特許第6942941号(P6942941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6942941プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942941
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20210916BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   G08G1/16 C
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-133561(P2016-133561)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-5680(P2018-5680A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】重住 淳一
(72)【発明者】
【氏名】浅井 達哉
(72)【発明者】
【氏名】森川 裕章
(72)【発明者】
【氏名】稲越 宏弥
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−170030(JP,A)
【文献】 特開2013−083582(JP,A)
【文献】 特開2004−144566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が移動した軌跡の補間を行う前記軌跡の始点及び終点を端点とする線分の両端点を中心とし、前記線分を半径とする2つの円が重複する範囲に含まれており、前記移動体を観測した複数の観測点を特定し、
特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出し、
抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する
処理を情報処理装置に実行させるプログラム。
【請求項2】
補間を行う前記軌跡は複数であり、
複数の軌跡の内、前記軌跡の始点及び終点を結ぶ線分が最も長い軌跡を抽出し、
抽出した軌跡の始点及び終点を端点とする線分の近傍の複数の観測点を特定する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記線分を直径とする円内に存在する観測点を特定する
請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
特定した観測点の内、前記線分の中点との距離が最も小さい観測点を抽出する
請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
特定した観測点の内、前記線分の両端点との距離の和が最も小さい観測点を抽出する
請求項1又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
移動体が移動した軌跡の補間を行う前記軌跡の始点及び終点を端点とする線分の両端点を中心とし、前記線分を半径とする2つの円が重複する範囲に含まれており、前記移動体を観測した複数の観測点を特定する特定部と、
該特定部で特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出する抽出部と、
該抽出部で抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する補間部と
を備える情報処理装置。
【請求項7】
移動体が移動した軌跡の補間を行う前記軌跡の始点及び終点を端点とする線分の両端点を中心とし、前記線分を半径とする2つの円が重複する範囲に含まれており、前記移動体を観測した複数の観測点を特定し、
特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出し、
抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する
情報処理装置を用いた情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報に基づいて自動車又は歩行者等の移動体が移動した軌跡を補間するプログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置が移動体から位置情報を取得する場合、位置情報を取得する頻度に限界があるため、移動体が移動した軌跡を正確に把握することが難しかった。そこで近年、複数の移動体の位置情報を取得し、取得した位置情報同士を関連付けることで一の移動体の軌跡を補間するプログラムが開発されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載のプログラムは、一の移動体の軌跡の近傍に存在する他の移動体の軌跡の位置情報を特定し、一の移動体の軌跡及び特定した位置情報を連結することで一の移動体が移動したと予想される適切な経路に軌跡を補間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−170030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術では、余分な位置情報を特定することで適切な経路より長い経路に軌跡を補間する場合があるという問題がある。
【0006】
