特許第6942391号(P6942391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6942391
(24)【登録日】2021年9月10日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】決算対策支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20210916BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20210916BHJP
【FI】
   G06Q40/00 400
   G06Q40/08
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-130543(P2020-130543)
(22)【出願日】2020年7月31日
【審査請求日】2020年8月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開の事由 掲載年月日 令和2年6月1日 掲載アドレス https://tedorizo.com
(73)【特許権者】
【識別番号】518355700
【氏名又は名称】コンサルティングステーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100164013
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博文
【審査官】 太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3199367(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3167610(JP,U)
【文献】 特開2002−318920(JP,A)
【文献】 特許第6898982(JP,B1)
【文献】 特開2004−46363(JP,A)
【文献】 特開2003−337888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象法人の法人利益を損金によって圧縮するとともに、対象法人の役員である対象役員の手取額を、損金によって生じる対象法人の負担よりも増加させるように役員給与の振り分け額を決定することを支援する、決算対策支援システムであって、
決算前である現在の役員給与額、および決算後である改定後の役員給与額を取得する役員給与額取得手段と、
現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額を対象法人の損金の差額として算出する、損金算出手段と、
対象法人が負担する社会保険料を算出するために必要な第1定数を記憶する第1定数記憶手段から前記第1定数を読み出し、前記第1定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象法人が負担する社会保険料の差額を算出する、法人社会保険料算出手段と、
前記損金算出手段によって算出された対象法人の損金の差額、および前記法人社会保険料算出手段によって算出された対象法人が負担する社会保険料の差額に基づいて、損金によって生じる対象法人の現金での支出額を現金支出額として算出する現金支出算出手段と、
対象役員が負担する社会保険料を算出するために必要な第2定数を記憶する第2定数記憶手段から前記第2定数を読み出し、前記第2定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する社会保険料の差額を算出する、役員社会保険料算出手段と、
対象役員が負担する所得税および住民税を算出するために必要な第3定数を記憶する第3定数記憶手段から前記第3定数を読み出し、前記第3定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する所得税および住民税の差額を算出する、役員所得税等算出手段と、
前記損金算出手段によって対象法人の損金の差額として算出された役員給与額の差額、前記役員社会保険料算出手段によって算出された対象役員が負担する社会保険料の差額、および前記役員所得税等算出手段によって算出された対象役員の所得税および住民税の差額に基づいて、対象役員の手取額の差額を算出する、手取額算出手段と、
を備え、
前記現在の役員給与額は、現在の定期同額給与額、現在の事前確定届出給与額、および現在の見做し給与額を含み、
前記改定後の役員給与額は、改定後の定期同額給与額、改定後の事前確定届出給与額、および改定後の見做し給与額を含み、
前記改定後の定期同額給与額、および前記改定後の事前確定届出給与額は、前記現在の定期同額給与額から一部が前記改定後の事前確定届出給与額に振り分けられるように決定され、
前記改定後の見做し給与額は、決算前に見做し給与として支払いを開始する対象役員の生命保険の年払い保険料を含むように決定され、
さらに、前記現金支出算出手段によって算出された前記現金支出額、および前記手取額算出手段によって算出された対象役員の手取額の差額に基づいて、前記現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する単純返戻率算出手段と、
前記単純返戻率算出手段によって算出された前記単純返戻率を出力する単純返戻率出力手段と、を備える、
決算対策支援システム。
【請求項2】
決算前である現在の法人所得額、および改定後の法人所得額を取得する法人所得額取得手段と、
対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税を算出するために必要な第4定数を記憶する第4定数記憶手段から前記第4定数を読み出し、前記第4定数、現在の法人所得額、改定後の法人所得額、現在の損金額、および改定後の損金額に基づいて、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税の差額を算出する、法人税等算出手段と、
