(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態において、式I−Aの当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドは、より詳細な式I−A−1またはI−A−2のものであり得、この場合、式I−A−1は、
【化10】
[式中、R
1−R
4、Z、k、R
7および当該点線は、上記において定義される通りである」であり;ならびに、
式I−A−2は、
【化11】
[式中、R
1〜R
6および当該点線は上記において定義される通りである]である。
【0016】
本発明の式(I−A)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドは、式(II)の1−ヒドロキシ−ホスホレン−l−オキシドと、オキシラン基を有する式(IV)の化合物との当該反応によって調製され、この場合、式(IV)は、
【化12】
[式中R
5およびR
6は、上記において定義される通りである]である。
【0017】
本発明の式(I−A)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドは、式(III)の1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドと、以下の式(V):
HO−(Z)
k−R
7 (V)
[式中、Z、R
7、および当該添え字kは、上記において定義される通りである]の脂肪族ジオールとの当該反応によって調製される。
【0018】
本発明の当該リン含有ポリオール、例えば、式I−Bのもの、は、式(III)の1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドと脂肪族ポリオールとの当該反応によって調製される。
【0019】
本発明の当該プロセスにおいて出発材料として用いられる当該非置換および置換1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシド(II)および1−クロロ−ホスホレン−1−オキシド(III)は、ほとんどが当技術分野において周知である。式(II)の当該化合物は、例えば、当該対応する1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)の加水分解によって得ることができる。当該後者は、例えば、中国特許第2040603号に記載の当該方法によって調製することができ、なお、当該特許は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0020】
本発明の式(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該化合物を調製するために当該プロセスにおいて使用される特定のオキシラン化合物は、これらに限定されるわけではないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン、1,2−エポキシオクタン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、グリシジルイソブチルエーテル、グリシジルヘプチルエーテル、グリシジル2−エチルヘキシルエーテル、グリシジルアリルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。より好ましくは、当該オキシラン化合物として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および1,2−エポキシブタンが使用される。
【0021】
本発明の式(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該化合物を調製するために当該プロセスにおいて使用される特定の脂肪族ジオールは、これらに限定されるわけではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、および700までの分子量を有する他のジオールからなる群より選択される。
【0022】
本発明の当該リン含有ポリオールを調製するために当該プロセスにおいて使用される当該脂肪族ポリオールは、概して、少なくとも三つの反応性水素原子を有する任意の好適なポリオールであり得、その例は、3から6、好ましくは3および4の官能価と、好ましくは約100から約700の分子量とを有するものである。特定の脂肪族ポリオールは、非ポリマー性多価アルコール、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、またはグリセロール、の群から選択することができる。
【0023】
好ましくは、本発明に従って使用される当該ポリオールは、ポリエーテルポリオールである。このクラスのポリオールは、一つまたは複数のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)と、活性水素原子を有する好適な反応剤、例えば、アルコール、アミン、および酸など、とによる当該開環付加反応によって得られ、より詳細には、当該反応剤は、トリオール、ノボラック樹脂、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ジエチレントリアミンなどからなる群より選択され得る。本発明に従って、ポリエステル−ポリオールも使用することができ、このクラスのポリオールは、ジカルボン酸(またはポリカルボン酸)、例えば、アジピン酸、フタル酸など、と、トリオールとによる当該縮合反応によって得られる。本発明の当該リン含有ポリオールを調製するための当該プロセスにおいて使用される当該脂肪族ポリオールは、ポリマー性ポリオール、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびそれらの混合物など、から選択される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシド(II)とオキシラン化合物とによる当該反応は、有機溶媒、例えば、イソプロパノール、1,4−ジオキサン、またはトルエンなど、の有無による、過剰なオキシランの媒質中において実施される。
【0025】
1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシド(II)による当該反応において使用されるオキシラン化合物の当該量は、1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドに対して、5〜300%モル過剰、好ましくは50〜100%モル過剰である。当該1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドに対して100%を超えるモル過剰の当該オキシラン化合物を使用することは、多量のオキシランをリサイクルする当該必要性から不便である。
【0026】
本発明の式(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドは、当該反応に用いられる当該1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドおよび当該オキシランに応じて、約8〜18重量%のリン含有量および約150〜315mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0027】
可能な最も高いリン含有量を有する当該標的ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシド(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該調製のために、当該1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシド(II)の中でも特に、当該最も高いリン含有量を有する非置換またはメチル置換1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドと、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとを反応させることは好ましい。
【0028】
したがって、特に価値ある特性を有する、式(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該化合物は、R
1、R
3、およびR
4がそれぞれ水素であり、R
2がHまたはメチルであり、R
5およびR
6が、それぞれ独立して、H、あるいはR
5およびR
6およびメチルから選択され、ただし、R
5がメチルの場合、R
6は水素であり、R
6がメチルの場合、R
5は水素である。
【0029】
当該反応は、40℃から120℃の間、好ましくは70℃から90℃の間の温度において実施される。40℃より低い温度では、当該反応は、容認できないほど遅くなる。その一方で、120℃超える温度では、望ましくない分解生成物が形成され得るため、そのような高温の適用は望ましくない。
【0030】
好ましい実施形態において、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と脂肪族ジオールとによる当該反応は、過剰なジオールの媒質中において実施される。
【0031】
1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)との当該反応において使用されるジオール化合物の当該量は、概して、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド1モルあたり2モルから10モル、好ましくは4モルから8モルのモル過剰である。これらのジオールの当該比較的多量の過剰量は、グリコールと、ヒドロキシル基を有さないジオールとによる望ましくないジホスホレンホスフィン酸エステルの当該形成を最小限に抑えるために必要である。1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド1モルあたり10モルを越える当該ジオール化合物のモル過剰を使用することは、多量のジオールをリサイクルする当該必要性から、不便である。
