(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942303
(24)【登録日】2021年9月10日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】改良型膣細胞又は子宮頸部細胞採取デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
A61B10/02 140
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-520929(P2019-520929)
(86)(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公表番号】特表2019-524399(P2019-524399A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】US2017040903
(87)【国際公開番号】WO2018009667
(87)【国際公開日】20180111
【審査請求日】2020年4月1日
(31)【優先権主張番号】15/204,007
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521337399
【氏名又は名称】メル−モント メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】メレンデス フランク
(72)【発明者】
【氏名】モンテス リリアナ
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03838681(US,A)
【文献】
米国特許第04757826(US,A)
【文献】
米国特許第04981143(US,A)
【文献】
米国特許第04951684(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0294183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00−10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって膣細胞又は子宮頸部細胞を採取するためのデバイスであって、
遠位端及び近位端を有する中空円筒の細長チューブと、
前記細長チューブの前記遠位端に配置された細胞採取区域であって、該細胞採取区域が、該遠位端の縁部から予め決められた距離まで延び長さが約3.5から4.5センチメートル及び直径が約0.5から0.9ミリメートルである接着性採取要素によって覆われ、更に該採取要素が複数の隆起部を有する前記細胞採取区域と、
前記チューブの前記遠位端の前記縁部から予め決められた距離まで長くなっている前記細胞採取区域の片側内の中心に配置された少なくとも1つのチャネルと、
前記チューブの前記近位端に配置され、人間工学的形状の指グリップを更に含むハンドルであって、該指グリップの一端が、デザイン又はマーキングを有し、該ハンドル及び該チューブが、単一構造を形成するように設計される前記ハンドルと、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記採取区域は、前記チューブの前記遠位端の前記縁部の下の約0.3ミリメートルから前記採取要素の底部の前の約0.3ミリメートルまで長くなっていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記チャネルは、深さが0.3ミリメートル及び幅が0.3ミリメートルであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハンドルの前記指グリップの前記人間工学的形状は、蝶形状であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記指グリップの一端の両側が、膣管に挿入された状態でデバイスの360度回転の予め決められた回数を計数することを容易にするためにテクスチャデザイン又はマーキングされることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記隆起部は、前記細胞採取区域の全体を通して少なくとも6つの横列及び横列当たり少なくとも17個の隆起部に系統的様式で配置されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
ユーザによって膣細胞又は子宮頸部細胞を採取するための自己サンプリングデバイスであって、
遠位端及び近位端を有する中空円筒の細長チューブと、
前記細長チューブの前記遠位端に配置された細胞採取区域であって、該細胞採取区域が、長さ3.5から4.5センチメートル及び直径0.5から0.9ミリメートルである接着性採取要素によって覆われ、更に該採取要素が、該採取要素の細胞物質保持特性を改善するために該細胞採取区域の面の全体を通して系統的な隆起部を有する前記細胞採取区域と、
