(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一方の前記ボルト挿通穴は、当該ボルト挿通穴に前記ボルトが挿通されて前記上板と前記下板とが仮締めされた状態において、当該上板を前記鉄板の載置範囲外に移動可能に形成されて成る
請求項2に記載の鉄板連結具。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場等では工事用車両や建設機械の仮設通路に複数枚の敷鉄板が敷設され、当該敷鉄板のズレやバタつき等を抑えるため、それぞれの敷鉄板を互いに平鋼で溶接したり、専用の連結金具を使用したりして敷鉄板が連結されていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、
図15(a)に示されるように、互いに連結される敷鉄板(5、5´)を、上部固定部(1)と下部固定部(4)で挟み込むとともに、高力ボルト(12)で締め付け、さらに、螺杵(8、8´)によって敷鉄板(5、5´)を挟持する、道路敷鉄板連結具の発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、
図15(b)に示されるように、互いに連結される敷鉄板(1)をジョイント基板(3)と押圧板(4)とで挟み込み、当該ジョイント基板(3)と当該押圧板(4)とが締結ボルト(5)によって締め付けられることによって敷鉄板(1)を連結する、敷鉄板のジョイント構造の発明が開示されている。
【0005】
さらに、非特許文献1には、
図16に示されるように、互いに連結される敷鉄板を鋭利なピンを有する上部プレートと下部プレートで挟み込み、当該上部プレートをハンマーで敷鉄板に叩き込んでピンを敷鉄板に食い込ませ、さらに締付けボルトで締め付けることによって敷鉄板を連結する連結金具が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した従来の敷鉄板の連結金具はいずれも敷鉄板に対する拘束力が十分ではなく、敷鉄板上を車両が繰り返し走行するうちに、連結金具が敷鉄板から外れてしまったり、連結金具自体が破損してしまうという問題があった。例えば、
図15(a)に図示される従来例では、連結金具中央の一点のみで、上部固定部(1)と下部固定部(4)とが締結されているため、連結金具中央付近における拘束力が弱い。また、
図15(b)に図示される従来例は、連結金具中央付近において二つのボルトによってジョイント基板(3)と押圧板(4)とが締結され、上記
図15(a)に示される従来例よりも、連結金具中央付近における拘束力は強いものの、連結金具の端部付近は、上記二つのボルトによる拘束力のみによって敷鉄板が挟持されているので、連結金具の端部付近における敷鉄板の拘束力が非常に弱い。すなわち、上記従来の連結金具は、当該連結金具全体でムラなく均等に敷鉄板を拘束できていなかった。
【0008】
さらに、上記したように、従来の連結金具は当該連結金具全体でムラなく均等に敷鉄板が拘束されていないため、例えば、
図1(b)の縦断図に示されるように、連結される敷鉄板が互いに傾斜している場合には、当該連結金具を使用できないという問題もあった。また、
図16に図示される従来技術にあっては、繰り返し上部プレートを叩き込むことでピンが潰れてしまい、都度、上部プレート自体を交換しなくてはならなかった。
【0009】
そこで、本願発明は、鉄板の連結具自体を大型化することなく、従来の連結金具に比べて容易に、且つ、ムラなく均等に鉄板に対する拘束力を加えて強固に鉄板を連結することが可能な鉄板連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)共に所定の形状から成る上板(上板20)と下板(下板30)との間に、互いに隣り合う鉄板(敷鉄板10、10´)が挟持される鉄板連結具(鉄板連結具100)であって、前記上板(上板20)および前記下板(下板30)は、いずれも前記所定の形状の中心において略直交する二つの線に略線対称であり、前記上板(上板20)は、略直交する前記二つの線のうち一方の線の両端部近傍に、互いに隣り合う前記鉄板(敷鉄板10、10´)をそれぞれ押圧する止めネジ(六角穴付き止めネジ41)と、略直交する前記二つの線のうち他方の線の両端部近傍に、当該上板(上板20)と前記下板(下板30)とを締結するボルト(六角ボルト40)と、を備えることを特徴とする鉄板連結具。
