(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
恒温恒湿室、及び、前記恒温恒湿室の下方側に位置し、自身と前記恒温恒湿室との境界壁に設けられる連通孔を通じて前記恒温恒湿室に連通する補助室を内部に有する筐体と、
前記恒温恒湿室の湿度を調整する湿度調整部と、
前記恒温恒湿室の温度を調整する温度調整部と、
測定対象物を収容する容器が前記恒温恒湿室に位置するように前記容器を支持すると共に、前記連通孔を開閉する開閉部を有する容器支持部と、
前記容器支持部の下方側に位置し、前記容器支持部を通じて前記測定対象物の重量を測定する重量測定部と、
前記容器支持部と共に前記容器を上下方向に昇降させ、上昇時には前記容器支持部を前記重量測定部から離れさせると共に前記開閉部に前記連通孔を閉じさせ、下降時には前記容器支持部を前記重量測定部に載置させて重量測定可能な状態にすると共に、前記開閉部に前記連通孔を開放させる昇降機構と、
を備え、
前記昇降機構は、
電気により動力を生み出す電気駆動部と、
前記電気駆動部の動力を伝達する動力伝達部と、
を有し、
前記動力伝達部の少なくとも一部は前記補助室の内部に配置され、
前記電気駆動部は、前記補助室の外部かつ前記恒温恒湿室の外部に配置されることを特徴とする、
透湿度測定装置。
前記動力伝達部と前記容器支持部の接触部分、及び/又は、前記容器支持部と前記筐体の接触部分に、前記恒温恒湿室を基準として予め設定された基準中心位置からずれた前記容器支持部を該基準中心位置にセンタリングするセンタリング機構を備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の透湿度測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1〜
図11は発明を実施する形態の一例であって、図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。
【0019】
<全体構成>
図1〜
図3を参照して、本発明の実施形態における透湿度測定装置1は、測定対象物の透湿度を測定するものである。透湿度測定装置1は、
図3(A)に示すように、筐体2と、湿度調整部3と、温度調整部4と、容器支持部5と、重量測定部6と、昇降機構7と、センタリング機構8と、制御部9と、を備える。
【0020】
<筐体>
筐体2は、
図1〜
図3に示すように、恒温恒湿室20と、第一補助室21と、第二補助室22と、を内部に有する。恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22は、上方側から順に上下方向Vに並ぶ。なお、上下方向Vは、鉛直方向と平行である。恒温恒湿室20は、温度及び湿度が一定に保たれる部屋である。恒温恒湿室20には、
図3(A),(B)に示すように、測定対象物130を収容する容器100が収容される。測定対象物130として、例えば、プラスチックフィルム,加工紙などの防湿を目的とする包装材料が挙げられる。
【0021】
容器100は、日本工業規格で定められた「防湿包装材料の透過湿度試験方法」(カップ法:JIS Z 0208)の条件を満たすものであることが好ましい。容器100には、
図3に示すように、塩化カルシウム(無水)120(CaCl
2)が収容され、塩化カルシウム(無水)120の上方に測定対象物130がセットされる。なお、塩化カルシウム(無水)120の粒度は「防湿包装材料の透過湿度試験方法」の条件に合致する。
【0022】
<第一補助室>
第一補助室21は、
図1〜
図3に示すように、上下方向Vにおいて恒温恒湿室20に隣接する部屋であり、恒温恒湿室20の下方側に位置する。恒温恒湿室20と第一補助室21の間の境界壁23には、連通孔24が設けられる。恒温恒湿室20は、連通孔24を通じて第一補助室21と連通する。
【0023】
また、境界壁23は、
図3(A)に示すように、環状凹面27を有する。環状凹面27は、
図4(A)の上段図に示すように、境界壁23の第一補助室21側の面である第一補助室21の天井面21Aの一部を成し、境界壁23の厚み方向(上下方向V)の上方に向かう側に凹む。そして、
図4(A)の下段図に示すように、環状凹面27は、環状であり、天井面21Aに沿って連通孔24を取り囲む。
【0024】
連通孔24は、境界壁23の中央領域を上下方向Vに貫通する。連通孔24は、測定対象物130の透湿度を測定している最中は、後述する開閉部52により閉じられる。これにより、恒温恒湿室20は、第一補助室21から遮断されて、密封された状態になる。
【0025】
<第二補助室>
第二補助室22は、
図1〜
図3に示すように、上下方向Vにおいて第一補助室21に隣接する部屋であり、第一補助室21の下方側に位置する。第一補助室21と第二補助室22の間の境界壁25には、3つの連通孔26が設けられる。なお、
