特許第6942470号(P6942470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942470
(24)【登録日】2021年9月10日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】改修戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20210916BHJP
   E05C 1/06 20060101ALI20210916BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   E06B1/56 A
   E05C1/06 C
   E05B15/02 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-4100(P2017-4100)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-112017(P2018-112017A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年7月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】竹田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】舟瀬 達夫
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−047106(JP,A)
【文献】 実開昭62−038380(JP,U)
【文献】 特開平07−189546(JP,A)
【文献】 実開平05−049975(JP,U)
【文献】 実公昭48−045232(JP,Y1)
【文献】 特開2000−310066(JP,A)
【文献】 特開2003−027804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00−1/70
E05C 1/02
E05C 1/06
E05B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存枠の内周側に設置するものであって、改修下枠と、フランス落とし受けを備え、フランス落とし受けは、改修下枠の見込面から下側に突出する凹部と、凹部の室内側及び室外側において各々改修下枠の見込面から上側に突出する凸部と、凹部の左側及び右側に各々設けたねじ止め部を有しており、フランス落とし受けの上端が、戸の下端よりも下側に位置しており、フランス落とし受けの下端が、その下側に位置し、既存下枠の上面又は玄関ポーチ面の上側に位置することを特徴とする改修戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存枠の内周側に設置するリフォーム用の改修戸に関する。
【背景技術】
【0002】
リフォーム用の玄関ドアにおいては、既存枠の内周側に改修枠を設置し、改修枠に新たなドアを取り付ける。特に親子ドアの場合には、非特許文献1及び図7に示すように、子ドア4bの下端部にフランス落とし3を備えており、改修下枠1の対応する位置にフランス落とし受け200が設けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「リフォーム玄関ドアラフォースR2施工要領書(HW1395B)」、三協立山アルミ株式会社、2010年11月、p.19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフランス落とし受け200は、平板状の基板部201と、基板部201から下側に大きく突出する凹部202のみを有する形状であり、改修下枠1の下側に位置する、既存下枠5や玄関ポーチ面6に干渉する場合があった。この場合、既存下枠5や玄関ポーチ面6に逃げ加工を施す必要があり(非特許文献1は既存下枠に逃げ加工を施した場合、図7は玄関ポーチ面6に逃げ加工Pを施した場合を示す)、施工に手間がかかる点が問題であった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、フランス落とし受けが既存下枠や玄関ポーチ面に干渉することのない改修戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、既存枠の内周側に設置するものであって、改修下枠と、フランス落とし受けを備え、フランス落とし受けは、改修下枠の見込面から下側に突出する凹部と、凹部の室内側及び室外側において各々改修下枠の見込面から上側に突出する凸部と、凹部の左側及び右側に各々設けたねじ止め部を有しており、フランス落とし受けの上端が、戸の下端よりも下側に位置しており、フランス落とし受けの下端が、その下側に位置し、既存下枠の上面又は玄関ポーチ面の上側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フランス落とし受けが改修下枠の見込面から上側と下側に突出する形状であり、従来と同等の係り寸法を確保したものでありながら、上側の戸及び下側の既存下枠又は玄関ポーチ面と干渉することがなく、逃げ加工が不要であり、施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】改修戸の第一実施形態(フランス落とし受けの下側に玄関ポーチ面が位置する場合)の下端部の縦断面図である。
