(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942010
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】車両用外装部材の取付け構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/56 20060101AFI20210916BHJP
B60R 19/24 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
B60R19/56
B60R19/24 R
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-169435(P2017-169435)
(22)【出願日】2017年9月4日
(65)【公開番号】特開2019-43399(P2019-43399A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176707
【氏名又は名称】三菱アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】田坂 直樹
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−220765(JP,A)
【文献】
特開2006−088905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00−19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の車幅方向の両側の側壁面に固定され、下方向かつ車両前後方向後方に伸長し車幅方向外側に曲がる曲がり部を少なくとも1つ以上有して他端側で外装部材に取り付けられるステー部材を備え、
前記ステー部材は、下方側が上方側より車幅方向外側に傾斜するように下方向に伸張しており、前記他端側が外装部材の縦面に取り付けられており、外装部材に対する上部側の取付位置が下部側の取り付け位置よりも車幅方向内側に位置しており、
前記ステー部材は、幅方向両端部に、少なくとも外側に伸びるフランジ部が設けられており、
前記ステー部材の外装部材に対する取付側先端に両側のフランジ部に亘る補強板が設けられており、
前記補強板は、前記ステー部材のフランジ部間のステー板面に対向する補強板面壁と補強板面壁とフランジ部に連なる少なくとも1つの側面壁とを有し、補強板面壁と両フランジ部に至る距離が上部側が下部側よりも大きくなるようにして外装部材への取付状態において補強板面壁が上下方向に沿うように位置していることを特徴とする車両用外装部材の取付け構造。
【請求項2】
前記ステー部材は、外装部材の取付側に近い曲がり部と外装部材の取付側先端との間が下方向かつ車両前後方向後方に直線的に伸張しており、取付の対象となる車両の種類に応じて直線的に伸張する部位の長さが設定されていることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項3】
前記補強板面壁とそれぞれのフランジ部との距離が大きい上部側で、前記側面壁によって前記補強板と前記フランジ部とを固定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項4】
前記ステー部材が車幅方向に二つ配置されて、両ステー部材の一方側の取り付け位置における間隔W0と、両ステー部材の他方側の取り付け位置における間隔W1が、W0<W1の関係を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項5】
前記フランジ部は、前記ステー部材の形状に沿った形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項6】
少なくとも車両前後方向前側のフランジ部に、フランジの長手方向に沿ってリンフォース材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項7】
前記リンフォース材は、前記ステー部材の形状に沿った形状を有し、前記ステー部材の少なくとも一つの曲がりを跨いだ形状を有することを特徴とする請求項6記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項8】
前記リンフォース材は、側部一端側が前記フランジ部に固定され、側部他端側が前記フランジ部と間隔をおいて前記ステー部材に固定されて前記フランジ部の少なくとも一部で閉口化がなされていることを特徴とする請求項6または7に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項9】
