特許第6942533号(P6942533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942533
(24)【登録日】2021年9月10日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】宅配ボックス装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20210916BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20210916BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   A47G29/12 Z
   A47G29/122 Z
   F25D23/00 301G
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-124311(P2017-124311)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-5281(P2019-5281A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】國香 比音
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】浅野 翔平
【審査官】 程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−152383(JP,A)
【文献】 特開2002−138726(JP,A)
【文献】 特開2017−052645(JP,A)
【文献】 特開2000−130907(JP,A)
【文献】 特開2002−322845(JP,A)
【文献】 特開2004−284708(JP,A)
【文献】 特開2002−128239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12−29/30
F25D 23/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収納する収納庫と、
前記収納庫内を冷却する冷却部と、
配送業者からの荷物の配送情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記配送情報に基づいて、前記収納庫内の冷却が必要か否かを判断する判断部と、
前記判断部によって前記収納庫内の冷却が必要であると判断された場合、配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却部による冷却を開始させる制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記受信部によって受信された前記配送情報を居住者に送信し、
前記居住者から荷物の受取を承認する承認情報を受信する前であっても、前記判断部によって前記収納庫内の冷却が必要であると判断された場合、前記収納庫を予約する、
宅配ボックス装置。
【請求項2】
前記収納庫は、
施開錠可能な配達用扉を具備し、
前記制御部は、
前記承認情報を受信した場合に、前記配送業者に前記配達用扉を開錠するための認証情報を送信する、
請求項1に記載の宅配ボックス装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信した場合、前記配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却部による冷却を開始させ、
前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信しなかった場合、前記収納庫の予約を解除する、
請求項1又は請求項2に記載の宅配ボックス装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記配送情報に基づいて、各荷物に応じた温度に前記収納庫内の温度を制御する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の宅配ボックス装置。
【請求項5】
前記冷却部は、