【0032】
本発明の式(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドは、当該反応に用いられる当該1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドおよび当該ジオールに応じて、約2〜18重量%のリン含有量および約150〜450mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0033】
可能な最も高いリン含有量を有する当該標的ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシド(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)の当該調製のために、当該1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)の中でも特に、最も高いリン含有量を有する非置換またはメチル置換1−クロロ−ホスホレン−1−オキシドと、エチレングリコールとを反応させることは好ましい。
【0034】
したがって、特定の価値ある特性を有する式(I−A−1)の当該化合物は、R
1、R
3、およびR
4がそれぞれ水素であり、R
2がメチルであり、Yが−CH
2CH
2−であり、nが1であり、ならびにR
7が水素である化合物である。
【0035】
上記反応は、25℃から120℃の間、好ましくは50℃から90℃の間の温度において実施される。25℃より低い温度を適用した場合、結果として、低い収率を生じる。その一方で、120℃超える温度の適用は、そのような温度では望ましくない分解生成物が形成され得るため、望ましくない。さらに、例えば、MgCl
2またはZnCl
2などの触媒を使用することにより、反応を加速させることができる。
【0036】
好ましい実施形態において、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と脂肪族ジオールとの当該反応は、強塩基、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど、の存在下において、有機溶媒および過剰な脂肪族アルコールの両方の媒質中で実施される。当該有機溶媒は、芳香族化合物から選択される。とりわけ好適な芳香族溶剤は、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、メシチレン、特に、トルエンおよびキシレンである。当該プロセスにおいて用いられる当該塩基の有効量は、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)1molあたり1〜1.2mol、好ましくは1〜1.05molの範囲である。
【0037】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムは、固体形態において用いることができる。当該ジオールと当該塩基との間の当該反応の結果として生じる水は、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)の添加の前に可能な限り当該反応混合物から排除されるべきである。
【0038】
好ましい実施形態において、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と脂肪族ポリオールとによる当該反応は、当該ポリオールの部分リン酸化の当該程度を変えることによって実施される。本発明による当該リン含有ポリオールは、少なくとも一つのリン含有基を有する。このリン含有基は、下記の式(III−A):
【化13】
[式中:R
1,R
2,R
3,およびR
4は、定義される通りであり、ならびに、当該点線は、3位の当該炭素原子と、2位および4位の当該炭素原子のうちの一方との間に位置された二重結合を示し、ただし、当該二重結合の一部ではない当該2つの環炭素原子のそれぞれが、当該構造式(III)に示される当該2つの水素原子のうちの1つにそれぞれ結合しており、ならびに、当該波線は、酸素原子を介したジオールまたはポリオールへの結合を示す]の基である。
【0039】
本発明の当該リン含有ポリオールは、式(III−A)の二つ以上のリン含有基を有し得、その場合、これらのリン含有基は、同一かまたは異なり得る。
【0040】
1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と脂肪族ポリオールとによる当該反応は、これらに限定されるわけではないが、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルイミダゾールなど、の当該群から選択される有機塩基の存在下において実施することができる。使用される塩基の当該量は、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と等モルである。当該塩基は、当該1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドに対して過剰において使用することもできる。上記反応は、典型的には、不活性有機溶媒の媒質中において実施される。当該リン酸化にとって好適な溶媒は、これらに限定されるわけではないが、ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、または1,2−ジクロロエタンなど、である。さらなる好適な溶媒は、エーテル、例えば、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなど、である。さらなる好適な溶媒は、炭化水素、例えば、ヘキサンまたはトルエンなど、である。
【0041】
好ましい実施形態において、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)と脂肪族ポリオールとによる当該反応は、無機強塩基、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど、の存在下において、有機溶媒、例えば、クロロベンゼン、メシチレン、特に、トルエンおよびキシレンなど、の媒質中で実施される。
【0042】
当該プロセスにおいて用いられる当該塩基の有効量は、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)1molあたり1〜1.2mol、好ましくは1〜1.05molの範囲である。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムは、固体形態において用いることができる。当該ポリオールと当該塩基との間の当該反応の結果として生じる水は、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)の添加の前に可能な限り当該反応混合物から排除されるべきである。
【0043】
1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)およびポリオールの当該量を調節することにより、官能化の当該所望の程度を達成することができる。当該ポリオールの部分的リン酸化は、その官能価に基づいて、当該ポリオールに対して当該化学量論量未満の当該1−ハロ−ホスホレン−1−オキシド(III)を使用することによって達成することができる。この場合、当該ポリオールの当該OH基の一部のみが、1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドと反応する。
【0044】
本発明の当該リン含有ポリオールは、1から5、好ましくは2、3、または4のOH官能価および約200から約1000の分子量を有する。本発明の当該リン含有ポリオールは、当該反応に用いられる当該1−ハロ−ホスホレン−1−オキシドおよび当該ポリオールならびにそれらの間の当該モル比に応じて、約4〜12重量%のリン含有量および約20〜800mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0045】
当該ポリオールのリン酸化反応は、0℃から100℃の間、好ましくは10℃から90℃の間の温度において実施される。0℃より低い温度を適用した場合、結果として、低い反応速度を生じる。その一方で、100℃超える温度では望ましくない分解生成物が形成され得るため、そのような高温の適用は望ましくない。
【0046】
当該以下の実施例は、本発明のある特定の化合物の当該調製と、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、コーティング剤、接着剤、およびエラストマーにおける難燃剤としてのこれらの化合物の当該有用性との両方の特定の実施形態を例示するものである。
【0047】
本発明の当該新規の化合物は、難燃剤として有用である。当該新規の難燃剤は、そのままで、またはハロゲン化生成物もしくは非ハロゲン化生成物との混合物として使用され得る。より好ましいのは、当該新規のヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドと、ヒドロキシル基を有する反応性臭素化生成物とによる組成物である。硬質ポリウレタン(PU)フォームの場合、臭素化生成物との混合物を使用することが好ましく、ポリイソシアヌレート(PIR)フォームの場合は、純粋な生成物を使用することが好ましい。軟質PUフォームの場合、本発明の純粋なハロゲン不含のヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドを使用することが好ましい。
【0048】
ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドとの組み合わせにおいて、本発明に従って使用される好ましい臭素化難燃剤は、下記の式(VI):
