特許第6942013号(P6942013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942013
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/16 20060101AFI20210916BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210916BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210916BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20210916BHJP
   G05G 1/02 20060101ALI20210916BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20210916BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   H01H9/16 G
   B60R11/02 S
   B60R16/02 630Z
   B62D1/06
   G05G1/02 B
   G05G5/03 Z
   H01H13/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-179096(P2017-179096)
(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-53963(P2019-53963A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝山 達司
(72)【発明者】
【氏名】長尾 貴史
(72)【発明者】
【氏名】江川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森 竹好
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213343(JP,A)
【文献】 特開2006−157497(JP,A)
【文献】 特開2013−173430(JP,A)
【文献】 特開2000−149167(JP,A)
【文献】 特開2012−051490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00− 9/28
B60R 11/02
B60R 16/02
B62D 1/06
G05G 1/02
G05G 5/03
H01H 13/00−13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールに配置されるスイッチ装置であって、
操作ノブと、前記操作ノブに対する操作を検出すると共に、前記操作ノブを振動させる電磁素子と、を備えた車両に搭載されるスイッチ部と、
前記操作ノブが前記操作に対応して振動するように前記電磁素子を制御する第一制御、及び前記操作ノブが可聴帯域で振動するように前記電磁素子を制御する第二制御のうちの少なくとも一方を実行する制御部と、を有し、
前記ステアリングホイールの中心線を挟んで対称に第1のスイッチ部と第2のスイッチ部が配置され、前記第1のスイッチ部の放射音の出力軸が前記車両の運転者の右耳に、前記第2のスイッチ部の放射音の出力軸が前記運転者の左耳に、それぞれ向けて強くなるように配置されている、スイッチ装置。
【請求項2】
前記電磁素子は、ピエゾ素子である、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、少なくとも2つ、前記ステアリングホイールに備えられ、
前記制御部は、前記スイッチ部から出力される音による立体音像が維持されるように各スイッチ部から出力される音の特性を制御することを前記第二制御の一部として実行する、請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に、ステアリングホイールに搭載されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される音響システムとして、車両周辺の状況を立体音像で呈示するものがあり、この音響システムは、音を放出するスピーカと、車両周辺の状況に応じた出力信号をスピーカに出力する制御装置とを備える(例えば、特許文献1を参照)。この制御装置は、自車両を取り巻く複数の走行車両の位置、相対速度、車間距離などの安全走行に関わるパラメータを導出する手段と、パラメータと予め設定してなる危急度判定条件とを比較することにより自車両が置かれている危急度ランクを判定する手段と、危急度ランクによる判定結果に応じてパラメータの信号を仮想音源生成信号に変換する信号変換回路の手段と、仮想音源生成信号を信号増幅回路を用いてパルス的な増幅信号に変換する手段と、増幅信号をスピーカに入力して仮想音源位置にパルス的音響を呈示する信号処理回路の手段を有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−133596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来、車室内で立体音像を生成する場合、音を放出するスピーカを別途設ける必要があるという課題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ステアリングホイールに配置されて、立体音像を生成できるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記目的を達成するため、車両のステアリングホイールに配置されるスイッチ装置であって、操作ノブと、前記操作ノブに対する操作を検出すると共に、前記操作ノブを振動させる電磁素子と、を備えた車両に搭載されるスイッチ部と、前記操作ノブが前記操作に対応して振動するように前記電磁素子を制御する第一制御、及び前記操作ノブが可聴帯域で振動するように前記電磁素子を制御する第二制御のうちの少なくとも一方を実行する制御部と、を有し、前記操作ノブからの放射音の指向性が前記車両の乗員の耳に向けて強くなるように配置されている、スイッチ装置を提供する。
