特許第6941978号(P6941978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6941978位置合せ方法、位置合せ装置および検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6941978
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】位置合せ方法、位置合せ装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20210916BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20210916BHJP
   G06T 7/32 20170101ALI20210916BHJP
【FI】
   G01N21/95 A
   G01N21/88 J
   G06T7/32
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-116819(P2017-116819)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-2765(P2019-2765A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】作山 努
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−523405(JP,A)
【文献】 特開2007−148699(JP,A)
【文献】 特開平10−091836(JP,A)
【文献】 特開平10−063911(JP,A)
【文献】 特開2016−002153(JP,A)
【文献】 特開昭63−261473(JP,A)
【文献】 特開昭62−200248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G06T 7/00− 7/90
G07D 5/00− 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられた、ワークを撮像して得られる検査画像を予め取得された参照画像と位置合させる位置合せ方法であって、
前記検査画像の回転対称の中心を前記参照画像の回転対称の中心と一致させる第1位置合せ処理を行う第1工程と、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像を前記回転対称の中心まわりに回転させて前記検査画像に含まれる前記特定部位の像を前記参照画像に含まれる前記特定部位の像に一致させるのに必要な回転角を求める第2工程と、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像を前記回転角だけ前記回転対称の中心まわりに回転させて前記特定部位の像同士を一致させる第2位置合せ処理を行う第3工程と
を備え
前記第2工程は、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像における前記特定部位の像の中心位置を検査側中心位置として求める工程と、
前記参照画像における前記特定部位の像の中心位置を参照側中心位置として求める工程と、
前記検査側中心位置および前記参照側中心位置に基づいて前記回転角を求める工程と
を有す
ことを特徴とする位置合せ方法。
【請求項2】
請求項1に記載の位置合せ方法であって、
前記第1工程は、前記参照画像の外形に基づくパターンマッチングの第1モデルによって前記検査画像の回転対称の中心を前記参照画像の回転対称の中心と一致させる工程を含む位置合せ方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置合せ方法であって、
前記第2工程は、前記参照画像に含まれる前記特定部位の像から求められるパターンマッチングの第2モデルによって前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像における前記特定部位を検出し、前記検査側中心位置を求める工程を含む位置合せ方法。
【請求項4】
回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを撮像して得られる検査画像の回転対称の中心を、予め取得された参照画像の回転対称の中心と一致させる第1位置合せ処理を実行する第1位置合せ部と、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像を前記回転対称の中心まわりに回転させて前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像に含まれる前記特定部位の像を前記参照画像に含まれる前記特定部位の像に一致させるのに必要な回転角を求める回転角算出部と、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像を前記回転対称の中心まわりに前記回転角だけ回転させて前記特定部位の像同士を一致させる第2位置合せ処理を行う第2位置合せ部と、
を備え
前記回転角算出部は、
前記第1位置合せ処理を受けた前記検査画像における前記特定部位の像の中心位置を検査側中心位置として求め、
前記参照画像における前記特定部位の像の中心位置を参照側中心位置として求め、
前記検査側中心位置および前記参照側中心位置に基づいて前記回転角を求め