前記損金算出手段によって算出された対象法人の損金の差額、前記法人税等算出手段によって算出された法人税、住民税、および事業税の差額、および前記法人社会保険料算出手段によって算出された対象法人が負担する社会保険料の差額に基づいて、損金によって生じる対象法人の実質的な負担額を実質負担額として算出する実質負担算出手段と、
前記実質負担算出手段によって算出された前記実質負担額、および前記手取額算出手段によって算出された対象役員の手取額の差額に基づいて、前記実質負担額に対する対象役員の手取額の差額の比率である実質返戻率を算出する実質返戻率算出手段と、
前記実質返戻率算出手段によって算出された前記実質返戻率を出力する実質返戻率出力手段と、をさらに備える、
請求項1に記載の決算対策支援システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決算対策支援システムに関する。より詳細には、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入して法人利益を圧縮すること、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けて社会保険料の軽減を計り、見做し給与による役員の所得税等の増加分を吸収すること、などを複合的に組み合わせた決算対策の支援を行う、決算対策支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
節税とは「租税法の想定する範囲で税負担を軽減させる行為」と定義できる。法人税は、(益金−損金)で計算された法人所得に税率を乗じて課せられる。従って法人税の節税には、損金計上による法人所得の圧縮に重きが置かれてきた。
【0003】
しかしながら、事業の用に必要な支出や損失を、一定の要件で損金に算入する事を認めるのが税法の趣旨である。節税の為の不要な資産の購入や接待交際費を増大させることは、資金繰りの悪化に繋がり、経営を苦しめる本末転倒の結果を生みかねない。
【0004】
このため例えば、役員報酬、法人税、個人の税金および社会保険の額を最適化し、手取りを多くできる役員報酬を決定することを目的とした法人利益・役員給与計算書が提案されている(特許文献1参照)。また、税引後当期純利益を考慮しつつ、当期の申告分の法人の課税所得+αの利益を考慮して、来期の社長の報酬を決定することを目的とした適正報酬計算書も提案されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案公報第3167610号
【特許文献2】登録実用新案公報第3199367号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、平成18年4月から定期同額給与、事前確定届出給与制が導入されたが、それ以前は役員賞与の損金算入は認められず、役員給与で法人の利益調整が行われていた。このため、役員給与は決算期中に変更出来ないという一般認識が形成されていた。
【0007】
しかしながら、定期同額給与、事前確定届出給与制の導入後は、決算直前であっても「見做し給与」の契約形態の年払保険料は全額損金処理することが可能である。その法的根拠は、以下の通りである。
【0008】
役員給与の損金不算入(法人税法34条)
内国法人がその役員に対して支給する給与のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額はその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
1.その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(注1)
2.その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与
3.同族会社に該当しない内国法人がその業務執行役員に対して支給する利益連動給与
4.前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的利益を含むものとする
(注1)定期同額給与の範囲(法人税法施行令第69条)
1.当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
2.継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益が毎月おおむね一定であるもの
【0009】
債務の免除による利益その他の経済的利益(法人税基本通達9‐2‐9)
(12)「法人が役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約を締結してその保険料の額の全部又は一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額に相当する金額」
【0010】
継続的に供与される経済的利益の意義(法人税基本通達9‐2‐11)
(5)「9−2−9の(11)及び(12)に掲げる金額で経常的に負担するもの
【0011】
本発明の目的は、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することにより、法人利益を圧縮するようにし、決算後、定期同額給与を事前確定届出給与に振り向ける事で社会料保険料の軽減を計り、これによって見做し給与による役員の所得税等の増加を吸収するようにし、さらに、法人の現金支出に対して、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額の決定を支援することができる、決算対策支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の決算対策支援システムは、対象法人の法人利益を損金によって圧縮するとともに、対象法人の役員である対象役員の手取額を、損金によって生じる対象法人の負担よりも増加させるように役員給与の振り分け額を決定することを支援する、決算対策支援システムであって、
