特許第6942009号(P6942009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942009
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】中皿上昇式吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/56 20060101AFI20210916BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   B65D25/56
   B65D83/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-167853(P2017-167853)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-43609(P2019-43609A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−362605(JP,A)
【文献】 特開2010−052768(JP,A)
【文献】 特開2007−217038(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0415350(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/56
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される胴部、および前記胴部の下端部内に嵌合されて固定された底部を有する容器体と、
上方付勢状態で下方移動可能に支持されたステム、および前記ステムの上端に装着され、前記内容物の吐出孔が形成された押下ヘッドを有し、前記胴部の上部に装着されたポンプと、
前記胴部内に摺動可能に嵌合され、前記内容物の吐出時に前記胴部内を上昇する中皿と、
を備え、
前記中皿の下面に、下方に突出する係合爪部が配置され、
前記底部に、上面視で渦巻状を呈するように巻回された渦巻部と、前記渦巻部の内側周端部に上方に向けて突設され、前記係合爪部に係合されて前記中皿と連結された連結部と、を備える帯体が配置され、
前記帯体上に、上昇移動が規制された状態で回転自在に配置された帯押えが配置され、
前記底部は、
上面に前記帯体が配置された底壁部と、
前記底壁部の外周縁部から前記帯押えよりも上方に突出し前記胴部の下端部内に嵌合された筒部と、
前記筒部において前記帯押えよりも上方に位置する部分から径方向内側に突出する複数の係止リブと、
前記底壁部から上方に突出する回転規制リブと、
を備え、
前記複数の係止リブは、周方向に沿って等間隔に配置され、かつ前記帯押えを上方から係止して前記帯押えの上昇移動を規制し、
前記帯押えには、前記中皿の上昇移動に伴い、前記帯体が順次通過して上方に繰出される通過孔と、前記通過孔の内周縁部から径方向内側に突出する突出部と、が形成され、
前記渦巻部のうち前記通過孔を介して上方に繰出される所定部分には、穴部が形成され、
前記所定部分が前記通過孔を介して上方に繰出される前の状態において、前記穴部の内側には前記回転規制リブが係合されて、前記帯体の周方向の回転が規制され、
前記所定部分が前記通過孔を介して上方に繰出された後の状態において、前記穴部と前記回転規制リブとの係合は解除され、前記帯体は周方向に回転自在な状態となり、
前記底壁部に、前記帯体に設けられた視認部を視認可能なことによって、前記内容物の残量を認識可能な残量認識部が設けられていることを特徴とする中皿上昇式吐出容器。
【請求項2】
前記残量認識部は、前記底壁部を上下方向に貫通する窓孔部を備えることを特徴とする請求項1に記載の中皿上昇式吐出容器。
【請求項3】
前記残量認識部は、可視光を上下方向に透過させる透明部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の中皿上昇式吐出容器。
【請求項4】
前記突出部は、周方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の中皿上昇式吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中皿上昇式吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体内の内容物が吐出されるのに従って、吐出された内容物の体積分だけ容器本体内の収容容積が減少する吐出容器が知られている。例えば、特許文献1には、容器本体の胴部内に摺動可能に配置された摺動底蓋を備える吐出容器が記載されている。内容物が吐出されると摺動底蓋が上昇変位し、容器本体内の収容容積が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−173701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の吐出容器では、内容物の残量を認識するために、容器本体の胴部に容器本体の内部が透視可能な透視窓が設けられている。使用者は、透視窓を介して上昇変位した摺動底蓋を視認することで、内容物の残量が減少したことを知ることができる。