特許第6943220号(P6943220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943220
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】インバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20210916BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-87752(P2018-87752)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-193545(P2019-193545A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山根 和貴
(72)【発明者】
【氏名】名和 政道
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−215041(JP,A)
【文献】 特開2002−39075(JP,A)
【文献】 ISAO TAKAHASHI他1名,A New Control of PWM Inverter Waveform for Minimum Loss Opeariton of an Induction Motor Drive,IEEE Transactions on Industry Applications,Vol. IA-21, No.4,米国,IEEE,1985年,pp. 580-587
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換することでモータを駆動させるインバータであって、
前記モータの電気角を検出する位置検出部と、
複数のスイッチング素子を有するインバータ回路と、
前記スイッチング素子を制御するインバータ制御装置と、を備え、
前記インバータ制御装置は、
前記モータの電気角から相毎の電圧指令値を算出する算出部と、
変調率を算出する変調率算出部と、
前記電気角及び前記変調率に応じて相毎の補正波を出力する補正波出力部と、
前記電圧指令値を示す電圧指令と前記補正波とを加算して変調波を導出する導出部と、
前記変調波と搬送波とを比較することで前記スイッチング素子を制御するためのスイッチング信号を生成する比較部と、を備え、
前記補正波出力部における前記補正波は、
前記電気角及び前記変調率に対応付けられた目標となるスイッチング信号を前記搬送波の周期以下の分割周期で分割し、前記分割周期毎にデューティを算出することで得られた前記モータの電気角1周期分の波形から前記電圧指令を減算することで導出されているインバータ。
【請求項2】
前記分割周期は、前記搬送波の周期よりも短い請求項1に記載のインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動するためのインバータは、複数のスイッチング素子を備える。このスイッチング素子が、スイッチング動作されることで、直流電力が交流電力に変換される。
特許文献1に開示のインバータは、変調率及び速度と、スイッチング信号を対応付けたマップによりスイッチング素子を制御している。モータの負荷が変動することで変調率が変動すると、スイッチング信号(パルスパターン)が変化することで、変調率に応じて、スイッチング素子が制御されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−215041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のインバータでは、変調率の刻みが粗く、変調率が僅かに変わった場合、変調率は変化しているにも関わらず、スイッチング信号は変化しない場合がある。この結果、適正な電圧をモータに出力できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、変調率に応じたスイッチング信号を出力できるインバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するインバータは、直流電力を交流電力に変換することでモータを駆動させるインバータであって、前記モータの電気角を検出する位置検出部と、複数のスイッチング素子を有するインバータ回路と、前記スイッチング素子を制御するインバータ制御装置と、を備え、前記インバータ制御装置は、前記モータの電気角から相毎の電圧指令値を算出する算出部と、変調率を算出する変調率算出部と、前記電気角及び前記変調率に応じて相毎の補正波を出力する補正波出力部と、前記電圧指令値を示す電圧指令と前記補正波とを加算して変調波を導出する導出部と、前記変調波と搬送波とを比較することで前記スイッチング素子を制御するためのスイッチング信号を生成する比較部と、を備え、前記補正波出力部における前記補正波は、前記電気角及び前記変調率に対応付けられた目標となるスイッチング信号を前記搬送波の周期以下の分割周期で分割し、前記分割周期毎にデューティを算出することで得られた前記モータの電気角1周期分の波形から前記電圧指令を減算することで導出されている。
【0007】
これによれば、電圧指令に補正波を加算した変調波と、搬送波との比較によりスイッチング信号が生成される。補正波は、変調波に応じて、目標となるスイッチング信号が生成されるように導出されている。したがって、電圧指令に補正波を加えた変調波と、搬送波から生成されるスイッチング信号は、変調率に応じたものとなる。即ち、変調率に応じたスイッチング信号を出力できる。