【0011】
上記(1)の構成によれば、例えば
図5(a)に示されるように、上板20の中心において略直交する二つの線のうち一方の線の両端部近傍に六角穴付き止めネジ41が設けられ、上記二つの線のうち他方の線の両端部近傍に六角ボルト40が設けられているため、上板20および下板30全体で、ムラなく均等に敷鉄板10、10´に対する拘束力を加えることができる。さらには、上記構成により、例えば
図5(a)に示されるように、上板20および下板30の平面形状内において、六角ボルト40の中心位置から六角穴付き止めネジ41までの距離(図示Lの長さ)を長めに確保することが可能となることから、敷鉄板10、10´の挟持範囲(図示Lの長さ)をより大きく確保して、鉄板連結具100を従来よりも外れ難くすることができるとともに、
図6に示されるように、互いに傾斜する敷鉄板10と敷鉄板10´を連結することが可能となる。
【0012】
(2)前記上板(上板20)には、前記止めネジ(六角穴付き止めネジ41)が螺嵌される止めネジ穴(止めネジ穴21)と、前記ボルト(六角ボルト40)が挿通されるボルト挿通穴(ボルト挿通穴22)と、が形成され、前記下板(下板30)には、前記ボルト(六角ボルト40)が螺嵌されるボルトネジ穴(ボルトネジ穴32)が形成される上記(1)に記載の鉄板連結具。
【0013】
上記(2)の構成によれば、例えば
図5(b)および(c)に示されるように、上板20と下板30とが二つの六角ボルト40によって強固に締結され、さらに、六角穴付き止めネジ41によって敷鉄板10、10´を強固に挟持することが可能となる。また、六角穴付き止めネジ41を繰り返し敷鉄板10、10´に食い込ませることにより、当該六角穴付き止めネジ41の先端部が潰れてしまった場合でも、上板20を交換することなく、当該六角穴付き止めネジ41のみを新しいものと交換すればよいので、維持コストを抑えることが可能となる。
【0014】
(3)少なくとも一方の前記ボルト挿通穴(ボルト挿通穴22)は、当該ボルト挿通穴(ボルト挿通穴22)に前記ボルト(六角ボルト40)が挿通されて前記上板(上板20)と前記下板(下板30)とが仮締めされた状態において、当該上板(上板20)を前記鉄板の載置範囲外に移動可能に形成されて成る上記(2)に記載の鉄板連結具。
【0015】
上記(3)の構成によれば、
図9〜11に示されるように、少なくとも一方のボルト挿通穴を長孔(図示22A)にして形成したり、少なくとも一方の六角ボルト40の設置位置を鉄板連結具100の端部付近に設けることにより、上板20と下板30とを六角ボルト40で仮締めし、既に載置された敷鉄板10上に上板20を図示のとおり配置することが可能となるため、他方の敷鉄板10´を載置する時に当該上板20が邪魔になることなくスムーズに載置することができる。また、
図9(c)、
図10(c)および
図11(c)に示されるように、六角ボルト40を仮締めすることにより、既に載置された敷鉄板10に鉄板連結具100を仮止めすることができるため、他方の敷鉄板10´の載置時に、下板30がずれてしまうような事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の鉄板連結具による、敷鉄板の連結態様の一例を示す平面図及び縦断図である。
【
図2】本発明の鉄板連結具における、上板構造の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図3】本発明の鉄板連結具における、下板構造の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図4】本発明の鉄板連結具において、上板及び下板を締結したときの一例を示す平面図及び模式断面図である。
【
図5】本発明の鉄板連結具において、上板及び下板を締結して敷鉄板を挟持したときの一例を示す平面図及び断面図である。
【
図6】本発明の鉄板連結具における、傾斜する敷鉄板同士の連結態様の一例を示す縦断図及び模式断面図である。
【
図7】本発明の鉄板連結具による、敷鉄板の連結手順の一例を示す状態遷移平面図である。
【
