(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高さに関する所定の条件は、前記高度検出器により検出された高さに関する情報に基づいて特定される前記移動体の高さと、前記第1の通信機が設置された高さについて、これらが同一であるという条件、あるいは、これらが同一であるまたは近いという条件である、
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の移動体情報処理システム。
前記第2の通信機と無線通信した前記第1の通信機に関する情報、および複数の前記第1の通信機のそれぞれが設置された高さの情報において、複数の前記第1の通信機のそれぞれは、それぞれの識別情報に基づいて識別される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移動体情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[移動体情報処理システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体情報処理システム1の概略的な構成例を示す図である。
本実施形態に係る移動体情報処理システム1は、鉄塔11に設けられた複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45と、移動体12に設けられたスマートフォン31、ビーコン受信機32および高度検出器33と、高度基準検出器21と、情報処理装置22(移動体情報処理装置の一例)を備える。
【0016】
図1には、鉄塔11の一例を示してある。本実施形態では、説明を簡易化するために、複雑でない構造の鉄塔11を示してあるが、鉄塔11の構造は任意であってもよい。また、
図1の例では、鉄塔11の上下方向について、一部の構造を示してあるが、他の部分の構造は任意であってもよい。また、
図1の例では、4個の面を有する鉄塔11を示してあるが、2個の面のみの構造を示してあり、他の2個の面の構造については図示を省略してある。
本実施形態では、鉄塔11は、移動体12が移動する場所となる。
【0017】
ここで、本実施形態では、説明を簡易化するために、鉄塔11は、4個の面について対称の構造を有しており、水平面となる地上に設置されているとする。当該水平面に対して垂直な方向を高さ方向とする。
図1の例では、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。本実施形態では、説明の便宜上、水平面となる地上の面はX軸およびY軸を含む平面に相当すると想定し、高さ方向はZ軸方向に相当すると想定する。
【0018】
<ビーコン送信機>
鉄塔11には、複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が、それぞれ異なる位置に、取り付けられている。当該位置は、本実施形態では、三次元の位置である。
図1の例では、ビーコン送信機B1〜B5は、同じ高さの位置に固定的に設けられている。ビーコン送信機B11〜B13は、同じ高さの位置に固定的に設けられている。ビーコン送信機B21〜B25は、同じ高さの位置に固定的に設けられている。ビーコン送信機B31〜B33は、同じ高さの位置に固定的に設けられている。ビーコン送信機B41〜B45は、同じ高さの位置に固定的に設けられている。
また、
図1の例では、ビーコン送信機B1〜B5の高さ、ビーコン送信機B11〜B13の高さ、ビーコン送信機B21〜B25の高さ、ビーコン送信機B31〜B33の高さ、ビーコン送信機B41〜B45の高さの順に、低い方から高い方になっており、これらの高さはそれぞれ異なる。
【0019】
なお、本実施形態では、鉄塔11を構成する鉄製の骨組みが交差するところにビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45を設けたが、他の構成例として、他の任意のところにビーコン送信機が設けられてもよい。
また、複数のビーコン送信機の全体的な配置としては、任意の配置が用いられてもよい。例えば、鉄塔11に設けられるビーコン送信機の総数、あるいは隣接する2個のビーコン送信機の離隔距離としては、それぞれ、任意に定められてもよい。
例えば、鉄塔11において作業の要所となると考えられる箇所にビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が設けられてもよい。
【0020】
複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45のそれぞれは、それぞれを識別する情報(識別情報)を含む電波信号(ビーコン信号)を無線により送信(発信)する。ここで、それぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45からビーコン信号を送信する強度は、任意であってもよく、例えば、すべてのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45について同じ強度であってもよい。
本実施形態では、それぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45には、異なる識別情報が設定されている。つまり、当該識別情報に基づいて、それぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45を特定することが可能である。
【0021】
なお、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45によりビーコン信号を送信するタイミングとしては、任意のタイミングが用いられてもよく、例えば、一定の周期のタイミングが用いられてもよく、あるいは、ビーコン信号が常時送信されてもよい。
また、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45およびビーコン受信機32により用いられるビーコン信号としては、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の信号が用いられてもよく、あるいは、他の信号が用いられてもよい。
【0022】
<移動体、スマートフォン、ビーコン受信機、高度検出器、高度基準検出器>
図1には、移動体12の一例を示してある。
本実施形態では、移動体12は、人であり、鉄塔11において作業を行う作業員である。
本実施形態では、移動体12は、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33を携帯している。本実施形態では、人である移動体12が、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33を衣服のポケットなどに入れて携帯しており、例えば、これらのうちの1以上が当該人の衣服に取り付けられてもよい。
【0023】
本実施形態では、移動体12は、当該移動体12により携帯されるスマートフォン31の識別情報に基づいて、識別されることが可能である。スマートフォン31の識別情報としては、例えば、機器番号、電話番号、アドレス情報など、任意の情報が用いられてもよい。
なお、他の構成例として、移動体12は、当該移動体12により携帯されるビーコン受信機32の識別情報、あるいは、当該移動体12により携帯される高度検出器33の識別情報に基づいて、識別されてもよい。
【0024】
ビーコン受信機32は、それぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45から無線により送信されたビーコン信号を受信する。このように、本実施形態では、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45とビーコン受信機32とが、無線より通信(無線通信)する。
本実施形態では、ビーコン受信機32は、受信されたビーコン信号に基づいて、当該ビーコン信号に含まれるビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の識別情報を検出し、また、当該ビーコン信号の受信強度を検出する。この場合、ビーコン受信機32は、2個以上の異なるビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45からのビーコン信号を受信し得る。
本実施形態では、ビーコン受信機32は、検出された情報をスマートフォン31に送信する。ビーコン受信機32とスマートフォン31との間の通信としては、例えば、無線の通信が用いられてもよく、あるいは、有線の通信が用いられてもよい。
【0025】
高度基準検出器21は、あらかじめ定められた高さの位置に設けられている。本実施形態では、高度基準検出器21は、高さが0である位置(
