(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標は時間に対する加熱エレメントの電気的特性の一次導関数の指標を含むことを特徴とする請求項1記載の電子エアロゾル供給装置。
時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標は時間に対する加熱エレメントの電気的特性の二次導関数の指標を含むことを特徴とする請求項1または2記載の電子エアロゾル供給装置。
加熱エレメントの電気的特性は、加熱エレメントに関連する電気抵抗、加熱エレメントに関連する電気伝導度、加熱エレメントに関連する電流引き込み、加熱エレメントに関連する電力引き込み、加熱エレメントに関連する電圧降下および加熱エレメントに電気的に結合された別の抵抗性部材に関連する電圧降下を含む群から選択される1つ以上の特性に基づいていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標を予め定義された閾値と比較することによって電子エアロゾル供給装置に障害状態が生じているか、又は生じていたか否かを定めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標の大きさが予め定義された閾値を超えている場合に障害状態が生じていたと判断するように構成されていることを特徴とする請求項10記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は加熱エレメントの温度が一時的に安定していると考えられる間に時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標を定めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路はエアロゾルを加熱エレメントによって発生させている間に時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標を定めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は電力が加熱エレメントに供給されている間に時間に対する加熱エレメントの電気的特性の微分係数の指標を定めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は障害状態が生じたと判断されると加熱エレメントへの電力の供給を減少させるようにさらに構成されていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は障害状態が生じたと判断されると加熱エレメントへの電力の供給を停止するようにさらに構成されていることを特徴とする請求項15記載の電子エアロゾル供給装置。
制御回路は障害状態が生じたと判断されると警告インジケーターを作動させるようにさらに構成されていることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の電子エアロゾル供給装置。
【背景技術】
【0002】
一般に電子タバコなどの電子エアロゾル供給装置は、液体源の容器を含み、この液体源は典型的にはニコチンを含有する製剤を含有し、これからエアロゾルが例えば熱気化によって発生する。エアロゾル供給装置のエアロゾル源は、従って加熱エレメントを有するヒーターを含んでもよく、これは加熱エレメントの近傍に容器からの液体源を引き込むために配された芯に隣接している。ユーザーが装置で吸入すると、電力が加熱エレメントに供給され、芯から液体源を気化させユーザーによって吸入されるエアロゾルを発生させる。このような装置には装置のマウスピースから離れて位置する1つ以上の空気取り込み穴が通常設けられている。ユーザーがマウスピースで吸い込みを行うと、空気が取り込み穴を通って引き込まれ、エアロゾル源を通過する。エアロゾル源とマウスピースの開口部間を接続する流路があり、エアロゾル源を通過して引き込まれる空気がエアロゾル源からのエアロゾルの一部を搬送しながらこの流路に沿ってマウスピース開口部へと引き込まれるようになっている。エアロゾルを搬送する空気がユーザーの吸引のためにマウスピース開口部を介してエアロゾル供給装置から出る。
【0003】
電子エアロゾル供給装置において、ヒーターの加熱エレメントへの電力の供給を制御してエアロゾルの発生に関し所望の性能を供することが求められていることは既に知られている。例えば、下記特許文献1は操作モードが内部にある温度センサーの測定値によって選択される装置を開示している。下記特許文献2は、加熱エレメントの温度がそれが装置の熱時定数を制定するために熱くなるまたは冷たくなる際にその抵抗で決められる装置を開示している。加熱エレメントに供給される電力はその後、時定数に基づいて調節される。特許文献3は加熱エレメントの温度がその抵抗によって決定され、電力がその温度に応じて加熱エレメントに供給される電子加熱喫煙装置について説明している。他のヒーターを含むエアロゾル供給装置もあり、例えば特許文献3は電子喫煙装置から凝縮物を取り除くための誘導加熱装置を有する装置について説明しており、複数のヒーターからなる装置の温度はそれらの対応する電気抵抗によって決まる。