【化14】
[式中、nは、0から5の間の範囲、より好ましくは0から4の間の範囲の整数である]によって表される一つまたは複数のトリブロモフェノール末端化合物を含む。
【0049】
そのような化合物は、本発明によって提供される当該液体組成物であるヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドに、当該組成物の安定性を変えることなく、首尾よく溶解させることができ、それにより、当該結果として得られる組成物は、長期間の貯蔵で、周囲温度において溶液の当該形態を維持する。式(VI)の市販のトリブロモフェノール末端化合物は、F−3014の商標においてDeadSeaBromineGroupによって提供される。
【0050】
当該組成物の当該総重量に対する当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドの当該重量濃度は、好ましくは10%から60%の間、より好ましくは20%から40%の間である。
【0051】
室温において個体である、以下の式(VII):
【化15】
の当該構造によって表される難燃剤である、トリブロモネオペンチルアルコールも、本発明によって提供される当該液体組成物であるヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドに、当該組成物の安定性を変えることなく、首尾よく溶解させることができ、それにより、当該結果として得られる組成物は、長期間の貯蔵で、周囲温度において溶液の当該形態を維持することも分かっている。好ましくは、トリブロモネオペンチルアルコールの当該重量濃度は、当該組成物の当該総重量に対して、10%から60%の間の範囲、より好ましくは20%から40%の範囲である。トリブロモネオペンチルアルコールは、FR−513の商標においてDeadSeaBromineGroupから市販されている。
【0052】
本発明の当該新規の組成物は、ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームのための難燃剤として特に有用である。上記において説明したように、本発明によって提供される当該液体組成物は、式(I−A、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2))または(I−B)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドを、式(VI)の当該化合物との組み合わせにおいて、またはトリブロモネオペンチルアルコール(VII)とは別々に、好ましくは、式(I−A、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2))または(I−B)の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドの溶質として式(VI)および式(VII)の両方の当該化合物と共に、含有する溶液であり、したがって、ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームを調製するために使用される反応剤の当該液体混合物に直接添加してもよく、結果として、上記混合物の当該ブレンド操作は、著しく簡素化され、反応する当該成分の一様な分布が、上記混合物において容易に得られる。
【0053】
本明細書における別の実施形態において、当該臭素化された難燃剤は、臭素化ビスフェノールA化合物、臭素化ビスフェノールS化合物、臭素化ビスフェノールF化合物、臭素化ビスフェノールAカーボネートオリゴマー、臭素化ビスフェノールAエポキシ樹脂、エンドキャップされた臭素化ビスフェノールAエポキシ樹脂、脂肪族臭素化アルコールおよびグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、臭素化フタレートおよびテトラブロモフタレートジオール、臭素化ホスフェート、臭素化フェノール、臭素化フタル酸、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
【0054】
本発明に従って使用される当該臭素化難燃剤の当該量は、ポリウレタンフォームに必要な当該難燃性の当該程度と物理特性との間の当該関係に応じて変わる。しかしながら、当該臭素化難燃剤は、通常、ポリウレタンフォーム100重量部に対して、1重量部から50重量部の量において使用される。1重量部未満の量の場合、所望の難燃性を付与することができない。50重量部を超える量は、十分な難燃性を生じるが、結果として得られるフォームの当該成形品または形成品の物理特性を損なう場合がある。したがって、当該上記の範囲外の量は好ましくない。当該難燃性と物理特性との間の良好なバランスを維持するという当該観点から、当該量は、実質的に、3部から30部の範囲内に収まる。当該最終使用用途に応じて、2種以上の臭素化難燃剤を組み合わせて使用することができる。
【0055】
したがって、本発明の当該新規の難燃性組成物は、硬質ポリウレタンフォーム(連続法、非連続法、または噴霧法によって)またはポリイソシアヌレートフォームを得るために好適な標準的配合物に添加することができるプリフォームされた濃縮物として使用され得る。
【0056】
別の態様において、本発明は、ハロゲン化製品または非ハロゲン化製品のどちらか(または両方)を伴う、当該新規のヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシド(I−A)、より詳細には(I−A−1)または(I−A−2)、またはI−Bの組成物を提供する。
【0057】
本発明の当該難燃性組成物中の、一般式I−Aのうちの式(I−A−1)または(I−A−2)の当該化合物と、他の製品との間の当該重量比は、1:9から9:1の間、より好ましくは30%から70%の間である。当該臭素化難燃剤、例えば、トリブロモネオペンチルアルコール(FR−513)および、式(VI)によって表されるトリブロモフェノール末端化合物は、本発明の当該難燃性組成物中における本発明の当該ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシド、トリブロモネオペンチルアルコール(VII)、および式(VI)によって表されるトリブロモフェノール末端化合物の当該重量濃度が、それぞれ、10重量%から50重量%、10重量%から50重量%、および10重量%から50重量%の範囲となるように、本発明の組成物に含ませられ得る。
【0058】
本発明の当該新規の化合物は、硬質、半硬質、または軟質ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレート(PIR)フォーム、ポリウレタンコーティング剤、ポリウレタン接着剤、およびポリウレタンエラストマー中に組み入れた場合、非常に効率的な難燃剤である。本発明の当該化合物が、広いイソシアネート指数(本明細書において、MDIまたはTDIと略される)にわたって有用であることは留意されるべきである。当該指数は、当該配合物において実際に使用されるイソシアネート、対、必要とされるイソシアネートの当該理論的化学量論量の当該比率を意味し、百分率において表される。
【0059】
当該硬質もしくは半硬質ポリウレタンフォームまたはポリイソシアヌレートフォームは、本発明の当該組成物の典型的な難燃性量を含有する。典型的には、本発明の当該組成物は、当該ポリマーの当該総重量に対して0.3重量%から15重量%の範囲の当該ポリマー中の総リン濃度を提供する量において使用される。好ましくは、当該ポリマー中の当該総リン濃度は、当該ポリマーの当該総重量に対して、1重量%から10重量%、より好ましくは2重量%から5重量%の範囲である。最も好ましくは、本発明の当該難燃剤の当該使用量は、少なくとも、当該DIN4102B2試験の当該現在の要件を満たすのに十分である。
【0060】
当該軟質ポリウレタンフォームは、本発明の当該組成物の典型的な難燃性量を含有する。典型的には、本発明の当該組成物は、当該ポリマーの当該総重量に対して0.3重量%から15重量%の範囲の当該ポリマー中の総リン濃度を提供する量において適用される。好ましくは、当該ポリマー中の当該総リン濃度は、当該PUポリマーの当該総重量に対して、1重量%から10重量%、より好ましくは1.5重量%から5重量%の範囲である。最も好ましくは、本発明の当該難燃剤の当該使用量は、少なくとも、燃焼性試験方法MVSS302の当該現在の要件を満たすのに十分である。
【0061】
成分および条件の好適な選択によって、車内装飾用途において使用される当該柔らかな軟質タイプから、断熱部材/構造部材として使用される当該硬い硬質タイプまで、特性の異なるフォームが作製される。したがって、軟質フォームは、概して、主要な発泡剤として水を使用して、20から80のヒドロキシル価を有するポリマー性ジオールまたはトリオールから作製される。硬質フォームにおいて必要とされる非常に高い架橋密度は、より高い官能性のポリオールおよび/またはポリイソシアネートの当該使用によって提供され、この場合、当該主要な発泡剤は、通常、ハロゲン化炭化水素、例えば、トリクロロフルオロメタンなど、である。
【0062】
軟質フォームから硬質フォームの両極の間に、一般的に半硬質として分類される、別の有用なタイプのフォームが存在する。自動車の乗員室および他の場所での衝撃吸収材料として使用されるこれらのフォームは、通常、ポリイソシアネートを、軟質フォームポリオールおよび架橋剤、例えば、トリメチロールプロパンなど、の混合物と反応させることによって製造される。
【0063】
軟質、硬質、または半硬質といった全てのポリウレタンフォームの当該製造は、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の同じ基本的化学反応を伴うが、各タイプのフォームは、当該製造元に対して、異なる問題を提示する。当該相違点は、多くの場合、ガス発生とポリマーのゲル化との間において常に達成されなければならない当該バランスに関連する。明確には、例えば、水発泡軟質フォーム系における当該バランスは、溶媒発泡高架橋硬質フォーム系におけるバランスとは異なる。これらの問題の多くは、少なくとも部分的には、助剤、例えば、触媒、界面活性剤、フォーム安定化剤など、の適切な選択によって、解決することができる。