図1の例では、Z軸の座標が0である位置)に設けられている。高度基準検出器21は、高さ(高度)の基準となる情報を検出する。
本実施形態では、高度基準検出器21は、検出された情報を情報処理装置22に送信する。
【0026】
高度検出器33は、当該高度検出器33が存在する位置の高さ(高度)に関する情報を検出する。
本実施形態では、高度検出器33は、検出された情報をスマートフォン31に送信する。高度検出器33とスマートフォン31との間の通信としては、例えば、無線の通信が用いられてもよく、あるいは、有線の通信が用いられてもよい。
【0027】
本実施形態では、高度基準検出器21は、気圧を検出する気圧検出器(気圧センサー)であり、高さの基準となる情報として、当該高度基準検出器21が存在する位置の気圧の値を表す情報を検出する。
また、本実施形態では、高度検出器33は、気圧を検出する気圧検出器(気圧センサー)であり、当該高度検出器33が存在する位置の高さに関する情報として、当該高度検出器33が存在する位置の気圧の値を表す情報を検出する。
そして、本実施形態では、高度基準検出器21により検出された情報および高度検出器33により検出された情報に基づいて、高度基準検出器21が存在する位置に対する高度検出器33が存在する位置の高さ(相対的な高さ)を検出する。つまり、高度基準検出器21により検出された気圧の値および高度検出器33により検出された気圧の値に基づいて、これらの気圧の差から、高度基準検出器21の高さ(本実施形態では、0)に対する高度検出器33の高さ(相対的な高さ)が求められる。
【0028】
また、本実施形態では、高度基準検出器21は、例えば、当該高度基準検出器21が存在する位置の温度を検出する温度検出器を備えてもよく、当該温度検出器により検出された温度に基づいて、検出された高さの基準となる情報(本実施形態では、気圧の値)を補正してもよい。
また、本実施形態では、高度検出器33は、例えば、当該高度検出器33が存在する位置の温度を検出する温度検出器を備えてもよく、当該温度検出器により検出された温度に基づいて、検出された高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値)を補正してもよい。
このような温度に基づく補正は、例えば、高度基準検出器21の周囲の温度と、高度検出器33の周囲の温度とが異なり得るような場合に有効である。
【0029】
ここで、温度に基づいて高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値)を補正する方法としては、任意の方法が用いられてもよく、例えば、この補正の仕方が、あらかじめ、高度基準検出器21および高度検出器33のそれぞれに設定されていてもよい。
また、本実施形態では、高度基準検出器21および高度検出器33のそれぞれにおいて、高さに関する検出結果を温度に基づいて補正することが行われるが、他の構成例として、このような補正が情報処理装置22(本実施形態では、例えば、後述する
図2に示される通信相手特定部232)によって行われてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、高度基準検出器21および高度検出器33のそれぞれにおいて、高さに関する検出結果を温度に基づいて補正することが行われるが、他の構成例として、温度の検出および温度に基づく補正が行われなくてもよい。
また、本実施形態では、高度基準検出器21および高度検出器33のそれぞれとして気圧検出器が用いられるが、他の種類の検出器が用いられてもよく、例えば、GPSの機能を用いた検出器が用いられてもよい。
また、本実施形態では、高度基準検出器21および高度検出器33を用いて、高度検出器33の相対的な高さを検出するが、他の構成例として、高度検出器33が当該高度検出器33の絶対的な高さを検出してもよく、この場合には、高度基準検出器21は設けられなくてもよい。絶対的な高さの情報としては、例えば、標高などの情報が用いられてもよい。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係るスマートフォン31および情報処理装置22の概略的な機能構成例を示す図である。
ここで、
図2には、スマートフォン31と、高度基準検出器21と、情報処理装置22を通信可能に接続するネットワーク61を示してある。本実施形態では、ネットワーク61は、無線のネットワークであるが、他の構成例として、当該ネットワーク61が有線の部分を含んでもよい。
【0032】
なお、他の構成例として、ある装置に記憶された情報がネットワーク61を介して他の装置に送信される構成の代わりに、ある装置に記憶された情報が読み出されて所定の記憶媒体に記憶されて、当該記憶媒体に記憶された情報が他の装置により読み出されることで、当該ある装置から当該他の装置に当該情報が渡される構成が用いられてもよい。当該記憶媒体は、例えば、人によって扱われてもよい。
また、他の構成例として、ある装置(スマートフォン31などの装置)が他の装置(情報処理装置22など)の近くに移動させられて、これらの装置が有線または無線により通信することで、これらの装置の間で情報の通信(受け渡し)が行われてもよい。例えば、本実施形態では、鉄塔11における移動体12による作業が終了した後に、当該移動体12により携帯されたスマートフォン31が情報処理装置22の近くに移動させられて、当該スマートフォン31の記憶部112に記憶された情報が当該情報処理装置22に有線または無線で送信されてもよい。当該ある装置は、例えば、人によって扱われてもよい。
【0033】
スマートフォン31は、取得部111と、記憶部112と、通信部113を備える。
取得部111は、ビーコン受信機32から、当該ビーコン受信機32により検出された情報を受信して取得する。本実施形態では、取得部111は、ビーコン受信機32から、当該ビーコン受信機32により検出された情報として、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の識別情報およびビーコン信号の受信強度の情報を取得する。
ここで、ビーコン受信機32が2個以上の異なるビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45からのビーコン信号を受信した場合には、当該2個以上の異なるビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45からのビーコン信号に基づく情報が、当該ビーコン受信機32から取得部111により取得される。
【0034】
取得部111は、ビーコン受信機32から取得された情報を記憶部112に記憶させる。
本実施形態では、取得部111は、ビーコン受信機32から取得された情報に、時刻の情報を付して、記憶部112に記憶させる。当該時刻としては、例えば、取得部111により該当する情報が取得された時刻が用いられてもよく、あるいは、取得部111により該当する情報を記憶部112に記憶させる時刻が用いられてもよい。また、時刻としては、例えば、スマートフォン31において計時される時刻が用いられてもよく、あるいは、スマートフォン31において外部から検出される時刻が用いられてもよい。
【0035】
また、取得部111は、高度検出器33から、当該高度検出器33により検出された情報を受信して取得する。本実施形態では、取得部111は、高度検出器33から、当該高度検出器33により検出された情報として、当該高度検出器33が存在する位置の高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値を表す情報)を取得する。
【0036】
取得部111は、高度検出器33から取得された情報を記憶部112に記憶させる。
本実施形態では、取得部111は、高度検出器33から取得された情報に、時刻の情報を付して、記憶部112に記憶させる。当該時刻としては、例えば、取得部111により該当する情報が取得された時刻が用いられてもよく、あるいは、取得部111により該当する情報を記憶部112に記憶させる時刻が用いられてもよい。また、時刻としては、例えば、スマートフォン31において計時される時刻が用いられてもよく、あるいは、スマートフォン31において外部から検出される時刻が用いられてもよい。
【0037】
なお、ビーコン受信機32から取得された情報に付される時刻の情報と、高度検出器33から取得された情報に付される時刻の情報とは、例えば、同じ基準(例えば、取得部111により取得された時刻という基準、あるいは、取得部111により記憶させる時刻という基準など)が用いられてもよく、あるいは、異なる基準が用いられてもよい。
【0038】
記憶部112は、情報を記憶する。
本実施形態では、記憶部112は、取得部111により記憶させられる情報を記憶し、また、他の情報を記憶してもよい。
【0039】
通信部113は、取得部111により記憶部112に記憶させられた情報を情報処理装置22に送信する。
