特許第6942077号(P6942077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000002
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000003
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000004
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000005
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000006
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000007
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000008
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000009
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000010
  • 特許6942077-配線基板および発光装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942077
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】配線基板および発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20210916BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   H05K1/02 J
   H05K1/11 F
   H05K1/11 H
   H05K1/11 B
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-47331(P2018-47331)
(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-152565(P2018-152565A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-48352(P2017-48352)
(32)【優先日】2017年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】神野 優志
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝美
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−330298(JP,A)
【文献】 特開2009−147241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、
前記第1主面の側に配置された配線と、を有している配線基板であって、
前記第1主面から前記第2主面に至って配置された導体線が、三本以上前記配線の幅方向に並んでおり、
前記配線は、複数本あるとともに、三本以上の前記導体線のうちの一部で複数本の前記導体線と接続しており、
前記導体線は、隣接する導体線と所定ピッチで配置されているとともに、前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/3よりも小さい配線基板。
【請求項2】
前記導体線は、前記基板の側面に配置されている側面導体線である請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記側面導体線は、前記基板の側面において前記第1主面から前記第2主面に至る溝に配置されている請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記導体線は、前記基板に形成された貫通孔に配置されている貫通導体線である請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/10以上である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記配線は、複数本あり、
前記導体線は、その幅が、前記配線とそれに隣接する前記配線との最小間隔の1/2よりも小さい請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記導体線は、その幅が、前記導体線同士の間の間隔よりも小さい請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記導体線は、前記配線が配置されていない前記基板の部位に複数本整列されている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の配線基板と、
前記第1主面の側に配置され、前記配線に電気的に接続されている発光部と、を有して
いる発光装置。
【請求項10】
前記配線と接続される複数の導体線がそれぞれの導体線をつなぐ橋掛け線を有している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項11】
前記橋掛け線は、隣接する導体線間に複数配設されている請求項10に記載の配線基板。
【請求項12】
前記配線は、前記基板の側面側において複数の枝分かれ形状となっており、枝分かれのそれぞれの配線に複数の導体線が接続されている請求項10または請求項11に記載の配線基板。
【請求項13】