しかしながら、容器本体の胴部に、容器本体の内部が透視可能な透視窓が設けられているため、吐出容器の外観の見栄えが悪くなる問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて、外観の見映えの悪化を抑制しつつ、内容物の残量を認識可能な中皿上昇式吐出容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の中皿上昇式吐出容器の一つの態様は、内容物が収容される胴部、および前記胴部の下端部内に嵌合されて固定された底部を有する容器体と、上方付勢状態で下方移動可能に支持されたステム、および前記ステムの上端に装着され、前記内容物の吐出孔が形成された押下ヘッドを有し、前記胴部の上部に装着されたポンプと、前記胴部内に摺動可能に嵌合され、前記内容物の吐出時に前記胴部内を上昇する中皿と、を備え、前記中皿の下面に、下方に突出する係合爪部が配置され、前記底部に、上面視で渦巻状を呈するように巻回された渦巻部と、前記渦巻部の内側周端部に上方に向けて突設され、前記係合爪部に係合されて前記中皿と連結された連結部と、を備える帯体が配置され、前記帯体上に、上昇移動が規制された状態で回転自在に配置された帯押えが配置され、前記底部は、上面に前記帯体が配置された底壁部と、前記底壁部の外周縁部から前記帯押えよりも上方に突出し前記胴部の下端部内に嵌合された筒部と、前記筒部において前記帯押えよりも上方に位置する部分から径方向内側に突出する複数の係止リブと、前記底壁部から上方に突出する回転規制リブと、を備え、前記複数の係止リブは、周方向に沿って等間隔に配置され、かつ前記帯押えを上方から係止して前記帯押えの上昇移動を規制し、前記帯押えには、前記中皿の上昇移動に伴い、前記帯体が順次通過して上方に繰出される通過孔と、前記通過孔の内周縁部から径方向内側に突出する突出部と、が形成され、前記渦巻部のうち前記通過孔を介して上方に繰出される所定部分には、穴部が形成され、前記所定部分が前記通過孔を介して上方に繰出される前の状態において、前記穴部の内側には前記回転規制リブが係合されて、前記帯体の周方向の回転が規制され、前記所定部分が前記通過孔を介して上方に繰出された後の状態において、前記穴部と前記回転規制リブとの係合は解除され、前記帯体は周方向に回転自在な状態となり、前記底壁部に、前記帯体に設けられた視認部を視認可能なことによって、前記内容物の残量を認識可能な残量認識部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の中皿上昇式吐出容器の一つの態様によれば、渦巻部が順次持ち上げられていくと、渦巻部のうち穴部が形成された所定部分も持ち上げられる。これにより、穴部が上方に移動し、穴部から回転規制リブが抜けて、穴部と回転規制リブとの係合が解除される。したがって、帯体は、周方向に回転自在な状態となる。この状態において、渦巻部がさらに持ち上げられると、帯体自体も周方向に回転する。そのため、残量認識部から視認可能な帯体の一部が異なる部分に変化する。すなわち、渦巻部がある程度持ち上げられると、残量認識部を介して視認できる帯体の一部が変化する。これにより、視認部が残量認識部を介して視認できなくなる、あるいは視認部が残量認識部を介して視認できるようになる。したがって、使用者は、視認部によって底壁部に設けられた残量認識部から視認できる帯体の状態を確認することで、渦巻部が持ち上げられた程度、すなわち内容物の残量を認識することができる。底壁部の下面は、中皿上昇式吐出容器を置く場合の接地面となるため、中皿上昇式吐出容器が置かれた状態においては、残量認識部は、使用者から視認されない。これにより、残量認識部が胴部に設けられる場合に比べて、中皿上昇式吐出容器の外観の見映えが悪化することを抑制できる。したがって、本発明の中皿上昇式吐出容器の一つの態様によれば、外観の見映えの悪化を抑制しつつ、内容物の残量を認識可能な中皿上昇式吐出容器が得られる。
【0008】
また、例えば、渦巻部が順次持ち上げられず、内周部よりも外周部が先に持ち上げられるような場合、渦巻部における穴部が形成された所定部分が先に持ち上げられる場合がある。このような場合、内容物の残量が所定の残量以下になる前に帯体が回転して残量認識部から視認可能な帯体の一部が周方向にずれ、使用者が内容物の残量を正しく認識することができない場合がある。これに対して、帯体上に渦巻部を順次上方へと繰出す通過孔が形成された帯押えが配置されている。そのため、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部の部分(穴部が形成された所定部分)は帯押えによって上方から押さえられ、持ち上げられることが抑制され、かつ、持ち上げられるべき渦巻部の部分は、通過孔を通って順次持ち上げられる。このように、内容物の残量の減少に応じて、渦巻部を内周部側から確実に持ち上げていくことができるため、穴部が形成された渦巻部の所定部分が、内容物の残量が所定の残量以下になる前に持ち上げられることを抑制できる。したがって、使用者は、内容物の残量を正しく認識することが可能となる。
【0009】
また、帯押えは、回転自在に配置されているため、渦巻部が持ち上げられるのに従って回転し、通過孔を介した渦巻部の繰出しを阻害することがない。また、渦巻部が持ち上げられるのに伴って帯押えが回転するため、突出部の周方向位置を渦巻部が持ち上げられた程度に応じて変化させることができる。これにより、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部の部分を突出部によって好適に押えることができる。
また、帯押えは、底部の係止リブによって上昇移動が規制されているため、渦巻部が持ち上げられて帯押えが上昇することが抑制される。これにより、帯押えによって、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部の部分を好適に押さえることができる。
【0010】
また、帯体は、穴部が形成された渦巻部の所定部分が上方に繰出される前の状態において、底部に配置された回転規制リブによって回転が規制されている。そのため、渦巻部が順次持ち上げられても、穴部が形成された渦巻部の所定部分が持ち上げられるまでは、帯体が回転することを抑制できる。これにより、内容物の残量が所定の残量以下になる前に帯体が回転して周方向にずれることを抑制できる。