決算前である現在の役員給与額、および決算後である改定後の役員給与額を取得する役員給与額取得手段と、
現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額を対象法人の損金の差額として算出する、損金算出手段と、
対象法人が負担する社会保険料を算出するために必要な第1定数を記憶する第1定数記憶手段から前記第1定数を読み出し、前記第1定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象法人が負担する社会保険料の差額を算出する、法人社会保険料算出手段と、
前記損金算出手段によって算出された対象法人の損金の差額、および前記法人社会保険料算出手段によって算出された対象法人が負担する社会保険料の差額に基づいて、損金によって生じる対象法人の現金での支出額を現金支出額として算出する現金支出算出手段と、
対象役員が負担する社会保険料を算出するために必要な第2定数を記憶する第2定数記憶手段から前記第2定数を読み出し、前記第2定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する社会保険料の差額を算出する、役員社会保険料算出手段と、
対象役員が負担する所得税および住民税を算出するために必要な第3定数を記憶する第3定数記憶手段から前記第3定数を読み出し、前記第3定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する所得税および住民税の差額を算出する、役員所得税等算出手段と、
前記損金算出手段によって対象法人の損金の差額として算出された役員給与額の差額、前記役員社会保険料算出手段によって算出された対象役員が負担する社会保険料の差額、および前記役員所得税等算出手段によって算出された対象役員の所得税および住民税の差額に基づいて、対象役員の手取額の差額を算出する、手取額算出手段と、
を備え、
前記現在の役員給与額は、現在の定期同額給与額、現在の事前確定届出給与額、および現在の見做し給与額を含み、
前記改定後の役員給与額は、改定後の定期同額給与額、改定後の事前確定届出給与額、および改定後の見做し給与額を含み、
前記改定後の定期同額給与額、および前記改定後の事前確定届出給与額は、前記現在の定期同額給与額から一部が前記改定後の事前確定届出給与額に振り分けられるように決定され、
前記改定後の見做し給与額は、決算前に見做し給与として支払いを開始する対象役員の生命保険の年払い保険料を含むように決定され、
さらに、前記現金支出算出手段によって算出された前記現金支出額、および前記手取額算出手段によって算出された対象役員の手取額の差額に基づいて、前記現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する単純返戻率算出手段と、
前記単純返戻率算出手段によって算出された前記単純返戻率を出力する単純返戻率出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の決算対策支援システムによれば、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することにより、法人利益を圧縮するようにし、決算後、定期同額給与を事前確定届出給与に振り向ける事で社会料保険料の軽減を計り、これによって見做し給与による役員の所得税等の増加を吸収するようにし、さらに、法人の現金支出に対して、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額の決定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、決算対策支援装置のハードウェア構成を示す図である。
図2図2は、決算対策支援シミュレーション処理を示すフローチャートである。
図3図3は、ユーザインターフェースの画面である。
図4図4は、ユーザインターフェースの画面である。
図5図5は、決算対策支援シミュレーション結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態にかかる決算対策支援システムは、対象法人の法人利益を損金によって圧縮するとともに、対象法人の役員である対象役員の手取額を、損金によって生じる対象法人の負担よりも増加させるように役員給与の振り分け額を決定することを支援する、決算対策支援システムであって、
決算前である現在の役員給与額、および決算後である改定後の役員給与額を取得する役員給与額取得手段と、
現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額を対象法人の損金の差額として算出する、損金算出手段と、
対象法人が負担する社会保険料を算出するために必要な第1定数を記憶する第1定数記憶手段から前記第1定数を読み出し、前記第1定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象法人が負担する社会保険料の差額を算出する、法人社会保険料算出手段と、
前記損金算出手段によって算出された対象法人の損金の差額、および前記法人社会保険料算出手段によって算出された対象法人が負担する社会保険料の差額に基づいて、損金によって生じる対象法人の現金での支出額を現金支出額として算出する現金支出算出手段と、
対象役員が負担する社会保険料を算出するために必要な第2定数を記憶する第2定数記憶手段から前記第2定数を読み出し、前記第2定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する社会保険料の差額を算出する、役員社会保険料算出手段と、