枝分かれの配線は、電源配線である請求項12に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面から裏面にわたって配置される導体線およびその導体線に接続される配線を有する配線基板、その配線基板上に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子が設けられた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光装置の一種であり、LED等の発光素子を含む画素部を複数有する、バックライト装置が不要な自発光型の表示装置が知られている。そのような表示装置の基本構成のブロック回路図を図3に示す。表示装置は、ガラス基板等から成る基板51上に、発光素子73(LD11,LD12,LD13,LD21,LD22,LD23,LD31,LD32,LD33〜)のそれぞれに発光信号を入力するためのスイッチ素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)71と、発光制御信号(画像信号線SLを伝達する信号)のレベル(電圧)に応じた、正電圧(アノード電圧:3〜5V程度)と負電圧(カソード電圧:−3V〜0V程度)の電位差(発光信号)から発光素子73を電流駆動するための駆動素子としてのTFT72と、を含む発光部(画素部ともいう)74(P11,P12,P13,P21,P22,P23,P31,P32,P33〜)が多数配置されている。
【0003】
TFT71,72はpチャネル型TFTであり、それらのゲート電極にロー信号(L信号)が入力されることによって、ソース−ドレイン間が導通しオン状態となり電流が流れる。そして、TFT72は、そのゲート電極に発光制御信号が入力されており、その発光制御信号のレベルに応じた電位差により生じた電流(発光信号)が発光素子73の正電極(アノード電極)と負電極(カソード電極)の間に流れる。発光素子73の正電極には正電圧入力線75を介して正電圧が入力され、発光素子73の負電極には負電圧入力線76を介して負電圧が入力される。正電圧入力線75の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体78があり、貫通導体78を介して、基板51の裏面側にある駆動素子あるいは電源部等に電気的に接続されている。負電圧入力線76の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体79があり、貫通導体79を介して、基板51の裏面側にある駆動素子あるいは電源部等に電気的に接続されている。またTFT72は、ゲート電極にロー信号が入力されている間オン状態となり、発光素子73に電流を流す。また、TFT72のゲート電極とソース電極とを接続する接続線上には容量素子が配置されており、容量素子はTFT72ゲート電極に入力された発光制御信号の電圧を次の書き換えまでの期間(1フレームの期間)保持する保持容量として機能する。
【0004】
また、基板51上には、第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線52(GL1,GL2,GL3〜)と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線52と交差させて形成された複数本の画像信号線(ソース信号線)53(SL1,SL2,SL3〜)と、ゲート信号線52と画像信号線53の各交差部に対応して形成された画素部74と、を有する構成である。なお、図3において、70は表示部、61は、基板51の裏面側にある駆動素子からゲート信号を伝達するためのスルーホール等から成る貫通導体である。なお、駆動素子は、例えば、基板51の裏面にCOG(Chip On Glass)方式等の手段によって搭載される。また、基板51の裏面側には、駆動素子との間で引き出し線を介して駆動信号、制御信号等を入出力するための回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)が設置されている場合がある。
【0005】
TFT71,72は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3端子を有する構成であり、また双方ともnチャネル型TFTである構成、双方ともpチャネル型TFTである構成、一方がnチャネル型TFTで他方がpチャネル型TFTである構成を採用できる。そして、ゲート電極に所定電位の電圧を印加することにより、ソース電極とドレイン電極の間の半導体膜(チャンネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。基板51がガラス基板から成り、駆動素子は、LTPSから成る半導体膜を有するTFTを用いて構成された駆動回路である場合、基板51上にTFTをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって直接的に形成することができる。
【0006】
なお、発光部としての画素部74は、それぞれが赤色発光用の副画素、緑色発光用の副画素、青色発光用の副画素から成る場合がある。赤色発光用の副画素は赤色LED等から成る赤色発光素子を有し、緑色発光用の副画素は緑色LED等から成る緑色発光素子を有し、青色発光用の副画素は青色LED等から成る青色発光素子を有している。例えば、これらの副画素は、列方向に並んでいる。
【0007】
そして、発光制御信号は、貫通導体64から画像信号線(発光制御信号線ともいう)53を介して各発光部74に入力される。
【0008】
また図4は、図3の発光装置と同様の構成であり、貫通導体61,64,78,79に代えて側面導体81,84,88,89を設けた構成を示すものである。側面導体81,84,88,89は、例えば、基板51の側面において基板の表面から裏面に至る溝に導体線を配置した構成である。