図8】本発明の別実施例における、上板構造の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図9】本発明の別実施例による鉄板連結具により、敷鉄板を連結する手順の一例を示す状態遷移平面図である。
【
図10】本発明の別実施例による鉄板連結具により、敷鉄板を連結する手順の一例を示す状態遷移平面図である。
【
図11】本発明の別実施例による鉄板連結具により、敷鉄板を連結する手順の一例を示す状態遷移平面図である。
【
図12】本発明の別実施例における、鉄板連結具の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図13】本発明の別実施例における、鉄板連結具の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図14】本発明の別実施例における、鉄板連結具の一例を示す平面図及び断面図である。
【
図15】従来の敷鉄板の連結金具(特許文献1、特許文献2)を示す図である。
【
図16】従来の敷鉄板の連結金具(非特許文献1)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の鉄板連結具について説明する。
【0018】
本発明の鉄板連結具の使用例として、
図1には互いに隣り合う敷鉄板10を、鉄板連結具100にて連結した態様が示されている。
図1(a)の平面図に示されるように、敷設される複数の敷鉄板10の適所に鉄板連結具100が配置され、互いに隣り合う敷鉄板10が連結されている。また、鉄板連結具100は、後述する当該鉄板連結具100の構造によって、
図1(b)の縦断面図に示されるように、互いに傾斜して敷設される敷鉄板も強固に連結することが可能である。
【0019】
(鉄板連結具100の部材構成)
本発明の鉄板連結具100は、
図5に示されるように、敷鉄板10と隣り合う敷鉄板10´を挟持する一対の上板20と下板30とによって構成されており、
図2および
図3には、本実施例における鉄板連結具100の上板20と下板30の構造詳細が示されている。
【0020】
図2に示されるように、本実施例の上板20は所定の厚さを持つ略正方形状によって形成され、上板20の対角線上両端部近傍に、二つのボルト挿通穴22が形成され、さらに、当該対角線に略直交する対角線上両端部近傍に、二つの止めネジ穴21が形成されている。
【0021】
また、上記ボルト挿通穴22の周囲には、取り付けられたボルト40の頭部が上板20の上面から突出しないようにボルト凹部23が形成されている。当該ボルト凹部23が形成されることにより、車両や工事用機械の繰り返しの通行によって六角ボルト40が緩むような事態を未然に防ぐことが可能となっている。また、上板20の周囲には、上板テーパー部24が形成されており、車両等の通行がスムーズに行われるとともに、車両等が走行する際、上板20に対して水平方向に大きな力が加わらないように構成されている。
【0022】
なお、本実施例では、上板20の厚さtを16mm、縦横幅W1を120mmの略正方形状とし、ボルト挿通穴22の間隔W2および止めネジ穴21の間隔W3を90mmとしているが、上記各寸法に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。また、上板20の材質として、本実施例では鋳鉄製とし、メッキ加工を施しているが、必ずしもこのような材質に限定されるものではない。
【0023】
続いて、
図3には、本実施例における鉄板連結具100の下板30の構造詳細が示されている。
図3に示されるように、下板30は上板20と同様の厚さtと縦横幅W1寸法にて略正方形状によって形成され、上板20のボルト挿通穴22に対応する箇所に、二つのボルトネジ穴32が形成されている。
【0024】
また、二つのボルトネジ穴32の間には二つの鉄板位置決め突起35が突設されており、
図5(b)に示されるように、互いに連結される敷鉄板10と敷鉄板10´が当接可能に構成されている。また、下板30の周囲には、下板テーパー部34が形成されており、これにより、例えば、地盤上に敷設された敷鉄板と、当該敷鉄板の接地面との間に、下板30を差し込む際、スムーズに差し込むことが可能となる。
【0025】