図2】第一実施形態のフランス落とし受けの三面図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が側面図である。
図3】改修戸の縦断面図である。
図4】改修戸の横断面図である。
図5】改修戸の第一実施形態(フランス落とし受けの下側に既存下枠が位置する場合)の下端部の縦断面図である。
図6】改修戸の第二実施形態の下端部の縦断面図である。
図7】従来の改修戸の下端部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この改修戸の第一実施形態は、リフォーム用の玄関ドアとして用いられるものであり、既存のドアを取り外して残った既存枠の内周側に取り付けられるものである。なお、以下において、左右とは、改修戸を室内側から見た場合の左右(図4における左右)を示すものとする。
【0010】
図3及び図4に示すように、既存枠50は、既存下枠5と、既存上枠501と、左右の既存縦枠502を四周組んだものであり、躯体開口部の内周側に取り付けてある。特に、既存下枠5は、図1に示すように、室外側に向けて下方に傾斜する傾斜面51と、傾斜面51の室外側端部から下側に向けて延びる室外側垂直面52と、傾斜面51の室内側端部から上側に向けて延びる室内側垂直面53を備え、室内側垂直面53の上端の室外側面に、タイト材ホルダ54を形成してある。このタイト材ホルダ54は、既存のドアに当接するタイト材を取り付けるためのものであるが、改修戸を取り付けるに際して、タイト材は取り外してある。また、既存下枠5の室外側垂直面52の前側が、玄関ポーチ面6となっている。
【0011】
そして、この既存枠50の内周側に、本発明の改修戸を取り付けてある。改修戸は、改修枠10と、戸(親ドア4aと子ドア4b)を備えている。
【0012】
改修枠10は、改修下枠1と、改修上枠101と、左右の改修縦枠102を四周組んだものであり、改修下枠1を、既存下枠5を貫通して躯体にネジ止めしてあり、改修上枠101を、既存上枠501を貫通して躯体にネジ止めしてあり、左右の改修縦枠102を、既存縦枠502を貫通して躯体にネジ止めしてある。特に、改修下枠1は、水平向きに延びる見込面11と、見込面11の室外側端部の下面に設けた断面逆T字形の支持部12と、見込面11の室内側端部の上側に設けた断面H字形の室内側段部13を備え、室内側段部13の室外側面に、タイト材ホルダ14を形成してある。このタイト材ホルダ14には、親ドア4a及び子ドア4bが当接するタイト材15を取り付けてある。また、室内側段部13の上面には、くつずり16を取り付けてある。このように形成した改修下枠1は、室内側段部13を既存下枠5の傾斜面51に載置し、室内側段部13の室内側面を既存下枠5のタイト材ホルダ54に当接させてあり、見込面11が既存下枠5と玄関ポーチ面6に跨っていて、支持部12と玄関ポーチ面6の間にスペーサ17を挟み込んで取り付けてある。
【0013】
改修枠10の内周側には、親ドア4aと子ドア4bを開閉自在に取り付けてある。図4に示すように、左側に親ドア4a、右側に子ドア4bが位置しており、それぞれ外開きの向きで左右の改修縦枠102に丁番41を介して取り付けてある。そして、図3に示すように、子ドア4bの内部の下部と上部には、それぞれフランス落とし3,3aを設けてある。フランス落とし3,3aは、上下動可能な丸棒状のものであって、子ドア4bの戸先側面に設けたつまみ(図示省略)を動かすことで、それぞれ子ドア4bの下面又は上面から突没させることができる。
【0014】
そして、改修枠10の、上下のフランス落とし3,3aに対向する位置には、フランス落とし受け2,2aを取り付けてある。このうち、下側のフランス落とし受け2は、図1及び図2に示すように、左右に長い長方形平板状の基板部21と、基板部21中央に形成した、基板部21から下側に突出する凹部22と、凹部22の室外側縁部及び室内側縁部に形成した、基板部21から上側に突出する凸部23と、凹部22の左右に形成したネジ孔24を備える。凹部22は、上面視して左右に長い長円形状であって、平板を下側に押し出して垂直な内周壁面及び底面を有する穴状に形成したものである。また、凸部23は、凹部22側の面が垂直であって、凹部22の内周壁面と連続しており、凹部22の反対側の面(外周側面)が外周側に向けて下方に傾斜している。なお、凸部23の高さは、凹部22の深さの1/2程度であり、凹部22と凸部23を合わせたフランス落とし受け2全体の高さは、図7に示す従来のフランス落とし受け200の高さと同じである。