対象役員が負担する所得税および住民税を算出するために必要な第3定数を記憶する第3定数記憶手段から前記第3定数を読み出し、前記第3定数、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する所得税および住民税の差額を算出する、役員所得税等算出手段と、
前記損金算出手段によって対象法人の損金の差額として算出された役員給与額の差額、前記役員社会保険料算出手段によって算出された対象役員が負担する社会保険料の差額、および前記役員所得税等算出手段によって算出された対象役員の所得税および住民税の差額に基づいて、対象役員の手取額の差額を算出する、手取額算出手段と、
を備え、
前記現在の役員給与額は、現在の定期同額給与額、現在の事前確定届出給与額、および現在の見做し給与額を含み、
前記改定後の役員給与額は、改定後の定期同額給与額、改定後の事前確定届出給与額、および改定後の見做し給与額を含み、
前記改定後の定期同額給与額、および前記改定後の事前確定届出給与額は、前記現在の定期同額給与額から一部が前記改定後の事前確定届出給与額に振り分けられるように決定され、
前記改定後の見做し給与額は、決算前に見做し給与として支払いを開始する対象役員の生命保険の年払い保険料を含むように決定され、
さらに、前記現金支出算出手段によって算出された前記現金支出額、および前記手取額算出手段によって算出された対象役員の手取額の差額に基づいて、前記現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する単純返戻率算出手段と、
前記単純返戻率算出手段によって算出された前記単純返戻率を出力する単純返戻率出力手段と、を備える決算対策支援システムである(第1の構成)。
【0016】
上記構成によれば、単純返戻率算出手段は、対象法人の現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する。このため、単純返戻率が100%以上となるように、生命保険の年払い保険料、および定期同額給与から事前確定届出給与に振り向ける金額を決定することができる。これにより、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することで法人利益を圧縮するようにし、決算後、定期同額給与を事前確定届出給与に振り向ける事で社会料保険料の軽減を計って見做し給与による役員の所得税等の増加を吸収するようにし、さらに、法人の現金支出に対して、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額の決定を支援することができる。
【0017】
上記第1の構成において、
決算前である現在の法人所得額、および改定後の法人所得額を取得する法人所得額取得手段と、
対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税を算出するために必要な第4定数を記憶する第4定数記憶手段から前記第4定数を読み出し、前記第4定数、現在の法人所得額、改定後の法人所得額、現在の損金額、および改定後の損金額に基づいて、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税の差額を算出する、法人税等算出手段と、
前記損金算出手段によって算出された対象法人の損金の差額、前記法人税等算出手段によって算出された法人税、住民税、および事業税の差額、および前記法人社会保険料算出手段によって算出された対象法人が負担する社会保険料の差額に基づいて、損金によって生じる対象法人の実質的な負担額を実質負担額として算出する実質負担算出手段と、
前記実質負担算出手段によって算出された前記実質負担額、および前記手取額算出手段によって算出された対象役員の手取額の差額に基づいて、前記実質負担額に対する対象役員の手取額の差額の比率である実質返戻率を算出する実質返戻率算出手段と、
前記実質返戻率算出手段によって算出された前記実質返戻率を出力する実質返戻率出力手段と、をさらに備えてもよい(第2の構成)。
【0018】
上記構成によれば、実質返戻率算出手段は、対象法人の実質負担額に対する対象役員の手取額の差額の比率である実質返戻率を算出する。このため、単純返戻率に加え、実質返戻率に基づいて、生命保険の年払い保険料、および定期同額給与から事前確定届出給与に振り向ける金額を適切に決定することができる。
【0019】
ここで、役員給与額取得手段は、例えば、キーボード等の操作部から現在および改定後の役員給与額を入力してもよく、外部の端末等から現在および改定後の役員給与額を獲得又は受信してもよい。また、記憶装置や記憶媒体等から現在および改定後の役員給与額を読み出してもよく、情報処理等により現在および改定後の役員給与額を生成または算出してもよい。したがって、取得には、少なくとも入力、獲得、受信、読出、生成および算出が含まれる。以下、取得の概念については同じである。
【0020】
単純返戻率出力手段は、例えば、表示、印刷、音声出力、記憶装置や記憶媒体等への書き出し、外部の端末等への送信、その他の方法により単純返戻率を出力することができる。したがって、出力には、少なくとも表示、印刷、音声出力、書き出し、および送信が含まれる。以下、出力の概念については同じである。
【0021】
第1定数記憶手段は、第1定数をあらゆる手段、かつあらゆる時期に記憶するものである。第1定数は、予め記憶されてもよく、第1定数を予め記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって第1定数を記憶してもよい。他の定数記憶手段についても同様である。
【0022】
本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現させてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現させてもよい。