【0009】
また、他の従来例として、複数枚の液晶表示パネルを平面配置することにより構成され、液晶表示パネルの制御信号配線の電極端子を、液晶表示パネルの主面に垂直な端辺に形成した窪み部の内壁面に形成された金属層に接合すると共に、窪み部に半田或は導電性接着剤等からなる電極接合材料を充填し、その電極接合材料により液晶表示パネルの端面で隣接配置したそれぞれの液晶表示パネルの制御信号配線相互間を接続した液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この従来例においては、一つの電極端子に一つの金属層が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭61−236585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の発光装置における配線構造および特許文献1に開示された接続構造は、以下の問題点があった。図4のA部を拡大した拡大平面図である図5(a)に示すように、ガラス基板等から成る基板51の表面側に、フォトリソグラフィ法等によって画像信号線(以下、配線と略す)53を形成する。次に、図5(b)に示すように、側面導体84となる溝84aを切削加工法、エッチング法等によって形成し、溝84aに銀(Ag),銅(Cu)等の導体粒子を含む導体ペーストを塗布し乾燥または焼成することによって導体線84bを形成する。次に、基板51の裏面側に、配線53に側面導体84を介して電気的に接続される他の配線53rを、フォトリソグラフィ法等によって形成する。このとき、配線53および配線53rは、位置精度の高い(アライメント精度が0.5μm〜5μm程度である)フォトリソグラフィ法等によって形成されるために、それらの位置ずれは小さいものとなる。しかしながら、側面導体84となる溝84aは、フォトリソグラフィ法に比べてアライメント精度が50μm〜200μm程度と低い切削加工法、エッチング法等によって形成されるために、側面導体84の位置が配線53,53rの位置からずれやすいという問題点があった。
【0012】
図6(a)〜(c)は、側面導体84の位置が配線53,53rの位置からずれた場合を示すものである。図6(c)に示すように、側面導体84の位置が配線53,53rに重ならない位置にずれると、配線53と配線53rが電気的に接続されないという問題点が生じる。
【0013】
また、図7(a)〜(c)は、2つの基板51a,51bを平面的に並べ、それらを結合(タイリング)して複合型かつ大型の表示装置(マルチディスプレイ)を作製する場合の結合部(タイリング部)を示すものである。図7(b)に示すように、基板51aにおいて、配線53aは側面導体84aに接続され、配線53bは側面導体84bに接続され、配線53cは側面導体84cに接続され、配線53dは側面導体84dに接続されている。また、基板51bにおいて、配線53eは側面導体84eに接続され、配線53fは側面導体84fに接続され、配線53gは側面導体84gに接続され、配線53hは側面導体84hに接続されている。そして、基板51aおよび基板51bの裏面において、側面導体84aは側面導体84eに結合導体90aを介して接続され、側面導体84bは側面導体84fに結合導体90bを介して接続され、側面導体84cは側面導体84gに結合導体90cを介して接続され、側面導体84dは側面導体84hに結合導体90dを介して接続される。これにより、基板51aと基板51bの電気的なタイリング部が構成される。
【0014】
しかしながら、図8(a)〜(c)に示すように、側面導体84a〜84hが所定の位置から最大で1つ分程度ずれて配置されると、本来結合されるべき配線同士が接続されない事態、あるいは配線が接続されない事態が発生する場合があった。すなわち図8(c)に示すように、配線53a,53hはどの配線にも接続されず、配線53bは本来接続されるべき配線53fの隣りの配線53eに接続され、配線53cは本来接続されるべき配線53gの隣りの配線53fに接続され、配線53dは本来接続されるべき配線53hの隣りの配線53gに接続されている。
【0015】
さらに、側面導体84a〜84hのそれぞれの幅が、配線53a〜53hのそれぞれの幅に近い程度に大きいと、側面導体84a〜84hの隣接するもの同士が接触し短絡するおそれがあった。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、配線の誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることであり、具体的には基板の表面側の配線と裏面側の配線との誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えること、また複数の基板のタイリング部において誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の配線基板は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された配線と、を有している配線基板であって、前記第1主面から前記第2主面に至って配置された導体線が、三本以上前記配線の幅方向に並んでおり、前記配線は、複数本あるとともに、三本以上の前記導体線のうちの一部で複数本の前記導体線と接続しており、前記導体線は、隣接する導体線と所定ピッチで配置されているとともに、前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/3よりも小さい構成である。
【0018】
