(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942659
(24)【登録日】2021年9月10日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】荷車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/18 20060101AFI20210916BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20210916BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20210916BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20210916BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
B62B3/18
B62B3/00 F
B62B5/00 L
B62B5/00 Z
G07G1/00 311Z
G07G1/01 301D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-37823(P2018-37823)
(22)【出願日】2018年3月2日
(65)【公開番号】特開2019-151219(P2019-151219A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】横山 佑季子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】倉田 真考
(72)【発明者】
【氏名】原 法義
(72)【発明者】
【氏名】飯坂 仁志
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英浩
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−521360(JP,A)
【文献】
特許第5711773(JP,B2)
【文献】
特開2011−246077(JP,A)
【文献】
特開2006−248269(JP,A)
【文献】
特表2018−500241(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0296751(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0033067(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0361857(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0099430(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 − 5/08
G07G 1/00
G07G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行自在に設けられたキャスタ部を有し、前後方向に沿った前方側が後方側より狭く、かつ、後方が開放された台形状のベースフレームと、
前記ベースフレームの後端から上方に向けて設けられた縦フレームと、
前記ベースフレーム上及び前記縦フレーム前側に設けられ、商品を載置する載置部と、
前記縦フレームに設けられ、操作者が把持するグリップ部と、
前記ベースフレーム、前記縦フレーム、前記載置部、前記グリップ部のいずれかに着脱自在に取り付けられる電装部品と、
前記ベースフレームの内側又は前記縦フレームの前方に着脱自在に設けられ、その前記前後方向に沿った寸法が前記電装部品の前記前後方向に沿った長さを基準として形成された規制部材と、
を具備する荷車。
【請求項2】
前記電装部品は、商品を特定する商品特定装置又は表示装置である請求項1に記載の荷車。
【請求項3】
前記ベースフレームの前記床面を基準とした最高地上高は、前記電装部品のうち前記縦フレームに設けられた電装部品の最低地上高よりも低く形成されている請求項1に記載の荷車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷車に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやショッピングモール等の店舗内で顧客はショッピングカートを使用する。ショッピングカートは、複数のショッピングカートをその前後方向に積み重ねて収容できる、いわゆるスタッキング構造を有している。ショッピングカートは、店舗のカート置き場にスタッキングした状態で置かれている。
【0003】
このショッピングカートに商品に付された商品コードを読取るスキャナを設け、顧客自身に商品に付された商品コードを読み取らせる販売形態がある。このようなショッピングカートは、上述したスキャナの他、タブレット及びバッテリ等を搭載している。スキャナ等が搭載されたショッピングカートは、スタッキングすると前後のショッピングカートに搭載されたスキャナやタブレットなどの機器が干渉することがあった。
【0004】
