(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のディスプレイ装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1のディスプレイ装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1のディスプレイ装置を備えた車両(自動車)のインストルメントパネル1を示す正面図である。
【0010】
実施の形態1のディスプレイ装置は、車両のインストルメントパネル1において、車両に関連した情報を表示するコンビネーションメータ2の一部として設置されている。なお、コンビネーションメータ2は、運転席(不図示)の前方位置において運転席側を向いて設置されたもので、コンビネーションメータ2と運転席(不図示)との間には、ハンドル3が設けられている。
【0011】
図2は、
図1のS2−S2線の位置での断面を示す断面図であって、実施の形態1のディスプレイ装置は、液晶パネル(表示パネル)10と、フィニッシャパネル20と、外周縁30とを備える。
【0012】
液晶パネル10は、インストルメントパネル1に設置されたケース40の収容部41に収容されている。なお、液晶パネル10の矢印DPにより示す表示方向が、運転席(不図示)の方向である。
【0013】
また、液晶パネル10は、
図3Aに示すように、正面から見て横長の長方形の板状に形成され、液晶素子(図示省略)を有する表示領域11と、この表示領域11の外周に四角枠状に設けられた非表示部分である外枠部12と、を備える。なお、表示領域11と外枠部12との間に、表示部分と非表示部分との境界13が、長方形状を成して設けられている。また、外枠部12は、黒色に着色されているが、その詳細については後述する。
【0014】
フィニッシャパネル20は、液晶パネル10の表示方向(矢印DP方向)に、液晶パネル10との間に間隔Lを空けて配置され、ケース40の周壁部42に固定されている。このフィニッシャパネル20は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有した樹脂製のパネルであり、液晶パネル10を含み、コンビネーションメータ2の表示方向を覆って設けられている。
【0015】
また、フィニッシャパネル20は、表面20aに、反射防止加工により凹凸が形成された反射抑制部20cを備え、裏面20bには、ケース40に固定するためのボス21が突出して形成されている。
そして、フィニッシャパネル20は、スモーク加工、すなわち、光の透過率を若干抑える加工が施されている。
【0016】
さらに、フィニッシャパネル20には、運転席側から見た際に、液晶パネル10の表示領域11の外周を囲む外周縁30を備える。そして、本実施の形態1では、外周縁30は、第1縁部31と第2縁部32とにより形成されている。
【0017】
第1縁部31は、フィニッシャパネル20の表面20aに、黒色プリントを行うことで設けられている。そして、第1縁部31は、その内周が、液晶パネル10の表示方向(矢印DP方向)の直交方向で、液晶パネル10の外周の位置P1の近傍に配置され、この位置P1から、フィニッシャパネル20の外周縁までの範囲に亘って設けられている。
さらに、第1縁部31の内周縁部には、外側ほど密で遮光性が高く、内側ほど疎となって遮光性が低くなったグラデーション部31aが形成されている。
【0018】
第2縁部32は、フィニッシャパネル20の裏面20bに黒色プリントや、あるいは黒色のテープなどを貼り付けて設けられている。そして、第2縁部32は、外周縁が、第1縁部31の内周よりも外側位置に配置され、内周縁が、第1縁部31の内周の位置P1の近傍と、液晶パネル10の境界13(表示領域11と外枠部12との間)の位置P2との間の位置P3に配置されている。
また、第2縁部32の内周にも、外側ほど密で遮光性が高く、内側ほど疎となって遮光性が低くなったグラデーション部32aが形成されている。
【0019】
次に、外枠部12、第1縁部31、第2縁部32の色について説明する。
外枠部12、第1縁部31、第2縁部32は、それぞれ黒色に着色され、運転者側から見た場合に、同色に見えるように色が設定されているが、それぞれの輝度が異なって、すなわち、黒の濃さを異ならせて設定されている。
【0020】