居住者の操作によって前記収納庫内の冷却を停止することができないように構成されている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の宅配ボックス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収納する宅配ボックス装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を収納する宅配ボックス装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、冷蔵機能を備えた宅配ボックスが記載されている。当該宅配ボックスは、冷蔵予約情報が入力される予約入力部と、冷蔵予約情報を受け付ける予約受付部とを具備し、予約受付部で受けた冷蔵予約情報に基づいて、冷蔵宅配ボックスの利用開始日時より所定時間前に、冷蔵手段によって庫内の冷却が開始されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−201844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の宅配ボックスにおいては、居住者が予約受付部にアクセスして冷蔵予約情報を入力するように構成されており、すなわち宅配ボックスの冷却の開始を居住者(利用者)に委ねている。このため、居住者が冷蔵の予約を忘れたり、操作を誤ったりすることで、宅配ボックスの庫内が確実に冷却されないおそれがあり、これにより、冷却(冷蔵や冷凍)が必要な荷物を配送業者が安心して預けることができないという問題があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、冷却の必要な荷物を配送業者が安心して預けることができる宅配ボックス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、荷物を収納する収納庫と、前記収納庫内を冷却する冷却部と、配送業者からの荷物の配送情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記配送情報に基づいて、前記収納庫内の冷却が必要か否かを判断する判断部と、前記判断部によって前記収納庫内の冷却が必要であると判断された場合、配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却部による冷却を開始させる制御部と、を具備し、前記制御部は、前記受信部によって受信された前記配送情報を居住者に送信し、前記居住者から荷物の受取を承認する承認情報を受信する前であっても、前記判断部によって前記収納庫内の冷却が必要であると判断された場合、前記収納庫を予約するものである。
【0010】
前記収納庫は、施開錠可能な配達用扉を具備し、前記制御部は、前記承認情報を受信した場合に、前記配送業者に前記配達用扉を開錠するための認証情報を送信する、こととしてもよい。
このような構成により、居住者が荷物の受取を承認していないにもかかわらず、荷物が収納庫に預けられるのを防ぐことができる。
【0011】
前記制御部は、前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信した場合、前記配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却部による冷却を開始させ、前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信しなかった場合、前記収納庫の予約を解除することとしてもよい。
このような構成により、冷却の必要な荷物の受取が居住者によって承認されない場合には、収納庫を他の荷物のために使用することができる。
【0012】
前記制御部は、前記配送情報に基づいて、各荷物に応じた温度に前記収納庫内の温度を制御することとしてもよい。
このような構成により、荷物に適した温度で当該荷物を収納庫内に収納しておくことができる。
【0013】
前記冷却部は、居住者の操作によって前記収納庫内の冷却を停止することができないように構成されているものであってもよい。
このような構成により、冷却が必要な時間帯であるにもかかわらず、居住者によって収納庫内の冷却が停止されてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
冷却の必要な荷物を配送業者が安心して預けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る宅配ボックス装置の構成を示したブロック図。
図2】本発明の一実施形態に係る宅配ボックス装置の概略を示した平面図。
図3】本発明の一実施形態に係る宅配ボックス装置の概略を示した正面図。
図4】配達用扉の施開錠処理の制御フローを示した図。
図5】荷物受取処理の制御フローを示した図。
図6】荷物受取処理の制御フローを示した図。
図7】(a)冷蔵時及び冷凍時の庫内温度を配送業者ごとに設定した場合の例を示す図。(b)冷蔵時及び冷凍時の庫内温度を固定値に設定した場合の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、図1から図3を用いて、宅配ボックス装置1の構成について説明する。
【0017】
宅配ボックス装置1は、主として、居住者の不在時に宅配物(荷物)を保管しておくためのものである。宅配ボックス装置1は、例えば、賃貸住宅等の集合住宅、マンション等の共同住宅、戸建住宅の住戸内等に設けられる。本実施形態においては、宅配ボックス装置1は、賃貸住宅の住戸内に設けられるものとする。宅配ボックス装置1は、主要な構成として、収納ボックス10、配達端末20、受取端末30、冷却装置40及びサーバー50を具備する。