なお、本実施例では、下板30の厚さtを16mm、縦横幅W1を120mmの略正方形状とし、鉄板位置決め突起35は、横幅W4を16mm、縦幅W5を18mm、高さhを18mmとしているが、上記各寸法に限定されるものではなく、互いに連結される敷鉄板10、10´の厚さ等に応じて、適宜設定することが可能である。また、下板30の材質として、本実施例では鋳鉄製とし、メッキ加工を施しているが、必ずしもこのような材質に限定されるものではない。
【0026】
図4には上板20と下板30とが組み付けられた鉄板連結具100の平面図および模式断面図が示されている。図示されるように、二つの半ねじの六角ボルト40が、上板20のボルト挿通穴22に挿通され、さらに下板30のボルトネジ穴32に螺嵌されることによって、上板20と下板30とが組み付けられている。また、上板20の止めネジ穴21には六角穴付き止めネジ41が螺嵌されている。なお、
図4(b)に示されるように六角穴付き止めネジ41は上板20の上面から突出しないように構成されており、車両や工事用機械の繰り返しの通行によって当該六角穴付き止めネジ41が緩むような事態を未然に防ぐことが可能となっている。
【0027】
また、本実施例では、六角ボルト40、六角穴付き止めネジ41共に呼び径M12としているが、必ずしも当該呼び径M12に限定されるものではない。また、ボルトや止めネジの種類も適宜変更が可能である。さらに、ボルトや止めネジの材質として高張力対応のものを使用してもよい。
【0028】
図5には、鉄板連結具100による敷鉄板10と敷鉄板10´の連結態様が平面図及び断面図により示されている。図示されるように、互いに連結される敷鉄板10および敷鉄板10´は、下板30に突設された鉄板位置決め突起35に当接するように下板30上に載置され、二つの六角ボルト40が締め付けられることにより、上板20と下板30との間で敷鉄板10、10´が強力に狭持されている。さらに、二つの六角穴付き止めネジ41が締め付けられることにより、当該六角穴付き止めネジ41の先端部が敷鉄板10および敷鉄板10´にしっかりと食い込んで下板30との間で強力に狭持されるので、従来の連結金具と比較して、敷鉄板10、10´の歪みなどの影響を受けることもなく、強力に敷鉄板10、10´を連結することが可能となっている。
【0029】
また、
図5(a)に示されるように、上板20の対角線両端部近傍に上記六角穴付き止めネジ41が設けられ、当該六角穴付き止めネジ41が設けられた対角線に略直交する対角線両端部近傍に上記六角ボルト40が設けられているため、上板20および下板30全体で、ムラなく均等に鉄板に対する拘束力を加えることができる。
【0030】
さらには、上記構成により、
図5(a)に示されるように、上板20および下板30の平面形状内において、六角ボルト40の中心位置から六角穴付き止めネジ41までの距離(図示Lの長さ)を長めに確保することが可能となることから、敷鉄板10、10´の挟持範囲(図示Lの長さ)をより大きく確保して、鉄板連結具100を従来よりも外れ難くすることができるとともに、
図6に示されるように、互いに傾斜する敷鉄板10と敷鉄板10´を連結することが可能となる。また、本実施形態のように、上板20および下板30を略正方形状とすることにより、従来の円形形状や長方形形状の連結金具に比べ、敷鉄板を拘束する上で無駄な部分が削がれ、鉄板連結具100自体の材料コストを抑制することが可能となる。
【0031】
(鉄板連結具100による連結方法)
以下、
図7に示された鉄板連結具100の連結状態遷移図にもとづいて、鉄板連結具100による敷鉄板10、10´の連結方法を説明する。
【0032】
図7(a)に示される連結方法では、まず、敷鉄板10を設置地盤面に配置する。そして、配置された敷鉄板10の下面と地盤面との間に下板30を差し込みつつ敷鉄板10の端部を鉄板位置決め突起35に当接させる(a1)。次に、敷鉄板10´を下板30の左側上面に載せて敷鉄板10´の端部が鉄板位置決め突起35に当接するように載置する(a2)。その後、上板20を下板30の上方に配置し、六角ボルト40を所定のトルクで締付けることによって、上板20と下板30との間に敷鉄板10、10´を挟持する。さらに、六角穴付き止めネジ41の締付けを行って、敷鉄板10、10´を挟持する(a3)。
