信号の検出を行う。
時間T2が経過した後、信号伝送ケーブル103−3に対しても同様の処理を行う。
【0042】
このように、信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を用いて発光素子101及び受光素子102との間で信号の入出力を行うことで、通常の光電センサでは設置できない狭い箇所であっても信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を設置可能であり、物体検出が可能となる。また、信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104は、任意に折り曲げられても、信号の伝送が可能である。そのため、信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104が設置箇所に応じて折り曲げられて使用される場合でも、光ファイバ型光電センサに対し、正確に物体検出が可能となる。
【0043】
また、発光素子101が劣化した場合に、発光素子101又は信号伝送ケーブル103より先のみを交換するだけでよく、本体部105の交換は不要であるため、メンテナンス時における部品交換コストを低減できる。受光素子102が劣化した場合にも同様である。
【0044】
また、信号生成部1084が信号伝送ケーブル103毎に異なる波形の送信信号を生成することで、制御部108は、切替え部106での切替え状況に加え、受光量検出部1086により検出されたPWM信号のパルス幅から、受光素子102で受光された光がどの発光素子101により発光された光であるかを特定可能となる。
なお、信号生成部1084では、信号伝送ケーブル103毎に時分割に送信信号を出力している。そのため、受光素子102により光が受光されたタイミングから、当該受光された光がどの発光素子101により発光された光であるかを特定することもできる。
【0045】
また、発光量制御部1085が送信信号f1〜f3を出力する時間T1〜T3は、制御部108で設定可能である。例えば、送信信号f1〜f3自体の送信時間を0.2〜0.3ms程度とし、信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104の伝搬遅延時間がケーブル長さ1mに対して数nsであることを考慮すると、時間T1〜T3は1ms程度等とすることが考えられる。これにより、信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104のケーブル長さによる遅延等を考慮した時間T1〜T3を設定可能となる。
なお、複数の信号伝送ケーブル104の間隔が十分離れているか、又は信号生成部1084が生成する送信信号を信号伝送ケーブル103毎に固有の信号にしておけば、選択部1083は切替え部106に対して複数の信号伝送ケーブル103を同時に選択しても、相互干渉を起こすことが無くなる。その場合、受光量検出部1086及び信号復調部1087は複数のPWM信号を生成及び復調できる機能を有することとなる。
【0046】
なお、従来では、複数の光電センサを連結して用いている。この場合、各光電センサの通信が煩雑となり高速化ができず、また、電源ライン及び信号ラインの配線の引き回しが煩雑になるという課題があった。
それに対し、実施の形態1に係る光電センサ1では、単一の本体部105に複数対のセンサ素子(発光素子101及び受光素子102)を信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を介して接続する構成としている。その結果、各センサ素子でのセンシングに対する処理の高速化を図ることができ、また、配線の引き回しも容易となる。
【0047】
次に、発光素子101及び受光素子102の位置関係の一例について、
図7を参照しながら説明する。
図7では、3系統の発光素子101(101−1〜101−3)及び受光素子102(102−1〜102−3)の位置関係を示している。
図7では、発光素子101−1と受光素子102−1との間の距離L1に対し、発光素子101−2と受光素子102−2との間の距離L2が長い。そのため、発光素子101−1に出力する送信信号の強度は、発光素子101−2に出力する送信信号の強度に対して弱くても、受光素子102−1は十分に受光が可能である。しかしながら、
図7のように、発光素子101−1と発光素子101−2との間の距離W1が近い場合には、相互干渉を生じる可能性があるため、非常に強い送信信号を発光素子101−2に出力するのは望ましくない。一方で、