【0018】
図1から図3に示す収納ボックス10は、荷物を収納する部分である。収納ボックス10は、箱状に形成され、内部に荷物を収納可能に構成される。収納ボックス10は、一面が玄関扉dの内側(居住スペース側)に設けられた専有部Aに面し、他面が玄関扉dの外側(居住スペースの反対側)に設けられた共用部Bに面するように設けられる(図2参照)。収納ボックス10は、配達用扉11、開閉センサ12、受取用扉13及び温度センサ14を具備する。
【0019】
図2及び図3に示す配達用扉11は、荷物を配達する配達者が収納ボックス10に荷物を入れるための開閉扉である。配達用扉11は、収納ボックス10の共用部Bに面する側に設けられる。配達用扉11は、電子鍵によって施開錠可能に形成される。配達用扉11は、通常は施錠されており、収納ボックス10に荷物を入れる際には、後述する方法(認証情報を配達端末20に入力すること)により、配達用扉11を開錠することができる。配達用扉11は、開錠されると自動的に開くように形成されている。また、配達用扉11は、収納ボックス10に荷物を入れ終えた後に閉められると、自動的に施錠されるように形成されている。
【0020】
図2に示す開閉センサ12は、配達用扉11の開閉を検知するものである。開閉センサ12は、収納ボックス10の適宜の位置に設けられる。開閉センサ12によって配達用扉11が開いたことが検知されると、その旨を示す扉開情報が後述するサーバー50に送信される。また、開閉センサ12によって配達用扉11が閉じられたことが検知されると、その旨を示す扉閉情報が後述するサーバー50に送信される。
【0021】
図2に示す受取用扉13は、居住者(荷物の受取者)が収納ボックス10から荷物を取り出すための開閉扉である。受取用扉13は、収納ボックス10の専有部Aに面する側に設けられる。受取用扉13は、収納ボックス10を介して共用部Bから専有部Aに侵入するのを防止するために、通常は施錠されている。受取用扉13は、居住者が所有する鍵やICカード等により開錠することができる。居住者は、受取用扉13を開くことで、収納ボックス10から荷物を取り出すことができる。受取用扉13が開錠されると、その旨を示す情報が後述するサーバー50に送信される。
【0022】
図2に示す温度センサ14は、収納ボックス10の内部の温度(庫内温度)を検知するものである。温度センサ14は、収納ボックス10の適宜の位置に設けられる。
【0023】
図1から図3に示す配達端末20は、配達者用の端末である。配達端末20は、収納ボックス10の共用部Bに面する側に設けられる。配達端末20は、配達用扉11の近傍に設けられる。配達者は、予め割り当てられた認証情報を配達端末20に入力することにより、配達用扉11を開錠することができる。これにより、配達者は、居住者が不在の場合や、居住者が直接受け取ることを望まない場合に、収納ボックス10に荷物を入れることができる。配達者によって配達端末20に入力された認証情報は、後述するサーバー50(記憶部53)に送信される。
【0024】
ここで、認証情報は、配達用扉11の開錠を許可するためのものであって、配達者ごとに(より詳細には、荷物の配達ごとに)予め割り当てられるものである。荷物の配達予定があると、認証情報が後述するサーバー50を介して配達者に割り当てられる。認証情報は、例えば一度限りかつ一定時間のみ有効な暗証番号(ワンタイムパスワード)によって構成される。割り当てられた認証情報は、配送業者(配達者が所有する端末等)に送信されると共に、後述するサーバー50(データベース51)に記憶される。
【0025】
図1及び図2に示す受取端末30は、居住者用の端末である。受取端末30は、収納ボックス10の専有部Aに面する側に設けられる。受取端末30は、受取用扉13の近傍に設けられる。受取端末30は、収納ボックス10への荷物の配達状況に関する種々の内容を表示することができる。これにより居住者は、収納ボックス10に荷物が届いているか否かを確認することができる。
【0026】
図1及び図3に示す冷却装置40は、収納ボックス10の庫内を冷却するものである。冷却装置40は、圧縮機や凝縮器等のヒートポンプ機構を具備する。冷却装置40は、収納ボックス10の庫内を冷却することができるように、収納ボックス10の下部に設けられる。
【0027】
なお、宅配ボックス装置1は、図3に示す冷却対応の(冷却装置40によって庫内を冷却可能な)収納ボックス10の他に、冷却非対応の(冷却装置40によって庫内が冷却されない)収納ボックス10を備えていてもよい。冷却保存が不要な荷物は、冷却非対応の収納ボックス10に入れてもらうようにすることで、冷却保存が不要な荷物によって、冷却対応の収納ボックス10が占有されるのを抑制することができる。
【0028】
