特許第6942991号(P6942991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6942991
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20210916BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20210916BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   G03G15/20 505
   H05B3/02 A
   H05B3/06 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-67516(P2017-67516)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-169529(P2018-169529A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】古山 達也
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−217491(JP,A)
【文献】 特開2013−254192(JP,A)
【文献】 特開2015−069027(JP,A)
【文献】 特開2016−006501(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0341986(US,A1)
【文献】 特開2010−217492(JP,A)
【文献】 特開平11−102769(JP,A)
【文献】 特開平09−251253(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0184833(US,A1)
【文献】 特開2002−075597(JP,A)
【文献】 特開2015−203719(JP,A)
【文献】 特開2007−309811(JP,A)
【文献】 特開2011−197100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
H05B 3/02
H05B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って長尺な第1ヒータと、
前記第1ヒータの前記第1方向における一端部に設けられ、第1導電部を有する板状の第1端子部材と、
前記第1導電部に嵌合する第2導電部を有する第1コネクタと、
前記第1方向に沿って長尺な第2ヒータと、
前記第2ヒータの前記第1方向における一端部に設けられ、第3導電部を有する板状の第2端子部材と、
前記第3導電部に嵌合する第4導電部と、前記第4導電部と接触して当該第4導電部を被覆する絶縁性のハウジングを備えた第2コネクタと、を備え
前記第1コネクタは、絶縁性のハウジングを備えないことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第1ヒータおよび前記第2ヒータを収容し、開口部を有する加熱ローラを備え、
前記第1コネクタは、前記第1方向において、前記開口部と対向する位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第2コネクタは、前記第1方向において、前記開口部と対向しない位置に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1端子部材、前記第1コネクタ、前記第2端子部材および前記第2コネクタを覆う絶縁性のカバーを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の定着装置。
【請求項5】
第1方向に沿って長尺な第1ヒータと、
前記第1ヒータの前記第1方向における一端部に設けられ、第1導電部を有する板状の第1端子部材と、
前記第1導電部に嵌合する第2導電部を有する第1コネクタと、
前記第1方向に沿って長尺な第2ヒータと、
前記第2ヒータの前記第1方向における一端部に設けられ、第3導電部を有する板状の第2端子部材と、
前記第3導電部に嵌合する第4導電部を有する第2コネクタと、
前記第1端子部材、前記第1コネクタ、前記第2端子部材および前記第2コネクタを覆う絶縁性のカバーと、を備え、
前記カバーは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間の絶縁距離を確保する壁を有することを特徴とする定着装置。
【請求項6】
前記第1コネクタと前記第2コネクタは、前記第1方向と直交する第2方向において、相互に異なる位置に配置され、
前記壁は、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に沿って、前記第1コネクタよりも前記第2コネクタ側に突出することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1コネクタに接続される第1ハーネスと、
