特許第6942200号(P6942200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6942200衝撃吸収壁を有するヘッドマウント装置の金属フレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942200
(24)【登録日】2021年9月9日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】衝撃吸収壁を有するヘッドマウント装置の金属フレーム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20210916BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20210916BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   H04N5/64 511A
   G02B27/02
   G09F9/00 302
   G09F9/00 304A
   G09F9/00 350Z
   H04N5/64 541J
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-563378(P2019-563378)
(86)(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公表番号】特表2020-522917(P2020-522917A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(86)【国際出願番号】US2017052461
(87)【国際公開番号】WO2018222216
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2020年1月28日
(31)【優先権主張番号】15/610,438
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ロビン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アルドリッチ, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ハマースタイン, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューコ, アダム
(72)【発明者】
【氏名】テンペル, マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】サリバン, ジョセフ パトリック
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0366399(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/182974(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106019602(CN,A)
【文献】 特開2015−126336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−27/64
G09F9/00
H04N5/64−5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイであって、
ヘッドマウントディスプレイの背面部分に向かって開口する後端部、およびディスプレイパネルアセンブリを取り付けるように構成された前端部を有するディスプレイ保護シェルと、
金属フレームと
を具備し、前記金属フレームは、
ヘッドマウントディスプレイのフロントカバーに対面している前面、
前記前面とは反対側の背面であり、前記ディスプレイパネルアセンブリが、前記ディスプレイ保護シェルの前記前端部と背面との間に配置される、背面、および
前記背面から突起した壁であり、前記ディスプレイ保護シェルを保護するために、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部から離隔配置され、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも前記縁部に沿って延在する壁
を備え、前記壁は、
前記ディスプレイ保護シェルの前記縁部に沿って延在する第1の区間、
前記第1の区間と、角度αで交わる第2の区間、および
前記ディスプレイ保護シェルの隅部を受け入れるポケットを形成するように角度付けされ連接された第3の区間を有する、
ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記壁が、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部から別の隅部の間で、前記ディスプレイ保護シェルから離隔配置され、延在する、請求項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、斜め方向に切り取られており、
