(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単一のDRBにマッピングされた前記複数のデータフローの少なくとも1つについての少なくとも1つのQoS測定の結果を取得することをさらに含み、前記複数のデータフローについてのQoSを最適化するアクションは、少なくとも1つのQoS測定の前記取得された結果に基づいている、請求項1又は2に記載の方法。
QoS特性の各々のセットはそれぞれのQoSクラス(例えば、QCI(Quality Class Identifier:品質クラス識別子)/5QIで表される)に関連付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前記複数のデータフローの各々は、当該データフローのQoS特性の前記セットを表すQCI(Quality Class Identifier:品質クラス識別子)/5QIと、ARP(Allocation and Retention Priority)、UL(UpLink:上りリンク)およびDL(DownLink:下りリンク)の少なくとも1つのGFBR(Guaranteed Flow Bit Rate:保証フロービットレート)パラメータ、ULおよびDLの少なくとも1つのMFBR(Maximum Flow Bit Rate:最大フロービットレート)パラメータ、通知制御パラメータ、および、RQA(Reflective QoS Attribute:リフレクティブQoS属性)パラメータのうちの少なくとも1つと、を含むそれぞれのQoSパラメータセットに関連付けられている、請求項6に記載の方法。
前記単一のDRBにマッピングされた前記複数のデータフローの少なくとも1つは、GBR(Guaranteed Bit Rate:保証ビットレート)データフローであり、前記単一のDRBにマッピングされた前記複数のデータフローの少なくとも1つは、非GBRデータフローである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
前記単一のDRBにマッピングされた前記複数のデータフローの各々は、GBR(Guaranteed Bit Rate:保証ビットレート)データフローである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
前記単一のDRBにマッピングされた前記複数のデータフローの各々は、非GBR(non−Guaranteed Bit Rate:非保証ビットレート)データフローである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
3GPP規格の最新動向は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークおよびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)のLTE(Long Term Evolution)と呼ばれ、一般に4Gとも呼ばれる。さらに、5G、NG(Next Generation)およびNR(New Radio)という用語は、種々のアプリケーションおよびサービスをサポートすることが期待される開発中の通信技術を指す。5Gネットワークの種々の詳細は、例えば、NGMN(Next Generation Mobile Networks)アライアンスによるNGMN 5G White Paper V1.0に説明されており、当該文書は、https://www.ngmn.org/5g−white−paper.htmlから入手可能である。3GPPは、いわゆる3GPP NextGen(Next Generation) RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)および3GPP NextGenコアネットワーク(5GC)によって5Gをサポートすることが計画されている。
【0003】
3GPP規格では、NodeB(またはLTEにおける「eNB」、5Gにおける「gNB」など)は、通信デバイス(ユーザ機器または「UE」)がコアネットワークに接続し、他の通信デバイスまたはリモートサーバと通信を行うための基地局である。説明の簡略化のため、本出願において、基地局という用語はそのような任意の基地局を指し、モバイルデバイスまたはUEという用語は、そのような任意の通信デバイスを指すものとする。コアネットワーク(例えば、LTEの場合はEPC、5Gの場合は5GC)は、加入者管理、モビリティ管理、課金、セキュリティ、および呼セッション管理(など)の機能を統括し、通信デバイスをインターネットなどの外部ネットワークに接続させる。
【0004】
通信デバイスとしては、例えば、モバイル電話、スマートフォン、ユーザ機器(UE)、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップ/タブレットコンピュータ、ウェブブラウザ、電子書籍リーダなどのモバイル通信デバイスが含まれる。このようなモバイル(または一般的には固定の)デバイスは、通常はユーザによって操作されるが、いわゆるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイス、および同様のマシン型の通信(MTC)デバイスをネットワークに接続することも可能である。説明の簡略化のため、本出願は、明細書中においてUE(User Equipment:ユーザ機器)を参照するが、本明細書に記載の技術は、任意の(モバイルおよび/または一般的には固定の)通信デバイス上で実施可能であり、当該通信デバイスは、人による入力によって制御されるか、またはメモリに格納されたソフトウェア命令によって制御されるかに関わらず、通信ネットワークに接続してデータの送受信を行うことができるものとする。
【0005】
QoS(Quality of Service:サービス品質)という概念は、通信およびコンピュータネットワーキングでよく知られている概念である。QoSという用語は、一般に、データ通信サービスなどのサービスにおける全体的なパフォーマンスを指し、特にエンドユーザに提供されるパフォーマンスを指すのに用いられる。
【0006】