図3(A)は断面図であるため、2つの連通孔26しか描かれていないが、実際は、紙面手前側にもう一つの連通孔26がある。第一補助室21は、3つの連通孔26を通じて第二補助室22と連通する。3つの連通孔26は、後述する容器支持部5の3本の支持脚部53を通すためのものである。
【0026】
<湿度調整部>
湿度調整部3は、恒温恒湿室20の湿度を調整するものである。湿度調整部3は、
図3(A)に示すように、例えば、容器30と、加熱部31と、栓部32と、給水部33と、空気供給部34と、蒸気供給部35と、湿度測定部36と、送風部37と、水分吸収部38と、を有する。なお、容器30と、加熱部31と、栓部32と、給水部33と、空気供給部34とは、水蒸気を生成する水蒸気生成部を構成する。
【0027】
容器30には、給水部33を通じて水が給水される。加熱部31は、容器30内の水を加熱するものである。本実施形態において加熱部31は、
図3(A)に示すように、容器30の底面に設置されたヒーターにより構成され、容器30の外部側底面側から容器30の内部の水を加熱する。
【0028】
栓部32は、
図3(A)に示すように、容器30の開口30Aに栓をして閉じるものである。栓部32は、柱状、又は部分錐状に形成される。そして、栓部32は、自身を上下方向Vに貫通する孔321〜323を有する。孔321は、以下で説明する給水管331を通すためのものである。孔322は、以下で説明する空気供給管342を通すためのものである。孔323は、以下で説明する蒸気供給管351を通すためのものである。
【0029】
給水部33は、容器30の外部から容器30の内部に水を供給するためのものである。給水部33は、
図3(A)に示すように、漏斗330と、給水管331と、給水側開閉部332と、により構成される。漏斗330には、給水管331が接続される。給水管331は、栓部32の孔321を通されて、先端が容器30の内部まで延びる。漏斗330から水を入れると、給水管331を通って容器30に水が入る。給水側開閉部332は、給水部33を開閉するものである。給水側開閉部332により給水部33を閉じると、容器30の内部と外部の連通は遮断され、給水側開閉部332により給水部33を開くと、容器30の内部と外部は連通する。給水側開閉部332は、例えば、漏斗330の蓋、又は、給水管331の栓、又は、給水管331を開閉する弁により構成される。
【0030】
空気供給部34は、容器30内の水中に空気を供給するものである。これにより、容器30の内部の水は、泡立てられ、容易に蒸気化する。空気供給部34は、
図3(A)に示すように、ポンプ341と、空気供給管342と、空気側開閉部343と、により構成される。ポンプ341には、空気供給管342が接続される。空気供給管342は、栓部32の孔322を通されて、先端が容器30の水中まで延びる。ポンプ341から送られた空気が、空気供給管342を通って水中に供給される。空気側開閉部343は、空気供給部34を開閉するものである。空気側開閉部343は、例えば、ポンプ341が有するバルブにより構成される。
【0031】
蒸気供給部35は、容器30内の水蒸気を恒温恒湿室20に供給するものである。水蒸気の供給により恒温恒湿室20の湿度が調整される。蒸気供給部35は、
図3(A)に示すように、蒸気供給管351と、蒸気側開閉部352と、により構成される。蒸気供給管351は、一端側は栓部32の孔322と通され、他端側は恒温恒湿室20に接続される。容器30の内部の水蒸気が蒸気供給管351を通って、蒸気供給管351の排出口353から恒温恒湿室20に供給される。蒸気側開閉部352は、蒸気供給部35を開閉するものである。蒸気側開閉部352により蒸気供給部35を閉じると、容器30の内部と恒温恒湿室20の連通は遮断され、蒸気側開閉部352により蒸気供給部35を開くと、容器30の内部と恒温恒湿室20は連通する。なお、容器30の内部の水蒸気を恒温恒湿室20に供給する際、給水側開閉部332により給水部33を通じた外部と容器30の内部との連通を遮断することが好ましい。
【0032】
なお、日本工業規格で定められた「防湿包装材料の透過湿度試験方法」(カップ法:JIS Z 0208)の条件によれば、恒温恒湿室20の湿度は、90%にする必要がある。このため、
図3(A),(B)に示すように、恒温恒湿室20の湿度を測定する湿度測定部36が恒温恒湿室20に設けられる。湿度測定部36での測定結果は制御部9に送信される。制御部9は、湿度測定部36での測定結果に応じて、蒸気側開閉部352を開閉して恒温恒湿室20の湿度を90%に保つ。
【0033】
送風部37は、恒温恒湿室20の内部の水蒸気を水平方向に送風する。送風部37は、ファン370により構成される。そのファン370の正面側は、