本実施形態では、当該情報は、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の識別情報と、ビーコン信号の受信強度の情報と、時刻の情報との組み合わせを含み、また、高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値を表す情報)と、時刻の情報との組み合わせを含む。
【0040】
ここで、ビーコン受信機32によりビーコン信号の受信を検出するタイミング、取得部111によりビーコン受信機32からの情報を取得するタイミング、高度検出器33により高さに関する情報を検出するタイミング、取得部111により高度検出器33からの情報を取得するタイミング、あるいは、通信部113により情報処理装置22に情報を送信するタイミングとしては、それぞれ、任意のタイミングが用いられてもよく、例えば、一定の周期のタイミングが用いられてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、ビーコン受信機32からの情報に、スマートフォン31が時刻の情報を付すが、他の構成例として、ビーコン受信機32がビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の識別情報およびビーコン信号の受信強度の情報に時刻の情報を付してもよい。当該時刻としては、例えば、ビーコン受信機32により当該ビーコン信号が受信されたときの時刻の情報が用いられてもよい。
また、本実施形態では、高度検出器33からの情報に、スマートフォン31が時刻の情報を付すが、他の構成例として、高度検出器33が高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値を表す情報)に時刻の情報を付してもよい。当該時刻としては、例えば、高度検出器33により高さに関する情報が検出されたときの時刻の情報が用いられてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、取得部111がビーコン受信機32および高度検出器33のそれぞれと通信し、通信部113が(ネットワーク61を介して)情報処理装置22と通信する構成として説明したが、取得部111が有する通信機能と、通信部113が有する通信機能とは、例えば、別の通信機能であってもよく、あるいは、共通の通信機能であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、ビーコン受信機32および高度検出器33のそれぞれにより取得される情報がスマートフォン31を介して情報処理装置22に送信されるが、他の構成例として、ビーコン受信機32および高度検出器33のうちの一方または両方により取得される情報が、スマートフォン31を介さずに、情報処理装置22に送信されてもよい。
また、本実施形態では、高度基準検出器21により取得される情報が、スマートフォン31を介さずに、情報処理装置22に送信されるが、他の構成例として、高度基準検出器21により取得される情報がスマートフォン31を介して情報処理装置22に送信されてもよい。この場合、スマートフォン31あるいは高度基準検出器21により、当該情報に、時刻の情報が付されてもよい。当該時刻の情報を付す方法としては、例えば、ビーコン受信機32あるいは高度検出器33の場合と同様であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、移動体12が、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33を携帯するが、必ずしも、これらの装置が用いられなくてもよく、例えば、移動体12の位置において受信されたビーコン信号に関する情報および移動体12の位置において検出された高さに関する情報を取得することが可能な任意の構成が用いられてもよい。
例えば、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33のうちの任意の2個の装置が一体化されていてもよく、一例として、ビーコン受信機32の機能と高度検出器33の機能のうちの任意の一方を有するスマートフォン31が用いられてもよい。また、例えば、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33のすべてが一体化されていてもよく、一例として、ビーコン受信機32の機能と高度検出器33の機能を有するスマートフォン31が用いられてもよい。また、スマートフォン31の代わりに、他の任意の装置が用いられてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、移動体12は人であるが、他の構成例として、移動体12は、移動する任意のものであってもよく、例えば、人以外の動物であってもよく、あるいは、乗り物、または、ロボットなどであってもよい。なお、移動体12は、当該移動体12の駆動力によって移動するものであってもよく、あるいは、外部から与えられる駆動力によって移動するものであってもよい。
また、移動体12が乗り物またはロボットなどの装置である場合には、当該移動体12は、スマートフォン31と、ビーコン受信機32と、高度検出器33を携帯する態様の例として、これらのうちの1以上について、同じ機能(または、類似する機能)を内蔵していてもよい。
また、移動体12が乗り物またはロボットなどの装置である場合には、当該装置の識別情報を用いて当該移動体12を識別する構成が用いられてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、スマートフォン31と情報処理装置22とが別の装置である構成を示すが、他の構成例として、これらが一体化されていてもよく、一例として、情報処理装置22が有する機能を有するスマートフォン31が実現されてもよい。
【0047】
<情報処理装置>
情報処理装置22は、入力部211と、出力部212と、通信部213と、記憶部214と、制御部215を備える。
制御部215は、情報取得部231と、通信相手特定部232と、位置特定部233と、軌跡特定部234と、表示制御部235を備える。
【0048】
入力部211は、外部から情報を入力する。入力部211は、例えば、人により操作される操作部を有してもよく、当該操作部の操作の内容に応じた情報を入力してもよい。また、入力部211は、例えば、外部の装置(例えば、記憶媒体など)と直接接続されて、当該外部の装置から出力される情報を入力してもよい。
出力部212は、外部に情報を出力する。出力部212は、例えば、画面を持つ表示部を有してもよく、当該画面に情報を表示(出力)してもよい。また、出力部212は、例えば、外部の装置(例えば、記憶媒体など)と直接接続されて、当該外部の装置に情報を出力してもよい。
【0049】
通信部213は、ネットワーク61を介して通信する。本実施形態では、通信部213は、ネットワーク61を介して、スマートフォン31および高度基準検出器21のそれぞれと通信する。
記憶部214は、情報を記憶する。記憶部214は、例えば、制御部215により使用されるプログラム、パラメーター、データテーブルなどの情報を記憶してもよい。
本実施形態では、記憶部214は、例えば、スマートフォン31から情報処理装置22に送信された情報、および高度基準検出器21から情報処理装置22に送信された情報を記憶する。
【0050】
制御部215は、情報処理装置22における各種の処理を実行する。制御部215は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成されて、記憶部214に記憶されたプログラムを実行することで、記憶部214に記憶されたパラメーターなどを使用して、各種の処理を実行してもよい。
【0051】
情報取得部231は、所定の情報を取得する。
本実施形態では、情報取得部231は、スマートフォン31から送信されてネットワーク61を介して通信部213により受信された情報を取得して、当該情報を記憶部214に記憶させる。
また、本実施形態では、情報取得部231は、高度基準検出器21から送信されてネットワーク61を介して通信部213により受信された情報を取得して、当該情報を記憶部214に記憶させる。
また、本実施形態では、情報取得部231は、記憶部214に記憶された情報から、制御部215により実行される処理に使用される情報を取得する。
【0052】
ここで、本実施形態では、情報取得部231は、高度基準検出器21から取得された情報に、時刻の情報を付して、記憶部214に記憶させる。当該時刻としては、例えば、情報取得部231により該当する情報が取得された時刻が用いられてもよく、あるいは、情報取得部231により該当する情報を記憶部214に記憶させる時刻が用いられてもよい。また、時刻としては、例えば、情報処理装置22において計時される時刻が用いられてもよく、あるいは、情報処理装置22において外部から検出される時刻が用いられてもよい。