【0008】
上記インバータについて、前記分割周期は、前記搬送波の周期よりも短くてもよい。
これによれば、モータの回転数の変動や、モータのトルクの変動に対して細かく対応することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変調率に応じたスイッチング信号を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】モータ、及び、モータを駆動するインバータを示すブロック図。
図2】d,q/u,v,w変換回路の構成を示すブロック図。
図3】補正波の導出方法を説明するための図。
図4】補正波の導出方法を説明するための図。
図5】NT領域を示す模式図。
図6】電圧指令と補正波と変調波の関係を示す図。
図7】電圧指令と補正波と変調波の関係を示す図。
図8】マップを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、インバータの一実施形態について説明する。
図1に示すように、インバータ10は、インバータ回路20と、インバータ制御装置30と、を備える。インバータ制御装置30は、ドライブ回路31と、制御部32と、を備える。本実施形態のインバータ10は、モータ60を駆動するためのものである。
【0012】
インバータ回路20は、6つのスイッチング素子Q1〜Q6と、6つのダイオードD1〜D6と、を備える。スイッチング素子Q1〜Q6としては、IGBTを用いている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、u相上アームを構成するスイッチング素子Q1と、u相下アームを構成するスイッチング素子Q2が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、v相上アームを構成するスイッチング素子Q3と、v相下アームを構成するスイッチング素子Q4が直列接続されている。正極母線Lpと負極母線Lnとの間に、w相上アームを構成するスイッチング素子Q5と、w相下アームを構成するスイッチング素子Q6が直列接続されている。スイッチング素子Q1〜Q6にはダイオードD1〜D6が逆並列接続されている。正極母線Lp、負極母線Lnには平滑コンデンサCを介してバッテリBが接続されている。
【0013】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の間は、モータ60のu相端子に接続されている。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の間は、モータ60のv相端子に接続されている。スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6の間は、モータ60のw相端子に接続されている。上下のアームを構成するスイッチング素子Q1〜Q6を有するインバータ回路20は、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作に伴いバッテリBの電圧である直流電圧を交流電圧に変換してモータ60に供給することができるようになっている。モータ60は、3つのコイルU,V,Wをスター結線した三相交流モータである。なお、モータ60は、コイルU,V,Wをデルタ結線した三相交流モータであってもよい。
【0014】
各スイッチング素子Q1〜Q6のゲート端子にはドライブ回路31が接続されている。ドライブ回路31は、スイッチング信号SW1に基づいてインバータ回路20のスイッチング素子Q1〜Q6をスイッチング動作させる。
【0015】
インバータ10は、モータ60の電気角θを検出する位置検出部61と、モータ60のu相電流Iuを検出する電流センサ62と、モータ60のv相電流Ivを検出する電流センサ63と、電源電圧Vdcを検出する電圧センサ64と、を備える。
【0016】
制御部32はマイクロコンピュータにより構成されている。制御部32は、減算部33と、トルク制御部34と、トルク/電流指令値変換部35と、減算部36,37と、電流制御部38と、d,q/u,v,w変換回路39と、座標変換部40と、速度演算部41と、を備える。
【0017】
速度演算部41は、位置検出部61により検出される電気角θから速度ωを演算する。減算部33は、指令速度ω*と速度演算部41により演算された速度ωとの差分Δωを算出する。トルク制御部34は、速度ωの差分Δωからトルク指令値T*を演算する。
【0018】
トルク/電流指令値変換部35は、トルク指令値T*を、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*に変換する。例えば、トルク/電流指令値変換部35は、記憶部(図示略)に予め記憶される目標トルクとd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*とが対応付けられたテーブルを用いてトルク/電流指令値変換を行う。
【0019】
