特許第6942911号(P6942911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6942911地中杭引き抜き用杭保持体および該保持体を用いた地中杭引き抜き工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942911
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】地中杭引き抜き用杭保持体および該保持体を用いた地中杭引き抜き工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 9/02 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   E02D9/02
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-117865(P2019-117865)
(22)【出願日】2019年6月7日
(65)【公開番号】特開2020-200742(P2020-200742A)
(43)【公開日】2020年12月17日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】519230329
【氏名又は名称】有限会社三友機工
(72)【発明者】
【氏名】柳川 宏治
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−212464(JP,A)
【文献】 特開2019−002265(JP,A)
【文献】 特開2019−015076(JP,A)
【文献】 特開2005−61158(JP,A)
【文献】 特開2015−214795(JP,A)
【文献】 特開2017−227049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下開放の基筒を設けるとともに該基筒側面に平面視対称位置に空隙部を設け、該基筒外周面に沿って上下にスライド移動可能なる筒体よりなる可動筒を基筒外方に設け、基筒の下部外面にて適宜支持部材にて回動可能に上向きに軸支される一対の杭保持アームを上記空隙部内に設け、可動筒外面に一対の上向きのサポートアーム下部を、上記空隙部内であるとともに上記杭保持アーム両脇に適宜支持部材にて回動可能に軸支にて設け、上記杭保持アームとサポートアーム上部近傍を互いに貫通する軸にて、杭保持アームとサポートアームを互いに回動可能に軸支し、一方、上記の杭保持アームとサポートアームの平面視位置とは別位置の可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙を設けるとともに、基筒外周面にストッパーを突設し、該ストッパーを可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙内に位置させることにより、基筒に対する可動筒の昇降にて杭保持アーム先端間距離の可変を可能とするよう構成したことを特徴とする地中杭引き抜き用杭保持体。
【請求項2】
1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ−シングを杭周に建て込み、オーガーケーシングの鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭引き抜き用杭保持体をワイヤーで吊下しつつ、該保持体内に地中杭が位置するよう適正深度まで落とし込み、該保持体を引き上げることにて該保持体に設けた杭保持アームに地中杭が保持されて、この地中杭を地中から引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする杭引き抜き用杭保持体を用いた地中杭引き抜き工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中杭を引き抜く場合に用いて便利なる杭保持体と、該保持体を用いた新規な杭引き抜き工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械装置を用いて地中杭を引き抜く工法があるが、本発明にて示すように、回動型の杭保持アームを用いる方式は現在のところ見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既述した従来方法には,以下に示す問題があった。
1.杭にワイヤー掛けする方法のため、杭小片等は引き抜くことができず撤去することができない。
2.杭が地中に残されて小片となっていることを確認できない。
3.油圧シリンダーなどを用いた大型の装置が必要である。
本発明は以上に鑑み、上記問題点を解決するために発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。すなわち、本発明の一つは、
上下開放の基筒を設けるとともに該基筒側面に平面視対称位置に空隙部を設け、該基筒外周面に沿って上下にスライド移動可能なる筒体よりなる可動筒を基筒外方に設け、基筒の下部外面にて適宜支持部材にて回動可能に上向きに軸支される一対の杭保持アームを上記空隙部内に設け、可動筒外面に一対の上向きのサポートアーム下部を、上記空隙部内であるとともに上記杭保持アーム両脇に適宜支持部材にて回動可能に軸支にて設け、上記杭保持アームとサポートアーム上部近傍を互いに貫通する軸にて、杭保持アームとサポートアームを互いに回動可能に軸支し、一方、上記の杭保持アームとサポートアームの平面視位置とは別位置の可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙を設けるとともに、基筒外周面にストッパーを突設し、該ストッパーを可動筒側面に上下に延びた長穴状の空隙内に位置させることにより、基筒に対する可動筒の昇降にて杭保持アーム先端間距離の可変を可能とするよう構成したことを特徴とする地中杭引き抜き用杭保持体である。
【0005】
また本発明の他の一つは、
1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ−シングを杭周に建て込み、オーガーケーシングの鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭引き抜き用杭保持体をワイヤーで吊下しつつ、該保持体内に地中杭が位置するよう適正深度まで落とし込み、該保持体を引き上げることにて該保持体に設けた杭保持アームに地中杭が保持されて、この地中杭を地中から引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする杭引き抜き用杭保持体を用いた地中杭引き抜き工法である。