サーバー50は、収納ボックス10、配達端末20及び受取端末30とデータを送受信可能に構成されるものである。サーバー50は、データベース51、送受信部52、記憶部53及び制御部54を具備する。
【0029】
データベース51は、種々のデータを格納するものである。データベース51には、例えば、配達者に関するデータ(配送業者名や配達者の名前等)が格納されている。データベース51は、認証情報(暗証番号)が配達者ごとに割り当てられた場合には、配達者に関するデータと、割り当てられた認証情報を互いに紐付けて格納する。
【0030】
また、データベース51には、収納ボックス10の庫内の設定温度に関するデータが格納されている。具体的には、データベース51には、荷物を冷却(冷蔵又は冷凍)するときの温度に関するデータが格納されている。
【0031】
送受信部52は、配送業者(配達者が所有する端末)及び居住者(居住者が所有する端末)に対して、種々の情報を送受信するものである。送受信部52は、配送業者から情報(後述する配達承認依頼メール)を受信し、受信した情報を居住者に送信する。また、送受信部52は、居住者から情報(例えば後述する受取承認メール)を受信し、受信した情報を配送業者に送信する。
【0032】
記憶部53は、収納ボックス10、配達端末20及び受取端末30から送信される情報を記憶するものである。記憶部53は、配達用扉11が開錠されたときの開錠情報の履歴を記憶する。開錠情報には、配達端末20によって受け付けられた認証情報(暗証番号)や、認証情報が配達端末20によって受け付けられた時刻(配達用扉11が開錠されたときの時刻)等が含まれる。
【0033】
また、記憶部53は、送受信部52が受信した情報を記憶する。記憶部53は、配送業者からの情報(例えば後述する配達承認依頼メール)や居住者からの情報(例えば後述する受取承認メール)を記憶する。
【0034】
制御部54は、宅配ボックス装置1の制御を行うものである。例えば、制御部54は、配達用扉11の施開錠を行う。具体的には、制御部54は、データベース51に格納された認証情報と、配達端末20に入力された認証情報とを照合して、両者が一致した場合に配達用扉11を開錠する。一方、制御部54は、データベース51に格納された認証情報と、配達端末20に入力された認証情報とを照合して、両者が一致しなかった場合には、配達用扉11を開錠しない。
【0035】
また、制御部54は、送受信部52が配送業者から受信した配送情報に基づいて、配達予定の荷物が冷却(冷蔵又は冷凍)を要するものであるか否かを判断する。そして、制御部54は、この判断結果に基づいて、冷却開始時刻(冷却装置40の運転開始時刻)及び収納ボックス10の庫内温度の設定を行い、また冷却装置40のオン/オフを制御する。
【0036】
次に、図4を用いて、配達用扉11の施開錠処理について説明する。
【0037】
ステップS11において、制御部54は、配達端末20に認証情報の入力があったか否かを判定する。制御部54は、配達端末20に認証情報の入力があったと判定した場合(ステップS11で「YES」)、ステップS12に処理を移す。一方、制御部54は、配達端末20に認証情報の入力がなかったと判定した場合(ステップS11で「NO」)、最初のステップに処理を戻す(処理を先に進めない)。
【0038】
ステップS12において、制御部54は、ステップS11で入力された認証情報が、データベース51に格納された認証情報と一致しているか否かを判定する。制御部54は、ステップS11で入力された認証情報が、データベース51に格納された認証情報と一致していると判定した場合(ステップS12で「YES」)、ステップS13に処理を移す。一方、制御部54は、ステップS11で入力された認証情報が、データベース51に格納された認証情報と一致していないと判定した場合(ステップS12で「NO」)、最初のステップに処理を戻す。なお、制御部54は、ステップS11で入力された認証情報が有効期間外である場合には、データベース51に格納された認証情報と一致していないと判定する(ステップS12で「NO」)。
【0039】
ステップS13において、制御部54は、配達用扉11を開錠する。配達用扉11が開錠されると、配達用扉11が自動的に開かれる。制御部54は、配達用扉11を開錠すると、配達用扉11を開錠されていることを示す開錠フラグをオンにする。制御部54は、この処理を行った後、ステップS14に処理を移す。
【0040】
ステップS14において、制御部54は、開錠情報を記憶部53に記憶させる。この処理において、制御部54は、開錠情報として、認証情報及び認証情報を受け付けた時刻の情報を記憶部53に記憶させる。制御部54は、この処理を行った後、ステップS15に処理を移す。
【0041】