【0011】
前記残量認識部は、前記底壁部を上下方向に貫通する窓孔部を備える構成としてもよい。
この構成によれば、窓孔部を介して帯体の一部を視認することができ、内容物の残量を認識することができる。
【0012】
前記残量認識部は、可視光を上下方向に透過させる透明部を備える構成としてもよい。
この構成によれば、使用者は、透明部を介して帯体の一部を視認することができ、内容物の残量を認識することができる。
【0013】
前記突出部は、周方向に沿って複数設けられている構成としてもよい。
この構成によれば、使用者は、渦巻部における穴部が形成された所定部分に対して、突出部の周方向位置を合わせて配置することが容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、外観の見映えの悪化を抑制しつつ、内容物の残量を認識可能な中皿上昇式吐出容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態の中皿上昇式吐出容器を示す一部縦断面図である。
図2図2は、本実施形態の中皿上昇行吐出容器の部分を示す一部縦断面図である。
図3図3は、本実施形態の中皿上昇式吐出容器を示す図であって、図2におけるIII−III断面図である。
図4図4は、本実施形態の中皿上昇式吐出容器を下側から視た底面図である。
図5図5は、本実施形態の帯体を上側から視た上面図である。
図6図6は、本実施形態の中皿上昇式吐出容器において、内容物が減少した状態を示す一部縦断面図である。
図7図7は、本実施形態の中皿上昇式吐出容器において、内容物が減少した状態を示す図であって、図6におけるVII−VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る中皿上昇式吐出容器について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0017】
本実施形態の中皿上昇式吐出容器1は、図1に示すように、内容物Wが収容される有底円筒状の容器体2と、容器体2に装着され容器体2内の内容物Wを吐出するポンプ3と、容器体2内に摺動可能に嵌合された中皿7と、ポンプ3を覆うオーバーキャップ8と、帯体30と、帯押え40と、を備える。
以下の説明においては、容器体2の中心軸線を容器軸Oと呼び、容器軸Oに沿う方向を上下方向と呼ぶ。容器体2を基準として上下方向に沿ってポンプ3が装着される側を上側と呼び、逆側を下側と呼ぶ。また、上下方向から視た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向と呼び、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0018】
容器体2は、上下方向両端に開口する円筒状の胴部5と、胴部5の下端部内に嵌合されて固定された底部12と、を備える。
胴部5には、内容物Wが収容される。胴部5は、外周面に雄ネジが形成された口部9と、口部9の下端に接続され口部9よりも大径の胴部本体10と、を備える。胴部5は、例えば、光を遮断可能な不透明な部材である。これにより、容器体2の外部から光が内容物Wに照射されることを抑制でき、内容物Wが劣化することを抑制できる。
【0019】
底部12は、図2に示すように、底壁部12aと、筒部12bと、複数の係止リブ12eと、を備える。また、底部12は、図3および図4に示すように、回転規制リブ12fを備える。
底壁部12aは、図4に示すように、容器軸Oと同軸に配置された円板状である。底壁部12aの上面には、図2に示すように、帯体30が配置されている。底壁部12aの外周端の上面は、胴部5の下端、すなわち胴部本体10の下端と接触している。底壁部12aには、底壁部12aを上下方向に貫通する貫通孔12cが形成されている。貫通孔12cは、図3および図4に示すように、周方向に沿って延びている。貫通孔12cは、周方向に沿って等間隔に複数形成されている。本実施形態において貫通孔12cは、例えば、6つ形成されている。
本実施形態において底壁部12aには、底壁部12aを上下方向に貫通する窓孔部12hが形成されている。窓孔部12hの底面視形状は、径方向に長い略長方形状である。窓孔部12hは、帯体30と上下方向に重なる位置に形成されている。
【0020】
筒部12bは、図2に示すように、底壁部12aの外周縁部から帯押え40よりも上方に突出している。筒部12bは、容器軸Oと同軸に配置された円筒状である。筒部12bは、底壁部12aの外周端よりも僅かに径方向内側に配置されている。筒部12bは、胴部5の下端部内に嵌合されている。筒部12bの外周面には径方向外側に突出する係合突起12dが形成されている。係合突起12dは、胴部本体10の内周面の下端部に形成された係合凹部10aに係合している。
【0021】
複数の係止リブ12eは、筒部12bにおいて帯押え40よりも上方に位置する部分から径方向内側に突出している。複数の係止リブ12eは、図4に示すように、周方向に沿って等間隔に配置されている。複数の係止リブ12eは、それぞれ複数の貫通孔12cと上面視で重なる位置に配置されている。本実施形態において係止リブ12eは、例えば、6つ設けられている。係止リブ12eの上面視形状は、略長方形状である。複数の係止リブ12eは、図2に示すように、帯押え40の外周縁部と上下方向に重なっている。複数の係止リブ12eは、帯押え40を上方から係止して帯押え40の上昇移動を規制している。
【0022】
回転規制リブ12fは、底壁部12aから上方に突出している。図4に示すように、本実施形態において回転規制リブ12fは、例えば、1つのみ設けられている。なお、回転規制リブ12fは、複数設けられていてもよい。