図3(B)に示すように、容器100を向き、ファン370の背面側は、蒸気供給管351の排出口353を向く。この場合、ファン370は、容器100に向かう水平方向に水蒸気を送風する。
【0034】
ファン370により容器100に向かう水平方向に送風すると、容器100及び容器100の周囲の恒温恒湿室20の構成面で送風が反射されて、
図3(B)に示すように、容器100及び測定対象物130の周辺を空気が循環する(
図3(B)の太線矢印参照)。結果、容器100及び測定対象物130の周辺に空気の対流が生じる。これにより、恒温恒湿室20の温度及び湿度が均一化されて、恒温恒湿室20の温度及び湿度が一定となる。
【0035】
水分吸収部38は、
図3(A),(B)に示すように、水分を吸収する材料により構成されるものであり、例えば、恒温恒湿室20における蒸気供給管351の排出口353の直下(ファン370の背後側)に配置される。蒸気供給管351から水蒸気が供給されると、蒸気供給管351の排出口353から水蒸気が液化した水滴が垂れて、恒温恒湿室20には、水滴が貯まる。水分吸収部38は、この液化した水分(水滴)を吸収する。なお、水分吸収部38の配置場所は、排出口353の直下(ファン370の背後側)に限定されるものではなく、恒温恒湿室20内のその他の場所であってもよい。水分を吸収する材料として、例えば、スポンジ、布、不織布等が挙げられる。また、ファン370の送風に起因して生じる恒温恒湿室20内の気流により、水分吸収部38に吸収された水分は、効率良く蒸気化される。
【0036】
<温度調整部>
温度調整部4は、恒温恒湿室20の温度を調整するものである。温度調整部4は、
図1及び
図2に示すように、ペルチェ素子40と、ヒートシンク41と、ファン42と、を有する。ペルチェ素子40は、ヒートシンク41の受熱面41Aに接触するように設けられる。ヒートシンク41は、受熱面41Aとは反対側にフィン41Bを有する。ファン42は、ヒートシンク41のフィン41B側に配置され、フィン41Bから受熱面41Aに向かって送風する。温度調整部4は、ペルチェ素子40が筐体2の恒温恒湿室20の外壁2Aに接触した状態で筐体2に固定される。
【0037】
なお、日本工業規格で定められた「防湿包装材料の透過湿度試験方法」(カップ法:JIS Z 0208)の条件によれば、恒温恒湿室20の温度は、40度にする必要がある。このため、
図3(A),(B)に示すように、恒温恒湿室20の温度を測定する温度測定部43が恒温恒湿室20に設けられる。温度測定部43での測定結果は制御部9に送信される。制御部9は、温度測定部43での測定結果に応じて、ペルチェ素子40を制御し、恒温恒湿室20の温度を40度に保つ。具体的にペルチェ素子40は、制御部9の制御の下、恒温恒湿室20の外壁2Aを加熱及び/又は冷却して恒温恒湿室20の温度を40度に保つ。なお、本実施形態では、湿度測定部36及び温度測定部43は、両方の機能を有する温湿度センサで構成されているが、これに限定されるものではなく、互いに独立した別々のセンサで構成されてもよい。
【0038】
<容器支持部>
容器支持部5は、
図3(A)に示すように、容器100が恒温恒湿室20に位置するように容器100を支持するものである。容器支持部5は、
図5に示すように、容器側支持台50と、支持柱51と、開閉部52と、支持脚部53と、脚側支持台54と、を有する。
【0039】
容器側支持台50は、
図5に示すように、容器100を載置する載置面50Aを有する。容器側支持台50は、載置面50Aに載置された容器100を支持する。支持柱51は、容器側支持台50を支持する筒状の管部材である。そして、支持柱51は、一端側において容器側支持台50の中央領域において容器側支持台50に連結され、且つ、連通孔24を通過し、他端側において開閉部52に連結される。
【0040】
開閉部52は、連通孔24を開閉するものである。開閉部52は、開閉部52の中央領域において支持柱51に連結される。具体的に開閉部52は、
図4(A)の上段図に示すように、蓋部520と、シール部材521と、を有する。蓋部520は、例えば、板状に形成され、連通孔24を覆って閉じ得る形状・大きさを有する。蓋部520は、支持柱51に連結される。また、蓋部520は、自身の厚み方向に貫通する蓋側孔523を有する。蓋側孔523は、後述するセンタリング機構8の一部(センタリング用孔)を構成する。
【0041】
シール部材521は、
図4(A)の上段図に示すように、蓋部520の連通孔24側(上方側)を向く上面520Aを起点として凸となると共に、環状に連なり、境界壁23の環状凹面27に挿入可能に構成される。シール部材521は、例えば、断面が略円形の環状のパッキンにより構成される。シール部材521となるパッキンが環状凹面27に押し付けられると、パッキンは、連通孔24を取り囲むと共に、蓋部520と協働して、第一補助室21側から連通孔24を塞ぐ。つまり、シール部材521と環状凹面27とで、連通孔24を塞いで恒温恒湿室20をシールするシール機構が構成される。シール機構が以上のように構成されれば、確実に恒温恒湿室20をシールすることができる。