ステップS15において、制御部54は、配達用扉11が閉じられたか否かを判定する。この処理において、制御部54は、開閉センサ12の検知結果に基づいて判定を行う。具体的には、制御部54は、開閉センサ12から扉閉情報を受信しているときは、配達用扉11が閉じられたと判定する。一方、制御部54は、開閉センサ12から扉開情報を受信しているときは、配達用扉11が閉じられていないと判定する。制御部54は、配達用扉11が閉められたと判定した場合(ステップS15で「YES」)、ステップS16に処理を移す。一方、制御部54は、配達用扉11が閉じられていないと判定した場合(ステップS15で「NO」)、再び当該ステップS15に処理を戻す(処理を先に進めない)。
【0042】
ステップS16において、制御部54は、配達用扉11を施錠する。制御部54は、配達用扉11を施錠すると、開錠フラグをオフにする。この処理が完了すると、施開錠処理の制御フローは終了する。
【0043】
このように、配達者は、認証情報が一致した場合に、配達用扉11を開けて荷物を収納ボックス10に入れることができる。そして、収納ボックス10に荷物を入れた後、配達用扉11を閉めると、配達用扉11は施錠される。収納ボックス10に収納された荷物の情報は、受取端末30に表示される。居住者は、受取端末30を確認することで、荷物が届いている(収納ボックス10に収納されている)ことを知ることができる。受取端末30を確認した居住者は、受取用扉13を開けて、収納ボックス10内の荷物を取り出すことができる。これにより、居住者は、住戸の外に出ることなく、住戸内に居たまま荷物を受け取ることができる。
【0044】
以下では、図5及び図6を用いて、荷物の受取処理について説明する。
【0045】
ステップS21において、制御部54は、配送業者から送信される配達承認依頼メールを受信しているか否かを判定する。配達承認依頼メールは、荷物の配達予定があることを居住者に示して、当該居住者に荷物の配達の承認(荷物を配達してもよいかの承認)を依頼するものである。この処理において、制御部54は、送受信部52による受信の状況を確認して判定を行う。制御部54は、配達承認依頼メールを受信していると判定した場合(ステップS21で「YES」)、ステップS22に処理を移す。一方、制御部54は、配達承認依頼メールを受信していないと判定した場合(ステップS21で「NO」)、最初のステップに処理を戻す。
【0046】
ステップS22において、制御部54は、送受信部52を介して配達承認依頼メールを居住者に送信する。つまり、配達承認依頼メールは、配送業者からサーバー50を介して居住者に送信される。制御部54は、この処理を行った後、ステップS23に処理を移す。
【0047】
ステップS23において、制御部54は、配達承認依頼メール中の配送情報に基づいて、配達予定の荷物の保存方法(常温、冷蔵、冷凍等)を判断する。「配送情報」とは、配達予定の荷物に関する情報であって、当該配送情報には、配達承認依頼メールの本文や、荷物ごとに付与される荷物番号等が含まれる。制御部54は、配達承認依頼メールの本文中の記載(「常温」、「冷蔵」、「冷凍」等の文字)から荷物の保存方法を判断することができる。また、制御部54は、荷物ごとに付与される荷物番号から配達予定の荷物の保存方法を判断することができる。制御部54は、この処理を行った後、ステップS24に処理を移す。
【0048】
ステップS24において、制御部54は、配達予定の荷物は冷却保存が必要であるか否かを判定する。この処理において、制御部54は、配達予定の荷物の保存方法が冷蔵又は冷凍である場合には、配達予定の荷物は冷却保存が必要であると判定する。制御部54は、配達予定の荷物は冷却保存が必要であると判定した場合(ステップS24で「YES」)、ステップS25に処理を移す。一方、制御部54は、配達予定の荷物は冷却保存が必要でないと判定した場合(ステップS24で「NO」)、ステップS29に処理を移す。
【0049】
ステップS25において、制御部54は、冷却対応の(冷却装置40によって庫内を冷却可能な)収納ボックス10の空きが有るか否かを判定する。この処理において、制御部54は、収納ボックス10内の荷物を検知する荷物センサ等の適宜の方法で判定を行う。制御部54は、冷却対応の収納ボックス10の空きが有ると判定した場合(ステップS25で「YES」)、ステップS26に処理を移す。一方、制御部54は、冷却対応の収納ボックス10の空きが無いと判定した場合(ステップS25で「NO」)、ステップS27に処理を移す。
【0050】
ステップS26において、制御部54は、冷却対応の収納ボックス10を予約する。この処理において、制御部54は、予約した冷却対応の収納ボックス10を、他の荷物のために使用することができないようにする。制御部54は、この処理を行った後、ステップS28に処理を移す。
【0051】
一方、ステップS27においては、制御部54は、使用可能な収納ボックス10の空きが無い旨を示す情報を配送業者に送信する。制御部54は、この処理を行った後、最初のステップに処理を移す。当該ステップS27の処理により、配送業者は、当初の配達予定時刻(配達予定日時)を変更する(当初の予定と異なる時刻に配達する)ことで、荷物の再配達の発生を防ぐことができる。
【0052】