ことを特徴とする位置合せ装置。
【請求項5】
回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを検査する撮像して得られる検査画像と予め取得された参照画像とに基づいて前記ワークを検査する検査装置であって、
請求項に記載の位置合せ装置と、
前記位置合せ装置により前記参照画像に対して位置合せされた前記検査画像を前記参照画像と比較して前記ワークを検査する検査部と
を備えることを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転対称な外形を有する主面に対して刻印やノッチなどの特定部位が設けられた、ワークを撮像して得られる検査画像を予め取得された参照画像と位置合させる位置合せ技術、ならびに当該位置合せ技術を利用して上記ワークを検査する検査装置に関するものである。なお、「回転対称な外形」とは、円形やn回対称以外に、半導体ウエハ等のようにノッチなどの特定部位を有するものの特定部位はワーク全体よりも十分に小さく実質的に円形やn回対称であるものを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
産業部品などの検査対象(以下「ワーク」という)に傷などの欠陥が無いかどうかを検査するために、ワークを撮像して得られる検査画像を、欠陥が含まれていないワークを撮像して取得しておいた参照画像と比較し、その差異から各種欠陥の検査を行う検査技術が従来より提案されている。この検査手法を採用する場合、位置ズレによる誤検出を防ぐために、検査画像と参照画像との位置合せを精度良く行う必要がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の位置合せ技術を利用することが検討されている。この装置では、ワークの検査画像と参照画像をそれぞれ複数領域に分割し、該分割された領域毎における検査画像と参照画像との間で位置ずれ情報を算出する。そして、これら複数の位置ずれ情報のうち、信頼性の高い複数個、もしくは1つの位置ずれ情報のみを用いて画像全体にわたって検査画像と参照画像との位置ずれ量を決定し、これに基づいて位置合せを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4101489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置では、回転対称な外形を有する主面に対してロット管理用刻印やノッチなどの特定部位が設けられたワーク、特に主面の面積に対して特定部位が十分に小さい場合には、うまく位置合せができない場合がある。つまり、特定部位により位置ズレ量を算出できれば位置合せを良好に行うことができるが、逆に特定部位以外の部位で位置ズレ量を算出してしまうと、位置合せを良好に行うことができなくなる。このように従来技術では、位置合せの精度が低かった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを高精度に位置合せすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられた、ワークを撮像して得られる検査画像を予め取得された参照画像と位置合させる位置合せ方法であって、検査画像の回転対称の中心を参照画像の回転対称の中心と一致させる第1位置合せ処理を行う第1工程と、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転対称の中心まわりに回転させて検査画像に含まれる特定部位の像を参照画像に含まれる特定部位の像に一致させるのに必要な回転角を求める第2工程と、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転角だけ回転対称の中心まわりに回転させて特定部位の像同士を一致させる第2位置合せ処理を行う第3工程とを備え、第2工程は、第1位置合せ処理を受けた検査画像における特定部位の像の中心位置を検査側中心位置として求める工程と、参照画像における特定部位の像の中心位置を参照側中心位置として求める工程と、検査側中心位置および参照側中心位置に基づいて回転角を求める工程とを有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の第2態様は、位置合せ装置であって、回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを撮像して得られる検査画像の回転対称の中心を、予め取得された参照画像の回転対称の中心と一致させる第1位置合せ処理を実行する第1位置合せ部と、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転対称の中心まわりに回転させて第1位置合せ処理を受けた検査画像に含まれる特定部位の像を参照画像に含まれる特定部位の像に一致させるのに必要な回転角を求める回転角算出部と、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転対称の中心まわりに回転角だけ回転させて特定部位の像同士を一致させる第2位置合せ処理を行う第2位置合せ部と、を備え、回転角算出部は、第1位置合せ処理を受けた検査画像における特定部位の像の中心位置を検査側中心位置として求め、参照画像における特定部位の像の中心位置を参照側中心位置として求め、検査側中心位置および参照側中心位置に基づいて回転角を求めることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明の第3態様は、回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを検査する撮像して得られる検査画像と予め取得された参照画像とに基づいてワークを検査する検査装置であって、上記位置合せ装置と、位置合せ装置により参照画像に対して位置合せされた検査画像を参照画像と比較してワークを検査する検査部とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、2段階の位置合せ処理によって参照画像に対する検査画像の位置合せが行われる。