一つの側面では、適切な経路に軌跡を補間することができるプログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様のプログラムは、移動体が移動した軌跡の補間を行う前記軌跡の始点及び終点を端点とする線分の両端点を中心とし、前記線分を半径とする2つの円が重複する範囲に含まれており、前記移動体を観測した複数の観測点を特定し、特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出し、抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する処理を情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
一側面によれば、適切な経路に軌跡を補間することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理装置のハードウェア群を示すブロック図である。
図2】位置情報DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図3】軌跡DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】観測点DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図5】線分DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図6】補間DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図7】表示部に表示した軌跡及び観測点を説明する説明図である。
図8】軌跡を直径とする円内の位置情報を説明する説明図である。
図9】観測点Kで補間した軌跡を説明する説明図である。
図10】線分を直径する円内の位置情報を説明する説明図である。
図11】観測点Cで補間した軌跡を説明する説明図である。
図12】線分DBの処理前線分列に線分が記憶されていないと判定した場合における軌跡を説明する説明図である。
図13】本実施形態における情報処理システムの処理手順を示したフローチャートである。
図14】本実施形態における情報処理システムの処理手順を示したフローチャートである。
図15】軌跡の両端点を中心とする円が重複する重複範囲を説明する説明図である。
図16】実施の形態2に係る情報処理システムを示すフローチャートである。
図17】情報処理装置のハードウェア群を示すブロック図である。
図18】距離DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図19】実施の形態3に係る情報処理システムを示すフローチャートである。
図20】実施の形態4における線分DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図21】実施の形態4における表示部に表示した軌跡及び観測点を説明する説明図である。
図22】観測点Kで軌跡を補間した後の位置情報を説明する説明図である。
図23】観測点Cで軌跡を補間した後の位置情報を説明する説明図である。
図24】実施の形態4に係る情報処理システムを示すフローチャートである。
図25】実施の形態4に係る情報処理システムを示すフローチャートである。
図26】情報処理装置のハードウェア群を示すブロック図である。
図27】情報処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下本実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は情報処理装置1のハードウェア群を示すブロック図である。図1に示す情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、記憶部12、RAM13、入力部14、表示部15及び通信部16を備える。
【0011】
CPU11は、バスを介してハードウェア各部と接続されている。CPU11は例えば一もしくは複数のCPU又はマルチコアCPU等を備える。CPU11は、記憶部12に記憶されたプログラム12Pに従いハードウェアの各部を制御する。
【0012】
記憶部12は例えばハードディスクまたは大容量メモリ等である。記憶部12にはCPU11が処理を行う際に必要とする種々のデータ、位置情報DB121、軌跡DB122、観測点DB123、線分DB124、補間DB125及びプログラム12Pを格納する。
【0013】
RAM13は例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。RAM13は、記憶部としても機能し、CPU11による各種プログラムの実行時に発生する種々のデータを一時的に記憶する。
【0014】
入力部14はマウス又はキーボード等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報をCPU11へ送信する。表示部15はCPU11から送信された画像データを表示する。表示部15は例えば液晶画面である。通信部16は、例えば無線LANカード又は携帯電話用通信モジュール等であり、通信網Nを介して位置情報等の各種情報を受信する。位置情報とは例えばデカルト座標系におけるX座標、Y座標、地理座標系における緯度、経度等である。また位置情報は時刻等の位置情報に付加された付加情報を含んでもよい。
【0015】
