(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態に係る搬送装置10を、
図1乃至
図29を用いて説明する。
図1は、搬送装置10を示す斜視図である。
図2は、搬送装置10を示す斜視図である。
図2は、搬送装置10を、
図1とは異なる角度から見た状態を示している。
図3は、搬送装置10に用いられる把持装置30を示す斜視図である。
図4は、搬送装置10の構成を示すブロック図である。
【0008】
図5は、把持装置30を示す正面図である。
図6は、物品5aを示す斜視図である。
図7は、別の物品5bを示す斜視図である。
図8は、別の物品5bを示す斜視図である。
図9は、別の物品5cを示す斜視図である。
図10は、別の物品5cを示す斜視図である。
図11は、別の物品5dを示す斜視図である。
【0009】
図12は、把持装置30が物品5を把持して第1の把持モードY1での把持姿勢で物品5aを把持している状態を示す斜視図である。
図13は、把持装置30が第1の把持モードY1での把持姿勢で別の物品5cを把持している状態を示す斜視図である。
図14は、把持装置30が第1の把持モードY1での把持姿勢で別の物品5dを把持している状態を示す斜視図である。
【0010】
図15は、把持装置30が第2の把持モードY2での把持姿勢で物品5を把持している状態を示す斜視図である。
図16は、把持装置30が第2の把持モードY2での把持姿勢で別の物品5dを把持している状態を示す斜視図である。
図17は、把持装置30が第3の把持モードY3での把持姿勢で物品5aを把持している状態を示す斜視図である。
図18は、把持装置30が第3の把持モードY3での把持姿勢で別の物品5bを把持している状態を示す斜視図である。
図19は、把持装置30が第3の把持モードY3での把持姿勢で別の物品5cを把持している状態を示す斜視図である。
図29は、把持装置30が第4の把持モードY4での把持姿勢で別の物品5dを把持している状態を示す斜視図である。
【0011】
搬送装置10は、例えば物流倉庫に設けられている。搬送装置10は、上端が開口した容器6内に収容された物品5を、ベルトコンベア等の目的場所に搬送可能に構成されている。
【0012】
図1及び
図2に示すように、搬送装置10は、容器6内の物品5を検出可能な物品検出装置20、物品5を把持可能な把持装置30、把持装置30を容器6及び目的場所の間で移動可能な移動装置60、物品検出装置20の検出結果に基づいて物品5の形状、大きさ、姿勢、及び位置を検出可能な認識装置70、認識装置70の検出結果に基づいて把持装置30及び移動装置60の動作計画を生成する動作計画生成装置80、及び、動作計画生成装置80により生成された動作計画に基づいて移動装置60の動作を制御するコントローラ90を有している。
【0013】
物品検出装置20は、容器6内の物品5を検出可能に構成されている。物品検出装置20は、一例として、3Dカメラである。物品検出装置20は、容器6の開口6aを通して容器6内を撮影可能に構成されている。
【0014】
物品検出装置20は、物流倉庫の、容器6が設置される設置場所の上方に、固定されている。物品検出装置20は、例えば、柱部材等により、移動装置60が設置される床に固定されてもよい。または、物品検出装置20は、把持装置30に取り付けられてもよい。または、物品検出装置20は、移動装置60に取り付けられてもよい。
【0015】
物品検出装置20は、1台の3Dカメラから構成されることに限定されない。物品検出装置20は、複数台の3Dカメラから構成されてもよい。物品検出装置20が複数の3Dカメラから構成される場合は、各3Dカメラが、容器6内を複数に分けた領域を撮影可能に構成され、全ての3Dカメラにより、容器6内を撮影可能とする。
【0016】
図3に示すように、把持装置30は、基部31、吸着部41により物品5を吸着可能な吸着機構40、及び、物品5を複数の指により挟持可能な挟持機構50を有している。
基部31は、挟持機構50の指が連結されている。基部31は、吸着部41が設けられた掌部32を有している。掌部32は、一例として、正面視で長方形状に形成されている。掌部32の表面33は、吸着部41により吸着された物品5が接触する。表面33は、吸着部41により吸着された物品5の姿勢を安定させる為に、本実施形態では一例として平面に形成されている。なお、表面33は、平面であることに限定されない。表面33は、吸着部41により吸着された物品5を安定して支持可能に形成されればよい。
【0017】
吸着機構40は、基部31の掌部32に設けられた吸着部41、及び、吸着部41に負圧を作用させる負圧供給装置42(
図1に示す)を有している。
吸着部41は、一例として、掌部32の中央に1つ設けられている。吸着部41は、その軸方向に伸縮可能な筒状に形成されている。吸着部41は、例えば、その先端面が掌部32の表面33と面一、または略面一となるまで、吸着部41の軸方向に縮むことが可能である。さらに、吸着部41は、縮んだから元の状態に戻ることが可能である。なお、吸着部41は、一例として、弾性部材から、蛇腹の円筒状に形成されている。
【0018】
吸着部41は、例えば、掌部32の中心に対して、掌部32の短手方向にずれた位置に配置されている。なお、吸着部41の基部31に対する位置、及び、吸着部41の数は、限定されるものではない。
【0019】
負圧供給装置42は、
図4に示すように、コンプレッサ43、バルブ44、真空発生器45、及び、圧力センサ46を有している。コンプレッサ43は、配管47を介して吸着部41に連結されている。コンプレッサ43からの圧縮空気は、配管47を通して吸着部41に供給される。
【0020】
バルブ44は、コンプレッサ43を吸着部41に接続する配管47に設けられており、この配管47を開く状態、及びこの配管47を気密に閉じる状態を切換可能に構成されている。配管47を開く状態とは、コンプレッサ43により生成された圧縮空気を吸着部41に供給可能な状態である。配管47を気密に閉じる状態とは、コンプレッサ43及び吸着部41の間を気密に分離する状態であり、コンプレッサ43による圧縮空気が吸着部41に供給不可能な状態である。
【0021】
真空発生器45は、ポンプである。真空発生器45は、例えば配管47により、吸着部41に接続されている。具体的には、真空発生器45は、配管47においてバルブ44及び吸着部41の間の部分に接続されている。真空発生器45は、配管47を通して負圧を吸着部41に作用可能に構成されている。
【0022】
配管47は、一例として、移動装置60となるロボットアーム内、及び、基部31内に配置されている。なお、配管47は、移動装置60内及び基部31内に配置されることに限定されない。他の例では、配管47は、移動装置60及び基部31の外に配置されてもよい。配管47は、移動装置60の動作、及び吸着機構40の動作を阻害しないように配置されることが好ましい。
【0023】
圧力センサ46は、吸着部41内の圧力を検出可能に構成されている。圧力センサ46は、本実施形態では一例として、配管47のバルブ44及び吸着部41の間の部分に設けられており、配管47内の圧力を検出することにより、吸着部41内の圧力を検出する。
【0024】
挟持機構50は、
図3乃至
図5に示すように、基部31に支持された複数の指を有する多指ハンドである。複数の指は、互いに近づく方向及び離れる方向に移動することにより物品5を挟持可能な2つの指の組み合わせを少なくとも1つ有する。本実施形態では、挟持機構50は、複数の指として、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53を有している。
【0025】
第1の指51及び第2の指52は、掌部32において吸着部41を挟んだ両側に配置されている。第3の指53は、第2の指52の側方に配置されている。第1の指51及び第2の指52により、物品5を挟持可能な2つの指の組み合わせが構成される。同様に、第1の指51及び第3の指53により、物品5を挟持可能な2つの指の組み合わせが構成される。このように、挟持機構50は、一例として、物品5を挟持可能な2つの指の組み合わせを、2つ有する。
【0026】
第1の指51、第2の指52、及び第3の指53は、同様の構成を有する。この為、第1の指51を代表して説明する。第2の指52の構成及び第3の指53の構成は、第1の指51の構成に付した符号と同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
第1の指51は、指本体54、指本体54を駆動する駆動機構55(
図4に示す)、及びトルクセンサ56を有している。
指本体54は、複数の節から構成され、これら節が相対的に回動可能に連結されている。本実施形態では、指本体54は、基部31に固定された第1の指構成部54a、第1の指構成部54aに回動可能に連結された第2の指構成部54b、第2の指構成部54bの端部に回動可能に連結された第3の指構成部54cを有している。
【0028】
第1の指構成部54aは、基部31に固定されており、一例として掌部32の長手方向に沿うに一方の縁34の長手方向中央に対向する位置に配置されている。第1の指構成部54aは、基部31と一体に形成されてもよい。
【0029】
第2の指構成部54bは、一例として、一方向に長い形状に形成されている。第2の指構成部54bの一端部は、第1の指構成部54aに回動可能に連結されている。すなわち、第2の指構成部54b及び第1の指構成部54aにより、第1の指構成部54aに対して第2の指構成部54bを回動可能とする第1の関節57aが構成されている。第2の指構成部54bの回動中心線C1は、一例として、掌部32の長手方向に平行に設置されている。
【0030】
第3の指構成部54cは、一例として、一方向に長い形状に形成されている。第3の指構成部54cの一端部は、第2の指構成部54bの他端部に、回動可能に連結されている。すなわち、第3の指構成部54c及び第2の指構成部54bにより、第2の指構成部54bに対して第3の指構成部54cを回動可能とする第2の関節57bが構成されている。第3の指構成部54cの回動中心線C2は、第2の指構成部54bの回動中心線C1と平行である。
【0031】
このように構成された指本体54は、第2の指構成部54b及び第3の指構成部54cが、それぞれの長手方向を掌部32の表面33と平行または略平行とする開いた状態、並びに、第2の指構成部54b及び第3の指構成部54cが吸着部41側に屈曲した状態、すなわち指本体54が吸着部41側に傾倒した閉じた状態との間で、変位可能となる。
【0032】
駆動機構55は、駆動力を発生する駆動部55a、駆動部55aの駆動力を指本体54に伝達する駆動力伝達機構55bを有している。駆動部55aは、一例としてサーボモータである。駆動部55aは、エンコーダを有している。駆動部55aは、自身のエンコーダによって、回転量および回転速度を検出可能に構成されている。
【0033】
駆動力伝達機構55bは、駆動部55aからの駆動力を指本体54に伝達可能に構成されている。本実施形態では、第1の指51は、1つの駆動部55aにより、第2の指構成部54bの回動、及び第3の指構成部54cの回動がなされる、劣駆動システムである。この為、駆動力伝達機構55bは、駆動部55aからの駆動力によって、第1の関節57aにより第2の指構成部54bが回動しかつ第2の関節57bにより第3の指構成部54cが回動可能となるように、第2の指構成部54b及び第3の指構成部54cに動力を伝達可能に構成されている。本実施形態では、第3の指構成部54cが、劣駆動される。
【0034】
駆動力伝達機構55bは、例えば、ベルトとプーリ、ワイヤとプーリ、または、歯車による減速構造のいずれか、または、組み合わせにより、構成される。さらに、駆動力伝達機構55bは、第2の指構成部54bへの動力伝達経路中にのみ、摩擦クラッチが設けられている。