本実施形態において底部12は、単一の部材として形成されている。底部12は、不透明に着色されている。
【0023】
ポンプ3は、図1に示すように、胴部5の上部に装着されている。ポンプ3は、口部9に着脱可能に装着された装着キャップ13と、上方付勢状態で下方移動可能に支持されたステム15と、ステム15の上端に装着された押下ヘッド11と、ステム15の上下動に連係する筒状のピストン20と、内側にピストン20が上下摺動可能に嵌合されたシリンダ14と、ステム15に、ステム15から下方に向けて突出した状態で装着されたピストンガイド16と、ピストンガイド16内に嵌合される弁体17と、ピストンガイド16を介してステム15を上方に向けて付勢する付勢部材21と、を備える。そして、装着キャップ13、ステム15、押下ヘッド11、ピストン20、シリンダ14、ピストンガイド16、弁体17および付勢部材21は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0024】
装着キャップ13は、口部9に螺着された装着筒部13eと、装着筒部13eの内周面に径方向内側に向けて突設されたフランジ部13dと、フランジ部13dの内周縁部に上方に向けて突設された外筒部13cと、外筒部13cの径方向内側に配置された内筒部13aと、外筒部13cおよび内筒部13aそれぞれの上端同士を連結する連結板部13bと、を備える。
【0025】
装着筒部13eの内周面には、口部9に形成された雄ねじに螺着される雌ねじが形成されている。またフランジ部13dは、装着筒部13eの内周面において雌ねじよりも上方に位置する部分に設けられている。なお図示の例では、フランジ部13dの下面と口部9の上端面との間には、両者間を液密に封止する円環状のパッキン23が介在している。
【0026】
シリンダ14は、上方から下方に向けて段状に縮径する多段の円筒状に形成されている。シリンダ14は、上端部が装着キャップ13の外筒部13cと内筒部13aとの間に嵌入されて装着キャップ13に組み付けられている。
押下ヘッド11は、下方に向けて押込み可能である。押下ヘッド11は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。押下ヘッド11には、内容物Wの吐出孔11aが形成されている。吐出孔11aは、押下ヘッド11から径方向外側に突出したノズル部11bの先端に形成されている。ノズル部11bは、押下ヘッド11の下降移動時に、先端に設けられた吐出孔11aを介して内容物Wを吐出する。なお、図1においては、押下ヘッド11が押し下げられた際のノズル部11bの位置を二点鎖線で示している。
【0027】
ステム15は、装着キャップ13の内筒部13aに上下摺動可能に嵌合されている。ステム15内には、逆止弁22が設けられている。図1において逆止弁22は、ボール弁である。逆止弁22は、ステム15内における内容物Wの流れのうち、下側から上側への内容物Wの流れを許容し、上側から下側への内容物Wの流れを遮断する。
ピストン20は、シリンダ14内に上下摺動可能に嵌合されている。
ピストンガイド16は、ピストン20が上下摺動可能に外嵌される筒状である。ピストンガイド16には、ピストンガイド16内とシリンダ14内とを連通する連絡孔16aが形成されている。図1の状態においては、連絡孔16aは、ピストン20によって閉塞されている。
【0028】
弁体17は、ピストンガイド16内に密に上下摺動可能に嵌合される上部弁体18と、シリンダ14の下端開口部14aを開閉する下部弁体19と、を備える。
付勢部材21は、シリンダ14内に配設されている。付勢部材21は、ピストンガイド16の下端に下側から接触し、ピストンガイド16を上側に向けて付勢している。図1では、付勢部材21は、圧縮バネである。
【0029】
中皿7は、胴部5内に摺動可能に嵌合され、内容物Wの吐出時に胴部5内を上昇する。
図1から図4においては、内容物Wが吐出されておらず、中皿7が最も下方に位置する状態を示している。図5においては、図1から図4の状態における帯体30を示している。図6および図7においては、内容物Wがある程度吐出されて減少し、中皿7がある程度上昇した場合を示している。以下の説明においては、図1から図4に示す状態を、未使用状態と呼ぶ。
【0030】
中皿7は、容器軸Oと同軸に配置されている。中皿7は、図2に示すように、胴部本体10内に摺動可能に嵌合された摺動筒4と、摺動筒4の内側を塞ぎ、胴部5内を上側の液室5Aと下側の下側空間5Bとに仕切る仕切り壁6と、を備える。液室5Aは、図1に示すように、中皿7の上面、胴部5の内面、シリンダ14の外面およびパッキン23の下面によって画成されている。液室5A内は液密に封止されている。液室5A内には、内容物Wが充填されている。下側空間5Bは、底壁部12aに形成された貫通孔12cを通じて、容器体2の外部と連通している。
【0031】
摺動筒4は、胴部本体10の下端部内に嵌合されており、上下方向の中間部分が径方向内側に若干凹み、上端部および下端部が全周にわたって胴部本体10の内周面に液密かつ上下摺動可能に当接している。図2では、摺動筒4の下端は、底部12の筒部12bと上下方向に隙間を空けて対向している。
【0032】
仕切り壁6は、外周縁部が摺動筒4の内周面に連結された円環状の上壁部25と、上端が上壁部25の内周縁部に連結されるとともに上方から下方に向かうに従い漸次縮径された連結周壁部26と、連結周壁部26の下端開口を塞ぐ円板状の下壁部27と、を備える。上壁部25、連結周壁部26および下壁部27は、いずれも容器軸Oと同軸に配置されている。
連結周壁部26の内径は、シリンダ14の下端が下壁部27に当接するまでシリンダ14が連結周壁部26内に進入可能な大きさとなっている。
【0033】
中皿7の下面、より詳細には下壁部27の下面の外周縁部には、下方に向けて延びる被支持筒部28が容器軸Oと同軸に配置されている。被支持筒部28の下端は、未使用状態において、帯体30の上面と接触している。