前記チューブの前記遠位端の縁部の下の約0.3ミリメートルから前記採取要素の底部の前の約0.3ミリメートルまで長くなっている前記細胞採取区域の片側内に配置され、深さ0.2から0.4ミリメートル及び幅0.2から0.4ミリメートルであるチャネルと、
前記チューブの前記近位端に配置されてデバイスのベースに取り付けられ、人間工学的形状の指グリップを更に含むハンドルであって、該指グリップの一端の両側が、膣管に挿入された状態でデバイスの360度回転の予め決められた回数を計数することを容易にするようにデザインされたテクスチャであり、更に該ハンドル及び該チューブが、単一構造を形成するように設計される前記ハンドルと、
を含むことを特徴とする自己サンプリングデバイス。
【請求項8】
前記隆起部の前記系統的な配置は、前記細胞採取区域の全体を通して少なくとも6つの横列及び横列当たり少なくとも17個の隆起部にあることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
ユーザによって膣管内の異なる区域から細胞の均質化サンプルを採取するためのデバイスであって、
遠位端及び近位端を有する中空円筒の細長チューブと、
前記細長チューブの前記遠位端に配置された細胞採取区域であって、該細胞採取区域が、該遠位端の縁部から予め決められた距離まで延び長さが約3.5から4.5センチメートル及び直径が約0.5から0.9ミリメートルである接着性採取要素によって覆われ、更に該採取要素が、該細胞採取区域の全長に沿っていくつかの平行な横列に配置された複数の系統的な隆起部を有する前記細胞採取区域と、
前記細胞をチャネル内で混合して均質化された細胞の採取をもたらすように1回挿入を通じて前記膣管の長さに沿って異なる区域から該細胞を採取するために前記細胞採取区域の全長に沿って配置されたチャネルと、
前記チューブの前記近位端に配置され、人間工学的形状の指グリップを更に含むハンドルであって、該指グリップの一端が、デザイン又はマーキングを有し、該ハンドル及び該チューブが、単一構造を形成するように設計される前記ハンドルと、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
前記採取区域は、前記チューブの前記遠位端の縁部の下の約0.3ミリメートルから前記採取要素の底部の前の約0.3ミリメートルまで長くなっていることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記チャネルは、深さ0.3ミリメートル及び幅0.3ミリメートルであり、該チャネルは、前記隆起部の2つの横列間に配置されることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハンドルの前記指グリップの前記人間工学的形状は、蝶形状であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記指グリップの一端の両側が、前記膣管に挿入された状態でデバイスの360度回転の予め決められた回数を計数することを容易にするためにテクスチャデザイン又はマーキングされることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記隆起部は、前記細胞採取区域の全体を通して少なくとも6つの平行横列及び横列当たり少なくとも17個の隆起部に系統的様式で配置されることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に膣細胞又は子宮頸部細胞採取デバイスに関連し、より具体的には、それは、膣又は子宮頸部均質化細胞自己サンプリングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
子宮頸部細胞診及びヒトパピローマウイルス(HPV)検査のための細胞サンプルの採取は、系統的スクリーニング子宮頸癌防止において極めて重要である。従って、より良いサンプル採取技術及び改良型医療デバイス(子宮頸部−膣サンプリングデバイス)に対する必要性は、官民の人間ドックプログラムにおいて必須である。自己採取式サンプル技術の開発が必須であるのは、従来の環境では、細胞は検鏡検査中に得られるが、全ての女性が医療提供者によって行われる骨盤内診察を歓迎するわけではないからである。
【0003】
既存のスクリーニングプログラムに容易に適応可能であるサンプリングに利用可能な様々な自己サンプリングデバイスに適応される多くの技術革新が従来技術で提供されてきた。しかし、これらの技術革新は、それらが対処する特定目的に適する場合があるとしても、それらは、本発明の目的には適さないと考えられる。
【0004】
Ching他に付与された米国特許出願第20,150、297、196号明細書は、ヒト開口部内への挿入中に生体サンプルを採取するためのデバイス及び方法に関して開示している。デバイスは、本体部分、本体部分の一端から延びる挿入部分、及び本体部分の他端に接続されたハンドルを含むことができる。採取端部は、シャフトが所与の方向に回転された時に生体サンプルを採取するように向けられた前縁を有する複数のピン回転フィンを有するスワブである場合がある。しかし、それは、十分な品質及び量の細胞物質を採取する機能を制限し、並びにハンドルは、患者自身によってデバイスの回転の数を追跡するための何も具備していない。