まず第1位置合せ処理により、検査画像の回転対称の中心が参照画像の回転対称の中心と一致する。そして、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転対称の中心まわりに回転させると、特定部位の位置ズレ量に対応する回転角だけ回転させると、当該検査画像に含まれる特定部位の像が参照画像に含まれる特定部位の像と一致する。そこで、本発明では、第2位置合せ処理として、第1位置合せ処理を受けた検査画像を回転対称の中心まわりに上記回転角だけ回転させて特定部位の像同士を一致させる。これによって、参照画像に対する検査画像の位置合せが高精度に行われる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、上記した第1位置合せ処理と第2位置合せ処理を行うことで回転対称な外形を有する主面に特定部位が設けられたワークを高精度に位置合せすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る位置合せ装置の一実施形態を装備する検査装置の構成を示す図である。
図2図1に示す検査装置の本体を示す平面図である。
図3】検査装置における検査処理の流れを示す図である。
図4】検査処理において実行される参照画像に対する検査画像の位置合せを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る位置合せ装置の一実施形態を装備する検査装置の構成を示す図である。図2図1に示す検査装置の本体を示す平面図である。検査装置1は、回転対称な外形を有する主面W1に対して特定部位W2が設けられた、円盤形状のワークWを撮像して得られる検査画像を予め取得された参照画像と位置合させ、それらの画像を比較することでワークWを検査する装置である。ワークWとしては、例えば鍛造や鋳造により形成された金属部品であり、その表面にはロット管理用刻印が特定部位W2として設けられている。
【0014】
図1に示すように、検査装置1は、本体11と、コンピュータにより構成される制御ユニット12とを備えている。本体11は、ステージ2と、撮像ユニット3と、光源ユニット4とを備える。ワークWはステージ2上に載置される。本体11には、外部の光がステージ2上に到達することを防止する図示省略の遮光カバーが設けられ、ステージ2、撮像ユニット3および光源ユニット4は、遮光カバー内に設けられている。
【0015】
図1および図2に示すように、撮像ユニット3は、1個の上方撮像部31と、4個の斜方撮像部32と、4個の側方撮像部33とを備えている。図2では、上方撮像部31の図示を省略している(後述の上方光源部41において同様)。上方撮像部31は、ステージ2の上方にてステージ2の中心から鉛直上方に延びる中心軸J1上に配置されている。上方撮像部31によりステージ2上のワークWの主面W1を真上から撮像した検査画像を制御ユニット12に出力する。
【0016】
図2に示すように、上側から下方を向いて本体11を見た場合に(すなわち、本体11を平面視した場合に)、4個の斜方撮像部32はステージ2の周囲に配置されている。4個の斜方撮像部32は、中心軸J1を中心とする周方向に90°の角度間隔(ピッチ)にて配列されている。各斜方撮像部32の撮像光軸K2と中心軸J1とを含む面において(図1参照)、撮像光軸K2と中心軸J1とがなす角度θ2は、およそ45°である。各斜方撮像部32によりステージ2上のワークWを斜め上から撮像した画像が取得可能である。
【0017】
本体11を平面視した場合に、4個の側方撮像部33も、4個の斜方撮像部32と同様にステージ2の周囲に配置されている。4個の側方撮像部33は、中心軸J1を中心とする周方向に90°の角度間隔にて配列されている。各側方撮像部33の撮像光軸K3と中心軸J1とを含む面において、撮像光軸K3と中心軸J1とがなす角度θ3は、およそ90°である。各側方撮像部33によりステージ2上のワークWを横から撮像した画像が取得可能である。上方撮像部31、斜方撮像部32および側方撮像部33は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等を有し、多階調の画像が取得される。上方撮像部31、斜方撮像部32および側方撮像部33は、図示省略の支持部により支持されている。
【0018】
光源ユニット4は、1個の上方光源部41と、8個の斜方光源部42と、8個の側方光源部43とを備える。上方光源部41は、中心軸J1を中心とするリング状に複数のLED(発光ダイオード)が配列された光源部である。リング状の上方光源部41は上方撮像部31の周囲を囲むように、上方撮像部31に固定されている。上方光源部41によりステージ2上のワークWに対して真上から中心軸J1に平行な方向に沿って光が照射可能である。