このため、前後方向にスタッキングする際に、スキャナ等が干渉しない荷車を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5711773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、前後方向にスタッキングする際に、スキャナ等が干渉しない荷車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の荷車は、床面上を走行自在に設けられたキャスタ部を有し、前後方向に沿った前方側が後方側より狭く、かつ、後方が開放された台形状のベースフレームと、ベースフレームの後端から上方に向けて設けられた縦フレームを備えている。ベースフレーム上及び縦フレーム前側には、商品を載置する載置部が設けられている。縦フレームに操作者が把持するグリップ部が設けられている。また、ベースフレーム、縦フレーム、載置部、グリップ部のいずれかには電装部品が着脱自在に取り付けられている。ベースフレームの内側又は縦フレームの前方に着脱自在に設けられ、その前後方向に沿った寸法が電装部品の前後方向に沿った長さを基準として形成された規制部材とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるショッピングカートを示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、ショッピングカートをスタッキングした状態を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3は、ショッピングカートをスタッキングした状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、ショッピングカートに組み込まれたベースフレームの要部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、通常のショッピングカートをスタッキングした状態を示す側面図である。
【
図6】
図6は、通常のショッピングカートに組み込まれたベースフレームの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。荷車の一例としてスーパーなどの小売店で使用されるスキャナなどを有する登録機としても使用可能なショッピングカートを例に挙げる。特に本実施例におけるショッピングカートは、一から登録機としても使用可能なショッピングカートとして設計された物ではなく、荷車としての機能を有するショッピングカートに電装部品を後付することによって、登録機としても使用可能なショッピングカートとして用いる場合を例に挙げる。
【0010】
図1は、ショッピングカート10を示す外観斜視図。
図2は、ショッピングカートをスタッキングした状態を示す外観斜視図。
図3は、ショッピングカートをスタッキングした状態を示す側面図。
図4は、ショッピングカートに組み込まれたベースフレームの要部を示す斜視図。
図5は、通常のショッピングカートをスタッキングした状態を示す側面図。
図6は、通常のショッピングカートに組み込まれたベースフレームの要部を示す斜視図である。なお、図中Qは床面を示している。なお、本実施の形態では、ハンドルフレーム部40側を後方とし、ハンドルフレーム部40から突出する籠受部50の突出方向を前方とする。前方と後方を合わせて前後方向と称する。
【0011】
なお、実施形態中におけるスタッキングとは、複数のショッピングカート10を前後方向に沿って一列に並べ、
図1に示すように前方側に位置するショッピングカート10の後方側、すなわちハンドルフレーム部40側に、後方側に位置するショッピングカート10の先端側を押し込んで、収容することを指している。ショッピングカート10は後方側の一部が開放された構造を有しており、複数のショッピングカート10を並べた場合であっても前後方向に沿った全長を短くでき、ショッピングカート10収容効率を向上させることができる。
【0012】
図1に示すように、本実施形態にかかるショッピングカート10は、商品を収容する買い物カゴPを運搬するカート部20と、カート部20に取り付けられた電装部100とを備えている。カート部20は、電装部100を必要に応じて着脱できる構成であり、電装部100を取り付けない場合にも通常のショッピングカートとして利用できる(
図5,6参照)。
【0013】
カート部20は、床面上を円滑に移動させるためのベースフレーム30と、このベースフレーム30の後輪側に立設されたハンドルフレーム部40と、このハンドルフレーム部40の中途部位から前方に向けて設けられた籠受部50とを備えている。ベースフレーム30及び籠受部50は、買物カゴPが適宜載せられるように構成されている。買い物カゴPは、揺動する持ち手Paを有している。
【0014】
ベースフレーム30は、後辺が開口した四角枠状のフレーム31と、このフレーム31の四隅にそれぞれ設けられたキャスタ32を備えている。キャスタ32は、鉛直方向の軸周りに自由に回転するブラケット32aと、このブラケット32aに水平方向に自由に回転するゴムあるいは樹脂製の車輪32bを備えている。このフレーム31には、細いフレーム材により受け部33が設けられている。受け部33は、買い物カゴPの下部が収まるような寸法で形成されている。受け部33の先端には、当接部34が形成されている。この当接部34は買い物カゴPを支持すると共に、複数のショッピングカート10をスタッキングした際に前方のショッピングカート10のベースフレーム30に当接することで、ショッピングカート10同士の間隔を規制する機能を有している。
【0015】
受け部33には、規制板35がボルト止めしてあり、必要に応じて着脱できる。規制板35の前後方向に沿った寸法δは、後述するようにして決定される。
【0016】
ハンドルフレーム部40は、後方のキャスタ32にそれぞれ取り付けられた縦フレーム41,41と、これら縦フレーム41,41の上端を繋ぐ水平方向のハンドルバー42を備えている。左側の縦フレーム41には、延長アーム43が取り付けられている。ハンドルフレーム部40には補強材44が取り付けられている。
【0017】
籠受部50は、四角枠状のフレーム51と、このフレーム51の下側に設けられた受け部52を有している。受け部52は買い物カゴPの下部が収まるような寸法で形成されている。受け部52には規制板35が固定されている。
【0018】