【0005】
Lundkvist他に付与された米国特許出願第20、150、230、872号明細書は、個人がサンプルを粘膜組織から自己採取するためのサンプリングシステムに関して開示している。採取デバイスは、可撓性シャフトを有し、可撓性シャフトは、一端にハンドルと、シャフトの他端に取り外し可能に接続可能であり、かつ細胞サンプルを個人の粘膜組織から採取するように作動可能なサンプル採取要素とを有する。しかし、採取デバイスは、短すぎて、従って単回挿入で女性生殖器官の異なる区域から検体を採取する機能に限度がある。更に、デバイスの準平坦面は、複数の検査を行うのに十分な量及び品質の細胞物質を単回サンプリングで採取する機能を低減する。更に、ハンドルは、保持して回転させるのに薄すぎて、それによってデバイスを膣内に導入しすぎるリスクを増大し、これに加えて、膣管に導入された状態でデバイスを回転させることが困難であり、かつ患者自身によって360度回転の回数を追跡するのが難しい。
【0006】
様々な目的に妥当である様々な自己サンプリングデバイスに対する多くの技術革新が従来技術で開発されてきたことはここで明らかである。更に、これらの技術革新は、それらが対処する特定目的に適する場合があるとしても、それらは、上述のような本発明の複数の目的に適さないと考えられる。すなわち、改良型自己サンプリングデバイスに対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第20,150、297、196号明細書
【特許文献2】米国特許出願第20、150、230、872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、膣又は子宮頸部均質化細胞自己サンプリングデバイスに関して開示する。上述の従来技術及び不適切さを念頭において、本発明の目的は、必要とされる十分な品質及び量の細胞を長い膣管の異なる区域から採取することができる改良型自己サンプリングデバイスを提供することであり、細胞は、大陰唇から外陰部を通って子宮頸管(子宮頸膣部)の外面と移行帯(扁平円柱上皮境界)を含む子宮頚管(子宮頸内膜)とまでにわたって採取され、信頼性の高い試験結果が得られることが必要である。この理論の背景にある理由は、従来のスクリーニングプログラムに参加せず、むしろ十分な品質及び量の均質化された膣細胞又は子宮頸部細胞の採取をもたらさない従来の自己採取デバイスを使用してHPV検査のためのサンプルを取得する女性の子宮頸癌に加えて、外陰癌及び膣癌の症例の指数関数的な増加の結果である。
【0009】
従って、以上に鑑みて、本発明の別の目的は、患者自身によって360度回転の数を追跡するためのデバイスの特別設計指グリップを提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、デバイスの細胞採取区域に沿ったチャネルを提供することであり、チャネルは、1回挿入/採取を通じて膣管内の異なる区域から細胞の均質化されたサンプルを採取するための手段として作用する。
【0011】
本発明の更に別の目的は、製造するのに廉価であり、使用が簡単かつ迅速であり、かつユーザ自身によって十分な均質化された膣細胞又は子宮頸部細胞を採取するグリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によると、ユーザによって膣管内の異なる区域から細胞の均質化サンプルを採取するためのデバイスであって、デバイスは、遠位端及び近位端を有する中空円筒の細長チューブと、細長チューブの遠位端に配置された細胞採取区域であって、細胞採取区域が、遠位端の縁部から予め決められた距離まで延びる接着性採取要素によって覆われ、更に、採取要素が、細胞採取区域の長さに沿っていくつかの平行な横列に配置された複数の系統的な隆起部を有する上記細胞採取区域と、チャネルであって、細胞をチャネル内で混合して細胞の均質化された集合をもたらすように1回挿入を通じて膣管の長さに沿って異なる区域から細胞を採取するために細胞採取区域の長さに沿って配置された上記チャネルと、チューブの近位端に配置されたハンドルであって、更に、ハンドルが、人間工学的形状の指グリップを含み、指グリップの一端が、デザイン又はマーキングを有し、ハンドル及びチューブが、単一構造を形成するように設計される上記ハンドルとを含む。
【0013】