【0042】
なお、第一補助室21の天井面21Aには、環状凹面27が設けられていなくても良い。この場合、シール部材521は、天井面21Aの平面部に押し付けられて蓋部520と協働して、第一補助室21側から連通孔24を塞ぐ。また、シール部材521は、第一補助室21の天井面21Aから凸となるように設けられていてもよい。この場合、上下方向Vにおいて天井面21Aに対向する蓋部520の上面520Aに、環状凹面27に相当する環状凹面が設けられてもよい。いずれにしても、シール部材521は、蓋部520の上面520Aと第一補助室21の天井面21Aとの間に配置される。
【0043】
支持脚部53は、
図3〜
図5に示すように、開閉部52から上下方向Vの下方側に延在するものであり、本実施形態では3つ設けられる。なお、
図3、
図5〜
図7は断面図であるため、2つの支持脚部53しか描かれていないが、実際は、紙面手前側にもう一つの支持脚部53がある。そして、支持脚部53は、境界壁25に設けられる連通孔26を通過して、第一補助室21から第二補助室22にまたがるように延びる。支持脚部53の下端は、第二補助室22において脚側支持台54に固定される。脚側支持台54は、板状に構成される。
【0044】
容器支持部5は、後述する昇降機構7により上下方向Vに昇降する。容器支持部5が下降すると、
図6(A)に示すように、脚側支持台54は重量測定部6の上面である測定面60に接触する。そして、容器支持部5、容器100、塩化カルシウム(無水)120及び測定対象物130の全重量が、測定面60を通じて重量測定部6にかかる。容器支持部5が上昇すると、
図5に示すように、脚側支持台54は重量測定部6の測定面60から離れ、重量測定部6に重量がかからない。
【0045】
<重量測定部>
重量測定部6は、容器支持部5(脚側支持台54)の下方側に位置し、容器支持部5を通じて測定対象物130を透過して塩化カルシウム120に吸収された水分の重量を測定するものである。重量測定部6の上面である測定面60に容器支持部5が載置されると、容器支持部5、容器100、塩化カルシウム(無水)120及び測定対象物130の全重量が重量測定部6にかかり、重量測定部6で重量が測定される。重量測定部6は、例えば、電子天秤により構成される。
【0046】
<昇降機構>
昇降機構7は、容器支持部5と共に容器100を上下方向Vに昇降させるものである。昇降機構7は、
図3(A)及び
図5に示すように、例えば、モーター70と、第一ギヤ71と、第二ギヤ72と、駆動軸73と、変換部74と、押圧部材75と、位置検出部76と、を有する。
【0047】
モーター70は、第一ギヤ71を回動させる。第一ギヤ71は、
図5に示すように、第二ギヤ72に噛み合うように構成される。第一ギヤ71は、第二ギヤ72よりも径及び歯数が少ない。第一ギヤ71が回動すると、第二ギヤ72は回動する。駆動軸73は、
図3(A)及び
図5に示すように、第二ギヤ72の中心に連結され、第二ギヤ72の回動に連動して駆動軸73も回動する。つまり、駆動軸73には、第一ギヤ71及び第二ギヤ72を通じてモーター70の回動力が伝達される。
【0048】
変換部74は、駆動軸73の回動を押圧部材75の上下方向Vの昇降移動に変換するものである。変換部74は、
図5に示すように、例えば、カム740と、案内部741と、を有する。カム740は、駆動軸73に連結され、駆動軸73の回動に連動してカム740も回動する。カム740は、例えば、きのこ形カムにより構成される。
【0049】
押圧部材75は、カム740により上下方向Vに所定のストロークだけ移動する。
図6(A)に示すように、上下方向Vにおける押圧部材75の移動範囲(以下、押圧部材移動範囲と呼ぶ。)の最下点に押圧部材75が位置する時、カム740は、押圧部材75に接触していない。この最下点状態から、モーター70、第一ギヤ71、第二ギヤ72、及び駆動軸73から成る回動機構が時計周りに回動すると、押圧部材75の受け面750にカム740が接触して、
図6(B)に示すように、押圧部材75を上下方向Vの上方側に徐々に押し上げる。そして、
図7(A)に示すように、押圧部材75が、押圧部材移動範囲の最高点に到達すると、それ以降は、
図7(B)に示すように、カム740が押圧部材75の受け面750に接触しつつ、押圧部材75は徐々に下降する。そして、カム740が一回転し終わる頃には、カム740は押圧部材75から離れて、押圧部材75は押圧部材移動範囲の最下点に戻る(
図6(A)参照)。つまり、カム740が一回転する過程において、押圧部材75は、カム740に押圧され、押圧部材移動範囲の最下点と最高点の間を往復移動可能である。