【0064】
本明細書において使用されるような軟質ポリウレタンフォームは、本明細書において説明されるような3,000から約6,000分子量のポリオールを有するポリオール、例えば、グリセロールへのプロピレンオキシドの当該付加によって調製されるポリエーテルトリオールなど、を使用して作製される。本明細書において使用される軟質ポリウレタンフォームは、最大でも30%までのコア反発弾性および−80℃から−60℃のガラス転移温度を有することによって特徴付けられる。ここで、当該軟質ポリウレタンフォームは、好ましくは、最大でも40質量%までの硬質セグメント含有量を有する。1立方フィートあたり2.5ポンド(PCF)以下のバルクフォーム密度を有し、10から90lb/50in
2の範囲のフォーム硬度またはIFD(試験方法ASTM3574−TestB1に従って測定)を有する、従来の軟質ポリウレタンフォーム。
【0065】
本明細書において使用される硬質ポリウレタンフォームは、8の高い官能価を有する、より高度に分岐したより低い当量のポリエーテルポリオールから作製される。硬質ポリウレタンフォームでは、軟質フォームより高い濃度の芳香族ポリイソシアネートが必要である。本発明の当該方法によって得ることができる硬質ポリウレタンフォームは、好ましくは、10kg/m
3から50kg/m
3、より好ましくは20kg/m
3から40kg/m
3のコア密度を有する。
【0066】
硬質フォームは、当該自動車産業および他の産業において、多くの目的のために使用されてきた。例えば、硬質フォームは、構造強化のため、腐食を防ぐため、ならびに音および振動を減衰させるために使用されてきた。これらのフォームは、典型的には、反応性のフォーム配合物を部品に適用し、適所において当該配合物を発泡させることによって形成される。当該部品は、多くの場合、フォームが適用されるときには既に、乗り物に組み付けられている。このことは、当該フォーム配合物が、容易に混合および分配されなければならず、さらに当該部品から流れ落ちる前に急速に硬化しなければならず、好ましくは、中程度の温度において硬化を開始することを意味する。作業者の化学薬品暴露を最小限に抑えるために、当該配合物は、好ましくは、揮発性有機化合物、特に揮発性イソシアネートおよびアミンが少ない。当該個々の成分は、好ましくは、長期間、室温において貯蔵安定である。
【0067】
フォームに対して適用される半硬質なる当該用語は、当技術分野において使用される標準的な用語である。一般的に、そのようなフォームは、硬質フォームと軟質フォームの間のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0068】
本発明の当該組成物は、秤量されて共通の混合容器中へとポンプ流送され得る、当該ポリオール成分および/または当該ポリイソシアネート成分または触媒ならびに本明細書にいて説明される式(IA)、(I−A−1)(I−A−2)、および(I−b)の難燃性材料の1種または複数種と組み合わせることができ、次いで、結果として得られる当該混合物は、金型での使用、スラブストック操作などのために、当該重合部位へと容易に移動させることができる。
【0069】
本発明の当該組成物は、当該ポリイソシアネート反応剤と組み合わせる前に、当該ポリオール反応剤と混和してもよい。当該難燃性材料をポリイソシアネートと混合し、その後に、そのような混合物を当該ポリオール反応剤と組み合わせることも、本発明の範囲内である。しかしながら、当該ポリイソシアネートおよび前述の当該難燃性材料が混合され、かなりの期間において室温に放置される場合、反応が生じる場合がある。
【0070】
本明細書において説明される式(IA)、(I−A−1)、(I−A−2)、および(I−b)の当該難燃性材料は、イソシアネート反応性(NCO反応性)材料として説明され得、すなわち、それらは、当該ヒドロキシル基によって当該イソシアネートと反応する。
【0071】
本明細書において説明される当該ポリウレタンフォームおよび/またはポリイソシアヌレートフォーム(それらは、軟質、半硬質、または硬質である)の作製において使用される当該ポリオールは、任意の有機ポリオール、例えば、ジオール類、ポリオール類など、を含んでもよく、ならびに、イソシアネートと反応する水素原子を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエステルアミドポリオールを使用することもできる。概して、これらの材料は、約62から約5,000の範囲の分子量を有し、ならびに1分子あたり2から約10またはそれ以上のヒドロキシル基と、約0.5重量%から約25重量%の範囲のヒドロキシル含有量を有する。当該、概して、約50から500またはさらに700のヒドロキシル価を有する。
【0072】
当該ポリエステル−ポリオールタイプの反応剤において、10未満であるべきの当該酸価は、通常、可能な限り0に近い。これらの材料は、便宜上、当該「ポリオール」反応剤と呼ばれる。当該有用な活性水素含有ポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−および2,3−ブチレンオキシド、または他のアルキレンオキシドが、そのような活性水素化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルグルコシド、スクロース、ソルビトール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ならびに様々なアルキルアミンおよびアルキレンジアミンならびにポリアルキレンポリアミンなどによって表されるグリコールおよびポリオールなど、に付加されるときに結果として得られる付加化合物の当該大きなファミリーを包含する。様々な量のこれらのアルキレンオキシドは、当該ポリウレタンの当該意図される用途に応じて、言及された当該塩基性ポリオールまたはアミン分子に付加され得る。例えば、最終ポリウレタンとして軟質ポリウレタンが所望される場合、より硬質のポリウレタンの場合よりも、より多くのアルキレンオキシドが使用される。
【0073】
例えば、軟質フォームの作製での使用のためのポリオールは、約1.7%の最終ヒドロキシル含有量を与えるのに十分なプロピレンオキシドが付加された、グリセリンによって代表される。そのような材料は、約3,000の分子量を有し、ならびに、50のプロピレンオキシドに対して約一つのグリセリンである、プロピレンオキシドに対するグリセリンのモル比を有する。当該ポリオール分子の選択と、加えられたアルキレンオキシドの当該後続の量の選択によって、剛性又は柔軟性を制御するこの技術は、当業者に周知である。
【0074】
当該アルキレンオキシドの付加のための当該塩基性ポリオール分子として機能することができ、結果として当該イソシアネートとの反応のための当該「ポリオール」分子を与える当該グリコールなどに加えて、アルキレンオキシドに対して反応性である水素を有する第一級および/または第二級アミン基を有する出発分子も使用することができる。さらに、付加されるアルキレンオキシドの当該量は、当該最終ポリウレタン製品の当該意図される用途に依存する。一方、多くの場合、約10重量%から約15重量%又は20重量%、典型的には10重量%から12重量%のヒドロキシル含有量を有するポリオールが使用される、より硬質なポリウレタンと比べて、軟質製品に対しては、約0,1%から約5%または10%などのより低いヒドロキシル含有量のポリオールを生成するために、より多くのアルキレンオキシドが使用される。
【0075】
エポキシドとの反応のための活性水素含有分子として機能する代表的なアミンは、一個から約六個またはそれ以上のアミノ窒素を有するものであり、それらの例は、エチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、および他の直鎖状飽和脂肪族アルキレンアミンであり、この場合、当該重要な要件は、当該アルキレンオキシドを付加させることができる少なくとも二つ、好ましくはより多く、すなわち、3から8または10の活性水素部位である。
【0076】
当該ポリウレタン系の調製において使用される当該活性水素化合物として、多官能性酸または無水物および多官能性アルコールからエステル化タイプの反応によって調製された、当該ヒドロキシルを有する分子を使用することも周知である。これらの化合物は、多くの場合、ポリエステルポリオールと呼ばれる。これらのポリエステルポリオールの作製において使用される典型的な酸は、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、およびテトラクロロフタル酸である。典型的なポリオールは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジエチレン、およびジプロピレン、グリコール、およびポリエチレン、ポリプロピレン、グリコールおよびグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどである。利用可能である場合、所望であれば、上記において言及した酸を当該無水物の形態において使用することもできる。
【0077】
当該ポリエステル−ポリオールの製造において、当該様々な多官能性酸または無水物またはそれらの混合物のいずれかも、当該最終ポリオール生成物が支配的にヒドロキシル末端基を有するように化学量論的に過剰な当該ヒドロキシル基を使用して、当該グリコールまたはポリオールまたはそれらの混合物と反応させることができる。当該ヒドロキシル官能価および当該ヒドロキシルパーセントは、当業者に既知の技術および手法によって当該所望のポリオールを提供するために容易に変えられる。
【0078】