【0004】
本発明者は加熱エレメントに隣接する芯の一部が乾燥すると、上述の種類の既存のエアロゾル供給装置に問題が起こりえることを認識している。これは容器が空になった際に芯への液体源の供給が不安定になることによって起こり得る。本発明者はこの条件は、特に芯の乾燥した部分近くの加熱エレメントを急速に加熱してしまうことの原因になり得ることを認識している。この過熱は局所的な場合があるが、加熱エレメントのセクションに多大にかつ広範に影響を与える。典型的な操作条件を考慮すると、過熱されたセクション/ホットスポットは500〜900℃の範囲の温度にすぐに達すると予測される。このような急速な加熱は潜在的に火災およびユーザーの火傷のリスクを呈するだけでなく、ホットスポットからの放射熱がエアロゾル供給装置内の部品を損傷し、気化工程に悪影響を与える場合がある。例えば、ホットスポットからの熱は、例えば熱分解によって液体源および/または発生させたエアロゾルを分解してしまい、ユーザーによって吸入される空気流に不快な味を呈する物質を放出する場合があり得る。ホットスポットからの熱はまた可燃性の蒸気/空気混合物を着火し、ユーザーによって吸引される空気流の温度を著しく上昇させる可能性がある。それは不安定な吸い上げだけでなく過熱およびホットスポットの原因になり得る。また過熱は加熱エレメントに電力が過剰に供給されることの結果でもあり得る。熱流束が特定の上限を超えると(典型的には約1W/mm
2)、核沸騰が膜沸騰に変
わり、その沸騰機構はあまり有効ではなく、結果として加熱エレメントの温度が急激に上昇することになる。
【0005】
上述の問題点からエアロゾル供給装置内の加熱エレメントの急速な過熱が生じたときを特定することができ、それにより例えば電力の供給の停止および/またはユーザーへの警告などで加熱エレメントへの電力を減少させるなどによる是正措置がとられるようにする方法および装置が望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の例および実施態様の様相および特徴をここで述べ、説明する。特定の例および実施態様の様相および特徴は従来通り実施してもよく、それらについては簡潔にするために詳しく述べたり、説明したりしない。当然のことながら詳しくは説明されないここで述べられる装置および方法の様相および特徴はこのような様相および特徴を実行するための何らかの従来の技術に従って実行してもよい。
【0011】
上述のように本開示は電子タバコのようなエアロゾル供給装置に関する。以下の説明を通して「電子タバコ」なる用語を使うが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給装置と同じ意味で使われる。
【0012】
図1はいくつかの実施態様による電子タバコ10(正確な縮尺ではない)などのエアロゾル/蒸気供給装置の略図である。電子タバコは、破線LAで示した長手方向軸に沿って延び、2つの主要部、即ち本体20とカトマイザー30とを含むほぼ円筒形状を有する。カトマイザーは、例えばニコチンを含むエアロゾルを発生させる液剤を含む液体源の貯蔵部を含む内部チェンバーと、加熱エレメントと、液源を加熱エレメントの近傍に移送するための液体移送部材(この例では吸い上げ部材)とを含む。吸い上げエレメントと加熱エレメントはときにはエアロゾル発生器/エアロゾル源/エアロゾル形成部材/気化器/アトマイザーと総称される。カトマイザー30はエアロゾル発生器からのエアロゾルをユーザーが吸入する所である開口部を有するマウスピース35をさらに含む。液体源は、電子タバコに使用されている従来のもので、例えばグリセロール、水および/またはプロピレングリコールを含む溶媒に溶解した0〜5%のニコチンを含むものであってもよい。液体源は香味料を含んでもよい。液体源の貯蔵部は、液体源をそれがエアロゾル発生器/気化器に送出されることが必要とされる時まで保持するためのハウジング内の多孔性マトリックスまたは他の構造体を含んでもよい。
【0013】
さらに以下に説明するように本体20は電子タバコ10に電力を供給するための充電可能な電池またはバッテリーおよび一般に電子タバコを制御するための制御回路を含む回路基板を含む。使用時には加熱エレメントがバッテリから回路基板によって制御されつつ電力を受け取ると、加熱エレメントは加熱エレメントの近傍の加熱位置で吸い上げ部材からの液体源を気化し、エアロゾルを発生させる。エアロゾルはマウスピースの開口部を介してユーザーによって吸入される。ユーザーが吸入している間、エアロゾルはエアロゾル源からマウスピース開口部へとこれらをつなぐ空気通路に沿って搬送される。
【0014】
この特定の例では 本体20とカトマイザー30は
図1に示すように長手方向軸LAに
対して平行な方向に分離させることによって互いに取り外し可能であるが、装置10の使用時には25Aおよび25Bとして
