(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記D2の球状アルミナは、平均粒子径10μm以上50μm未満の球状アルミナと平均粒子径50μm以上100μm以下の球状アルミナの少なくとも2種類を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーンゲル組成物。
請求項1〜4のいずれか1項の熱伝導性シリコーンゲル組成物の硬化シートであり、熱伝導率が1W/m・K以上、Asker C硬さが30以下、復元率が20%以上であることを特徴とする熱伝導性シリコーンゲルシート。
前記D2の球状アルミナは、平均粒子径10μm以上50μm未満の球状アルミナと平均粒子径50μm以上100μm以下の球状アルミナの少なくとも2種類を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーンゲルシートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の熱伝導性シリコーンゲル組成物は、下記A-Dを含む。
A 分子鎖の両末端にビニル基を各1個有し、動粘度が1〜600mm
2/sの直鎖状オルガノポリシロキサン
B Si−H基が1分子中に3個以上存在し、かつSi−H基の含有量が0.05〜6mol/kgである直鎖状オルガノポリシロキサン:B成分中のSi−H基数/A成分中のビニル基数=0.2〜0.5となる量
C 白金族系金属触媒:触媒量
D 熱伝導性充填剤:AとBの合計量を100質量部としたとき300〜1000質量部であり、かつ
D1:少なくとも1種類の平均粒子径1〜5μmの球状アルミナであり、前記アルミナの一部または全部がR
aSi(OR’)
4-a(但し、Rは炭素数8〜12の非置換又は置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシランカップリング剤で表面処理されている球状アルミナが50〜400質量部
D2:少なくとも1種類の平均粒子径10〜100μmの球状アルミナが100〜950質量部
【0011】
本発明の熱伝導性シリコーンゲル組成物は、前記A〜D成分を含む組成物とすることにより、柔軟性と高復元性の相反する性質を両立させることができる。すなわち、前記A成分の動粘度が1〜600mm
2/sであり、かつB成分のSi−H基の含有量が0.05〜6mol/kgであることにより、B成分中のSi−H基数/A成分中のビニル基数=0.2〜0.5となる量で前記A成分と前記B成分とを配合した際に、硬化後の架橋密度が最適化され、柔軟性と高復元性を発現できる。
A成分の動粘度が前記範囲より高いと、架橋点間距離が長くなってしまい、復元性が低下し、前記範囲より低いと、架橋点間距離が短くなってしまい、柔軟性が損なわれる。
B成分のSi−H基の含有量が前記の範囲であると、硬さを調整しやすく、硬化物の復元性が向上しやすいという利点がある。前記範囲よりも低濃度だと、復元率が悪くなりやすく、高濃度だと少量の添加で硬さが上がってしまい、柔軟な硬化物が得られない。
また、特定の熱伝導性充填剤を添加することにより、柔軟性と高復元性を発現できる。
本発明の熱伝導性シリコーンゲルシートは、前記A〜D成分を含む組成物を硬化させたシートとすることにより、柔軟性と高復元性の相反する性質を両立させることができる。すなわち、熱伝導率が1W/m・K以上、Asker C硬さが30以下、復元率が20%以上であり、軟らかく復元性も高い。本発明の製造方法は、前記熱伝導性シリコーンゲルシートを効率よく合理的に、かつ安価に製造できる。
【0012】
前記A成分は、分子鎖の両末端にビニル基を各1個有し、側鎖はアルキル基、フェニル基などの有機基、またはこれらの組み合わせによる直鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。なお、この直鎖状オルガノポリシロキサンは少量の分岐状構造(三官能性シロキサン単位)を分子中に含有するものであってもよい。一例として、少なくとも両末端がジメチルビニルシロキシ基で、主鎖がジメチルポリシロキサンの化合物が挙げられる。動粘度は1〜600mm
2/sであり、より好ましくは50〜550mm
2/sであり、さらに好ましくは100〜500mm
2/sである。動粘度はメーカーカタログ等に記載されているが、ウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度である。前記A成分の動粘度が1〜600mm
2/sであり、かつB成分のSi−H基の含有量が0.05〜6mol/kgであることにより、B成分中のSi−H基数/A成分中のビニル基数=0.2〜0.5となる量で、前記A成分と前記B成分とを配合した際に、硬化後の架橋密度が最適化され、柔軟性と高復元性を発現できる。
【0013】
前記A成分の具体例として、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、および分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
