(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943104
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】増幅装置、破損検出装置および破損検出方法
(51)【国際特許分類】
H03F 1/07 20060101AFI20210916BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20210916BHJP
H03F 1/52 20060101ALI20210916BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
H03F1/07
H03F1/02 188
H03F1/52
H03F3/68
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-177808(P2017-177808)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-54435(P2019-54435A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 舜也
【審査官】
渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第08816775(US,B1)
【文献】
特開2016−178407(JP,A)
【文献】
特開2015−126447(JP,A)
【文献】
特開2010−233149(JP,A)
【文献】
国際公開第03/103166(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/141539(WO,A1)
【文献】
特開2007−300528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/07
H03F 1/02
H03F 1/52
H03F 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア増幅器と、
ピーク増幅器と、
入力信号を前記キャリア増幅器と前記ピーク増幅器に分配する分配器と、
前記キャリア増幅器の出力信号と前記ピーク増幅器の出力信号を合成する合成器と、
前記ピーク増幅器の電流を検出する電流検出部と、
前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出する破損検出部と、
前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定する判定部と、
前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態でないと前記判定部によって判定された場合に、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整するゲート電圧調整部と、
を有する増幅装置であって、
前記判定部は、前記増幅装置の出力電力に基づいて前記電流検出の可否を判定する、
増幅装置。
【請求項2】
前記合成器の出力に接続される方向性結合器と、
前記方向性結合器に接続され前記増幅装置の出力電力を検出する検波器と、
を有する請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記電流検出の可否判定に用いる閾値を保存する記憶部を有する、請求項1又は2に記載の増幅装置。
【請求項4】
入力される設定値に基づいて前記増幅装置の出力電力を設定する出力電力設定部を有し、
前記判定部は、前記設定値に基づいて前記電流検出の可否を判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項5】
一定時間ごとにタイミング信号を出力するタイマを有し、
前記判定部は、前記タイマから前記タイミング信号を受け取ったとき前記電流検出の可否を判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項6】
キャリア増幅器とピーク増幅器を有する増幅装置の前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定する判定部と、
前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態でないと前記判定部によって判定された場合に、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整するゲート電圧調整部と、
前記ピーク増幅器の電流を検出する電流検出部と、
前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出する破損検出部と、
を有し、
前記判定部は、前記増幅装置の出力電力に基づいて前記電流検出の可否を判定する
破損検出装置。
【請求項7】
キャリア増幅器とピーク増幅器を有する増幅装置の前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定し、
前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態でないと判定した場合に、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整し、
前記ピーク増幅器の電流を検出し、
前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出し、
前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定するときには、前記増幅装置の出力電力に基づいて前記電流検出の可否を判定する
破損検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅装置、破損検出装置および破損検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ送信機や移動体通信機などに用いられる増幅装置は、電力の高効率化を目的として、キャリア増幅器とピーク増幅器から構成されるドハティ方式を採用するドハティ増幅装置が利用されている。ピーク増幅器は、入力信号が小さい場合には、オフ状態に近い増幅動作状態となり、ピーク増幅器に流れる電流は低下するため、電流の検出ができなくなる。ピーク増幅器の電流が検出できない場合には、ピーク増幅器が破損したとしても検出することができない。
【0003】