前記第2コネクタに接続される第2ハーネスと、を備え、
前記カバーは、前記第1ハーネスが通る第1開口と、前記第2ハーネスが通る第2開口を備えたことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な2つのヒータと、2つのヒータの一端部にそれぞれ設けられ、導電部を有する板状の端子部材と、それぞれの導電部に嵌合する導電部を有する2つのコネクタと、を備えた定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置に用いる加熱ローラにおいて、複数のヒータの一端部に板状の端子部材が設けられた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−217491号公報
【0004】
特許文献1に開示された構成では、ヒータの軸方向の一端部において、複数の端子部材を近接させて配置している。
このような端子部材に対してコネクタを抜き差しすると、端子部材が変形してコネクタどうしが近接し、コネクタ間で必要な絶縁距離が確保できなくなる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、コネクタどうしの絶縁距離を確保することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、第1方向に沿って長尺な第1ヒータと、第1ヒータの第1方向における一端部に設けられ、第1導電部を有する板状の第1端子部材と、第1導電部に嵌合する第2導電部を有する第1コネクタと、第1方向に沿って長尺な第2ヒータと、第2ヒータの第1方向における一端部に設けられ、第3導電部を有する板状の第2端子部材と、第3導電部に嵌合する第4導電部と、第4導電部と接触して当該第4導電部を被覆する絶縁性のハウジングを備えた第2コネクタと、を備え、第1コネクタは、絶縁性のハウジングを備えないことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、第2コネクタが、第4導電部を被覆する絶縁性のハウジングを備えているので、第1コネクタまたは第2コネクタを抜き差しすることで、第1端子部材または第2端子部材が変形した場合であっても、第1コネクタの第2導電部と第2コネクタの第4導電部との間で必要な絶縁距離を確保することができる。
【0008】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、第1方向に沿って長尺な第1ヒータと、第1ヒータの第1方向における一端部に設けられ、第1導電部を有する板状の第1端子部材と、第1導電部に嵌合する第2導電部を有する第1コネクタと、第1方向に沿って長尺な第2ヒータと、第2ヒータの第1方向における一端部に設けられ、第3導電部を有する板状の第2端子部材と、第3導電部に嵌合する第4導電部を有する第2コネクタと、第1端子部材、第1コネクタ、第2端子部材および第2コネクタを覆う絶縁性のカバーと、を備え、カバーは、第1コネクタと第2コネクタとの間の絶縁距離を確保する壁を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、絶縁性のカバーが第1コネクタと第2コネクタとの間の絶縁距離を確保する壁を有することにより、第1コネクタまたは第2コネクタを抜き差しすることで、第1端子部材または第2端子部材が変形した場合であっても、第1コネクタの第2導電部と第2コネクタの第4導電部との間で必要な絶縁距離を確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクタどうしの絶縁距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
図2】(a)は第1ヒータ及び第2ヒータを示す斜視図であり、(b)は左側端部の拡大斜視図、(c)は右側端部の拡大斜視図である。
図3】第1ヒータ及び第2ヒータを取り付ける定着フレームの概略図である。
図4】第1ヒータ及び第2ヒータを取り付けたフレームの一端部を示す斜視図である。
図5】第1ヒータ及び第2ヒータの一端部に設けた各端子部材の周辺構造を示した説明図である。
図6】フレームの一端部にカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
図7】カバーの説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図8】変形例に係る定着装置の説明図であり、(a)は2つのコネクタとカバーとの位置関係を説明する説明図で、(b)はカバーを取り付けた状態を示す正面図である。
図9】(a)は別の実施形態に係る定着装置に用いるヒータを示す斜視図であり、(b)は左側端部の拡大斜視図、(c)は右側端部の拡大斜視図である。
図10図9に示すヒータをフレームに取り付けた状態を示す説明図である。