外枠部12は、表示領域11の非表示時の黒色と同色の黒に設定されている。本実施の形態1では、表示領域11は、非表示時には、グレーがかった黒色に表示され、外枠部12は、この黒色に輝度が一致するよう設定される。
【0021】
次に、第1縁部31、第2縁部32の黒色の設定について説明する。
第1縁部31、第2縁部32は、フィニッシャパネル20を介して見える表示領域11および外枠部12の黒色に一致するように、その黒色の輝度が設定されている。
【0022】
すなわち、表示領域11および外枠部12と、フィニッシャパネル20との間に、間隔Lが設定されているため、これらの間で光が乱反射する。また、フィニッシャパネル20も、厚みを有し、パネル内で乱反射が生じる。これらの乱反射により、乗員側からフィニッシャパネル20を介して見た表示領域11および外枠部12は、実際の黒色よりも、輝度が高く見える。
一方、フィニッシャパネル20は、スモーク加工が施されている。このスモーク加工により、フィニッシャパネル20を介して運転者側から見る色は、実際の色よりも輝度が低下して見える。
なお、本実施の形態1では、スモーク加工による輝度低下分よりも、乱反射による輝度上昇の方が高い関係になっている。
【0023】
そこで、第1縁部31、第2縁部32の黒色の輝度は、上記の乱反射による影響およびスモーク加工による影響による輝度変化を測定し、この測定結果に応じて、その色(黒色)および輝度が設定されている。
【0024】
具体的には、第2縁部32は、表示領域11および外枠部12と同様に、フィニッシャパネル20を介して見えるため、上記の乱反射による輝度上昇に応じて、輝度を設定する。したがって、第2縁部32は、表示領域11および外枠部12よりも高輝度に設定することになる。
【0025】
第1縁部31は、フィニッシャパネル20を介して見える、表示領域11、外枠部12および第2縁部32と同色、同輝度に見えるように設定される。すなわち、表示領域11および外枠部12に対する乱反射による影響と、表示領域11、外枠部12および第2縁部32に対するスモーク加工による輝度低下に応じて設定する。本実施の形態1では、スモーク加工による輝度低下は抑えて設定しているため、第2縁部32は、第1縁部31よりも若干輝度が高い黒色に設定されている。
【0026】
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の作用について説明する。
まず、コンビネーションメータ2の正面(矢印DPの方向)から液晶パネル10を見た場合について説明する。
【0027】
液晶パネル10を正面から見た場合、液晶パネル10の外周には、額縁状の外周縁30により囲まれ、その内側に表示領域11が見える。この場合、
図3Aに示すように、外周縁30にあっては、第2縁部32の内周縁が最も内側に配置され、その僅かに内側に境界13が配置され、この境界13の内側に表示領域11が配置される。
したがって、
図3Aに示すように、第2縁部32の内周縁と境界13との間に、液晶パネル10の外枠部12が僅かに見える。
【0028】
この場合、表示領域11の非表示時には、表示領域11の黒色と、外枠部12の黒色とは、同一の色、輝度としているため、境界13は、殆ど認識されることは無い。
さらに、額縁状の外周縁30は、フィニッシャパネル20を介して見える表示領域11および外枠部12の黒色と、同色に見えるようにその色が設定されているため、一体的に見え、外周縁30と外枠部12との境界も認識しにくい。よって、液晶パネル10と外周縁30、すなわち、フィニッシャパネル20とが一体的に見えるという視覚効果が得られる。
【0029】
なお、第1縁部31の内周の位置P3は、境界13の外側であるとともに、第2縁部32の内側であるため、液晶パネル10と一体的な表示が可能である。例えば、この第1縁部31の内周の位置P3が、外枠部12よりも外側に配置されていると、外枠部12と外周縁30との境界が目立ち、外枠部12と外周縁30との一体感が得られなくなる。
【0030】
ところで、表示領域11および外枠部12の黒色は、コンビネーションメータ2の正面から見た際に、液晶パネル10とフィニッシャパネル20との間での乱反射により、実際の色よりも明るく(高輝度)に見える。
【0031】
そのため、外周縁30は、前述したように、見た目が表示領域11および外枠部12と同一の黒色となるように設定している。しかしながら、製造上のバラツキなどにより、外周縁30の第1縁部31および第2縁部32の黒色と、表示領域11および外枠部12の黒色とが、若干異なる色(輝度)に見える可能性がある。