3GPP LTEネットワークの場合、QCI(QoS Class Identifier:QoSクラス識別子)という概念は、タイプの異なるベアラトラフィックがそれぞれ異なるクラスに分類され、各クラスがその該当するタイプのトラフィックに適した個別のQoSを表すクラスベースのQoSアーキテクチャを容易にするためのメカニズムとして導入された。各クラスは、個別のQCIによって識別される。各QCIは、標準化されたQoS「特性」のセットに関連付けられるとともにその参照として機能し、当該QoS特性は、その対応するクラスのトラフィックのために、セルラ通信ネットワークのノード(例えば、RAN/基地局)において、UEとコアネットワークの間の端から端までにおいてどのようにパケット転送処理を適用するかを管理するためのフレームワークとして使用される。
【0007】
UEにおいて複数のアプリケーションが動作する典型的なLTEの場合、基地局(LTEのeNB)は、UEおよびコアネットワーク(S−GW(Serving Gateway))の間の各E−RAB(Enhanced Radio Access Bearer:拡張無線アクセスベアラ)について、個別のQoSパラメータのセット(QCI、ARP(Allocation and Retention Priority)、および他のリソースタイプ依存型パラメータ(GBR(Guaranteed Bit Rate:保証ビットレート)リソースタイプまたは非GBRリソースタイプなど)を含む)を有する。したがって、QoSは、無線ベアラレベルのグラニュラリティで提供される。
【0008】
しかしながら、5Gでは、QoSという概念は、同一無線ベアラを介した異なる「QoS」データフローの各データフローに、それぞれ個別のQoSを「フローレベル」のグラニュラリティで付与するように拡張された。これを容易にするために、PDCP(Packet Data Convergence Protocol:パケットデータ収束プロトコル)レイヤの上位に導入された新しいサブレイヤ(SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤ)が、複数のデータフロー(異なるアプリケーションなど)を管理する。具体的には、5Gでは、UEにおいて複数のアプリケーションが動作中である場合、基地局(5Gの場合にはgNB)は、UEとコアネットワークとの間の各E−RABに対応する個別のベアラレベルでのQCI(またはARP)を有していない。その代わりに、新しいSDAPサブレイヤが、UEと基地局との間の無線インターフェイス(Uu)を介して、QoSフローをDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)にマッピングする(1つまたは複数のQoSフローを各DRBにマッピングする)。QFI(QoS Flow ID:QoSフロー識別子)は、各QoSフローを、同一のトラフィック転送処理(例えば、スケジューリング、許容閾値など)が適用される同一のQoS特性を(所定のPDU(Protocol Data Unit)セッション内で)を有するユーザプレーントラフィックで識別するために使用される。QFIは、RANとコアネットワーク(5GのUPF(User Plane Function:ユーザプレーン機能)など)の間の「N3」参照ポイントで、カプセル化したヘッダに含まれる。QFIは、所定のPDUセッション内で一意である。
【0009】
QCIという概念は5Gにおいて拡張され、QCI(5G QoSインジケータ(または「5QI」)と呼ばれる)は、(各E−RABではなく)各QoSフローに関連付けられる。LTE QCIと同様に、5G QCI(5QI)は、特定のQoS特性のセット(アクセスノード固有のパラメータなど)の参照として使用されるスカラであり、適用されるQoS転送処理を制御する(例えば、適用されるスケジューリング重み、許容閾値、キュー管理閾値、リンク層プロトコル構成など)。
【0010】
より詳細には、各QoSフロー(GBRおよび非GBR)は、5QI、ARP、およびその他複数のフロータイプ依存型QoSパラメータに関連付けられる。例えば、各GBR QoSフローは、UL(UpLink:上りリンク)およびDL(DownLink:下りリンク)の両方のGFBR(Guaranteed Flow Bit Rate:保証フロービットレート)にも関連付けられ、これは当該GBR QoSフローによって提供されることが予想されるビットレートを示すものである。また、各GBR QoSフローは、ULおよびDLの両方のMFBR(Maximum Flow Bit Rate:最大フロービットレート)にも関連付けられ、これは当該GBR QoSフローによって提供されることが予想されるビットレートを制限するものである(例えば、MFBRを超えた場合に、過剰トラフィックをレート調整機能によって破棄するなど)。さらに、GBR QoSフローは、「通知制御」パラメータに関連付けてもよく、これは、QoSフローの存続期間中に当該QoSフローのGFBRを満たすことができなくなった(または再度満たすことができない)場合の、RANからの通知の要求の有無を示す。さらに、各非GBR QoSフローをRQA(Reflective QoS Attribute:リフレクティブQoS属性)パラメータに関連付けて、当該QoSフロー上の一部のトラフィックがリフレクティブQoSの対象になる可能性があることを示してもよい。
【0011】
5QIで表されるQoS特性は、各QoSフローに、例えば、3GPP無線アクセスリンク層プロトコル構成用に、ノード固有のパラメータを設定するためのガイドラインとして理解することができる。QoS特性は、UEとUPFの間の端から端までにおいてQoSフローが受けるべきパケット転送処理を効果的に説明するものである。QoS特性には、リソースタイプ(GBR、遅延クリティカルGBR、または非GBR)、優先度レベル、PDB(Packet Delay Budget:遅延許容時間)、およびPER(Packet Error Rate:パケット誤り率)が含まれる。
【0012】