ステップS28において、制御部54は、冷却装置40の運転を予約する。この処理において、制御部54は、配達承認依頼メールの配送情報に基づいて配達予定時刻を判断し、当該配達予定時刻に応じた時刻に冷却開始時刻を設定する。冷却開始時刻は、配達予定時刻の所定時間前であってもよいし、配達予定時刻ちょうどであってもよいし、或いは配達者によって共同住宅の玄関扉(オートロック)が開錠された時であってもよい。また、制御部54は、配送情報に基づいて、収納ボックス10を冷却する際の庫内温度を設定する。制御部54は、この処理を行った後、ステップS29に処理を移す。
【0053】
収納ボックス10の冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度は、適宜設定される。例えば、制御部54は、データベース51に格納された図7(a)に示すデータテーブルに基づいて、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度を設定することができる。図7(a)に示すデータテーブルにおいては、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度それぞれが、配送業者ごとに(各配送業者が推奨する温度に)設定されている。制御部54は、配送情報に基づいて配送業者を識別すると共に荷物の保存方法(冷蔵又は冷凍)を判断し、この識別結果及び判断結果と図7(a)に示すデータテーブルに基づいて、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度を設定する。
【0054】
また、制御部54は、データベース51に格納された図7(b)に示すデータテーブルに基づいて、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度を設定することもできる。図7(b)に示すデータテーブルにおいては、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度は、安全側をみた固定値に設定されている。具体的には、冷蔵時の庫内温度は、各配送業者が推奨する温度の下限値のうち最も低い値(0℃)に設定されている。また、冷凍時の庫内温度は、各配送業者が推奨する温度の上限値のうち最も低い値(−18℃)よりも所定値だけ低い値(−20℃)に設定されている。制御部54は、配送情報に基づいて荷物の保存方法(冷蔵又は冷凍)を判断し、この判断結果と図7(b)に示すデータテーブルに基づいて、冷蔵時の庫内温度及び冷凍時の庫内温度を設定する。
【0055】
ステップS29において、制御部54は、配達予定時刻の所定時間前までに、居住者から受取承認メール(承認情報)を受信しているか否かを判定する。受取承認メールは、配送業者から送信された配達承認依頼メールに対して居住者から返信するものであって、荷物の受取を承認することを示すメールである。この処理において、制御部54は、送受信部52による受信の状況を確認して判定を行う。制御部54は、配達予定時刻の所定時間前までに、居住者から受取承認メールを受信していると判定した場合(ステップS29で「YES」)、ステップS30に処理を移す。一方、制御部54は、配達予定時刻の所定時間前までに、居住者から受取承認メールを受信していないと判定した場合(ステップS29で「NO」)、ステップS31に処理を移す。
【0056】
ステップS30において、制御部54は、送受信部52を介して、受取承認メール及び認証情報(配達用扉11を開錠するためのワンタイムパスワード)を配送業者に送信する。制御部54は、この処理を行った後、ステップS32に処理を移す。
【0057】
ステップS31において、制御部54は、居住者から荷物の受取の承認がない旨を示す情報を、配送業者に送信する。また、制御部54は、冷却対応の収納ボックス10が予約されている場合(ステップS26)には、収納ボックス10の予約を解除する(取り消す)。これにより、収納ボックス10を他の荷物のために使用することができる。制御部54は、この処理を行った後、最初のステップに処理を戻す。
【0058】
ステップS32において、制御部54は、冷却装置40の運転を開始する。この処理において、制御部54は、ステップS28で設定した冷却開始時刻になると、冷却装置40の運転を開始する。また、制御部54は、温度センサ14の検知結果に基づいて、収納ボックス10の庫内がステップS28で設定した庫内温度(設定温度)となるように、冷却装置40の運転を制御する。制御部54は、この処理を行った後、ステップS33に処理を移す。
【0059】
ステップS33において、制御部54は、居住者が荷物を受け取ったか否かを判定する。この処理において、制御部54は、受取用扉13が開錠されたことを示す情報を、送受信部52が受信しているか否かに基づいて判定を行う。制御部54は、居住者が荷物を受け取ったと判定した場合(ステップS33で「YES」)、ステップS34に処理を移す。一方、制御部54は、居住者が荷物を受け取っていないと判定した場合(ステップS33で「NO」)、再び当該ステップS33に処理を戻す(処理を先に進めない)。