ポリウレタンを作製する当技術分野および技術において、プレポリマー手法と呼ばれるものが用いられることも既知である。これは、ポリウレタンの作製に関与する当該反応の一部が実施され、それにより、増加した分子量のプレポリマーを提供し、このプレポリマーを作製する際に使用した当該化学量論に応じてヒドロキシルまたはイソシアネートの末端基のどちらかを結果として得る手法である。次いで、このプレポリマーは、上記において言及されるように、当該プレポリマーの当該末端基がそれぞれヒドロキシルであるかまたはイソシアネートであるかに応じて、ポリイソシアネートまたはポリオールのどちらかと反応させることによって、当該最終ポリウレタン製品を調製するために使用される。
【0079】
広範には、自由な反応性水素、特にヒドロキシル基を有する、当該先行技術のポリエステル、ポリイソシアネート変性ポリエステルプレポリマー、ポリエステルアミド、ポリイソシアネート変性ポリエステルアミド、アルキレングリコール、ポリイソシアネート変性アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリイソシアネート変性ポリオキシアルキレングリコールなどのいずれも、本明細書において説明される当該ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの製造のために用いることができる。
【0080】
使用することがきるイソシアネートの例としては、軟質ポリウレタンフォームを作製するためにこれまで使用されてきた、二つ以上のイソシアネート基を有するものが挙げられる。そのようなイソシアネート化合物の例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂環式イソシアネート、ならびにそのようなイソシアネートのうちの二つ以上の混合物、およびそのようなイソシアネートの当該変性によって得られる変性イソシアネートが挙げられる。そのようなイソシアネートの特定の例は、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート;ならびに、そのようなポリイソシアネートの変性された生成物、例えば、カルボジイミド変性生成物、ビウレット変性生成物、二量体および三量体である。そのようなイソシアネートと活性水素含有化合物とから得られる、末端イソシアネート基を有するプレポリマーも使用することができる。
【0081】
一実施形態において、軟質ポリウレタンフォームのための当該イソシアネート指数の範囲は、約130から約80、より好ましくは約120から約90、最も好ましくは約115から約95であり得る。
【0082】
本発明の当該軟質ポリウレタンフォーム形成組成物における当該発泡剤として、そのような組成物においてこれまで使用された既知の発泡剤は、当該発泡生成物における必要な特性に従って適切に選択される。
【0083】
本発明において、必要な場合には、架橋剤も使用される。
【0084】
当該架橋剤として、活性水素を有する少なくとも二つの官能基、例えば、ヒドロキシル基、第一級アミノ基、または第二級アミノ基など、を有する化合物は好ましい。しかしながら、当該架橋剤としてポリオール化合物が使用される場合、当該以下が考慮される。すなわち、少なくとも50mgKOH/gのヒドロキシル価および4つを超える官能基を有するポリオール化合物は、当該架橋剤であると見なされるが、これを満たさないポリオールは、上記において言及されたポリオール混合物(ポリオール(1)、(2)、または他のポリオール)のポリオールのいずれか一つであると見なされる。さらに、2種以上の架橋剤を一緒に使用してもよい。具体例として、多価アルコール、例えば、デキストロース、ソルビトール、またはスクロースなど;多価アルコールに付加されるアルキレンオキシドを有するポリオール;アミン化合物、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン(DETDA)、2−クロロ−p−フェニレンジアミン(CPA)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン、1−トリフルオロメチル−4−クロロ−3,5−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、またはイソホロンジアミンなど;ならびに、それらのアルキレンオキシドを付加させることによって得られる化合物についても、例えば、言及され得る。
【0085】
当該上記の架橋剤が使用される場合、例えば、低い密度を有する軟質フォームを製造するために多量の発泡剤が使用される場合でさえ、当該発泡安定性は良好であろうし、そのような軟質フォームを製造することは可能であろう。とりわけ、高分子量を有するポリオールが使用される場合、かつては発泡させるのが困難と考えられた低い密度を有する軟質フォームを製造することが可能である。さらに、当該架橋剤が使用される場合、当該耐久性は、それが使用されない場合と比較して、向上するであろう。本発明のように高分子量を有するポリオールが使用される場合、特に、比較的高い分子量、例えば、少なくとも4000の分子量、を有する化合物が使用される場合、当該発泡安定性は容易に改善することができる。
【0086】
水は、そのような発泡剤の典型的な例であり、他の例としては、塩化メチレン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、アセトン、二酸化炭素、などが挙げられる。当該発泡ポリウレタンの当該所望の密度および他の特性に応じて、これらの発泡剤および他の発泡剤を、単独においてまたは2種以上の組み合わせにおいて、当技術分野において既知の方法により、使用することができる。
【0087】
使用される発泡剤の当該量は、特に制限されないが、通常、当該フォーム形成組成物の当該ポリオール成分100重量部あたり0.1重量部から20重量部の範囲であろう。好ましくは、発泡剤の当該量は、1立方フィートあたり0.8ポンドから2.5ポンド、好ましくは1立方フィートあたり0.9ポンドから2.0ポンドのフォーム密度を提供する量であろう。
【0088】
好ましくは、本明細書における当該ポリウレタンフォーム形成組成物は、従来において既知のまたはポリウレタンフォームの当該製造のために使用される、当該触媒および触媒の組み合わせ物のいずれかを含有させることができる。有用な触媒の例としては、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、第三級アミン、あるいは第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、およびN,N−ジメチルアミノエタノールなど、を生じる材料が挙げられる。さらに適用可能なものは、金属化合物、例えば、炭化水素スズアルキルカルボキシレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、および第一スズオクトエートなど;ならびに、当該ポリイソシアネートの三量体形成を促進することを目的とする他の化合物、例えば、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノ−メチル)フェノール、1,3,5−トリス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)−S−ヘキサヒドロトリアジン、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、および触媒、例えば、DABCOTMR(登録商標)およびPOLYCAT43(登録商標)など、が挙げられる。
【0089】
多くの他の種類の触媒も、所望の場合、上記に一覧されたものに代えることができる。使用される触媒の当該量は、有利には、当該フォーム形成混合物中のポリオールの当該総重量に対して0.05重量パーセントから5重量パーセントまたはそれ以上の範囲であり得る。
【0090】
本発明による当該軟質フォームの作製において適用される当該イソシアネート(NCO)指数は、95〜125、好ましくは100〜120である。本発明による当該半硬質フォームの作製において適用される当該NCO指数は、126〜180、好ましくは130〜175である。本発明による当該硬質フォームの作製において適用される当該NCO指数は、181〜350、好ましくは200〜300である。ポリウレタンフォームの当該NCO指数は、約80〜130であり、イソシアヌレートフォームの当該NCO指数は、約200〜350であることは、一般的に理解されている。
【0091】
当該軟質フォームの当該密度は、14〜80kg/m
3、好ましくは16〜55kg/m
3、最も好ましくは20〜40kg/m
3である。
【0092】
当該半硬質フォームの当該密度は、8kg/m
3から180kg/m
3、好ましくは8〜80kg/m
3、最も好ましくは8〜48kg/m
3である。
【0093】
当該硬質フォームの当該密度は、8kg/m
3から180kg/m
3、好ましくは8〜80kg/m
3、最も好ましくは8〜48kg/m
3である。
【0094】
有機界面活性剤およびシリコーンベースの界面活性剤などの界面活性剤を、気泡安定化剤(cellstabilizer)として加えてもよい。いくつかの代表的な材料は、SF−1109、L−520、L−521、およびDC−193の名称において販売されており、これらは、一般的に、ポリシロキサンポリオキシルアルキレンブロックコポリマーである。さらに、ポリオキシ−エチレン−ポリオキシブチレンブロックコポリマーを含有する有機界面活性剤も含まれる。当該発泡反応混合物が硬化するまで、それらを安定化させるために、少量の界面活性剤を用いることが特に望ましい。本明細書において有用であり得る他の界面活性剤は、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アリル酸サルフェートエステルの第三級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸、およびそれらの組み合わせである。そのような界面活性剤は、つぶれおよび大きな不均一の気泡の当該形成に対して、当該発泡反応を安定化させるのに十分な量において用いられる。典型的には、配合物全体に対して、約0,2重量%から約3重量%の界面活性剤の総量は、この目的に対して十分である。しかしながら、いくつかの実施形態では、いくつかの界面活性剤、例えば、Air Products and Chemicals,Inc.から入手可能なDABCO DC−5598など、を、より多い量において含ませることが望ましい場合もある。このことを考慮して、界面活性剤は、当該ポリオール成分に対して0重量%から6重量%の範囲の任意の量において、本発明の配合物に含ませられ得る。