【0033】
図7(b)に示される連結方法では、まず、敷鉄板10を設置地盤面に配置する。そして、配置された敷鉄板10の下面と地盤面との間に下板30を差し込みつつ敷鉄板10の端部を鉄板位置決め突起35に当接させる(b1)。次に、上板20と下板30とを一方の六角ボルト40によって仮締めして締結する。その後、上板20を仮締めした六角ボルト40を中心に回転させ、
図7(b2)に示される位置に移動させる(b2)。このように上板20を移動することで、下板30の左側上面に敷鉄板10´を容易に載置することが可能となる。また、既に載置された敷鉄板10に鉄板連結具100が仮止めされるので、敷鉄板10´の載置中に下板30がずれたり、外れたりすることを防止することが可能である。続いて、敷鉄板10´の載置が完了すると、上板20を下板30との締結位置まで回転させ、もう一方の六角ボルト40を取り付けるとともに、各六角ボルト40を所定のトルクで締付けることによって、上板20と下板30との間に敷鉄板10、10´を挟持する。さらに、六角穴付き止めネジ41の締付けを行って、敷鉄板10、10´を挟持する(b3)。
【0034】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面にもとづいて説明したが、具体的な構成は前述の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
(変形例1)
例えば、
図8には、鉄板連結具100の上板20に形成されたボルト挿通穴を長孔とした実施形態が示されている。すなわち、
図8(a)の平面図及びA−A断面図に示されるように、上板20に形成される二つのボルト挿通穴のうち、少なくとも一方のボルト挿通穴を長孔にして長孔ボルト挿通穴22Aを形成し、併せて、当該長孔ボルト挿通穴22Aの周囲に六角ボルト40の頭部が移動できるようにスライドボルト凹部23Aが形成されている。これにより、
図8(b)及び(c)に示されるように、上板20と下板30とを六角ボルト40にて仮締めした状態で、左右にスライドさせることが可能となる。
【0036】
図9には、上記のように上板20をスライド可能に構成した鉄板連結具100の連結状態遷移図が示されている。まず、敷鉄板10を設置地盤面に配置する。そして、配置された敷鉄板10の下面と地盤面との間に下板30を差し込みつつ敷鉄板10の端部を鉄板位置決め突起35に当接させる(a)。次に、上板20の長孔ボルト挿通穴22Aと下板30のボルトネジ穴32とを、
図9(b)に示されるように位置合わせして六角ボルト40によって仮締めして締結する(c)。その後、
図9(c)に示されるように下板30の左側上面に敷鉄板10´を載置し、上板20を図示の矢印に沿って回転移動する(d)。回転移動後は、もう一方の六角ボルト40を取り付けるとともに、各六角ボルト40を所定のトルクで締付けることによって、上板20と下板30との間に敷鉄板10、10´を挟持する。さらに、六角穴付き止めネジ41の締付けを行って、敷鉄板10、10´を挟持する(e)。
【0037】
上記のように上板20に長孔ボルト挿通穴22Aを形成することによって、
図9(c)に示されるように、敷鉄板10´を載置する際、上板20を敷鉄板10´の載置範囲外に配置できるので、敷鉄板10´を容易に載置することが可能となる。また、上板20と下板30は六角ボルト40によって仮締めされているので、既に載置された敷鉄板10に、鉄板連結具100が仮止めされ、敷鉄板10´の載置中に下板30がずれたり、外れたりすることを防止することが可能である。
【0038】
(変形例2)
前述の実施形態では、上板20および下板30を略正方形に形成していたが、本発明の上板20および下板30の形状は、略円形とすることを排除するものではなく、
図10に示される実施例では、上板20をスライド可能に構成した、略円形の鉄板連結具100の連結状態遷移図が示されている。まず、敷鉄板10を設置地盤面に配置する。そして、配置された敷鉄板10の下面と地盤面との間に下板30を差し込みつつ敷鉄板10の端部を鉄板位置決め突起35に当接させる(a)。次に、上板20の長孔ボルト挿通穴22Aと下板30のボルトネジ穴32とを、
図10(b)に示されるように位置合わせして六角ボルト40によって仮締めして締結する(c)。その後、