図11図10に示すフレームの一端部に取り付けるカバーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、定着装置100を備えたレーザプリンタの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0013】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって手前側を「左側」、紙面に向かって奥側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体フレーム2内に、用紙3を給紙するためのフィーダ部4と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5とを備えている。
【0015】
フィーダ部4は、本体フレーム2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7を備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ6の前側上部に設けられる給紙ローラ8および給紙パッド9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11を備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ11に対して下流側に設けられるレジストローラ12を備えている。
【0016】
そして、このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって給紙ローラ8側に寄せられ、この給紙ローラ8および給紙パッド9で一枚ずつに分離されて送り出され、本体フレーム2の前側においてUターンするように各種ローラ10〜12を通り、本体フレーム2の前側から後側に向かって画像形成部5に搬送される。
【0017】
画像形成部5は、スキャナ部16と、プロセスカートリッジ17と、定着装置100とを備えている。
【0018】
スキャナ部16は、本体フレーム2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを備えている。そして、スキャナ部16では、レーザビームが図の鎖線で示す経路を通って、プロセスカートリッジ17の感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0019】
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に配設され、本体フレーム2に対して着脱可能となっている。プロセスカートリッジ17は、現像カートリッジ28とドラムユニット51とで主に構成されている。
【0020】
現像カートリッジ28は、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。そして、トナーホッパ34内のトナーは、アジテータ(符号略)で攪拌された後、供給ローラ33により現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0021】
ドラムユニット51は、感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30を備えている。そして、このドラムユニット51内において、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0022】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27に対向して接触するときに、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。その後、感光ドラム27と転写ローラ30の間で用紙3が搬送されることで、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0023】
トナー像が転写された用紙3は、定着装置100によりトナー像が熱定着された後、搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送され、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0024】
定着装置100は、加熱ローラ110と、加熱ローラ110の内側に配置される第1ヒータ120及び第2ヒータ130と、加熱ローラ110の下方に配置され、加熱ローラ110に対して押圧される加圧ローラ115と、加熱ローラ110および加圧ローラ115を取り付ける定着フレーム200(図3参照)とを主に備えている。
この定着装置100では、第1ヒータ120及び第2ヒータ130で加熱ローラ110が加熱されることで、用紙3が加熱ローラ110と加圧ローラ115との間を前側から後側へ向けて通過する間に、用紙3上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0025】