このドハティ増幅装置のピーク増幅器の破損を検出する技術が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているドハティ増幅器は、入力信号のエンベロープのピーク成分を抽出し、抽出されたピーク成分の期間に上記ピーク増幅器へ一定のバイアス電圧を供給する方向性結合手段と、上記ピーク増幅手段を構成するデバイスに与えられる電圧や上記デバイスに流れる電流を監視する検出手段とを、有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−178407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される構成では、低出力の状態が継続する期間は電流を検出することができない。したがってピーク増幅器の破損検出の可否はドハティ増幅装置の出力電力の状況により左右されてしまう。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、キャリア増幅器とピーク増幅器を有する増幅装置において、出力電力の状況に依らずピーク増幅器の破損検出ができる増幅装置、破損検出装置および破損検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1側面による増幅装置は、キャリア増幅器と、ピーク増幅器と、入力信号を前記キャリア増幅器と前記ピーク増幅器に分配する分配器と、前記キャリア増幅器の出力信号と前記ピーク増幅器の出力信号を合成する合成器と、前記ピーク増幅器の電流を検出する電流検出部と、前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出する破損検出部と、前記ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定する判定部と、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整するゲート電圧調整部と、を有している。
【0008】
本発明の1側面による破損検出装置は、増幅装置のピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定する判定部と、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整するゲート電圧調整部と、前記ピーク増幅器の電流を検出する電流検出部と、前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出する破損検出部と、を有している。
【0009】
本発明の1側面による破損検出方法は、増幅装置のピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態か判定し、前記ピーク増幅器のゲート電圧を前記電流検出が可能となる電圧に調整し、前記ピーク増幅器の電流を検出し、前記ピーク増幅器の電流に基づいて前記ピーク増幅器の破損を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればキャリア増幅器とピーク増幅器を有する増幅装置において、出力電力の状況に依らずピーク増幅器の破損検出ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1のピーク増幅器の電流特性の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第5の実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第6の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態の構成を示すブロック図である。第1の実施形態の構成について
図1を用いて詳細に説明する。
【0013】
ドハティ増幅装置1は、入力端子11と、出力端子12と、分配器13と、キャリア増幅器141〜14N(Nは1以上の整数)と、ピーク増幅器151〜15N(Nは1以上の整数)と、合成器16と、破損検出装置17を備える。入力端子11には、増幅する信号が入力される。入力端子11は、入力信号を複数の信号に分配する分配器13に接続されている。出力端子12からは、増幅された信号が出力される。分配器13は、入力信号を増幅するキャリア増幅器141〜14Nとピーク増幅器151〜15Nに接続されている。キャリア増幅器141〜14NはA級またはAB級の増幅器として動作し、一方、ピーク増幅器151〜15NはB級またはC級の増幅器として動作する。キャリア増幅器141〜14Nは入力信号のエンベロープの低いレベルを増幅し高いレベルは出力飽和する。ピーク増幅器151〜15Nはレベルの高い部分を主に増幅する。すなわちピーク増幅器151〜15Nは、キャリア増幅器141〜14Nでは出力が飽和してしまうような振幅(ピーク成分)の入力信号を増幅する。キャリア増幅器141〜14Nとピーク増幅器151〜15Nは、合成器16に接続されている。合成器16は、キャリア増幅器141〜14N(Nは1以上の整数)とピーク増幅器151〜15Nによって増幅された信号を合成する。合成器16は、キャリア増幅器141〜14Nの出力信号とピーク増幅器151〜15Nの出力信号の位相差が90°となるよう少なくとも一方の出力信号の位相を調整して合成する。合成器16は、出力端子12と破損検出装置17に接続され、出力端子12と破損検出装置17に合成した信号を出力する。なお破損検出装置17に、入力される信号を出力端子12に出力するとともに入力される信号の電力に対応した信号も出力する図示しない方向性結合器を含み、合成器16はその方向性結合器に接続されてもよい。
【0014】
破損検出装置17は、判定部18と、ゲート電圧調整部19と、破損検出部20と、電流検出部21を備えている。判定部18には合成器16によって合成された信号が入力され、判定部18はドハティ増幅装置1の出力電力を検出る。なお判定部18は所定の期間、例えば1秒間のドハティ増幅装置1の出力電力の平均値を検出してもよい。破損検出装置17は例えば上記の方向性結合器からの信号に基づいてドハティ増幅装置の出力電力を検出する図示しない検波器を備え、判定部18は検波器から出力電力の値を取得してもよい。判定部18は、ピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を調整するゲート電圧調整部19とピーク増幅器151〜15Nの破損検出を行う破損検出部20に接続されている。判定部18は破損検出部20に破損検出を指示する破損検出指示信号を出力する。判定部18はピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態か判定する。ピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態でないと判定した場合には、破損検出指示信号を停止し、ゲート電圧調整部19にピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を上昇させ、ピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能な動作状態とした後、破損検出指示信号を出力する。