中皿7の下面、より詳細には下壁部27の下面には、下方に突出する係合爪部29が配置されている。係合爪部29の下端部には、径方向内側に突出する爪部29aが設けられている。係合爪部29は、例えば、容器軸Oと同軸に配置された筒状である。なお、係合爪部29は、周方向に沿って複数設けられていてもよい。
【0034】
帯体30は、底部12に配置されている。より詳細には、帯体30は、底壁部12aの上面に配置されている。帯体30は、図5に示すように、円環部31と、渦巻部32と、連結部33と、を備える。
円環部31は、容器軸Oと同軸に配置された略円環板状である。円環部31の径方向外端は、図2に示すように、底部12の係止リブ12eと上下方向に重なっている。円環部31の内周縁は、図5に示されるような上面視において、一方の周端縁および他方の周端縁が、径方向の位置を互いに異ならせて、同じ周方向の位置に位置し、これらの両周端縁同士が、径方向に延びる不連続部31bを介して接続された形状となっている。一方の周端縁は、他方の周端縁より径方向の外側に位置し、円環部31の内周縁は、周方向に沿って一方の周端縁側から他方の周端縁側に向かうに従い漸次縮径している。図示の例では、円環部31の内周縁は、一方の周端縁側から他方の周端縁側に向けて、上面視において容器軸Oを中心に時計回りに延びている。
【0035】
渦巻部32は、上面視で渦巻状を呈するように巻回されている。渦巻部32は、円環部31の径方向内側に配置されている。より詳細には、渦巻部32は、円環部31の内周縁における不連続部31bに接続された外側周端部32aから、上面視において容器軸Oを中心として時計回りに周方向に沿って、帯体30の中心に近づくように渦巻状に巻回されている。円環部31の内側周端部32bは、帯体30の中央に位置している。渦巻部32は、帯状であり、渦巻部32の幅は、ほぼ均一である。
【0036】
渦巻部32の最外周の一巻は、円環部31の内周縁に沿って、円環部31の内周縁と隣接して配置されている。渦巻部32の最外周よりも内側に位置する一巻は、それぞれ外側に隣り合う渦巻部32の一巻の内周縁に沿って、外側に隣り合う渦巻部32の一巻と隣接して配置されている。渦巻部32は、円環部31の径方向内側に、ほぼ隙間なく敷き詰められており、円環部31と渦巻部32とを合わせた形状は、未使用状態において、略円板状である。渦巻部32は、例えば、円板に渦巻状の切込みを加工することによって作製される。
【0037】
連結部33は、図2に示すように、渦巻部32の内側周端部32bに上方に向けて突設されている。連結部33の上端部には、径方向外側に突出する係合突起33aが設けられている。連結部33は、係合突起33aが中皿7における係合爪部29の爪部29aに係合されて中皿7と連結されている。本実施形態において連結部33は、容器軸Oと同軸に配置された円柱状であり、係合突起33aは、連結部33の全周に亘って設けられている。
【0038】
図5に示すように、帯体30における渦巻部32の所定部分には、穴部32cが形成されている。本実施形態において穴部32cは、渦巻部32の最外周の一巻に形成されている。より詳細には、穴部32cは、渦巻部32の最外周の一巻のうち、外側周端部32aの近傍に形成されている。穴部32cが形成された渦巻部32の所定部分は、後述する通過孔50を介して上方に繰出される部分である。穴部32cは、例えば、帯体30(渦巻部32)を上下方向に貫通している。穴部32cは、周方向に長い長円形状である。図2に示すように、穴部32cが形成された渦巻部32の所定部分が通過孔50を介して上方に繰出される前の状態において、穴部32cの内側には底部12の回転規制リブ12fが係合されて、帯体30の周方向の回転が規制されている。
【0039】
図5に示すように、帯体30には、着色部(視認部)31aが設けられている。着色部31aは、帯体30の他の部分と色が異なる部分である。着色部31aは、円環部31に設けられている。より詳細には、着色部31aは、渦巻部32における内側周端部32b側から外側周端部32a側に向かう巻回方向(略周方向)において、不連続部31bの前側に設けられている。図4に示すように、着色部31aは、未使用状態において窓孔部12hと上下方向に重なる位置に配置されている。着色部31aは、未使用状態において窓孔部12hを介して底壁部12aの下面から視認可能である。
【0040】
なお、本実施形態において、渦巻部32における内側周端部32b側から外側周端部32a側に向かう巻回方向の前側とは、巻回方向のうち、図5のような上面視において容器軸Oを中心とする反時計回りに進む側である。また、渦巻部32における内側周端部32b側から外側周端部32a側に向かう巻回方向の後側とは、巻回方向のうち、図5のような上面視において容器軸Oを中心とする時計回りに進む側である。
【0041】
帯押え40は、図2に示すように、帯体30上に配置されている。帯押え40は、図3に示すように、中央に帯押え40を上下方向に貫通する通過孔50が形成され、容器軸Oと同軸に配置された円板状である。帯押え40は、上述したように係止リブ12eによって上昇移動が規制された状態で、容器軸O周りに回転自在に配置されている。図2に示すように、帯押え40の外周端の径方向位置は、帯体30の外周端の径方向位置とほぼ同じである。
【0042】
通過孔50は、連結部33を挿通させる。図3に示すように、通過孔50の上面視形状は、容器軸Oと同軸に配置された円形状である。通過孔50の内周縁は、渦巻部32の外周縁よりも径方向外側に位置している。
【0043】