【0019】
本体11を平面視した場合に、8個の斜方光源部42はステージ2の周囲に配置されている。8個の斜方光源部42は、中心軸J1を中心とする周方向に45°の角度間隔にて配列されている。各斜方光源部42は、中心軸J1を中心とする円周の接線方向に伸びるバー状に複数のLEDが配列された光源部である。各斜方光源部42の出射面の中央とワークW(の中心)とを結ぶ線を「照明軸」と呼ぶと、当該斜方光源部42の照明軸と中心軸J1とを含む面において、当該照明軸と中心軸J1とがなす角度は、およそ45°である。各斜方光源部42では、ステージ2上のワークWに対して斜め上から当該照明軸に沿って光が照射可能である。検査装置1では、8個の斜方光源部42のうち4個の斜方光源部42は4個の斜方撮像部32にそれぞれ固定され、残りの4個の斜方光源部42は、図示省略の支持部により支持されている。
【0020】
本体11を平面視した場合に、8個の側方光源部43はステージ2の周囲に配置されている。8個の側方光源部43は、中心軸J1を中心とする周方向に45°の角度間隔にて配列されている。各側方光源部43は、中心軸J1を中心とする円周の接線方向に伸びるバー状に複数のLEDが配列された光源部である。斜方光源部42と同様に、各側方光源部43の出射面の中央とワークWとを結ぶ線を「照明軸」と呼ぶと、当該側方光源部43の照明軸と中心軸J1とを含む面において、当該照明軸と中心軸J1とがなす角度は、およそ90°である。各側方光源部43では、ステージ2上のワークWに対して横から当該照明軸に沿って光が照射可能である。検査装置1では、8個の側方光源部43のうち4個の側方光源部43は4個の側方撮像部33にそれぞれ固定され、残りの4個の側方光源部43は、図示省略の支持部により支持されている。
【0021】
例えば、上方撮像部31および上方光源部41とワークWとの間の距離は、約55cm(センチメートル)である。また、斜方撮像部32および斜方光源部42とワークWとの間の距離は約50cmであり、側方撮像部33および側方光源部43とワークWとの間の距離は約40cmである。上方光源部41、斜方光源部42および側方光源部43では、LED以外の種類の光源が用いられてよい。
【0022】
本実施形態では、本体11の各部を制御するとともに後で説明するようにワークWの検査画像を参照画像と位置合せさせ、さらに検査を行うために制御ユニット12が設けられている。制御ユニット12は、CPU(Central Processing Unit)により構成される演算処理部5と、参照画像データなどの各種データやプログラムなどを記憶する記憶部6を備えている。演算処理部5は上記プログラムにしたがって装置各部を制御することで参照画像に対する検査画像の位置合せ(=第1位置合せ処理、回転角度算出処理および第2位置合せ処理)および両画像の比較によるワークWの検査を行う。このように本実施形態では、演算処理部5は、第1位置合せ部51、回転角算出部52、第2位置合せ部53および検査部54として機能する。以下、参照画像に対する検査画像の位置合せおよびワークWの検査について図3および図4を参照しつつ説明する。
【0023】
図3は検査装置における検査処理の流れを示す図である。また、図4は検査処理において実行される参照画像に対する検査画像の位置合せを模式的に示す図である。まず、ステージ2上に検査対象のワークWが載置される(ステップS1)。ステージ2上には、例えばワークWの形状や大きさなどに適合する保持部(図示省略)が設けられており、ワークWの主面W1を鉛直上方に向けた状態でステージ2上の所定位置にワークWを保持する。続いて、制御ユニット12では、操作者による入力等に基づいて、ステージ2上のワークWに対する撮像設定情報が取得される(ステップS2)。ここで、撮像設定情報は、撮像ユニット3において使用する撮像部(以下、「選択撮像部」という。)と、当該選択撮像部による撮影画像の取得の際に光源ユニット4において点灯する光源部とを示す。例えばワークWの主面W1を検査する場合には、撮像設定情報は上方撮像部31を選択撮像部として使用する旨、およびワークWの主面W1を均一に照明するために上方光源部41および全ての斜方光源部42を光源部として点灯させる旨を含んでいる。なお、光源部の点灯態様はこれに限定されるものではなく、ワークWの種類などによって上方光源部41のみ、あるいは斜方光源部42のみを点灯させてもよい。
【0024】
ワークWに対する撮像設定情報が取得されると、それに基づいて上方光源部41および斜方光源部42を点灯しつつ、ワークWの主面W1が上方撮像部31により撮像され、ワークWの検査画像が取得される(ステップS3)。すなわち、例えば図4の(a)欄中の破線で示されたような撮影画像が検査画像Iaとして演算処理部5に与えられる。そして、演算処理部5が当該検査画像Iaのデータ、つまり検査画像データを用いて参照画像との位置合せや検査を実行する。なお、符号Iacは検査画像Iaに含まれる特定部位W2の像を示し、符号Caは検査画像Iaの回転対称の中心を示している。
【0025】
次に、演算処理部5は参照画像Ib(図4)に対する検査画像Iaの位置合せを行うために予め記憶部6に記憶されているワークWの参照画像Ibのデータ、つまり参照画像データを記憶部6から読み出す(ステップS4)。なお、参照画像Ibは傷などの欠陥のないワークWの主面W1を撮像設定情報に基づいて撮像して得られる撮影画像であり、検査前に取得され、記憶部6に記憶されている。
【0026】