【0050】
案内部741は、押圧部材75を上下方向Vに案内する。案内部741は、
図5に示すように、押圧部材75を向く側にL字面745を有する2つの案内部材744により構成される。2つの案内部材744は、それぞれ押圧部材75の側面755の近傍、且つ押圧部材75の幅方向の両側から押圧部材75を挟み込むような位置において筐体2の内部で固定される。
【0051】
そして、L字面745は、
図5に示すように、上下方向Vに延在する案内面745Aと、最下点で押圧部材75を支持可能な支持面745Bと、を有する。案内面745Aは、押圧部材75の側面755の近傍において側面755に対向する。押圧部材75がカム740に押し上げられる間は、押圧部材75は、案内面745Aにより上下方向Vに案内される。また、押圧部材75の側面755にもL字面751が設けられる。L字面751のうち、押圧部材75の幅方向に延びる面751Aが支持面745Bに接触することにより押圧部材75は、最下点で案内部材744に支持される。
【0052】
押圧部材75は、容器支持部5を上方側に向かって押圧可能に設けられる。具体的に押圧部材75は、
図5に示すように、蓋部520の直下で、上下方向Vに移動自在に設けられる。つまり、押圧部材75は、特定の箇所に拘束されていない。押圧部材75が上昇すると、開閉部52(蓋部520)に対向する押圧部材75は、蓋部520を押圧して容器支持部5を押し上げる。また、押圧部材75が下降すると、蓋部520と共に容器支持部5は下降する。
【0053】
また、押圧部材75は、
図5に示すように、押圧側凸部753を有する。そして、押圧側凸部753は、
図4(A)の上段図に示すように、上下方向Vにおいて開閉部52(蓋部520)に対向する対向面(押圧面752)を起点として上下方向Vの上方側に凸となる。また、押圧側凸部753は、押圧側凸部753の凸方向に沿って対向面(押圧面752)から離れるに従って、水平方向Hにおける押圧側凸部753の幅が小さくなるように傾斜するテーパー面754を、押圧側凸部753の先端、又はその近傍に有する。また、テーパー面754は、
図4(A)の上段図に示すように、凸方向に直交する押圧側凸部753の幅方向の両側に設けられていることが好ましい。以上のように構成される押圧側凸部753は、蓋側孔523と協働してセンタリング機構8を構成する。
【0054】
位置検出部76は、容器支持部5の位置を検出するものである。具体的に位置検出部76は、容器支持部5が最高点に位置すること、及び最下点に位置することの双方を検出する。そのような位置検出部は、
図8(A)に示すように、ホームセンサフラグ760と、フォトセンサ761と、を有する。ホームセンサフラグ760は、自身の中心に駆動軸73が連結され、駆動軸73の回動に連動して回動する。
【0055】
また、ホームセンサフラグ760は、第一切り欠き部762及び第二切り欠き部763を有する円盤部材により構成される。第一切り欠き部762及び第二切り欠き部763は、扇形状に円盤部材の一部が切り欠かれた部分である。第一切り欠き部762は、円盤部材の中心角θ1だけ円盤部材の一部が切り欠かれた部分である。第二切り欠き部763は、円盤部材の中心角θ2だけ円盤部材の一部が切り欠かれた部分である。なお、中心角θ1は、中心角θ2よりも大きい。また、ホームセンサフラグ760は、光を遮断可能な材料により構成される。
【0056】
フォトセンサ761は、
図8(B)に示すように、発光部764と、受光部765と、配置部766を有する。配置部766は、ホームセンサフラグ760の一方の平面側に発光部764を配置し、ホームセンサフラグ760の他方の平面側に発光部764と対向するように受光部765を配置する。配置部766は、例えば、コの字面767を有する。コの字面767の対向する面の一方側に発光部764が取り付けられ、他方側に受光部765が取り付けられる。配置部766は、フォトセンサ側台部768に設置される。
【0057】
ホームセンサフラグ760が駆動軸73と共に回動している際、第一切り欠き部762及び第二切り欠き部763に対応する位相区間では、発光部764からの光信号を受光部765では受信し続ける。このとき、第一切り欠き部762に対応する位相区間と、第二切り欠き部763に対応する位相区間とでは、受光部765での受信継続時間が異なる。例えば、第一切り欠き部762に対応する位相区間の始点762Aを通過する際に、容器支持部5が上下方向Vの最高点に達し、第二切り欠き部763に対応する位相区間の始点763Aを通過する際に、容器支持部5が上下方向Vの最下点に達するように設定する。そして、第一切り欠き部762に対応する位相区間の方が受光部765での受信継続時間が長くなるため、その受信継続時間が長い状態では、制御部9は、容器支持部5が上昇完了していると判断する。一方、第二切り欠き部763に対応する位相区間の方が受光部765での受信継続時間が短くなるため、その受信継続時間が短い状態では、制御部9は、容器支持部5が下降完了していると判断する。