【発明の効果】
【0006】
本発明は下記の効果を有する。
1.地中杭に直接ワイヤーを掛ける従来法では引き抜くことが困難な破砕杭を引き抜くことができる。
2.対向する杭保持アームが破砕した地中杭側面に接して、杭の自重にて該アームを接近する方向へと付勢されるので、安全確実に地中杭を保持して引き抜くことができる。
3.筒体とアームにて主要部を構成したので、引き上げた小片や土をすみやかに確認して除去することができる。
4.筒体とアームにて構成したので、構造が単純かつ製作費用負担を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来例の杭引き抜き手順フローチャート
図2】従来例の杭引き抜き手順説明図
図3】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の平面図
図4】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の正面図
図5】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の左側面図
図6】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の杭保持アーム位置変化説明図
図7】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体のアーム位置変化説明線図
図8】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の各筒位置関係説明図
図9】本発明の地中杭引き抜き用杭保持体の杭保持状態説明図
図10】本発明の地中杭引き抜き手順フローチャート
図11】本発明の地中杭引き抜き手順説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本発明の説明の前に、従来手段について説明する。
従来手段による地中杭引き抜き手順:
1.地盤掘削および逃げ芯セット(図2−a,b)
バックホウで杭上方の地面を掘削して杭頭を露出させる。杭芯が不明となる恐れのあるときは、逃げ芯を2箇所以上設ける。地盤崩落の危険がある場合は、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ(重機転倒防止対策用型枠)設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機の据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残渣処理場所等を確認する。
3.オーガーケーシング建て込み)(図2−c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むとともに、2方向からその鉛直を確認する。
油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図2−c)
該ケーシング下端から水を噴出させ,地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
【0009】
5.杭と地盤とのえん切りを確認する(図2−d)
掘削速度を確認しながら、杭の挙動や回転等にてえん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図2−e)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険がある場合は、引き上げ時に除去する。
7.地中杭の引き抜き(コンクリートパイル)(図2−f,g)
ケーシング下端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで玉掛けワイヤーを落とし込む。
ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
8.掘削孔の養生(図2−h)
砂をバックホウで埋め戻す。
以上の工程を,各パイル毎に行う。
【0010】
次に、本発明にて用いる地中杭引き抜き用杭保持体について説明する。
図において、1は基筒で、所定長の金属製円筒である。2は可動筒で、金属製円筒であるとともに、その上端より少し下がった位置の外周に上段部3を有している。
また、前記の基筒についても、その下端からやや上がった位置の外周に下段部4を有しており、可動筒内径は基筒外径よりわずかに大きく、従って可動等は基筒外周をガイドとしてスライド移動が可能である。
【0011】
5は平板状の杭保持アームステーで、基筒の下部外面に一対が所定間隔にて固着突設される。この杭保持アームステーは有孔であって、この孔内にアーム保持軸6が挿通固定される。7は杭保持アームで、その先端を斜方形成した角形棒体であって、その下部近傍に孔が穿設され、この孔内に前記のアーム保持軸がゆるく挿通されており、図5にて示すように、杭保持アームステー間に、この杭保持アームが回動可能に位置している。
【0012】
10はサポートアームステーで、前記の杭保持アームステーと同様構成であって、可動筒外面に固着突設される。11はサポートアームで、所定長の有孔棒体であり、所定間隔を有して一対が設けられる。12はサポートアーム下部保持軸で、図5にて示すように、サポートアームステーとサポートアーム間に、各々の孔を介してサポートア−ムステーに挿入固着される。このサポートアームの孔は下部保持軸に対し回動可能である。
この下部保持軸は、一対が対称形に設けられる。13はサポートアーム上部保持軸で、一対のサポートアームおよび前記の杭保持アームに各々設けられる孔内に挿入保持される。なお、この軸に対し杭保持アームは回動可能である。
【0013】
14は基筒および可動筒に設けられる空隙部で、この空隙部内に既述の各アーム等が位置している。
15は可動筒に設けられる角形の空隙で、平面視対称形であると共に、前記の各アーム位置とは90度移行した位置に一対が設けられる。16はストッパーで、基筒外面適所に突設される直方体形状部分であって、上記の空隙内に位置している。
以上が地中杭引き抜き用杭保持体20の基本構成である。
【0014】
次に、本保持体の機能と作用について説明する。
前記したように、基筒に沿って可動筒は上下にスライド可能であって、このスライドにて各アーム位置が変化する。可動筒が基筒に対して最下位置のとき、可動筒下端は下段部4に接し、またストッパー上端は空隙内最上位置にある。