【0032】
そこで、第2縁部32の内周縁部に、グラデーション部32aを設けているため、上記の製造のバラツキにより、第2縁部32と外枠部12との視覚的に認識される色が異なっている場合でも、その違いの認識を抑え、両者の境界の認識を抑えることができる。
【0033】
同様に、第1縁部31の内周縁部にグラデーション部31aを設けているため、製造のバラツキなどにより、第1縁部31と第2縁部32とで視覚的に認識される色が異なっている場合でも、その違いの認識を抑え、両者の境界の認識を抑えることができる。
【0034】
次に、自然光により生じる影が液晶パネル10の見え方に与える影響について説明する。
コンビネーションメータ2に対して、外方から液晶パネル10の方向に自然光が差し込んだ場合、外周縁30による影SH1(
図3B参照)が、液晶パネル10上に生じる。
【0035】
図2において、矢印OP1は、自然光の平均的な角度を示し、本実施の形態1では、矢印OP1の先端の位置P4に、影SH1(
図3B参照)の内周縁が配置される。
なお、矢印OP1は、外周縁30のうちで、最も内側に配置された第2縁部32の内周縁を通る光を示す。
【0036】
一方、矢印OP2は、本実施の形態1との比較例の外周縁の影SH2(
図3C参照)の内周縁位置を示す。この比較例は、外周縁(30)を、フィニッシャパネル20の表面20aのみに形成したものである。すなわち、本実施の形態1の第1縁部31を、第2縁部32の内周位置の表示方向の位置P3まで延長させ、第2縁部32は設けていない例である。この比較例では、第1縁部31を位置P3まで延長させて生じる影SH2(
図3C参照)が、本実施の形態1よりも内側の位置P5まで形成され、
図3Bに示す影SH1よりも内側まで、表示領域11を覆うことになる。
【0037】
上述のように、
図3Bでは、実施の形態1により生じる影SH1を示し、
図3Cが比較例により生じる影SH2を示す。
図3Cに示すように、表示領域11の外周よりも内側まで影SH2が生じると、
図3A、
図3Bと比較して、表示領域11において影SH2の内側の面積が狭まる。
【0038】
このように、比較例により生じる影SH2は、その範囲が広く、表示領域11がより狭くなるため、運転者から見ると、遠近感が強まり液晶パネル10が遠くに奥まって見え、フィニッシャパネル20との一体感が薄まり、違和感を与えるおそれがある。
これに対し、
図3Bに示す本実施の形態1の影SH1は、比較例の影SH2よりもその範囲が狭く、境界13の近傍に生じる。このため、影SH1による遠近感の強まりは生じにくく、表示領域11とフィニッシャパネル20との一体感を維持し、運転者に与える違和感を抑えることができる。
【0039】
なお、第1縁部31の内周の位置P3を、境界13よりも外側に配置しているため、前述のように、外周縁30と外枠部12との一体感が得られるようにしつつ、影SH1における境界13よりも内側の面積を抑えることができる。
【0040】
また、黒色プリントによる外周縁(30)を、フィニッシャパネル20の裏面20bのみに設けようとした場合、ボス21を含んで、黒色プリント用の素材により形成する必要がある。この場合、成型装置の大型化あるいは大改良が必要になり、製造コストが大幅に増える。
【0041】
以下に、実施の形態1のディスプレイ装置の効果を列挙する。
1)実施の形態1のディスプレイ装置は、
表示領域11およびこの表示領域11の外周を囲む外枠部12を備えた表示パネルとしての液晶パネル10と、
液晶パネル10の正面方向を覆って設けられた透光性を有するフィニッシャパネル20と、
フィニッシャパネル20に設けられ、液晶パネル10の正面方向から見て、液晶パネル10の表示領域11を囲むように配置して設けられた外周縁30と、
を備え、
外周縁30は、フィニッシャパネル20の表面20aに設けられて外周縁30の外周側部分を形成する第1縁部31と、フィニッシャパネル20の裏面に設けられて外周縁30の内周側部分を形成する第2縁部とを備える。
したがって、フィニッシャパネル20の表面20aのみに外周縁を設けた場合よりも、自然光により液晶パネル10に落ちる外周縁30の影SH1の面積を抑えることができる。これにより、外周縁30の影SH1による液晶パネル10の表示領域11に対する遠近感の強調作用を抑え、遠近感による違和感を抑えることが可能となる。