優先度レベルは、QoSフロー間でリソースをスケジューリングする際の優先度を示す。優先度レベルは、同一UEのQoSフローを区別するとともに、異なるUEからのQoSフローを区別するのに使用される。GBR QoSフローのQoS要件がすべて満たされると、通常(当該GBR QoSフローよりも高い優先度レベルを非GBR QoSフローが示さない限り)、予備のリソースを、実装固有の方法で残りのトラフィックに使用することができる。優先度レベルの最小値は、最も高い優先度に対応する。
【0013】
PDBは、UEとUPFの間において許されるパケット遅延時間の上限を規定し、当該UPFは、当該UPFとデータネットワークとの間のN6インタフェースを終了させる。所定の5QIの場合、PDBの値は上りリンクと下りリンクで同じである。3GPPアクセスの場合、PDBは、スケジューリングおよびリンク層機能の構成をサポートするために使用される。PDBは、信頼性レベル98%の最大遅延として解釈される。
【0014】
PERは、リンク層プロトコルの送信側(3GPPアクセスのRANの無線リンク制御(RLC)など)で処理はされたが、対応する受信機によって上位層(例えば、3GPPアクセスのRANのPDCP)に正常に送達されなかったSDU(Service Data Unit(例えば、IPパケットなど))のレートの上限を規定する。したがって、PERは、輻榛に起因しないパケット損失のレートの上限を規定する。所定の5QIの場合、PERの値は上りリンクと下りリンクで同じである。遅延クリティカルGBRリソースタイプのQoSフローの場合、PDBよりも遅延したパケットは損失したものとしてカウントされ、PERに含まれる。
【0015】
現行標準化されている5QI値は、表1に規定されるように、5G QoS特性の標準化された組み合わせに1対1でマッピングされる。
【0016】
【表1】
【0017】
5GのQoS特性は、アクセスノードに予め構成された5QI値によって事前に構成してもよい。5G QoS特性は、QoSプロファイルまたはQoSルールの一部として通知される5QI値によって動的に割り当ててもよい。
【0018】
5GのQoSアーキテクチャによると、NG−RAN(Next Generation Radio Access Network)において、5GC(5G Core)ネットワークは、各UEに対して1つまたは複数のPDUセッションを確立してもよい。各PDUセッションにおいて、基地局は、各UEに対して、PDUセッション毎に1つまたは複数のDRBを確立してもよい。基地局は、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。したがって、PDUセッション確立時に、基地局は、5GCによって示される各PDUセッションに対して少なくとも1つのデフォルトDRBを確立する。UEおよび5GCにおけるNAS(Non−Access Stratum:非アクセス層)レベルのパケットフィルタは、UL(UpLink:上りリンク)およびDL(DownLink:下りリンク)パケットを特定のQoSフローに関連付ける。UEおよび基地局におけるAS(Access Stratum:アクセス層)レベルのマッピングは、ULおよびDL QoSフローを1つまたは複数のDRBにそれぞれ関連付ける。基地局とコアネットワークは、パケットを適切なQoSフローとDRBにマッピングすることで、サービスの品質(例えば、信頼性および遅延目標)を保証する。したがって、2段階のマッピングには、IPフローをQoSフロー(NAS)にマッピングすること、および、QoSフローをDRB(AS)にマッピングすること、が含まれる。各PDUセッション内で複数のQoSフローをDRBにマップする方法は、基地局次第である。DLでは、基地局は、NG−Uマーキング(QoSフローID)および対応するQoSプロファイルに基づいて、QoSフローをDRBにマッピングする。ULでは、UEは、コアネットワークに転送されるパケットをマーキングするために、無線インターフェース(Uu)を介して送信されたULパケットをQFIでマーキングする。
【0019】
各QoSフロー(GBRおよび非GBR)は、5QI、ARP、およびその他複数のフロータイプ依存型QoSパラメータに関連付けられる。
【0020】
例えば、各GBR QoSフローは、ULおよびDLの両方のGFBR(Guaranteed Flow Bit Rate:保証フロービットレート)にも関連付けられ、これは当該GBR QoSフローによって提供されることが予想されるビットレートを示す。また、各GBR QoSフローは、ULおよびDLの両方のMFBR(Maximum Flow Bit Rate:最大フロービットレート)にも関連付けられ、これは当該GBR QoSフローによって提供されることが予想されるビットレートを制限するものである(例えば、MFBRを超えた場合に、過剰トラフィックをレート調整機能によって破棄するなど)。さらに、GBR QoSフローは、「通知制御」パラメータに関連付けてもよく、これは、QoSフローの存続期間中に当該QoSフローのGFBRを満たすことができなくなった(または再度満たすことができない)場合の、RANからの通知の要求の有無を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(概要)
図1は、UE(User Equipment:ユーザ機器)3(モバイル(セル)電話など)のアイテムが、適切なRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)を使用して基地局5を介して別のUEと通信を行うことができるセルラ通信ネットワーク1の概略図である。当業者には明らかではあるが、
図1が1つのUE3と基地局5のみを例示目的で示す一方で、システム実装時には、通常他の基地局およびUE3も含まれる。基地局5は、関連するRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)の一部を形成し、UE3がネットワークにアクセスし、1つまたは複数の関連サービスを受信できるようにするために、少なくとも1つのセル6を運用する。
【0037】
基地局5は、次世代(5G)規格に従って動作するように構成されており、本例では、基地局5は非分散型gNB5を含む(5Gでは、CU(Central Unit:中央ユニット)と、それぞれが少なくとも1つの関連セルにサーブする1つまたは複数のDU(Distributed Unit:分散ユニット)と、を備える分散基地局であってもよい)。本例では「gNB」タイプの基地局を説明するが、UE3への無線アクセスを提供するために、その機能の多くは他の基地局または同様の装置に拡張できるものとする。