任意選択で、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、直交する縁部を有する
請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記金属フレームの隅部の切取部分に取り付けられたブラケットをさらに備え、前記ブラケットが、カメラの少なくとも一部分を囲うように構成される、請求項からのいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記金属フレームの前記切取部分が、前記ブラケットの底部外形に整合する上部外形を持つフラップを有し、
任意選択で、前記ブラケットが、中心に円形穴を有し、前記円形穴を通して前記カメラが光景を捕捉し、ならびに/あるいは
任意選択で、前記金属フレームの縁部に取り付けられた別のブラケットをさらに備え、前記別のブラケットが、別のカメラの少なくとも一部分を囲うように構成され、および/または任意選択で、前記金属フレームが、前記縁部に半円形の壁を、該半円形の壁と前記別のブラケットとの間に前記別のカメラを収容するために備える、
請求項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記金属フレームが、冷却ファンを収容する開口を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記金属フレームが、マグネシウムから製作される、請求項1から6のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記ディスプレイ保護シェルが、錐台形状を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
ヘッドマウントディスプレイの金属フレームであって、
前記ヘッドマウントディスプレイのフロントカバーに対面している前面と、
前記前面とは反対側の背面であり、ディスプレイパネルアセンブリが、ディスプレイ保護シェルの前端部と背面との間に配置される、背面と、
前記背面から突起した壁であり、前記ディスプレイ保護シェルを保護するために、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部から離隔配置され、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも前記縁部に沿って延在するように構成された壁であって、
前記ディスプレイ保護シェルの前記縁部に沿って延在する第1の区間、
前記第1の区間と、角度αで交わる第2の区間、および
前記ディスプレイ保護シェルの隅部を受け入れるポケットを形成するように角度付けされ連接された第3の区間を有する、壁
を備える金属フレーム。
【請求項10】
前記壁が、前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部から別の隅部の間で、前記ディスプレイ保護シェルから離隔配置され、延在する、請求項に記載金属フレーム。
【請求項11】
前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、斜め方向に切り取られている、請求項9または10に記載金属フレーム。
【請求項12】
前記ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、直交する縁部を有する、請求項9から11のいずれか一項に記載金属フレーム。
【請求項13】
カメラを保護するブラケットの底部外形に整合する上部外形を有するフラップをさらに備え、
任意選択で、縁部に半円形の壁を、該半円形の壁と別のブラケットとの間に別のカメラを収容するためにさらに備える、請求項9から12のいずれか一項に記載金属フレーム。
【請求項14】
冷却ファンを収容する開口を有する、請求項9から13のいずれか一項に記載金属フレーム。
【請求項15】
マグネシウムから製作される、請求項9から14のいずれか一項に記載金属フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)に関し、具体的には、HMDの金属フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、拡張および/または仮想情報をユーザに提示するために使用することができる。たとえば、仮想現実(VR)ヘッドセットは、仮想環境をシミュレートするのに使用することができる。HMDは、様々な分野で使用されており、それらの一部には、ゲーム、工学技術、医療、航空が含まれる。これらの働きをするために、HMDは、様々な内部構成要素、ならびに、カメラや慣性測定装置などのセンサを含み得る。そのような内部構成要素およびセンサは、落とされたり外部衝撃を受けたりすると損傷し易いことがある。
【発明の概要】
【0003】
諸実施形態は、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)に関し、具体的には、HMDの構成要素を衝撃から保護するための金属フレームに関する。金属フレームは、HMDのフロントカバーに対面する前面と、ディスプレイアセンブリに対面する背面とを有する。金属フレームの背面は、ディスプレイアセンブリを保護するために、ディスプレイアセンブリの縁部に沿って離隔配置され延在する突起壁を有する。HMDが落とされ、または外力を受けたとき、壁は、変形し得るが、ディスプレイアセンブリに影響を与えさせない。