前記B成分は、Si−H基が1分子中に3個以上存在するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基を有するA成分に付加反応する架橋剤として機能する。Si−H基が1分子中に3個未満では、3次元的な架橋構造にならず、前記架橋剤として機能しない。また、直鎖状オルガノポリシロキサンのSi−H基の含有量は0.05〜6mol/kgであり、より好ましくは0.05〜5mol/kgであり、さらに好ましくは0.05〜2mol/kgである。Si−H基の含有量が前記の範囲であると、硬さを調整しやすく、硬化物の復元性が向上しやすいという利点がある。前記範囲よりも低濃度だと、復元率が悪くなりやすく、高濃度だと少量の添加で硬さが上がってしまい、柔軟な硬化物が得られない。B成分中のSi−H基数/A成分中のビニル基数=0.2〜0.5となる量であり、より好ましくは0.25〜0.45、さらに好ましくは0.3〜0.4である。B成分のSi−H基以外の有機基はアルキル基、フェニル基など、またはこれらの組み合わせによる直鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。なお、この直鎖状オルガノポリシロキサンは少量の分岐状構造(三官能性シロキサン単位)を分子中に含有するものであってもよい。一例として、Si−H基以外の有機基はジメチル基が挙げられる。具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体および分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0015】
前記B成分の直鎖状オルガノポリシロキサンの動粘度は1〜10000mm
2/sが好ましく、より好ましくは3〜9000mm
2/sであり、さらに好ましくは3〜8000mm
2/sであり、さらにより好ましくは5〜6000mm
2/sであり、さらにより好ましくは10〜3000mm
2/sであり、さらにより好ましくは20〜1000mm
2/sである。動粘度はメーカーカタログ等に記載されているが、ウベローデ粘度計により測定した25℃における動粘度である。
【0016】
前記C成分の触媒成分は、本組成物の硬化を促進させる成分である。C成分としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒を用いることができる。例えば白金黒、塩化第2白金酸、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類やビニルシロキサンとの錯体、白金ビス(アセチルアセトナト)等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族系金属触媒が挙げられる。C成分の配合量は、硬化に必要な量であればよく、所望の硬化速度などに応じて適宜調整することができる。A成分に対して金属原子重量として0.01〜1000ppm添加するのが好ましい。
【0017】
前記D成分は熱伝導性充填剤であり、AとBの合計量を100質量部としたとき300〜1000質量部加える。D成分のより好ましい添加量は400〜900質量部であり、さらに好ましくは500〜800質量部である。
前記D成分は、下記のD1とD2を含む。
D1:少なくとも1種類の平均粒子径1〜5μmの球状アルミナであり、前記アルミナの一部または全部がR
aSi(OR’)
4-a(但し、Rは炭素数8〜12の非置換又は置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシランカップリング剤で表面処理されている球状アルミナが50〜400質量部
D2:少なくとも1種類の平均粒子径10〜100μmの球状アルミナが100〜950質量部
D1(平均粒子径1〜5μmの表面処理球状アルミナ)とD2(平均粒子径10〜100μmの球状アルミナ)を組み合わせることにより、大粒子の間に小粒子が充填され、最密充填に近い状態で充填でき、柔軟性と高復元性を保持しつつ、熱伝導率を高くできる。また、アルミナ(酸化アルミニウム)を使用することにより、安価に製造できる。平均粒子径は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定において、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)である。この測定器としては、例えば堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA−950S2がある。
【0018】
また、前記C成分の触媒成分の吸着による消費の抑制、及び前記最密充填の観点から、前記D1成分100質量部に対して、前記D2成分は、好ましくは200〜500質量部である。
【0019】