【0038】
基地局5は、通信システム1における通信をサポートするための複数の論理コアネットワークノード7−1、7−2および7−3を含む関連コアネットワーク7を介して、セルラ通信ネットワークに接続される。本例のコアネットワークノード7は、他の機能に加えて、少なくとも1つのCPF(Control Plane Function:コントロールプレーン機能)7−1と、少なくとも1つのUPF(User Plane Function:ユーザプレーン機能)7−2と、少なくとも1つのPCRF(Policy and Charging Rules Function:ポリシーおよび課金ルール機能)と、を実装する。しかしながら、通常、コアネットワーク7には、モビリティ管理機能を提供するモビリティ管理機能(例えば、LTEモビリティ管理エンティティ(MME)などに対応する)など他の機能も含まれるものとする。
【0039】
UE3、基地局5、およびコアネットワーク機能7−1、7−2および7−3は、複数のQoSフロー9が、UE3と基地局5の間の無線インターフェイス(Uu)を介して単一のDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)11にマッピングされ、QoSが、本明細書の導入部において概略的に説明したように、QoSフローレベルのグラニュラリティで管理されるQoSアーキテクチャを実装するように構成される。
図1のセルラ通信アーキテクチャ1のQoSアーキテクチャを、
図2に詳細に示す。
【0040】
図2に示すように、RANの基地局5によってUE3のPDUセッションが確立されると、当該PDUセッションの一部として、UE3と基地局5との間の無線インタフェース上で1つまたは複数のDRB11−1および11−2を確立してもよい。
【0041】
UE3およびコアネットワーク7のNAS(Non−Access Stratum:非アクセス層)レベルのパケットフィルタは、UL(UpLink:上りリンク)およびDL(DownLink:下りリンク)パケットを、UE3とUPF7−2の間における異なる複数のQoSフロー9−1、9−2および9−3にそれぞれ関連付け、各QoSフローは同一のQoSクラス識別子(5QI)、すなわちQoS特性を共有する。UE3および基地局5におけるAS(Access Stratum:アクセス層)レベルのマッピングは、ULおよびDL QoSフロー9を1つまたは複数のDRB11にそれぞれ関連付ける。PDUセッション内で、複数のQoSフロー9をどのように対応のDRB11にマッピングするかを決定するのは基地局5である。DLでは、基地局5は、NG−Uマーキング(QFI(QoS Flow ID:QoSフローID))および対応するQoSプロファイルに基づいて、QoSフローをDRB11にマッピングする。ULでは、UE3は、無線インターフェイス(Uu)を介して送信されるULパケットをコアネットワークに適切に転送するために、当該パケットをQFIでマーキングする。
【0042】
QoSフロー9からDRB11へのマッピングを容易にするために、UE3および基地局5のUP(User Plane:ユーザプレーン)プロトコルスタックには、追加のSDAP(Service Data Adaptation Protocol:サービスデータ適応プロトコル)レイヤが設けられる。
UPプロトコルスタックを
図3に示す。
図3に示すように、SDAPレイヤは、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MAC(Medium Access Control)レイヤ、およびPHY(PHYsical)レイヤの上位に設けられる。UPプロトコルスタックについては、3GPP TS 38.300に詳細に説明されている。PHY、MAC、RLCおよびPDCPレイヤは、当業者に周知の通常の機能を有する。
【0043】
SDAPレイヤは、UE3と基地局5との間の無線インターフェース(Uu)を介してDRB11にQoSフロー9をマッピングする役割を担い、1つまたは複数のQoSフロー9を各DRB11にマッピングする。SDAPレイヤは、DLパケットとULパケットの両方を適切なQoSフローID(QFI)でマーキングして、対応するQoSフロー9の一部としてパケットを識別する役割も担う。QFIは、RANとコアネットワーク7(UPF7−2など)の間の「N3」参照ポイントで、カプセル化したヘッダに含まれる。各QoSフロー9のQFIは、PDUセッション内で一意である。SDAPのプロトコルエンティティは、2個のエンティティを構成することのできるデュアル接続シナリオの場合を除いて、個々のPDUセッション毎に単一のプロトコルエンティティが構成される(例えば、一方をマスターセルグループ(MCG)用、他方をセカンダリセルグループ(SCG)用として)。
【0044】
より詳細には、各QoSフロー9(GBR(Guaranteed Bit Rate:保証ビットレート)フロー、遅延耐性GBRフロー、または非GBRフロー)は、当該QoSフロー9に適用されるQoS処理を示す、対応するQoSプロファイルを含む。具体的には、各QoSフロー9は、QCI/5QI、ARP(Allocation and Retention Priority)、およびその他複数のフロータイプ依存型QoSパラメータにそれぞれ関連付けられる。例えば、GBR QoSフロー9は、ULおよびDLの両方のGFBR(Guaranteed Flow Bit Rate:保証フロービットレート)にも関連付けられ、これは、当該GBR QoSフロー9によって提供されることが予想されるビットレートを示すものである。また、各GBR QoSフロー9は、ULおよびDLの両方のMFBR(Maximum Flow Bit Rate:最大フロービットレート)にも関連付けられ、これは、当該GBR QoSフロー9によって提供されることが予想されるビットレートを制限するものである(例えば、MFBRを超えた場合に、過剰トラフィックをレート調整機能によって破棄するなど)。さらに、GBR QoSフロー9は、「通知制御」パラメータに関連付けてもよく、これは、当該QoSフロー9の存続期間中に当該QoSフロー9のGFBRを満たすことができなくなった(または再度満たすことができない)場合の、RANからの通知の要求の有無を示す。さらに、各非GBR QoSフロー9をRQA(Reflective QoS Attribute:リフレクティブQoS属性)パラメータに関連付けて、当該QoSフロー9上の一部のトラフィックがリフレクティブQoSの対象になる可能性があることを示してもよい。