図1において略式に示す接続によって接合され、本体20とカトマイザー30間の機械的および電気的接続を供する。カトマイザーへの接続に使用される本体20の電気コネクターは、本体がカトマイザー30から取り外した際の充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしての役割も果たす。充電装置の他端は電子タバコの本体20内の電池/バッテリーを充電または再充電するために外部電気供給装置、例えばUSBソケットに差し込むことができる。他の実行例ではケーブルを本体の電気コネクターと外部電力供給装置を直接接続するために設けてもよい。
【0015】
電子タバコ10には空気を取り込むための1つ以上の穴(
図1では示されていない)が設けられている。これらの穴は電子タバコ10内の空気通路からマウスピース35まで繋がっている。空気通路はエアロゾル源の周囲の領域とエアロゾル源からマウスピースの開口部へと接続する空気路を含むセクションとを含む。
【0016】
ユーザーがマウスピース35を介して吸引すると、空気が電子タバコの外側に好適に配置された1つ以上の空気取り込み穴を介してこの空気通路内に引き込まれる。この空気流(またはその結果生じる圧力の変化)は、圧力センサーによって検知され、次にこのセンサーがバッテリーから加熱エレメントへ電力の供給を行い、加熱エレメントに隣接する吸い上げ部材の液体源の一部を気化させる。ユーザーの吸入に応答して電子タバコの作動を開始することは既知の技法に従って実行してもよい。空気流が空気経路を通過し、エアロゾル源の周囲の領域で蒸気と結合/混合してエアロゾルを発生させる。得られた空気流と蒸気の混合物は、エアロゾル源からユーザーによる吸入のためのマウスピースへと空気通路に沿って移動し続ける。カトマイザー30は液剤を供給し終わったら本体20から外して廃棄(必要なら他のカトマイザーと交換)してもよい。これとは別にカトマイザーは詰め替え可能であってもよい。
【0017】
一般に電子タバコの構造および操作は、ここで説明する方法および装置に従って機能性を供するために変性されている以外はエアロゾル供給装置の分野で確立している技法に従ってもよい。従って当然のことながら
図1に示す電子タバコ10は本開示によるエアロゾル供給装置の1つの実行例として提示されたものであり、種々の他の実行例をエアロゾル供給装置の他の構成の意味で適用することができる。例えば、一部の実施態様ではカトマイザー30は2つの分離可能な部品、即ち液体源貯蔵部とマウスピースとを含むカートリッジ(貯蔵部の液体源を使い切ったら交換される)と加熱エレメントを含む気化器/エアロゾル発生器(通常、交換されずに維持される)として設けられてもよい。別の例として充電設備は追加のまたは別の電力源、例えば車のシガレットライターソケットに接続してもよい。より一般的には当然のことながらここで説明する本開示の実施態様は液体源を気化/エアロゾル化するための電気加熱エレメントに基づいた電子エアロゾル供給装置の任意の設計に関連して実行され、エアロゾル供給装置の他の態様の根本的な操作原理および構造設計はここで説明する実施態様による操作原理には重要ではない。
【0018】
図2は
図1の電子タバコの本体20の略図である。
図2は電子タバコの長手方向軸LAを通る面における断面とみなすことができる。なお
図2では、分かりやすくする目的で、本体の種々の構成要素および詳細、例えば配線およびより複雑な形状は省略されている。
【0019】
図2に示すように本体20は電子タバコ10に給電するためのバッテリーまたは電池210並びにこの例では電子タバコ10を制御するための特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコントローラーなどのチップの形状の制御回路550を含む回路基板555を含む。制御回路550はバッテリー210と並んでまたはその一端に配置されてもよい。制御回路550は単一の素子または複数の個別の素子として設けてもよい。制御回路550はセンサーユニット215に接続してマウスピース35での吸入を検知するようにしてもよい(またはこれとは別にセンサーユニット215を制御回路自身によって設けてもよい)。そのような検知に応じて、制御回路550はバッテリーまたは電池210からカトマイザー内の加熱エレメントに給電し、液体源を気化し、ユーザーによって吸入される空気流内にエアロゾルを導入する。上記したように操作のこの態様は既知のものであってもよい。
【0020】
しかしながら、確立している技術に従って電子タバコの既知の操作態様を支持するように構成されていることに加えて、制御回路550はさらに以下に説明するように障害状態(加熱エレメントのホットスポット/無炎燃焼(glowing)/急激な過熱の発生に対応す
る)が起こっているか否かを判断するように構成される。この点に関し、この実行例によるエアロゾル供給装置10の本体20は、ユーザーに障害状態が発生したときを示す(警告する)ためのインジケーター560を含む。この例のインジケーター560は、ライト、例えば制御回路に接続されそれによって駆動される発光ダイオードを含む。他の形体のインジケーター、例えば障害状態が発生したと検知されたことに応答して警告音を発するスピーカーであってもよい。
【0021】