【0023】
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る決算対策支援装置100について詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0024】
図1は、決算対策支援装置100のハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、決算対策支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)20、RAM(Random Access Memory)30、およびI/F(Inter Face)40を備えている。CPU10は、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御する。ROM20は、所定領域に予めCPU10の制御プログラム等を格納している。RAM30は、ROM20等から読み出したデータやCPU10の演算過程で必要な演算結果を格納する。I/F40は、外部装置に対してデータの入出力を媒介する。これらは、データを転送するための信号線であるバス50によって接続されている。
【0025】
I/F40には、外部装置として、操作部60、記憶部70、および表示部80が接続されている。操作部60は、データの入力が可能なキーボードやマウス等である。記憶部70は、データやテーブル等をファイルとして格納している。記憶部70には、法人や役員の社会保険料を算出するために必要な各種の保険料率、法人税・住民税・事業税等の税額を算出するための各種の税率、役員の所得税・住民税を算出するための各種の税率が格納されている。表示部80は、画像信号に基づいてユーザインターフェースの画面を表示する。
【0026】
次に、本実施の形態の動作を説明する。図2は、決算対策支援シミュレーション処理を示すフローチャートである。図3および図4は、ユーザインターフェースの画面である。
【0027】
ユーザは、図3のテキストボックス300に対象法人の法人所得額を入力し、テキストボックス302に対象役員の役員給与額を入力する。法人所得額および役員給与額は、それぞれ現在(現状)の金額と、改定後(見直し後)の金額に分けて入力する。現在(現状)の時点は、直近の決算前の時点とし、改定後(見直し後)の時点は、直近の決算後の時点とする。
【0028】
図3では、テキストボックス300には、現在の法人所得額、および改定後の法人所得額としてそれぞれ同額の50,000,000円を入力している。
【0029】
テキストボックス302に入力する対象役員の現在の役員給与額、および改定後の役員給与額は、それぞれ定期同額給与額、事前確定届出給与額、および見做し給与額に分けて入力する。
【0030】
ここで、改定後の見做し給与額は、決算前に見做し給与として支払いを開始する対象役員の生命保険の年払い保険料を含むように決定される。図3では、現在の見做し給与額として年額0円を入力しているが、改定後は、見做し給与額として生命保険の年払い保険料である年額2,500,000円を入力している。
【0031】
このように、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することにより、法人利益を圧縮することが可能となる。
【0032】
また、改定後の定期同額給与額、および改定後の事前確定届出給与額については、現在の定期同額給与額の一部を改定後の事前確定届出給与額に振り分けるように決定する。このように、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けることで、社会保険料の軽減を計ることができ、見做し給与による役員の所得税等の増加分を吸収することができる。
【0033】
図3では、現在の定期同額給与額は月額1,000,000円であるが、そのうち月額900,000円(年額10,800,000円)を改定後の事前確定届出給与に振り分けて、改定後の定期同額給与額を月額100,000円に変更している。その結果、現在の事前確定届出給与額は0円であるが、改定後の事前確定届出給与額は、定期同額給与から振り分けられた年額10,800,000円としている。
【0034】
決算対策支援シミュレーション処理は、CPU10において実行されると、図2に示すように、まず、ステップS100に移行する。
【0035】
ステップS100では、テキストボックス300に入力された現在の法人所得額、および改定後の法人所得額を取得する。
【0036】
ステップS102では、テキストボックス302に入力された現在の役員給与額、および改定後の役員給与額を取得する。
【0037】
ステップS104では、テキストボックス302に入力された現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額を対象法人の損金の差額として算出する。算出された対象法人の損金の差額は、表示欄400に表示される。
【0038】
図3では、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)は、決算前に見做し給与として導入された生命保険の年払い保険料分である2,500,000円となっている。
【0039】
ステップS106では、対象法人が負担する社会保険料を算出するために必要な保険料率を記憶部70から読み出し、読み出した保険料率、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象法人が負担する現在および改定後の社会保険料が算出される。そして、算出された現在および改定後の社会保険料に基づいて、その差額が算出される。算出された現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく社会保険料の差額は、表示欄402に表示される。