【0004】
本発明による諸実施形態は、ヘッドマウントディスプレイおよび金属フレームを対象にした添付特許請求の範囲に詳細に開示され、1つのクレイムカテゴリ、たとえばシステムにおいて言及されたあらゆる特徴は、別のクレイムカテゴリ、たとえば方法、記憶媒体、コンピュータプログラム製品においても、同様に特許請求され得る。添付特許請求の範囲における従属性または遡及引用は、単に形式的理由のために選択される。しかしながら、あらゆる先行クレイム(特に多重従属性)への遡及引用を熟慮することによって生じるいかなる主題もまた特許請求され得、その結果、添付特許請求の範囲において選択された従属性に拘わらず、クレイムおよびその特徴のいかなる組合せも開示されており、特許請求され得る。特許請求することができる主題は、添付特許請求の範囲において言及された特徴の組合せのみならず、特許請求の範囲における特徴のいかなる他の組合せも含み、特許請求の範囲において言及された各特徴は、特許請求の範囲におけるいかなる他の特徴または他の特徴の組合せとも組み合わせることができる。さらに、本明細書に説明され示された実施形態および特徴のいずれもが、別々のクレイムで特許請求され得、かつ/あるいは本明細書に説明され示されたいずれの実施形態もしくは特徴または添付特許請求の範囲のいずれの特徴といかように組み合わせても特許請求され得る。
【0005】
本発明による実施形態では、ヘッドマウントディスプレイは、
ヘッドマウントディスプレイの背面部分に向かって開口する後端部、およびディスプレイパネルアセンブリを取り付けるように構成された前端部を有するディスプレイ保護シェルと、
ヘッドマウントディスプレイのフロントカバーに対面している前面、
前面とは反対側の背面であり、ディスプレイパネルアセンブリが、ディスプレイ保護シェルの前端部と背面との間に配置される、背面、および
背面から突起した壁であり、ディスプレイ保護シェルを保護するために、ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部から離隔配置され、ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部に沿って延在する壁
を備える金属フレームと
を具備し得る。
【0006】
壁は、ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部から別の隅部の間で、ディスプレイ保護シェルから離隔配置され、延在することができる。
【0007】
ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、斜め方向に切り取られ、壁が、ディスプレイ保護シェルの縁部に沿って真直ぐに延在する第1の区間を備え得、第2の区間が第1の区間に連結され得、第2の区間が、第1の区間に対してある角度で湾曲し得る。
【0008】
ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、直交する縁部を有し得、壁が、ディスプレイ保護シェルの隅部を受け入れるポケットを形成するように角度付けされ連接された第3の区間を有し得る。
【0009】
本発明による実施形態では、ヘッドマウントディスプレイが、金属フレームの隅部の切取部分に取り付けられたブラケットを備え得、ブラケットが、カメラの少なくとも一部分を囲うように構成され得る。
【0010】
金属フレームの切取部分が、ブラケットの底部外形に整合する上部外形を持つフラップを有し得る。
【0011】
ブラケットは、中心に円形穴を有し得、その円形穴を通してカメラが光景を捕捉する。
【0012】
本発明による実施形態では、ヘッドマウントディスプレイが、金属フレームの縁部に取り付けられた別のブラケットを備え得、その別のブラケットが、別のカメラの少なくとも一部分を囲うように構成され得る。
【0013】
金属フレームは、半円形の壁と上記別のブラケットとの間に上記別のカメラを収容するために、上記縁部に半円形の壁を備えることができる。
【0014】
金属フレームは、冷却ファンを収容する開口を有し得る。
【0015】
金属フレームは、マグネシウムから製作され得る。
【0016】
ディスプレイ保護シェルは、錐台形状を有し得る。
【0017】
本発明による実施形態では、ヘッドマウントディスプレイの金属フレームが、
ヘッドマウントディスプレイのフロントカバーに対面している前面と、
前面とは反対側の背面であり、ディスプレイパネルアセンブリが、ディスプレイ保護シェルの前端部と背面との間に配置される、背面と、
背面から突起した壁であり、ディスプレイ保護シェルを保護するために、ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部から離隔配置され、ディスプレイ保護シェルの少なくとも縁部に沿って延在するように構成された壁と
を備え得る。
【0018】
壁は、ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部から別の隅部の間で、ディスプレイ保護シェルから離隔配置され、延在する。