本体20はさらに電子タバコの遠い方(遠位にある)の端部を封止し、保護するキャップ225を含む。キャップ225にまたはこれに隣接して空気取り込み穴があり、これはユーザーがマウスピース35で吸引すると空気を本体に入らせ、センサーユニット215を通過させる。この空気流はセンサーユニット215にユーザーの吸入を検知させ、電子タバコのエアロゾル発生素子を作動させるように制御回路550を動作させる(即ち、加熱エレメントに電力を供給する)。
【0022】
本体20のキャップ225と反対側の端部にあるのは、本体20をカトマイザー30に接続するコネクター25Bである。コネクター25Bによって本体20とカトマイザー3
0の間の機械的接続および電気的接続が得られる。コネクター25Bは本体コネクター240を含み、本体コネクター240は金属製で(一部の実施態様では銀メッキされており)、カトマイザー30との電気的接続端子の一方(陽極または陰極)の役割を果たす。さらに接続部25Bは第1ターミナル、即ち本体接続部240と反対の極性のカトマイザー30との電気的接続のための第2ターミナルとなる電気接触部250含む。コネクター25Bはさらに電気接点250を含み、これは第1の端子即ち、本体コネクター240と逆極性のカトマイザー30との電気的接続のための第2の端子を提供する。電気接点250はコイルばね255に取り付けられている。胴体20がカトマイザー30に取り付けられる際、カトマイザーのコネクター25Aが軸方向、即ち長手方向軸LAに対して平行な方向(軸方向に位置合わせされて)にコイルばねを圧縮するように電気接点250を押す。ばね255には弾性があるため、この圧縮によってばね255は付勢されて延びようとし、電気接点250をコネクター25Aにしっかり押し付ける効果が得られ、これにより本体20とカトマイザー30間を確実に電気的に良好に接続しやすくなる。本体コネクター240と電気接点250は非導電材料(プラスチックなど)で作られたスペーサー260で隔てられており、2つの電気接点の間の絶縁が良好になる。スペーサー260はコネクター25Aとコネクター25Bの相互の機械的結合を補助する形状をしている。
【0023】
図3はいくつかの実施態様による
図1の電子タバコのカトマイザー30の略図である。
図3は、一般に電子タバコの長手方向軸LAを通る面における断面とみなすことができる。ここで留意すべきは本体の種々の部品および詳細、例えばワイヤーおよび複雑な形状は、明確化のために
図3から省かれていることである。
【0024】
カトマイザー30はカトマイザー30の中央(長手方向)軸に沿ってマウスピース35からコネクター25Aへとカトマイザーを本体20に接合するために延びている空気経路355に配されたエアロゾル源365、368を含む。エアロゾル源は吸い上げ部材(液体移送部材)368に隣接する抵抗性加熱エレメント365を含み、吸い上げ部材は液体源貯蔵部360から加熱のための加熱エレメント365の近傍に液体源を移送するために配置されている。この例では液体源貯蔵部369は空気経路335の周囲に設けられ、例えば液体源に浸されたコットンまたは発泡体を設けることによって実施してもよい。吸い上げ部材365の端部は、貯蔵部360内の液体源と接触しており、これにより液体が加熱エレメント365の範囲に隣接する位置へと吸い上げ部材に沿って吸い上げられる。
【0025】
吸い上げ部材368と加熱エレメント365の大まかな構造は従来技術に沿ったものでもよい。例えば、一部の実行例では吸い上げ部材と加熱エレメントは別個の部材、例えば円筒状の芯に巻かれたまたはこれに巻装された金属加熱ワイヤーを含んでもよく、芯は例えばガラス繊維のより糸または糸の束からなる。他の実行例では吸い上げ部材と加熱エレメントの機能を単独の部材によって提供してもよい。即ち、加熱エレメント自体が吸い上げ機能を供してもよい。従って種々の実行例では加熱エレメント/吸い上げ部材は、Bakaert社製の多孔性焼成金属繊維媒体(Bekipor登録商標 ST)などの金属複合構造体、例えば三菱マテリアル社から入手可能な種類の金属発泡構造体、Bopp社製のもののような折り曲げられた単一層金属ワイヤーメッシュ、金属ブレードまたは金属ワイヤーと絡み合ったガラス繊維またはカーボン繊維ティッシューの内の1つ以上を含んでもよい。ここで言う「金属」はバッテリーと関連してまたは組み合わせて使用されるのに適当な電気抵抗を有する任意の金属系材料であってもよい。得られる加熱エレメントの電気抵抗は、通常0.5〜50Ωの範囲内になる。0.5Ω未満の値でも使用可能であるが、バッテリーに過度にストレスを与える可能性がある。ここで使用される「金属」は、例えばNiCr合金(例えば、NiCr8020)またはFeCrAl合金(例えば、“Kanthal”)またはステンレススチール(例えば、AISI 304またはAISI 316)であってもよい。
【0026】
さらに以下に述べるように本開示の実施態様は障害状態の発生を特定するために温度による加熱エレメントの抵抗の変化のみに依存する。従って、特定の実施態様では抵抗加熱エレメント365は比較的高い抵抗の温度係数の材料で形成される。上述の材料の一部の温度係数は比較的低い(例えば、NiCr8020およびKanthalで<0.0001K