前記D1成分は、その一部または全部が前記シランカップリング剤で表面処理されている球状アルミナである。シランカップリング剤は予め球状アルミナと混合して前処理しておいてもよく、ベースポリマー(前記A成分および前記B成分)と硬化触媒(前記C成分)と球状アルミナを混合する際に添加してもよい(インテグラルブレンド法)。インテグラルブレンド法の場合には、平均粒子径1〜5μmの球状アルミナ100質量部に対し、シランカップリング剤を0.01〜10質量部添加するのが好ましい。表面処理することでベースポリマーに充填しやすくなるとともに、D1成分へ硬化触媒が吸着されるのを防ぎ、硬化阻害を防止する効果がある。これは保存安定性に有用である。また、前記シランカップリング剤で熱伝導性フィラーである球状アルミナを表面処理することにより、復元性が向上する。
前記シランカップリング剤は、一例としてオクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、一種又は二種以上混合して使用することができる。表面処理剤として、アルコキシシランと片末端シラノールシロキサンや片末端トリメトキシシリルポリシロキサンを併用してもよい。ここでいう表面処理とは共有結合のほか吸着なども含む。
【0020】
前記D2の球状アルミナは、平均粒子径10μm以上50μm未満と平均粒子径50μm以上100μm以下の少なくとも2種類としてもよい。これによりさらに最密充填に近い状態で充填できる。
【0021】
前記D2成分は、R
aSi(OR’)
4-a(Rは炭素数1〜20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシラン化合物、もしくはその部分加水分解物、もしくはアルコキシ基含有シリコーンで表面処理されていてもよい。前記のアルコキシシラン化合物(以下単に「シラン」という。)は、一例としてメチルトリメトキシシラン,エチルトリメトキシシラン,プロピルトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,ペンチルトリメトキシシラン,ヘキシルトリメトキシシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン,ヘキサデシルトリメトキシシラン,ヘキサデシルトリエトキシシラン,オクタデシルトリメトキシシラン,オクタデシルトリエトキシシラン等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、一種又は二種以上混合して使用することができる。表面処理剤として、アルコキシシランと片末端シラノールシロキサンを併用してもよい。ここでいう表面処理とは共有結合のほか吸着なども含む。
【0022】
本発明の熱伝導性シリコーンゲルシートの熱伝導率は1〜5W/m・Kが好ましく、より好ましくは1.2〜4.5W/m・Kであり、さらに1.5〜4W/m・Kである。熱伝導率は後に説明するホットディスク法(ISO/CD 22007−2準拠)で測定する。
【0023】
本発明の熱伝導性シリコーンゲルシートのAsker C硬さは3〜30が好ましく、より好ましくは5〜28であり、さらに好ましくは10〜25である。Asker C硬さはJIS K 7312に従って測定する。
【0024】
本発明の熱伝導性シリコーンゲルシートの復元率は20〜100%が好ましく、より好ましくは21〜100%であり、さらに好ましくは22〜100%である。復元率は後に説明する方法で測定する。
【0025】
前記熱伝導性シリコーンゲルシートは、目視による観察で発泡は認められないのが好ましい。硬化時に発泡すると熱伝導性が低下する問題がある。
【0026】
本発明の熱伝導性シリコーンゲルシートの製造方法は、前記A〜D成分を含む組成物を均一に混合し、シート成形し、熱硬化する。シート成形はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟んで圧延する方法が好ましい。シートの厚さは0.1〜5.0mmが好ましい。熱硬化は、温度70〜150℃で、10〜120分間熱処理するのが好ましい。
【0027】
本発明の組成物には、必要に応じて前記以外の成分を配合することができる。例えばベンガラ、酸化チタン、酸化セリウムなどの耐熱向上剤、難燃助剤、硬化遅延剤などを添加してもよい。硬化遅延剤としては、エチニルシクロヘキサノールなどがある。着色、調色の目的で有機或いは無機粒子顔料を添加しても良い。
【実施例】
【0028】
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。各種パラメーターについては下記の方法で測定した。
【0029】
<硬さ>
JIS K 7312に規定されているAsker C硬さを測定した。
<復元率>
復元率は、タテ20mm、ヨコ20mm、厚さ3mmのシリコーンゲルシートを、厚さ12μmのポリイミドフィルムで挟み、1.5mmのスペーサーを使用して1.5mmの厚さまで圧縮し、圧縮した状態で150℃の温度のオーブンに24時間放置した。24時間後に前記シートを取り出し、直ちに圧縮から開放し、1時間室温で静置した後に前記シートの厚さを測定し、下記の計算式により算出した。