【0035】
第2の指構成部54bが物品5に接触して第2の指構成部54bの吸着部41側への回転が規制されると、駆動部55aからの駆動負荷によって、摩擦クラッチが滑る。摩擦クラッチが滑ることにより、駆動部55aからの駆動力が第3の指構成部54cにのみ伝達されるので、第3の指構成部54cのみ駆動される。このように、摩擦クラッチの作用により、第1の指51、第2の指52、及び、第3の指53は、それぞれ、第2の指構成部54b、及び第3の指構成部54cが、物品5の形状にならって変位できるので、物品5を安定して把持可能となる。
【0036】
トルクセンサ56は、先端に配置された節、すなわち本実施形態では第3の指構成部54cに作用するトルクを検出可能に構成されている。トルクセンサ56は、駆動部55aの電流値に基づいて、第3の指構成部54cに作用するトルクを検出してもよい。なお、トルクセンサ56による、トルクのセンシング方法は限定されるものではない。
【0037】
また、挟持機構50は、第2の指52を、掌部32の外縁に沿って、
図5に実線で示す初期位置P0から、
図5に2点鎖線で示す、第1の指51の側方の第1の位置P1まで移動可能に支持する第2の指支持機構58を有している。第2の指52の初期位置P0は、掌部32を挟んで第1の指51と反対側の位置である。
また、挟持機構50は、第3の指53を、掌部32の外縁に沿って、
図5に実線で示す初期位置P0から、
図5に2点鎖線で示す、第1の指51の側方の第1の位置P1まで移動可能に支持する第3の指支持機構59を有している。第3の指53の初期位置P0は、掌部32を挟んで第1の指51と反対側の位置であり、初期位置P0にある第2の指52の側方の位置である。第2の指52及び第3の指53は、支持機構58,59により、基部31に連結されている。
【0038】
第2の指支持機構58は、第2の指52を、基部31に対して回動することにより、初期位置P0及び第1の位置P1の間で移動可能に構成されている。第2の指支持機構58は、第2の指52を回動可能に基部31に支持する回動軸58a、及び駆動部58bを有している。駆動部58bは、本実施形態では一例としてサーボモータである。駆動部58bは、直接、またはギヤなどを介して間接的に回動軸58aに連結されている。また、第2の指支持機構58は、第2の指52を、初期位置P0、第1の位置P1、掌部32の短辺に配置される第2の位置P2、及び、第3の位置P3で固定可能に構成されている。第3の位置P3は、初期位置P0及び第2の位置P2の間のいずれかの位置である。本実施形態では、第3の位置P3は、一例として、第1の指51に対して、掌部32の中心回りに120度離間した位置である。なお、第2の指支持機構58の構造は、上述の構造に限定されるものではない。第2の指支持機構58は、第2の指52を、初期位置P0から、第3の位置P3、第2の位置P2、及び第1の位置P1に移動可能であり、かつ、初期位置P0、第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3に固定可能であればよい。
【0039】
第3の指支持機構59は、第3の指53を、基部31に対して回動することにより、初期位置P0及び第1の位置P1の間で移動可能に構成されている。第3の指支持機構59は、第3の指53を回動可能に基部31に支持する回動軸59a、及び駆動部59bを有している。駆動部59bは、本実施形態では一例としてサーボモータである。駆動部59bは、直接、またはギヤなどを介して間接的に回動軸59aに連結されている。また、第3の指支持機構59は、第3の指53を、初期位置P0、第1の位置P1、掌部32の短辺に配置される第2の位置P2、及び第3の位置P3で固定可能に構成されている。第3の位置P3は、初期位置P0及び第2の位置P2の間のいずれかの位置である。本実施形態では、第3の位置P3は、一例として、第1の指51に対して、掌部32の中心回り120度離間した位置である。なお、第3の指支持機構59の構造は、上述の構造に限定されるものではない。第3の指支持機構59は、第3の指53を、初期位置P0から、第2の位置P2、及び第1の位置P1に移動可能であり、かつ、初期位置P0、第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3に固定可能であればよい。
【0040】
なお、第2の指52及び第3の指53は、それぞれ、位置P0,P1,P2,P3以外の位置で固定されてもよい。位置P0,P1,P2,P3以外の位置で固定され、その固定位置においても、駆動可能である。第3の位置P3は、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53が、周方向に等間隔離間して配置される位置であればよい。本実施形態では、指51,52,53は、掌部32の中心回りに等間隔離間して配置されている。
【0041】
このように構成された挟持機構50は、指51,52,53の配置の配置モードとして、第1の配置モードV1、及び第2の配置モードV2、第3の配置モードV3、及び第4の配置モードV4のいずれかの状態で動作可能となる。
第1の配置モードV1は、第2の指52及び第3の指53が初期位置P0にある状態である。第1の配置モードでは、第1の指51及び第2の指52の間、並びに、第1の指51及び第3の指53の間で、物品5を挟持可能である。第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1は、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53が、それぞれ、第2の指構成部54bの長手方向が掌部32の表面33と平行となり、かつ、第3の指構成部54cが第2の指構成部54bに対して直交する姿勢での、第2の指構成部54bどうし間の長さである。なお、最大挟持幅W1は、挟持機構50により把持できる物品5の最大幅である。
【0042】
第2の配置モードV2は、第2の指52及び第3の指53が第1の位置P1にある状態である。第2の配置モードV2では、第2の指52及び第3の指53のそれぞれの回動中心線C1は、第1の指51の回動中心線C1と同軸となる。また、第2の配置モードV2では、第2の指52及び第3の指53のそれぞれの回動中心線C2は、第1の指51の回動中心線C2と同軸となる。
【0043】
第3の配置モードV3は、第2の指52及び第3の指53が第2の位置P2にある状態である。第3の配置モードV3では、第2の指52及び第3の指53は、掌部32の長手方向に対向する。第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2は、第2の指52及び第3の指53が、それぞれ、第1の指構成部54aの長手方向が掌部32の表面33と平行となり、かつ、第2の指構成部54bが第1の指構成部54aに対して直交する姿勢での、第2の指52の及び第3の指53の第2の指構成部54b間の長さである。最大挟持幅W2は、最大挟持幅W1より長い。
第4の配置モードV4は、第2の指52及び第3の指53が第3の位置P3にある状態である。第4の配置モードでは、指51,52,53は、120度離間して配置されている。
【0044】
移動装置60は、
図1に示すように、一例として、6軸のロボットアームである。移動装置60は、その先端に、把持装置30が固定されている。すなわち、移動装置60は、最先端に位置するリンクに、把持装置30が固定されている。移動装置60は、本実施形態では、把持装置30を移動可能であるとともに、把持装置30を、吸着部41の中心線の延びる方向を様々な方向に平行となる姿勢に変位することが可能に構成されている。
【0045】
認識装置70は、物品検出装置20が撮影した画像データに基づいて、物品5の形状、姿勢、大きさ及び位置を検出可能に構成されている。認識装置70は、具体的には、機能1、機能2、及び機能3を有する。
機能1は、物品検出装置20から送信された画像データに基づいて、容器6内に複数の物品5がある場合には、それぞれを区別して、1つずつ検出する機能である。すなわち、機能1は、容器6内に例えば4つの物品5がある場合には、4つの物品5があることを検出する機能である。機能1は、本実施形態では、物品検出装置20から送信された画像データを画像処理し、容器6内の複数の物品5を1つずつに分離し、1つずつ検出する機能である。なお、本実施形態では、容器6内で周囲を別の物品5により囲まれることにより物品検出装置20により撮影されなかった物品5は、認識されない。
【0046】
機能2は、容器6内の複数の物品5から、予め設定された条件に従って、1つの物品5を選択する機能である。機能2で選択される物品5は、搬送装置10により次に搬送されるターゲットとなる物品である。機能2は、本実施形態では、一例として、複数の物品5の中から、搬送しやすい物品5を選択する機能である。
【0047】
機能2では、搬送しやすい物品5として、予め設定された条件を満たす物品5を選択する。予め設定された条件は、一例として、容器6内から移動しやすい位置にあることである。容器6から取り出しやすいことを示す条件は、認識装置70に予め記憶されている。
【0048】
容器6内から取り出しやすいことを示す条件としては、例えば、容器6の中央に配置されていることである。容器6の中央に配置されることにより、把持装置30により物品5を把持しやすいためである。または、容器6内で最も高い位置に配置されていることである。認識装置70は、上述の機能2を達成する為に、容器6内での物品5の位置を検出し、かつ、上述の条件を満たす物品5を選択する。なお、条件を複数設定し、より多くの条件を満たす物品5を選択してもよい。なお、搬送しやすい物品5を選択する際に用いられる条件は、上述に限定されない。予め設定された条件は、容器6内から取り出しやすいこと、以外であってもよい。また、機能2により選択する物品は、搬送しやすい条件を満たす物品以外の物品であってもよい。
【0049】
機能3は、機能2により選択された物品5の、形状、姿勢、大きさ、及び位置を検出する機能である。機能3は、具体的には、物品検出装置20により撮影された画像データを画像処理して、機能2により選択された物品5の形状、姿勢、大きさ、及び位置を検出する機能である。
【0050】
なお、機能2を達成する為に検出した情報として、物品5の形状、姿勢、大きさ、及び位置のいずれかを検出している場合は、その検出している情報については機能3で改めて検出することはせず、機能2で検出された情報を利用してもよい。
【0051】
物品5の形状は、一例として、
図6に示すように、外観が四角柱状(直方体及び立方体を含む)である形状がある。四角柱である物品に符号5aを付す。また、物品5の形状は、
図7及び
図8に示すように、外観が円柱状となる形状がある。なお、外観が円柱状となる物品は符号5bを付す。また、物品5の形状は、
図9及び
図10に示すように、外観が三角柱状となる形状がある。なお、外観が三角柱となる物品は、符号5cを付す。
【0052】
また、物品5の形状は、
図11に示すように、外観が板状である形状がある。なお、外観が板状である物品は、符号5dを付す。板状と判断する条件は、厚みが、予め設定された閾値よりも小さい場合である。すなわち、認識装置70は、物品5dの厚みが、予め設定された閾値よりも小さい場合は、物品5dの形状を板状と判断する。なお、物品5の形状は、上述の
図6乃至
図11に示された形状以外にもある。例えば、5角柱等、5角以上となる角形となる端面を有する柱形状である。
【0053】