[2]前記電磁素子は、ピエゾ圧電素子である、上記[1]に記載のスイッチ装置であってもよい。
[3]また、前記スイッチ部は、少なくとも2つ、前記ステアリングホイールに備えられ、前記制御部は、前記スイッチ部から出力される音による立体音像が維持されるように各スイッチ部から出力される音の特性を制御することを前記第二制御の一部として実行する、上記[1]又は[2]に記載のスイッチ装置であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスイッチ装置によれば、ステアリングホイールに配置されて、立体音像を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置が車両のイステアリングホイールに搭載された場合のステアリングホイールを運転者からみた正面図である。
図2図2は、図1に示すスイッチ装置において、A―A断面を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置が車両のステアリングホイールに搭載された場合のスイッチ装置の配置例を車両の上方向から見た上平面図である。
図4図4は、図3に示すスイッチ装置において、C方向から見た、側面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の概略構成を示すブロック構成図である。
図6図6は、操作ノブを駆動する右チャンネルの駆動信号波形の一例であり、タッチ操作に対応して操作ノブを振動させる触覚呈示駆動の駆動信号Sh1、操作ノブからビープ音を発生させるための駆動信号Ss1、操作ノブから音声を発生させるための駆動信号Ss1´である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の実施の形態)
本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両5のステアリングホイール8に配置されるスイッチ装置1であって、操作ノブ31、41と、操作ノブ31、41に対する操作を検出すると共に、操作ノブ31、41を振動させる電磁素子としてのピエゾ素子32、42と、を備えた車両5に搭載されるスイッチ部30、40と、操作ノブ31、41が操作に対応して振動するようにピエゾ素子32、42を制御する第一制御、及び操作ノブ31、41が可聴帯域で振動するようにピエゾ素子32、42を制御する第二制御のうちの少なくとも一方を実行する制御部100と、を有し、操作ノブ31、41からの放射音の指向性が車両5の乗員である運転者20の耳に向けて強くなるように配置されて構成されている。
【0010】
本実施の形態では、乗員が運転者20であるものとして説明する。
【0011】
(スイッチ部30、40)
スイッチ部30、40は、図1に示すように、車両5のステアリングホイール8に取り付けられている。また、スイッチ部は、1つ又は2以上のものとしてステアリングホイール8に備えられるが、本実施の形態では、図1に示すように、2つのスイッチ部30、40が、ステアリングホイール8の中心線8aを挟んで対称に配置されているものとして説明する。
【0012】
スイッチ部30、40は、車両操作に関するスイッチ、空調制御、オーディオ制御、カーナビゲーション操作、等に使用できるステアリングスイッチである。スイッチ部30、40は、例えば、ステアリングロールコネクタ(図示省略)を介して、車両本体側に電気的に接続することができる。スイッチ部30、40への右音声信号S1、左音声信号S2等は、例えば、このステアリングロールコネクタを介して、車両本体側から入力することができる。
【0013】
図2に示すように、スイッチ部30は、板状のパネルである操作ノブ31と、操作ノブ31に伝達部材35を介して接続された電磁素子であるピエゾ素子32から概略構成されている。伝達部材35は、金属、樹脂、ゴム等の弾性体、等、力、振動を伝達しやすい材質の柱状体である。ピエゾ素子32は、スポーク部9に設けられた基板33上に実装されている。操作ノブ31は、図2に示すように、板状のパネルであり、スポーク部9の表面と面一とされて配置され、段差のないシームレススイッチとして構成されている。スイッチ部40も同様の構成とされている。
【0014】
ピエゾ素子32は、例えば、円板形状を有する圧電体と、圧電体よりも半径が大きい円板形状を有する金属シムと、を備えたユニモルフ型の圧電素子である。この圧電素子には、圧電体と電気的に接続する上部配線と、金属シムと電気的に接続される下部配線と、が接続されている。
【0015】
なお変形例として圧電素子は、例えば、2枚の圧電体を金属シムの両面に設けたバイモルフ型圧電素子であっても良い。
【0016】