前記リンフォース材は、リンフォース材が設けられた前記フランジ部の全長に対し、50%以上の長さを有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【請求項10】
前記ステー部材と前記フランジ部と一体成形されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用外装部材の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外装部材を車両本体に取り付けるための車両用外装部材の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車高の高い車両には、車高の低い乗用車等が衝突した際の潜り込みを防止するために、車両の下方位置に車両用外装部材が設けられている。車両用外装部材は、車両本体におけるサイドレールと連結するステー部材などによって取り付けられる。
ところで、外装部材に衝突などによって応力が加わった際に、所望の荷重分布が生じるのが望ましいとされており、各重量と潜り込み性能とのバランスから設計の最適化を考慮する必要がある。すなわち、道路運送車両の保安基準第18条の2、突入防止装置の技術基準 細目を定める告知によれば、外装部材の両外側と中央部では荷重が小さく、中央部のやや外側では、荷重が大きくなるのが好ましく、国によって車両の基準として規格化がなされている場合もある。
【0003】
上記荷重分布を、
図9に示す。
図9では、車両本体側のサイドレール100の側壁にそれぞれ、側壁の延長面上に配置されたステー部材130の一端が下向きに取り付けられ、ステー部材130の他端側に外装部材110が取り付けられる。この構造において、外装部材側から衝突などによって応力が加わると、材料の強度設計などに基づいて好適な荷重分布に近い状態が得られるようにしている。しかし、中央部およびその外側近傍で、好適な荷重分布にすると、外装部材両端側の荷重が不足する状態になる。一方、最弱部であるP1負荷を強度的に満足するよう設計するためには、ステー部材全体を肉厚化させる必要があり、その場合、中央部およびその外側近傍で荷重が大きくなり、過剰スペックの状態になり、最適設計の観点から適さない。
【0004】
従来技術である特許文献1では、ステー部材に相当するサポート部材で外装部材を支持し、サポート部材は、上記車体フレームに接合して取り付けられる第一取付部と、第一取付部よりも下方に位置して外装部材に接合して取り付けられる第二取付部と、これら第一取付部及び第二取付部の間に位置する中間部とを有し、第二取付部を第一取付部に対して車幅方向外側に離間させるために、上記中間部を第一取付部の下端部から斜め下方に延出するように車幅方向外側に屈曲したものが提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、取付ブラケットが、縦長長方形状の板材とその長方形状の板材の側縁下部から一体に延びた四角形状の板材で形成されると共にその四角形状の板材を直角に折り曲げて形成された縦長長方形状のステー板とそのステー板から車幅方向外側に延びると共にプロテクタ本体を支持する取付片とで構成され、ステー板の上部には、ステー板を上記フレームの側面にボルトやリベットで固定するための取付穴が形成される。取付片と反対方向のステー板の上下縁に沿って、そのステー板とで水平断面T字状となるようにサポート板が設けられ、かつ、上記取付片とサポート板間にステー板に沿って水平に延びるように設けられると共に取付片とサポート板を連結する上下のリブが設けられて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−088905号公報
【特許文献2】特開2008−062838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術の工夫によっても荷重をバランスよく、または過剰スペックとならないように分布させることが難しく、衝突側に不適正な荷重分布で応力が加わるなどして適正な基準を満たすことができないという問題がある。
【0008】