本実施形態では、認識装置70には、予め、物品5の形状の情報が記憶されている。記憶されている情報は、一例として、四角柱状、三角柱状、円柱状、板形状を示す情報である。機能3の一部は、認識装置70に予め記憶された、上述の様々な形状を示す情報と、画像処理により得られた物品5の形状の情報とに基づいて、物品5の形状を判別する機能である。なお、物品5は、四角柱状、三角柱状、円柱状、板形状ではない場合もある。認識装置70は、物品5が、四角柱状、三角柱状、板形状のいずれでもない場合は、物品5を、四角柱、三角柱、板形状のうち最も近い形状に分類する。
【0054】
物品5の姿勢としては、
図6乃至
図11に示したように、上面7が平面である姿勢、及び上面が平面ではない姿勢がある。すなわち、物品5bのように、形状が円柱である場合、
図7に示すように上面7が平面である姿勢、及び
図8に示すように、軸線が例えば水平方向に平行となり、上面7が曲面となる姿勢がある。
【0055】
また、物品5cのように形状が三角柱である場合、
図9に示すように上面7が1つの面で構成される姿勢、及び、
図10に示すように2つの面8により構成される姿勢がある。なお、ここで言う面8は、四角形の面である。機能3の一部は、物品5の姿勢を検出し、かつ、物品5の上面を特定する機能である。
姿勢の検出方法としては、例えば、オイラー角を用いた検出方法がある。または、物品検出装置20により検出された画像データから、物品5の姿勢を検出してもよい。または、本実施形態では、物品検出装置20は一例として3Dカメラであるので、物品検出装置20から得られた点群データから、物品5の姿勢を検出してもよい。物品5の上面の特定する方法としては、物品の各面のうち、直交ベクトルが鉛直下方向に平行なベクトルとなる面を上面と判定する。または、直交ベクトルが、鉛直下方向に最も近くなる面を上面と判定する。なお、この上面判定方法は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0056】
物品5の大きさは、本実施形態では、物品5の形状及び姿勢に基づいて決定される特定の部位の大きさである。機能3の一部は、物品5の形状及び姿勢に基づいて決定される特定の部位の大きさを検出する機能である。
特定の部位について説明する。本実施形態では、把持装置30は、容器6内に配置されている物品5に対して上方に移動し、上方に位置した状態から把持動作が可能であれば物品5の上部を挟持機構50により挟持する。この為、特定の部位は、物品5の、容器6内に配置された状態での上部となる。この、機能3の一部について、認識装置70の動作を含めて説明する。機能3は、
図6に示すように四角柱である物品5に対しては、上面7の長辺の長さ8a及び短辺の長さ8b、並びに、物品5の高さHを検出する機能である。
【0057】
また、機能3は、
図7に示すように円柱であり上面が平面となる姿勢の物品5bに対しては、上面7の直径D、及び、物品5bの高さHを検出する機能である。また、機能3は、
図8に示すように、円柱であり、上面7が曲面となる姿勢の物品5bに対して、端面9の直径D、及び軸方向の長さLを検出する機能である。
【0058】
また、機能3は、
図9に示すように、三角柱であり上面7が平面となる姿勢の物品5cに対して、上面7の三辺のそれぞれの長さ9a、9b、9c、及び、物品5cの高さHを検出する機能である。また、機能3は、
図10に示すように、三角柱であり上面7が2つの面8から構成される姿勢の物品5cに対しては、軸方向の長さL、及び、両面8の四辺のそれぞれの長さを検出する。また、機能3は、
図11に示すように、板状である物品5dに対しては、上面7の長辺の長さを検出する機能である。
なお、機能3は、本実施形態では、物品5を、四角柱状、三角柱状、円柱状、矩形の板形状のいずれかに分類し、形状及び大きさに応じて挟持機構50により挟持する部位を予め特定している為、上述の部分を特定の部分として大きさを検出している。この為、機能3により特定の部位のみの大きさを検出することは一例であり、これに限定されない。機能3は、物品5の特定の部位だけでなく、全ての大きさを検出してもよい。
【0059】
物品5の位置については、本実施形態では機能2により検出される。この為、物品5の位置については機能2により検出された位置の情報を利用する。
【0060】
動作計画生成装置80は、認識装置70の検出結果に基づいて、吸着面を決定し、把持モードを決定し、物品5において吸着部41が吸着する被吸着部4を決定し、かつ、把持装置30の把持姿勢、把持装置30の把持準備姿勢、把持計画、及び、移動装置60の軌道計画を生成する。なお、ここで言う吸着面は、物品5の容器6内で配置されている状態に基づく。すなわち、把持装置30により把持され、把持装置30が把持姿勢になった状態の物品5の姿勢に基づくものではない。この為、例えば吸着面を上面とした場合であっても、把持姿勢においては側面となる場合がある。
【0061】
[吸着面決定の説明、把持モードの説明、及び被吸着部の説明]
把持モードは、第1の把持モードY1、第2の把持モードY2、及び、第3の把持モードY3がある。
第1の把持モードY1は、
図12,13,14に示すように、第1の配置モードV1、第3の配置モードV3、または、第4の配置モードV4にある挟持機構50により、物品5を、吸着面に対して側面となる面で挟持する把持モードである。
第2の把持モードY2は、
図15,16に示すように、第1の配置モードV1にある挟持機構50の指52,53により物品5の下端を支持し、かつ、第1の指51により吸着面を支持する把持モードである。
第3の把持モードY3は、
図17に示すように、第2の配置モードV2にある挟持機構50により、物品5の下端を支持する把持モードである。
【0062】
被吸着部4は、把持装置30が選択された把持モードにあるときに吸着部41により吸着可能となる部分を被吸着部4とする。すなわち、被吸着部4は、把持装置30が、選択された把持モードにより物品5を把持可能となる部分である。
【0063】
次に、把持モードの選択、及び、被吸着部4の決定について、説明する。動作計画生成装置80は、容器6内に配置された物品5を、上方から把持可能である場合は、物品5の上面7を吸着面とする。具体的には、動作計画生成装置80は、
図6に示すように四角柱状である物品5aに対しては、上面7を吸着部41により吸着する吸着面に決定する。そして、物品5aの上面7の短辺の長さ8bが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下である場合は、第1の把持モードY1を選択する。第1の把持モードY1である場合、吸着部41は、指51及び指52,53の中間位置に配置されている。この為、動作計画生成装置80は、物品5aの上面7の中心を被吸着部4に決定する。このように、動作計画生成装置80は、選択された把持モードに基づいて、被吸着部4を決定する。
【0064】
上面7の短辺の長さ8bが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きい場合は、動作計画生成装置80は第2の把持モードY2または第3の把持モードY3を選択する。具体的には、動作計画生成装置80は、物品5aの重さが、予め設定された閾値より大きい場合は、第3の把持モードY3を選択する。これは、第3の把持モードY3は、3本の指51,52,53により物品5の下端面を支持する為、重い物品5を、より安定して支持できる為である。なお、動作計画生成装置80は、物品5aの重さを物品5aの大きさより推定する。
【0065】
動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2を選択した場合は、第2の把持モードY2である把持装置30により物品5aを把持可能とする為に、上面7の一方の長辺の中間位置から、短辺に平行に上面7の内側に、吸着部41の中心から指52,53の第3の指構成部54cまでの長さとなる部分を、被吸着部4とする。被吸着部4が上述の位置に決定されることにより、把持装置30は、指52,53の第3の指構成部54c上に物品5aを載置することが可能となる。すなわち、把持装置30は、第2の把持モードY2で物品5aを把持可能となる。
【0066】
動作計画生成装置80は、第3の把持モードY3を選択した場合は、第3の把持モードY3である把持装置30により物品5aを把持可能とする為に、上面7の一方の長辺の中間位置から、短辺に平行に上面7の内側に、吸着部41の中心から第1の指51の第3の指構成部54cまでの長さとなる部分を、被吸着部4とする。被吸着部4が上述の位置に決定されることにより、把持装置30は、指52,53の第3の指構成部54c上に物品5aを載置することが可能となる。すなわち、把持装置30は、第3の把持モードY3で物品5aを把持可能となる。
【0067】
図7に示すように、円柱であり上面7が平面となる姿勢の物品5bに対しては、上面7を吸着面に決定する。そして、物品5bの上面7の直径Dが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下である場合は、第1の把持モードY1を選択する。そして、動作計画生成装置80は、第1の把持モードY1で物品5bを把持可能とする為に、上面7の中心を、被吸着部4にする。吸着部41は、その中心線が、上面7の中心を通るように、上面7に吸着される。
【0068】
上面7の直径Dが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2よりも大きい場合は、側面を吸着面に決定する。そして、動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2または第3の把持モードY3を選択する。具体的には、物品5bが、上述の通り所定の重さより重いと判断された場合は、第3の把持モードY3が選択される。そして、動作計画生成装置80は、物品5bの側面の軸方向中間位置を被吸着部4にする。
【0069】
図8に示すように、円柱であり、上面が曲面となる姿勢の物品5bに対しては、動作計画生成装置80は、上面を吸着面に決定する。なお、ここで言う上面とは、物品5bの曲面のうち、上方の部分である。側面は、周面において上面より下方の部分である。そして、動作計画生成装置80は、端面の外径が最大挟持幅以下である場合は第1の把持モードY1を選択する。
【0070】
動作計画生成装置80は、端面の外径が最大挟持幅より大きい場合は、吸着面を側面に決定する。そして、動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2または第3の把持モードY3を選択する。具体的には、動作計画生成装置80は、上述の通り、物品5bが所定の重さより重い場合は、第3の把持モードY3を選択する。そして、動作計画生成装置80は、物品5bの上面7の軸方向中間位置を被吸着部4にする。
【0071】
図9に示すように、三角柱状であり、上面7が平面となる姿勢の物品5cに対しては、動作計画生成装置80は、第4の配置モードV4にある挟持機構50で物品5cを上方から挟持可能である判断すると、上面7を吸着面に決定し、かつ、第1の把持モードY1を選択する。
【0072】
動作計画生成装置80は、具体的には、第4の配置モードV4にある挟持機構50で挟持可能な三角柱の物品5cの情報を有している。具体的には、第4の配置モードV4にある挟持機構50の第1の指51により1つの側面を支持し、第2の指52により1つの側面を支持し、第3の指53により1つの側面を支持可能となる物品5cの情報を有している。動作計画生成装置80は、この情報に基づいて、第4の配置モードV4にある挟持機構50で物品5cを上方から挟持可能か否か判断する。この場合、上面7の形状に応じて、上面7の被吸着部4を決定する。例えば、上面7が正三角形である場合は、上面7の中心を吸着部41で吸着する被吸着部4とする。または、上面7が正三角形でない場合は、3つの側面を、指51,52,53で安定して挟持できる位置を、被吸着部4とする。すなわち、第4の配置モードV4にある挟持機構50が第1の把持モードY1で物品5cを挟持可能となる部分を、被吸着部4とする。