本発明の別の態様によると、ユーザによって膣細胞又は子宮頸部細胞を採取する方法であって、本方法は、自己サンプリングデバイスのハンドルを保持する段階であって、デバイスが、遠位端及び近位端を有する中空円筒の細長チューブを含み、ハンドルが、チューブの近位端に配置され、かつデバイスのベースと細長チューブの遠位端に配置された細胞採取区域とに取り付けられる上記保持する段階と、デバイスを膣管に挿入する段階と、適正細胞採取を確実にするために少なくとも3回の360度回転にわたってデバイスを患者自身によって回転させる段階であって、ハンドルが、指グリップの一端の両側がデバイスの360度回転の予め決められた回数の計数を容易にするように設計されたテクスチャである蝶形状指グリップを含み、更に、蝶形状指グリップ、ハンドル、及びチューブが、細胞を採取するためにデバイスが必要以上に導入されるのを防止するためにワンピースである上記回転させる段階と、1回挿入を通じて膣管内の異なる区域から細胞の均質化サンプルを蓄積するための細胞採取区域の長さに沿って配置されたチャネルを有する細胞採取区域によって細胞を採取する段階であって、細胞採取区域が、長さが3.5から4.5センチメートル及び直径が0.5から0.9ミリメートルである接着性採取要素によって覆われ、更に、採取要素が、採取要素の細胞物質保持特性を改善するために面の全体を通して系統的な隆起部を有する上記採取する段階とを含む。
【0014】
本発明の別の態様では、採取区域は、チューブの遠位端の縁部の下約0.3ミリメートルから採取要素の底部の下約0.3ミリメートルまで長くなっている。
【0015】
本発明の別の態様では、チャネルは、深さが0.3ミリメートル及び幅が0.3ミリメートルである。
【0016】
本発明の別の態様では、隆起部は、細胞採取区域の全体を通して少なくとも6つの横列及び横列当たり少なくとも17個の隆起部に系統的様式で配置される。
【0017】
本発明の他の特徴及び態様は、本発明の実施形態による特徴を一例として示す添付図面と共に以下の詳細説明から明らかになるであろう。「発明の概要」は、本明細書に添付する特許請求の範囲によってのみ定められる本発明の範囲を制限することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで添付図面を参照して本発明を一例として以下に説明する。
【0019】
【
図1】例示的自己サンプリングデバイスの斜視図である。
【
図2】チャネルの前面図を示す自己サンプリングデバイスの前面図である。
【
図3】180度回転した時にそれによってチャネルの側面図を示す自己サンプリングデバイスの前面図である。
【
図4】自己サンプリングデバイスの左側面図である。
【
図5】自己サンプリングデバイスの右側面図である。
【0020】
同じ参照番号は、図面の様々な図を通して同じ部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細説明は、本質的に単に例示的であり、説明する実施形態又は説明する実施形態の応用及び用途を制限することを意図していない。本明細書に使用する時に、用語「例示的」又は「例証的」は、「一例、一事例、又は一例証として寄与する」を意味する。「例示的」又は「例証的」と本明細書に説明するいずれの実施も、他の実施よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈されない。以下に説明する実施の全ては、当業者が本発明の開示の実施形態を製造又は使用することを可能にするために提供する例示的実施であり、特許請求の範囲によって定められる本発明の開示の範囲を制限することは意図していない。本明細書の説明の目的に対して、用語「上側」、「下側」、「左」、「後方」、「右」、「前方」、「垂直」、「水平」、及びその派生語は、
図1の向きに示すように本発明に関連するものとする。更に、上述の「技術分野」、「背景技術」、「発明の概要」、又は以下の「詳細説明」に提示されるいずれの明示的又は黙示的理論によっても縛られる意図はない。添付図面に示して以下の明細書に説明する特定のデバイス及び方法は、添付の特許請求の範囲に定められる発明概念の単に例示的実施形態であることも理解されるものとする。本明細書に開示する実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理特性は、従って、特許請求の範囲が別途明示的に示さない限り、制限と見なさないものとする。
【0022】
均質化された細胞を蓄積するために特別に設計された指グリップ118及びチャネル114を有する自己サンプリングデバイスとして作用する膣細胞又は子宮頸部細胞採取デバイス100を
図1−5で参照する。一部の実施形態では、本発明は、細胞の均質化サンプルを1回挿入又は採取を通じて膣管内の異なる区域から採取するための手段として作用するチャネル114を教示する。チャネル114は、採取ツール108の全長を延び、かつ細胞を膣管の全長に沿って捕捉することができ、細胞は、膣管内の異なる区域からチャネル114内で混合することができ、すなわち、膣管の様々な区域からの細胞の均質化された採取をもたらす。均質化された細胞サンプルは、細胞のより正確な検査を生成することになるが、既存のデバイス及び方法は、膣管内の一ヵ所で陰性細胞を採取することを可能にする一方で、膣管内に更に入り込んだ陽性細胞を見逃し、その逆も起こる。
【0023】