さらに、輸送トラックは、排気量や車体重量等の違いから「大型」「中型」「小型」等に大きく区別されている。骨格であるサイドレールにも長さ・幅・高さ違いが数種類存在しており、サスペンションやタイヤ等も異なる。以上の理由に加え、安全保安部品(ライセンスプレート・保護器・表示器・反射板・・)等との配置関係から、外装部品の取付位置は、車種によって多様である。保安基準により、バンパ(外装部品)下端部の地上高が定められており、また、各車両メーカー設計により、走行時の車体傾きや道路形状を考慮して下限が定められており、その領域内で変化させることができる。
これに伴い、ステー製作型も多種を準備しなければならず、段取変えの時間やコスト、型保管の観点でみて非効率的である。ステー製作型数を最小限に抑え、製作時の切り替えや段取り工数を削減することも必要である。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、応力の負荷に対し、適正な荷重分布を得ることができる、車両用外装部材の取付け構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用外装部材の取付け構造のうち、第1の形態は、車両本体の車幅方向の両側の側壁面に固定され、下方向かつ車両前後方向後方に伸長し車幅方向外側に曲がる曲がり部を少なくとも1つ以上有して他端側で外装部材に取り付けられるステー部材を備え、
前記ステー部材は、下方側が上方側より車幅方向外側に傾斜するように下方向に伸張しており、前記他端側が外装部材の縦面に取り付けられており、外装部材に対する上部側の取付位置が下部側の取り付け位置よりも車幅方向内側に位置しており、
前記ステー部材は、幅方向両端部に、少なくとも外側に伸びるフランジ部が設けられており、
前記ステー部材の外装部材に対する取付側先端に両側のフランジ部に亘る補強板が設けられており、
前記補強板は、前記ステー部材のフランジ部間のステー板面に対向する補強板面壁と補強板面壁とフランジ部に連なる少なくとも1つの側面壁とを有し、補強板面壁と両フランジ部に至る距離が
上部側が下部側よりも大きくなるようにして外装部材への取付状態において補強板面壁が上下方向に沿うように位置していることを特徴とす
る。
【0011】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記ステー部材は、外装部材の取付側に近い曲がり部と外装部材の取付側先端との間が下方向かつ車両前後方向後方に直線的に伸張しており、取付の対象となる車両の種類に応じて直線的に伸張する部位の長さが設定されていることを特徴とする。
【0012】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記補強板面壁とそれぞれのフランジ部との距離が大きい
上部側で、前記側面壁によって前記補強板と前記フランジ部とを固定することを特徴とする。
【0013】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記ステー部材が車幅方向に二つ配置されて、両ステー部材の一方側の取り付け位置における間隔W0と、両ステー部材の他方側の取り付け位置における間隔W1が、W0<W1の関係を有することを特徴とする。
【0014】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記フランジ部は、前記ステー部材の形状に沿った形状を有することを特徴とする。
【0015】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、少なくとも車両前後方向前側のフランジ部に、フランジの長手方向に沿ってリンフォース材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記リンフォース材は、前記ステー部材の形状に沿った形状を有し、前記ステー部材の少なくとも一つの曲がりを跨いだ形状を有することを特徴とする。
【0017】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記リンフォース材は、側部一端側が前記フランジ部に固定され、側部他端側が前記フランジ部と間隔をおいて前記ステー部材に固定されて前記フランジ部の少なくとも一部で閉口化がなされていることを特徴とする。
【0018】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記リンフォース材は、リンフォース材が設けられた前記フランジ部の全長に対し、50%以上の長さを有することを特徴とする。
【0019】