【0058】
以上のように、第一切り欠き部762及び第二切り欠き部763に対応する位相区間を設定すれば、制御部9は、容器支持部5が最高点又は最下点に位置するよう、フォトセンサ761からの信号に応じて、モーター70の動作を制御することができる。
【0059】
以上の昇降機構7を構成する構成要素は、電気により動力を生み出す電気駆動部と、電気駆動部の動力を伝達する動力伝達部と、に分けることができる。電気駆動部には、モーター70及び位置検出部76が含まれる。動力伝達部には、第一ギヤ71、第二ギヤ72、駆動軸73、変換部74及び押圧部材75が含まれる。
【0060】
本実施形態における透湿度測定装置1では、恒温恒湿室20と、第一補助室21及び第二補助室22は、それぞれ連通可能な構造になっている。このため、恒温恒湿室20のみならず、第一補助室21及び第二補助室22も比較的高い湿度を有する。このため、湿気により故障する可能性のある電気駆動部は、恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22の外部に配置されることが好ましい。なお、恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22の外部には、筐体2の外部、及び筐体2の内部であっても、恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22のいずれにも連通しない部屋が含まれる。このような場所であれば、湿気の影響を抑えることができるため、電気駆動部の配置場所として好ましい。本実施形態において電気駆動部は、例えば、
図1及び
図2に示すように、筐体2の周囲に設けられた設置台部10に電気駆動部を設置することが想定される。本実施形態における設置台部10は、筐体2の内部の境界壁25が筐体2の外部へ延長された部分であるが、これに限定されるものではない。設置台部10には、筐体2の周囲に設けられる全ての台が含まれる。
【0061】
一方、動力伝達部は、電気駆動部よりも湿気に強いため、第一補助室21及び第二補助室22のいずれかに配置してもよい。ただし、動力伝達部でも、湿気によりサビが生じたりするものについては、なるべく、恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22の外部に配置する方が好ましい。恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22の外部であれば湿気の影響を抑えることができるため、動力伝達部のうち、湿気に影響を受けやすい部分を恒温恒湿室20、第一補助室21及び第二補助室22の外部に配置することが好ましい。
【0062】
<センタリング機構>
センタリング機構8は、恒温恒湿室20を基準として予め設定された基準中心位置からずれている容器支持部5を基準中心位置にセンタリングするものである。基準中心位置では、
図4(B)に示すように、上下方向Vの上方側からシール部材521及び環状凹面27を平面視した際、水平方向Hにおいて、シール部材521は、全体が環状凹面27で取り囲まれる第一領域(
図4(B)では、環状凹面27の外側面27Aと内側面27Bの間の範囲の領域)に重畳する。つまり、上下方向Vにおいて環状凹面27に接近するようにシール部材521が相対移動した際、シール部材521は、全体が第一領域に収まるような位置に位置する。同様に、基準中心位置では、
図4(B)に示すように、上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753は、全体が蓋側孔523で取り囲まれる第二領域(
図4(B)では、蓋側孔523の外側面523Aと内側面523Bの間の範囲の領域)に重畳する。つまり、上下方向Vにおいて蓋側孔523に接近するように押圧側凸部753が相対移動した際、押圧側凸部753は、全体が第二領域に収まるような位置に位置する。
【0063】
さらに、基準中心位置では、
図3(A)に示すように、境界壁25の連通孔26に支持脚部53が接触しないような位置に支持脚部53は位置する。結果、基準中心位置では、昇降機構7により下降して容器支持部5が重量測定部6の測定面60に載置された際、
図6(A)に示すように、容器支持部5は周囲の筐体2及び動力伝達部等に接触しない状態となる。
【0064】
センタリング機構8は、
図4(B)に示すように、蓋部520の蓋側孔523と、押圧部材75の押圧側凸部753と、により構成される。蓋側孔523は、押圧側凸部753が挿入可能な大きさを有する。特に、水平方向Hにおける蓋側孔523の孔幅は、水平方向Hにおける押圧側凸部753の幅と同じか、わずかに大きい程度が好ましい。なお、