このように形成した下側のフランス落とし受け2を、改修下枠1の、フランス落とし3に対向する位置に取り付けてある。改修下枠1の見込面11には、取付位置に長方形の孔を形成してあり、この孔に上側からフランス落とし受け2の凹部22を嵌め込み、孔の縁部にフランス落とし受け2の基板部21を当接させ、ネジ孔24にネジを通して改修下枠1にネジ止めしてある。これにより、フランス落とし受け2は、凸部23が改修下枠1の見込面11から上側に突出し、凹部22が改修下枠1の見込面11から下側に突出する。そして、フランス落とし受け2の凸部23の上端は、子ドア4bの下端よりも下側に位置している。よって、フランス落とし受け2と子ドア4bの間には隙間が形成されるので、フランス落とし受け2が子ドア4bの開閉を妨げることはない。また、フランス落とし受け2の凹部22の下端は、その下側に位置する、玄関ポーチ面6の上側に位置している。よって、フランス落とし受け2が玄関ポーチ面6に干渉しない。なお、図7に示す従来のフランス落とし受け200と比較して、凹部22が浅くなり底面の高さ位置が高くなった分、子ドア4bのフランス落とし3の位置も高くしてある。また、上側のフランス落とし受け2aは、平板状の基板部21aと、基板部21a中央に形成した、基板部21aから上側に突出する凹部22aを備えており、改修上枠101の見込面に形成した孔に凹部22aを嵌め込んで、基板部21aを改修上枠101にネジ止めしてある。
【0015】
このように構成した本発明の第一実施形態によれば、フランス落とし受け2の凹部22が改修下枠1の見込面11から下側に突出するとともに、凸部23が上側に突出する形状であり、凹部22の内周壁面と凸部23の凹部22側の面が連続しているから、凹部22の深さと凸部23の高さを合わせた長さがフランス落とし3の係り寸法となる。よって、図7に示すような、凹部のみを有する従来のフランス落とし受け200と比較して、凹部22を浅くしても、凸部23があるので、従来品と同等の係り寸法を確保できる。そして、凸部23は子ドア4bと干渉しない高さとなっており、さらに、凹部22を浅くすることで、改修下枠1の下側の玄関ポーチ面6との干渉を回避して、逃げ加工が不要となるので、施工が容易である。なお、凸部23は、凹部22の室外側縁部及び室内側縁部のみに形成してあるが、フランス落とし3を係止するには、子ドア4bの開閉方向、すなわち室外側と室内側に設けてあれば十分である。
【0016】
なお、図5に示すように、既存下枠5の形状などによっては、フランス落とし受け2の下側に既存下枠5の傾斜面51が位置する場合もある。その際には、フランス落とし受け2の凹部22の下端が、既存下枠5の傾斜面51の上面の上側に位置する形状となる。
【0017】
また、図6に示すのは、本発明の改修戸の第二実施形態である。第一実施形態と異なるのは、下側のフランス落とし受け2の形状のみである。より詳しくは、第一実施形態のフランス落とし受け2と比較して、凹部22が深く、凸部23が低くなっており、凸部23の高さは、凹部22の深さの1/4程度であるが、凹部22と凸部23を合わせたフランス落とし受け2全体の高さは、第一実施形態及び図7に示す従来のフランス落とし受け200と同じである。そして、第一実施形態と同様に、フランス落とし受け2の凸部23の上端は、子ドア4bの下端よりも下側に位置しており、フランス落とし受け2の凹部22の下端は、その下側に位置する、玄関ポーチ面6の上側に位置している。改修下枠1の見込面11と、その下側の玄関ポーチ面6などとの間の間隔に余裕がある場合には、この第二実施形態のように、玄関ポーチ面6などと干渉しない範囲で凹部22を深くし、その分表面に露出する凸部23を低くすることで、第一実施形態及び従来品と同等の係り寸法を確保しつつ、意匠性を向上させることができるものであり、その他、第一実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、改修下枠1の見込面11と、その下側の玄関ポーチ面6又は既存下枠5との間の間隔や、その上側の子ドア4bの下端との間の間隔によっては、凹部22と凸部23を合わせたフランス落とし受け2全体の高さが、従来のフランス落とし受け200よりも低くなり、フランス落とし3の係り寸法が従来よりも小さくなる場合もあり得るが、その場合であっても、フランス落とし3がフランス落とし受け2に嵌まり込んで子ドア4bの開閉を規制するという機能を発揮できるだけの係り寸法があればよい。
【0018】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、フランス落とし受けの凸部は、凹部の周縁部の全周に設けてもよい。また、本発明は、玄関用の親子ドアに限らず、種々の戸に適用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 改修下枠
2 フランス落とし受け
11 見込面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7