次に、定着装置100の詳細について説明する。
以下の説明では、第1方向の一例として左右方向(軸方向)、第1方向と直交する第2方向の一例として前後方向、第1方向および第2方向と直交する第3方向の一例として上下方向と規定する。
本実施形態において、第1ヒータ120及び第2ヒータ130は、それぞれ、通電により発熱するように構成されたハロゲンランプであり、ガラス管の中心軸線が、左右方向(軸方向)に沿って延びている。
図2(a)に示すように、第1ヒータ120及び第2ヒータ130は、前後方向に並んで配置されている。詳細には、第1ヒータ120の前側に第2ヒータ130が配置されており、第1ヒータ120と第2ヒータ130は、左右方向における一端部である右側端部がそれぞれ碍子ISに嵌め込まれた状態で、一体となっている。
【0026】
第1ヒータ120は、左右方向において、端部を優先的に加熱するためのヒータである。図2に示すように、第1ヒータ120は、左右方向に沿って長尺な第1ガラス管121を有している。そして、第1ヒータ120は、左右方向における一端部である右側端部に、第1ガラス管121から延出する第1右リードピン122を有している。また、第1ヒータ120は、左側端部に、第1ガラス管121から延出する第1左リードピン123を有している。
【0027】
第2ヒータ130は、左右方向において、中央部を優先的に加熱するためのヒータである。第2ヒータ130は、左右方向に沿って長尺な第2ガラス管131を有している。そして、第2ヒータ130は、左右方向における一端部である右側端部に、第2ガラス管131から延出する第2右リードピン132を有している。また、第2ヒータ130は、左側端部に、第2ガラス管131から延出する第2左リードピン133を有している。
【0028】
定着装置100は、第1ヒータ120の右側端部に板状の第1端子部材140と、第2ヒータ130の右側端部に板状の第2端子部材150を備えている。そして、第1ヒータ120の第1右リードピン122が溶接等により第1端子部材140に固定され、第2ヒータ130の第2右リードピン132が溶接等により第2端子部材150に固定される。
【0029】
図2(c)に示すように、第1端子部材140は金属板からなり、ベース部141と、ベース部141の右側端部から下方に延びる延出部142と、延出部142から後方に延びる第1導電部143と、を備えている。
そして、ベース部141には穴144が設けられており、穴144を通したネジSC1を、後述するボス211の穴H1にねじ込むことで、第1端子部材140が定着フレーム200に固定される(図3および図4参照)。
なお、第1導電部143は、金属製の第1平型接続端子172の第2導電部174を嵌合することで、図示しない制御基板に接続される。第2導電部174は、第1導電部143に嵌合した状態で第1導電部143を抱え込むような断面略C形状を有するように、第1平型接続端子172の前端部を折り曲げて形成される。
【0030】
図2(c)に示すように、第2端子部材150は金属板からなり、ベース部151と、ベース部151の右側端部から上方に延びる延出部152と、延出部152から後方に延びる第3導電部153と、を備えている。
そして、ベース部151には穴154が設けられており、穴154を通したネジSC2を、後述するボス212の穴H2にねじ込むことで、第2端子部材150が定着フレーム200に固定される(図3および図4参照)。
なお、第3導電部153は、金属製の第2平型接続端子182の第4導電部184を嵌合することで、図示しない制御基板に接続される。第4導電部184は、第3導電部153に嵌合した状態で第3導電部153を抱え込むような断面略C形状を有するように、第2平型接続端子182の前端部を折り曲げて形成される。
【0031】
また、定着装置100は、第1ヒータ120および第2ヒータ130の左側端部に、板状の第3端子部材160を備えている。そして、第1ヒータ120の第1左リードピン123と、第2ヒータ130の第2左リードピン133が溶接等により第3端子部材160に固定される。
【0032】
図2(b)に示すように、第3端子部材160は金属板からなり、ベース部161と、ベース部161の左側端部から下方に延びる延出部162と、延出部162から後方に延びる第5導電部163と、を備えている。
そして、ベース部161には穴164が設けられており、穴164を通したネジ(図示せず)を、後述するボス209の穴H4(図3参照)にねじ込むことで、第3端子部材160が定着フレーム200に固定される。
なお、第5導電部163は、金属製の第3平型接続端子192の第6導電部194を嵌合することで、図示しない電源に接続される。第6導電部194は、第5導電部163に嵌合した状態で第5導電部163を抱え込むような断面略C形状を有するように、第3平型接続端子192の前端部を折り曲げて形成される。
【0033】
次に、第1ヒータ120及び第2ヒータ130が固定される定着フレーム200について、図3および図4を参照して説明する。