圧電体の材料としては、例えば、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが用いられる。圧電体は、例えば、これらの材料を用いて形成された膜を積層して形成された積層型の圧電体である。なお圧電体は、厚み方向に分極し、厚み方向の変形に対して出力が大きくなるように構成されている。金属シムは、例えば、導電性を有するリン青銅やステンレスなどによって形成されている。
【0017】
ピエゾ素子32は、操作ノブ31が押圧されると、押圧力に対応した電圧を発生し、押圧操作信号Sを発生する。これにより、ピエゾ素子32は、操作ノブ31への操作を検知するスイッチ素子として機能する。
【0018】
また、ピエゾ素子32は、電圧が印加されることにより変形し、伝達部材35を介して接続された操作ノブ31を図2に示す上下方向Bに変位させる。これにより、操作ノブ31に対して操作された指等にピエゾ素子32側からの触覚呈示を行なうアクチュエータとして機能すると共に、ピエゾ素子32により操作ノブ31を可聴帯域で加振して音を発生させる音源部としても機能する。
【0019】
上記のことから、操作ノブ31は、触覚呈示を行なう接触部位として機能すると共に、可聴帯域で加振されて音を発生させる音源部(スピーカ)として機能する。したがって、スイッチ部30、40は、所定の周波数帯域において音を出力でき、車両側からの制御により、例えば、警告音、警告音声等を出力できる。
【0020】
なお、電磁素子としては、上記したピエゾ素子32には限られない。例えば、磁気回路とコイルで構成され、コイルの移動により電流を発生してコイルへの操作力を検知すると共に、磁気回路側の磁界を変化させることにより、コイルを移動させて振動を発生させる、ボイスコイルモータ等も使用可能である。
【0021】
図3において、車両5の前方から後方に向けて、スイッチ部から運転者20の耳の方向をX方向、車両5の幅方向をY方向、X軸とY軸の外積で定義される方向を車両5の上下方向のZ方向とする。図3に示すように、スイッチ部30は、その指向性が運転者20の右耳21に向けて強くなるように配置されている。また、スイッチ部40は、その指向性が運転者20の左耳22に向けて強くなるように配置されている。すなわち、スイッチ部30、40をステアリングホイール8に搭載することにより、スイッチ部30の出力軸30aが運転者20の右耳21の方向になるようにでき、また、スイッチ部40の出力軸40aが運転者20の左耳22の方向になるようにできる。
【0022】
また、図4に示すように、スイッチ部40を運転者20の耳に向けてやや上向きに配置する。このために、図4に示すように、X軸、Z軸がY軸の回りに少し回転したX、Y、Z軸となっている。
【0023】
図4に示すように、スイッチ部30、40をステアリングホイール8に搭載することにより、スイッチ部40の出力軸40aが運転者20の左耳22の方向になるように、スイッチ部40がやや上向き(X軸方向)に配置される。スイッチ部30も同様に、やや上向き(X軸方向)に配置される。これにより、2つのスイッチ部30、40の指向性が乗員の耳21、22に向けて強くなるように配置された構成となる。したがって、操作ノブ31、41からの放射音の指向性が車両5の運転者20の耳21、22に向けて強くなる。
【0024】
(制御部100)
制御部100は、例えば、記憶されたプログラムに従って、所定の演算、処理実行等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータを備える。このROMには、例えば、制御部100が動作するためのプログラムと、各種のパラメータ等が格納されている。また制御部100は、音像の定位制御を行なうための音像制御部101を備えている。
【0025】
図5に示すように、制御部100には、スイッチ部30、40が接続されている。スイッチ部30、40からは、押圧操作信号SO1、SO2が入力される。また、スイッチ部30、40のピエゾ素子32、42に対して、押圧操作信号SO1、SO2に対応して触覚呈示を行なう触覚呈示信号Sh1、Sh2が出力される。また、スイッチ部30、40のピエゾ素子32、42に対して、警告音、警告音声等を出力するための音声信号Ss1、Ss2が音像制御部101を介して出力される。
【0026】
(制御部100による触覚呈示制御)
制御部100は、第一制御として、操作ノブ31、41が操作に対応して振動するようにピエゾ素子32、42を制御する。すなわち、押圧操作信号SO1、SO2に基づいて、操作ノブ31、41を操作する操作者に対して、振動等により、触覚呈示を行なうことができる。制御部100は、押圧操作があったときに、触覚呈示信号Sh1、Sh2をピエゾ素子32、42に出力することで、例えば、操作ノブ31、41を上方向に所定の力で1回又は複数回だけ突き上げる動作をすることにより、触覚呈示を行なうことができる。あるいは、所定の周期で振動させて、触覚呈示を行なうことができる。
【0027】
(制御部による音像の定位制御)
制御部100は、第二制御として、操作ノブ31、41が可聴帯域で振動するようにピエゾ素子32、42を制御する。また、制御部100は、スイッチ部30、40から出力される音による立体音像が維持されるように各スイッチ部30、40から出力される音の特性を制御することを上記第二制御の一部として、以下に示すように実行する。
【0028】