【0073】
動作計画生成装置80は、第4の配置モードV4にある挟持機構50で物品5cを挟持できないと判断すると、物品5cの3つの側面のうちの1つの側面を、吸着部41が吸着する吸着面にする。具体的には、3つの側面のうち、把持装置30がアクセス可能な側面を吸着面とする。そして、動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2または第3の把持モードY3を選択する。具体的には、動作計画生成装置80は、物品5cが上述の通り所定の重さより重いと判断する場合は、第3の把持モードY3を選択する。
【0074】
動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2を選択した場合は、吸着面として設定された側面において物品5cの軸方向の中間位置であって、側面においてこの軸方向に沿う縁から内側に、吸着部41の中心から第2の指52及び第3の指53の第3の指構成部54cまでの長さとなる部分を被吸着部4とする。
【0075】
動作計画生成装置80は、第3の把持モードY3を選択した場合は、吸着面として設定された側面において物品5cの軸方向の中間位置であって、側面においてこの軸方向に沿う縁から内側に、吸着部41から第1の指51の第3の指構成部54cまでの長さとなる部分を被吸着部4とする。
【0076】
図10に示すように、三角柱状であり、上面7が2つの面8から構成される姿勢である物品5cに対しては、動作計画生成装置80は、上面7を構成する2つの面8のうち、短辺の長さが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下となる面を吸着面に決定する。なお、2つの面8が、いずれも、短辺の長さが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下となる面である場合は、いずれか一方の面が、例えば2つの面のうち面積の大きい面が吸着面に決定される。そして、動作計画生成装置80は、第1の把持モードY1を選択し、吸着面の中心を被吸着部4とする。
【0077】
また、上面7を構成する2つの面8のそれぞれの短辺の長さが、第3の配置モードV3の状態にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きい場合は、動作計画生成装置80は、いずれか一方の面8を吸着面に決定する。そして、動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2を選択する。そして、動作計画生成装置80は、吸着面として設定された面8において物品5cの軸方向の中間位置であって、面8の長手方向に沿う縁から内側に、短手方向に平行な方向に沿って、吸着部41の中心から第2の指52の第3の指構成部54cまでの長さとなる位置を被吸着部4とする。
【0078】
図11に示すように、板状である物品5dに対しては、動作計画生成装置80は、把持装置30がアクセス可能な主面を吸着面に設定する。例えば、
図11に示すように、一方の主面が上面7を構成する場合は、上面7を吸着面に設定する。そして、動作計画生成装置80は、第2の把持モードY2を選択する。そして、動作計画生成装置80は、上面7の短辺の中間位置から内側に、短辺に平行な方向に沿って、吸着部41の中心から第2の指52の第2の指構成部54bまでの長さとなる位置を、被吸着部4とする。
【0079】
[把持姿勢の説明]
次に、把持姿勢について説明する。把持姿勢は、把持装置30により物品5を安定して把持可能となる、把持装置30の位置、把持装置30の姿勢、挟持機構50の状態、及び指51,52,53の姿勢を示す。
把持装置30の位置は、例えば互いに直交する3軸の座標で表される。この3軸の座標は、移動装置60や把持装置30で共通して用いられる、位置を示す情報である。把持装置30の姿勢は、吸着部41の中心線延びる方向の、上記3軸の座標系内での姿勢である。
【0080】
動作計画生成装置80は、物品5の被吸着部4の位置、及び物品5の周囲の状況に基づいて、把持姿勢を決定する。物品5の周囲の状況は、把持装置30により把持されるターゲットとなる物品5、及び周囲に配置された物品5の間の隙間、または、ターゲットとなる物品5及び容器6の内面との間の隙間である。
【0081】
具体的には、動作計画生成装置80は、把持姿勢の要素である把持装置30の位置を、ターゲットとなる物品5の位置に応じて決定する。動作計画生成装置80は、把持姿勢の要素である把持装置30の姿勢を、物品5の吸着面に応じて決定する。
動作計画生成装置80は、本実施形態では、物品5の被吸着部4の位置、物品5の周囲の状況、及び上述の通り選択された把持モードに基づいて、把持姿勢の要素である挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1,第2の配置モードV2,第3の配置モードV3,及び、第4の配置モードV4のいずれかを選択する。
【0082】
挟持機構50の状態の選択、及び、把持姿勢における把持装置30の姿勢について、具体的に説明する。動作計画生成装置80は、
図6に示すように四角柱である物品5aに対しては、上面7の短辺の長さが第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。
【0083】
この場合の、把持装置30の把持姿勢における姿勢は、
図12に示すように、吸着部41が被吸着部4を吸着し、かつ、第1の配置モードV1にある挟持機構50が第1の把持モードY1により、物品5aを上面7の短辺に平行な方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0084】
また、動作計画生成装置80は、上面7の短辺が第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1より大きく、かつ、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第3の配置モードV3を選択する。
【0085】
この場合の挟持姿勢における把持装置30の姿勢は、吸着部41が被吸着部4を吸着し、かつ、第3の配置モードV3にある挟持機構50が第1の把持モードY1により物品5aを上面7の短辺に平行な方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0086】
また、動作計画生成装置80は、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きい場合であり、第2の把持モードY2が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。
【0087】
この場合、
図15に示すように、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、吸着部41が被吸着部4を吸着し、第1の配置モードV1にある挟持機構50が第2の把持モードにより物品5の側面を吸着し、吸着部41の中心線が水平方向と平行となる姿勢である。なお、物品5が容器6内に配置された状態では、吸着面は物品5の上面である。吸着部41により物品5の上面を吸着した後、把持装置30が変位されることにより、吸着面が側面に変更される。
【0088】
また、動作計画生成装置80は、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きい場合であり、第3の把持モードY3が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第2の配置モードV2を選択する。
【0089】
この場合、
図17に示すように、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、吸着部41が被吸着部4を吸着し、第2の配置モードV2にある挟持機構50が第3の把持モードY3により物品5の下端面を支持し、吸着部41の中心線が水平方向となる姿勢である。なお、物品5が容器6内に配置された状態では、吸着面は物品5の上面である。吸着部41により物品5の上面を吸着した後、把持装置30が変位されることにより、吸着面が側面に変更される。
【0090】
また、動作計画生成装置80は、
図7に示すように上面7が平面である円柱状である物品5bに対しては、上面7の直径Dが第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下であり、第1の把持モードY1を選択している場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。
この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図12と同様に、吸着部41に中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0091】
また、動作計画生成装置80は、上面7の直径Dが、第1の配置モードV1にある状態の挟持機構50の最大挟持幅W1よりも大きく、第3の配置モードV3にある状態の挟持機構50の最大挟持幅W2以下であり、第1の把持モードY1を選択している場合は、挟持機構50の状態として、第3の配置モードV3の状態を選択する。
この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図12と同様に、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0092】
また、動作計画生成装置80は、
図8に示すように円柱状形状であって上面7が曲面となる物品5bに対しては、端面の直径が第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下である場合は、
図13に示すように、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1または第3の配置モードV3を選択する。
【0093】
具体的には、物品5bの端面9の直径が、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図13に示すように、吸着部41が物品5bの曲面となる上面の被吸着部4を吸着し、第1の配置モードV1の挟持機構50が物品5bを、物品5bの径方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0094】
物品5bの端面9の直径Dが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1より大きく、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第3の配置モードV3を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図13と同様に、吸着部41が物品5bの曲面となる上面7の被吸着部4を吸着し、第3の配置モードV3にある挟持機構50が物品5bを物品5bの径方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