【0042】
2)実施の形態1のディスプレイ装置は、
液晶パネル10とフィニッシャパネル20とが間隔Lを空けて配置されている。
したがって、自然光による外周縁30の影SH1の範囲が広くなる構造において、影SH1の範囲を抑え、上記の遠近感による違和感を抑える効果がいっそう顕著に得ることができる。
【0043】
3)実施の形態1のディスプレイ装置は、
第1縁部31は、フィニッシャパネル20を正面から見たときに、フィニッシャパネル20の外周縁から、外枠部12の近傍もしくは外枠部12に重なる位置までの範囲に設けられ、
第2縁部32は、フィニッシャパネル20を正面から見たときに、液晶パネル10の表示領域11と外枠部12との境界13と第1縁部31の内周(グラデーション部31a)との間の位置から、第1縁部31と重なる位置までの範囲に設けられている。
したがって、フィニッシャパネル20では、運転席方向の正面から見たときにその外周縁から液晶パネル10の部分まで、外周縁30が形成され、外周縁30と液晶パネル10との一体的な表示が可能となる。
しかも、第2縁部32の内周は、境界13と第1縁部31の内周との間に配置したため、液晶パネル10との一体性を確保しつつ、自然光により生じる外周縁30の影SH1の範囲を抑えることができる。すなわち、第2縁部32の内周を、境界13よりも内側に配置すると、影SH1の範囲が表示領域11の内側まで含まれることになる。また、第2縁部32の内周を、外枠部12よりも外側に配置すると、外周縁30と液晶パネル10との一体性が無くなる。
【0044】
4)実施の形態1のディスプレイ装置は、
外枠部12は、表示領域11の非表示時の色および輝度に略一致する色および輝度に設定されている。
したがって、表示領域11と外枠部12との境界13を視認しにくくなり、表示領域11をフィニッシャパネル20と一体的に表示することができる。
【0045】
5)実施の形態1のディスプレイ装置は、
外周縁30の第2縁部32は、フィニッシャパネル20の正面から見た際の表示領域11および外枠部12と同色の黒色および同輝度に設定され、
外周縁30の第1縁部31は、フィニッシャパネル20の正面から見た際の第2縁部32と同色の黒色および同輝度に設定されている。
したがって、表示領域11と外枠部12との境界13、外枠部12と第2縁部32との境界、第2縁部32と第1縁部31との境界を視認しにくくなり、表示領域11をフィニッシャパネル20と一体的に表示することができる。
【0046】
6)実施の形態1のディスプレイ装置は、
第2縁部32は、外枠部12よりも高輝度に設定され、
第1縁部31は、第2縁部32よりも高輝度に設定されている。
フィニッシャパネル20の内側の液晶パネル10は、フィニッシャパネル20との乱反射により、実際の色よりも輝度が高くなる傾向にある。
したがって、第2縁部32を外枠部12よりも高輝度に設定することで、両者の実際に見える色を同輝度とすることが可能になり、両者の間の境界を視認しにくくなる。
同様に、第2縁部32は、フィニッシャパネル20による乱反射により実際の色よりも輝度が高くなる傾向にある。そこで、第1縁部31を第2縁部32よりも高輝度に設定することで、両者の実際に見える色を同輝度とすることが可能になり、両者の間の境界を視認しにくくなる。
すなわち、上記5)の効果を具体的に達成することができる。
【0047】
7)実施の形態1のディスプレイ装置は、
外枠部12、第1縁部31、第2縁部32は、黒色である。
したがって、表示領域11の外周に、黒色の外周縁を形成することができる。特に、表示領域11の非表示時には、全体を黒色表示し、表示領域11とフィニッシャパネル20との一体感を演出できる。
【0048】
8)実施の形態1のディスプレイ装置は、
フィニッシャパネル20は、光の透過率を下げる加工であるスモーク加工が施されている。
したがって、表示領域11、外枠部12、第2縁部32に製造上の色のばらつきが生じた場合でも、見た目の色のばらつきを抑えることができる。これにより、表示領域11と外枠部12との境界13、外枠部12と第2縁部32との境界が視認しにくくなり、表示領域11とフィニッシャパネル20と一体的な表示が可能となる。
【0049】
9)実施の形態1のディスプレイ装置は、
第1縁部31および第2縁部32の内周縁部には、内側ほど光の遮蔽率を低下させたグラデーション部31a,32aが設けられている。