図3に示すように、音像制御部101内に、スイッチ部30(ピエゾ素子32)を駆動する駆動部110、スイッチ部40(ピエゾ素子42)を駆動する駆動部120を備えている。駆動部110は、右音声信号S1と左音声信号S2の位相調整信号S21を加算した右音声駆動信号Ss1を増幅してスイッチ部30を駆動する。同様に、駆動部120は、左音声信号S2と右音声信号S1の位相調整信号S12を加算した左音声駆動信号Ss2を増幅してスイッチ部40を駆動する。これにより、スイッチ部30の操作ノブ31が振動して右音声駆動信号Ss1に基づく右チャンネルの音声が出力され、スイッチ部40の操作ノブ31が振動して左音声駆動信号Ss2に基づく左チャンネルの音声が出力される。
【0029】
位相調整回路115は、右音声信号S1の位相を調整(位相遅延)して、駆動部120に位相調整信号S12を出力する。位相調整は、右音声信号S1と位相調整信号S12の位相差αとして適宜設定可能である。
【0030】
同様に、位相調整回路125は、左音声信号S2の位相を調整(位相遅延)して、駆動部110に位相調整信号S21を出力する。位相調整は、左音声信号S2と位相調整信号S21の位相差αとして適宜設定可能である。なお、この位相差αの設定は、2つのスイッチ部30、40が座席10の中心線11を挟んで対称に配置されている場合であり、スイッチ部30、40が座席10の中心線11を挟んで非対称に配置されている場合等は、位相調整回路115と位相調整回路125で設定される位相差は異なる値とすることができる。
【0031】
上記説明した駆動部110、120、位相調整回路115、125は、それぞれ、ゲインの調整が可能である。したがって、図3で示すように、駆動部110における右音声信号S1と位相調整信号S21の加算割合、駆動部120における左音声信号S2と位相調整信号S12の加算割合を調節できる。また、スイッチ部30の操作ノブ31、スイッチ部40の操作ノブ41から出力される音圧を調節でき、左右のステレオ音のバランスを調節することもできる。
【0032】
制御部100は、2つの操作ノブ31、41から出力される音による立体音像が維持されるように各操作ノブから出力される音の特性を制御する。
【0033】
右耳21には、スイッチ部30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達すると共に、スイッチ部40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達する。
【0034】
右耳21に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dである。
【0035】
また、右耳21に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dである。
【0036】
したがって、制御部100は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が最大となり、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が最小となるように制御する。
【0037】
右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が右耳21において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L11を進む音SD1と距離L21を進む音SD1dとの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差αを設定する。なお、距離L11は、スイッチ部30から右耳21までの距離、距離L21は、スイッチ部40から右耳21までの距離である。
【0038】
左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が右耳21において最小となるようにするには、距離L21を進む音SD2と距離L11を進む音SD2dとの位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差αを設定する。
【0039】
上記示した左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が右耳21において最小となるように設定することにより、右耳21の位置において、右チャンネルの音SD1と左チャンネルの音SD2のクロストークが低減あるいは相殺される。
【0040】
同様にして、左耳22には、スイッチ部40から出力される左チャンネルの音SD2と右チャンネルの位相調整された音SD1dが到達すると共に、スイッチ部30から出力される右チャンネルの音SD1と左チャンネルの位相調整された音SD2dが到達する。
【0041】
左耳22に到達する左チャンネルの音は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dである。
【0042】
また、左耳22に到達する右チャンネルの音は、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dである。
【0043】
したがって、制御部100は、左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が最大となり、右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が最小となるように制御する。
【0044】