【0095】
最後に、他の添加剤、例えば、充填剤および顔料など、も、本明細書において説明される当該ポリウレタンフォーム配合物に含ませてもよい。そのようなものは、非限定的な実施形態において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、グラファイト、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、ミクロスフェア、三水和アルミナ、ウォラストナイト、調製されたガラス繊維(短繊維または長繊維)、ポリエステル繊維、他のポリマー性繊維、それらの組み合わせなどを含み得る。添付の当該請求項の範囲内に依然として属するが、所望の特性および/または処理方法の変更を示すかまたはそれらから恩恵を受ける硬質ポリウレタンフォームを製造するために、本発明の配合物を適合させるための典型的および好適な手段および方法に関して、さらなる説明が無くても当業者は承知しているであろう。
【0096】
軟質、半硬質、または硬質であり得る、本明細書において説明される当該ポリウレタンフォームおよび/またはポリイソシアヌレートフォームは、様々な物品、例えば、家具、寝具、自動車シートのクッション、壁パネルおよび屋根パネル構築のパネル断熱材、および壁パネルおよび屋根パネル用の現場注入式および噴霧式のフォーム断熱材など、の構築および形成において利用することができる。
【0097】
軟質スラブストックポリウレタンフォームは、家具、例えば、クッション、肘掛け椅子などの布張り家具、当該自動車産業、例えば、自動車およびトラック用のシートおよび背もたれのクッション、公共の輸送機関、例えば、バスおよび飛行機など、の座席、ならびにトラクター、自転車、およびオートバイのシート、および寝具、例えば、マットレスなど、遮音材料、自動車の内装部品、例えば、アームレスト、ステアリングホイール、およびシフトレバーのノブなど、靴底、およびスポーツ用品など、に使用することができる。例えば、高い耐摩耗性を必要とする自動車のステアリングホイールおよび靴底などの物品は、通常、望ましくはより良好な接触感覚のために内部(コア)がより低い密度を有するように、それらの当該表面(靴の場合は当該底)を被覆材で覆った成形部材から作製される。
【0098】
自転車のサドルも、典型的には、被覆材で覆われているが、これは、乗り手の当該身体に接触する当該表面、および当該サドルが当該自転車に取り付けられる当該部分が、高い強度を必要とするためであり、その場合、望ましくは、より良好な乗り心地のために、当該コアはより低い密度および柔らかさを有する。当該塗面をより良好な外観に仕上げるために、当該表面層は、高密度を有することを必要とする。
【0099】
硬質および半硬質ポリウレタンフォームは、模造木材および構造材料などの多くの用途を有する。さらに、硬質ポリウレタンフォームは、断熱、建築、および包装;マイクロセル発泡ポリウレタンフォーム、例えば、履物およびガスケットなど;ならびに粘弾性(「形状記憶」)ポリウレタンフォーム化学、スピーカー用のエアフィルターおよび装飾的表面仕上げ、好適な表面仕上げまたは防湿を有するように積層機械上に作製されたフォームシート、シート被覆、成形、および噴霧技術によって適用されたタンクおよびパイプの断熱、冷蔵庫、冷凍庫、湯沸かし器用の断熱材、浮遊および包装での使用、などの用途において使用することができる。当該断熱は、窓またはドア用断熱も含み得る。
【0100】
当該断熱は、任意の構造的構成要素、例えば、屋根または壁など、において使用することができる。構造的デッキおよび断熱パネル、例えば、当該構造的デッキの上に位置された上記において説明したものなど、を支持する梁を含む屋根構造も提供され、この場合、任意選択により、それらを覆うようにカバーボードが配置され、次いで、防水層、例えば、下ぶきまたは瀝青など、がその上に適用され、さらに、従来的な屋根葺、例えば、屋根板、タイルなど、が、その上に適用される。
【0101】
構造支持部材、例えば、木材、鉄鋼、またはコンクリートの梁など、によって一緒に連結されたフレーム、連続した外壁を形成するために当該フレームの外装に貼り付けられた単層または複数の硬質フォーム断熱ボード、例えば、ポリイソシアヌレートフォームのボード、を含む壁構造も提供され、この場合、そのような連結および貼り付けは、留め具、例えば、釘、ねじ、リベットなど、によって為され、ならびに、当該構造的支持部材の間に空間が形成され、そのように形成された当該空間内に断熱材が配置され、ならびに任意選択により、壁板が、内装表面を形成するために当該フレームの当該内装に固定される。
【実施例】
【0102】
本明細書において提供される粘度測定は、Canon Fenske粘度計により25℃において実施した。
【0103】
調製例1
1−(2−ヒドロキシ−プロポキシ)−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドおよび1−(1−メチル−2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの異性体の混合物の調製
【化16】
【0104】
機械的撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を備えた2リットルの反応器に、
31P−NMRに基づいて55%の1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドおよび45%の1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドで構成される異性体混合物(150g、1.14mol)を装入した。さらに、プロピレンオキシド(105g、1.81mol)を、60℃において2時間かけて当該反応内容物に加えた。当該反応は発熱性であり、当該1−ヒドロキシ−3−メチルホスホレン−1−オキシドの当該転化が完了するまで(
31P−NMRによって確認)、さらに2時間、80℃に維持した。当該プロピレンオキシドを蒸発除去し、当該残留物を真空下(1mbar)において薄膜蒸留装置(wiped film evaporator)を使用して蒸留し、当該標的分画を110〜170℃の蒸気温度において収集した。無色透明な液体(173g)が得られた。当該収率は、当該出発材料の1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドに対して80%であった。当該生成物は、ヒドロキシル官能性3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの4つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=76.7〜78.1(m)。当該最終生成物は、15.2%のリン含有量、286mgKOH/gのヒドロキシル価、0.4mgKOH/gの酸価、および272cPの粘度を有していた。
【0105】
調製例2
1−(2−ヒドロキシ−プロポキシ)−ホスホレン−1−オキシドおよび1−(1−メチル−2−ヒドロキシエトキシ)−ホスホレン−1−オキシドの異性体の混合物の調製
【化17】
【0106】
機械的撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を備えた2リットルの反応器に、
31P−NMRに基づいて59%の1−ヒドロキシ−3−ホスホレン−1−オキシドおよび41%の1−ヒドロキシ−2−ホスホレン−1−オキシドで構成される異性体混合物(199g、1.68mol)を装入した。さらに、プロピレンオキシド(117g、2.01mol)を、60℃において2時間かけて当該反応内容物に加えた。当該反応は発熱性であり、当該1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドの当該転化が完了するまで(
31P−NMRによって確認)、さらに7時間、80℃に維持した。当該プロピレンオキシドを蒸発除去し、当該残留物を真空下(1mbar)において薄膜蒸留装置において蒸留し、当該標的分画を110〜170℃の蒸気温度において収集した。無色透明な液体(255g)が得られた。当該収率は、当該出発材料の1−ヒドロキシ−ホスホレン−1−オキシドに対して85%であった。当該生成物は、ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドの4つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=77.1〜78.8(m)。当該最終生成物は、16.5%のリン含有量、321mgKOH/gのヒドロキシル価、0.4mgKOH/gの酸価、および172cPの粘度を有していた。
【0107】
調製例3 1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドと1,2−エポキシブタンとの間の反応
【化18】
【0108】
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を備える100mlの反応器に、
31P−NMRに基づいて37%の1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドおよび63%の1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドの異性体混合物(9.2g、0.07mol)を装入した。次いで、1,2−エポキシブタン(12g、0.17mol)を、25℃において、15分かけて当該反応内容物に滴加した。当該反応は発熱性であり、当該1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの当該転化が完了するまで(