本発明の配線基板は、好ましくは、前記導体線は、前記基板の側面に配置されている側面導体線である。
【0019】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記側面導体線は、前記基板の側面において前記第1主面から前記第2主面に至る溝に配置されている。
【0020】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記導体線は、前記基板に形成された貫通孔に配置されている貫通導体線である。
【0021】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/10以上である。
【0022】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記配線は、複数本あり、前記導体線は、その幅が、前記配線とそれに隣接する前記配線との最小間隔の1/2よりも小さい。
【0023】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記導体線は、その幅が、前記導体線同士の間の間隔よりも小さい。
【0024】
また本発明の配線基板は、好ましくは、前記導体線は、前記配線が配置されていない前記基板の部位に複数本整列されている。
【0025】
本発明の発光装置は、上記本発明の配線基板と、前記第1主面の側に配置され、前記配線に電気的に接続されている発光部と、を有している構成である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の配線基板は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された配線と、を有している配線基板であって、前記第1主面から前記第2主面に至って配置された導体線が、三本以上前記配線の幅方向に並んでおり、前記配線は、複数本あるとともに、三本以上の前記導体線のうちの一部で複数本の前記導体線と接続しており、前記導体線は、隣接する導体線と所定ピッチで配置されているとともに、前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/3よりも小さい構成であることから、配線に対して導体線が位置ずれを起こしたとしても、配線と導体線とが確実に接続される。その結果、基板の表面側および裏面側にそれぞれ配線があり、それらを接続する場合、基板の表面側の配線と裏面側の配線との誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。また、複数の基板をタイリングする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。
【0027】
本発明の配線基板は、前記導体線は、前記基板の側面に配置されている側面導体線である場合、配線と側面導体線との接続状態を確認することが容易になる。また、複数の基板をタイリングする場合には、側面導体線はタイリング部に隠れやすくなり、基板間の継ぎ目が目立ちにくくなる。
【0028】
また本発明の配線基板は、前記側面導体線は、前記基板の側面において前記第1主面から前記第2主面に至る溝に配置されている場合、溝によって隣接する側面導体線同士が確実に分離されるので、側面導体線同士の間の短絡をも抑えることができる。
【0029】
また本発明の配線基板は、前記導体線は、前記基板に形成された貫通孔に配置されている貫通導体線である場合、貫通孔によって隣接する貫通導体線同士が確実に分離されるので、貫通導体線同士の間の短絡をも抑えることができる。
【0030】
また本発明の配線基板は、前記所定ピッチは、前記配線の幅の1/10以上である場合、導体線の抵抗が高くなるのを抑えることができる。
【0031】
また本発明の配線基板は、前記配線は、複数本あり、前記導体線は、その幅が、前記配線とそれに隣接する前記配線との最小間隔の1/2よりも小さい場合、配線に対して導体線が位置ずれを起こしたとしても、複数の基板をタイリングする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。
【0032】
また本発明の配線基板は、前記導体線は、その幅が、前記導体線同士の間の間隔よりも小さい場合、配線に対して導体線が位置ずれを起こしたとしても、複数の基板をタイリン
グする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することをより効果的に抑えることができる。
【0033】
また本発明の配線基板は、前記導体線は、前記配線が配置されていない前記基板の部位に複数本整列されている場合、配線に対して導体線が位置ずれを起こしたとしても、元々配線が配置されていない基板の部位にあった導体線を、位置ずれが生じた結果、配線に接続させることも可能となる。従って、配線と導体線とが確実に接続されやすくなる。
【0034】
本発明の発光装置は、上記本発明の配線基板と、前記第1主面の側に配置され、前記配線に電気的に接続されている発光部と、を有している構成であることから、発光部に発光信号等を確実に入力させることができる。また、複数の配線基板をタイリングして複合型かつ大型の表示装置を作製する場合、複数の配線基板におけるそれぞれの発光部に発光信号等を確実に入力させることができる。
【0035】
また本発明の配線基板は、前記配線と接続される複数の導体線がそれぞれの導体線をつなぐ橋掛け線を有する構成としたことより、前記導体線のうちの1本にオープン等の不具合が発生しても適正な信号伝達を達成することができる。
【0036】
また本発明の配線基板は、前記橋掛け線は、隣接する導体線間に複数配設されている構成としたことより、導体線のオープンの冗長性をさらに拡充することができる。
【0037】