【0045】
PCRF(Policy and Charging Rules Function)7−3は、QoSフローのQoSプロファイルを維持して各ユーザセッションのQoS設定情報を提供する役割を担う。
【0046】
基地局5は、QoS特性(すなわち、QCI/5QIによって表されるQoS特性)および当該QoSフローに構成されたQoSパラメータに対して、異なるQoSフロー9のそれぞれのQoS性能をモニタリングする。この一環として、基地局5は、各フローに適切なQoSパラメータを測定する(または対応する測定結果をUE3または他の通信エンティティから取得する)ことができる(例えば、基地局は、表1に含まれるパラメータ(遅延許容時間/レイテンシ、パケット誤り率、レート、優先度)のいずれかを測定することができる(これは、要件を満たせないフローがある場合には、当該フローは優先度が最も低いものである必要があるためである))。
【0047】
有利には、基地局5は、異なるQoSフロー9のそれぞれについて、それらのフローに設定されたものに対するQoS性能をモニタリングすることに加えて、UE3は、各QoSフロー9についてUE3が体感したそれぞれのQoE(Quality of Experience:体感品質)をモニタリングし、QoE情報が関連するQFIに関連付けて、対応するQoE情報を基地局5に通知する。UE3は、さらに各フローのQoS性能をモニタリングすることもできるが、本例では、QoSパラメータは基地局5で測定されるため、UE3によるQoS測定の通知は不要であってもよいものとする。しかしながら、UE3によるQoS測定の通知が有益であるシナリオも複数存在する(例えば、UE3と基地局5とで測定が一致しない場合)。
【0048】
QoE測定には通常、例えば、ユーザ体感に直接影響するQoEパラメータも含まれ得るが、これはQoSパラメータから導き出すことが困難または不可能な場合がある。例えば、ビデオストリーミングサービスの場合、測定されたQoEパラメータには、初期遅延(ビデオ開始までの)、再バッファイベントの回数および/または期間(バッファアンダーフローによる)、ビデオジッタなどが含まれる。Webブラウジングの場合、Webページがユーザデバイスでレンダリングされるまでの遅延は、主要なQoEメトリックと見なされる。一方で、表1にあるようなQoSパラメータ(パケット損失など)は、ネットワーク関連のパフォーマンスを測定する。
【0049】
基地局5(および場合によってはUE3)によるQoS性能のモニタリングと、UE3が実際に体感したQoEのモニタリングと、に基づいて、以下の状況を判別することができる。
(1)QoSフロー9のいずれについても、モニタリング対象QoSの許容限度を超えた劣化は見られず、QoSフロー9のいずれについても、UE3が体感したモニタリング対象QoEの許容限度を超えた劣化は見られない。
(2)QoSフロー9の少なくとも1つについてモニタリング対象QoSに許容限度を超えた劣化が見られるが、QoSフロー9のいずれについても、UE3が体感したモニタリング対象QoEの許容限度を超えた劣化は見られない。
(3)QoSフロー9のいずれについても、モニタリング対象QoSの許容限度を超えた劣化は見られず、QoSフロー9の少なくとも1つについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られる。
(4)QoSフロー9の少なくとも1つについて、モニタリング対象QoSに許容限度を超えた劣化が見られ、QoSフロー9の少なくとも1つについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られる。
UE3は、上記のどの状況が発生するかに関わらずQoE情報(および/または任意のQoS測定結果)を通知することができるが、1つまたは複数のQoSフロー9のQoEが許容限度を超えて劣化した場合(例えば(3)および(4))、UE3は、QoE情報(および/またはQoS測定結果)のみを通知してもよいものとする。UE3がQoS性能も認識しており、1つまたは複数のQoSフローのQoEまたはQoSのいずれかが許容限度を超えて劣化した場合(例えば(2)、(3)および(4))、UE3は、QoE情報および/またはQoS測定結果のみを通知してもよい。
【0050】
一実施例において提供されるQoE情報は、UE3で体感されるQoEが許容限度を超えて劣化しているか否か(例えば、QoEの許容限度を表す特定のトリガレベルを超えているか否か)を示す1つまたは複数のQoE劣化フラグ(または同様のIE(Information Element:情報要素))を含む。QoEフラグは、例えば、「1」がQoEの劣化を示し、「0」が劣化がないことを示す(またはこの反対)ように設定された、1ビットのフラグである。QoE劣化フラグは、例えば、QoSフローのQFIに関連付けて、QoEの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)QoSフロー9毎に設けてもよい。
【0051】
UE3がQoSの劣化をモニタリングする場合、当該QoSフローのQFIに関連付けて、QoSの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)QoSフロー9毎に、それぞれ個別のQoE劣化フラグを(代替的または追加的に)設けてもよい。これは、例えば、基地局5が、1つまたは複数のQoSフローのQoSが劣化したが、当該劣化の影響を受けたフローについてUE3が体感したQoEの劣化はトリガレベルを超えていないと(自局のQoSモニタリングに基づいて)判断した場合に特に有益であり、これは、基地局5が対応するQoSを改善するアクションを不要に実行しないということである。
【0052】