CPU11は通信部16を介して複数の移動体について所定の間隔で観測を行った位置情報を記憶した別のサーバ(図示せず)から位置情報を取得する。なお、本実施の形態においては位置情報の取得方法として別のサーバを介して取得する形態につき説明するが、位置情報を取得することができればこれに限るものではない。例えば、CPU11は、通信部16を介してGPS衛星が送信した位置情報、無線LANのアクセスポイントの情報、カメラ画像から算定した位置情報、携帯電話基地局の位置情報等を複数の移動体について所定の間隔で取得するようにしてもよい。またCPU11は予め記憶部12に記憶された位置情報を取得するようにしてもよい。
【0016】
図2は位置情報DB121のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。位置情報DB121は位置情報を記憶するデータベースである。位置情報DB121はID列、位置情報列及び名称列等を含む。ID列には移動体を識別するためのIDが記憶される。移動体とは、例えば自動車又は歩行者等である。移動体は複数であり、夫々の移動体を識別するためのIDに対応づけられている。位置情報列にはIDに対応する移動体を観測した観測点の位置情報が記憶される。位置情報列には例えば、(2,90)が記憶される。(2,90)とはX座標が2であり、Y座標が90であることを示す。名称列には観測点の位置情報を識別するための名称が記憶される。CPU11は通信部16からIDとともに位置情報を取得する。CPU11は取得したID及び位置情報を位置情報DB121に記憶する。
【0017】
図3は軌跡DB122のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。軌跡DB122は移動体が移動した軌跡(以下、場合により後述する線分とする)の位置情報を記憶したデータベースである。軌跡DB122はID1列、ID2列、ID3列…等を含む。ID1列、ID2列、ID3列…には夫々のIDに対応づけられた位置情報が記憶される。例えばID1列には(2,90)、(100,27)等が記憶される。すなわちID1列にはID1の移動体が始点(2,90)から終点(100,27)へ移動したことを示す軌跡の位置情報が記憶されている。CPU11は位置情報DB121を参照し、各ID列にIDに対応する位置情報を記憶する。
【0018】
図4は観測点DB123のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。観測点DB123は観測点の位置情報を記憶するデータベースである。観測点DB123は、名称列、位置情報列等を含む。名称列には観測点の位置情報を識別するための名称が記憶される。位置情報列には観測点の位置情報が記憶される。観測点DB123の記憶方法は後述する。
【0019】
図5は線分DB124のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。線分DB124は軌跡の補間を行う始点及び終点を端点とする線分を記憶するデータベースである。なお、以下場合により軌跡を線分とする。線分DB124は、処理前線分列、処理後線分列等を含む。処理前線分列には軌跡を補間する補間処理を行う前の線分が記憶される。処理後線分列には補間処理を行った後の線分が記憶される。線分DB124の記憶方法は後述する。
【0020】
図6は補間DB125のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。補間DB125は補間した軌跡を記憶するデータベースである。補間DB125は、ID1列、ID2列、ID3列…等を含む。ID1列、ID2列、ID3列…には夫々のIDに対応づけられた位置情報が記憶される。具体的にはCPU11はID毎に補間した軌跡の位置情報を補間DB125に記憶する。補間DB125の記憶方法は後述する。
【0021】
以下、情報処理システムの詳細を説明する。図7は表示部15に表示した軌跡及び観測点を説明する説明図である。CPU11は観測点A及び観測点Mを連結する軌跡51と、観測点B及び観測点Jを連結する軌跡52と、観測点C及び観測点Iを連結する軌跡53とを表示部15に表示する。さらにCPU11は観測点D及び観測点Lを連結する軌跡54と、観測点H、観測点E及び観測点Fを連結する軌跡55と、観測点K及び観測点Gを連結する軌跡56とを表示部15に表示する。軌跡51〜56はID1〜6の移動体の軌跡に対応している。
【0022】
CPU11は軌跡DB122を参照し、軌跡DB122に位置情報が記憶されているか否かを判定する。位置情報が軌跡DB122に記憶されているため、CPU11は軌跡DB122のID1列から観測点Aに対応する位置情報(2,90)、観測点Mに対応する位置情報(100,27)を抽出する。
【0023】
CPU11は軌跡51を線分DB124の処理前線分列に記憶する。CPU11は軌跡51の観測点A及びMの位置情報を線分DB124の処理前線分列から抽出する。CPU11は軌跡51を線分DB124の処理前線分列から削除し、線分DB124の処理後線分列に記憶し、軌跡51に補間処理を行う。
【0024】
図8は軌跡51を直径とする円510内の位置情報を説明する説明図である。図8に示すように、円510は軌跡51を直径とし、軌跡51の中点57を中心とする円である。CPU11は抽出した軌跡51を直径とする円510内に存在する観測点B、C、D、E、F、I、J、K及びLの位置情報を位置情報DB121から特定する。CPU11は観測点B、C、D、E、F、I、J、K及びLに対応する位置情報を観測点DB123に記憶する。
【0025】
CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されているか否かを判定する。観測点B、C、D、E、F、I、J、K及びLに対応する位置情報が観測点DB123に記憶されているため、CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定する。CPU11は軌跡51の中点57との距離が最も近い観測点の位置情報を観測点DB123から抽出する。中点57との距離が最も近い観測点は観測点Kであるため、CPU11は観測点Kの位置情報を観測点DB123から抽出する。
【0026】
図9は観測点Kで補間した軌跡51を説明する説明図である。図9に示すように、軌跡51は観測点A及び観測点Kを連結した線分511と観測点K及び観測点Mを連結した線分512とを備える。
【0027】
CPU11は線分511及び線分512を生成する。CPU11は生成した線分511及び512が線分DB124に記憶されているか否かを判定する。CPU11は生成した線分511及び512が線分DB124に記憶されていないと判定する。CPU11は生成した線分511及び512を線分DB124の処理前線分列に記憶する。
【0028】
CPU11は観測点DB123に記憶された全ての観測点B、C、D、E、F、I、J、K及びLの位置情報を削除する。CPU11は線分DB124の処理後線分列に線分が記憶されているか否かを判定する。CPU11は線分DB124の処理前線分列の線分が記憶されていると判定した場合、線分511を線分DB124の処理前線分列から抽出する。
【0029】
図10は線分511を直径する円580内の位置情報を説明する説明図である。図10に示すように、円580は線分511を直径とし、線分511の中点58を中心とする円である。CPU11は抽出した線分511を直径とする円580内に存在する観測点B、C、D、E、F、I及びJの位置情報を位置情報DB121から特定する。CPU11は観測点B、C、D、E、F、I及びJに対応する位置情報を観測点DB123に記憶する。
【0030】
CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されているか否かを判定する。CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定するため、線分511の中点58との距離が最も近い観測点の位置情報を観測点DB123から抽出する。中点58との距離が最も近い観測点は観測点Cであるため、CPU11は観測点Cの位置情報を観測点DB123から抽出する。
【0031】
図11は観測点Cで補間した軌跡51を説明する説明図である。図11に示すように、軌跡51は観測点A及び観測点Cを連結した線分514と観測点C及び観測点Kを連結した線分515とを備える。
【0032】
CPU11は線分514及び線分515を生成する。CPU11は生成した線分514及び515が線分DB124に記憶されているか否かを判定する。CPU11は生成した線分514及び515が線分DB124に記憶されていないと判定する。CPU11は生成した線分514及び515を線分DB124の処理前線分列に記憶する。
【0033】
CPU11は観測点DB123に記憶された全ての観測点B、C、D、E、F、I及びJの位置情報を削除する。CPU11は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されているか否かを判定する。CPU11は線分DB124の処理前線分列の線分が記憶されていないと判定するまで上記処理を繰り返す。
【0034】
図12は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されていないと判定した場合における軌跡51を説明する説明図である。軌跡51は観測点A、B、C、D、E、J、K、L及びMを連結した軌跡である。CPU11は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されていないと判定した場合、補間DB125に観測点B、C、D、E、J、K、Lで補間した軌跡51を記憶する。以下、CPU11は軌跡52〜56まで同様の処理を行うが、簡潔のため記載を省略する。
【0035】
図13〜14は本実施形態における情報処理システムの処理手順を示したフローチャートである。CPU11は軌跡DB122に位置情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS11)。CPU11は軌跡DB122に位置情報が記憶されていると判定した場合(ステップS11:YES)、軌跡DB122から一の軌跡の位置情報を抽出する(ステップS12)。
【0036】
CPU11は抽出した軌跡の位置情報を線分DB124の処理前線分列に記憶する(ステップS13)。CPU11は線分DB124から線分を抽出する(ステップS14)。CPU11は抽出した線分を処理前線分列から削除し、処理後線分列に記憶する(ステップS15)。
【0037】
CPU11は抽出した線分を直径とする円内に存在する観測点の位置情報を位置情報DB121から特定する(ステップS16)。CPU11は特定した観測点の位置情報を観測点DB123に記憶する(ステップS17)。
【0038】
CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS18)。CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていないと判定した場合(ステップS18:NO)、処理をステップS24に移す。CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定した場合(ステップS18:YES)、抽出した線分の中点との距離が最も近い観測点の位置情報を観測点DB123から抽出する(ステップS19)。