電装部100は、ベースフレーム30の上部に設けられる。ハンドルフレーム部40の下端側に縦フレーム41,41に亘って取り付けられたバッテリ部110と、商品コードを読み取るためのスキャナ120を設ける。また、スキャナ120で読み取った商品の商品名称・単価等の各種情報を表示する表示器150と、買い物カゴP内部等を撮像するカメラ160とを備えている。バッテリ部110は、スキャナ120、表示器150、カメラ160にハンドルフレーム部40に内装された電力線を介して電力を供給している。また、スキャナ120、表示器150、カメラ160相互は、ハンドルフレーム部40及び延長アーム43に内装したケーブルにより接続されている。表示器150は、延長アーム43の上端に取り付けられている。また、カメラ160は延長アーム43の中途部に取り付けられている。これらの構成によって顧客が購入を希望する商品の商品コードを読み取る登録機としてのショッピングカートが構成される。
【0019】
図1に示すように、スキャナ120は、ハンドルバー42に着脱自在に取り付けられるクランプ121と、このクランプ121に一体的に取り付けられたスキャナ本体122を具備している。
【0020】
表示器150はタッチパネル機能を有する表示パネル152を有する。端末筐体151の正面に表示パネル152が設けられている。端末筐体151内部には、バッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160を連携制御する制御部200が設けられている。ハンドルバー42よりも前方に、カメラ160と表示器150とが設けられる。
【0021】
規制板35の前後方向に沿った寸法の決定方法について説明する。規制板35は、ショッピングカート10をスタッキングする際に、前後のスキャナ120、表示器150、キャスタ等が干渉することを防ぐためのものである。
図3に示すように表示器150の前後方向に沿った長さが最大であるため、この表示器150同士が干渉しない距離、すなわち寸法αを決める。
【0022】
一方、バッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160を搭載する前は、
図5に示すように、前後のショッピングカート10のキャスタ32が干渉しないようにするための距離、すなわち寸法βが決まっている。したがって、バッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160を搭載した後は、寸法δは、寸法αと寸法βとの差とする。なお、寸法αについては、バッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160の前後方向に沿った長さや形状、搭載位置に基づいて定める。したがって、寸法δもバッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160の前後方向に沿った長さや形状、搭載位置を基準として定められた値となる。
【0023】
このように構成されたショッピングカート10は、以下のように使用される。なお、
図2及び
図3において、複数のショッピングカート10があるため、前方側のショッピングカートをショッピングカート10A、後方側のショッピングカートをショッピングカート10B、さらに後方側のショッピングカートをショッピングカート10Cとして説明する。ショッピングカート10(10A,10B,10C)は複数台用意され、店舗の入口等に一列に並べられてスタッキングされる。この時、
図2に示すように、後側のショッピングカート10Bのベースフレーム30を、前方側に位置するショッピングカート10Aのベースフレーム30の後方側から前方に押し込む。ベースフレーム30の後方側にはフレームが無いため、ショッピングカート10Bのベースフレーム30は、ショッピングカート10Aのベースフレーム30の後方側から挿入される。なお、この時、ベースフレーム30の最高地上高は、当接部34の最上部であるが、バッテリ部110には干渉しない。また、ショッピングカート10Bの籠受部50も縦フレーム41,41の間を通ってショッピングカート10Aの籠受部50へ重なる。
【0024】
同様にして
図3に示すように、ショッピングカート10Cも前方側に押し込むことで、ショッピングカート10全体の収容効率を向上させることができる。
【0025】
また、
図3に示すように各ショッピングカート10には、表示器150が設置されているため、前後のショッピングカート10に搭載された表示器150が干渉しないようにするため、
図3中寸法αだけ前後方向に沿って離間させる必要がある。この寸法αは、規制板35を用いて確保される。
【0026】
ショッピングカート10は、このように構成されていることから、複数のショッピングカート10をスタッキングする際にも、搭載された電装部品(バッテリ部110、スキャナ120、表示器150、カメラ160)同士が干渉することがなく、破損することがない。また、電装部品を取り付けていない一般的なショッピングカートは、ショッピングカート10のカート部20に相当する。したがって、電装部品及び規制板35を取り付けるだけで、ショッピングカート10として用いることができ、特別なショッピングカートを改めて用意する必要が無い。したがって、既存のショッピングカートを流用できることになり、ショッピングカート10の製造コストを低減することができる。
【0027】
上述した実施形態においては、規制部材としての規制板35をベースフレーム30に設けたが、前後のショッピングカート10の間隔を規制することができるものであれば、ベースフレーム30以外の部分に設けても良い。例えば、
図3に示すように縦フレーム41に規制突起部45に設け、前方に位置するショッピングカート10の縦フレーム41に当接させて、ショッピングカート10同士の間隔を調整するようにしてもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
10,10A,10B,10C…ショッピングカート、20…カート部、30…ベースフレーム、31…フレーム、32…キャスタ、34…当接部、35…規制板、40…ハンドルフレーム部、41…縦フレーム、42…ハンドルバー、43…延長アーム、44…補強材、45…規制突起部、50…籠受部、51…フレーム、100…電装部、110…バッテリ部、120…スキャナ、150…表示器、160…カメラ、200…制御部。