31P−NMRによって確認)、さらに5時間、当該混合物を80℃に維持した。当該過剰な1,2−エポキシブタンを、真空下(約1mbar)において95℃で蒸発除去した。無色透明な液体(14.3g)が得られた。当該生成物は、ヒドロキシル官能性3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの4つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDC1
3):δ=76.1〜77.2(m)。当該最終生成物は、7.5mgKOH/gの酸価を有していた。
【0109】
調製例4 1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドとトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルとの間の反応
【化19】
【0110】
機械的撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を備える1リットルの反応器に、1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの異性体混合物(84.7g、0.64mol)およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(96g、0.318mol)を装入した。当該反応混合物を、当該1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの当該転化が完了するまで(
31P−NMRによって確認)、12時間、60℃に維持した。次いで、300gのDCMを加えた。当該溶液を、200gの2%Na
2CO
3水溶液で洗浄し、150gの蒸留水で2回洗浄した。当該洗浄した生成物からDCMを蒸発除去することにより、結果として、非常に粘性の液体(112g)を得た。
31P−NMR(CDCl
3):δ=83.6〜85.3(m)。当該最終生成物は、9.2%のリン含有量、251mgKOH/gのヒドロキシル価、0.18mgKOH/gの酸価を有していた。
【0111】
調製例5 1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドとスチレンオキシドとの間の反応
【化20】
【0112】
機械的撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、および温度計を備えた1リットルの反応器に、1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの異性体混合物(124.1g、0.94mol)、スチレンオキシド(188.5g、1.57mol)、および100mlのトルエンを装入した。当該反応は発熱性であり、当該混合物を、当該1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの当該転化がほぼ完了するまで(
31P−NMRによって確認)、当該混合物を12時間、50℃に維持した。当該トルエンおよび過剰なスチレンオキシドを、真空下(約1mbar)において、95℃で蒸発除去した。無色透明な液体(245g)が得られた。当該生成物は、ヒドロキシル官能性3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの4つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=73.7〜75.7(m)。
【0113】
調製例6 1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドとエポキシ化大豆油(ESBO)との間の反応
【0114】
マグネチックスターラー、温度計、および還流冷却器を備えた100mlの反応器に、1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの異性体混合物(15.4g、0.11mol)、ESBO(19.4g、0.0194mol)、および20mlのトルエンを装入した。当該反応混合物を、当該1−ヒドロキシ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの当該転化が完了するまで(
31P−NMRによって確認)、18時間、60℃に維持した。当該反応混合物を、2%のNaOH水溶液(20g)で洗浄し、30gの蒸留水で2回洗浄した。当該トルエンを、真空下(約1mbar)において、95℃で蒸発除去した。ワックス状の無色な液体(34g)が得られた。
31P−NMR(CDCl
3):δ=79.75〜80.9(m)。
【0115】
調製例7 1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドとエチレングリコールモノナトリウム塩との間の反応
【化21】
【0116】
機械的撹拌機、温度計、Dean−Starkトラップ、および還流冷却器を備えた、窒素導入口を有する2リットルの反応器に、エチレングリコール(1004g、16.2mol)、NaOH(114.3g、2.85mol)、および300mlトルエンを装入した。当該溶液を還流において1.5時間加熱し、その間に水(51g)を蒸留除去した。次いで、当該溶液を窒素下で30℃まで冷却し、1−クロロ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドと1−クロロ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドとの異性体混合物(406.4g、2.7mol)を2時間かけて滴加した。発熱が観察された。当該温度を、さらに2時間、65℃に維持した。続いて、当該トルエンおよび当該過剰なエチレングリコールを真空下(約1mbar)において蒸留除去した。周囲温度において、ジクロロメタン(200ml)を加え、当該混合物をろ過して、形成された当該NaClを除去した。当該生成物を、真空下(約1mbar)においてさらに蒸留し、当該標的分画を、103〜166℃の蒸気温度において収集した。透明な黄色味を帯びた液体(309g)が得られた。当該収率は、当該出発材料の1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドに対して65%であった。当該生成物は、ヒドロキシル官能性3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの二つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=78.9〜79.1(m)。当該最終生成物は、15.3%のリン含有量、1.28mgKOH/gの酸価を有していた。
【0117】
調製例8 1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドとジエチレングリコールモノナトリウム塩との間の反応
【化22】
【0118】
機械的撹拌機、温度計、Dean−Starkトラップ、および還流冷却器を備えた、窒素導入口を有する1リットルの反応器に、ジエチレングリコール(440g、4.15mol)、NaOH(27.7g、0.69mol)、および300mlトルエンを装入した。当該溶液を還流において1.5時間加熱し、その間に水(12g)を蒸留除去した。次いで、当該溶液を窒素下で30℃まで冷却し、1−クロロ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドと1−クロロ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドとの異性体混合物(98.12g、0.65mol)を2時間かけて滴加した。発熱が観察された。当該温度を、さらに2時間、65℃に維持した。続いて、当該トルエンおよび当該過剰なジエチレングリコールを真空下(約1mbar)において蒸留除去した。周囲温度において、ジクロロメタン(200ml)を加え、当該混合物をろ過して、形成された当該NaClを除去した。当該生成物を、さらに真空下(約1mbar)において蒸留して、透明な黄色味を帯びた液体(86g)を得た。当該収率は、当該出発材料の1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドに対して60%であった。当該生成物は、ヒドロキシル官能性3−メチル−ホスホレン−1−オキシドの2つの異性体の混合物であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=77.36〜78.3(m)。当該最終生成物は、13.5%のリン含有量、267mgKOH/gのヒドロキシル価、1.4mgKOH/gの酸価を有していた。
【0119】
調製例9 1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドと、Mw500を有する脂肪族三官能性ポリオールとの間の反応
【0120】
機械的撹拌機、温度計、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた1リットルの反応器に、脂肪族ポリオール(109.9g、0.22mol)、トリエチルアミン(70.7g、0.7mol)、および500mlの無水DCMを装入した。当該混合物を5℃に冷却し、当該温度を10℃未満に維持しながら、1−クロロ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドと1−クロロ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドとの異性体混合物(99.3g、0.66mol)を滴加した。添加が完了した後、当該反応混合物を、還流において3時間加熱した。当該最終混合物をろ過し、次いで、0.5%のNaOH水溶液(500g)および水(400g)で洗浄した。当該洗浄した有機相を、真空下において、95℃で蒸発除去して、142gの黄色味を帯びたワックス状の液体を得た。当該収率は、当該出発材料の1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドに対して76%であった。