図7では、発光素子101−3と発光素子101−2との間の距離W2は離れており、且つ、発光素子101−3と受光素子102−3との間の距離L3は非常に離れている。そのため、発光素子101−3に出力する送信信号の強度は強くすることが望ましい。
【0048】
このように、各発光素子101に出力する送信信号の適切な強度は、発光素子101及び受光素子102の位置関係により異なる。そこで、発光素子101及び受光素子102の位置決めを行った後、例えばPCを用いて、その位置関係に基づいて、アンプ部107に対して各発光素子101に出力する送信信号に対する増幅量を設定する。これにより、最適な条件での物体検出が可能となる。
【0049】
次に、表示部110による表示例について
図8を参照しながら説明する。
図8に示す表示部110では、切替え部106における切替え数と同数の表示窓1101(1101−1〜1101−N)が設けられ、各受光素子102での受光量をゲージで表示している。
【0050】
この表示部110は、主に発光素子101及び受光素子102の位置決めを行う際に使用される。位置決めを行う場合には、制御部108は、ある特定の発光素子101及び当該発光素子101と対となる受光素子102の位置決めが完了するまでは、当該発光素子101に接続された信号伝送ケーブル103のみに送信信号を出力し続け、且つ、全ての受光素子102による受光結果が観測可能となるように切替え部106を制御する。そして、表示部110は、各受光素子102での受光量を表示する。これにより、
図8に示すように、特定の発光素子101による発光に対する各受光素子102での受光結果を観測できる。よって、複数の発光素子101による相互干渉の有無を判断でき、各発光素子101及び各受光素子102を相互干渉のない最適な設置とすることができる。
【0051】
また、光電センサ1が通常モードである場合には、表示部110は、例えば、物体検出部1088により出力された物体の有無を示す信号に基づき、物体が無い場合には表示窓1101のレベルゲージを0%とし、物体が有る場合には表示窓1101のレベルゲージを100%とする。
【0052】
なお上記では、光電センサ1が、単一の本体部105に複数対のセンサ素子(発光素子101及び受光素子102)が信号伝送ケーブル103及び信号伝送ケーブル104を介して接続された場合を示した。しかしながら、これに限らず、光電センサ1は、アンプ分離型又は光ファイバ型等のその他の光電センサであってもよい。
また上記では、光電センサ1が透過形である場合を示した。しかしながら、これに限らず、光電センサ1は反射型でもよい。
【0053】
また上記では、発光素子101が、発光量が連続的に変化する光として、発光量が線形に変化する光(三角波状の光)を発光する場合を示した。しかしながら、これに限らず、発光素子101は、例えば正規分布曲線のような滑らかに上昇して滑らかに下降する波形の光を発光してもよい。一方、この場合には、三角波を用いた場合に対し、上記曲線の最大値付近の傾きが緩やかになるため、PWM信号のパルス幅の差に対して受光量差が取り難くなる。
【0054】
また上記では、発光素子101が、発光量が連続的に変化する光を発光する場合を示した。しかしながら、これに限らず、発光素子101は、例えば発光量が急峻に変化する部分を含む光(例えば鋸波状の光)を発光してもよい。一方、この場合には、受光素子102での受光波形は、上記発光量が急峻に変化する部分に相当する部分が、受光素子102の応答の遅れにより歪んだ波形となる。
【0055】
更に、アンプ部107及び受光量検出部1086を本体部105から切り離し、受光素子102と直接接続してもよい。この場合、信号伝送ケーブル104を通過する信号はPWM信号となるため、信号伝送ケーブル104に印加される電磁波等の外来ノイズに対して、受光値が影響を受けにくくなる。
また、受光量検出部1086の出力はPWM信号であるため、信号復調部1087と電気的に絶縁することが容易である。絶縁を行うことで、受光素子102から受光量検出部1086までの前段が、電磁波、静電気又はバースト波等の諸ノイズの影響を受けても、信号復調部1087より後段のシステムへの影響は最小限に留められる。
【0056】
以上のように、この実施の形態1によれば、光を受光する受光素子102と、受光素子102により受光された光を示す信号が閾値を超えた時間を受光量として検出する受光量検出部1086とを備えたので、受光量情報を得られる。
【0057】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。