【0040】
図3では、現在の役員給与額に基づく現在の社会保険料は、年額1,384,596円と算出され、改定後の役員給与額に基づく改定後の社会保険料は、年額795,437円と算出され、現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく社会保険料の差額は、年額589,160円(減少)と算出される(表示欄402)。
【0041】
このように、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けることで、対象法人が負担する社会保険料の軽減を計ることができる。
【0042】
ステップS108では、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)(表示欄400)、および、対象法人が負担する社会保険料の差額(表示欄402)に基づいて、損金によって生じる対象法人の現金での支出額を現金支出額として算出する。算出された対象法人の現金での支出額は、表示欄404および図4の表示欄504に表示される。
【0043】
図3では、対象法人の現金での支出額は、年額1,910,841円(表示欄404)と算出されている。これは、表示欄400に表示された、対象法人の損金の差額である2,500,000円から、表示欄402に表示された、社会保険料の差額である年額589,160円を差し引いた金額である。
【0044】
同様に、図4においても、対象法人の現金での支出額(現金支出)は、年額1,910,841円と算出されている。これは、表示欄500に表示された、対象法人の損金の差額(見做し給与)である2,500,000円から、表示欄502に表示された、社会保険料の差額である年額589,160円を差し引いた金額である。
【0045】
このように、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けることで、対象法人が負担する社会保険料が軽減されるため、対象法人の現金での支出額を、対象法人の損金の差額である2,500,000円よりも少なくすることができる。
【0046】
ステップS110では、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税を算出するために必要な税率を記憶部70から読み出し、読み出した税率、現在の法人所得額、改定後の法人所得額、現在の損金額、および改定後の損金額に基づいて、対象法人が負担する現在および改定後の法人税、住民税、および事業税が算出される。そして、算出された現在および改定後の法人税、住民税、および事業税に基づいて、その差額が算出される。算出された現在および改定後の法人税、住民税、および事業税の差額は、表示欄406に表示される。
【0047】
図3では、現在の法人税、住民税、および事業税は、年額11,751,114円と算出され、改定後の法人税、住民税、および事業税は、年額11,109,263円と算出され、現在および改定後の法人税、住民税、および事業税の差額は、年額641,851円(減少)と算出される(表示欄406)。
【0048】
このように決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することにより、法人利益を圧縮し、法人税、住民税、および事業税を減少させることができる。
【0049】
ステップS112では、対象役員が負担する社会保険料を算出するために必要な保険料率を記憶部70から読み出し、読み出した保険料率、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する現在および改定後の社会保険料が算出される。そして、算出された現在および改定後の社会保険料に基づいて、その差額が算出される。算出された現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく社会保険料の差額は、表示欄408に表示される。
【0050】
図3では、現在の役員給与額に基づく現在の社会保険料は、年額1,384,596円と算出され、改定後の役員給与額に基づく改定後の社会保険料は、年額795,425円と算出され、現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく社会保険料の差額は、年額589,172円(減少)と算出される(表示欄408)。
【0051】
このように、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けることで、対象役員が負担する社会保険料の軽減を計ることができる。
【0052】
ステップS114では、対象役員が負担する所得税および住民税を算出するために必要な税率を記憶部70から読み出し、読み出した税率、現在の役員給与額、および改定後の役員給与額に基づいて、対象役員が負担する現在および改定後の所得税および住民税が算出される。そして、算出された現在および改定後の所得税および住民税に基づいて、その差額が算出される。算出された現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく所得税および住民税の差額は、表示欄410に表示される。
【0053】
図3では、現在の役員給与額に基づく現在の所得税および住民税は、年額1,787,983円と算出され、改定後の役員給与額に基づく改定後の所得税および住民税は、年額2,950,867円と算出され、現在の役員給与額および改定後の役員給与額に基づく所得税および住民税の差額は、年額1,162,884円(増加)と算出される(表示欄410)。
【0054】
このように、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することで対象役員の役員給与額が増加することにより、対象役員が負担する所得税および住民税については増加することとなる。