図5に示すように、蓋側孔523内で押圧側凸部753が水平方向Hに移動しても、支持脚部53が連通孔26に接触しない範囲で、蓋側孔523の孔幅及び押圧側凸部753の幅は決定される。
【0065】
図4(B)に示すように、容器支持部5が基準中心位置に位置する場合、上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753は、全体が蓋側孔523の第一領域に重畳する。このため、押圧部材75が上下方向Vの上方側に移動すると、押圧側凸部753のテーパー面754は、蓋側孔523の開口523Cに接触すること無く、ちょうど蓋側孔523に嵌まり込む。
【0066】
一方、
図9(A)に示すように、容器支持部5が基準中心位置からずれている場合、上下方向Vにおいて、上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753は、蓋側孔523の第一領域とは一部が重畳し、残りが第一領域外に位置する。つまり、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753は、蓋側孔523から一部がはみ出た状態になる。このため、押圧部材75が上下方向Vの上方側に移動すると、
図9(B)に示すように、押圧側凸部753のテーパー面754は、蓋側孔523の下方側(押圧側凸部753に近位側)の開口523Cに接触する。しかし、そのまま押圧側凸部753が上方に移動すると、蓋側孔523の開口523Cと共に容器支持部5全体がテーパー面754に案内されて、テーパー面754に沿う方向にスライド移動する。そして、
図9(C)に示すように、押圧側凸部753は、蓋側孔523に嵌まり込む。つまり、押圧側凸部753は、センタリング用凸部として機能し、蓋側孔523は、センタリング用凸部を受け入れるセンタリング用孔として機能する。そして、センタリング用凸部(押圧側凸部753)を有する動力伝達部が上方に移動する過程で、センタリング用孔(蓋側孔523)を有する容器支持部5は、基準中心位置に向かってセンタリングされる。
【0067】
なお、
図9(B)に示すように、容器支持部5がセンタリングされるには、上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753の幅方向(水平方向H)の両側に設けられる両テーパー面754が蓋側孔523の第一領域と重畳する必要がある。一方のテーパー面754全体が蓋側孔523の第一領域外に位置する程度に、容器支持部5が基準中心位置からずれている場合、容器支持部5はセンタリングされない。なお、一方のテーパー面754全体が蓋側孔523の第一領域外に位置する前に、支持脚部53が連通孔26に接触するように透湿度測定装置1が構成されれば、センタリングされない状況にならない。
【0068】
<センタリング機構の変形例>
また、
図10(A)に示すように、蓋側孔523の下方側にテーパー面524が設けられてもよい。テーパー面524は、蓋側孔523の下方側の開口523Cを起点として、蓋側孔523の貫通方向(蓋部520の厚み方向)に沿って上下方向Vの上方側に進むに従って、水平方向Hにおける蓋側孔523の孔幅が小さくなるように傾斜する。このように蓋側孔523が構成されれば、押圧側凸部753にテーパー面754がなくても、基準中心位置からずれた容器支持部5を基準中心位置にセンタリングすることができる。
図10(A)に示すように、上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて、押圧側凸部753は、全体が蓋側孔523と重畳すると共に、テーパー面524に重畳するように容器支持部5が基準中心位置からずれていれば、押圧側凸部753が上下方向Vの上方側に移動する際、押圧側凸部753はテーパー面524に案内されて、容器支持部5は、基準中心位置にセンタリングされる。
【0069】
図10(B)に示すように、さらに、押圧側凸部753がテーパー面754を有し、蓋側孔523がテーパー面524を有するように構成すると、容器支持部5が基準中心位置から大きくずれていても容器支持部5は、基準中心位置にセンタリングされる。つまり、センタリング機能を発揮できるための基準中心位置からの容器支持部5のずれ量を大きくすることができる。上下方向Vの上方側から押圧側凸部753及び蓋側孔523を平面視した際、水平方向Hにおいて同じ側にある押圧側凸部753がテーパー面754と、蓋側孔523のテーパー面524が重畳していれば、容器支持部5は、基準中心位置にセンタリングされる。
【0070】
また、