【0039】
CPU11は軌跡と抽出した観測点とを連結した線分を生成する(ステップS20)。すなわちCPU11は軌跡を抽出した観測点で補間する。CPU11は生成した線分が線分DB124に記憶されているか否かを判定する(ステップS21)。CPU11は生成した線分が線分DB124に記憶されていると判定した場合(ステップS21:YES)、処理をステップS23に移す。CPU11は生成した線分が線分DB124に記憶されていないと判定した場合(ステップS21:NO)、生成した線分を線分DB124の処理前線分列に記憶する(ステップS22)。
【0040】
CPU11は観測点DB123に記憶された全ての観測点の位置情報を削除する(ステップS23)。CPU11は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されているか否かを判定する(ステップS24)。CPU11は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されていると判定した場合(ステップS24:YES)、処理をステップS14に移し、処理を繰り返す。CPU11は線分DB124の処理前線分列に線分が記憶されていないと判定した場合(ステップS24:NO)、補間DB125に補間した軌跡を記憶し(ステップS25)、処理をステップS11に移す。CPU11は軌跡DB122に位置情報が記憶されていないと判定した場合(ステップS11:NO)、処理を終了する。
【0041】
一側面によれば、適切な経路に軌跡を補間することができる。
【0042】
一般的に2つの線分の角度が鋭角である場合、余分な経路であることが多い。一側面によれば、抽出した線分を直径とする円内に存在する観測点の位置情報を位置情報DB121から特定することで生成する2つの線分の角度を90度以上にできる。このことによりCPU11は2つの線分の角度が鋭角になる線分の生成を防止できるため、余分な経路の生成を防止できる。
【0043】
一側面によれば、抽出した線分の中点との距離が最も近い観測点の位置情報を観測点DB123から抽出することで適切な経路に軌跡を補間することができる。
【0044】
実施の形態2
実施の形態2は線分の両端点を中心とする2つの円が重複する範囲に含まれる観測点を特定する実施形態である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0045】
以下、本実施形態における情報処理システムを説明する。図15は軌跡51の両端点を中心とする円581及び582が重複する重複範囲583を説明する説明図である。図15に示すように、円581は観測点Aを中心とし、軌跡51を半径とする円である。円582は観測点Mを中心とし、軌跡51を半径とする円である。重複範囲583には観測点B、C、D、E、F、G、H、I、J、K及びLが含まれている。
【0046】
CPU11は軌跡51を抽出した後、円581及び円582を生成する。CPU11は生成した円581及び円582の重複範囲583内に存在する観測点B、C、D、E、F、G、H、I、J、K及びLの位置情報を位置情報DB121から抽出する。CPU11は観測点B、C、D、E、F、G、H、I、J、K及びLに対応する位置情報を観測点DB123に記憶する。
【0047】
観測点B、C、D、E、F、G、H、I、J、K及びLに対応する位置情報が観測点DB123に記憶されているため、CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定する。CPU11は中点58との距離が最も近い観測点は観測点Kであるため、CPU11は観測点Kの位置情報を観測点DB123から抽出する。以下、実施の形態1と同様であり、簡潔のため記載を省略する。
【0048】
図16は実施の形態2に係る情報処理システムを示すフローチャートである。ステップS16以外の処理は上述の実施の形態1に係る情報処理システムと同様であるので、簡潔のため説明を省略する。CPU11はステップS15の処理を終了した後、抽出した線分を半径とし、線分の両端点を中心とする2つの円を生成する(ステップS31)。CPU11は2つの円の重複範囲に存在する観測点の位置情報を位置情報DB121から特定し(ステップS32)、処理をステップS17へ移す。
【0049】
一側面によれば、2つの円の重複範囲に存在する観測点の位置情報を位置情報DB121から特定することで生成する2つの線分の角度を60度以上にできる。このことによりCPU11は余分な経路の生成を防止できる。
【0050】
実施の形態3
実施の形態3は線分の両端点との距離の和が最も小さい観測点を抽出する実施形態である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。図17は情報処理装置1のハードウェア群を示すブロック図である。情報処理装置1の記憶部12はさらに距離DB126を備える。
【0051】
図18は距離DB126のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。距離DB126は抽出した線分と観測点との距離に関する値を記憶するデータベースである。距離DB126は、名称列、値列等を含む。名称列には観測点の位置情報を識別するための名称が記憶される。値列には観測点と線分の両端点との距離の和が記憶される。距離DB126の記憶方法は以下の通りである。CPU11は観測点と線分の両端点との距離の和を算出する。CPU11は算出した和を観測点の名称に対応づけて距離DB126に記憶する。