したがって、外枠部12、第2縁部32、第1縁部31に製造上の色のばらつきが生じた場合でも、見た目の色のばらつきを抑えることができる。これにより、外枠部12と第2縁部32との境界、第2縁部32と第1縁部31との境界が視認しにくくなり、表示領域11とフィニッシャパネル20と一体的な表示が可能となる。
【0050】
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。
なお、他の実施の形態の説明において、他の実施の形態と共通する構成には当該実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、当該実施の形態との相違点のみ説明する。
【0051】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2のディスプレイ装置について説明する。
実施の形態2にディスプレイ装置は、
図4に示すように、液晶パネル10に対して、フィニッシャパネル220が傾斜した部分を備えている例である。
すなわち、実施の形態2では、コンビネーションメータのフィニッシャパネル220が液晶パネル10に対して凹凸を有する形状にデザインし、フィニッシャパネル220の外周縁230を有した部分が液晶パネル10に対して傾斜して配置されている。なお、この場合、フィニッシャパネル220は、液晶パネル10に対して、全体が傾斜していてもよいし、一部のみが傾斜していてもよい。要は、フィニッシャパネル220において、外周縁230が配置されている部分が傾斜している例である。
【0052】
実施の形態2において、外周縁230を形成する第1縁部231および第2縁部232は、その内周縁の液晶パネル10の表示方向の直交方向位置は、実施の形態1と同様に配置したものとする。
具体的には、
図4において、第1縁部231の内周は、位置P21に配置されている。第2縁部232の内周は、位置P23に配置されている。表示領域11と外枠部12との境界13は、位置P23の内側の位置P22に配置されている。
【0053】
このように構成された実施の形態2のディスプレイ装置では、フィニッシャパネル220の表面20aでは、外周縁から内側に向かうほど、液晶パネル10との間隔(L)が拡がる。
【0054】
ここで、まず、実施の形態1で説明した比較例と同様に、実施の形態2との比較例として、第1縁部231の内周の位置を、第2縁部232の内周縁の位置P23に配置した場合について説明する。
【0055】
この比較例では、位置P23まで第1縁部231を延長した場合に生じる影の内周部分は、位置P25に配置される。したがって、この場合の影は、液晶パネル10の境界13よりも内側の表示領域11の範囲が大きく含まれる。
【0056】
それに対し、実施の形態2では、外周縁30の影の内周縁は、第2縁部232の内周縁により生じるため、その位置は、位置P24となり、比較例の影よりも影の範囲を大幅に狭めることができる。
【0057】
よって、実施の形態1と同様に、影の範囲を抑えることができ、液晶パネル10が奥まって見える違和感が生じるのを抑えることができる。特に、実施の形態2では、フィニッシャパネル220が傾斜していることにより、外周縁230の影が液晶パネル10の内側まで生じやすいため、この効果が顕著になる。
【0058】
以下に、実施の形態2のディスプレイ装置の効果を説明する。
2-1)実施の形態2のディスプレイ装置は、
フィニッシャパネル220は、液晶パネル10に対して表示領域11の内側ほど液晶パネルから離れるように傾斜して配置された傾斜部を備え、
外周縁230は、傾斜部に設けられている。
したがって、フィニッシャパネル220が、外周縁を設けた場合に影が液晶パネル10の内側まで生じやすい傾斜部を備えた構成において、外周縁230の影の領域を抑え、影による遠近感の強調作用を抑え、遠近感による違和感を抑えることが可能となる。
また、上記1)〜9)の効果も同様に奏する。
【0059】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3のディスプレイ装置について説明する。
この実施の形態3を説明するにあたり、具体的な図示は省略し、
図2に基づいて説明する。
この実施の形態3では、
図2に示すフィニッシャパネル20の表面20aの反射抑制部20cに替えてタッチパネルを設けた例である。
【0060】