【0015】
ゲート電圧調整部19は、ピーク増幅器151〜15Nに接続され、ピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を調整する。破損検出部20は、電流を検出する電流検出部21に接続されている。電流検出部21は、キャリア増幅器141〜14Nとピーク増幅器151〜15Nに接続され、キャリア増幅器141〜14Nとピーク増幅器151〜15Nの電流を検出する。破損検出部20は、判定部18から破損検出指示信号が出力されているときピーク増幅器151〜15Nの破損検出を行う。
【0016】
[動作の説明]
次に
図1のドハティ増幅装置1の動作の概要を、図面を用いて説明する。
図2は、
図1のピーク増幅器の電流特性の一例を示す図である。ピーク増幅器151〜15Nは、
図2に示すようにゲート電圧により電流が流れ始める出力電力が変わり、ドハティ増幅装置1の出力電力が増えるほど流れる電流が大きくなる。例えば
図2に示すように、ゲート電圧が1.5Vの場合、ドハティ増幅装置1の出力電力が100Wを超えると、ピーク増幅器151〜15Nに電流が流れるようになる。またゲート電圧が1.0Vの場合は、ドハティ増幅装置1の出力電力が200Wを超えるとピーク増幅器151〜15Nに電流が流れ始めるようになる。またゲート電圧が0.5Vの場合は、ドハティ増幅装置1の出力電力が300Wを超えるとピーク増幅器151〜15Nの電流が流れ始めるようになる。
【0017】
図2のような電流特性の場合、ゲート電圧が1.0Vの場合でドハティ増幅装置1の出力電力が200Wを下回った場合は、ピーク増幅器151〜15Nの電流を検出できない。このため、破損検出部20はピーク増幅器151〜15Nが破損していても破損を検出することができない。
【0018】
本実施形態の構成によれば、ピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態でないと判断したとき、ゲート電圧調整部19にピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を1.5Vまで上昇させ、ピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能な動作状態とする。このような制御を行うことで、破損検出部20が電流値にてピーク増幅器151〜15Nの破損検出ができるようになる。
【0019】
図3は、
図1のドハティ増幅装置1の動作を示すフローチャートである。まず判定部18は、ピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態であるか判定する。判定部18は、例えばドハティ増幅装置1の出力電力を検出し、ゲート電圧調整部19からピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を取得し、ピーク増幅器151〜15Nの電流特性をもとに、出力電力とゲート電圧に基づいてピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態であるか判定する。判定部18は、例えばピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能となる出力電力の閾値を保持し、出力電力が閾値より大きければピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態であり、閾値以下であれば電流検出が可能な動作状態でないと判定する(ステップS1)。
【0020】
判定部18は、ピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態でないと判定したとき、ゲート電圧調整部19に、ピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を特定の電圧値まで上昇させるようゲート電圧調整を指示する。特定の電圧値とは、ピーク増幅器151〜15Nが正常である場合に、増幅装置の出力電力に応じて定まる電圧値であり、所定の電流値、例えば0A以上の電流がピーク増幅器151〜15Nに流れる電圧値である。
図2の例では、出力電力が100Wの場合は1.5Vとし、出力電力が200Wの場合は、1.0Vとし、出力電力が300Wの場合は0.5Vとしてよい。ゲート電圧調整部19は、判定部18からのゲート電圧調整指示に基づき、ピーク増幅器151〜15Nの電流が検出可能となる電圧にピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を調整する(ステップS2)。
【0021】
ステップS1においてピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態であると判定されたとき、電流検出部21はピーク増幅器151〜15Nの電流を検出する。具体的には判定部18は、ステップS1においてピーク増幅器の電流検出が可能な動作状態であると判定したときは、破損検出部20に破損検出指示信号を出力する。一方、判定部18はステップS1において電流検出が可能な動作状態でないと判定した場合には、ステップS2においてピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧が、ピーク増幅器151〜15Nの電流が検出可能となる電圧に上昇した後に、破損検出部20に破損検出指示信号を出力する。破損検出部20は、破損検出指示信号が出力されると電流検出部21にピーク増幅器151〜15Nの電流の検出を指示する。電流検出部21は破損検出部20からの指示に基づきピーク増幅器151〜15Nの電流を検出する(ステップS3)。
【0022】
そして破損検出部20は、電流検出部21で検出されたピーク増幅器151〜15Nの電流値に基づいてピーク増幅器151〜15Nの破損を検出する。具体的には電流検出部21で検出されたピーク増幅器151〜15Nの電流値が予め設定された閾値以下ならピーク増幅器151〜15Nが破損していると判定し、予め設定された閾値より大きければピーク増幅器151〜15Nが破損していないと判定する(ステップS4)。
【0023】
なお破損検出部20は、判定部18がピーク増幅器の動作状態が、電流検出が可能な動作状態でないと判定して破損検出許可信号を停止すると、ピーク増幅器151〜15Nの破損検出を停止する。ピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧が、ピーク増幅器151〜15Nの電流が検出可能な電圧であり、判定部18が破損検出許可信号を出力しているとき、破損検出部20はピーク増幅器151〜15Nの破損判定を行う。