【0052】
以下、本実施形態における情報処理システムを図18を参照しつつ説明する。CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定した後、線分511の両端である観測点A及び観測点Mと観測点との距離の和を算出する。CPU11は算出した距離の和が最も小さい観測点の位置情報を観測点DB123から抽出する。図18に示すように、距離の和が最も小さい観測点は観測点Bである。CPU11は観測点Bの位置情報を観測点DB123から抽出する。
【0053】
図19は実施の形態3に係る情報処理システムを示すフローチャートである。ステップS19以外の処理は上述の実施の形態1に係る情報処理システムと同様であるので、簡潔のため説明を省略する。CPU11はステップS18がYESであった場合、観測点と線分の両端との距離の和を算出する(ステップS41)。CPU11は線分の両端点との距離の和が最も小さい観測点を抽出し(ステップS42)、処理をステップS20へ移す。
【0054】
一側面によれば、線分の両端点との距離の和が最も小さい観測点を抽出することで適切な経路に軌跡を補間することができる。
【0055】
実施の形態4
実施の形態4は複数の軌跡を同時に補間する実施形態である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0056】
図20は実施の形態4における線分DB124のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。線分DB124は、線分列を含む。線分列には軌跡及び線分が記憶される。線分DB124の記憶方法は後述する。
【0057】
図21は実施の形態4における表示部15に表示した軌跡及び観測点を説明する説明図である。図21A〜Fは夫々軌跡51〜56の表示とともに位置情報を表示している。
【0058】
CPU11は位置情報DB121から軌跡51〜56に対応するID1〜6の位置情報を抽出する。CPU11はID1〜6の位置情報を線分DB124に記憶する。CPU11は線分DB124から最も長い線分を抽出する。最も長い線分は軌跡51であるため、CPU11は線分DB124から軌跡51を抽出する。
【0059】
CPU11は軌跡51を線分DB124から削除する。CPU11は実施の形態1と同様の処理を行った後、生成した線分511及び512が線分DB124に記憶されていないと判定する。CPU11は生成した線分511及び512を線分DB124に記憶する。CPU11は観測点Kで軌跡51を補間する。CPU11は補間DB125に補間した軌跡51を記憶する。
【0060】
図22は観測点Kで軌跡51を補間した後の位置情報を説明する説明図である。図22A〜Fに示すように、最も長い線分は線分511であるため、CPU11は線分DB124から線分511を抽出する。CPU11は線分511を線分DB124から削除する。CPU11は実施の形態1と同様の処理を行った後、生成した線分514及び515が線分DB124に記憶されていないと判定する。CPU11は生成した線分514及び515を線分DB124に記憶する。CPU11は観測点Cで軌跡51を補間する。CPU11は補間DB125に補間した軌跡51を記憶する。
【0061】
図23は観測点Cで軌跡54を補間した後の位置情報を説明する説明図である。図23Dに示すように、円540は軌跡54を直径とし、軌跡54の中点543を中心とする円である。軌跡54は観測点D及び観測点Kを連結した線分541と観測点K及び観測点Mを連結した線分542とを備える。
【0062】
図23A〜Fに示すように、最も長い線分は軌跡54であるため、CPU11は線分DB124から軌跡54を抽出する。CPU11は軌跡54を線分DB124から削除する。CPU11は抽出した軌跡54を直径とする円540内に存在する観測点E、F、J、K及びLの位置情報を位置情報DB121から特定する。CPU11は観測点E、F、J、K及びLの位置情報を観測点DB123に記憶する。
【0063】
観測点E、F、J、K及びLの位置情報が観測点DB123に記憶されているため、CPU11は観測点DB123に観測点の位置情報が記憶されていると判定する。CPU11は軌跡54の中点543との距離が最も近い観測点の位置情報を観測点DB123から抽出する。中点543との距離が最も近い観測点は観測点Kであるため、CPU11は観測点Kの位置情報を観測点DB123から抽出する。
【0064】
CPU11は線分541及び線分542を生成する。CPU11は生成した線分541及び542が線分DB124に記憶されているか否かを判定する。生成した線分541及び542が線分DB124に記憶されていないと判定する。CPU11は生成した線分541及び542を線分DB124に記憶する。CPU11は観測点Kで軌跡54を補間する。CPU11は補間DB125に補間した軌跡54を記憶する。以下、CPU11は軌跡51〜56に同様の処理を行うが、簡潔のため記載を省略する。
【0065】
図24〜25は実施の形態4に係る情報処理システムを示すフローチャートである。ステップS16〜S22の処理は上述の実施の形態1に係る情報処理システムと同様であるので、簡潔のため説明を省略する。CPU11は位置情報DB121から全ての軌跡の位置情報を抽出する(ステップS51)。CPU11は抽出した位置情報を線分DB124に記憶する(ステップS52)。