物品5bの端面9の直径Dが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1より大きく、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きく、第2の把持モードY2が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図15と同様であり、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0095】
物品5bの端面9の直径Dが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1より大きく、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きく、第3の把持モードY3が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第2の配置モードV2を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図17と同様であり、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0096】
また、動作計画生成装置80は、
図9に示すように、三角柱状であって上面7が平面である物品5cに対しては、物品5cを第4の配置モードV4にある挟持機構50で上方から挟持可能であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、挟持機構50の状態として第4の配置モードV4を選択する。
【0097】
この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図19に示すように、吸着部41が、物品5cの上面7の被吸着部4を吸着し、かつ、挟持機構50では第1の指51が3つの側面のうち1面に当接し、第2の指52が残り1の2つの側面のうち1面に当接、第3の指53が残りの1面に当接することにより、物品5cを挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0098】
また、動作計画生成装置80は、第4の配置モードV4にある挟持機構50による物品5の把持が不可能であると判断されて第2の把持モードY2が選択されている場合は、第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図15と同様であり、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0099】
また、動作計画生成装置80は、第4の配置モードV4にある挟持機構50による物品5の把持が不可能であると判断されて第3の把持モードY3が選択されている場合は、第2の配置モードV2を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図19と同様であり、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0100】
また、動作計画生成装置80は、
図10に示すように、三角柱状であって、上面7が2つの面8により構成された物品5cに対しては、吸着面に決定された面8の短辺の長さが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下であり、第1の把持モードY1が選択されている場合は、
図14に示すように、挟持機構50の状態として第1の配置モードV1または第3の配置モードV3を選択する。
【0101】
動作計画生成装置80は、具体的には、吸着面となる面8の短辺が、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下である場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図14と同様に、吸着部41が吸着面に決定された面8の被吸着部4に吸着され、かつ、第1の配置モードV1にある挟持機構50が、第1の把持モードY1により物品5cを吸着面となる面8の短辺に平行な方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0102】
動作計画生成装置80は、吸着面となる面8の短辺が、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1より大きく、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下であり、第1の把持モードY1が選択されている、挟持機構50の状態として、第3の配置モードV3を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図14と同様に、吸着部41が、吸着面に決定された面8の被吸着部4を吸着し、かつ、物品5cを、第3の配置モードV3にある挟持機構50が、第1の把持モードY1により吸着面の短辺に平行な方向に挟持し、吸着部41の中心線が上下方向に平行となる姿勢である。
【0103】
動作計画生成装置80は、吸着面となる面8の短辺が、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きく第2の把持モードY2が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図15と同様に、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0104】
動作計画生成装置80は、吸着面となる面8の短辺が、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2より大きく第3の把持モードY3が選択されている場合は、挟持機構50の状態として、第2の配置モードV2を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図17と同様に、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0105】
動作計画生成装置80は、矩形の板状である物品5dに対しては、第2の把持モードY2が選択されている場合は、挟持機構50の状態として第1の配置モードV1を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図16に示すように、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。または、第3の把持モードY3が選択されている場合は、挟持機構50の状態として第2の配置モードV2を選択する。この場合、把持姿勢における把持装置30の姿勢は、
図17に示すように、吸着部41の中心線が水平方向に平行となる姿勢である。
【0106】
次に、把持姿勢の要素である、指51,52,53の姿勢について説明する。指51,52,53の姿勢とは、上述のように選択された、被吸着部4、把持モード、挟持機構50の状態に基づいて決定される、指51,52,53が物品5を安定して支持する為の姿勢である。本実施形態では、指51,52,53が指構成部54b,54cを有する構造であることから、指51,52,53の姿勢は、指51,52,53のそれぞれの第2の指構成部54b及び第3の指構成部54cの角度である。
【0107】
把持準備姿勢は、物品5に対して把持動作を開始するときの、把持装置30の位置、及び把持装置30の姿勢を示す。把持準備姿勢での挟持機構50の状態は、把持姿勢での状態と同じである。把持準備姿勢での指51,52,53の姿勢は、例えば、
図1に示すように指51,52,53が全開となる姿勢である。
【0108】
本実施形態では、把持準備姿勢における把持装置30の姿勢は、一例として、物品5の吸着面が平面である場合は吸着部41の中心線が、吸着面に直交する方向に平行となる姿勢であり、物品5の吸着面が曲面である場合は吸着部41の中心線が、被吸着部4の法線と平行となる姿勢である。
【0109】
本実施形態では、把持準備姿勢における把持装置30の位置は、一例として、吸着部41の中心線が被吸着部を通り、かつ、吸着部41が物品5から予め決定された所定距離はなれた位置である。
【0110】
把持計画は、把持装置30を、把持準備姿勢から把持姿勢まで変位する為に必要な、移動装置60及び把持装置30を動作する為の動作情報である。具体的には、把持装置30の各駆動部55aの回転角度や、移動装置60の駆動力を発生する各種モータの回転角度等の情報である。
【0111】
移動装置60の軌道計画は、把持姿勢にある把持装置30、及び把持姿勢にある把持装置30に把持された物品5を、目的場所まで、周囲の別の物品や他の構造物に接触することなく移動する為の移動装置60の動作する為の情報である。本実施形態では、軌道計画は、物品5を目的場所まで、周囲に接触することなく、かつ、最短距離で移動する為に必要な、動作情報である。この動作情報は、具体的には、移動装置60の各種モータの回転角度等である。
【0112】
また、動作計画生成装置80は、第1の制御モード及び第2の制御モードを有している。動作計画生成装置80は、物品5に応じて、第1の制御モードまたは第2の制御モードを選択する。
【0113】
第1の制御モードは、吸着部41により物品5が吸着された後、挟持機構50により物品5を挟持するモードである。第2の制御モードは、挟持機構50により物品5が挟持された後、吸着部41により物品5を吸着するモードである。
【0114】
コントローラ90は、移動装置60の動作を制御可能に構成されている。コントローラ90は、また、動作計画生成装置80が生成した軌道計画に基づいて、移動装置60を制御する。
次に、搬送装置10の動作を、
図20乃至
図28を用いて説明する。
図20は、搬送装置10の動作を示すフローチャートである。
図21は、搬送装置10の動作の要部を示すフローチャートである。
図21は、具体的には、搬送装置10の第1の制御モードでの動作を示すフローチャートである。
【0115】
図22は、搬送装置10が、第1の制御モードで物品5aを把持する動作を示す斜視図である。
図23は、搬送装置10が、第1の制御モードで物品5aを把持する動作を示す斜視図である。
図24は、搬送装置10が、第1の制御モードで物品5aを把持する動作を示す斜視図である。
図25は、搬送装置10が、第1の制御モードで物品5aを把持する動作を示す斜視図である。
【0116】
図26は、搬送装置10の動作の要部を示すフローチャートである。
図26は、具体的には、搬送装置10の第2の制御モードの動作を示すフローチャートである。
図27は、搬送装置10の第2の制御モードの動作を示す斜視図である。
図28は、搬送装置10の第2の制御モードの動作を示す斜視図である。
【0117】
図20に示すように、物品検出装置20は、容器6内を撮影する(ステップS1)。物品検出装置20は、撮影した画像のデータを、認識装置70に送信する。
認識装置70は、物品検出装置20から送信された画像データを画像処理する(ステップS2)。認識装置70は、画像処理の結果に基づいて、容器6内に物品5の有無を確認する(ステップS3)。認識装置70は、容器6内に物品5がないと判断すると(ステップST3のNo)、動作を終了する(End)。
【0118】
認識装置70は、画像処理の結果に基づいて、容器6内に物品5があると判断すると(ステップS3のYes)、機能1により、画像データを再度画像処理することによって、物品5が複数ある場合は物品5を1つずつ認識する(ステップS4)。すなわち、認識装置70は、容器6内に複数の物品5がある場合は、それぞれを所謂切り分けることにより、1つずつ認識する。
【0119】