QoE劣化フラグは、QoSフローのQFIに関連付けて、所定のPDUセッションのQoSフロー9毎にそれぞれ設けてもよいものとする。さらに、QoE劣化フラグをQoSフロー毎に設けることが特に有用である一方で、単一の「グローバル」なQoE劣化フラグを使用して、影響を受ける各フローそれぞれのQFIをリスト化する情報要素を示すとともに、1つまたは複数のQoSフロー9についてQoEの劣化が体感されていることを示すことができる。
【0053】
別の実施例で提供されるQoE情報には、QoE測定結果の通知が含まれる。そのような測定結果は、例えば、当該QoSフローのQFIに関連付けて、QoEの劣化を体感した(所定のPDUセッションの)すべてのQoSフロー9について通知してもよく、および/または、当該QoSフローのQFIに関連付けて、(UE3がQoSの劣化をモニタリングする場合に)QoSの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)すべてのQoSフロー9について通知してもよい。
【0054】
別の実施例では、QoE測定の結果は、所定のPDUセッションのすべてのQoSフロー9について(つまり、劣化とは無関係に)通知してもよく、特定のQoSフローの各測定レポートが対応するQFIに関連付けて与えられる。本実施例では、基地局5は、所定のQoSフロー9のQoEの劣化が体感されているか否かを、通知された測定から判断することができる。
【0055】
測定されたQoEパラメータの通知については、QoEパラメータをそれぞれ個別に通知することもできるし、またはこれらのパラメータから派生した結合QoEメトリックの一部として通知するものとする。例えば、1〜5の範囲のMOS(Mean Opinion Score:平均オピニオン評点)を検討してもよい。単一のバイナリQoE劣化フラグを通知する実施例では、結合QoEメトリックに閾値を適用して、QoE劣化の有無のケースを判断することができる。
【0056】
したがって、
図1の通信ネットワーク1では、基地局5は、UE3から通知されたQoE情報を、以下のように有利に使用することができる:
DRB全体のQoSパラメータを最適化する;
同一DRB上のすべてのQoSフローに割り当てるリソースを最適化する;および/またはQoSフローのグラニュラリティで、適切なフロー制御や優先順位付け(フロー形成)を行う。
【0057】
有利には、QoSフローレベルのグラニュラリティでの無線インタフェースのフロー制御を促進するために、基地局5には、フロー制御ユニットが(SDAPレイヤに)設けられる。フロー制御ユニットは、特定のQoSフロー(例えば、別のフローのQoEの劣化に寄与する「問題のある」フロー)のパケットをバッファリングしてレート調整を行い、異なるQoSフローのパケットがPDCPレイヤに渡される(そして同化する)前に、所定のDRBにおいてレートを低下させるように構成される。したがって、有利には、このようなフロー制御を用いることで、各QoSフロー9(QoSプロファイルが異なる)に対し、同一DRB内において、当該QoSフロー9の特定のQoSパラメータにより適した、それぞれ異なるパケット転送処理を適用することができる。
【0058】
基地局5は、UE3から通知されたQoE情報を有効に利用して、QoEが劣化したQoSフロー9を別の既存のDRBに移すこと、または新しいDRBを確立し劣化したQoEを示すQoSフロー9を上記新しいDRBに移すことを決定してもよい。
【0059】
また、一実施例では、基地局5は、許容限度を超えて劣化したQoE(および/またはQoS)を示すフローについて、QoS情報を、対応するQFIとともにコアネットワーク7に有益に提供する。コアネットワーク7(PCRF7−3など)は、受信したQoS情報を用いて、例えば、影響を受けたDRBの影響を受けた(または他の)QoSフロー(例えば、GBR QoSフローのGFBRおよび/またはMFBR)に対応するQoSパラメータを調整して、影響を受けたフロー(例えば、ストリーミングアプリケーション(ビデオストリーム))のUE知覚QoEを改善することで、UEサービスのQoS情報/プロファイルを調整する。
【0060】
(UE)
図4は、
図1に示すアイテムのUE3の主要構成要素(例えば、モバイル電話、他のユーザ機器など)を示すブロック図である。
【0061】
図示のように、UE3は、1つまたは複数のアンテナ33を介して基地局5と信号の送受信を行うように動作可能なトランシーバ回路31を有する。UE3は、UE3の動作を制御するコントローラ37を有する。コントローラ37はメモリ39に対応し、トランシーバ回路31に接続される。UE3は、動作するうえで必ずしも必要ではないが、従来のUE3の標準の機能(ユーザインタフェース35など)をすべて備えてよいことは明らかであり、当該機能は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアのいずれか1つまたはこれらの任意の組み合わせによって適宜提供されてもよい。ソフトウェアは、メモリ39に事前にインストールしてもよいし、および/または、例えば、通信ネットワークを介して、またはRMD(Removable Data Storage Device:リムーバブルデータ格納デバイス)から、ダウンロードしてもよい。
【0062】
コントローラ37は、本実施例では、メモリ39内に格納されたプログラム命令またはソフトウェア命令によってUE3全体の動作を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム41、通信制御モジュール43、QoSフロー管理モジュール44、QoE/QoS測定モジュール45、QoE/QoS通知モジュール46、およびPDUセッション管理モジュール47を含む。
【0063】
通信制御モジュール43は、UE3とそのサービング基地局5との間の通信(および当該サービング基地局5に接続される、他のUE、コアネットワークノードなどの他の通信デバイスとの通信)を制御するように動作可能である。
【0064】
QoSフロー管理モジュール44は、UE側でQoSフローを管理する役割を担う。QoSフロー管理モジュール44は、例えば、ULデータパケットを適切なQFIでマーキングし、進入DLデータパケットを処理するのに必要なSDAPレイヤ機能を、例えばPDCPレイヤから、QoSフローレベルで実行する。