−1)。ステンレススチールは、しかしながら高い温度係数を有する。従って一部の実行例ではステンレススチールは本発明の関連において加熱エレメントの材料として好ましいが、勿論当然のことながら他の材料も使用可能である。個々で使用する「ステンレススチール」なる用語は、金属学の既知の用語に従って解釈され、少なくともSAE/AISIステンレススチールシリーズの100、200、300および400を含む。
【0027】
加熱エレメント365には配線366と367経由で制御回路の制御下で電力が供給され、これらの配線の他方はバッテリー210の互いに逆極(陽極と陰極、またはその逆)にコネクター25Aを介して接続されている(
図3では電源線366、367とコネクター25Aの間の配線の詳細は省略されている)。
【0028】
コネクター25Aは内部電極375を含み、これは銀メッキされてもよく、または他の好適な金属で作製してもよい。カトマイザー30を本体20に接続する際、内部電極375が本体20の電気接点250と接触し、カトマイザーと本体の間に第1の電気経路を設ける。特にコネクター25Aおよび25Bを係合させると、内部電極375が電気接点250を押し、コイルスプリング255を圧縮することにより内部電極375と電気接点250間を確実に電気的に良好に接触しやすくなる。
【0029】
内部電極375は絶縁リング372に囲まれており、これはプラスチック、ゴム、シリコン、または任意の他の適切な材料で作られてもよい。絶縁リングはカトマイザーコネクター370で囲まれており、これは銀メッキされていてもよく、あるいは何らかの他の適切な金属または導電材料で作製されてもよい。カトマイザー30が本体20に接続されると、カトマイザーコネクター370は本体20の本体コネクター240に接触して、カトマイザーと本体の間の第2の電気経路を供する。言い換えれば、内部電極375とカトマイザーコネクター370は制御回路550の制御下で本体のバッテリー210からカトマイザーの加熱エレメント365へと供給ライン366および367を介して電気を供給するための正および負の端子(またはその逆)としての役割を果たす。
【0030】
カトマイザーコネクター370には電子タバコの長手方向軸から遠ざかる互いに反対の方向に延びた2つの突起またはタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブを用いて本体コネクター240との差し込み式接続具を構成して、カトマイザー30を本体20に接続する。この差し込み式接続具により、カトマイザー30と本体20を互いに確実かつ堅牢に接続することができるため、カトマイザーと本体は互いに固定位置に保持され、ふらついたり曲がったりすることがなく、不意に外れるというような何らかの可能性は非常に低い。同時に差し込み式接続具によって、挿入、回転による簡単かつ瞬時の着脱と、(逆方向)回転と引き抜きによる分離ができる。なお、他の実施態様では本体20とカトマイザー30の間に異なる形態の接続、例えば嵌め込み式の接続あるいはネジ式の接続を用いてもよい。
【0031】
図4はいくつかの実施態様による本体20の端部のコネクター25Bの特定の詳細の略図である(ただし分かりやすくするため、
図2に示すコネクターの内部構造の大部分、例えばスペーサー260は省略されている)。具体的には、
図4は本体20の外部ハウジン
グ201を示しており、全体に円筒管の形態をしている。この外部ハウジング201は、例えば、紙またはそれに類似するものからなる外方のカバーを有する金属からなる内方管を含んでもよい。
【0032】
本体コネクター240は本体20のこの外部ハウジング201から延びている。
図4に示すように本体コネクターは、2つの主要部分、すなわち、本体20の外部ハウジング201の内側に嵌る大きさの中空の円柱管の形状のシャフト部分241および電子タバコの主長手方向軸(LA)から離れるように半径方向外方に向けられたリップ部分242を含む。シャフト部分が外部ハウジング201と重ならないところで本体コネクター240のシャフト部分241を囲んでいるのはカラーまたはスリーブ290であり、これも円柱管形状である。カラー290は本体コネクター240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201の間に保持され、これらは共にカラー290に軸方向の移動を妨げる(即ち軸LAに平行な)。しかしながら、カラー290はシャフト部分241の周囲を自由に回転する(従って軸LAの周囲で)。
【0033】
上記のように、キャップ225には空気取り入れ孔が設けられていて、ユーザーがマウスピース35を吸入すると空気が流れてセンサー215を通過できるようになっている。しかし、この特定の例のエアロゾル供給装置の場合、ユーザーが吸入する際に装置に入る空気の大部分は、カラー290および本体コネクター240を通過して
図4の2つの矢印で示す様に流れる。
【0034】
上記したようにエアロゾル供給装置での障害状態の発生および特に局部的な過熱(即ち、ホットスポット)を含む加熱エレメントの急激な過熱の発生を判定するためのスキームの要望がある。このような過熱は、例えば加熱エレメントの特定の部分の近傍で加熱するための液体源が不足していることが(おそらく一時的に)原因の場合もある。同様に過熱は熱流束が特定の限界(例えば、約1W/mm