【0066】
CPU11は線分DB124から最も長い線分を抽出する(ステップS53)。CPU11は抽出した線分を線分DB124から削除し(ステップS54)、処理をステップS16に移す。CPU11はステップS22の処理を終了した場合、抽出した観測点で軌跡を補間する(ステップS55)。CPU11は補間DB125に補間した軌跡を記憶する(ステップS56)。
【0067】
CPU11は線分DB124に線分が記憶されているか否かを判定する(ステップS57)。CPU11は線分DB124に線分が記憶されていると判定した場合(ステップS57:YES)、処理をステップS53に移す。CPU11は線分DB124に線分が記憶されていないと判定した場合(ステップS57:NO)、処理を終了する。
【0068】
一側面によれば、複数の軌跡がある場合、同時に軌跡の補間を行うことができるため、処理時間が短くできる。
【0069】
実施の形態5
以下本発明の実施の形態5をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図26は情報処理装置1のハードウェア群を示すブロック図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。図22に示す情報処理装置1は、上述した各種ソフトウェア処理を実行するプログラムを、可搬型記録媒体10A又は半導体メモリ10Bから読み取り、あるいは、通信網Nを介して他のサーバ(図示せず)からダウンロードする。当該プログラムは、プログラム12Pとしてインストールされ、記憶部12にロードして実行される。これより上述した情報処理装置1として機能する。
【0070】
情報処理装置1を動作させるためのプログラムは、ディスクドライブ等の読取部17にCD−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)ディスク、メモリーカード、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体10Aを読み取らせて記憶部12に記憶してもよい。また当該プログラムを記憶したフラッシュメモリ等の半導体メモリ10Bを情報処理装置1内に実装しても良い。通信部16は、例えば無線LANカード又は携帯電話用通信モジュール等であり、通信網Nを介して他のサーバに接続されている。当該プログラムは、通信部16によりインターネット等の通信網Nを介して接続される他のサーバ(図示せず)からダウンロードすることも可能である。以下にその内容を説明する。
【0071】
図27は情報処理装置1の機能ブロック図である。CPU11がプログラム12Pを実行することにより、情報処理装置1は以下のように動作する。特定部11Aは軌跡の補間を行う始点及び終点を端点とする線分の近傍の複数の観測点を特定する。抽出部11Bは特定部11Aで特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出する。補間部11Cは抽出部11Bで抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する。
【0072】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0073】
(付記1)
軌跡の補間を行う始点及び終点を端点とする線分の近傍の複数の観測点を特定し、
特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出し、
抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する
処理を情報処理装置に実行させるプログラム。
(付記2)
前記線分は複数であり、
複数の線分の内、最も長い線分を抽出し、
抽出した線分の近傍の複数の観測点を特定する
付記1に記載のプログラム。
(付記3)
前記線分を直径とする円内に存在する観測点を特定する
付記1又は付記2に記載のプログラム。
(付記4)
前記線分の両端点を中心とする2つの円が重複する範囲に含まれる観測点を特定する
付記1又は付記2に記載のプログラム。
(付記5)
特定した観測点の内、前記線分の中点との距離が最も小さい観測点を抽出する
付記1又は付記2に記載のプログラム。
(付記6)
特定した観測点の内、前記線分の両端点との距離の和が最も小さい観測点を抽出する
付記1又は付記2に記載のプログラム。
(付記7)
軌跡の補間を行う始点及び終点を端点とする線分の近傍の複数の観測点を特定する特定部と、
該特定部で特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出する抽出部と、
該抽出部で抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する補間部と
を備える情報処理装置。
(付記8)
軌跡の補間を行う始点及び終点を端点とする線分の近傍の複数の観測点を特定し、
特定した複数の観測点の中から、前記線分に近接する観測点を抽出し、
抽出した観測点に基づいて前記軌跡を補間する
情報処理装置を用いた情報処理方法。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 情報処理装置
11A 特定部
11B 抽出部
11C 補間部
12P プログラム
図1
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