座標変換部40は、電流センサ62,63によるu相電流Iuおよびv相電流Ivからモータ60のw相電流Iwを求め、位置検出部61により検出される電気角θに基づいて、u相電流Iu、v相電流Ivおよびw相電流Iwをd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。なお、d軸電流Idはモータ60に流れる電流において、界磁を発生させるための電流ベクトル成分であり、q軸電流Iqはモータ60に流れる電流において、トルクを発生させるための電流ベクトル成分である。
【0020】
減算部36は、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの差分ΔIdを算出する。減算部37は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの差分ΔIqを算出する。電流制御部38は、差分ΔIdおよび差分ΔIqに基づいてd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を算出する。
【0021】
d,q/u,v,w変換回路39は、電気角θと、d軸電圧指令値Vd*と、q軸電圧指令値Vq*と、電源電圧Vdcを入力して各スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング信号SW1をドライブ回路31に出力する。
【0022】
図2に示すように、d,q/u,v,w変換回路39は、d,q/u,v,w変換部50と、変調率算出部51と、補正波出力部52と、導出部54と、搬送波出力部55と、比較部56と、を備える。
【0023】
d,q/u,v,w変換部50は、角度情報(ロータの位置)である電気角θに基づいてd軸電圧指令値Vd*、及び、q軸電圧指令値Vq*を、u,v,w相の電圧指令値に座標変換する。なお、本実施形態では、u相の電圧指令値Vu*のみを図示している。d,q/u,v,w変換部50は、相毎の電圧指令値を算出する算出部となる。電圧指令値Vu*は、正弦波状の波形となる。電圧指令値Vu*を示す波を電圧指令VWとする。
【0024】
変調率算出部51は、電圧指令値Vu*と、電源電圧Vdcに基づき、変調率Keuを算出する。変調率算出部51は、電圧指令値Vu*を電源電圧Vdcで除算した値であり、電圧指令値(電圧振幅)Vu*と電源電圧Vdcの比率である。
【0025】
補正波出力部52は、電気角θと変調率Keuに応じた補正波RWを出力する。なお、本実施形態では、u相の補正波RWを出力する場合について説明するが、v相及びw相についても同様に補正波RWが出力される。各相の補正波RWは、120°ずつ位相がずれている。インバータ制御装置30は、メモリ53を備える。補正波RWは、マップ、近似式、あるいは、補正波RWをフーリエ変換した結果としてメモリ53に記憶されている。即ち、補正波RWは、予め導出されており、導出された補正波RWが電気角θと変調率Keuに対応付けられたメモリ53に記憶されている。
【0026】
導出部54は、電圧指令VWと補正波RWとを加算することで、変調波MWを導出する加算部である。導出部54は、変調波MWを比較部56に出力する。
搬送波出力部55は、搬送波CWを比較部56に出力する。本実施形態の搬送波CWは、三角波である。本実施形態のインバータ10は、三角波比較方式のインバータといえる。搬送波CWは、相毎に出力される。各相の搬送波CWは、120°ずつ位相がずれている。
【0027】
比較部56は、導出部54から出力された変調波MWと、搬送波出力部55から出力された搬送波CWとを比較することで、スイッチング信号SW1を生成する。スイッチング信号SW1は、パルス状の信号である。Highレベルの信号は、上アームスイッチング素子Q1,Q3,Q5のオンを指示するオン指示信号である。Lowレベルの信号は、上アームスイッチング素子Q1,Q3,Q5のオフを指示するオフ指示信号である。変調率Keu及び電気角θに応じてスイッチング信号SW1が出力されることで、スイッチング素子Q1〜Q6は、変調率Keu及び電気角θに応じてスイッチング動作されることになる。
【0028】
スイッチング信号SW1は、変調率Keu及び電気角θに対応付けて予め定められている。スイッチング信号SW1としては、例えば、高調波損失が最小となるようなスイッチング動作が行われるように定められている。
【0029】
次に、補正波RWの導出方法について説明を行う。
補正波RWは、変調率Keu及び電気角θに対応付けられた目標となるスイッチング信号SW2から導出されている。目標となるスイッチング信号SW2は、比較部56に出力させたいスイッチング信号ともいえる。
【0030】
図3に示すように、補正波RWを導出する際には、まず、目標となるスイッチング信号SW2を分割周期T1で分割する。分割周期T1としては、搬送波CWの周期以下の周期とされる。本実施形態の分割周期T1は、最小スイッチング周期と同一の周期であり、搬送波CWの周期と同一の周期である。
【0031】
次に、分割周期T1毎にデューティを算出する。電気角1周期分のデューティを算出することで、波形W1を得ることができる。この波形W1は、比較部56から出力される変調波MWと一致する波形となる。即ち、目標となるスイッチング信号SW2と一致するスイッチング信号SW1を生成するために必要となる変調波MWを導出することができる。
【0032】
次に、図4に示すように、上記した波形W1から電圧指令VWを減算する。変調波MWは、電圧指令VWと補正波RWとを加算した波形なので、波形W1から電圧指令VWを減算すると、補正波RWを導出することができる。
【0033】