帯押え40には、通過孔50の内周縁部から径方向内側に突出する突出部41が形成されている。本実施形態において突出部41は、周方向に沿って複数設けられている。複数の突出部41は、一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態では、突出部41は、例えば、6つ設けられている。突出部41は、渦巻部32における内側周端部32b側から外側周端部32a側に向かう巻回方向(略周方向)の後側に向かうに従って、径方向における通過孔50の内周縁部からの突出高さが大きくなる。突出部41における前記巻回方向の両端縁のうち前記巻回方向の後側の端縁は、径方向に直線的に延びる帯当接部42である。
【0044】
突出部41の径方向内側の端部は、渦巻部32と上下方向に重なる。本実施形態において突出部41の径方向内側の端部は、渦巻部32の最外周の一巻、あるいは渦巻部32の最外周の一巻の内側に隣り合う一巻と上下方向に重なる。これにより、未使用状態において、帯押え40は、渦巻部32の最外周の一巻、および渦巻部32の最外周の一巻の内側に隣り合う一巻の上方に位置する。
【0045】
本実施形態の中皿上昇式吐出容器1においては、図4に示すように、底部12の底壁部12aに、残量認識部60が設けられている。残量認識部60は、帯体30に設けられた視認部としての着色部31aを視認可能なことによって、内容物Wの残量を認識可能とする部分である。
なお、本明細書において、残量認識部において、帯体に設けられた視認部を視認可能とは、中皿上昇式吐出容器が未使用状態から内容物Wが空になる状態までの間のいずれかのタイミングにおいて、視認部が視認可能であることを含む。すなわち、中皿上昇式吐出容器における内容物Wの残量次第では、残量認識部において、視認部が視認できない状態となる場合を含んでいてもよい。また、視認部が視認できる状態と視認部が視認できない状態とは、中皿上昇式吐出容器が未使用状態から内容物Wが空になる状態までの間において、いずれのタイミングにおいて設けられてもよい。
【0046】
本実施形態において残量認識部60は、窓孔部12hである。使用者は、底壁部12aの下面から、窓孔部12hを介して、帯体30を視認可能である。より詳細には、使用者は、窓孔部12hを介して、帯体30のうち円環部31を視認可能である。未使用状態において使用者は、窓孔部12hを介して円環部31のうちの着色部31aを視認可能である。
【0047】
次に、以上のように構成された図1に示す中皿上昇式吐出容器1から内容物Wを吐出する方法について説明する。
まず、オーバーキャップ8を外す。
次に、押下ヘッド11を押下してステム15をシリンダ14に対して下降移動させる。これにより、ピストンガイド16に形成された連絡孔16aが開放され、かつシリンダ14の下端開口部14aが閉塞された状態で、ピストン20がシリンダ14内を下降移動する。その結果、シリンダ14内の内容物Wが加圧されて移送され、シリンダ14内の内容物Wが連絡孔16a、ピストンガイド16内、およびステム15内を通じて押下ヘッド11の吐出孔11aから吐出される。
【0048】
その後、押下ヘッド11の押下を解除したときに、連絡孔16aが閉塞され、かつシリンダ14の下端開口部14aが開放された状態で、ピストン20がシリンダ14内を上昇する。より詳細には、付勢部材21の上方付勢力によりシリンダ14内のピストン20がシリンダ14内を上方に復元移動する。これにより、シリンダ14内が負圧化され、液室5A内に収容されている内容物Wがシリンダ14内に流入する。液室5A内の内容物Wがシリンダ14内に流入すると、液室5A内の内容物Wが減少するため、液室5A内が負圧化する。この負圧によって、中皿7が液室5A側(上側)に引き上げられ、中皿7は、摺動筒4が胴部5の内周面に摺接しながら上昇移動する。これにより、液室5A内の容積が減少し、液室5A内に生じる圧力変化を補償することができる。また、このとき、液室5Aはパッキン23と中皿7の摺動筒4とによって液密に封止されているため、液室5A内に外気は流入しない。したがって、中皿7の上昇移動によって、液室5A内に外気を流入させずに、液室5A内の圧力変化を補償することができる。その結果、液室5A内が負圧状態となることを抑制して良好な吐出動作を維持できるとともに、内容物Wが外気に触れて劣化することを抑制できる。
【0049】
以上のように押下ヘッド11の押下および解除を繰り返して内容物Wを吐出させていくと、内容物Wの減少に応じて、中皿7は徐々に上方に移動する。中皿7は、仕切り壁6における下壁部27の上面がシリンダ14の下端に当接することで上昇移動が規制されるようになっている。
なお、本実施形態では、底壁部12aに貫通孔12cが形成され、貫通孔12cを通じて胴部5内の下側空間5Bが容器体2の外部と連通しているため、中皿7が上昇移動して下側空間5Bの容積が大きくなっても、下側空間5B内が負圧化することを抑制できる。
【0050】
中皿7が上昇移動すると、図6に示すように、中皿7に連結された連結部33を介して渦巻部32が、通過孔50を通って内側周端部32b側から順次上方に持ち上げられていく。すなわち、帯体30は、中皿7の上昇移動に伴い、通過孔50を順次通過して上方に繰出される。
渦巻部32が持ち上げられる際、内側周端部32bから外側周端部32a側に向けて3巻程度までの渦巻部32の内周部は、通過孔50における突出部41よりも径方向内側の部分と上下方向に重なっているため、通過孔50を通って順次、帯押え40よりも上方に持ち上げられる。
【0051】
そして、渦巻部32が、上方に突出部41が配置されている部分の手前まで持ち上げられると、渦巻部32が、突出部41の端縁、すなわち帯当接部42と接触する。この状態で、中皿7がさらに上昇移動すると、図7に示すように、帯当接部42を介して渦巻部32から帯押え40に周方向の力が加えられる。図7では、上面視において容器軸Oを中心として反時計回りの向きに帯押え40に力が加えられる。帯押え40は回転自在に配置されているため、周方向の力が加えられることで、容器軸O周りに回転する。これにより、帯当接部42と接触する渦巻部32が、通過孔50を通って順次、帯押え40の上方に持ち上げられる。このようにして、渦巻部32は、中皿7の上昇移動に応じて、内側周端部32bから順に持ち上げられていく。なお、渦巻部32が持ち上げられるのに従って、帯当接部42のうち渦巻部32が当接する部分の位置は、径方向外側へと変化する。