可動筒を上方にスライド移動させると、サポートアームはその下部にはサポートアーム下部保持軸が位置し、上部にはサポートアーム上部保持軸が、杭保持アームと共通に位置しており、このサポートアームは下部保持軸を回動中心として筒内方へと倒れ込むが、上記のようにサポートアームは杭保持アームに関連づけされているために、杭保持アームも筒内方へと倒れ込むのである。この倒れ込みにて杭保持アーム先端間距離は小さくなる。
【0015】
これを図7にて説明すると、サポートアーム全体はスライド移動にて上方へ移動するが、サポートアーム上端近傍は杭保持アームに軸にて関連づけられているため、スライド前のサポートアームの角度を保持しようとすると、杭保持アーム全体を上方へ引き上げることとなるが、この杭保持アーム下部はステーにてその位置は上昇できない。
そのために、サポートアームの角度は変化して筒内へと倒れ込むこととなる。
サポートアームと杭保持アームは軸にて関連づけられているために、杭保持アームも同様に筒内方へと倒れ込むこととなり、従って一対の対向配置されている杭保持アームの上端間距離は接近することとなり、この接近にて図9にて示すように、地中杭外周面を押圧保持することができる。以上の動きは可動筒の昇降にて可逆的である。
【0016】
この状態にて、可動筒および基筒を杭に対して上昇させると、地中杭は該筒に対して下方移動しようとするが、該杭得意保持アームとの摩擦にて、杭保持アームは筒内方へ倒れ込もうとする力が働き、これにて該アームはより強固な押圧を地中杭に対して与えることとなるために、杭はアームに保持されたまま上方移動して、地中から杭を抜き去ることができる。なお、可動筒の昇降可能範囲はストッパー上下端が空隙15の上下端に接することにて規制される。なお、杭を地中から抜いた後は、杭に対して該筒は下方移動させることにて杭から本品を離脱させることができる。
【0017】
次に、本発明による地中杭引き抜き用杭保持体を用いた地中杭引き抜き工法について説明する。
1.地盤掘削・杭頭確認・逃げ芯セット(図11−a,b)
バックホウで地盤を掘削し、杭頭を露出させる。杭頭の倒れ等の有無を考慮し、杭芯が不明となる恐れがあるときは、逃げ芯を2箇所以上設置する。地盤崩落の危険があるときは、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残土処理場所等を確認しておく。
3.オーガーケーシング建て込み(図11−c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むと共に、2方向からオーガーケーシングの鉛直を確認する。オーガーケーシング用油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図11−c)
オーガーケーシング先端から水を噴出させ、地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
5.杭・地盤とのえん切り確認(図11−d)
掘削深度を確認しながら杭の挙動や回転等により、えん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図11−c)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険があるときは、引き上げ時に取り除く。
【0018】
7.地中杭(コンクリートパイル)の引き抜き
(7−1)(図11−f,g)
ケーシング先端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで落とし込む。ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから,徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら,再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
(7−2)(図11h〜l)
コンクリートパイルが破砕され、ワイヤー掛けで引き抜くことが困難な場合、チャッキング装置(本発明による地中杭引き抜き用杭保持体)の上部にケーシング先端をはめ込み、クレーンフックをチャッキングに装着された2本のワイヤーに掛け、適度にワイヤーを張り、ケーシング、チャッキングを一体として杭孔下端付近まで落とし込む。
適正深度を確認後、挿入時同様にケーシング、チャッキングを一体として徐々に引き上げる。クレーンフックを緩めてケーシングを外し、チャッキング、ケーシング内の杭破砕片、鉄筋等を確認し、取り除く。なお、図示を略したが、可動筒外面にはフックが設けられ、そのフックにワイヤーが取り付けられて、クレーンにてチャッキング装置が吊下される。
8.掘削孔の養生(図11−m)
砂をバックホウにて埋め戻す。以上の各工程を各杭に対してくり返す。
【0019】
以上、本発明について記したが、本発明は従来法の玉掛けワイヤーを地中杭に掛けて引き抜く手段とは異なり、杭保持体を用いて、破砕した杭をも引き抜くところにその特徴を有するものである。
従来法は既述のように、諸準備の後に玉掛けワイヤーを掘削孔中の杭に掛けて引き上げるものであり、杭が破砕していない場合にはこの方法で対処ができるが、破砕している杭に対しては効果を発揮することができない。玉掛けワイヤーは引くと締まる環状部分を杭に掛けて引き上げるのであるが、破砕箇所はこのワイヤーにてくずれてしまうために、引き上げが困難となる。
【0020】
これに対し本発明は既述のように、対向する杭保持アームを杭外面に押圧接触させる方式のために、破砕した杭箇所を外方から強固に押圧して杭形状を保持したまま引き上げることが可能である。またその押圧は他の動力源を用いずに杭自重にて自然になされるものであるために、従来法では不能であった破砕杭をも引き上げることができるのである。
なお、手順としてはまず従来法による引き抜きを行い、杭の状態を判断して本発明方式を用いることができる。以上のごとく、本発明によって、従来法では不能であった破砕杭の引き上げを可能とする新規かつ有用なる、地中杭引き抜き用の杭保持体と、該保持体を用いた地中杭引き抜き工法を得ることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 基筒
2 可動筒
3 上段部
4 下段部
5 杭保持アームステー
6 アーム保持軸
7 杭保持アーム
8 地中杭
10 サポートアームステー
11 サポートアーム
12 サポートアーム下部保持軸
13 サポートアーム上部保持軸
14 空隙部
15 空隙
16 ストッパー
20 地中杭引き抜き用杭保持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11