図3に示すように、定着フレーム200は、絶縁性の樹脂から形成され、加熱ローラ110の上側部分が収容される凹部201を有する中央部202と、中央部202の右側に位置する右側端部204と、中央部202の左側に位置する左側端部206を有している。
【0034】
右側端部204は、第1端子部材140と第2端子部材150を支持する第1支持面210と、後述するカバー240を支持するための第2支持面214、第3支持面216および第4支持面218と、第1支持面210および第3支持面216と第2支持面214をつなぎ、上下方向に延びる側面220(図4参照)と、を有している。
【0035】
第1支持面210は、第1端子部材140の穴144と係合するボス211と、第2端子部材150の穴154と係合するボス212を有している。ボス211には、第1端子部材140をネジSC1で固定するための穴H1が設けられており、ボス212には、第2端子部材150をネジSC2で固定するための穴H2が設けられている。ボス211,212は、第1支持面210から下方に突出している。
図4に示すように、第2支持面214は、上下方向において第1支持面210よりも上側の位置に設けられる。第2支持面214は、後述するカバー240を取り付ける際に位置決めの基準となる位置決めリブ222および位置決め壁224を有している。位置決めリブ222および位置決め壁224は、第2支持面214から下方に突出している。
第3支持面216は、上下方向において第1支持面210よりも下側の位置に設けられる。
第4支持面218は、左右方向(軸方向)において第1支持面210の外側に設けられている。第4支持面218は、カバー240をネジ止めするための穴H3が設けられたボス219を有している。ボス219は、第4支持面218から上方に延びている。
側面220は、第2支持面214から下方に延び、第1支持面210および第3支持面216とつながっている。側面220は、第1リブ226と第2リブ228を有している。第1リブ226および第2リブ228は、側面220から右方向に突出している。第2リブ228は、第2支持面214から下方に延びており、第2リブ228の一部は、上下方向で第3導電部153と同じ位置に配置されている。第1リブ226は、第2リブ228よりも後方且つ下方に設けられており、第1リブ226の一部は、上下方向で第1導電部143と同じ位置に配置されている。
【0036】
図3に示すように、左側端部206は、第3端子部材160を支持する支持面208を有している。支持面208は、第3端子部材160の穴164と係合するボス209を有している。ボス209には、第3端子部材160をネジ(図示せず)で固定するための穴H4が設けられている。ボス209は、支持面208から下方に突出している。
【0037】
次に、図4および図5を参照して、定着フレーム200に固定された第1端子部材140および第2端子部材150の周辺構造について説明する。
定着フレーム200の右側端部204に固定された第1導電部143と第3導電部153(図2参照)は、上下方向でそれぞれ異なる位置に配置されている。
【0038】
そして、図5に示すように、第1導電部143には、第1コネクタ170が嵌められている。
第1コネクタ170は、第1平型接続端子172からなり、絶縁性のハウジングにより被覆されずに第2導電部174が露出している。第1コネクタ170は、第1ハーネス176の端部に接続されている。
【0039】
第3導電部153には、第2コネクタ180が嵌められている。
第2コネクタ180は、第2平型接続端子182(図2参照)と、第2平型接続端子182を被覆する絶縁性のハウジング185からなる。
ハウジング185は、例えば、合成樹脂からなり、第4導電部184と接触して第4導電部184を被覆している。
第2コネクタ180は、第2ハーネス186の端部に接続されている。
【0040】
図5に示すように、第1コネクタ170は、左右方向(軸方向)において、加熱ローラ110の開口部112と対向する位置に配置されている。
加熱ローラ110では、第1ヒータ120および第2ヒータ130からの熱が開口部112から外側に伝わるため、軸方向において開口部112と対向する位置には、合成樹脂製のハウジングで被覆されていない金属製の第1コネクタ170が配置されている。
一方、軸方向において、加熱ローラ110の開口部112と第2コネクタ180の間には、定着フレーム200(より詳細には、右側端部204の側面220)が配置されているので、第2コネクタ180は開口部112と対向しない。
なお、軸方向から見て、加熱ローラ110の開口部112が定着フレーム200によって覆われていない構成では、開口部112と前後上下で異なる位置に第2コネクタ180を配置してもよい。
【0041】
図4および図5に示すように、第1ヒータ120および第2ヒータ130が定着フレーム200に固定され、第1導電部143および第3導電部153にそれぞれ第1コネクタ170と第2コネクタ180が嵌められると、第1ハーネス176が第1リブ226の右側を通過し、第2ハーネス186が第2リブ228の右側を通過する。