左チャンネルの音SD2と左チャンネルの位相調整された音SD2dの合成音が左耳22において最大となるようにするには、例えば、制御部100は、距離L22を進む音SD2と距離L12を進む音SD2dの位相差が、2πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差αを設定する。なお、距離L22は、スイッチ部40から左耳22までの距離、距離L12は、スイッチ部30から左耳22までの距離である。
【0045】
右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が左耳22において最小となるようにするには、距離L12を進む音SD1と距離L22を進む音SD1dの位相差が、πn(n=0、1、2・・・)となるように位相差αを設定する。
【0046】
上記示した右チャンネルの音SD1と右チャンネルの位相調整された音SD1dの合成音が左耳22において最小となるように設定することにより、左耳22の位置において、左チャンネルの音SD2と右チャンネルの音SD1のクロストークが低減あるいは相殺される。
【0047】
上記示した制御部100による位相調整により、耳元に音を定位させることができ、2つのスイッチ部30、40から出力される音による立体音像が維持されるように制御することができる。
【0048】
(スイッチ部30、40の動作例)
スイッチ部30、40の動作を、図6に示す、操作ノブを駆動する右チャンネルの駆動信号波形の例を用いて説明する。制御部100は、例えば、時間t1において、操作ノブの押圧操作に対応して触覚呈示駆動の駆動信号Sh1をピエゾ素子32に出力することにより、操作ノブ31を振動させる。例えば、図6に示すように、単発のパルスにより操作ノブ31を上方向に突き上げる動作により、触覚呈示を行なう。
【0049】
また、時間t2において、駆動信号Ss1´として可聴帯域の周波数の正弦波を発生させ、これをピエゾ素子32に出力することにより、操作ノブ31を振動させる。これにより、運転者20に警告音として、ビープ音で報知することができる。スイッチ部30は、警告音を発生させる音源(スピーカ)として機能する。
【0050】
また、時間t3において、駆動信号Ss1として可聴帯域の音声信号を発生させ、音像制御部101を介してピエゾ素子32に出力する。また、駆動信号Ss1にステレオ対応した左チャンネルの駆動信号Ss2として可聴帯域の音声信号を発生させ、音像制御部101を介してピエゾ素子42に出力する。これにより、操作ノブ31、41を音声信号に対応して振動させることができる。スイッチ部30、40は、警告音声を発生させる音源(スピーカ)として機能し、立体音像が維持されるように、定位制御を行なうことができる。
【0051】
本発明の実施の形態は、上記示した2つのスイッチ部に限られず、3以上のスイッチ部がステアリングホイールの中心線8aを挟んで配置される場合にも適用可能である。すなわち、各スイッチ部から出力される音のスイッチ部から乗員の耳までの距離と位相差とを考慮し、右耳、左耳それぞれにおいて、合成音が最大、最小になるように位相差を設定することにより、右チャンネルの音と左チャンネルの音のクロストークが低減あるいは相殺される。これにより、3以上のスイッチ部の場合においても、耳元に音を定位させることができ、3つ以上のスイッチ部から出力される音による立体音像が維持されるように制御することができる。
【0052】
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両5のステアリングホイール8に配置されるスイッチ装置1であって、操作ノブ31、41と、操作ノブ31、41に対する操作を検出すると共に、操作ノブ31、41を振動させる電磁素子としてのピエゾ素子32、42と、を備えた車両5に搭載されるスイッチ部30、40と、操作ノブ31、41が操作に対応して振動するようにピエゾ素子32、42を制御する第一制御、及び操作ノブ31、41が可聴帯域で振動するようにピエゾ素子32、42を制御する第二制御のうちの少なくとも一方を実行する制御部100と、を有し、操作ノブ31、41からの放射音の指向性が車両5の乗員である運転者20の耳に向けて強くなるように配置されて構成されている。これにより、スイッチ部は、第一制御により、操作ノブへの押圧操作に対応して触覚呈示を行なう機能を有する共に、第二制御により、可聴帯域で加振されて音を発生させる音源部(スピーカ)としても機能する。
(2)スイッチ部は、車両本体のステリングホイール等に搭載できるが、音を発生させるためのスピーカの搭載スペースが不要となり、小型化に寄与する。
(3)スイッチ装置1は、スイッチ部が備える触覚呈示のための電磁素子(ピエゾ素子)を、音あるいは音声発生にも使用できる構成とされているので、コストアップなしでスピーカ機能を備えることが可能となる。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…スイッチ装置、5…車両、8…ステアリングホイール、8a…中心線、9…スポーク部、10…座席、11…中心線、20…運転者、21…右耳、22…左耳、30…スイッチ部、30a…出力軸、31…操作ノブ、32…ピエゾ素子、33…基板、35…伝達部材、40…スイッチ部、40a…出力軸、41…操作ノブ、42…ピエゾ素子、43…基板、100…制御部、101…音像制御部、110…駆動部、115…位相調整回路、120…駆動部、125…位相調整回路、L11、L12、L21、L22…距離、S1…右音声信号、S12…位相調整信号、S2…左音声信号、S21…位相調整信号、SD1、SD1d、SD2、SD2d…音、α…位相差
図1
図2
図3
図4
図5
図6