図10(C)に示すように、蓋部520の蓋側孔523に相当する凹部230が境界壁23(筐体2)に設けられ、押圧部材75の押圧側凸部753に相当する蓋側凸部522が蓋部520(容器支持部5)の上面520Aに設けられてもよい。そして、蓋側凸部522は、テーパー面754に相当するテーパー面525を有する。容器支持部5が基準中心位置からずれていても、容器支持部5が押圧部材75に押し上げられて、テーパー面525が凹部230の開口231に接触すると、容器支持部5は、テーパー面525で基準中心位置に案内されてセンタリングされる。また、センタリング機構8として、蓋部520の蓋側孔523及び押圧部材75の押圧側凸部753、並びに、境界壁23の凹部230及び蓋部520の蓋側凸部522の双方が設けられてもよい。この場合、蓋側凸部522がセンタリング用凸部として機能し、凹部230がセンタリング用孔として機能する。さらに、凹部230に相当する環状凹面27と、蓋側凸部522に相当すると共に、テーパー面525に相当するテーパー面526(
図10(C)参照)を有するシール部材521とによりセンタリング機構8が構成されてもよい。つまり、シール機構がセンタリング機構8をも兼ねるように構成されてもよい。この場合、シール部材521がセンタリング用凸部として機能し、環状凹面27がセンタリング用孔として機能する。
【0071】
以上のように、センタリング機構8は、動力伝達部と容器支持部5の接触部分、及び/又は、容器支持部5と筐体2の接触部分に設けられる。例えば、容器支持部5が境界壁25の連通孔26(
図5参照)に接触した状態で容器支持部5の重量が重量測定部6で測定されると、連通孔26との接触により容器支持部5が連通孔26で支持されるため、容器支持部5、容器100、塩化カルシウム(無水)120及び測定対象物130の全重量が連通孔26及び重量測定部6に分散されてかかる。既に説明したように、基準中心位置では、下降して容器支持部5が重量測定部6の測定面60に載置された際、容器支持部5は周囲の筐体2及び動力伝達部等に接触しない状態で、重量測定部6により重量を測定可能な状態となっている。このため、センタリング機構8により容器支持部5を基準中心位置にセンタリングできれば、容器支持部5、容器100、塩化カルシウム(無水)120及び測定対象物130の全重量を重量測定部6で精度良く測定することが可能となる。
【0072】
<装置カバー>
図11に示すように、本発明の実施形態における透湿度測定装置1は、装置カバー200により全体が覆われていてもよい。この場合、重量測定部6の液晶パネル61を外部から視認可能なように、装置カバー200の一部に、透明な材料で構成された透明カバー210が設けられる。また、重量測定部6の操作部62を外部から操作可能なように、操作部62に対応する領域に、開口220が設けられる。
【0073】
<透湿度測定装置の動作>
まず、回動機構を回動させることにより、容器支持部5を最高点まで上昇させ、連通孔24を開閉部52で塞ぐ。これにより、恒温恒湿室20は、密封された状態になる。そして、湿度調整部3を動作させて、恒温恒湿室20内の湿度を90%にする。また、温度調整部4を動作させて、恒温恒湿室20内の温度を40度にする。この状態の恒温恒湿室20に、塩化カルシウム(無水)120及び測定対象物130を収容する容器100を収容する。
【0074】
そして、そのままの状態で所定時間経過した後に、回動機構を回動させることにより、容器支持部5を最下点まで下降させて、容器100が載置された状態の容器支持部5の重量を重量測定部6で測定する。これを所定時間間隔毎に行う。前回からの重量の増加が測定対象物130の水蒸気の透過量となる。所定時間間隔毎の水蒸気の透過量に基づいて測定対象物130の透湿度を求めることができる。なお、恒温恒湿室20の湿度が90%、温度が40度に保たれるように、制御部9は、湿度測定部36及び温度測定部43の測定結果を監視しつつ、湿度調整部3及び温度調整部4を動作させる。
【0075】
尚、本発明の透湿度測定装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【解決手段】本発明の透湿度測定装置は、恒温恒湿室及び連通孔を通じて前記恒温恒湿室に連通する補助室を内部に有する筐体と、前記恒温恒湿室の湿度及び温度を調整する調整部と、測定対象物を収容する容器が前記恒温恒湿室に位置するように前記容器を支持すると共に開閉部を有する容器支持部と、前記容器支持部を通じて前記測定対象物の重量を測定する重量測定部と、前記容器支持部と共に前記容器を上下方向に昇降させ、上昇時には前記容器支持部を前記重量測定部から離れさせると共に前記開閉部に前記連通孔を閉じさせ、下降時には前記容器支持部を前記重量測定部に載置させて重量測定可能な状態にすると共に、前記開閉部に前記連通孔を開放させる昇降機構とを備え、前記昇降機構は、前記補助室の内部から前記補助室の外部にまたがるように配置される。