他の形態の車両用外装部材の取付け構造は、前記形態の本発明において、前記ステー部材と前記フランジ部と一体成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、衝突時に、適正な分布に応じた適正な荷重分布を得ることが可能になり、最も不利であるバンパ端部負荷(P1点)において、ステー直上に作用する曲げモーメントMを小さくでき荷重ピークが向上し保安基準を満たし、車両幅方向全域にわたって潜り込み防止効果のバランスが良い。
【0021】
また、外装部品の両端部側に乗用車が衝突した時に、外装部品に働く作用点とステー部材に働く反作用点との間の距離を小さくする(図に示すL長を短くできる)ため、ステー部材の外装部材接触部外側にかかるモーメントは小さくなり、結果 潜り込み防止性能が向上するという効果がある。
【0022】
さらに、補強板が、前記ステー部材のフランジ部間のステー板面に対向する補強板面壁と補強板面壁とフランジ部に連なる少なくとも1つの側面壁とを有し、補強板面壁と両フランジ部に至る距離が互いに異なるようにして外装部材への取付状態において補強板面壁が上下方向に沿うように位置しているので、P1負荷に影響の大きい支持線を外方に位置させやすく、荷重分布をより適正にすることができる。補強板面壁を上下に沿わせるためには板厚を大きくせざるを得ない上部フランジを延長させる方法もあるが、過剰スペックで重量が増加するため適さない。本発明であれば、上部側のフランジ部の余肉増加を小さくして、取付構造の重量増加を抑えることができる。
【0023】
また、ステー部材が車幅方向に二つ配置されて、両ステー部材の前記一方側の取り付け位置における間隔W0と、両ステー部材の前記他方側の取り付け位置における間隔W1が、W0<W1の関係を有しているのが望ましく、さらには、W0とW1とは、W1>W0*1.2の関係を有するのが一層望ましい。
【0024】
また、リンフォース材を設ける形態では、ステー部材に作用するねじれ変形を抑制する効果ももたらす。さらに、リンフォース材が前記ステー部材の形状に沿った形状を有し、前記曲がりを跨いだ形状を有しているのが望ましく、これにより、ステー本体の曲がり部に集中する応力を分散させ潜り込み防止性能を発揮するという効果がある。
【0025】
また、フランジ部は、車両方向前後方向外側のフランジ部で前記一方側の取付面先端側に伸長し、車両方向前後方向内側のフランジ部で前記一方側の取付面基端側に伸長しているものとすることができ、これにより、ステー本体の曲がり部に集中する応力を分散させ潜り込み防止性能を発揮する。
【0026】
さらに、フランジ部をリンフォース材で閉口化すれば、衝突時に発生するステーの過大変形を抑制し、結果潜り込み防止効果を高める。
リンフォース材を設けるフランジ部では、全域で閉口化することが最も効果的であるが50%未満では曲がり部などを跨ぐことが難しく、ステー部材が大きく変形し、結果潜り込み防止機能を十分に得られなくなる。
【0027】
前記ステー部材と前記フランジ部と一体成形されたものとすることができ、これにより部品点数が大幅に少なくなり、溶接部(接合部)が少なく強度低下しない。また、フランジ部を同時形成させることができ、工程が短くなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のステー部材の一つを示す側面図である。
【
図4】本実施形態の取り付け状態を示す背面図である。
【
図5】本実施形態における荷重分布の概念を示す図である。
【
図6】本発明の実施例における本発明例と比較例の構造の相違を示す図である。
【
図7】実施例における歪み分布の解析結果を示す図である。
【
図8】実施例における応力分布の解析結果を示す図である。
【
図9】従来の取り付け構造におけるピーク荷重の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態に用いられるステー部材を図面に基づいて説明する。
ステー部材10A、10Bは、
図1に示すように、車幅方向両側に取り付けられて配置されるものであり、左右対称の形状を有している。車両の後方側から見て左側にステー部材10Aが位置し、右側にステー部材10Bが位置する。
【0030】
ステー部材10Aは、ステー本体板1Aの両端に下部フランジ部2A、上部フランジ部3Aが設けられており、一体成形によって形成されている。なお、本発明としては一体成形である必要はなく、ステー本体板1Aに下部フランジ部2A、上部フランジ部3Aが溶接などによって固定するものであってもよい。
なお、ステー部材10Aとステー部材10Bとは、車幅中心を軸にして左右対称の構成を有している。以下では、主としてステー部材10Aについて説明し、ステー部材10B側ではその説明を省略または簡略化する。ステー部材10B側でも、ステー部材10A側の符号の「A」を「B」に置き換えることで左右対称となる構成が示される。