【0052】
上述したようにして渦巻部32が順次持ち上げられていくと、渦巻部32のうち穴部32cが形成された所定部分も持ち上げられる。これにより、穴部32cが上方に移動し、穴部32cから回転規制リブ12fが抜けて、穴部32cと回転規制リブ12fとの係合が解除される。したがって、帯体30は、周方向に回転自在な状態となる。この状態において、渦巻部32がさらに持ち上げられると、帯体30自体も周方向に回転する。そのため、底壁部12aに対して着色部31aの周方向の位置がずれて、着色部31aが窓孔部12hと上下方向に重ならない位置に移動する。これにより、窓孔部12hと上下方向に重なる部分は、帯体30における着色部31a以外の部分となる。したがって、渦巻部32がある程度持ち上げられると、窓孔部12hを介して視認できる帯体30の色が変化し、使用者は、色の違いとして、渦巻部32が持ち上げられた程度、すなわち内容物Wの残量を認識することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、底壁部12aに設けられた残量認識部60によって、使用者は、内容物Wの残量を認識することができる。底壁部12aの下面は、中皿上昇式吐出容器1を置く場合の接地面となるため、中皿上昇式吐出容器1が置かれた状態においては、残量認識部60は、使用者から視認されない。これにより、残量認識部60が胴部5に設けられる場合に比べて、中皿上昇式吐出容器1の外観の見映えが悪化することを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、外観の見映えの悪化を抑制しつつ、内容物の残量を認識可能な中皿上昇式吐出容器1が得られる。
【0054】
また、本実施形態のように、残量認識部60が窓孔部12hであることで、使用者は、内容物Wの残量が所定の残量になったことを簡単に認識できる。具体的には、穴部32cを、内容物Wの残量が所定の残量になったときに持ち上げられる渦巻部32の所定部分に形成する。これにより、穴部32cが形成された所定部分が持ち上げられて、着色部31aが周方向にずれることで、使用者は、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを認識できる。本実施形態の穴部32cは、内容物Wの残量が僅かとなった場合に持ち上げられる渦巻部32の所定部分に形成されているため、使用者は、中皿上昇式吐出容器1の交換時期を簡単に認識することができる。
【0055】
また、例えば、渦巻部32が順次持ち上げられず、内周部よりも外周部が先に持ち上げられるような場合、渦巻部32における穴部32cが形成された所定部分が先に持ち上げられる場合がある。このような場合、内容物Wの残量が所定の残量以下になる前に帯体30が回転して着色部31aが周方向にずれ、使用者が内容物Wの残量を正しく認識することができない場合がある。これに対して、本実施形態によれば、帯体30上に渦巻部32を順次上方へと繰出す通過孔50が形成された帯押え40が配置されている。そのため、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部32の部分(穴部32cが形成された所定部分)は帯押え40(突出部41)によって上方から押さえられ、持ち上げられることが抑制され、かつ、持ち上げられるべき渦巻部32の部分は、通過孔50を通って順次持ち上げられる。このように、内容物Wの残量の減少に応じて、渦巻部32を内周部側から確実に持ち上げていくことができるため、穴部32cが形成された渦巻部32の所定部分が、内容物Wの残量が所定の残量以下になる前に持ち上げられることを抑制できる。したがって、使用者は、内容物Wの残量を正しく認識することが可能となる。
【0056】
また、帯押え40は、回転自在に配置されているため、渦巻部32が持ち上げられるのに従って回転し、通過孔50を介した渦巻部32の繰出しを阻害することがない。また、渦巻部32が持ち上げられるのに伴って帯押え40が回転するため、突出部41の周方向位置を渦巻部32が持ち上げられた程度に応じて変化させることができる。これにより、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部32の部分を突出部41によって好適に押えることができる。
また、帯押え40は、底部12の係止リブ12eによって上昇移動が規制されているため、渦巻部32が持ち上げられて帯押え40が上昇することが抑制される。これにより、帯押え40によって、まだ持ち上げられるべきではない渦巻部32の部分を好適に押さえることができる。
【0057】
また、帯体30は、穴部32cが形成された渦巻部32の所定部分が上方に繰出される前の状態において、底部12に配置された回転規制リブ12fによって回転が規制されている。そのため、渦巻部32が順次持ち上げられても、穴部32cが形成された渦巻部32の所定部分が持ち上げられるまでは、帯体30が回転することを抑制できる。これにより、内容物Wの残量が所定の残量以下になる前に帯体30が回転して着色部31aが周方向にずれることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、残量認識部60は、窓孔部12hを備えているため、窓孔部12hを介して着色部31aを視認することができ、内容物Wの残量を認識することができる。