また、本実施形態では、高度基準検出器21からの情報に、情報処理装置22が時刻の情報を付すが、他の構成例として、高度基準検出器21が高さに関する情報(本実施形態では、気圧の値を表す情報)に時刻の情報を付してもよい。当該時刻としては、例えば、高度基準検出器21により高さの基準となる情報が検出されたときの時刻の情報が用いられてもよい。
【0053】
なお、他の構成例として、情報処理装置22は、ビーコン受信機32から送信される情報あるいは高度検出器33から送信される情報のうちの一方または両方を、スマートフォン31を介さずに、ネットワーク61を介して、通信部213により受信してもよい。この場合、情報処理装置22により、受信された情報に、時刻の情報が付されてもよい。当該時刻の情報を付す方法としては、例えば、スマートフォン31の場合と同様であってもよい。
また、他の構成例として、高度基準検出器21から送信される情報がスマートフォン31を介してネットワーク61に送信される場合、情報処理装置22は、当該情報(例えば、当該情報と、それに付された時刻の情報)を受信する。
【0054】
また、本実施形態では、情報取得部231は、高度検出器33から取得された情報と、高度基準検出器21から取得された情報に基づいて、時刻の情報と移動体12の高さの情報とを対応させた情報を生成し、生成された情報を記憶部214に記憶させる。ここで、移動体12の高さの情報は、本実施形態では、情報取得部231によって、高度基準検出器21により検出された情報および高度検出器33により検出された情報に基づいて、高度基準検出器21が存在する位置に対する高度検出器33が存在する位置の高さ(相対的な高さ)を検出することで、得られる。ここで、高度基準検出器21により検出された情報および高度検出器33により検出された情報に基づいて移動体12の高さの情報を検出する方法は、例えば、あらかじめ情報処理装置22に設定されている。
【0055】
ここで、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、時刻の情報を他の情報に付するすべての装置において、当該時刻の値の取り方について一定の規則が設定されているとする。当該規則は、例えば、「00時00分00秒から23時59分59秒まで所定の時間間隔ごとずれた値のなかで時刻の値を取る」などの規則である。当該所定の時間間隔としては、例えば、1秒などの任意の値が用いられてもよい。
また、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、ビーコン受信機32による受信に関する情報(本実施形態では、ビーコン送信機の識別情報および受信の強度の情報)と、高度検出器33による検出に関する情報(本実施形態では、高さに関する情報)と、高度基準検出器21による検出に関する情報(本実施形態では、高さの基準となる情報)のすべてが、同一の時間間隔で検出されるように設定されているとする。当該時間間隔としては、例えば、1秒などの任意の値が用いられてもよい。
これらの設定により、本実施形態では、それぞれの情報に付される時刻の情報がそろえられる。
そして、本実施形態では、情報取得部231において、ある時刻の情報に対応付けられる移動体12の高さの情報は、当該時刻と同じ時刻の情報に対応付けられた高度検出器33からの情報および高度基準検出器21からの情報に基づいて生成される。
【0056】
なお、他の構成例として、高度検出器33による検出に関する情報(本実施形態では、高さに関する情報)と、高度基準検出器21による検出に関する情報(本実施形態では、高さの基準となる情報)とで、付される時刻の情報がそろえられていない構成が用いられてもよい。この場合、情報取得部231において、ある時刻の情報に対応付けられる移動体12の高さの情報は、当該時刻またはそれに近い時刻の情報に対応付けられた高度検出器33からの情報および高度基準検出器21からの情報に基づいて生成される。つまり、この場合、ある時刻の情報に対応付けられる移動体12の高さの情報として、当該時刻と同じ時刻あるいは近い時刻に高度検出器33により検出された情報および高度基準検出器21により検出された情報を組み合わせて移動体12の高さの情報が求められる。ここで、このような組み合わせを決定する場合における「近い時刻」の条件(つまり、これらの2つの情報を互いに組み合わせるための近い時刻の条件)としては、任意の条件が用いられてもよい。例えば、「近い時刻」の条件として、「最も近い時刻」という条件が用いられてもよく、あるいは、「時刻の差が所定の閾値(正の値)以下であるなかで最も近い時刻(この場合、該当する組み合わせが無いこともあり得る)」という条件が用いられてもよい。
【0057】
図3〜
図5を参照して、記憶部214に記憶される情報の例を説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るビーコン送信機情報1011の一例を示す図である。
ビーコン送信機情報1011は、本実施形態では、あらかじめ情報処理装置22に設定されて、記憶部214に記憶させられる。ビーコン送信機情報1011は、例えば、人の操作により設定されてもよい。
【0058】
ビーコン送信機情報1011は、ビーコン送信機の識別情報(ID)と、当該ビーコン送信機が設置された位置の高さと、当該位置とを対応させた情報である。本実施形態では、それぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45について、当該情報が記憶される。
なお、
図3の例では、ビーコン送信機のIDとして、数値が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、位置として、XYZ直交座標系における座標(X,Y,Z)が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、高さとして、数値が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、高さの単位としては、例えばメートル[m]など、任意であってもよい。
また、高さの情報としては、例えば、高さに対応する他の項目の情報が用いられてもよく、本実施形態では、気圧に関する情報(気圧の値などの情報)が用いられてもよい。
【0059】
図3の例では、例えば、ビーコン送信機のIDが「0001」であるビーコン送信機について、当該ビーコン送信機が設置された位置の高さが「5」であり、当該ビーコン送信機の位置が(X1,Y1,Z1)であることが記憶されている。
図3の例において、他のビーコン送信機のIDに対応する欄についても同様に表記されている。
本実施形態では、例えば、
図1に示されるそれぞれのビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が鉄塔11に設置される際に、その設置の位置(高さを含む。)に合ったビーコン送信機情報1011が記憶部214に記憶させられる。
ここで、
図3の例では、高さと位置を区別する例を示したが、例えば、高さの欄を省略して、情報処理装置22において、位置(X,Y,Z)のうちのZの値を高さとみなして使用してもよい。
【0060】
図1の例と
図3の例との対応としては、例えば、ビーコン送信機B1〜B5の高さが「5」であり、ビーコン送信機B11〜B13の高さが「10」であり、ビーコン送信機B21〜B25の高さが「15」であるとすると、ビーコン送信機のIDが「0001」であるビーコン送信機はビーコン送信機B1〜B5のうちのいずれかであり、ビーコン送信機のIDが「0002」あるいは「0003」であるビーコン送信機のそれぞれはビーコン送信機B11〜B13のうちのいずれかであり、ビーコン送信機のIDが「0004」であるビーコン送信機はビーコン送信機B21〜B25のうちのいずれかである。
なお、
図1の例と
図3の例との対応としては、他の任意の対応が用いられてもよい。
【0061】
図4は、本発明の一実施形態に係るビーコン受信情報1021の一例を示す図である。
ビーコン受信情報1021は、ビーコン受信機32により受信されたビーコン信号に関する情報であり、本実施形態では、通信部213により受信されて、記憶部214に記憶させられる。
【0062】
ビーコン受信情報1021は、時刻と、ビーコン受信機32によりビーコン信号を通信(本実施形態では、受信)したビーコン送信機の識別情報(ID)と、当該ビーコン信号の受信の強度(受信強度)とを対応させた情報である。ビーコン受信機32によりビーコン信号を通信(本実施形態では、受信)したビーコン送信機の識別情報は、ビーコン受信機32により受信された1個以上のビーコン信号について、そのビーコン信号に含まれていたビーコン送信機の識別情報である。
なお、