2)を超えた際に加熱エレメントを熱的に過負荷することが原因の場合もある。下記特許文献2および3に加熱エレメントの温度をその抵抗から測定することが電子タバコ関連にて以前に提案されている。しかしながら、本発明者は、その方法は特に比較的低い温度係数の抵抗を有する材料(例えば、NiCr−合金またはKanthal)が加熱エレメントに使用されている場合、急激な局所的な加熱の発生を特定するには比較的反応が鈍いことを認識している。しかしステンレススチールの高い温度係数は、既存の技法の使用では局所的な加熱事象(ホットスポット)を判定するのに必要とされる感度が得られない場合がある。なぜなら加熱エレメントのその抵抗から温度を測定することはその長さに沿って積分された加熱エレメントの平均温度を表すことだからである。例えば、長さ30mmの加熱エレメントであって、無視できる非線形効果を想定すると、加熱エレメント抵抗の測定では加熱エレメントの全長に沿って均一な20℃の温度の上昇と加熱エレメントの長さ3mmに沿った局所的な200℃の温度の上昇は区別するのが不可能になる。このことは加熱エレメントの大きな部分の温度の許容できる上昇は、危険な場合がある局所的な過熱とは区別できないことを意味する。
【0035】
従って、本開示の実施態様によるエアロゾル供給装置の態様は、加熱エレメントの抵抗に基づいて障害状態が起こったかを判断するのを目的とするのではなく、障害状態が起こったことを判断するために温度による加熱エレメントの抵抗の変化を利用しており、本開示の特定の実施態様による方法は、代わりに加熱エレメントの抵抗(R)(または対応して関連する電気特性、例えば伝導性、電流引き込み、電力引き込みまたは電圧降下)に対する観測時間(t)の微分係数に基づいて障害状態が起こったか否かを判断する。例えば、時間導関数は、場合によっては一次導関数(即ち、dR/dt)であってもよく、他の場合においては二次導関数(d
2R/dt
2)であってもよい。
【0036】
図5は本開示の特定の実施態様による電子蒸気供給装置の操作方法を工程を略式に示すフロー図である。従って、
図1〜4に示した電子タバコの例との関連で、制御回路550は
図5に示す方法による機能を供するように構成されている。
【0037】
本プロセスはユーザーが
図1〜4の電子エアロゾル供給装置10を使用している最中で
あると想定している工程S1で始まる。
【0038】
工程S2では制御回路550がユーザーが吸入を開始したことを検知する(即ち、ユーザーがマウスピースで吸引を開始して電子エアロゾル供給装置に空気を引き込む)。この検知はセンサー215から受け取る信号に基づいており、任意の既知の技術に沿って行ってもよい。
【0039】
工程S3では制御回路550が加熱エレメント365への電力の供給を開始し、吸い上げ部材368から液体源を気化させ始めユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生させる。ここでもこのプロセスは既知の技術に従って行ってもよい。特に電力が通常の作動中(即ち、障害状態が起こっているとみなされていない)に供給される特定の方法は、既知の技術によるエアロゾルの発生のタイミングおよび範囲の観点からの所望の性能に応じて選択してもよい。例えば、電力は確立された技術に従ってエアロゾルを所望のレベルで発生させるためにユーザーのパフを通して供給される(例えば、パルス幅変調を使用して)電力の量を変化させながらユーザーのパフの継続時間に対応する期間で加熱エレメントに供給してもよい。さらに以下で述べる
図5の工程S4〜S6は、電力が加熱エレメントに供給され、エアロゾルを発生させている期間に継続して繰り返して行われる。
【0040】
工程S4では制御回路550が加熱エレメントの抵抗Rを監視する。これは、例えば10ミリ秒に1回といった一連の不連続な時間で加熱エレメントの抵抗(または対応する電気的パラメータ、例えば伝導性、電流引き込み、電力引き込みまたは電圧降下)を測定することによって実行される。加熱エレメントの抵抗の測定工程は従来の抵抗測定技術に沿って行ってもよい。即ち、制御回路550は抵抗(または対応する電気的パラメータ)を測定するために確立された技術に基づいた抵抗測定部材を含んでもよい。この点に関し、制御回路550の抵抗測定部材は配線366、367および種々のコネクター部品25A、25Bを介して加熱エレメントに結合されてもよい。この点に関し、当然のことながら制御回路550は加熱エレメントと制御回路550を加熱エレメント365に接続する種々の部材の合成抵抗を測定してもよい。しかしながら、抵抗経路内の他の部材の抵抗は時間に対して著しく変化するとは予測されないので、これはここで説明する本開示の実施態様による時間に対する加熱エレメントの抵抗の微分係数の測定に殆ど影響を与えなかった。さらに当然のことながら加熱エレメントに関連する電流、電力または電圧降下(および従ってその抵抗)は、加熱エレメントに電気的に結合された別の抵抗性部材、例えばパワー・モス電界効果トランジスタ、分流抵抗器またはそれ自体がキルヒホッフの電圧則を考慮したバッテリーの電気的特性(例えば電圧または電流/電力引き込み)の測定によっても測定することができる。
【0041】