【0031】
ステー部材10Aは、上端部となる側に、車両本体取付面40Aを有しており、取り付け時にはサイドレール100の側面に対し略垂直に設置される。車両本体取付面40Aには、ボルト穴、リベット穴となる取付穴を有している。ステー部材10Bでも、上端部となる側に、車両本体取付面を有しており、取り付け時には略垂直に設置される。
【0032】
取り付け状態で車両本体取付面40Aの下方となる側は、左外側に曲がる第1コーナー部5Aを有している。第1コーナー部5Aの曲がり角度は特に限定されるものではないが、例えば、3〜25度の曲がり角度を挙げることができる。曲がりは、屈曲するものでもよく、また、湾曲して曲がりを生じるものでもよい。第1コーナー部5Aでは、曲がり領域を設けてそれよりも下方となる位置の傾斜角度を調整するようにしてもよい。本実施形態では、湾曲した曲がり領域を設けることで、それよりも下方となるステー本体板1Aの傾斜角度を所望の角度(例えば3〜25度)に調整している。ステー部材10B側でも左右対称となるものの同様の構成を有している。第1コーナー部5Aは、本発明の曲がり部に相当する。
【0033】
ステー本体板1Aでは、第1コーナー部5Aの下方側では、直線的に伸張している。なお、本発明としては複数の曲がり部を設けてもよいが、最も下方に位置する曲がり部よりも下方側では直線的に伸張しており、下方側で外装部材110に取り付けられる。取り付け側に向けてステー部材が直線的に伸張することで、異なる車両に対してもこの部分の長さを変更するだけで対応することができ、ステー製作型数を最小限に抑えることができ、製作時の切り替えや段取り工数を削減することができる。ステー部材10B側も左右対称であり同様の構成を有している。
【0034】
ステー本体板1Aの下方側には、外側に外装部材取付面70Aを有する外装部材取付部7Aを有している。外装部材取付部7Aでは、ステー本体板1Aを溶接などによって接合することができる。
外装部材取付部7Aは、その内側に、下部フランジ部2A、上部フランジ部3Aが位置するようにステー本体板1Aに取り付けられている。ステー部材10B側でも左右対称であり同様の構成を有している。
外装部材取付部7Aでは、車両前後方向外側に向いた外装部材取付面を介して外装部材110にボルトやリベットなどによって取り付けられる。この実施形態では、外装部材110は、バンパである。ただし、本発明としては、外装部材がバンパに限定されるものではない。
【0035】
なお、前記した下部フランジ部2A、上部フランジ部3Aは、ステー本体板1Aの第1コーナー部5Aに沿った外縁形状を有している。ステー部材10B側でも左右対称であるが同様の構成を有している。
また、下部フランジ部2Aの内面側には、上面壁と側面壁とを有する中空のリンフォース材12Aが固定されている。リンフォース材12Aの側面壁は、下部フランジ部2Aの外縁よりも内側に位置している。すなわち、リンフォース材12Aは、側部一端側が下部フランジ部2Aの内面外側に固定され、側部他端側が下部フランジ部2Aと間隔をおいてステー本体板1Aに固定されている。これにより下部フランジ部2Aの少なくとも一部で閉口化がされている
リンフォース材12Aは、外装部材取付部7Aに近接する位置に端部を有している。また、他端部は、車両本体取付面40Aに達している。
【0036】
また、ステー部材10B側でも同様にリンフォース(図示しない)が形成されている。下部フランジ部の閉口化は、衝突時に発生するステーの過大変形を抑制し、結果潜り込み防止効果を高める。リンフォース材は、下部フランジ部2Aの全域に亘って閉口化することが最も効果的である。
リンフォース材は、これらを考慮して下側フランジ部全体長の50%以上とするのが望ましい。
リンフォース材の長さが下部フランジ部の長さの50%未満であると、車両本体側の曲がり部を跨ぐのが難しくなり、ステー部材が大きく変形し結果潜り込み防止機能が低下する。
なお、外装部材110の取付側のフランジは、“斜め下方向”から“水平方向”へ方向転換する移行域がある。移行域にリンフォース材を成形させることは材料特性の伸び限界の観点から難しい。
このため、下部フランジ部2Aの外装部材取付部側では補強板9Aが設けられている。ステー部材10B側も同様である。
【0037】