31P−NMR(CDCl
3):δ=76.5〜77.0(m)。当該最終生成物は、9.7%のリン含有量、30.3mgKOH/gのヒドロキシル価、0.3mgKOH/g試料の酸価を有していた。
【0121】
調製例10 1−クロロ−3−メチル−ホスホレン−1−オキシドと、Mw約300の脂肪族三官能性ポリオールとの間の反応
【0122】
機械的撹拌機、熱電対、N
2導入口、滴下漏斗、および還流冷却器を備えた0.5リットルの反応器に、乾燥させた脂肪族ポリオール(60g、0.2mol)、75.7gのトリエチルアミン、および250mlの無水DCMを装入した。当該混合物を2℃に冷却し、当該温度を5℃未満に維持しながら、1−クロロ−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキシドと1−クロロ−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドとの異性体混合物(103.5g、0.69mol)を、約2時間かけて滴加した。添加が完了した後、当該反応混合物を、還流において2時間加熱した。当該固体をろ別し、溶液を、水、Na
2CO
3の16%溶液で洗浄し、再び水で洗浄して、pH=7を得た。減圧下でのDCMの蒸発除去後に、当該生成物(101.9g、収率の79%)を得た。当該最終生成物は、13.4%のリン含有量、30.1mgKOH/gのヒドロキシル価、0.3mgKOH/g試料の酸価を有していた。
【0123】
本発明の当該新規の化合物の当該適用は、硬質ポリウレタンフォーム(適用例1)および、300%のMDIインデックスを有する硬質ポリイソシアヌレートフォーム(適用例2)のための標準的配合物における難燃剤としてのそれらの使用によって実証される。当該難燃剤に加えて、当該フォームの当該調製において、当該以下の成分を使用した。
【0124】
噴霧式フォーム製造に使用されるポリオール成分(101%のインデックス):
1.Terate HT5100−Invistaから入手可能な、295mgKOH/gのヒドロキシル値を有する芳香族ポリエステルポリオール。
2.JEFFOL R 425X − Huntsmanから入手可能な、425mgKOH/gのヒドロキシル値を有するポリエーテルポリオール。
【0125】
PIR(300%インデックス)製造に使用されるポリオール成分:
Kosa Terate 2541 − Invistaから入手可能な、234mgKOH/gのヒドロキシル値を有する芳香族ポリエステルポリオール。
【0126】
補助的化学薬品
Polycat77:Air Productsから入手可能なN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N,N’,N’−トリメチルプロパン−1,3−ジアミン
DABCO BL−11:N,N,N’,N’−テトラメチル−2,2’−オキシビス(エチルアミン)、Air Productsから入手可能なアミン触媒
DC193:Air Productsから入手可能なシリコーン界面活性剤
Bicat 8210:Shepard Chemicalから入手可能なビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)
DMCHA:ジメチルシクロヘキシルアミン
Dabco TMR30:2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、Air Productsから入手可能なアミン触媒
Tegostab B8460:Evonikから入手可能なポリエーテル変性ポリシロキサン界面活性剤
Kosmos 75:Evonikから入手可能なカリウム−2−エチルヘキサノエート触媒
HFC−245fa:Honeywellから入手可能な発泡剤
ペンタン:発泡剤
イソシアネートMDI:Huntsmanから入手可能なポリマー性ジフェニルメタンジイソシアネート
【0127】
適用例1
当該難燃性組成物を使用して噴霧配合ウレタンフォームを調製するプロセス
当該フォーム調製のための手順は以下の通りである。
当該ポリオール、水、界面活性剤、難燃剤(以下の当該表において「FR」と略される)、および触媒を秤量し、ミキシングビーカーに入れ、混合して均一な溶液を形成した。この溶液に、HFC−245faを加え、蒸発に対してその重量を維持しながら、さらに混合した後、当該ポリマー性イソシアネートを加えた。当該混合物を、20℃において、5500rpmで3秒間、手短に撹拌し、厚紙のケーキボックスに注ぎ入れた。結果として形成された当該フォームを、室温において少なくとも24時間維持し、次いで、当該ボックスから取り出し、鋸によって試験片へと切断した。次いで、当該試料を、DIN 4102 B2試験手順に従って燃焼性を試験した(15.0cm以下の炎の高さは、当該フォームが当該試験を合格したことを意味する)。表1は、当該フォーム調製のための当該原材料およびパラメータならびに当該試験の当該結果を表す。
【0128】
【表1】
【0129】
適用例2
当該難燃性組成物を使用して、300%のMDIインデックスを有する硬質ポリイソシアヌレートフォーム(PIR)を調製するプロセス
当該フォーム調製のための手順は以下の通りである。
当該ポリオール、水、界面活性剤、難燃剤、および触媒を秤量し、ミキシングビーカーに入れ、混合して均一な溶液を形成した。この溶液に、ペンタンを加え、さらに撹拌した後、当該ポリマー性イソシアネート。次いで、当該混合物を、20℃において、3500rpmで6秒間撹拌し、厚紙のケーキボックスに注ぎ入れた。結果として形成された当該フォームを、室温において少なくとも24時間維持し、次いで、当該ビーカーから取り出し、鋸によって試験片へと切断した。次いで、当該試料を、DIN 4102 B2試験手順に従って燃焼性を試験した(15.0cm以下の炎の高さは、当該フォームが当該試験を合格したことを意味する)。表2は、当該フォーム調製のための当該原材料およびパラメータならびに当該フォームの試験の当該結果をまとめる。
【0130】
【表2】
【0131】
適用例3
本発明の当該新規の化合物の当該適用を、軟質ポリウレタンフォーム(適用例3)のための標準的配合における難燃剤としてのそれらの使用によって実証する。当該難燃剤に加えて、当該フォームの当該調製において、当該以下の成分を使用した。
【0132】
【表3】
【0133】
軟質ポリウレタンフォームを調製するためのプロセス
当該ポリオールと、それぞれ調製実施例1および2のヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドとを混合することによってフォーム試料を調製した。イソシアネートを除く、水、アミン触媒、シリコーン界面活性剤、およびスズ触媒を含む当該配合の残りの成分を当該ポリオール/ヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシド混合物に加え、ポリエーテルフォームの場合は2500rpmにおいて30秒、ポリエステルフォームの場合は1000rpmにおいて60秒撹拌した。当該反応混合物を激しく撹拌しながらの当該イソシアネートの添加および組み入れの後すぐに、当該完全な反応混合物を、8×8×5インチ(20×20×20cm)のボックスに注ぎ入れ、十分に発泡させた。次いで、当該ボックスを通気されたドラフトに24時間入れて、室温において硬化させた。当該フォーム試料の上部および底部の0.5インチならびに当該フォームの当該紙の裏打ち側を除去した。次いで、試料を切断し、燃焼性を連邦自動車安全基準No.302(FMVSS 302),California Technical Bulletin 117(CAL 117,2000)により試験し、揮発性については、DIN75201重量測定およびVDA 277により試験した。フォーム試料と色標準との間の当該色差であるデルタEを測定することによって、スコーチを評価した。フォーム試料を180℃のオーブンに、30分間、60分間、90分間、および120分間入れた。次いで、上記の時間間隔においてデルタEを測定した。デルタEの値が高いほど、退色が高いことを意味する。
【0134】
下記の表3および4および当該上記の表および適用例3の説明は、当該フォーム調製のための当該原材料およびパラメータおよび当該試験の当該結果を表している。下記の
図1および2は、当該フォームの結果として当該スコーチ/退色の評価を表している。
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
適用例4
調製実施例8のヒドロキシル官能性ホスホレン−1−オキシドをベースとする当該難燃性組成物を使用して低密度(0.5lbs/ft
3)噴霧配合ポリウレタンフォームを調製するためのプロセス
当該フォーム調製の当該手順は以下の通りである。
当該ポリオール、水、界面活性剤、難燃剤(以下の当該表において「FR」と略される)、および触媒を秤量し、ミキシングビーカーに入れ、混合して均一な溶液を形成した。この溶液に、当該ポリマー性イソシアネートを加えた。当該混合物を、手短に、室温で5500rpmにおいて3秒間撹拌し、1リットルの厚紙のカップに注ぎ入れた。結果として形成された当該フォームを、室温で少なくとも24時間維持し、次いで、当該ボックスから取り出し、鋸で試験片へと切断した。次いで、当該試料をASTM dの酸素指数試験手順に従って燃焼性について試験した。表5は、当該フォーム調製のための当該原材料およびパラメータならびに当該試験の当該結果を表す。
【0138】
【表6】