工程S5では時間に対する抵抗Rの微分係数は異なる時間での工程S4で確立された一連の抵抗値から決定される。即ち、制御回路はサンプリング期間によって確立されたRの前の値の記録を維持し、確立された値の時間導関数を決定するように構成されている。例えば、その導関数は時間に対する一次導関数または時間に対する二次導関数であってもよい。導関数は離散測定からの勾配を決定するための従来の数値処理技術に沿って確立された値Rから定めてもよい。例えば、定期なサンプリングpに従って確立された一連の抵抗測定をR
0、R
1、R
2、R
3…、R
n−1、R
n、R
n+1…とすると、時間t
n(サンプルR
nの時間に対応する)での一次導関数の最初に決定される指標は、単純に以下の式によって決定される。
dR/dt=(R
n+1−R
n−1)/2p
【0042】
同様に時間t
n(サンプルR
nの時間に対応する)で二次導関数の最初に決定される指標は単純に以下の式によって決定してもよい。
d
2R/dt
2=(R
n+1+R
n−1−2R
n)/p
2
【0043】
しかしながら、当然のことながら一連のサンプルから一次導関数または二次導関数を確立するための種々の他の定着した統計的技法がある。さらに当然のことながら一秒当たりのオームを考慮した実際の導関数を定める必要はなく、導関数の指標で充分である。例えば、定期的なサンプリングではサンプル間の実際の時間は単に決定された導関数の有効ユニットを変えるだけなので考慮する必要はない。この特定の例では工程S5の処理は時間に対する抵抗の一次導関数(即ち、dR/dt)の決定に基づいていると想定される。
【0044】
工程S6では工程S5で確立された微分係数が閾値Vと比較される。実際には閾値は上述の種の急激な過熱が起こらないと想定される抵抗の変化の最大率の指標である。もし工程S6でS5で確立された微分係数が予め定義された閾値を超えなければ、処理は「いいえ」と付された線を辿り、処理が上述のように続く工程S4へと戻る。しかしながら、もし工程S6で工程S5で確立された微分係数が予め定義された閾値を超えると、処理は「はい」と付された線を辿り、工程S7へと進む。
【0045】
工程S7では工程S5で確立された時間導関数が工程S6の比較で予め定義された閾値を超えたことが分かったので、障害状態が発生したと想定することに決定する。この決定は加熱エレメントの抵抗は、急速な過熱、特に加熱エレメントに発現する局所的な加熱(ホットスポット)の場合には比較的不十分な指標であるので、時間に対する抵抗の変化率は良好な指標であるという発明者の認識に基づいている。これは抵抗の全体的な変化が加熱エレメント全体に亘る温度のゆるやかな上昇とより顕著な局所的な過熱事象の両方の場合において類似したとしてもこれら2つの場合の温度変化の速度は異なるからである。特に局所的な過熱(熱暴走)が加熱エレメント全体の均一な加熱より速く起こることが予測できる。
【0046】
工程S6に使用するのに好適な閾値は計算、モデル化または実験によって確立してもよい。例えば、サンプルエアロゾル供給装置を意図的にホットスポットの発現を促進させる条件に追い込んで、時間に対する抵抗の微分係数をホットスポットが起きた際に測定してもよい。同様に通常の作動中(即ち、加熱障害状態が起こっていない)の時間に対する抵抗の最大微分係数を確立させてもよい。その後閾値Vは、通常の作動中に見られる抵抗の最大微分係数と局所的な過熱/ホットスポットの結果として見られる抵抗の最小微分係数との間のどこかの値、例えばこれらの値の中間としてみなしてもよい。異なる設計のエアロゾル供給装置は、一般的には異なる閾値が適用される。
【0047】
工程7で障害状態が起きたと判定した後、この例の処理は工程S8へと進み、そこで加熱エレメントへの給電が減少し、例えば全体的に電源を切ってもよい。この例では
図5に示す処理は、その後工程S9へと進み、障害状態が起こったことの指標がインジケーター560を駆動させることによって示され、ユーザーに障害状態が起こったことを警告する。
【0048】
さらなる作動はその次にどのように実行するかによって変わる。例えば、いくつかの状況ではエアロゾル供給装置を実際に「ロック」して、ユーザーが、例えば本体とカトマイザーとを外して再度取り付けることによって(これを貯蔵部360を詰め替えるまたはカトマイザーを新しいものと交換するために行うということを予測して)装置を実際にリセットするまで機能させない。一部の状況ではエアロゾル供給装置を所定の時間内に多くの障害状態が検知された場合に「ロック」(即ち、それ以上機能しないようにする)してもよい。
【0049】
最適な性能のために時間に対する抵抗の微分係数は加熱エレメントの局所的な加熱事象(ホットスポット)に加熱エレメントの温度が一時的に一定であると考えられる場合に最
も高感度であってもよい。この点に関し、
図5に示す処理は場合によってはエアロゾル供給装置が正常に作動していて加熱エレメントの温度が一定のままであると予測される場合のみ実行されてもよい。例えば、その処理は加熱エレメントが常温から気化または沸騰温度に加熱される際の予備加熱段階中に行われないようにしてもよい。このような予備加熱はまた障害状態に類似して現れる加熱エレメントの急速な加熱を引き起こす。しかしながら、他の状況においては該処理を加熱エレメントの温度が一定であるか否かに関係なく行ってもよい。より一般的には本発明の方法はエアロゾルは発生させている間および/または電力が加熱エレメントに供給されている間に適応される。