この状態で、図6に示すように、絶縁性のカバー240を定着フレーム200の右側端部204に取り付けて、ネジSC3により固定する。
カバー240は、例えば、合成樹脂から構成され、第1端子部材140、第1コネクタ170、第2端子部材150および第2コネクタ180を覆うことで、各導電部143,153,174,184に埃が付着することを防止するものである。
【0042】
図6および図7に示すように、カバー240は、第1壁241と、第2壁242と、第3壁243と、第4壁244と、第5壁245と、第6壁246と、第7壁247と、第8壁248と、第9壁249と、を有している。
より詳細には、第1壁241は、定着フレーム200の第3支持面216に支持されるL字形状の壁である。第2壁242は、第1壁241の右端から上方に延びて、カバー240の側面を形成するL字形状の壁であり、定着フレーム200の第2支持面214に支持される。第3壁243は、第1壁241と第2壁242の各後端をつなぐ壁である。第4壁244は、第3壁243の上方で第3壁243と平行に設けられ、第2壁242とつながる壁である。第4壁244は、前後方向において第3壁243よりも前方に設けられ、第2支持面214に支持される。第5壁245は、第3壁243と第4壁244を接続し、第1壁241と平行に延びる壁である。第6壁246は、第1壁241および第5壁245と平行で、第1壁241の前方に設けられる壁である。第6壁246は、上下方向において第1壁241と第5壁245の間に設けられる。第7壁247は、第6壁246と平行に延び、上下方向において第6壁246の上方に、左右方向において第6壁246の外側に設けられた壁である。第7壁247は、定着フレーム200の第4支持面218(図4参照)に支持され、第7壁247に設けた穴(図示せず)を通したネジSC3により第4支持面218に固定される。第8壁248は、第1壁241と第2壁242の各前端と、第6壁246の後端をつなぐ壁である。第8壁248は、第1壁241の前端から上方に延びて、カバー240の前面を形成する。そして、第9壁249は、第6壁246と第7壁247の各右端をつなぐ壁である。
【0043】
また、カバー240は、第1壁241および第6壁246から下方に突出し、加熱ローラ110の開口部112を遮蔽する遮蔽壁250を備える。
また、第3壁243には、左右方向内側の縁部に、切欠き状の第1開口252が形成されている。第1開口252は、第1ハーネス176を通すための開口である。
さらに、第1開口252の下方には、ユーザが第1ハーネス176および第2ハーネス186に触れないようにするための接触防止爪254が設けられている。接触防止爪254は、第3壁243から後方に突出している。
また、第4壁244には、左右方向内側の縁部に、切欠き状の第2開口256が形成されている。第2開口256は、第2ハーネス186を通すための開口である。
【0044】
さらに、第4壁244には、第2ハーネス186を案内するためのガイド部260が設けられている。
より詳細には、ガイド部260は、第2開口256を通って後方に延びる第2ハーネス186を案内する第1案内面261と、第2ハーネス186を第1案内面261から斜め下方に案内する第2案内面262と、第2ハーネス186を第2案内面262から下方に案内する第3案内面264と、第2ハーネス186を第3案内面264から前方に案内する第4案内面266とを有している。
【0045】
図7(a)に示すように、カバー240を固定した状態では、第3壁243の左右方向内側の端部が第1リブ226と近接し、第1ハーネス176が第1開口252と第1リブ226の間で保持される。
同様に、第4壁244の左右方向内側の端部は第2リブ228と近接し、第2ハーネス186が第2開口256と第2リブ228の間で保持される。
【0046】
このように構成されたカバー240によると、第4壁244が第3壁243よりも前方に位置することで、カバー240内で第2ハーネス186の余剰部分が広がることを抑制することができる。また、ガイド部260により、第2ハーネス186に無理な曲げ力が加わることを抑制することができる。
【0047】
また、第1開口252および第2開口256が、第3壁243および第4壁244の左右方向内側の縁部に切欠き状に形成されているので、2つの開口が貫通穴として構成される場合よりも、カバー240の取り付けを簡単に行うことができる。
さらに、第1リブ226および第2リブ228が、第1開口252および第2開口256の付近で第3壁243および第4壁244に近接するように突出しているので、2つのリブがない構成と比較すると、定着フレーム200とカバー240の隙間を小さくすることができる。よって、第1開口252および第2開口256を通して、埃がカバー240の内部に入ることを抑制できる。
【0048】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第2コネクタ180が、第4導電部184と接触して第4導電部184を被覆する絶縁性(合成樹脂製)のハウジング185を備えているので、第2導電部174と第2コネクタ180の第4導電部184との間の絶縁距離を確保することができる。