認識装置70は、容器6内の複数の物品5を1つずつ認識すると、機能2により、これら複数の物品5から、1つの物品5を選択する(ステップS5)。なお、本実施形態では、搬送装置10により次に搬送されるターゲットとなる物品5を選択する。この選択基準は、上述のように、容器6内から移動しやすいことである。認識装置70は、画像処理により得られた容器6内の状況に基づいて、移動しやすい物品5を選択する。
【0120】
認識装置70は、複数の物品5から1つの物品5を選択すると、機能3により、再度画像処理を行って、選択した物品5の、形状、姿勢、大きさ、及び位置を検出する(ステップS6)。
【0121】
認識装置70は、選択した物品5の、形状、姿勢、大きさ、及び位置を検出すると、検出した情報、すなわち、選択した物品5の形状、姿勢、大きさ、及び位置の情報を動作計画生成装置80に送信する(ステップS6)。
【0122】
ここで、認識装置70のステップS6での動作について、一例を説明する。ステップS5で選択された物品5が、
図6に示すように、形状は四角柱状であり、姿勢は上面7が平面となる姿勢であり、上面7の短辺の長さが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下である物品5aである場合は、認識装置70は、ステップS5で選択された物品5aに対して、形状は、四角柱状であると判断する。
【0123】
また、認識装置70は、物品5aの姿勢は、上面7が平面となる姿勢であると判断する。また、認識装置70は、物品5aの大きさについては、上面7の短辺が第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下であると判断する。また、認識装置70は、物品5aの容器6内での位置を検出する。認識装置70は、物品5aの、形状、姿勢、大きさ、及び位置の情報を、動作計画生成装置80に送信する。
【0124】
動作計画生成装置80は、認識装置70から情報を受信すると、受信した情報に基づいて、把持モードとして第1の把持モードY1を選択し、物品5aにおいて吸着部41が吸着する被吸着部4を決定し、かつ、把持装置30の把持姿勢、及び把持装置30の把持準備姿勢を生成し、物品5に対して第1の制御モードまたは第2の制御モードを選択する(ステップS7)。
【0125】
ここで、動作計画生成装置80のステップS7での動作について、物品5が、
図6に示すように、形状は四角柱状であり、姿勢は上面7が平面となる姿勢であり、上面7の短辺の長さが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下である物品5aである場合について、説明する。
【0126】
動作計画生成装置80は、まず、上面7を、吸着部41により吸着する吸着面に決定する。動作計画生成装置80は、次に、把持モードとして第1の把持モードY1を選択する。次に、動作計画生成装置80は、また、動作計画生成装置80は、物品5aの上面7の短辺の長さが、第3の配置モードV3にある挟持機構50の最大挟持幅W2以下であることから、上面7の中心を被吸着部4に決定する。
【0127】
さらに、動作計画生成装置80は、挟持機構50の状態として、第1の配置モードV1を選択する。さらに、動作計画生成装置80は、容器6内の物品5aの位置や周囲の別の物品5の位置の情報等に基づいて、把持姿勢を生成する。
【0128】
さらに、動作計画生成装置80は、把持準備姿勢を生成する。動作計画生成装置80は具体的には、第1の配置モードV1にある挟持機構50の第1乃至第3の指51,52,53が最大に開かれ、かつ、吸着部41の中心線が、上面7に直交する方向に平行となる姿勢とする。さらに、動作計画生成装置80は、吸着部41の中心線が物品5aに設定された被吸着部4を通り、かつ、吸着部41が物品5aから所定距離離れた位置を把持準備姿勢での把持装置30の位置に決定する。
【0129】
さらに動作計画生成装置80は、物品5が移動しにくい形状である場合は、第1の制御モードを選択し、物品5が移動しやすい形状である場合は、第2の制御モードを選択する。なお、移動しやすいとは、容器6内で移動しやすいことである。例えば、形状が円柱状であり、上面が曲面となる姿勢の物品5aは、転がりやすい。このように、転がりやすいことは、移動しやすいことである。なお、動作計画生成装置80は、予め、移動しやすい形状についてのデータが記憶されている。例えば、下面が曲面である形状は、移動しやすい。円柱は、移動しやすい形状として記憶されている。この為、動作計画生成装置80は、物品5aに対して、第1の制御モードを選択する。
【0130】
動作計画生成装置80は、物品5の、把持準備姿勢、及び把持姿勢を生成し、かつ、第1の制御モードまたは第2の制御モードを選択すると、把持装置30を把持準備姿勢とするべく、現在位置から把持準備姿勢とする為の軌道計画を生成する。また、動作計画生成装置80は、軌道計画を生成すると、軌道計画をコントローラ90に送信する(ステップS8)。
【0131】
コントローラ90は、動作計画生成装置80から軌道計画を受信すると、軌道計画に基づいて移動装置60を動作させて、把持装置30を把持準備姿勢にする。移動装置60は、具体的には、吸着部41の向く方向を調整する。すなわち、移動装置60は、把持装置30を、物品5に設定された吸着面が平面である場合は、吸着部41の中心線が吸着面の直交方向に平行になり、選択された把持モードで把持可能となる姿勢に変位する。移動装置60は、物品5に設定された吸着面が曲面である場合は、把持装置30を、吸着部41の中心線が被吸着部4の法線に平行となる姿勢に変位する(ステップS9)。
【0132】
把持装置30が把持準備姿勢に変位されると、動作計画生成装置80が把持装置30を制御し、かつ、コントローラ90が移動装置60を制御することにより、把持装置30により物品5を把持し、把持装置30を把持姿勢に変位する(ステップS10)。
【0133】
ここで、ステップS10での、動作計画生成装置80及びコントローラ90の動作の一例として、物品5が、
図6に示すように、形状は四角柱状であり、姿勢は上面7が平面となる姿勢であり、上面7の短辺の大きさが、第1の配置モードV1にある挟持機構50の最大挟持幅W1以下である物品5aについて、説明する。なお、
図21に示すフローチャートは、ステップS10での具体的なフローを示している。
【0134】
図22は、把持装置30が、把持準備姿勢である状態を示している。動作計画生成装置80は、
図21に示すように、まず、バルブ44を開く(ステップS21)。動作計画生成装置80は、次に、真空発生器45を起動する(ステップS22)。動作計画生成装置80は、次に、圧力センサ46の検出結果を、予め設定された閾値と比較する(ステップS23及びステップS24)。
【0135】
圧力センサ46の検出結果は、吸着部41が物品5に吸着されると高くなる。上述の閾値は、吸着部41が物品5に吸着されたか否かを判断する値である。圧力センサ46の検出結果が閾値以上であると、吸着部41が物品5に吸着されたと判断する。閾値は、把持装置30を移動しても、吸着部41が物品5から外れない程度の値に設定されている。閾値は、予め実験等によって得ることができる。
【0136】
動作計画生成装置80が圧力センサ46の検出結果が閾値未満であると判断すると、(ステップS24のNo)、コントローラ90が移動装置60を駆動して、吸着部41を物品5aに近づける(ステップS25)。具体的には、コントローラ90は、吸着部41を、当該吸着部41の中心線に平行な方向に沿って物品5a側に移動するべく、移動装置60を制御する。
【0137】
なお、移動装置60の移動量には、限界値が設定されている。限界値は、把持装置30が、物品5の検出された位置を越えてさらに所定距離移動する量である。コントローラ90は、移動装置60の移動量が限界値となったか否かを判断する(ステップS26)。換言すると、コントローラ90は、移動装置60の位置が、移動量が限界値となった時の限界位置にあるか否かを判断する。
【0138】
コントローラ90は、移動装置60が、限界位置に到達するまでは、移動装置60の位置を監視する(ステップS23、ステップS24、ステップST25、及びステップS26のNo)。コントローラ90は、移動装置60が限界位置まで移動した状態においても、圧力センサ46の検出結果が閾値未満であると判断すると(ステップS26のYes)、エラーを報知する(ステップS27)。このエラーの報知は、周囲の作業者がわかるような報知であればよい。エラー報知としては、例えば、ランプの点等や、スピーカから音を出すことである。
【0139】
動作計画生成装置80が、圧力センサ46の検出結果が閾値以上であると判断すると(ステップS24のYes)、コントローラ90は、移動装置60を静止させる(ステップS28)。なお、この状態は、
図23に示すように、吸着部41が被吸着部4を吸着している状態である。
【0140】
コントローラ90が移動装置60を静止させると、動作計画生成装置80は、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53のそれぞれのトルクセンサ56の出力を確認する(ステップS29)。
【0141】
動作計画生成装置80は、第1の指51のトルクセンサ56の検出結果が閾値以上であるか否かを判断する。第1の指51が物品5aを押圧している状態では、トルクセンサ56の検出結果が上昇する。ここで言う閾値は、挟持機構50が十分な挟持力で物品5を挟持している状態でのトルクである。十分な挟持力とは、物品5を容器6から目的場所に移動する際に、物品5が落下することがない程度の挟持力である。閾値は、予め実験によって得ことができる。なお、閾値は、把持姿勢によって決定されてもよい。すなわち、第1の把持モードY1での閾値、第2の把持モードY2での閾値、第3の把持モードY3での閾値は、それぞれ異なっていてもよい。
【0142】
動作計画生成装置80は、第1の指51のトルクセンサ56の検出結果が閾値未満であると判断すると(ステップS30のNo)、
図24に示すように、第1の指51の駆動部55aを、挟持機構50により物品5aを挟持するべく、駆動する(ステップS31)。
【0143】
また、動作計画生成装置80は、第2の指52及び第3の指53に対しても、同様に、トルクセンサ56の検出結果を確認し(ステップS32、及びステップS35)、トルクセンサ56の検出結果と閾値とを比較し(ステップS33、及びステップS36)、駆動部55aを駆動する(ステップS34、及びステップS37)。
【0144】
動作計画生成装置80は、また、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53のそれぞれのトルクセンサ56の検出結果が閾値未満であるうちは(ステップS38、及びステップS39のNo)、ステップS7で生成された把持姿勢に基づいて、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53のそれぞれの駆動部55aを駆動する(ステップS23乃至ステップS39)
動作計画生成装置80は、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53のトルクセンサ56の検出結果が、閾値以上であると判断すると(ステップS38、及びステップS39のYes)、
図25に示すように、挟持機構50による物品5aの挟持が完了したと判断する。
なお、動作計画生成装置80は、把持姿勢として、指51,52,53の姿勢を決定している。動作計画生成装置80は、指51,52,53が決定された把持姿勢となるように駆動部55aを駆動する。ステップS32,35,38でのトルクセンサの検出値の確認は、フィードバック用である。
【0145】