復元率(%)=[(L2-L1)/ (L3-L1)]×100
但し、L1:スペーサー厚さ(1.5mm)、L2:試験後のサンプル厚さ、L3:試験前のサンプル厚さ
<熱伝導率>
熱伝導率は、ホットディスク(ISO/CD 22007−2準拠)により測定した。この熱伝導率測定装置1は
図1Aに示すように、ポリイミドフィルム製センサ2を2個の試料3a,3bで挟み、センサ2に定電力をかけ、一定発熱させてセンサ2の温度上昇値から熱特性を解析する。センサ2は先端4が直径7mmであり、
図1Bに示すように、電極の2重スパイラル構造となっており、下部に印加電流用電極5と抵抗値用電極(温度測定用電極)6が配置されている。熱伝導率は以下の式(数1)で算出する。
【数1】
【0030】
(実施例1〜4、比較例1〜5)
1.原料成分
(1)A成分
(i)分子鎖の両末端に各1個のビニル基を有し、動粘度が350mm
2/sの直鎖状ジメチルポリシロキサン
(ii)分子鎖の両末端に各1個のビニル基を有し、動粘度が3500mm
2/sの直鎖状ジメチルポリシロキサン
(2)B成分
(i) Si−H基が1分子中に3個以上存在し、かつSi−H基の含有量が0.67mol/kg、動粘度が850mm
2/sである直鎖状オルガノポリシロキサン
(ii) Si−H基が1分子中に3個以上存在し、かつSi−H基の含有量が0.1mol/kg、動粘度が6300mm
2/sである直鎖状オルガノポリシロキサン
(iii) Si−H基が1分子中に3個以上存在し、かつSi−H基の含有量が6.86mol/kg、動粘度が20mm
2/sである直鎖状オルガノポリシロキサン
(3)C成分(触媒)
市販の白金触媒を使用した。
(4)硬化遅延剤として、エチニルシクロヘキサノールを使用した。
(5)D成分(熱伝導性充填剤)
(i)D1成分として、平均粒子径D50が2μmであり比表面積が1.3m
2/gの球形アルミナを使用した。表面処理剤は、下記のアルキルトリアルコキシシランを、球形アルミナ100gに対して以下の式より算出した添加量を付着させた。
添加量(g)=1.3×100/(6.02×10
23×13×10
-20/表面処理剤の分子量)
S1:n−デシルトリメトキシシラン(アルキル基の炭素数10)
S2:n−ドデシルトリメトキシシラン(アルキル基の炭素数12)
S3:n−オクタデシルトリメトキシシラン(アルキル基の炭素数18)
S4:n−プロピルトリメトキシシラン(アルキル基の炭素数3)
(ii)D2成分として、平均粒子径D50が35μmの球形アルミナを使用した。
(iii)D2成分として、平均粒子径D50が75μmの球形アルミナを使用した。
平均粒子径は、レーザー回折光散乱法による粒度分布測定において、体積基準による累積粒度分布のD50(メジアン径)である。この測定器としては、例えば堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA−950S2がある。
2.混合・成形・硬化方法
上記成分を混合し、PETフィルムに挟んで厚さ3.0mmに圧延することでシート成形し、温度100℃で10分間硬化した。
以上のようにして得た硬化シートを評価した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
以上の結果から、次のことがわかる。
(1)実施例1は、Si-H含有量が0.67mol/kgであり、復元率は良好であった。
(2)実施例2は、Si-H含有量が0.1mol/kgであり、復元率は良好であった。
(3)実施例3は、表面処理剤がドデシルトリメトキシシランである点が実施例1と異なるが、復元率は良好であった。
(4)実施例4は、熱伝導性充填剤の配合量が実施例1〜3よりも少ないため、復元率が実施例1〜3のそれよりも高かった。
(5)比較例1は、動粘度の高い両末端ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを使用した結果、復元率が悪化した。
(6)比較例2は、Si-H基数/ビニル基の割合が0.52であり、硬くなってしまった。
(7)比較例3は、表面処理剤がオクタデシルトリメトキシシランであったため、硬化時に表面発泡する問題があった。
(8)比較例4は、表面処理剤がプロピルトリメトキシシランであったため、硬くなり、かつ復元率も悪かった。
(9)比較例5は、Si-H含有量が6.86mol/kgであり、復元率が悪かった。
以上のとおり、実施例1〜4は柔軟性と高復元性を発現できることが確認できた。
/sの直鎖状オルガノポリシロキサン、B:Si−H基が1分子中に3個以上存在し、かつSi−H基の含有量が0.05〜6mol/kgである直鎖状オルガノポリシロキサン:B成分中のSi−H基数/A成分中のビニル基数=0.2〜0.5となる量、C:白金触媒:触媒量、D:熱伝導性充填剤:AとBの合計量を100質量部としたとき300〜1000質量部