【0055】
ステップS116では、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)(表示欄400)、対象役員が負担する社会保険料の差額(表示欄408)、および対象役員の所得税および住民税の差額(表示欄410)に基づいて、対象役員の手取額の差額が算出される。算出された対象役員の手取額の差額は、表示欄412に表示される。
【0056】
図3では、対象役員の手取額の差額は、年額1,926,287円と算出されている(表示欄412)。これは、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)である2,500,000円(表示欄400)に、対象役員が負担する社会保険料の差額(減少分)である年額589,172円(表示欄408)を加えるとともに、対象役員の所得税および住民税の差額(増加分)である年額1,162,884円(表示欄410)を差し引いた金額である。
【0057】
同様に、図4においても、対象役員の手取額の差額は、年額1,926,287円と算出されている(表示欄516)。これは、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)である2,500,000円(表示欄510)に、対象役員が負担する社会保険料の差額(減少分)である年額589,172円(表示欄512)を加えるとともに、対象役員の所得税および住民税の差額(増加分)である年額1,162,884円(表示欄514)を差し引いた金額である。
【0058】
なお、対象役員の手取額の差額を算出する際に用いる、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)は、現物支給の保険解約の解約金を1年当たりに按分している。
【0059】
このため、導入する生命保険契約は、解約時単純返戻率が100%以上となる積み立て型の商品を選択する。具体的には終身保険・逓増定期保健・外貨建終身保険・年金保険などが考えられる。保険商品の選択については、例えば、役員の退職予定年齢の返戻率が100%を超える事を条件に選択する。
【0060】
通常、法人保険は返戻率に応じて損金算入できる割合が法人税基本通達で決められているが見做し給与の契約形態ではその通達の影響を受けず全額が定期同額給与として損金算入できる。従って仮に返戻率が120%となる様な外貨建て終身保険も全額損金として法人の利益圧縮に貢献する。但し役員の所得税等が膨らむので社会保険料軽減策と抱き合わせる事で役員の資産形成に資するものとなる。
【0061】
ステップS118では、現在の役員給与額と改定後の役員給与額との差額(対象法人の損金の差額)(表示欄400)、対象法人が負担する現在および改定後の法人税、住民税、および事業税の差額(表示欄406)、および、対象法人が負担する社会保険料の差額(表示欄402)に基づいて、損金によって生じる対象法人の実質的な負担額を実質負担額として算出する。算出された対象法人の実質的な負担額は、図4の表示欄508に表示される。
【0062】
図4では、対象法人の実質的な負担額(実質支出)は、年額1,268,989円(表示欄508)と算出されている。これは、対象法人の現金での支出額である年額1,910,841円(表示欄504、図3の表示欄404)から、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税の差額である年額641,851円(表示欄506、図3の表示欄406)を差し引いた金額である。
【0063】
ステップS120では、対象法人の現金での支出額(図3の表示欄404、図4の表示欄504)、および対象役員の手取額の差額(図3の表示欄412、図4の表示欄516)に基づいて、現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率が算出される。算出された単純返戻率は、図4の表示欄520に表示される。
【0064】
図4では、単純返戻率は、100.8%と算出されている(表示欄520)。これは、対象法人の現金での支出額である年額1,910,841円(表示欄504)と、対象役員の手取額の差額である年額1,926,287円(表示欄516)とによって算出される値である。
【0065】
このように、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入して法人利益を圧縮すること、決算後に定期同額給与を事前確定届出給与に振り向けて社会保険料の軽減を計り、見做し給与による役員の所得税等の増加分を吸収すること、などを複合的に組み合わせることにより、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額を決定することが可能となる。
【0066】
ステップS122では、対象法人の実質的な負担額(図4の表示欄508)、および対象役員の手取額の差額(図3の表示欄412、図4の表示欄516)に基づいて、実質負担額に対する対象役員の手取額の差額の比率である実質返戻率が算出される。算出された実質返戻率は、図4の表示欄522に表示される。
【0067】
図4では、実質返戻率は、151.8%と算出されている(表示欄522)。これは、対象法人の実施的な負担額である年額1,268,989円(表示欄508)と、対象役員の手取額の差額である年額1,926,287円(表示欄516)とによって算出される値である。
【0068】
このように、実質返戻率が算出されることにより、単純返戻率に加え、実質返戻率に基づいて、生命保険の年払い保険料、および定期同額給与から事前確定届出給与に振り向ける金額を適切に決定することが可能となる。
【0069】