また、本実施形態によれば、突出部41は、周方向に沿って複数設けられている。そのため、渦巻部32における穴部32cが形成された所定部分に対して、突出部41の周方向位置を合わせて配置することが容易である。
【0058】
なお、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
渦巻部32における各一巻は、隣り合う一巻と接触していなくてもよい。突出部41の数は、特に限定されない。突出部41は、1つのみ設けられてもよい。また、底部12は、底壁部12aと筒部12bとが別部材であってもよい。
【0059】
また、着色部31aは、渦巻部32に設けられてもよい。この場合、着色部31aは、渦巻部32のうち穴部32cが形成された所定部分よりも、巻回方向の前側に設けられる。また、上記の実施形態では、視認部を着色部31aとしたがこれに限られない。視認部は、帯体30が回転して残量認識部60から視認できる帯体30の一部が変化したことを使用者が認識できるならば、特に限定されない。視認部は、例えば、帯体30に設けられた認識マークであってもよい。この場合、例えば、帯体30が周方向にずれて認識マークが窓孔部12hから視認できなくなった場合に、使用者は、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを認識できる。また、視認部は、帯体30に設けられた切り欠きであってもよい。
また、例えば、帯体30が回転した場合に、帯体30が残量認識部60から視認できなくなってもよい。この場合、帯体30が回転する前に残量認識部60から視認できていた帯体30の部位が視認部に相当する。この場合、使用者は、帯体30が残量認識部60から視認できなくなった場合に、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを認識できる。また、帯体30が回転する前においては帯体30が残量認識部60から視認できず、帯体30が回転することで帯体30の一部が残量認識部60から視認できる構成であってもよい。この場合、使用者は、帯体30が残量認識部60から視認できるようになった場合に、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを認識できる。
【0060】
また、上記の実施形態では、視認部(着色部31a)が残量認識部60(窓孔部12h)から視認できなくなった場合に、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを使用者が認識できる構成としたが、これに限られない。例えば、視認部(着色部31a)が残量認識部60(窓孔部12h)から視認できるようになった場合に、内容物Wの残量が所定の残量以下になったことを使用者が認識できる構成としてもよい。この場合、視認部は、穴部32cが回転規制リブ12fから外れて帯体30が周方向にずれた場合に窓孔部12hを介して視認できる帯体30の一部に設けられる。
【0061】
また、残量認識部60は、窓孔部12hの代わりに、可視光を上下方向に透過させる透明部を備えてもよい。この場合、使用者は、透明部を介して着色部31aを視認可能である。透明部は、例えば底壁部の一部が透明な材質で構成されることで設けられる。
なお、本明細書において、ある部材が可視光を透過させるとは、可視光の少なくとも一部が、ある部材を透過し、ある部材を隔てて配置された他の部材の少なくとも一部を視認可能であることを含む。
【0062】
また、穴部32cは、渦巻部32に設けられるならば、渦巻部32のいずれの位置に形成されてもよい。穴部32cが形成される位置を調整することで、帯体30の回転規制が解除される際の内容物Wの残量を調整することができ、残量認識部60を介して使用者が認識できる内容物Wの残量を調整できる。具体的には、例えば穴部32cの位置を渦巻部32における巻回方向の中央に設けることで、使用者は、残量認識部60を介して内容物Wが半分以下となったことを認識できる。
【0063】
また、例えば、オーバーキャップ8、底部12およびパッキン23はなくてもよい。
また、中皿7の摺動筒4は、容器体2内に摺動可能に嵌合されるものであれば、上記実各施形態に示したものに限られるものではなく、例えば、摺動筒4の外周面全体が胴部5の内周面に当接したり、摺動筒4の外周面の一部のみに全周にわたる当接部を形成したりしてもよい。
さらに、中皿7の仕切り壁6は、摺動筒4の内側を塞ぎ、胴部5内を上側の液室5Aと下側の下側空間5Bとに仕切るものであれば、上記各実施形態に示したものに限られるものではなく、例えば、摺動筒4の内側を塞ぐ円板状体であってもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、ポンプ3は、装着キャップ13を備えているものとしたが、ポンプ3が容器体2に組み付けられれば、装着キャップ13はなくてもよい。また、装着キャップ13を備える場合であっても、上記各実施形態に示すものに限られるものではない。
【0065】
また、上記説明した各実施形態の胴部に収容される内容物は、流動性を有し吐出可能な物質であれば、特に限定されない。
また、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…中皿上昇式吐出容器、2…容器体、3…ポンプ、5…胴部、7…中皿、11…押下ヘッド、11a…吐出孔、12…底部、12a…底壁部、12b…筒部、12e…係止リブ、12f…回転規制リブ、12h…窓孔部、15…ステム、29…係合爪部、30…帯体、31a…着色部(視認部)、32…渦巻部、32b…内側周端部、32c…穴部、33…連結部、41…突出部、50…通過孔、60…残量認識部、W…内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7