動作計画生成装置80及びコントローラ90は、物品5aの挟持が完了したと判断すると、把持装置30の姿勢を変位する。なお、物品5aの把持完了時点の姿勢が把持姿勢での姿勢と同じである場合は、そのままとする。また、コントローラ90は、移動装置60を駆動して、把持装置30を把持姿勢での位置まで移動する(ステップS40)。なお、ステップS40では、位置の移動、姿勢の変位は、どちらを先に行ってもよい。
【0146】
このように、ステップS10の動作が完了すると、動作計画生成装置80は、把持装置30を把持姿勢から目的場所まで移動する為の移動装置60の軌道計画を生成する。動作計画生成装置80は、軌道計画の生成が完了すると、軌道計画をコントローラ90に送信する(ステップS11)。
【0147】
コントローラ90は、動作計画生成装置80から受信した軌道計画に基づいて移動装置60を駆動し、把持装置30を目的場所に移動する(ステップS12)。動作計画生成装置80は、把持装置30が目的場所まで移動されると、吸着機構40及び挟持機構50を駆動して、物品5aを離す(ステップS13)。動作計画生成装置80及びコントローラ90は、容器6内の全ての物品5が目的場所に移動されるまで、ステップS1からステップS11の動作を繰り返す。
【0148】
なお、把持モードとして第2の把持モードY2または第3の把持モードY3が選択された場合も、把持装置30は、
図20及び
図21に示されたステップS1乃至ステップS39の動作により、物品5を把持することができる。なお、把持モードとして第2の把持モードY2または第3の把持モードY3が選択された場合は、ステップS10において、吸着機構40による物品5の吸着が完了した後に、挟持機構50を駆動する前に、コントローラ90が移動装置60を駆動することにより、物品5を上方に移動してもよい。
【0149】
この移動量は、第2の把持モードY2が選択された場合では、第2の指52及び第3の指53が物品5の下端面を支持するべく第2の指52及び第3の指53の移動代を確保できる程度でよい。第3の把持モードY3が選択された場合では、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53が、物品5の下端面を支持するべく第1の指51、第2の指52、及び第3の指53が移動する移動代を確保できる程度でよい。
【0150】
次に、把持計画として、第2の制御モードが選択された場合の搬送装置10の動作を、
図26乃至
図28を用いて説明する。動作計画生成装置80は、形状が円柱であり、上面が曲面となる姿勢である物品5bに対しては、把持計画として第2の制御モードを選択する。なお、第2の制御モードでの動作は、
図21のステップS10の動作のみが異なる。
図26は、第2の制御モードでのステップS10の動作を示している。この為、第2の制御モードが選択された場合の搬送装置10の動作として、
図26に示されたステップS10のみ説明する。
【0151】
動作計画生成装置80は、把持装置30が把持準備姿勢となると、第1の指51のトルクセンサ56の検出結果と閾値とを比較する(ステップS50、及びステップS51)。動作計画生成装置80は、第1の指51のトルクセンサ56の検出結果が、閾値未満であると判断すると(ステップS51のNo)、挟持機構50により物品5bを挟持するべく、
図27に示すように第1の指51の駆動部55aを駆動する(ステップS52)。
【0152】
動作計画生成装置80は、同様に、第2の指52及び第3の指53に対しても、トルクセンサ56の検出結果と閾値とを比較し(ステップS53、及びステップS56)、トルクセンサ56の検出結果が閾値未満であると判断すると(ステップS54のNo,及びステップS57のNo)、
図28に示すように駆動部55aを駆動する(ステップS55、及びステップS56)。
【0153】
また、動作計画生成装置80は、全ての指のトルクセンサ56の検出結果が、閾値以上であると判断するまでは(ステップS59、及びステップS60のNo)、第1の指51の駆動部55a、第2の指52の駆動部55a、及び第3の指53の駆動部55aを駆動し続ける(ステップS50乃至ステップS60)。
【0154】
ステップS50乃至ステップS60の動作により、把持装置30が
図27及び
図28に示すように、第1の指51、第2の指52、及び第3の指53を屈曲することによって、挟持機構50が物品5bを挟持する。挟持機構50が物品5bを挟持することにより、吸着部41が物品5bに対向する。
【0155】
動作計画生成装置80は、挟持機構50により物品5bが挟持されると、次に、バルブ44を開いて真空発生器45を起動する(ステップS61、及びステップS62)。動作計画生成装置80は、真空発生器45を起動すると、圧力センサ46と閾値とを比較する(ステップS63、及びステップS64)。動作計画生成装置80は、圧力センサ64の検出結果が閾値以上になるまでは、真空発生器45を駆動し、圧力センサ64の検出結果を監視する(ステップS64のNo,ステップS62、及びステップS63)。動作計画生成装置80は、圧力センサ46の検出結果が閾値以上であると判断すると(ステップS64のYes)、把持装置30を把持位置での位置に移動し、かつ、把持位置での姿勢に変位して(ステップS65)、ステップS11に進む。
【0156】
このように、把持装置30は、吸着部41による吸着、及び挟持機構50による挟持によって、物品5を把持することができるので、物品5を安定して保持することが可能となる。この点について、具体的に説明する。
【0157】
第1の指51、第2の指52、及び第3の指53は、基部31に対して回動して互いに近づく方向に変位することにより、少なくとも2つの指間に、物品5を挟持する。このように、指の回動により物品を挟持する場合、物品は、2つの指から挟持力を受けるとともに、2つの指から押し出す方向に作用する力を受ける。この、2つの指の間から押し出す方向に作用する力により、物品5が挟持機構50より外れてしまう場合が想定される。
【0158】
しかしながら、本実施形態では、吸着部41による吸着力は、上述の、2つの指の間から押し出す方向に対して逆方向に作用する。この為、挟持機構50により物品5が挟持された状態において物品5が吸着部41により吸着されるので、物品5が挟持機構50から押し出されることが防止される。この為、把持装置30は、物品5を安定して把持することが可能となる。
【0159】
さらに、把持装置30による物品5の把持モードとして、第1の把持モードY1、第2の把持モードY2、及び第3の把持モードY3を有しており、物品5の形状、姿勢、大きさ、位置に応じて、第1の把持モードY1、第2の把持モードY2、及び第3の把持モードY3のなから適切な把持モードを選択することにより、物品5を安定して把持することが可能となる。
【0160】
さらに、円柱状であって、上面7が曲面となる物品5bに対しては、把持準備姿勢にある把持装置30を、把持姿勢まで変位する際に、第2の制御モードを選択することは、有効である。この点について、具体的に説明する。
【0161】
物品5bは、円柱であることから、容器6内で移動しやすい。この為、物品検出装置20の検出結果に基づいて認識装置70が物品5bの位置を検出した後で、物品5bの位置が移動する場合が想定される。または、移動装置60の移動の精度によっては、吸着部41が被吸着部4からずれた位置に移動される場合も想定される。
【0162】
このような場合であっても、負圧供給装置42を駆動する前に挟持機構50により物品5bを挟持することにより、物品5bを掌部32に対向する位置、すなわち吸着部41に対向する位置に導くことができる。このように物品5bが吸着部41に対向する位置に導かれた後に負圧供給装置42が駆動されると、吸着部41により物品5bを吸着することができる。また、物品5bのように、移動しやすい物品5に対しても、同様に、第2の制御モードで動作されることは有効である。
【0163】
なお、本実施形態では、第1乃至第3の指51,52,53は、それぞれ、1つの駆動部55aによって、第2の指構成部54b及び第3の指構成部54cが回動される劣駆動システムである。しかしながら、劣駆動システムであることに限定されない。第2の指構成部54bを回動する専用の駆動部、及び、この駆動部とは別であり、第3の指構成部54cを回動する専用の駆動部を有してもよい。要するに、挟持機構50は、物品5を挟持可能に構成されればよい。
【0164】
なお、本実施形態では、物品5は、容器6に入れられているが、物品5の置き方は限定されない。物品5は、机の上に置かれていてもよいし、コンベアで搬送されていていてもよい。または、物品5は、棚に入れられていてもよい。また、物品5は、ばら積み状態であってもよいし、整然と積まれていてもよい。または、物品5は、単体で置かれていてもよい。
【0165】
また、認識装置70による画像処理の手法や、複数検出された物品5から一つの物品5を選択する基準(条件)は、限定されない。また、物品検出装置20は、3Dカメラに限らず、RGBカメラ、またはその他の光学センサを使用してもよいし、または、これらを複数組合せて用いて構成されてもよい。物品検出装置20が3Dカメラを用いる構成の場合には、得られた点群データを処理することで物品群の切り分けと物品5の形状、位置、および姿勢の認識を行うことが可能となる。
【0166】
また、本実施形態では、移動装置60は、一例として6軸自由度のロボットアームであるが、これに限定されない。移動装置60は、7軸自由度のロボットとしてもよいし、または、5軸以下の自由度のロボットとしてもよい。または、移動装置60は、スカラロボットやXYZステージなどとしてもよい。
【0167】
また、本実施形態では、移動装置60は、固定設備としているが、リニアステージや自走台車等に載せて移動可能としてもよい。
【0168】
また、本実施形態では、挟持機構50は、各指51,52,53が、それぞれ駆動部55aを有しているが、これに限定しない。1つの駆動部により、複数の指を駆動してもよい。
【0169】
また、本実施形態では、駆動部55aの駆動力により指本体54を駆動する駆動力伝達機構55bは、一例として、劣駆動システムであるが、これに限定されない。また、駆動力伝達機構55bは、例えば、ワイヤ駆動、ベルト‐プーリ機構、及び、歯車伝達機構の少なくとも1つから構成されてもよい。
【0170】
また、本実施形態では、各指の第2の関節57bは劣駆動軸としているが、第1の関節57aに対する従動軸としてもよい。また、指先駆動用のサーボモータを別途設けて第2の関節57bの角度およびトルクを任意に制御可能としてもよい。
【0171】
また、本実施形態では、駆動部55aは、一例として、サーボモータであるが、これに限定されず、DCモータやブラシレスDCモータであってもよい。また、エンコーダもサーボモータ内蔵のものでなく、別途取付けてもよい。
【0172】
また、各指は、空気圧で屈曲する人工筋肉で構成されてもよい。この場合、人工筋肉が駆動力伝達機構55bとなり、ポンプが駆動部55aとなる。
また、本実施形態では、吸着部41は、蛇腹状の構造として伸縮可能に構成されたが、これに限定されない。他の例では、吸着部41は、掌部32の表面33に設けられた開口であってもよい。また、この開口にフィルタを設けてもよい。
【0173】
また、本実施形態では、吸着部41により物品5が吸着されているか否かを、圧力センサ46により検出している。しかしながら、圧力センサ46を用いることに限定されない。他の例では、配管47内の空気の流量を検出する流量センサが用いられてもよいし、圧力センサ46及び流量センサの両方を併用してもよい。
【0174】
また、本実施形態では、吸着部41は、1つ設けられたが、これに限定されない。他の例では、吸着部41は、複数設けられてもよい。吸着部41は、掌部32に設けられたがこれに限定されない。他の例では、掌部32に加えて、各指の任意箇所、例えば第2の指構成部54bや第1の指構成部54aにも吸着部41が設けられてもよい。
【0175】