【0050】
当然のことながら上述の装置と方法の種々の変更は本開示の特定の実施態様に従って行ってもよい。例えば、障害状態が起こったかを確定することを目的に時間に対する抵抗の微分係数を定めることに加えて、コントローラーも例えば従来の技術に従ってエアロゾルを所望の度合いおよびタイミングで供するために加熱エレメントへの電力の供給の制御に使用されるように抵抗の測定から加熱エレメントの効果的な平均温度を確定するように構成してもよい。
【0051】
さらに上述の例は抵抗の時間微分係数の指標が不連続な抵抗測定(即ち、実際にデジタル制御回路を使用して)得られる実行例に着目しているが、当然のことながら加熱エレメントの抵抗の微分係数の指標は、同じように例えば1つ以上の適切に構成されたフィルターを使うことによって確立されているアナログ電気技術を使用してアナログのドメインに確立することが可能である。さらに当然のことながら
図5に示す他の工程はデジタルな電気技術ではなくアナログ技術を使用して行うことも可能である。例えば、工程S5およびS6に対応する機能は加熱エレメントの抵抗を表す信号を高域フィルターに通し、この高域フィルターからのアウトプットをコンパレーターを使用して閾レベルと比較することによて実行することも可能である。
【0052】
既に上記したように例えば、1秒当たりのオームの観点から実際の微分係数を定める必要はなく、むしろ微分係数の指標、例えば経験的テストまたはモデリング中に観察されるものに基づいて、起きた障害状態に対応すると考えられる特定の閾値を微分係数が超えたかどうかの指標で充分である。例えば、1つの実行例では加熱エレメントの抵抗は所定の最初のヒーターの作動中の時間、例えばユーザーのパフの始まりの時の時間に亘って観察してもよい。この期間は検知期間として考えてもよく、装置はヒーターの抵抗がこの検知期間の間に基準抵抗値に対して閾値の分を超えて変化するかを定めるように構成してもよい。後続の測定を正規化するための基準抵抗値はヒーターが冷めているとき、例えばカトマイザーが最初に装置の本体に接続される際またはヒーターの作動と作動の間に測定されるヒーターの抵抗の値に対応してもよい。特定の具体例を供するために1つの実行例では検知期間は最初のヒーターの作動後400ミリ秒の長さであってもよく、障害状態を示すと考えられる抵抗の変化率の閾値がこの400ミリ秒の検知時間内で基準抵抗測定値に対して14%増加してもよい。従って、検知期間中の抵抗の測定値が400ミリ秒の検知時間内で基準抵抗値の14%を超える抵抗の変化がある増加を示した場合、これは抵抗の変化率が障害を示す閾値より大きいことを示し、装置はそれに応じて反応する。
【0053】
このように、液体源からエアロゾルを発生させる加熱エレメントとバッテリーまたは電池などの電源から加熱エレメントへの電力の供給を制御するための制御回路とを含む電子タバコなどのエアロゾル供給装置について説明した。制御回路は、時間に対する加熱エレメントの電気的特性の導関数例えば加熱エレメントの抵抗の一次時間導関数または二次時間導関数(または伝導性、電流引き込み、電力引き込み、電圧降下などの関連するパラメータ)の指標を測定するように構成される。測定された時間導関数に基づいて、制御回路は障害状態、例えば局所的な加熱エレメントの加熱が電子エアロゾル供給装置に発生したか否かを決定するように構成される。局所的な加熱によって生じる加熱エレメントの電気
的特性の全体的な変化は、小さい場合があるので、信頼性をもって特定するのは難しいが、その変化の起こる速度は比較的速いと予測することができ、これは局所的な特性の時間導関数は障害状態の発生をより信頼性を持って示すことを意味する。
【0054】
上述の実施態はいくつかの点で一部の特定の例のエアロゾル供給装置に着目しているが、当然のことながら同じ原理を他の技術を使用しているエアロゾル供給装置に適用することができる。即ち、ここで説明した方法に従って障害状態が加熱エレメントに起こったかを定めるために直接関連しないエアロゾル供給装置の種々の態様は特定の実施態様に内在する原理に重要ではない。例えば、下記特許文献1に開示されている装置に基づく構造を他の実行例に使用することも可能である。
【0055】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施態様を例示的に示しており、これらの実施態様では特許請求された発明が実践される。本開示の利点および特徴は実施態様の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施態様、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施態様を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施態様は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。