図4の例では、ビーコン送信機のIDとして、数値が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、時刻として、2桁の時と2桁の分と2桁の秒が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、強度として、数値が用いられているが、任意の情報が用いられてもよい。また、強度の単位としては、例えばデシベル[dB]など、任意であってもよい。
例えば、時刻の情報に、年、月、日などの情報が含まれてもよい。
また、例えば、強度の情報が使用されない構成が用いられる場合には、ビーコン受信情報1021に強度の情報が含まれなくてもよい。
【0063】
図4の例では、例えば、時刻が「14:15:20」(14時15分20秒)であるときに対応したタイミングにおいて、ビーコン受信機32がビーコン信号を通信(本実施形態では、受信)したそれぞれのビーコン送信機のIDが「0001,0002,0003」であり、それぞれのビーコン送信機からのビーコン信号の強度が「10,10,15」であることが記憶されている。ここで、
図4の例では、通信したビーコン送信機のIDの欄および強度の欄では、説明の便宜上、2個以上の異なるビーコン送信機に関する情報がある場合には、カンマ(,)で区切ってある。すなわち、通信したビーコン送信機のIDが「0001,0002,0003」であり、強度が「10,10,15」であるとは、ビーコン送信機のIDが「0001」、「0002」、「0003」のそれぞれであるビーコン送信機について、強度が「10」、「10」、「15」のそれぞれであることを示す。
図4の例において、他の時刻に対応する欄についても同様に表記されている。
【0064】
なお、通常、あるビーコン送信機から送信されたビーコン信号がビーコン受信機32により受信される場合、当該ビーコン送信機と当該ビーコン受信機との間に壁などの遮断物が存在しないときには、当該ビーコン送信機と当該ビーコン受信機との間の距離が小さいほど(つまり、両者が近いほど)、受信の強度が大きくなる。また、当該遮断物がある場合には、当該遮断物によって受信の強度が小さくなる。
【0065】
図5は、本発明の一実施形態に係る高さ検出情報1031の一例を示す図である。
高さ検出情報1031は、高度検出器33により検出された情報および高度基準検出器21により検出された情報に基づいて求められた移動体12の高さに関する情報であり、本実施形態では、情報取得部231により生成されて、記憶部214に記憶させられる。
【0066】
高さ検出情報1031は、時刻と、移動体12の高さとして検出された情報(高さ)とを対応させた情報である。
なお、
図5の例では、時刻の表記については、
図4の例の場合と同様である。
また、
図5の例では、高さの表記については、
図3の例の場合と同様である。
【0067】
図5の例では、例えば、時刻が「14:15:20」(14時15分20秒)であるときに対応したタイミングにおいて、移動体12の高さが「5」であることが記憶されている。
図5の例において、他の時刻に対応する欄についても同様に表記されている。
【0068】
ここで、本実施形態では、
図4に示されるビーコン受信情報1021と、
図5に示される高さ検出情報1031とで、同じ時刻に対応する情報が含まれるように設定されている。
図4の例および
図5の例では、「14:15:20」、「14:16:30」、「14:17:40」などの時刻に対応して、ビーコン受信情報1021と高さ検出情報1031とで、それぞれの情報が格納されている。
なお、
図4の例および
図5の例では、説明上の一例として、ビーコン受信情報1021と高さ検出情報1031とで、70秒ごとに情報が取得されている場合を示してあるが、例えば1秒ごとなど、任意の時間間隔が用いられてもよい。
また、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、
図4に示されるビーコン受信情報1021と、
図5に示される高さ検出情報1031とを別の情報(例えば、テーブル)として記憶するが、他の構成例として、これらがまとめられた情報を記憶する構成が用いられてもよい。
【0069】
通信相手特定部232は、ビーコン送信機情報1011、ビーコン受信情報1021および高さ検出情報1031に基づいて、ビーコン受信情報1021におけるそれぞれの時刻の情報に対応付けられたビーコン送信機の識別情報(
図4の例における「通信したビーコン送信機のID」)のうちから、高さの情報に関して妥当と判定されるビーコン送信機の識別情報を特定(選択)する。
本実施形態では、通信相手特定部232は、ビーコン受信情報1021におけるそれぞれの時刻ごとに、当該時刻の情報に対応付けられた1個以上のビーコン送信機の識別情報(
図4の例)について、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の高さ(
図3の例)に対して移動体12の高さ(
図5の例)が妥当であると判定されるものを特定する。
【0070】
具体例を示す。
図4の例では、時刻の情報「14:15:20」に、通信したビーコン送信機のID「0001,0002,0003」が対応付けられている。また、
図5の例では、時刻の情報「14:15:20」に、高さ(移動体12の高さ)「5」が対応付けられている。
そして、通信相手特定部232は、時刻の情報「14:15:20」について、
図4の例における通信したビーコン送信機のID「0001,0002,0003」のうちから、高さ「5」に対して妥当な高さに設置されているビーコン送信機のID(つまり、妥当な高さの情報に対応付けられているビーコン送信機のID)を特定する。この場合、通信相手特定部232は、ビーコン送信機情報1011を参照して、例えば、高さ「5」に対して高さ(設置されている高さ)が一致する1個のビーコン送信機のID「0001」を妥当であると判定して特定する。なお、他の2個のビーコン送信機のID「0002」、「0003」については、いずれも高さが「10」であり、通信相手特定部232は、妥当でないと判定して、採用(選択)しない。
【0071】
また、通信相手特定部232は、時刻の情報「14:16:30」について、
図4の例における通信したビーコン送信機のID「0001,0002」のうちから、高さ「5」に対して妥当な高さに設置されているビーコン送信機のID「0001」を特定する。
また、通信相手特定部232は、時刻の情報「14:17:40」について、
図4の例における通信したビーコン送信機のID「0001,0002,0003、0004」のうちから、高さ「10」に対して妥当な高さに設置されているビーコン送信機のID「0002」および「0003」を特定する。このように、通信相手特定部232は、2個以上のビーコン送信機のIDを特定(選択)してもよい。
また、通信相手特定部232は、時刻の情報「14:18:50」について、
図4の例における通信したビーコン送信機のID「0002,0003,0004」のうちから、高さ「15」に対して妥当な高さに設置されているビーコン送信機のID「0004」を特定する。
【0072】
このように、通信相手特定部232が高さに関して妥当であると判定されるビーコン送信機を特定すると、例えば、移動体12におけるビーコン受信機32により当該移動体12の高さとは大きく異なる高さ(妥当でない高さ)に設置されたビーコン送信機からのビーコン信号も受信された場合においても、このようなビーコン送信機を除くことができる。このため、通信相手特定部232により通信相手(本実施形態では、高さに関して妥当であると判定されるビーコン送信機)を特定して以降の処理(特定されたビーコン送信機に基づく処理)を行う場合には、このような通信相手を特定しないで以降の処理(高さに関して妥当でないビーコン送信機にも基づく処理)が行われる場合と比べて、以降の処理の精度を向上させることができる。
【0073】
ここで、本実施形態では、
図4の例におけるビーコン受信情報1021および
図5の例における高さ検出情報1031について、それぞれの情報に付される時刻の情報がそろえられている。そして、本実施形態では、通信相手特定部232は、ビーコン受信情報1021および高さ検出情報1031について、同一の時刻の情報に対応する情報(通信したビーコン送信機のIDの情報、高さの情報)を用いて、通信相手を特定する。
なお、他の構成例として、
図4の例におけるビーコン受信情報1021と
図5の例における高さ検出情報1031とで、付される時刻の情報がそろえられていない構成が用いられてもよい。この場合、通信相手特定部232は、ビーコン受信情報1021および高さ検出情報1031について、同一の時刻または近い時刻の情報に対応する情報(通信したビーコン送信機のIDの情報、高さの情報)を用いて、通信相手を特定する。ここで、ビーコン受信情報1021と高さ検出情報1031とを対応付けるための「近い時刻」の条件(つまり、これらの2つの情報を互いに組み合わせるための近い時刻の条件)としては、任意の条件が用いられてもよい。例えば、「近い時刻」の条件として、「最も近い時刻」という条件が用いられてもよく、あるいは、「時刻の差が所定の閾値(正の値)以下であるなかで最も近い時刻(この場合、該当する組み合わせが無いこともあり得る)」という条件が用いられてもよい。