また本発明の配線基板は、前記配線は、前記基板の側面側において複数の枝分かれ形状となっており、枝分かれのそれぞれの配線に複数の導体線が接続されている構成とされていることにより、より信頼性が望まれる配線に対しても確実に信号、電圧等の情報を供給することができる。また、枝分かれの配線は電源配線である。電源配線は、情報供給量を多くすることでより安定化するが、電源配線自体を冗長配線とし、さらに、電源配線につながる導体線も冗長配線としていることで、より信頼性の高い配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1(a)〜(d)は、本発明の配線基板について実施の形態の1例を示す図であり、(a)は配線と導体線が正しい位置関係にある場合の配線と導体線の接続部の平面図、(b)は(a)の構成における配線と導体線の接続部の斜視図、(c)は配線に対して導体線が位置ずれを起こした場合の配線と導体線の接続部の平面図、(d)は(c)の構成における配線と導体線の接続部の斜視図である。
図2図2(a)〜(c)は、本発明の配線基板について実施の形態の他例を示す図であり、(a)は配線と導体線が正しい位置関係にある場合の配線と導体線の接続部の平面図、(b)は配線に対して導体線が位置ずれを起こした場合の配線と導体線の接続部の平面図、(c)は(b)の構成において複数の配線基板をタイリングする場合の配線と導体線の接続部の平面図である。
図3図3は、従来の表示装置の一例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
図4図4は、従来の表示装置の他例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
図5図5(a)〜(c)は、従来の配線基板における配線および導体線の形成工程を示す図であり、(a)は基板の表面側に配線を形成する工程を示す平面図、(b)は基板の側面に側面導体を形成する工程を示す平面図、(c)は基板の裏面側に他の配線を形成する工程を示す平面図である。
図6図6(a)〜(c)は、図5と同様の図であり、(a)は基板の表面側に配線を形成する工程を示す平面図、(b)は基板の側面に位置ずれを起こした側面導体を形成する工程を示す平面図、(c)は基板の裏面側に他の配線を形成する工程を示す平面図である。
図7図7(a)〜(c)は、従来の2つの配線基板をタイリングする場合における配線および導体線の形成工程を示す図であり、(a)は基板の表面側に配線を形成する工程を示す平面図、(b)は基板の側面に側面導体を形成する工程を示す平面図、(c)は2つの配線基板をタイリングする工程を示す配線基板の裏面の平面図である。
図8図8(a)〜(c)は、従来の2つの配線基板をタイリングする場合における配線および導体線の形成工程を示す図であり、(a)は基板の表面側に配線を形成する工程を示す平面図、(b)は基板の側面に位置ずれを起こした側面導体を形成する工程を示す平面図、(c)は2つの配線基板をタイリングする工程を示す配線基板の裏面の平面図である。
図9図9(a)〜(c)は、本発明の配線基板について実施の形態の第3の例を示す図であり、配線と導体線の接続部の斜視図である。
図10図10(a)〜(c)は、本発明の配線基板について実施の形態の第4の例を示す図であり、配線と導体線の接続部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の配線基板および発光装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の配線基板および発光装置の実施の形態における構成部材のうち、本発明の配線基板および発光装置を説明するための主要部を示している。従って、本発明に係る配線基板および発光装置は、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
【0040】
図1図2は、本発明の配線基板について各種実施の形態の例を示す図である。図1に示すように、本発明の配線基板は、第1主面11およびその反対側の第2主面12を有する基板1と、第1主面11の側に配置された配線3と、を有している配線基板であって、第1主面11から第2主面12に至って配置された導体線4a〜4fが、三本以上配線3の幅方向に並んでおり、配線3は、三本以上の導体線4a〜4fのうちの一部で複数本の導体線4c,4d(あるいは導体線4b,4c)と接続している構成である。この構成により、配線3に対して導体線4a〜4fが位置ずれを起こしたとしても、配線3と導体線4b,4cとが確実に接続される。その結果、基板1の第1主面11(例えば、表面)側および第2主面12(例えば、裏面)側にそれぞれ配線3,3rがあり、それらを接続する場合、基板1の第1主面11側の配線3と第2主面12側の配線3rとの誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。また、図2に示すように、複数の基板1a,1bをタイリングする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。
【0041】
図2に示すように、基板1aおよび基板1bにおいてそれぞれ導体線4a〜4fおよび導体線4k〜4sが位置ずれを起こしたとしても、基板1aおよび基板1bの裏面において、配線31aとそれに本来接続されるべき配線31bが結合導体9aを介して接続され、配線32aとそれに本来接続されるべき配線32bが結合導体9cを介して接続される。なお、結合導体9b,9dは接続に寄与していないが、配線の接続に問題はない。結合導体9a〜9dは、アルミニウム(Al),チタン(Ti),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W),クロム(Cr),銀(Ag),銅(Cu),ネオジウム(Nd)等から成る導線等である。