【0049】
また、定着装置100を小型化するために、第1ヒータ120と第2ヒータ130の配置を変更する場合であっても、絶縁距離を考慮したレイアウト上の制約を受けることがないので、設計の自由度が高くなる。
【0050】
また、第4導電部184をハウジング185で被覆する一方、第1コネクタ170の第2導電部174は、絶縁性のハウジングで被覆されていないので、第1コネクタ170を安価に製造することができ、定着装置100の製造コストを削減することができる。
【0051】
左右方向(軸方向)において、加熱ローラ110の開口部112と対向する位置に合成樹脂製のハウジングで被覆されたコネクタを用いた構成では、加熱ローラ110からの熱の影響により、ハウジングが劣化することがある。これに対して、開口部112と対向する位置には、金属製の第1コネクタ170が配置されているので、加熱ローラ110からの熱の影響を受けて第1コネクタ170が劣化することがない。
【0052】
第2コネクタ180が、左右方向(軸方向)において、加熱ローラ110の開口部112と対向しない位置に配置されているので、加熱ローラ110からの熱の影響を受けて合成樹脂製のハウジング185が劣化することがない。
【0053】
定着装置100が、第1端子部材140、第1コネクタ170、第2端子部材150および第2コネクタ180を覆う絶縁性(合成樹脂製)のカバー240を備えたことにより、埃が入ることを抑制することができる。
【0054】
次に、図8を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
なお、以下の説明において、前記した実施形態と同様の構成要素については同一符号を用いて参照し、詳細な説明を省略する。
【0055】
図8(a)に示すように、変形例に係る定着装置は、第1コネクタ170および第2コネクタ280が共に絶縁性のハウジングにより被覆されずに露出している。
詳細には、第1コネクタ170と同様に、第2コネクタ280は、金属製の第2平型接続端子182(図2参照)からなり、第2端子部材150の第3導電部153に嵌合する第4導電部184を有する。
【0056】
第1コネクタ170が第1端子部材140の第1導電部143に嵌められ、第2コネクタ280が第2端子部材150の第3導電部153に嵌められた状態では、第1コネクタ170および第2コネクタ280は、前後方向および上下方向において相互に異なる位置に配置され、第1コネクタ170と第2コネクタ280との間では必要な絶縁距離が確保されている。
しかしながら、第1ハーネス176および第2ハーネス186を取り回しする際、特に、上側に位置する第2ハーネス186が引っ張られて第2コネクタ280が下側に撓み、第1コネクタ170と第2コネクタ280が近接して、必要な絶縁距離が確保されなくなる虞がある。
【0057】
そこで、変形例に係る定着装置では、絶縁性(合成樹脂製)のカバー340が、第1コネクタ170と第2コネクタ280との間の絶縁距離を確保する第5壁345を備えている。
より詳細には、図8(a)および(b)に示すように、カバー340は、第1壁341と、第2壁342と、第3壁343と、第4壁344と、第5壁345と、第6壁346と、を有している。
第1壁341は、定着フレーム200の右側端部204に設けられた支持面314と平行で、第1端子部材140の下側を覆うように延びる壁である。第2壁342は、第1壁341の後端から上方に延び、支持面314に支持される壁である。第3壁343は、第1壁341の前方で第1壁341と平行に延び、支持面314から下方に突出する定着フレーム200の支持壁318に支持される壁である。第4壁344は、第1壁341の前端と第3壁343の後端をつなぎ、第1壁341から上方に延びる壁である。第5壁345は、第4壁344から連続して上方に延び、支持面314に向けて突出する壁である。第5壁345は、第1コネクタ170よりも第2コネクタ280側に突出しており、第5壁345の先端が、上下方向において、第1コネクタ170よりも第2コネクタ280に近い位置に配置されている。そして、第6壁346は、第1壁341、第2壁342、第3壁343、第4壁344および第5壁345の各右端とつながり、カバー340の側面を形成する壁である。
なお、第4壁344と第5壁345は、前後方向において、第1端子部材140と第2端子部材150の間に位置している。
さらに、第2壁342には、左右方向内側の端部に向けて、切欠き状に形成された第1開口352と、第2開口356が設けられている。
【0058】
カバー340の第1開口352および第2開口356に、それぞれ第1ハーネス176と第2ハーネス186が通った状態で、カバー340が定着フレーム200に取り付けられている。
【0059】
このような定着装置では、第5壁345により、第2コネクタ280が下側に撓むことが抑制されるので、第1コネクタ170と第2コネクタ280との間で必要な絶縁距離を確保することができる。