【0074】
また、
図3の例および
図5の例では、説明を簡易化するために、高さの情報として一定の間隔(本例では、「5」)ごとの値を用いて、移動体12の高さの情報とビーコン送信機の高さの情報とが一致する場合には妥当であり、一致しない場合には妥当でないと判定する条件を用いた。
【0075】
他の構成例として、移動体12の高さの情報が必ずしもビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の高さの情報とは一致しない場合がある構成が用いられてもよい。この構成では、通信相手特定部232は、移動体12の高さに対して、当該高さと一致する高さまたはそれに近い高さに設置されているビーコン送信機(ビーコン送信機のID)を、高さに関して妥当であると判定して特定する。ここで、高さに関して妥当であると判定する場合における「近い高さ」の条件(つまり、高さに関して妥当であると判定するための近い高さの条件)としては、任意の条件が用いられてもよい。
【0076】
一例として、「近い高さ」の条件として、「最も近い高さ」という条件が用いられてもよい。この条件では、ある移動体12の高さに対して、1個のビーコン送信機のID、または同一の高さに設置された2個以上のビーコン送信機のIDが、妥当であると判定される。
他の例として、「近い高さ」の条件として、「高さの差が所定の閾値(正の値)以下であるなかで最も近い高さ(この場合、該当する組み合わせが無いこともあり得る)」という条件が用いられてもよい。この条件では、ある移動体12の高さに対して、1個のビーコン送信機のID、または同一の高さに設置された2個以上のビーコン送信機のIDが、妥当であると判定されることがあり、また、該当するビーコン送信機が存在しないことが判定されることもあり得る。
【0077】
他の例として、「近い高さ」の条件として、「高さの差が所定の閾値(正の値)以下である(この場合、該当する組み合わせが無いこともあり得る)」という条件が用いられてもよい。この条件では、ある移動体12の高さに対して、1個以上のビーコン送信機のIDが妥当であると判定されることがあり、また、該当するビーコン送信機が存在しないことが判定されることもあり得る。
この条件では、さらなる構成例として、通信相手特定部232は、該当するビーコン送信機が存在しないことを判定した場合に、「高さの差が所定の閾値(正の値)以下である」という条件における「所定の閾値(正の値)」を所定の分だけ大きくして、再び、高さに関して妥当であると判定されるビーコン送信機を特定する処理を行ってもよい。通信相手特定部232は、このように「所定の閾値(正の値)」を所定の分だけ大きくすることを1回または2回以上繰り返して行うことで、少なくとも1個のビーコン送信機のIDを特定することができる。
【0078】
また、通信相手特定部232は、高さに関する情報ばかりでなく、他の情報にも基づいて、通信相手を特定(選択)してもよい。
例えば、通信相手特定部232は、
図4に示される強度の情報に基づいて、通信相手を特定(選択)してもよい。
一例として、通信相手特定部232は、
図4に示される強度の情報に基づいて、当該強度が所定の閾値以上であるビーコン送信機(ビーコン送信機のID)を妥当であると判定して特定(選択)してもよい。当該所定の閾値としては、任意の値が用いられてもよい。
【0079】
なお、通信相手特定部232は、高さに関する情報と強度の情報との両方に基づいて判定を行う場合に、例えば、高さに関する情報に基づいて判定を行った後に強度の情報に基づいて判定を行ってもよく、または、強度の情報に基づいて判定を行った後に高さに関する情報に基づいて判定を行ってもよく、あるいは、これらの2つの情報についてまとめて判定を行ってもよい。
また、他の例として、通信相手特定部232は、高さに関する情報と強度の情報との両方に基づいて判定を行う場合に、例えば、高さに関する情報に基づいて判定を行った結果として2個以上のビーコン送信機が特定(選択)されたときに、さらに、強度の情報に基づいて判定を行ってもよい。
ここで、通信相手特定部232は、強度に関する条件(例えば、「強度が所定の閾値以上である」という条件)を満たすビーコン送信機が存在しない場合には、例えば、ビーコン送信機(ビーコン送信機のID)を特定(選択)しないという結果としてもよく、あるいは、当該条件は満たさないが強度が最も大きいビーコン送信機(ビーコン送信機のID)を特定(選択)してもよい。
【0080】
このように、通信相手特定部232が強度に関して妥当であると判定されるビーコン送信機を特定すると、例えば、受信強度が小さい(強度が妥当でない)ビーコン送信機からのビーコン信号も受信された場合においても、このようなビーコン送信機を除くことができる。このため、強度に関して、通信相手特定部232により通信相手を特定して以降の処理(特定されたビーコン送信機に基づく処理)を行う場合には、このような通信相手を特定しないで以降の処理(強度に関して妥当でないビーコン送信機にも基づく処理)が行われる場合と比べて、以降の処理の精度を向上させることができる。
【0081】
位置特定部233は、通信相手特定部232により特定(選択)された通信相手(本実施形態では、ビーコン送信機)に基づいて、移動体12の位置の情報を特定する。位置特定部233は、移動体12を識別する情報と、時刻の情報と、当該時刻について特定された当該移動体12の位置の情報とを対応させた情報(例えば、テーブルの情報)を、記憶部214に記憶させる。
【0082】
ここで、移動体12の位置の情報を特定する方法としては、任意の方法が用いられてもよい。
例えば、通信相手特定部232により1個のビーコン送信機が特定された場合、位置特定部233は、
図3に示されるビーコン送信機情報1011を参照して、当該ビーコン送信機の位置を、移動体12の位置として特定してもよい。さらに、位置特定部233は、
図4に示される強度(当該ビーコン送信機に対応する強度)に基づいて、当該ビーコン送信機の位置を補正した位置を、移動体12の位置として特定してもよい。
【0083】
例えば、通信相手特定部232により2個以上の異なるビーコン送信機が特定された場合、位置特定部233は、
図3に示されるビーコン送信機情報1011を参照して、これら2個以上のビーコン送信機の位置を用いて算出した位置を、移動体12の位置として特定してもよい。ここで、2個以上のビーコン送信機の位置を用いて1個の位置(移動体12の位置)を算出する方法としては、任意の方法が用いられてもよく、例えば、平均などが用いられてもよい。さらに、位置特定部233は、
図4に示される強度(当該2個以上のビーコン送信機のそれぞれに対応する強度)にも基づいて、位置(移動体12の位置)を算出してもよい。ここで、2個以上のビーコン送信機の位置および強度を用いて1個の位置(移動体12の位置)を算出する方法としては、任意の方法が用いられてもよく、例えば、強度で重み付けした平均などが用いられてもよい。
なお、例えば、通信相手特定部232により3個以上の異なるビーコン送信機が特定された場合、位置特定部233は、
図3に示されるビーコン送信機情報1011を参照して、これらのうちの3個のビーコン送信機の位置を用いて三角測量の技術によって算出した位置を、移動体12の位置として特定してもよい。
【0084】
また、通信相手特定部232によりビーコン送信機が特定されなかった場合、位置特定部233は、例えば、移動体12の位置を特定しなくてもよく、あるいは、前回に特定された移動体12の位置に基づく位置を、今回の移動体12の位置として特定してもよい。ここで、前回に特定された移動体12の位置に基づく位置としては、例えば、前回に特定された移動体12の位置そのままであってもよく、あるいは、前回に特定された移動体12の位置に基づいて推定される位置(例えば、前回の位置からの移動分を推定した移動後の位置)であってもよい。
【0085】
軌跡特定部234は、位置特定部233により特定された移動体12の位置の情報に基づいて、当該移動体12の移動の軌跡の情報を特定する。
本実施形態では、軌跡特定部234は、移動体12について、複数の時刻の情報と、それぞれの時刻における当該移動体12の位置の情報とを対応させた情報を、当該移動体12の軌跡の情報として特定する。つまり、本実施形態では、時刻の進みに応じて変化する位置(移動体12が停止している場合には変化しない位置でもよい。)の様子を、軌跡としている。
【0086】
表示制御部235は、所定の情報を表示させる制御を行う。この表示は、例えば、出力部212が有する表示部の画面に行われる。
当該所定の情報としては、任意の情報であってもよく、例えば、通信相手特定部232により特定されたビーコン送信機に関する情報、または、この特定を行うために使用された情報を含んでもよく、あるいは、位置特定部233により特定された移動体12の位置に関する情報、または、この特定を行うために使用された情報を含んでもよく、あるいは、軌跡特定部234により特定された移動体12の軌跡に関する情報、または、この特定を行うために使用された情報を含んでもよい。