図1を参照すると、ユーザによって膣細胞又は子宮頸部細胞を採取するためのデバイス100であって、デバイス100は、遠位端104及び近位端106を有する中空円筒の細長チューブ102、細長チューブ104の遠位端104に配置された細胞採取区域108を含み、細胞採取区域108は、遠位端104の縁部から予め決められた距離まで延びる接着性採取要素110によって覆われる。更に、採取要素110は、細胞の採取を容易にするために複数の隆起部112を有し、更に、デバイス100は、チューブ102の遠位端104の縁部から予め決められた距離まで長くなっている細胞採取区域108の片側内の中心に配置されたチャネル114を含む。デバイス100は、ハンドル116を含み、ハンドル116は、チューブ102の近位端106に配置され、更に、ハンドル116は、人間工学的形状の指グリップ118を含み、指グリップ118の一端122は、デザイン又はマーキングを有し、ハンドル116及びチューブ102は、単一構造を形成するように設計される。
【0024】
本発明のデバイス100は、女性生殖器官の異なる区域から細胞物質のウイルス攻撃の異なるサンプルの良好な混合物を自己採取する機能を大きく改善することになる。既存のデバイスとの違いにおいて、本発明は、長さが3.5から4.5センチメートルであり、直径が0.5から0.9ミリメートルのどこかである非常に粘着性の採取要素110によって覆われた細胞採取区域108で構成される。採取区域108は、自己サンプリング活動が行われている間に常に女性生殖器官の異なる区域と接触するのに十分な長さである。これに加えて、採取要素110は、採取要素110の細胞物質保持特性を改善するために面全体を通して系統的な隆起部112で構成される。デバイス100はまた、細胞採取面108の片側にチャネル114を含み、これは、デバイス100の遠位端104の上縁の下の約0.3ミリメートルから採取要素110の底部111の前の約0.3ミリメートルまで延びている。このチャネル114は、深さ約0.3ミリメートル及び幅0.3ミリメートルであることになる。チャネル114の重要性は、1回の自己サンプリング実施内で採取された細胞の量を改善することである。より多くの細胞を採取させる重要性は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような異なる試験を実行してHPVのDNAを識別し、同じく免疫組織化学解析を行ってウイルス感染の進行を決定して試験結果の感度を増大させることである。
【0025】
当業者は、物質のタイプに対するいずれの制約もなく、かつ本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、自己サンプリングデバイス100及びその要素の異なるサイズ及び形状を使用することができることを本発明の教示の観点から認識するであろう。
【0026】
図2及び
図3を参照すると、本発明の別の実施形態では、デバイス100は、ユーザが、デバイス100を彼女の膣管に導入する時にデバイスを母指及び人差し指の両方で確実に保持し、次に、デバイス100を膣管から引く前にデバイス100を3回時計回りに容易に回転させることができることを可能にする指グリップ118を含む。これに加えて、指グリップ118の一端122の両側のテクスチャは、膣管に挿入された状態でデバイス100の360度回転の計数を容易にするように設計されたものである。同じく、人間工学的形状の指グリップ118及び細長チューブ102は、細胞を採取するのにデバイス100を必要以上に導入することができることを防止するようにワンピースである。
図2は、自己サンプリングデバイス100の前面図を例示し、チャネル114の前面図を示し、一方で
図3は、180度回転した時の自己サンプリングデバイス100の前面図を示し、それによって指グリップ118のテクスチャ加工デザイン端部122が
図2に示すような位置に達した時にデバイス100が1回の完全な360度回転を完了するようなチャネル114の側面図を示している。指グリップ118の一端122の少なくとも片側のいずれのそのようなマーキング、デザイン、又は視覚的差異も、デバイス100の360度回転の容易な計数を促進する。
【0027】
図4及び
図5は、自己サンプリングデバイス100のそれぞれ左側面図及び右側面図を示し、丸形先端と、円筒体と、その近位端106からその遠位端104まで僅かに先細の構成とを有する中空円筒の細長チューブ102と、遠位端104に配置され、接着性採取要素110によって覆われた細胞採取区域108とを示し、更に、採取要素110は、複数の系統的な隆起部112と、細胞をチャネル114内で混合して細胞の均質化された採取をもたらすようにデバイス100の1回挿入を通じて膣管の長さに沿って異なる区域から細胞を採取するために細胞採取区域108の全長に沿って配置されたチャネル114と、更に、デバイス100のベース120に取り付けられてチューブ102の近位端106に配置されたハンドル116とを有し、ハンドル116及びチューブ102は、単一構造を形成するように設計される。
【0028】
図6及び