【0060】
ステップS34において、制御部54は、収納ボックス10の冷却を終了させる。この処理において、制御部54は、冷却装置40の運転を停止させて、収納ボックス10の冷却を終了させる。この処理が完了すると、荷物受取処理の制御フローは終了する。
【0061】
本実施形態に係る宅配ボックス装置1においては、配達予定の荷物の冷却(冷蔵・冷凍)の要否をサーバー50側で判断し、この判断に基づいて冷却装置40による収納ボックス10の冷却を行う。このように、収納ボックス10の冷却を居住者に委ねていないので、居住者の設定し忘れや操作の誤りといった心配がない。したがって、冷却の必要な荷物のために、収納ボックス10の庫内を確実に冷却することができる。これにより、配送業者は、居住者によって収納ボックス10の冷却が誤って停止されているという可能性を考慮しなくてよいため、冷却の必要な荷物を収納ボックス10に安心して預けることができる。
【0062】
また、配達予定の荷物が冷却が必要なものと判断した場合には、その時点で冷却対応の収納ボックス10の予約を行うため(図5に示すステップS26)、居住者が荷物の受取を承認したにもかかわらず、その後に冷却対応の収納ボックス10が他の荷物のために使用されてしまうのを防ぐことができる。よって、配達者が、居住者の住戸まで冷却の必要な荷物を持ってきたにもかかわらず、当該荷物を預ける(配達する)ことができないといった事態を回避することができる。
【0063】
また、配達予定時刻の所定時間前までに居住者から受取承認メールを受信すると、配送業者に配達用扉11を開錠するための認証情報が送信されるため(図6に示すステップS30)、居住者が長期間の不在等の理由により荷物の受取を承認していないにもかかわらず、荷物が収納ボックス10に預けられるのを防ぐことができる。また、認証情報は、一定時間のみ有効なワンタイムパスワードであるため、冷却の必要な荷物が、配達予定時刻よりも大幅に前倒しされた時刻に収納ボックス10に収納されることがない。このため、未だ冷却されていない収納ボックス10に、冷却の必要な荷物が入れられてしまうのを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る宅配ボックス装置1においては、受取用扉13が開錠されたことを示す情報に基づいて、居住者による荷物の受取を検知し、荷物の受取を検知すると冷却装置40の運転を停止させる(図6に示すステップS33及びステップS34)。また、宅配ボックス装置1には、居住者が操作して冷却装置40の運転を停止させる手動スイッチ等は設けられていない。このように、居住者の操作によって収納ボックス10内の冷却を停止することができないように構成されているため、冷却が必要な時間帯であるにもかかわらず、居住者によって収納ボックス10内の冷却が停止されてしまうことを防止することができる。このため、配送業者は、冷却の必要な荷物を収納ボックス10に安心して預けることができる。また、仮に収納ボックス10が故障等により冷却されていなかった場合に、この不具合が配送業者及び居住者の責任となることがないため、配送業者及び居住者にとって有益である。
【0065】
以上の如く、本実施形態に係る宅配ボックス装置1は、荷物を収納する収納ボックス10(収納庫)と、前記収納ボックス10内を冷却する冷却装置40(冷却部)と、配送業者からの荷物の配送情報を受信する送受信部52(受信部)と、前記送受信部52によって受信された前記配送情報に基づいて、前記収納ボックス10内の冷却が必要か否かを判断する制御部54(判断部)と、前記制御部54(判断部)によって前記収納ボックス10内の冷却が必要であると判断された場合、配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却装置40による冷却を開始させる制御部54と、を具備するものである。
このように構成することにより、冷却の必要な荷物を配送業者が安心して預けることができる。
【0066】
また、前記制御部54は、前記制御部54(判断部)によって前記収納ボックス10内の冷却が必要であると判断された場合、前記収納ボックス10を予約するものである。
このように構成することにより、冷却可能な収納ボックス10が、他の荷物のために使用されることで、冷却の必要な荷物を収納できないといった事態を回避することができる。
【0067】
また、前記収納ボックス10は、施開錠可能な配達用扉11を具備し、前記制御部54は、前記送受信部52によって受信された前記配送情報を居住者に送信し、前記居住者から荷物の受取を承認する承認情報を受信した場合に、前記配送業者に前記配達用扉11を開錠するための認証情報を送信するものである。
このように構成することにより、居住者が荷物の受取を承認していないにもかかわらず、荷物が収納ボックス10に預けられるのを防ぐことができる。