【0087】
[情報処理装置において行われる処理]
図6は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置22において行われる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0088】
(ステップS1)
情報取得部231は、以降の処理に必要な情報を取得する。なお、情報取得部231は、以降の処理に必要な情報のすべてを事前に取得してもよく、あるいは、それぞれの情報ごとに、当該それぞれの情報が処理に使用されるときに、当該それぞれの情報を取得してもよい。
【0089】
(ステップS2)
通信相手特定部232は、通信相手(本実施形態では、ビーコン送信機)を特定するそれぞれの時刻について、移動体12の高さを特定する。
(ステップS3)
通信相手特定部232は、特定された移動体12の高さに基づいて、通信相手(本実施形態では、ビーコン送信機)を特定(選択)する。
本実施形態では、(ステップS2)〜(ステップS3)の処理により、通信相手の特定(ステップS11)が行われる。
【0090】
(ステップS4)
位置特定部233は、通信相手特定部232により特定された通信相手(本実施形態では、ビーコン送信機)の情報に基づいて、移動体12の位置を特定する。
(ステップS5)
軌跡特定部234は、位置特定部233により特定された移動体12の位置の情報に基づいて、当該移動体12の軌跡を特定する。
(ステップS6)
表示制御部235は、本フローの処理の結果などの情報を表示するように制御する。
【0091】
[軌跡特定部234により特定される軌跡の例]
図7は、本発明の一実施形態に係る高さの情報を用いて特定された移動体の軌跡の一例を示す図である。
図7には、
図1に示される鉄塔11の展開構成(展開した図)2011と、当該鉄塔11に対する移動体12の軌跡2021を示してある。当該軌跡2021は、本実施形態に係る軌跡特定部234により特定された軌跡である。
図7の例では、移動体12が作業を行いながら、作業開始位置T1から作業終了位置T2まで移動した軌跡2021が示されている。
【0092】
ここで、
図7の例では、鉄塔11が有する4本の脚となる鉄製の骨組みA1〜A4を示してある。なお、鉄塔11の展開構成(展開した図)2011では、3個の面を示してあり、残りの1個の面の図示を省略してある。
また、
図7の例では、軌跡2021として、簡易化したイメージを示してある。
また、
図7の例では、ビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の図示を省略してある。
【0093】
図8は、比較例に係る高さの情報を用いずに特定された移動体の軌跡の一例を示す図である。
図8には、
図1に示される鉄塔11の展開構成(展開した図)2111と、当該鉄塔11に対する移動体12の軌跡2121を示してある。当該軌跡2121は、比較例に係る軌跡特定部(本実施形態に係る軌跡特定部234に対応する処理部)により特定された軌跡である。比較例では、情報処理装置(本実施形態に係る情報処理装置22に対応する装置)において、通信相手特定部(本実施形態に係る通信相手特定部232に対応する処理部)では高さに関する情報に基づく通信相手(ビーコン送信機)の特定(選択)は行われず、このような特定(選択)が行われずに移動体12の位置および軌跡2121が求められている。
図8の例では、移動体12が作業を行いながら、作業開始位置T11から作業終了位置T12まで移動した軌跡2121が示されている。
【0094】
ここで、
図8の例では、鉄塔11が有する4本の脚となる鉄製の骨組みA11〜A14を示してある。なお、鉄塔11の展開構成(展開した図)2111では、3個の面を示してあり、残りの1個の面の図示を省略してある。
また、
図8の例では、軌跡2121として、簡易化したイメージを示してある。
また、
図8の例では、ビーコン送信機(本実施形態に係るビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45に対応する機器)の図示を省略してある。
【0095】
図7の例および
図8の例は、簡易化したイメージであるが、傾向として、
図7の例における軌跡2021の方が、
図8の例における軌跡2121と比べて、精度が高い。特に、
図7の例における軌跡2021と比べて、
図8の例における軌跡2121では、高さ方向の誤差が発生しており、高さ方向の精度が良くない場合が発生する。つまり、
図8の例における軌跡2121では、実際には移動体12が高さ方向の移動を行っていないところにおいても、高さ方向に移動した(位置が変化した)軌跡部分が発生している。
なお、
図7の例と
図8の例とでは、鉄塔11については同じとしてあり、鉄塔の展開構成2011、2111も同じであり、4本の脚となる鉄製の骨組みA1〜A4、A11〜A14も同じである。また、
図7の例と
図8の例とでは、鉄塔11に設置される複数のビーコン送信機の配置(設置位置)も同じである。
【0096】
[実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、移動体12(本実施形態では、人)が鉄塔11を移動して作業を行うときの行動を記録あるいは分析などする場合に、鉄塔11に複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45を設置し、移動体12により携帯されたビーコン受信機32によってビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45からのビーコン信号を受信するとともに、移動体12により携帯された高度検出器33によって高さに関する情報を検出する。そして、情報処理装置22において、移動体12の高さの情報とビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45の高さの情報との妥当性を判定して通信相手(本実施形態では、ビーコン送信機)を特定し、特定された通信相手(高さに関して妥当であると判定された情報)に基づいて移動体12の位置(例えば、作業位置)および軌跡(例えば、作業経路)を特定する。
【0097】
したがって、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、移動体12の位置の特定精度を向上させることができ、これにより、移動体12の移動の軌跡の特定精度を向上させることができる。
【0098】
本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、ビーコン受信機32によりビーコンが受信されたビーコン送信機のなかから、移動体12の高さに対して妥当な高さに設置されたビーコン送信機を特定(選択)することで、高さに関して妥当でないビーコン送信機(例えば、移動体12の高さとは大きく異なる高さに設置されたビーコン送信機)を除外し、高さに関して妥当であるビーコン送信機(例えば、移動体12の高さと同程度の高さに設置されたビーコン送信機)を絞り込んでいる。これにより、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、例えば、電波拡散効果などの影響によって、移動体12のビーコン受信機32において、高さに関して妥当な至近のビーコン送信機からのビーコン信号よりも高さに関して妥当でない遠方のビーコン送信機からのビーコン信号の方が大きい強度で受信された場合においても、高さに関して妥当なビーコン送信機を特定(選択)することができ、移動体12の位置および軌跡の精度を向上させることができる。本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、特に、高さ方向(一般に、上下方向)に関して、移動体12の位置および軌跡の精度を向上させることができる。
【0099】
ここで、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、移動体12の軌跡を特定する処理が行われるが、他の構成例として、移動体12の軌跡を特定する処理が行われなくてもよい。
また、本実施形態では、鉄塔11に設置されたビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45は、例えば、移動体12が当該鉄塔11を移動している期間(作業中の期間)では、固定的に設置されている。一方、移動体12により携帯されるビーコン受信機32および高度検出器33は当該移動体12とともに移動させられる。
【0100】
なお、情報処理装置22により行われる情報の受信(情報の取得)あるいは当該情報の分析(例えば、