図7は、それぞれ自己サンプリングデバイス100の底面図及び上面図を示している。ハンドル116は、チューブ102の近位端106に配置されてデバイス100のベース120に取り付けられ、更に、ハンドル116は、蝶形状指グリップ118を含み、指グリップ118の一端122の両側は、膣管に挿入された状態でデバイス100の360度回転の予め決められた回数を計数することを容易にするようなテクスチャデザインであり、更に、ハンドル116及びチューブ102は、細胞を採取するのにデバイス100が必要以上に導入されるのを防止するために単一構造を形成するように設計される。
【0029】
膣細胞又は子宮頸部細胞をユーザによって採取する方法を示す
図1〜
図7に示すような本発明の例示の実施形態では、本方法は、自己サンプリングデバイス100のハンドル116を保持する段階であって、デバイス100が、遠位端104及び近位端106を有する中空円筒の細長チューブ102を含み、ハンドル100が、チューブ102の近位端106に配置され、かつデバイス100のベース120と細長チューブ102の遠位端104に配置された細胞採取区域108とに取り付けられる上記保持する段階と、デバイス100を膣管に挿入する段階と、適正細胞採取を確実にするために少なくとも3回の360度回転にわたって患者が彼女自身によってデバイス100を回転させる段階であって、ハンドル116が、デバイス100の360度回転の予め決められた回数を計数することを容易にするために指グリップの一端122の両側がテクスチャデザインであり、かつ別の端部124がテクスチャ加工又はマーキングされていない蝶形状指グリップ118を含み、更に、ハンドル116及びチューブ102が、細胞を採取するのにデバイス100が膣管に必要以上に導入されるのを防止するためにワンピースである上記回転させる段階と、デバイス100の1回挿入を通じて膣管内の異なる区域から細胞の均質化サンプルを蓄積するために細胞採取区域108の全長に沿って配置されたチャネル114を有する細胞採取区域108によって細胞を採取する段階とを含む。
【0030】
本発明の別の実施形態では、細胞採取区域108は、長さが3.5から4.5センチメートル及び直径が0.5から0.9ミリメートルである接着性採取要素110によって覆われ、接着性採取要素110は、デバイス100の細胞物質保持特性の改善を促進する。しかし、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、その長さ及び直径に対する制限なしで異なる接着技術を有する採取要素110を使用することができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、チャネル114は、チューブ102の遠位端104の縁部の下の約0.3ミリメートルから採取要素110の底部111の前の約0.3ミリメートルまで長くなっている細胞採取区域108の片側内で採取隆起部112の2つの横列間に配置され、チャネル114は、深さが0.2から0.4ミリメートル、幅が0.2から0.4ミリメートルである。しかし、ユーザの膣管でのデバイス100の単回の挿入によって採取される十分な細胞を使用していくつかの検査を行うために、そのサイズ及び形状の制限なしで1よりも多いチャネル114を配置してチャネル114内のより多くの均質化された細胞採取及び蓄積を改善することができ、更に、チャネル114は、採取区域108の全長を通して又は採取区域108の全長の予め決められた部分に配置することができ、チューブ102の遠位端104又は近位端106の縁部から予め決められた距離で本発明の範囲及び精神から逸脱することなく使用することができる。
【0032】
一部の実施形態では、採取要素110は、採取要素110の細胞物質保持特性を改善するために面の全体を通して系統的な隆起部112を有し、デバイス100の例では、隆起部112の系統的な配置は、細胞採取区域108の長さ全体を通して少なくとも6つの平行な横列、かつ横列当たり少なくとも17個の隆起部にあることを示している。しかし、最大細胞採取及びユーザの快適性を念頭において、本発明の範囲及び精神から逸脱することなくあらゆる適切な様式で配置されたあらゆる数の隆起部を使用することができる。
【0033】
本発明のこれら及び他の範囲及び利点は、本明細書、特許請求の範囲、及び添付図面を参照することにより、当業者によって更に理解されて認められるであろう。
【0034】
本発明の上述の好ましい実施形態に対して詳細の多くの修正、変形、及び変更を行うことができるので、以上の説明におけるかつ添付図面に示す全ての内容は、制限的な意味ではなく例示として解釈されることを意図している。すなわち、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって決定されなければならない。
【符号の説明】
【0035】
100 ユーザによって膣細胞又は子宮頸部細胞を採取するためのデバイス
102 中空円筒細長チューブ
110 接着性採取要素
112 複数の隆起部
114 チャネル