【0042】
本発明の配線基板において、基板1は、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板であってもよいが、不透明なものであってもよい。基板1が不透明なものである場合、基板1は着色されたガラス基板、摺りガラスから成るガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板、金属基板、あるいはそれらの基板を積層した複合基板であってもよい。また基板1の厚みは、例えば0.3mm〜5mm程度である。
【0043】
配線3,3rは、例えば図3図4に示すような発光素子73に発光制御信号を伝達するための信号配線等であり、アルミニウム(Al),チタン(Ti),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W),クロム(Cr),銀(Ag),銅(Cu),ネオジウム(Nd)等から選ばれた元素から成る金属材料、これらの元素を主成分とする合金材料、または窒化チタン,窒化タンタル,窒化モリブデン等の金属窒化物等の導電性を有する材料を用いて形成される。また配線3,3rは、これら材料から成る単層構造のもの、または複数の材料の層を積層して成る積層構造のものであってもよい。積層構造とすることにより、低抵抗化を実現することもきる。また配線3,3rは、その幅が10μm〜1000μm程度である。
【0044】
導体線4a〜4fは、図1に示すように、基板1の側面に配置されている側面導体線であることがよい。この場合、配線3と側面導体線との接続状態を確認することが容易になる。また、複数の基板をタイリングする場合には、側面導体線はタイリング部に隠れやすくなり、基板1間の継ぎ目が目立ちにくくなる。また、側面導体線は、基板1の側面において第1主面11から第2主面12に至る溝に配置されていることがよい。この場合、溝によって隣接する側面導体線同士が確実に分離されるので、側面導体線同士の間の短絡をも抑えることができる。側面導体線を配置するための溝は、切削加工法、エッチング法、レーザ加工法等によって形成され得る。また、基板1の主面において整列した複数の貫通孔を切削加工法、エッチング法、レーザ加工法等によって形成し、それらの貫通孔の中心を通る線上においてレーザ光等を照射することによって、基板1を分割する方法等を採用することにより、溝を形成することもできる。
【0045】
側面導体線は、基板1の側面の所定部位に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。あるいは基板1の側面の所定部位に溝を形成し、次にその溝に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。
【0046】
また側面導体線は、基板1の側面の所定部位に、導体ペーストを塗布し焼成して導体層を作製する厚膜形成法等によって形成される。あるいは基板1の側面の所定部位に溝を形成し、次にその溝に導体ペーストを塗布し焼成して導体層を作製する厚膜形成法等によって形成される。
【0047】
また側面導体線は、銅(Cu),アルミニウム(Al),銀(Ag),モリブデン(Mo)等の導体材料から成る。さらに側面導体線は、その幅が10μm〜300μm程度である。
【0048】
また導体線は、基板1に形成された貫通孔に配置されている貫通導体線であることがよい。この場合、貫通孔によって隣接する貫通導体線同士が確実に分離されるので、貫通導体線同士の間の短絡をも抑えることができる。貫通導体腺は、基板1にレーザ加工法、エッチング法、切削加工法等によって貫通孔を形成し、次に貫通孔の側面に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。または、貫通孔に、導体ペーストを充填し焼成して柱状導体を作製する厚膜形成法等によって形成される。また貫通導体線は、銅(Cu),アルミニウム(Al),銀(Ag),モリブデン(Mo)等の導体材料から成る。なお、基板1にレーザ加工法によって貫通孔を形成する場合、基板1として感光性のガラス基板等を採用することが好ましい。この場合、透光性を有する基板1に貫通孔を容易に形成することができる。
【0049】
また本発明の配線基板は、図1に示すように、導体線4a〜4fは、隣接する導体線4a〜4fと所定ピッチPtで配置されていることが好ましい。この場合、複数の導体線4a〜4fを一括して形成した場合にそれらの導体線4a〜4fのずれも一定となり、配線3と導体線4a〜4fとの接続を確保することが容易になる。
【0050】
また本発明の配線基板は、配線3は、複数本あり、所定ピッチPtは、配線3の幅W2の1/3よりも小さい。れにより、配線3に対して導体線4a〜4fが位置ずれを起こしたとしても、配線3と導体線4a〜4fとが確実に接続されやすくなる。また、所定ピッチPtは、配線3の幅W2の1/10以上であることがよい。1/10未満では導体線4a〜4fの抵抗が高くなる傾向がある。
【0051】
また本発明の配線基板は、図2に示すように、配線3は、複数本あり、導体線4a〜4jはそれぞれ、その幅が、配線3とそれに隣接する配線3との最小間隔K2の1/2よりも小さいことが好ましい。この場合、配線3に対して導体線4a〜4jが位置ずれを起こしたとしても、複数の基板1a,1bをタイリングする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することを効果的に抑えることができる。またこの場合、導体線4a〜4jはそれぞれ、その幅が、導体線4a〜4j同士の間の間隔K1よりも小さいことが好ましい。この構成により、配線3に対して導体線4a〜4jが位置ずれを起こしたとしても、複数の基板1a,1bをタイリングする場合、タイリング部において誤接続、接続不良が発生することをより効果的に抑えることができる。