上記したように、電圧指令VWと変調波MWからスイッチング信号SW1を生成する手順と逆の手順で、目標となるスイッチング信号SW2から補正波RWを導出することができる。
【0034】
実施形態の作用について説明する。
補正波RWは、目標となるスイッチング信号SW2から導出されている。目標となるスイッチング信号SW2は、変調率Keu及び電気角θに対応したものであり、補正波RWは、生成されるスイッチング信号SW1が目標となるスイッチング信号SW2となるように導出されている。このため、変調波MWと搬送波CWとを比較することで得られるスイッチング信号SW1は、変調率Keuに応じたものとなる。即ち、変調率Keuが僅かに変化した場合、変調率Keuの僅かな変化に応じて、スイッチング信号SW1が変化し、変調率Keuに合わせた電圧が出力されることになる。
【0035】
図5に示すように、モータ60のトルクTとモータ60の回転数Nにより規定されるNT領域では、位置によって変調率Keuが異なる。図7において、破線で示す範囲A内では、補正波RWを一定とする。例えば、トルクTと回転数Nが範囲A内の場合、範囲Aのうち変調率Keuが最小となる場合の補正波RW1が出力されるとする。
【0036】
図6には、範囲Aのうち点P1で示す位置での電圧指令VW1を示している。図7には、範囲Aのうち点P2で示す位置での電圧指令VW2を示している。点P2は、点P1に比べて、変調率Keuが大きい。
【0037】
図6及び図7から把握できるように、変調率Keuが大きくなると、電圧指令VWの振幅が大きくなることがわかる。補正波RW1が同一であっても、電圧指令VWの振幅の変化によって変調波MW1が変調波MW2に変化し、変調率Keu及び電気角θに応じた変調波MWを出力できることがわかる。
【0038】
仮に、変調率Keuと電気角θとを対応づけたマップからスイッチング信号SW1を生成する場合、変調率Keu毎にスイッチング素子Q1〜Q6の切替情報が必要となる。例えば、図8に示すように、変調率Keu毎にスイッチング素子Q1〜Q6のオン期間とオフ期間とを対応付けたマップを用いてスイッチング信号SW1を生成する場合、少なくとも点P1での切替情報と、点P2での切替情報とが必要になる。更に精度を向上させる場合には、より詳細なマップが必要になる。
【0039】
一方で、本実施形態のように、補正波RWを用いてスイッチング信号SW1を生成する場合、変調率Keuの増加とともに電圧指令VWの振幅が増加することで、デューティが増加する。したがって、変調率Keuの増加に伴い、電圧指令VWが増加することで変調波MWの要求を満たすことができ、変調率Keuの増加に伴い小刻みに補正波RWを変更しなくてもよい。言い換えれば、一定の範囲の変調率Keuに対して、同一の補正波RWを用いることができる。
【0040】
変調率Keuと電気角θとを対応づけたマップからスイッチング信号SW1を生成する場合、電圧指令値Vu*も考慮する必要があるのに対し、補正波RWは、電圧指令値Vu*を考慮せずに定められている。電圧指令値Vu*を考慮しない分だけ、データ量を低減させることができる。
【0041】
実施形態の効果について説明する。
(1)電圧指令VWに補正波RWを加算した変調波MWと、搬送波CWとの比較によりスイッチング信号SW1が生成される。補正波RWは、変調率Keu及び電気角θに対応付けられた目標となるスイッチング信号SW2が生成されるように導出されている。したがって、スイッチング信号SW1は、変調率Keuに応じたものとなる。即ち、変調率Keuに応じたスイッチング信号SW1を出力できる。
【0042】
(2)特許文献1において、変調率の刻みを細かくすることで、変調率の僅かな変化に合わせてスイッチング信号を変化させることもできる。しかしながら、この場合、マップのデータ量が増えることで、メモリの容量を圧迫する。これに対して、本実施形態のインバータ10は、補正波RWを電圧指令VWに加算することで変調波MWを生成し、この変調波MWと搬送波CWとの比較からスイッチング信号SW1を生成している。変調率Keuと電気角θとを対応づけたマップをメモリ53に記憶する場合に比べて、補正波RWを記憶する場合のほうがデータ量を少なくでき、メモリ53の記憶容量を圧迫しにくい。
【0043】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○分割周期T1は、搬送波CWの周期より短くてもよい。モータ60の回転数の変動や、モータ60のトルクが変動すると、電圧指令VWが変化する。分割周期T1を短くすることで、モータ60の回転数の変動や、モータ60のトルクが変動したときに細かく対応することができる。
【0044】
○三相の変調率のうちいずれかを三相共通の変調率としてもよい。例えば、変調率Keuを三相共通の変調率としてもよい。また、変調率は、三相で個別としてもよい。
○搬送波CWは、ノコギリ波であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
CW…搬送波、MW…変調波、RW…補正波、SW1…スイッチング信号、SW2…目標となるスイッチング信号、Q1〜Q6…スイッチング素子、VW…電圧指令、10…インバータ、20…インバータ回路、30…インバータ制御装置、50…d,q/u,v,w変換部(算出部)、51…変調率算出部、52…補正波出力部、54…導出部、55…搬送波出力部、56…比較部、60…モータ、61…位置検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8