図6に示されるような処理)は、例えば、移動体12が鉄塔11を移動しているときに(例えば、作業中に)リアルタイムで行われてもよく、あるいは、移動体12が鉄塔11を移動し終わった後に(例えば、作業後に)行われてもよい。
また、ある装置から他の装置への情報の送信は、例えば、当該ある装置が自発的に行ってもよく、あるいは、当該他の装置が当該ある装置へ所定の要求を送信し、当該ある装置が当該要求を受信したことに応じて行われてもよい。
【0101】
ここで、本実施形態では、移動体12が移動する鉄塔11に複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45を設置するが、移動体12が移動する場所(複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が設置される場所)としては、任意の場所が用いられてもよい。このような場所としては、例えば、高さを持った構造物が用いられ、具体例として、鉄塔以外に、変電所、複数階の構造物(例えば、建物)などが用いられてもよい。なお、一般にビーコン送信機から送信されるビーコン信号の電波は壁、床あるいは天井などで遮断されやすいため、例えば、高さ方向に中空の部分(例えば、壁、床あるいは天井などが無くて、ビーコン信号の電波が通る部分)が存在するような構造物に本実施形態に係る移動体情報処理システム1が適用されることが、好ましい一例である。
【0102】
また、本実施形態では、移動体12が移動する場所(複数のビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が設置される場所)として、1個の場所(本実施形態では、1個の鉄塔11)が用いられたが、他の構成例として、2個以上の場所が用いられてもよい。この場合、それぞれの場所ごとに当該場所の識別情報が用いられて当該場所が識別されてもよく、あるいは、すべての場所について、設置される複数のビーコン送信機の識別情報を異なる情報とする構成が用いられてもよい。
また、通常、複数のビーコン送信機は、少なくとも2種類の異なる高さの位置に設置される。
【0103】
また、本実施形態に係る移動体情報処理システム1では、1個の移動体12を例として説明したが、複数の移動体12について同時に各種の処理が行われてもよい。この場合、例えば、複数の移動体12のそれぞれを識別する情報(識別情報)が、それぞれの移動体12に関する情報に付されることで、当該識別情報に基づいてそれぞれの移動体12に関する情報が区別されてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、移動体12が移動する場所にビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45が設置され、移動体12によってビーコン受信機32が携帯されたが、他の構成例として、これとは逆に、移動体12が移動する場所にビーコン受信機が設置され、移動体12によってビーコン送信機が携帯されてもよい。この構成では、移動体12によって携帯されるビーコン送信機からビーコン信号が無線により送信(発信)され、設置されたビーコン受信機により当該ビーコン信号が受信されるため、ビーコン送信機とビーコン受信機との通信に関する情報は、設置されたビーコン受信機から、有線または無線のネットワークなどを介して、情報処理装置22に送信される構成とする。
また、他の構成例として、ビーコン信号の代わりに、送信機を識別することが可能な他の任意の信号を無線により通信する送信機および受信機が用いられてもよい。また、例えば、送信機と受信機のうちの一方または両方の代わりとして、双方向の通信(送信と受信)を行うことが可能な機器(双方向通信機)が用いられてもよい。なお、送信機、受信機、および双方向通信機は、それぞれ、通信機の一例である。
【0105】
また、本実施形態では、XYZ直交座標系の座標を用いて位置の情報を特定したが、他の構成例として、任意の方法を用いて位置の情報が特定されてもよく、例えば、空間をあらかじめ定められた複数個の三次元領域(ブロック)に区分して、それぞれの三次元領域(ブロック)を位置の単位として位置の情報を特定する構成が用いられてもよい。
【0106】
一構成例として、少なくとも2種類の異なる高さの位置に設置された複数の第1の通信機(本実施形態では、移動体12が移動する場所(領域)である鉄塔11に設置されたビーコン送信機B1〜B5、B11〜B13、B21〜B25、B31〜B33、B41〜B45)と、移動体(本実施形態では、移動体12)の移動に応じて移動させられる第2の通信機(本実施形態では、ビーコン受信機32)および高度検出器(本実施形態では、高度検出器33)と、第2の通信機と無線通信した第1の通信機に関する情報(本実施形態では、
図4に示されるビーコン受信情報1021)、高度検出器により検出された高さに関する情報(本実施形態では、
図5に示される高さ検出情報1031)、および複数の第1の通信機のそれぞれが設置された高さの情報(本実施形態では、
図3に示されるビーコン送信機情報1011)に基づいて、第2の通信機と無線通信した第1の通信機であって高さに関する所定の条件を満たす第1の通信機を特定する通信相手特定部(本実施形態では、情報処理装置22における通信相手特定部232)と、を備える移動体情報処理システム(本実施形態では、移動体情報処理システム1)である。
【0107】
一構成例として、移動体情報処理システム1において、第1の通信機と第2の通信機とは、一方が送信機であり、他方が受信機である。
一構成例として、移動体情報処理システム1において、高さに関する所定の条件は、高度検出器により検出された高さに関する情報に基づいて特定される移動体の高さと、第1の通信機が設置された高さについて、これらが同一であるという条件、あるいは、これらが同一であるまたは近いという条件である。
一構成例として、移動体情報処理システム1において、第2の通信機と無線通信した第1の通信機に関する情報、および複数の第1の通信機のそれぞれが設置された高さの情報において、複数の第1の通信機のそれぞれは、それぞれの識別情報(本実施形態では、ビーコン送信機のID)に基づいて識別される。
一構成例として、移動体情報処理システム1において、第2の通信機と無線通信した第1の通信機に関する情報、および高度検出器により検出された高さに関する情報のそれぞれには、時刻の情報が付される。
一構成例として、移動体情報処理システム1において、高さの基準の情報を検出する高度基準検出器(本実施形態では、高度基準検出器21)を備え、高度検出器により検出される高さに関する情報および高度基準検出器により検出される高さの基準の情報に基づいて、移動体の高さが特定され、高度検出器により検出される高さに関する情報および高度基準検出器により検出される高さの基準の情報のそれぞれは、気圧の情報である。
一構成例として、移動体情報処理システム1において、高度検出器は、温度を検出する機能を有しており、検出された温度に基づいて検出された高さに関する情報を補正し、高度基準検出器は、温度を検出する機能を有しており、検出された温度に基づいて検出された高さの基準の情報を補正する。
【0108】
一構成例として、複数の第1の通信機が、少なくとも2種類の異なる高さの位置に設置され、第2の通信機および高度検出器が、移動体の移動に応じて移動させられ、通信相手特定部が、第2の通信機と無線通信した第1の通信機に関する情報、高度検出器により検出された高さに関する情報、および複数の第1の通信機のそれぞれが設置された高さの情報に基づいて、第2の通信機と無線通信した第1の通信機であって高さに関する所定の条件を満たす第1の通信機を特定する、移動体情報処理方法(本実施形態では、移動体情報処理システム1において行われる処理の方法)である。
一構成例として、少なくとも2種類の異なる高さの位置に設置された複数の第1の通信機と、移動体の移動に応じて移動させられる第2の通信機および高度検出器と、について、第2の通信機と無線通信した第1の通信機に関する情報、高度検出器により検出された高さに関する情報、および複数の第1の通信機のそれぞれが設置された高さの情報に基づいて、第2の通信機と無線通信した第1の通信機であって高さに関する所定の条件を満たす第1の通信機を特定する通信相手特定部を備える、移動体情報処理装置(本実施形態では、情報処理装置22)である。
【0109】
なお、以上のように、実施形態に係る装置(例えば、スマートフォン31に該当する装置、あるいは、情報処理装置22など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)に記憶(記録)して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバあるいはクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0110】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。