【0052】
また本発明の配線基板は、図1図2に示すように、導体線4a〜4jは、配線3が配置されていない基板1の部位に複数本整列されていることが好ましい。この場合、配線3に対して導体線4a〜4jが位置ずれを起こしたとしても、元々配線3が配置されていない基板1の部位にあった導体線4a〜4jを、位置ずれが生じた結果、配線3に接続させることも可能となる。従って、配線3と導体線4a〜4jとが確実に接続されやすくなる。
【0053】
図9は、配線3と導体線4との接続部を示す斜視図であり、導体線同士を接続する橋掛け線20が配設されていることを示す図である。橋掛け線20の材質は導体線4と同じ材質で良く、金属ペースト等でよい。なお、導体線4は基板1の側面に形成された溝に配置されることが好ましいが、これに限定されず、基板の側面にオフセット印刷等で直接金属ペーストを塗工しても良い。印刷等の形成技術で導体線を塗工するときに同一版で橋掛け線20を形成すれば良い。
【0054】
図9(a)〜(c)を参照して、図9(a)は配線3と裏面側の配線3rとを接続する側面導体線同士を側面において橋掛け接続するもので、側面導体線に直行するように橋掛け線20が形成されている。また図9(b)は隣接する側面導体線において橋掛け線同士が交差するように形成されている。さらに図9(c)は橋掛け線20の交差部を多くしてメッシュ構造のように形成されている。このように隣接する側面導体線の間に複数の橋掛け線を設けることで、配線の冗長性が向上する。本発明の配線基板は、好適に電流制御の発光装置に適用されるが、大電流を配線に流すときに配線が切断されてオープン化する可能性があり、たとえ1本の側面導電体が切れたとしても橋掛け線によって正常な側面導電体に適正な電流、信号、電圧等を供給することができる。
【0055】
特に図9(c)に示すように、橋掛け線20をメッシュ系形状とすることによって、印刷等で側面導体線および橋掛け線20を同時形成する場合、印刷などの塗工精度にマージンを持たせることができ、製造の簡素化を図ることができる。すなわち、配線の冗長化と製造の簡略化を同時に得ることができる。
【0056】
図10は、配線3と導体線4との接続部を示す斜視図であり、導体線同士を接続する橋掛け線20が配設されていることを示す図である。特に、配線として電源部に接続される電源配線に関するものである。本実施の形態では、電源配線3は基板の側面側において二股に分かれた枝分かれ形状となっている。そして、枝分かれの配線のそれぞれに複数の側面導体線が接続されている。また、隣接する側面導体線間には橋掛け線20が形成されている。この橋掛け線20も側面導電体と同じ材質、同じ工程で形成しており、製造方法が簡便となっている。
【0057】
図10(a)は側面導体線と直行する方向に橋掛け線20を形成しており、導電体4aから4fまでを串刺しのような形状となっているが、これに限定されず、橋掛け線20を隣接する側面導体線間で段違いに形成しても良い。また、図10(b)は橋掛け線20同士を交差する形状としている。
【0058】
図10(c)は、枝分かれの配線間に側面導体線がない態様を示している。枝分かれの配線間にはメッシュ上の橋掛け線20が形成されている。枝分かれ配線を一つの配線と見ることもでき、配線自体を冗長化し、橋掛け線も冗長化することで信号供給に関する信頼性、安定性を確保することができる。特に配線が電源部につながる電源線の場合、大電流が流れやすいので、配線の切断等の不具合が発生しやすくなる。電源配線に本実施の形態を採用することがより好ましい。
【0059】
本発明の発光装置は、上記本発明の配線基板と、第1主面11の側に配置され、配線3に電気的に接続されている発光部と、を有している構成である。この構成により、発光部に発光信号等を確実に入力させることができる。また、複数の配線基板をタイリングして複合型かつ大型の表示装置等を作製する場合、複数の配線基板におけるそれぞれの発光部に発光信号等を確実に入力させることができる。なお、本発明の発光装置の基本的な構成は、例えば図3図4に示す表示装置と同様のものであってもよい。
【0060】
発光部としての発光素子としては、マイクロチップ型の発光ダイオード(LED)、モノリシック型の発光ダイオード、有機EL、無機EL、半導体レーザ素子等の自発光型のものであれば採用し得る。
【0061】
本発明の発光装置を用いてマルチディスプレイを作製する場合、複数の発光素子を搭載した配線基板の複数を、同じ面上において縦横に配置するとともにそれらの側面同士を接着材、結合導体等によって結合(タイリング)させることによって、複合型かつ大型の表示装置(マルチディスプレイ)とすることができる。
【0062】
なお、本発明の配線基板および発光装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良を含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の発光装置としての表示装置は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、複合型かつ大型の表示装置(マルチディスプレイ)、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチなどがある。
【符号の説明】
【0064】
1、1a、1b 基板
3、3r 配線
4a〜4s 導体線
11 第1主面
12 第2主面
20 橋掛け線
31a、31b 配線
32a、32b 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10