このように、フィニッシャパネル20の表面20aにタッチパネルを設けた場合、運転者の操作のために、フィニッシャパネル20を運転者に、できるだけ近付けた方が好ましい。このように、フィニッシャパネル20を運転者に近付けて配置すると、液晶パネル10とフィニッシャパネル20との間隔Lが大きくなり、この場合、外周縁30による影SH1が、表示領域11の内側のより広い範囲まで生じやすい。このため、上記2)の効果がより顕著となる。
【0061】
以下に、実施の形態3のディスプレイ装置の効果を説明する。
3-1)実施の形態3のディスプレイ装置は、
フィニッシャパネル20には、タッチパネル機能が与えられている。
したがって、フィニッシャパネル20と液晶パネル10との間隔Lが広がり易く、外周縁30による影により液晶パネル10の遠近感が強調されやすいい構成において、影の範囲を抑え、それによる遠近感の強調作用による違和感を抑制できる。
【0062】
以上、本開示のディスプレイ装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0063】
例えば、実施の形態では、ディスプレイ装置として、車両用、特に自動車用のコンビネーションメータを示したが、これに限定されない。車両として、自動車以外の車両に用いることができる。また、車両用のメータ以外にも、種々の制御装置の制御操作を行うためのディスプレイ装置にも適用することができる。
さらに、実施の形態では、表示パネルとして液晶パネルを示したが、パネル状の表示装置であれば、これに限定されない。例えば、プラズマディスプレイ、有機EL( Electro-Luminescence )、LED(light emitting diode)ディスプレイ、電界放出型ディスプレイ(FED : Field Emission Display)などを用いることができる。
【0064】
また、実施の形態では、表示パネルとフィニッシャパネルとが間隔を空けて配置されているものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、フィニッシャパネルがある程度厚みを有するものであれば、外周縁による影の範囲を抑制する効果が得られるものであり、特に、フィニッシャパネルが傾斜していれば、その効果は顕著である。
【0065】
また、実施の形態では、外枠部および外周縁を黒色としたものを示したが、これに限定されない。例えば、フィニッシャパネル自体を着色した場合、フィニッシャパネルの正面側から見た場合の非表示時の表示領域の色は、フィニッシャパネルの色の傾向が強くなる。したがって、その場合、外周縁は、表示領域および外枠部の実際に見える色に応じた色とするのが好ましく、フィニッシャパネルの着色に応じ、青色、紺色、緑色などの黒以外の色に設定してもよい。
【0066】
また、実施の形態では、外周縁の第2縁部の内周位置を、フィニッシャパネルの正面方向から見た場合に、表示領域と外枠部との境界よりも外側に配置したが、これに限定されず、例えば、境界に一致する位置や、その内側となるように配置してもよい。この場合、正面から見た際の表示領域の面積が減るが、影の範囲を抑える効果が得られる。また、この場合、外枠部は、その色および輝度を表示領域の非表示時の色および輝度と一致させなくてもよい。
さらに、第1縁部の内周の位置は、フィニッシャ正面から見て、外枠部よりも外側に配置してもよい。
【0067】
また、実施の形態では、外周縁の第2縁部を、フィニッシャパネルの正面から見た際の表示領域および外枠部と同色および同輝度に設定した。また、外周縁の第1縁部を、フィニッシャパネルの正面から見た際の第2縁部と同色および同輝度に設定するのにあたり、第2縁部を、外枠部よりも高輝度に設定し、第1縁部を、第2縁部よりも高輝度に設定した。しかしながら、これらに限定されるものではなく、例えば、フィニッシャパネルが、通過する色の輝度を大幅に低下させる加工が施されている場合には、第2縁部を、外枠部よりも高輝度に設定する一方で、第1縁部を、第2縁部よりも低輝度に設定することもあり得る。
【0068】
さらに、実施の形態では、フィニッシャパネルに光の透過率を下げるスモーク加工を施した例を示したが、これに限定されるものではなく、光の透過率を下げる加工を行わなくてもよい。同様に、実施の形態では、第1縁部および第2縁部の内周縁部に、内側ほど光の遮蔽率を低下させたグラデーション部を設けたが、このグラデーション部を設けない構成としてもよい。