また、本実施形態では、動作計画生成装置80は、把持装置30の駆動を制御する制御装置としても機能した。しかしながら、動作計画生成装置80が把持装置30の動作を制御することに限定されない。動作計画生成装置80とは別に、把持装置30の動作を制御する制御装置が用いられてもよい。
【0176】
なお、本実施形態では、第1の把持モードY1で把持可能な物品5に対しては、第1の把持モードY1を採用しているが、これに限定されない。例えば、第1の把持モードY1で把持可能である場合であっても、所定の重さより大きいと判断された物品5に対しては、第3の把持モードY3を採用してもよい。
【0177】
また、容器6内に配置されており、把持装置30により把持される前の物品5の姿勢と、把持姿勢にある把持装置30により把持された物品5の姿勢は異なる場合がある。例えば、
図15に示すように容器6内に配置された物品5の上面を吸着面として吸着部41により吸着した後、把持装置30の姿勢が変位されることにより、吸着部41により吸着されている面が物品5における側面となる場合がある。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1]
物品を検出する物品検出装置と、
掌部を有する基部、前記掌部に設けられた吸着部、前記掌部を挟んで両側に少なくとも1ずつ設けられ、少なくとも1つの関節を有して互いに近づく方向及び離間する方向に変位可能な指、及び前記指を駆動する駆動機構を具備した把持装置と、
前記吸着部に負圧を供給する負圧供給装置と、
前記把持装置を移動する移動装置と、
前記物品検出装置の検出結果に基づいて、前記物品の形状、姿勢、及び大きさを検出する認識装置と、
前記認識装置の検出結果に基づいて、前記吸着部による前記物品の吸着面を決定し、前記把持装置により前記物品の把持が可能となる、前記把持装置の位置、前記把持装置の姿勢、及び、前記指の姿勢を含む把持姿勢を計画する動作計画生成装置と、
前記動作計画生成装置により計画された把持姿勢とするべく、前記把持装置の動作及び前記移動装置の動作を制御する制御装置と、
を具備した搬送装置。
[2]
前記動作計画生成装置は、把持モードとして、前記物品の前記吸着面を挟んで両側の面を挟持する第1の把持モード、及び、前記掌部を挟んで一方の前記指により前記物品の側面を支持し、前記掌部を挟んで他方の前記指で前記物品の下端面を支持する第2の把持モードのいずれか一方を選択し、選択した把持モードに応じて、前吸着面における前記吸着部による被吸着部を決定し、かつ、前記把持姿勢を計画する
[1]の搬送装置。
[3]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が四角柱状であり、上面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第1の把持モードを選択し、
前記物品の形状が四角柱状であり、上面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、前記物品の側面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第2の把持モードを選択する
[2]に記載の搬送装置。
[4]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が平面であり、かつ、前記上面の外径が前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第1の把持モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が平面であり、かつ、前記上面の外径が前記把持装置の最大幅より大きい場合は、側面を吸着面に決定し、かつ、前記第2の把持モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が曲面であり、かつ、端面の外径が前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第1の把持モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が曲面であり、かつ、端面の外径が前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、前記側面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第2の把持モードを選択する
[2]に記載の搬送装置。
[5]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が三角柱状であり、上面が2つの面より構成され、かつ、前記2つの面の少なくとも一方の面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記少なくとも一方の面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第1の把持モードを選択し、
前記物品の形状が三角柱状であり、上面が2つの面より構成され、かつ、前記2つの面のそれぞれの短辺の長さが、前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、前記2つの面のいずれか一方を吸着面に決定し、かつ、前記第2の把持モードを選択する
[2]に記載の搬送装置。
[6]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が板状である場合は、一方の主面を前記吸着面に決定し、かつ、前記第2の把持モードを選択する
[2]に記載の搬送装置。
[7]
前記把持装置は、前記指として、前記掌部を挟んで一方に配置され、前記基部に連結された第1の指、第2の指、前記第2の指を、前記掌部を挟んで他方及び前記第1の指の側方の間で移動可能に前記基部に支持する第2の指支持機構、第3の指、及び、前記第3の指を、前記掌部を挟んで前記他方及び前記第1の指の側方の間で移動可能に前記基部に支持する第3の指支持機構を具備し、
前記指の配置として、
前記他方に前記第2の指及び前記第3の指が配置された第1の配置モードと、
前記一方に、前記第1の指、前記第2の指、及び、前記第3の指が配置された第2の配置モードと、
前記第2の指及び前記第3の指が前記掌部を挟んで対向配置された第3の配置モードと、
前記第1の指、前記第2の指、及び、前記第3の指が前記掌部の周方向に等間隔離間して配置された第4の配置モードと、
を具備し、
前記把持モードは、前記指の配置が前記第2の配置モードであるときに前記物品の下端を支持する第3の把持モードを更に具備し、
前記動作計画生成装置は、前記認識装置の検出結果に基づいて、前記第1の配置モード、前記第2の配置モード、前記第3の配置モード、及び、前記第4の配置モードからいずれか1つを選択する
[2]に記載の搬送装置。
[8]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が四角柱状であり、上面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、前記第1の把持モードを選択し、かつ、前記指の配置として前記第1の配置モードまたは前記第3の配置モードを選択し、
前記物品の形状が四角柱状であり、上面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、前記側面を前記吸着面に決定し、さらに、前記第2の把持モード及び前記第1の配置モードを選択し、または、前記第3の把持モード及び前記第2の配置モードを選択する
[7]に記載の搬送装置。
[9]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が平面であり、かつ、前記上面の外径が前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、前記第1の把持モードを選択し、さらに、前記指の配置として前記第1の配置モードまたは前記第3の配置モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が平面であり、前記上面の外径が前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、側面を前記吸着面に決定し、さらに、前記第2の把持モード及び第1の配置モード、または、前記第3の把持モード及び第2の配置モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が曲面であり、かつ、端面の外径が前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記上面を前記吸着面に決定し、前記指の配置として前記第1の配置モードまたは前記第3の配置モードを選択し、かつ、前記第1の把持モードを選択し、
前記物品の形状が円柱状であり、上面が曲面であり、かつ、端面の外径が前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、側面を前記吸着面に決定し、さらに、前記第1の把持モード及び前記第1の配置モード、または、前記第3の把持モード及び前記第2の配置モードを選択する
[7]に記載の搬送装置。
[10]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が三角柱状であり、上面が1つの面で構成され、かつ、前記指の配置が前記第4の配置モードである前記把持装置により上方から挟持可能な場合は、前記上面を吸着面に決定し、前記第1の把持モードを選択し、さらに、前記指の配置として前記第4の配置モードを選択し、
前記物品の形状が三角柱であり、上面が2つの面より構成され、かつ、前記2つの面の少なくとも一方の面の短辺の長さが前記把持装置の最大挟持幅以下である場合は、前記少なくとも一方の面を吸着面に決定し、第1の把持モードを選択し、さらに、前記指の配置として前記第1の配置モードまたは前記第2の配置モードを選択し、
前記物品の形状が三角柱状であり、上面が2つの面より構成され、かつ、前記2つの面のそれぞれの短辺の長さが、前記把持装置の最大挟持幅より大きい場合は、前記2つの面のいずれか一方を吸着面に決定し、さらに、前記第2の把持モード及び前記第1の配置モード、または、前記第3の把持モード及び前記第2の配置モードを選択する
[7]に記載の搬送装置。
[11]
前記動作計画生成装置は、
前記物品の形状が板状である場合は、一方の主面を前記吸着面に決定し、前記第2の把持モード及び前記第1の配置モードを選択する
[7]に記載の搬送装置。
[12]
前記動作計画生成装置は、前記認識装置の検出結果に基づいて、前記把持装置による前記物品の把持動作を開始する、前記把持装置の位置、前記把持装置の姿勢を含む把持準備姿勢を決定する
[1]に記載の搬送装置。
[13]
前記動作計画生成装置は、
前記把持装置が、前記把持準備姿勢から前記把持姿勢となるまでの間に、前記駆動機構を駆動して前記指により前記物品を挟持した後に、前記負圧供給装置を駆動することにより前記吸着部によって前記物品を吸着する第1の制御モード、及び、前記把持装置が、前記把持準備姿勢から前記把持姿勢となるまでの間に、前記負圧供給装置を駆動して前記吸着部により前記物品を吸着した後に、前記駆動機構を駆動することにより前記指によって前記物品を挟持する第2の制御モードのいずれか一方を選択する
[12]に記載の搬送装置。
[14]
掌部を有する基部と、
前記掌部に設けられた吸着部と、
前記掌部を挟んで両側に少なくとも1ずつ設けられ、互いに近づく方向及び離間する方向に移動可能な指と、
前記指を駆動する駆動機構と、
を具備した把持装置。