【0019】
ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、斜め方向に切り取られ得、壁が、ディスプレイ保護シェルの側方縁部に沿って真直ぐに延在する第1の区間を備え得、第2の区間が第1の区間に連結され得、第2の区間が、第1の区間に対してある角度で湾曲し得る。
【0020】
ディスプレイ保護シェルの少なくとも1つの隅部が、直交する縁部を有し得、壁が、ディスプレイ保護シェルの上記少なくとも1つの隅部を受け入れるポケットを形成するように連接する角度付けされた区間を有し得る。
【0021】
金属フレームは、カメラを保護するブラケットの底部外形に整合する上部外形を有するフラップを備え得る。
【0022】
金属フレームは、半円形の壁と別のブラケットとの間に別のカメラを収容するために、縁部に半円形の壁を備えることができる。
【0023】
金属フレームは、冷却ファンを収容する開口を有し得る。
【0024】
金属フレームは、マグネシウムから製作され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ(HMD)の透視図である。
図2】一実施形態による、フロントカバーを取り除いた図1のHMDの透視図である。
図3】一実施形態による、図1のHMDの金属フレームおよびディスプレイ保護シェルの背面透視図である。
図4】一実施形態による、HMDの金属フレームおよびディスプレイアセンブリの背面上側隅部の拡大図である。
図5】一実施形態による、HMDの金属フレームおよびディスプレイアセンブリの背面下側隅部の拡大図である。
図6】一実施形態による、HMDの金属フレームの分解組立透視図である。
図7】一実施形態による、HMDの金属フレームの背面図である。
図8】一実施形態による、カメラを保護するためのブラケットの透視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態の以下の説明では、より完全な理解を可能にするために多数の特定な細部が言及される。しかし、それら実施形態は、1つまたは複数のこれら特定の細部なしに実施することができることに留意されたい。別の場合には、よく知られた特徴は、説明を不必要に複雑にするのを避けるために、詳細には説明されていない。
【0027】
本明細書では、実施形態が、図面を参照して説明され、それら図面では、同じ参照番号は同一または機能上同様な要素を示す。また、図面において、各参照番号の最も左の数字は、その参照番号が最初に使用されている図面に対応する。
【0028】
諸実施形態は、衝撃を吸収しヘッドマウントディスプレイ(HMD)の構成要素を保護するような構造になっている、HMDの金属フレームに関する。金属フレームは、HMD内にディスプレイパネルを固定する保護シェルから離隔配置された壁を有する。HMDが落とされ、または外力を受けたとき、壁は、変形し得るが、保護シェルに影響を与えさせない。さらに、金属フレームは、HMD上の外方に面したカメラを取り囲む突出隆起部およびブラケットを有する。HMDが落とされた場合、突出隆起部およびブラケットは、カメラに対して保護を行うことができる。
【0029】
図1は、一実施形態によるHMD100の透視図である。HMD100は、他の構成要素の中でも、カメラ101、フロントカバー103、ヘッドストラップコネクタ105、サイドカバー107、およびヘッドストラップアセンブリを備え得る。ヘッドストラップアセンブリは、リアストラップ109、およびリアストラップ109に連結されたアッパストラップ111を備え得る。フロントカバー103は、サイドカバー107の前側に取り付けられる。ヘッドストラップ109は、ヘッドストラップコネクタ105を介してサイドカバー107に取り付けられる。アッパストラップ111は、ヘッドストラップ109に取り付けられ、サイドボディーに形成されたスロットにアッパストラップ111の端部を挿入することによって固定される。フロントカバー103は、サイドカバー107の前側を覆う。図1に示されたHMD100の構成要素および構造は単なる例示である。
【0030】
フロントカバー103は、HMD100の構成要素を保護するために、HMD100の前方部分に配置された剛性部材である。一実施形態では、フロントカバー103は、保守整備目的のためにサイドカバー107からフロントカバー103を取り外すことを可能にするスクリューまたは他の固定機構を介して、サイドカバー107に固定される。フロントカバーは、上側2つの隅部および下側2つの縁部に2つのカメラ101を有する。これらカメラ101は、HMD100の外側の光景を捕捉し、それをユーザに表示するのに使用することができる。
【0031】
ヘッドストラップ109およびアッパストラップ111は、ユーザの頭を包み込んでHMD100をユーザの顔に固定する。ヘッドストラップ109およびアッパストラップ111は、ユーザにとって柔軟でなおかつ心地よいように弾性材、布地、またはそれらを組み合わせて製作され得る。ヘッドストラップ109は、サイドカバー107に対して回転することができるヘッドストラップコネクタ105によって、HMD100のサイドカバー107に連結される。さらに、ヘッドストラップコネクタ105は、サイドカバー107から分離することができ、ユーザがヘッドストラップ109を交換し、または保守整備技師がサイドカバー107により容易にアクセスすることを可能にする。アッパストラップ111は、付加的支持を行い、ヘッドストラップ109とサイドカバー107の上面とに連結される。