【0060】
変形例による定着装置によれば、カバー340が、第1コネクタ170と第2コネクタ280との間の絶縁距離を確保する第5壁345を備えているので、第1コネクタ170と第2コネクタ280との間で必要な絶縁距離を確保することができる。
【0061】
また、第1コネクタ170と第2コネクタ280は、共に絶縁性のハウジングにより被覆されずに露出した金属製の平型接続端子からなるので、第1コネクタ170および第2コネクタ280を安価に製造することができ、定着装置の製造コストをさらに削減することができる。
【0062】
以下、図9から図11を参照して、別の実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態では、前記した実施形態で使用した定着フレーム200とカバー240を用いるが、加熱ローラ110に使用するヒータは、前記した実施形態で使用した2つのヒータとは異なるヒータを用いている。具体的には、本実施形態に係る定着装置は、1つのヒータのみを備えている。
【0063】
図9(a)に示すように、本実施形態で使用するヒータ430は、左右方向において、中央部と端部を含む全体を加熱するためのヒータである。
ヒータ430は、左右方向に沿って長尺なガラス管431を有している。そして、ヒータ430は、左右方向における一端部である右側端部に、ガラス管431から延出する右リードピン432を有している。また、ヒータ430は、左側端部に、ガラス管431から延出する左リードピン433を有している。
【0064】
定着装置は、ヒータ430の右側端部に板状の端子部材450を備えている。そして、ヒータ430の右リードピン432が溶接等により端子部材450に固定される。
【0065】
図9(c)に示すように、端子部材450は金属板からなり、ベース部451と、ベース部451の右側端部から上方に延びる延出部452と、延出部452から後方に延びる第1導電部453と、を備えている。
そして、ベース部451には穴454が設けられており、穴454を通したネジSC5を、ボス212の穴H2(図3参照)にねじ込むことで、第2端子部材150が定着フレーム200に固定される。
なお、端子部材450は、前記した実施形態の第2端子部材150と実質的に同様のものであるが、加熱ローラ110の中心にヒータ430を配置するため、右リードピン432が固定される端子部材450のベース部451は、第2端子部材150のベース部151よりも前後に長く形成されている。
【0066】
図9(b)に示すように、ヒータ430の左側端部には、前記した実施形態で用いた第3端子部材160が設けられている。
しかしながら、加熱ローラ110の中心にヒータ430を配置するため、左リードピン433は、第3端子部材160のベース部161の前後方向中央部で固定されている。
【0067】
図10に示すように、ヒータ430は、定着フレーム200に固定されている。そして、第1導電部453には、コネクタの一例として、ハーネス486に接続された第2コネクタ180(図9も参照)が嵌められている。
【0068】
本実施形態による定着装置では、1つのヒータ430のみを用いるため、図11に示すように、カバー240の第1開口252および第2開口256のうち、第2開口256にハーネス486が通っており、第1開口252は開放されている。
しかしながら、前記した実施形態のように、2つのヒータ120,130を用いる異なる種類の定着装置100の場合には、第1開口252は、別のハーネスである第1ハーネス176が通ることで塞がれる。
【0069】
本実施形態による定着装置によれば、異なる種類の定着装置と共通の定着フレーム200およびカバー240を用いることができるので、定着装置の製造コストを削減することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態および変形例について説明したが、本発明は前記各実施形態および変形例に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0071】
前記各実施形態および変形例では、レーザプリンタに本発明を適用したが、本発明はこのような構成に限定されず、複写機、複合機などの他の画像形成装置に本発明を適用することもできる。
【0072】
また、前記各実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0073】
100 定着装置
120 第1ヒータ
130 第2ヒータ
140 第1端子部材
143 第1導電部
130 第2ヒータ
150 第2端子部材
153 第3導電部
170 第1コネクタ
172 第1平型接続端子
174 第2導電部
180 第2コネクタ
182 第2平型接続端子
184 第4導電部
185 ハウジング
340 カバー
345 第5壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11