【0065】
QoE/QoS測定モジュール45は、各QoSフローのQoEが許容限度を超えて劣化したか否かを評価するのに適したQoE測定を行う。QoEは、例えば、許容可能な劣化限界を線引きし、メモリ39に格納される1つまたは複数の予め定義された閾値に対して評価してもよい。例えば、QoEに伴って増大する特定の測定結果が対応の閾値を下回る場合、またはQoEに伴って減少する測定結果が閾値を超えた場合、QoEが許容限度を超えて劣化したとみなしてもよい。しかしながら、予め定義されたそのような閾値のセットがQoEの劣化を示す方法で渡されるまでは、QoEが劣化したとみなす必要はないものとする。UE3がQoS測定を行う場合、QoE/QoS測定モジュール45は、各QoSフローのQoSが許容限度を超えて劣化したか否かを評価するためにこれらの測定も行う(これは、例えば、設定されたQoS特性および/またはQoSプロファイル内の他のQoSパラメータに基づいて上述のQoEの劣化を判断するQoS測定用に予め定義された1つまたは複数の閾値に基づく)。
【0066】
QoE/QoS通知モジュール46は、QoE劣化フラグ(そのようなフラグが使用される場合)および/または他のQoE情報(例えば、QoE測定結果)などのQoE情報を通知する役割を担う。当該通知は定期的に行われてもよいし、イベントによってトリガされてもよいし、基地局5の要求に応じて行われてもよい。
【0067】
PDUセッション管理モジュール47は、PDUセッションのセットアップ、メンテナンスおよび終了においてUEにかかる役割を制御する。
【0068】
(基地局)
図5は、
図1に示す基地局5の主要構成要素を示すブロック図である。図示のように、基地局5は、1つまたは複数のアンテナ53(例えば、アンテナアレイ/大規模アンテナ)を介してUE3と信号の送受信を行うためのトランシーバ回路51、及びネットワークノード(例えば、コアネットワーク7内の他の基地局および/またはノード)と信号の送受信行うためのネットワークインタフェース55を有する。
【0069】
基地局5は、基地局5の動作を制御するコントローラ57を有する。コントローラ57はメモリ59に対応する。ソフトウェアは、メモリ59に事前にインストールしてもよいし、例えば、通信ネットワーク1を介して、またはRMD(Removable Data Storage Device:リムーバブルデータ格納デバイス)から、ダウンロードしてもよい。コントローラ57は、本実施例では、メモリ59内に格納されたプログラム命令またはソフトウェア命令によって基地局5の全体的な動作を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム61、通信制御モジュール63、QoSフロー管理モジュール64、QoS測定および通知モジュール65、QoSフロー制御モジュール66、およびPDUセッション管理モジュール67を含む。
【0070】
通信制御モジュール63は、基地局5と、UE3および基地局5に接続された他のネットワークエンティティとの間の通信を制御するように動作可能である。通信制御モジュール63は、ダウンリンクユーザトラフィックの個別フローを(対応のデータ無線ベアラを介して)制御するとともに、この基地局5に対応する通信デバイスに送信されるデータを制御し、当該データには、例えば、コアネットワークサービスおよび/またはUE3のモビリティ用の制御データが含まれる(一般的な(UE固有ではない)システム情報および参照信号も含まれる)。
【0071】
QoSフロー管理モジュール64は、基地局側でQoSフローの管理する役割を担い、これにはDRBへのQoSフローの適切なマッピングが含まれる。QoSフロー管理モジュール64は、例えば、DLデータパケットを適切なQFIでマーキングし、進入ULデータパケットを処理するのに必要なSDAPレイヤ機能を、例えばPDCPレイヤから、QoSフローレベルで実行する。
【0072】
QoS測定および通知モジュール65は、各QoSフローのQoS性能が許容限度を超えて劣化したか否かを評価するのに適したQoS測定を行う。QoS性能は、例えば、設定されたQoS特性および/またはQoSプロファイルの他のQoSパラメータに対して評価してもよい(これは、例えば、QoEの劣化の判断に関連して上述した閾値と同様の、QoS測定用の1つまたは複数の予め定義された閾値に基づく)。
【0073】
QoS測定および通知モジュール65は、QoS測定結果などのQoS情報をコアネットワーク7へ(例えば、最終的にはPCRF7−3へ)通知する役割も担う。通知されたQoS情報は、基地局5によって実行されたQoS測定の結果および/またはUE3から受信したQoS情報を含んでもよいものとする。
【0074】
QoSフロー制御モジュール66は、QoSフローレベルのグラニュラリティでQoSフローベースのフロー制御を行う役割を担う。QoSフロー制御モジュール66は、特定のQoSフローのパケットを対応のQoSフローバッファ69にバッファリングしてレート調整を行い、異なるQoSフローのパケットがPDCPレイヤに渡される(そして同化する)前に、当該特定のQoSフローのレートを所定のDRBにおいて低下させる(例えば、別のQoSフローのQoEの劣化に寄与する「問題のある」フローのデータレートを低下させる)ように構成される。
【0075】
PDUセッション管理モジュール67は、適切なDRBのセットアップ、メンテナンスおよび管理を含むPDUセッションのセットアップ、メンテナンスおよび終了において基地局にかかる役割を制御する。
【0076】
(PCRF)
図6は、ポリシー課金およびルール機能7−3(PCRF)を提供するコアノード7−3の主要構成要素を示すブロック図である。コアノード7−3は、ネットワークインタフェース75を介して、基地局5および/または他のノード(例えば、他のコアネットワーク機能を提供する他のコアノード)と信号の送受信を行うように動作可能なトランシーバ回路71を備える。コントローラ77は、メモリ79に格納されたソフトウェアに従ってトランシーバ回路71の動作を制御する。当該ソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム81、通信制御モジュール83、およびポリシーおよび課金ルールモジュール84を含む。