【0032】
図2は、一実施形態による、フロントカバー103、ヘッドストラップ109、およびアッパストラップ111が取り除かれたHMD100の透視図である。フロントカバー103の後ろでは、ファン201、プリント回路基板(PCB)207、および熱パイプ213が、金属フレーム309の前面203に装着される。HMD100は、また、PCBブラケット205、下側ブラケット209、および上側ブラケット211を備える。PCBブラケット205は、PCB207に装着され、熱パイプ213の端部が、PCBブラケット205とPCB207との間に配置される。下側ブラケット209および上側ブラケット211は、上側の2つのカメラおよび金属フレーム309の下側の2つの縁部に装着される。ファン201、熱パイプ213、およびPCB207は、スクリューまたは接着剤によって金属フレーム309に装着することができる。
【0033】
ファン201および熱パイプ213は、PCB207が発生する熱を放散する。ファン201は、また、ユーザの顔が位置するHMD100の裏側から空気を引き込み、それによって、空気を循環させることによりユーザの顔を冷やす。ファン201は、金属フレーム309に形成された穴に収容される。
【0034】
PCBブラケット205は、スクリューによってPCB207に連結され、熱パイプが、熱膨張、HMD100の動き、または外力の負荷によってPCB207から分離するのを防止する。PCBブラケット205は、また、熱パイプ213の端部をPCB207に装着されたプロセッサ(図示せず)に押付け、それによって、プロセッサが発生する熱を効果的に伝達することができる。
【0035】
下側ブラケット209および上側ブラケット211は、カメラ101の少なくとも一部分を取り巻き、カメラ101を外部衝撃から保護する。このために、カメラ101は、ブラケット209、211の凹面形の先端面に配置される。このようにして、あらゆる外部衝撃が、カメラ101の代わりにブラケット209、211に加わることになると考えられる。ブラケット209、211は、カメラ101へのアクセスを容易にするために取り外すことができるスクリューによって、前面203に固定することができる。
【0036】
熱パイプ213は、PCB207のプロセッサに連結された端部を有し、一方、他の部分は、金属フレーム309の前面203に連結される。熱パイプ213は、熱を吸収し放散するためのヒートシンクとして機能する金属フレーム309へ熱を伝達する。
【0037】
図3は、一実施形態による、HMD100の金属フレーム309および2つのディスプレイ保護シェル301の後視透視図である。金属フレーム309の背面307は、図2に見られる前面203とは反対側である。各ディスプレイ保護シェル301は、金属フレーム309の背面307に装着され、ディスプレイ保護シェル301と背面307との間にディスプレイパネルアセンブリ311がある。
【0038】
各ディスプレイ保護シェル301は、前端部305および後端部303を備える。ディスプレイ保護シェル301は、また、ディスプレイパネルアセンブリ311からユーザの眼に光を導くための光学要素(図示せず)を囲う。光学要素を囲い、光をユーザの眼に導くために、ディスプレイ保護シェル301のそれぞれは、錐台形状を有し得る。
【0039】
金属フレーム309は、HMD100に対して構造上の支持を行う。HMD100が外部衝撃(たとえば、HMD100の落下)を受けたとき、金属フレーム309は、サイドカバー107が潰れることを防止する内部支持体として機能する。金属フレーム309は、また、図4および5を参照して以下に詳細に説明するように、ディスプレイパネルアセンブリ311およびディスプレイ保護シェルを保護するために壁およびポケットを備える。金属フレーム309は、また、ファン201およびPCB207など、HMD100の他の構成要素を装着することができるプラットフォームとして働く。金属フレームは、ほぼ真直ぐな上側および下側縁部を有し得、他方、左右の縁部は、ほぼ半円形である。金属フレーム309は、また、図2を参照して上記で説明したように、PCB207が発生する熱を放散するヒートシンクとして機能する。
【0040】
ディスプレイパネルアセンブリ311は、画像をユーザに表示する。これら画像は、カメラ101によって捕捉された周囲環境の画像を含めることができる。これら画像は、また、周囲環境と相互連係するために表示される拡張対象を含めることができる。
【0041】
図4は、一実施形態による、HMD100の金属フレーム309およびディスプレイ保護シェル301の背面上側隅部の拡大図である。背面307は、後方に突出し、ディスプレイ保護シェル301の縁部403と平行に延在する壁401を有する。金属フレーム309の上側隅部411は、斜めに切り取られ、上側ブラケット211を装着するためのフラップ405を備える。
【0042】