そして、演算処理部5は、次に説明する第1位置合せ処理、回転角算出処理および第2位置合せ処理を実行して参照画像Ibに対して検査画像Iaの位置合せを行う。すなわち、第1位置合せ処理を実行することで、図4の(a)欄に示すように検査画像Iaの回転対称の中心Caを参照画像Ibの回転対称の中心Cbと一致させている(ステップS5)。より具体的には、ワークWの外形に関する情報に基づくパターンマッチングの第1モデル(本実施形態では、正規化相互相関:Normalized Cross-Correlation)を準備しておき、これによって第1位置合せ処理を行っている。これによって、検査画像Iaの外形を参照画像Ibの外形と一致させることができる。もちろん、その他の位置合せ技術を用いて第1位置合せ処理を行ってもよい。なお、第1位置合せ処理後においては、外形が一致しているものの、特定部位の像Iacが特定部位の像Ibcと一致していることは保障されていない。したがって、検査画像Iaを参照画像Ibに位置合せさせるためには、さらに特定部位の像Iacを特定部位の像Ibcと一致させることが必要である。ここで、本実施形態では、ワークWの主面W1は中心Caまわりに回転対称であるため、第1位置合せ処理を受けた検査画像Ia1(図4の(a)、(b)欄参照)を回転対称の中心Caまわりに回転させることで特定部位の像Iacを特定部位の像Ibcと一致させて参照画像Ibに対する検査画像Iaの位置合せを完成させることができる。
【0027】
そこで、演算処理部5は、図4の(b)欄に示すように、第1位置合せ処理を受けた検査画像Ia1における特定部位の像Iacの中心位置Cacと、参照画像Ibにおける特定部位の像Ibcの中心位置Cbcとを求める(ステップS6)。ここで、第1位置合せ処理を受けた検査画像Ia1から特定部位の像Iacを抽出するために、本実施形態では特定部位W2に関する情報に基づくパターンマッチングの第2モデル(本実施形態では、正規化相互相関)を準備しておき、これによって用いている。ただし、その他の方法により特定部位の像Iacを抽出し、その中心位置を求めてもよい。一方、参照画像Ib側の中心位置Cbcについては検査毎に求める必要はなく、予め記憶させておけばよい。
【0028】
両中心位置Cac、Cbcが求まると、演算処理部5はそれらに基づいて検査画像Ia1を回転対称の中心Caまわりに回転させて特定部位の像Iacを特定部位の像Ibcに一致させるのに必要な回転角φを求める(ステップS7)。そして、演算処理部5は、検査画像データのデータ処理により、図4の(c)欄に示すように、回転対称の中心Ca、Cbを一致させながら検査画像Ia1を回転対称の中心Caまわりに角度φだけ回転させる(ステップS8)。これによって、参照画像Ibに対する検査画像Iaの位置合せが高精度に行われる。そして、最後に、演算処理部5は位置合せ済の検査画像Ia2と参照画像Ibを比較してワークWに傷などの欠陥が存在するか否かを検査する(ステップS9)。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、図4の(a)欄に示す第1位置合せ処理と、図4の(c)欄に示す第2位置合せ処理とを実行して参照画像Ibに対する検査画像Iaの位置合せを行っている。このため、回転対称な外形を有する主面W1に特定部位W2が設けられたワークWを高精度に位置合せすることができる。
【0030】
このように本実施形態では、ステップS5、S8がそれぞれ本発明の「第1工程」および「第3工程」の一例に相当するとともに、ステップS6、S7を含む工程が本発明の「第2工程」の一例に相当している。また、第1位置合せ部51、回転角算出部52および第2位置合せ部53としての機能を有する演算処理部5が本発明の「位置合せ装置」の一例に相当している。さらに、中心位置Cac、Cbcがそれぞれ本発明の「検査側中心位置」および「参照側中心位置」の一例に相当している。
【0031】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば円盤型外形を有するワークWを位置合せおよび検査対象としているが、半導体ウエハのような略円盤形状の外形を有するワークやワッシャーなどの円環型外形のワークに対しても本発明を適用することができる。また、本発明を適用することができるワークとしては、上記以外に、いわゆるn回対称の外形を有する主面に刻印などの特定部位が設けられたワークに対しても適用することができる。
【0032】
また、上記実施形態では、検査装置1に対して位置合せ技術を適用しているが、検査装置1以外の装置に対して本発明に係る位置合せ方法および装置を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、回転対称な外形を有する主面に対して特定部位が設けられた、ワークを撮像して得られる検査画像を予め取得された参照画像と位置合させる位置合せ技術全般、ならびに当該位置合せ技術を利用して上記ワークを検査する検査装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…検査装置
5…演算処理部(位置合せ装置)
51…第1位置合せ部
52…回転角算出部
53…第2位置合せ部
54…検査部
Ca…(検査画像の回転対称の)中心
Cb…(参照画像の回転対称の)中心
Ia…検査画像
Ia1…(第1位置合せ処理を受けた)検査画像
Ia2…(第2位置合せ処理を受けた)検査画像
Iac,Ibc…(特定部位の)像
Ib…参照画像
W1…(ワークの)主面
W2…特定部位
φ…回転角
図1
図2
図3
図4