補強板9Aは、補強板面90Aを有しており、補強板面90Aをステー本体板1Aの板面に対向するようにして側部一端側が下部フランジ部2Aの内面外側に固定され、他側部一端に側壁91Aを有して該側壁91Aによって上部フランジ部3Aの内面に固定されている。上記構造によって補強板面90Aと下部フランジ部2Aおよび上部フランジ部3Aとは異なる距離を有し、上部フランジ部3A側の距離を大きくすることで、補強板面90Aは、外装部材取付部7Aに対し垂直に取り付けられている。この実施形態では、下部フランジ部2Aと上部フランジ部3Aとは同じ幅にすることができる。
ステー部材10Aでステー本体板1Aが下方側に伸張すると、外装部材110の縦面に固定する場合は、ステー本体板1Aの上部側と下部側とが水平方向において位置がずれて上方側が車幅方向において内側に位置する。この位置ずれを上記補強板9Aの側壁の長さによって修正している。
なお、この実施形態では、補強板面90Aの一側にのみ側壁を有するものとしたが、補強板面90Aの両側に側壁を設けてそれぞれの側壁でフランジ部に固定するものとしてもよい。その場合、側壁の幅を変えて補強板面の両側と各フランジ部との距離を異なるものにして、補強板面が上下方向に沿って位置するようにする。
【0038】
補強板面90Aの両側と各フランジ部との距離を側壁によって異なるものにして、補強板面が上下方向に沿って位置するようにすることで、補強板面の位置を修正するために、上部フランジ部3Aに余分な余肉を設ける必要がなく、余肉をなくしたり、余肉量を小さくするしたりことができ、例えば異なる車両に取付構造を採用する場合にも、ステー部材において直線的に伸張する部分の長さを調整するとともに、取付部でのフランジ部の位置に応じて異なる形状(側壁の長さが異なる)の補強板を用意すればよく、汎用性に優れたものとなる。また、上記補強板によって外装部材110に対するステー部材の支持線が垂直になり、P1負荷に影響の大きい支持線を外方に位置させることができる。
【0039】
取付後の状態では、
図4に示すように、車両本体取付面間の取付間隔をW0、他方側の外装部材取付面の中心間距離の取付間隔W1として、W0<W1となる。W0<W1となることにより、外装部材110の端部と、外装部材取付部7A、7Bとの距離Lが従来よりも短くなり、外装部材110における荷重分布を変えることができる。なお、W1>W0×1.2とするのが一層望ましい。
【0040】
図5は、本実施形態における応力負荷時の荷重分布の概要を示すものである。なお、両端および中央の荷重分布P1、P3は同等とし、P1、P3間の中央部では、荷重P2が1.8×P1〜2.0×P1となるのが必要とされている。荷重要件に対するグラフは、本実施形態による荷重分布を示すものであり、荷重分布は荷重要件にほぼ沿った結果が得られている。
【実施例1】
【0041】
次に、
図6に示すように、取付状態において補強板面壁が上下方向に沿うように位置している本発明例の取付構造(A図)と、補強板面壁がステーの傾斜に沿って傾斜している比較例の取付構造(B図)とにおいて、バンパに負荷が加わった際の歪み分布と、応力分布とを解析した。解析用プリポストはアルテアエンジニアリング株式会社Hyper−Mesh、Hyper−Viewを、解析用プログラムは株式会社JSOL衝撃・構造解析ソフトウェアLS−DYNA−R7.0.0を用いた。
なお、本発明例と、比較例とは、補助板の形状、ステー本体の上部フランジ形状のみを変更し、リンフォースは削除した。その他の条件は両者で同一である。解析結果を
図7、8に示す。
荷重-変位の結果から、支持線を外方に出す、あるいは垂直化させると潜り込み防止機能が向上した(約3.0%)。さらには
図6C図に示すように、補強板面壁を上下に沿わせるためには板厚を大きくせざるを得ない上部フランジを延長させる方法もあるが、過剰スペックであり重量が増加するため適さない。
本発明により、上部側のフランジ部の余肉増加を小さくして、取付構造の重量増加を抑えることができた。
【0042】
また、応力分布を解析したところ、比較例では、ステーへの負担が小さく、バンパへの負担が大きくなっている。一方、本発明例では、ステー負担が増加するのに伴い応力分布が均一化する方向になり、負荷バランスが向上する。バンパへの負担は負荷側にシフトしている。
【0043】
以上、本発明について上記実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは実施形態に対する適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1A ステー本体板
2A 下部フランジ部
3A 上部フランジ部
40A 車両本体取付面
5A 第1コーナー部
7A 外装部材取付部
70A 外装部材取付面
9A 補強板
90A 補強板面
91A 側壁
10A、10B ステー部材
12A リンフォース材
100 サイドレール