図5は、決算対策支援シミュレーション結果を説明する図である。図5aは、対象法人の損金の差額(見做し給与)、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税の差額(節税額)、対象法人が負担する社会保険料の差額(社保軽減額)、対象法人の現金での支出額(現金支出)、および対象法人の実質的な負担額(実質負担)の関係を示している。
【0070】
図5bは、役員給与額の差額(見做し給与)、対象役員の所得税および住民税の差額(所得税)、対象役員が負担する社会保険料の差額(社保軽減額)、および対象役員の手取額の差額(手取額)の関係を示している。
【0071】
図5aでは、対象法人の損金の差額(見做し給与)は、年額2,500,000円であるが、対象法人が負担する法人税、住民税、および事業税の差額(節税額)が年額641,851円、対象法人が負担する社会保険料の差額(社保軽減額)が年額589,160円であるため、対象法人の現金での支出額(現金支出)は、見做し給与額より少ない年額1,910,841円となり、対象法人の実質的な負担額(実質負担)は、現金支出よりさらに少ない年額1,268,989円となることを示している。
【0072】
また図5bでは、役員給与額の差額(見做し給与)は、年額2,500,000円であるが、対象役員の所得税および住民税の差額(所得税)が年額1,162,884円、対象役員が負担する社会保険料の差額(社保軽減額)が年額589,172円であるため、対象役員の可処分所得は、役員給与額の差額(見做し給与)から年額573,713円減少するものの、対象役員の手取額の差額(手取額の増加分)は年額1,926,287円となることを示している。
【0073】
なお、本実施形態において、記憶部70は、第1定数記憶手段、第2定数記憶手段、および第3定数記憶手段に対応する。ステップS100は、法人所得額取得手段に対応し、ステップS102は、役員給与額取得手段に対応し、ステップS104は、損金算出手段に対応し、ステップS106は、法人社会保険料算出手段に対応し、ステップS108は、現金支出算出手段に対応し、ステップS110は、法人税等算出手段に対応し、ステップS112は、役員社会保険料算出手段に対応し、ステップS114は、役員所得税等算出手段に対応し、ステップS116は、手取額算出手段に対応し、ステップS118は、実質負担算出手段に対応し、ステップS120は、単純返戻率算出手段および単純返戻率出力手段に対応し、ステップS122は、実質返戻率算出手段および実質返戻率出力手段に対応する。
【0074】
以上説明した本発明に係る実施形態によれば、入力された現在および改定後の法人所得額、役員給与額に基づいて、対象法人の現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する。このため、単純返戻率が100%以上となるように、生命保険の年払い保険料、および定期同額給与から事前確定届出給与に振り向ける金額を決定することができる。これにより、決算前に見做し給与での生命保険契約を導入することで法人利益を圧縮するようにし、決算後、定期同額給与を事前確定届出給与に振り向ける事で社会料保険料の軽減を計って見做し給与による役員の所得税等の増加を吸収するようにし、さらに、法人の現金支出に対して、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額の決定を支援することができる。
【0075】
また、対象法人の実質負担額に対する対象役員の手取額の差額の比率である実質返戻率を算出することにより、単純返戻率に加え、実質返戻率に基づいて、生命保険の年払い保険料、および定期同額給与から事前確定届出給与に振り向ける金額を適切に決定することができる。
【0076】
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、単一の装置である決算対策支援装置100として実現したが、これに限らず、ネットワークシステムとして実現することもできる。
【0078】
また、上記実施形態では、定数その他の情報を記憶部70に記憶したが、これに限らず、RAM30その他の記憶手段に記憶してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、図2のフローチャートに示す処理を実行するにあたって、ROM20に予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM30に読み込んで実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、決算対策の支援を行うための決算対策支援システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
100 決算対策支援装置
10 CPU
20 ROM
30 RAM
40 I/F
50 バス
60 操作部
70 記憶部
80 表示部

【要約】      (修正有)
【課題】決算前に見做し給与での生命保険契約を導入して、法人利益を圧縮し、決算後、定期同額給与を事前確定届出給与に振り向ける事で社会料保険料の軽減を計り、さらに、法人の現金支出に対して、将来の役員の手取額が100%以上となるように、見做し給与の保険料額の決定を支援する決算対策支援システムを提供する。
【解決手段】決算対策支援システムにおいて、決算対策支援シミュレーション処理は、改定後の定期同額給与額および改定後の事前確定届出給与額を、現在の定期同額給与額から一部が改定後の事前確定届出給与額に振り分けられるように決定し、改定後の見做し給与額を、決算前に見做し給与として支払いを開始する対象役員の生命保険の年払い保険料を含むように決定し、現金支出額および対象役員の手取額の差額に基づいて、現金支出額に対する対象役員の手取額の差額の比率である単純返戻率を算出する単純返戻率算出手段を、備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5