壁401は、ディスプレイ保護シェル301の縁部403から離隔配置される。金属フレーム309に壁401を設けることは、他の理由の中でも、壁が、衝撃および外力を吸収し、金属フレーム309の剛性を増加させるので、有利である。外力がHMD100に加わった場合(ユーザがHMDを地面に落とすなど)、金属フレーム309の壁401とディスプレイ保護シェル301の縁部403との間の間隔によって、金属フレーム309が、ディスプレイ保護シェル301またはディスプレイパネルアセンブリ311を損傷することなく変形又は曲がることにより外力または衝撃を吸収することが可能になる。壁401は、また、壁401の存在によって金属フレーム309の面積モーメントが増加するので、軸A1周りの曲げに対する金属フレーム309の剛性を増加させる。
【0043】
壁401は、第1の区間407と、角度αで交わる第2の区間409とを備える。金属フレーム309は、上側隅部411に切取部分を有し、このため、壁401は、その切取部分に対応して上側隅部で内方へ曲げられる。一実施形態では、第2の区間409は、隅部411での金属フレーム309の切取り面にほぼ平行に延在する。第1の区間407と第2の区間409とがある角度αで合わさることによって、金属フレーム309が、斜め方向に切り取られカメラ101を格納するフラップ405を上側隅部411に備えることが可能になる。たとえば、上側ブラケット211を介してHMD100の上側隅部に衝撃が加えられたとき、第2の区間409が、変形または曲がることによって衝撃を吸収する。切取部分は、上側ブラケット211を金属フレーム309に固定するスクリューを受け入れる穴(図示せず)を備え得る。
【0044】
一実施形態では、壁401は、金属フレーム309の他の部分と一体に形成される。別の実施形態では、壁401は、金属フレーム309の他の部分とは別に形成し、接着剤または他の固定手段によって金属フレームに取り付けることができる。
【0045】
図5は、一実施形態による、HMD100の金属フレーム309およびディスプレイ保護シェル301の背面下側隅部の拡大図である。図5に示すように、第1の区間407および第2の区間409に加えて、壁401は、ディスプレイ保護シェル301の隅部505および/またはディスプレイパネルアセンブリ311の隅部を受け入れるポケット501を形成する第3の区間503をさらに備え得る。
【0046】
壁401の第3の区間503によって形成されるポケット501は、HMD100への外力または衝撃に対して金属フレームを変形または曲げることによって、ディスプレイ保護シェル301および/またはディスプレイパネルアセンブリ311を損傷または変位させることなくさらに保護することを可能にする。
【0047】
図6は、一実施形態によるHMD100の金属フレーム309の分解組立透視図である。図6で分かるように、金属フレーム309は、他の特徴の中でも、開口601、斜め切取部分603、上側縁部607、下側縁部609、ボス622、および半円形側壁613、615を備え得る。半円形壁610、611が、下側縁部609に設けられる。
【0048】
金属フレーム309の開口601は、図2を参照して上記で説明したように、ファン201を収容するように寸法設定される。
【0049】
既述のように、ブラケット211およびブラケット209は、カメラ101を固定するために金属フレーム309に取り付けられる。具体的には、ブラケット211は、ブラケット211の底部外形605に整合する上部外形を有するフラップ405を備える斜め切取部分603に取り付けられる。さらに、下側ブラケット209のそれぞれは、金属フレーム309の下側縁部609の半円形壁610、611に取り付けられる。
【0050】
ボス622は、PCB207などの構成要素を金属フレーム309に固定するスクリューを受け入れるために、金属フレーム309の前面に設けられる。
【0051】
図7は、一実施形態によるHMD100の金属フレーム309の背面図である。図7に示されるように、壁401は、HMD100の左側ならびに右側に設けられる。金属フレーム309は、また、軸A2に対してほぼ対称形状を有する。
【0052】
図8は、一実施形態による、カメラ101を保護するための上側ブラケット211の透視概略図である。上側ブラケット211は、他の特徴の中でも、円形穴801を伴って形成されるワッシャプレート803と、スクリュー穴805とを備え得る。
【0053】
カメラ101は、円形穴801内に格納され、ブラケットのワッシャプレート803によって拘束される。ワッシャプレート803は、フラップ405を含めて切取部分の上側形状に整合する形状を有する。スクリュー穴805は、ブラケット211を金属フレーム309に固定するスクリューを通らせる。
【0054】
下側ブラケット209は、上側ブラケット211と同様な構造を有し、その詳細な説明は、簡潔化のために本明細書では省略する。
【0055】
本開示の実施形態の前述の説明は、例示を目的として示されており、網羅的であること、または本開示を開示された形態そのものに限定することを意図するものではない。当業者は、多くの修正形態および変形形態が上記の開示に照らして可能であることを理解することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8