図10(c)に示されるように下板30の左側上面に敷鉄板10´を載置し、上板20を図示の矢印に沿って回転移動する(d)。回転移動後は、もう一方の六角ボルト40を取り付けるとともに、各六角ボルト40を所定のトルクで締付けることによって、上板20と下板30との間に敷鉄板10、10´を挟持する。さらに、六角穴付き止めネジ41の締付けを行って、敷鉄板10、10´を挟持する(e)。
【0039】
(変形例3)
前述の「変形例1」では、上板20に形成されるボルト挿通穴を長孔とし、当該上板20をスライド可能に構成して、他方の敷鉄板を載置する際に、当該上板20が邪魔にならないよう構成されていた。しかし、
図11に示されるように、少なくとも一方の六角ボルト40による締結位置を、上板20の端部近傍に形成することによって、「変形例1」の場合と同様、他方の敷鉄板を載置する際に、当該上板20が邪魔にならないよう構成することができる。
【0040】
(変形例4)
また、前述の実施形態では、鉄板連結具100の上板20および下板30を略正方形状としていたが、必ずしも略正方形状に限定されるものではなく、
図12(a)に示されるようにひし形形状とすることも可能であり、このような構成によれば、上板20および下板30全体で、ムラなく均等に鉄板に対する拘束力を加えることができるとともに、上板20および下板30の平面形状内において、六角ボルト40の中心位置から六角穴付き止めネジ41までの距離(図示Lの長さ)をさらに長めに確保することが可能となることから、敷鉄板10、10´の挟持範囲(図示Lの長さ)をより大きく確保して、鉄板連結具100を従来よりも外れ難くすることが可能となる。
【0041】
(変形例5)
また、前述の実施形態では、鉄板位置決め突起35を下板30にのみ設けていたが、
図12(b)の断面図に示されるように、上板20および下板30に設けるようにしてもよい。このような構成によれば、上板20および下板30の鋳型(金型)を共通にすることが可能となるため、製造コストを抑えることが可能となる。
【0042】
(変形例6)
また、前述の実施形態では、上板20において貫通する止めネジ穴21が形成されていたが、
図13(b)に示されるように、非貫通止めネジ穴21Aを形成し、交換可能な止めネジ21Aが螺嵌されるように構成することも可能である。このような構成によれば、六角ボルト40の締め付けと同時に、止めネジ21Aによる敷鉄板の拘束が行われる。さらに、
図13(b)、(c)に示されるように、前述の実施形態における鉄板位置決め突起35に変えて、六角ボルト40を螺嵌する雌ネジ突起35Aを下板30の上面に形成することも可能である。このような構成によれば、雌ネジ突起35Aによって、上板20と下板30との締結機能と、敷鉄板10、10´の位置決め機能とを兼ねることが可能となる。
【0043】
(変形例7)
さらに、
図14に示されるように、下板30の上面にゴム層50を形成することも可能である。このような構成によれば、敷鉄板を載置する際に当該敷鉄板が下板30上で滑ること防止することが可能となる。
【0044】
本発明の実施形態および様々な変形例は上記したとおりであるが、本発明の鉄板連結具100は、敷鉄板の連結金具に限定されるものではなく、複数の鉄板を鉛直方向に連結する場合においても、本発明の鉄板連結具100を使用することが可能である。
【0045】
また、上記実施形態および変形例では、鉄板連結具100の形状として、略正方形状、略円形形状およびひし形形状を例示したが、長方形状や多角形状とすることを必ずしも排除するものではない。
【0046】
また、上記実施形態および変形例では、上板20および下板30を同じ形状として例示したが、上板20と下板30とが、異なる形状となることを必ずしも排除するものではない。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面にもとづいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。また、本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。また、上記実施例に記載された具体的な材質、寸法形状等は本発明の課題を解決する範囲において、変更が可能である。