【0024】
[効果の説明]
以上説明したように、本実施形態によれば、ピーク増幅器151〜15Nの動作状態が、電流検出が可能な動作状態でないとき、ゲート電圧調整部19がピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を上昇させ電流検出が可能な電圧に調整する。この構成により例えば増幅装置の出力電力が低い状態が長期間継続した場合でも必要なときにゲート電圧を上昇させてピーク増幅器151〜15Nの破損を検出できる。したがって本実施形態によれば出力電力の状況に依らずピーク増幅器151〜15Nの破損検出ができる。
【0025】
[他の実施形態の説明]
次に第2の実施形態について説明する。
図4は第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
図4の第2の実施形態のドハティ増幅装置2は、
図1と異なり、破損検出装置22が、方向性結合器23と検波器24を備えており、合成器16が、破損検出装置22の方向性結合器23に接続され、方向性結合器23は、出力端子12と検波器24に接続される。方向性結合器23は、合成器16から出力端子12の方向に向かう出力信号の電力に対応した信号を検波器24に出力する。検波器24は、方向性結合器23から出力される電力に対応した信号に基づいてドハティ増幅装置2の出力電力の大きさを検出する。検波器24は、判定部18に接続され、検波器24で検出されたドハティ増幅装置2の出力電力に基づいて判定部18はピーク増幅器151〜15Nの電流検出の可否を判定する。このような構成の本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0026】
次に第3の実施形態について説明する。
図5は第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
図5の第3の実施形態のドハティ増幅装置3は、
図1と異なり、破損検出装置25が、方向性結合器23と検波器24を持たず、外部装置からの出力電力制御信号が入力される出力電力制御端子26及び出力電力設定部27を備える。出力電力設定部27は判定部18に接続されている。出力電力設定部27は出力電力制御端子26から入力されるドハティ増幅装置3の出力電力の設定値を満たすようドハティ増幅装置3の各部の動作を設定するとともに判定部18に出力電力の設定値を通知する。判定部18は、通知された出力電力の設定値に基づいてピーク増幅器151〜15Nの電流検出の可否を判定する。このような構成の本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0027】
次に第4の実施形態について説明する。
図6は第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
図6の第4の実施形態のドハティ増幅装置4は、
図1と異なり、破損検出装置28がピーク増幅器151〜15Nの電流検出の可否判定に用いる閾値を保存する記憶部29を備える。記憶部29は、判定部18に接続されており、ピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧値に対応させてピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能となる出力電力を示す、出力電力の閾値を保存している。例えば、記憶部29は、
図2のピーク増幅器の電流特性の例では、ゲート電圧1.5Vに対応させて出力電力の閾値100Wを保存し、ゲート電圧1.0Vに対応させて出力電力の閾値200Wを保存し、ゲート電圧0.5Vに対応させて出力電力の閾値300Wを保存する。判定部18は、ゲート電圧調整部19からピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧値を取得し、そのゲート電圧値に対応する出力電力の閾値を記憶部29から読み出し、その値とドハティ増幅装置4の出力電力と比較して電流検出の可否を判定する。このような構成の本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0028】
次に第5の実施形態について説明する。
図7は第5の実施形態の構成を示すブロック図である。
図7の第5の実施形態のドハティ増幅装置5は、
図1と異なり、破損検出装置30がタイマ31を備える。タイマ31は、判定部18に接続されている。タイマ31は時間を計測しており、一定時間ごとに判定部18にタイミング信号を送る。判定部18は、タイマ31からタイミング信号を受け取った時点でピーク増幅器151〜15Nの動作状態を判定し、ピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能な動作状態でない場合には、ゲート電圧調整部19にピーク増幅器151〜15Nのゲート電圧を上昇させる。このような構成の本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0029】
次に第6の実施形態について説明する。
図8は第6の実施形態の構成を示すブロック図である。
図8の第6の実施形態のドハティ増幅装置6は、
図1と異なり、破損検出装置32はタイミング制御端子33を備える。タイミング制御端子33は、判定部18に接続されている。タイミング制御端子33に外部装置から入力されるタイミング信号が判定部18に送られる。判定部18は、タイミング制御端子33からタイミング信号が入力された時点でピーク増幅器151〜15Nの動作状態を判定し、ピーク増幅器151〜15Nの電流検出が可能な動作状態でない場合には、ゲート電圧調整部19にピーク増幅器のゲート電圧を上昇させる。このような構成の本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【0030】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0031】
例えば上記実施形態は、キャリア増幅器の出力信号とピーク増幅器の信号の位相差を90°に調整して合成させるドハティ増幅装置の例について説明したが、これに限らず、キャリア増幅器の出力信号とピーク増幅器の出力信号を合成する増幅装置であればよい。
【符号の説明】
【0032】
1、2、3、4、5、6 ドハティ増幅装置
11 入力端子
12 出力端子
13 分配器
141〜14N キャリア増幅器
151〜15N ピーク増幅器
16 合成器
17、22、25、28、30、32 破損検出装置
18 判定部
19 ゲート電圧調整部
20 破損検出部
21 電流検出部
23 方向性結合器
24 検波器
26 出力電力制御端子
27 出力電力設定部
29 記憶部
31 タイマ
33 タイミング制御端子