【0068】
また、前記制御部54は、前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信した場合、前記配達予定時刻に応じた時刻に前記冷却装置40による冷却を開始させ、前記配達予定時刻の所定時間前までに前記居住者から前記承認情報を受信しなかった場合、前記収納ボックス10の予約を解除するものである。
このように構成することにより、冷却の必要な荷物の受取が居住者によって承認されない場合には、収納ボックス10を他の荷物のために使用することができる。
【0069】
また、前記制御部54は、前記配送情報に基づいて、各荷物に応じた温度に前記収納ボックス10内の温度を制御するものである。
このように構成することにより、荷物に適した温度で当該荷物を収納ボックス10内に収納しておくことができる。
【0070】
また、前記冷却装置40は、居住者の操作によって前記収納ボックス10内の冷却を停止することができないように構成されているものである。
このように構成することにより、冷却が必要な時間帯であるにもかかわらず、居住者によって収納ボックス10内の冷却が停止されてしまうことを防止することができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る収納ボックス10は、収納庫の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る冷却装置40は、冷却部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る送受信部52は、受信部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る制御部54は、判断部及び制御部の実施の一形態である。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、本実施形態においては、収納ボックス10は、賃貸住宅等の専有部に設けられるものとしたが、これに限定されず、共用部に設けられるものであってもよい。収納ボックス10は、共用部に設けられる場合、各住戸につき1台ずつ設けられるものであってもよく、住戸数よりも少ない数の台数を各住戸で共有するものであってもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、配達用扉11を開錠するための認証情報として、ワンタイムパスワードを用いるものとしたが、配達者を識別できるものであればよく、例えばICカードやバーコードリーダーによる認証であってもよい。また、ワンタイムパスワードと、ICカードやバーコードリーダーとを組み合わせて用いてもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、収納ボックス10は、配達用扉11側から庫内に荷物が入れられると、居住者によって荷物が取り出されない限り、他の荷物を入れることができないように構成されているが、これに限定されるものではない。収納ボックス10は、配達用扉11側から庫内に荷物が入れられた後、居住者によって当該荷物が取り出される前であっても、配達用扉11を開錠して別の荷物を入れることができるものであってもよい。この場合、図5に示すステップS25、ステップS26及びステップS27の処理は省略することとしてもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、冷却装置40は収納ボックス10の庫内の荷物の冷蔵と冷凍とを行うものとしたが、冷蔵又は冷凍のいずれか一方を行うものであってもよい。また、本実施形態においては、1つの空間で庫内の荷物の冷蔵と冷凍とを行うものとしたが、冷蔵用の空間と冷凍用の空間とが区画されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、冷却装置40は、ヒートポンプ式の冷却方法を用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えばペルチェ式等の任意の冷却方法を用いることができる。
【0078】
また、本実施形態においては、荷物の配達の承認依頼及び受取の承認をメールにより行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えばアプリにより行うものであってもよい。
【0079】
また、宅配ボックス装置1は、冷却装置40による冷却機能に加えて、収納ボックス10内を加温する加温機能があってもよい。これにより、より幅の広い種類の荷物に対応することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 宅配ボックス装置
10 収納ボックス
11 配達用扉
40 冷却装置
52 送受信部
54 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7