【0077】
通信制御モジュール83は、コアノード7−3とコアノード7−3に(直接または間接的に)接続された他のネットワークエンティティ(例えば、基地局5および/または他のコアネットワーク機能を提供する他のコアノード)との間の直接および/または間接通信を制御するように動作可能である。
【0078】
ポリシーおよび課金ルール管理モジュール84は、コアネットワーク機能を管理してポリシーおよび課金ルール機能を提供し、サービスデータフロー検出、ポリシー施行、およびフローベース課金(例えば、複数の基地局からのデータ使用統計の蓄積)をサポートする役割を担う。ポリシーおよび課金ルール管理モジュール84は、QoSポリシーを管理してPDUセッション内の各QoSフローに適したQoS設定情報を基地局5に提供するQoSポリシー管理モジュール85を、備える。QoSポリシー管理モジュール85は、ポリシーを追加および再構成して、QoS(Quality of Service:サービス品質)を動的に管理し、適切に制御することができる。
【0079】
上の説明では、理解を容易にするために、UE3、基地局5、およびコアネットワーク機能は複数の個別モジュール(通信制御モジュールやビーム構成/制御モジュールなど)を備えるものとして説明された。これらのモジュールは、例えば、本発明を実施するために既存のシステムに変更を加えた特定のアプリケーションについては上述のような方法で提供することができるが、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムなどの他のアプリケーションについては、これらのモジュールは、オペレーティングシステムまたはコード全体に組み込んでもよく、この場合、これらのモジュールは個別のエンティティとして認識されなくてもよい。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0080】
複数の利点があるQoSフローレベルのグラニュラリティでの効率的なQoS管理を提供するのに役立つように実行可能ないくつかの手順を、ここで例として説明する。これらの手順はそれぞれ単独で実行された場合に独立して技術的な利点を有してもよく、これらの手順の任意の組み合わせを適宜併せて実行してもよい。
【0081】
(QoEの通知)
図7は、手順を示すメッセージシーケンスの簡略図であり、当該手順は、基地局5で情報を取得するために、
図1の通信システムの基地局5とユーザ機器3の間で実行可能であり、所定のPDUセッション内の単一のDRBを介して提供される複数のQoSフローそれぞれのQoEおよびQoSを評価すること、および各フローのQoSを最適化する一方で、すべてのQoSフローで許容可能なQoEを確実に得るために実行可能なアクションを識別することを目的とする。
【0082】
図7に示すように、S700では、複数のQoSフローが特定のPDUセッションの単一のDRBにマッピングされる(しかしながら、この同一PDUセッション内にも、それぞれが1つまたは複数の個別のQoSフローに関連付けられた他のDRBが存在する可能性がある)。
【0083】
S702では、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S704で、基地局5は、それらのQoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S702でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S706で通知する。
【0084】
UE3は、
図7のオプション(A)から(C)に示すように、取得したQoE情報をさまざまな方法で通知することができる。これらのオプションは必ずしも相互に排他的ではなく、状況に応じて特定のUE3用に選択可能な代替通知オプションとして提供してもよいものとする。
【0085】
図7(A)において、UE3は、S706−1で、UE3で体感されるQoEが許容限度を超えて劣化したか否かを示す1つまたは複数のQoE劣化フラグ(または同様のIE(Information Element:情報要素))を含んで取得されたQoE情報を通知する(当該通知は、例えば、上記の1つまたは複数の閾値に対するQoE測定の評価に基づいて行われる)。本実施例ではQoE劣化フラグは、QoSフローのQFIに関連付けて、QoEの劣化を体感した(所定のPDUセッションの)QoSフロー9毎に設けられる。
【0086】
UE3がQoSの劣化をモニタリングする場合、QoSフローが許容外のQoE劣化を現時点で体感していない場合であっても、当該QoSフローのQFIに関連付けて、QoSの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)QoSフロー9毎にも、それぞれ個別のQoE劣化フラグが設けられる。これにより、基地局5が、1つまたは複数のQoSフローのQoSが劣化したが、当該劣化の影響を受けたフローについてUE3が体感したQoEの劣化は許容外のものではないと(自局のQoSモニタリングに基づいて)判断した場合、基地局5は、対応するQoSを改善するアクションを不要に取る必要はない(あるいは、対応のQoS要件を緩和するためのアクションを取ることができる)。
【0087】
図7(B)で提供されるQoE情報には、QoE測定結果の通知が含まれる。本実施例では、そのような測定結果は、当該QoSフローのQFIに関連付けて、QoEの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)すべてのQoSフロー9について通知される。同様に、QoE測定結果の通知は、当該QoSフローの(UE3がQoS劣化をモニタリングする)QFIに関連付けて、QoSの劣化が体感された(所定のPDUセッションの)すべてのQoSフロー9について行ってもよい。
【0088】
図7(C)では、QoE測定の結果は、所定のPDUセッションのすべてのQoSフロー9について(つまり、QoE劣化に関係なく)通知してもよく、特定のQoSフローの各測定通知が対応するQFIに関連付けて与えられる。したがって、本実施例では、基地局5は、特定のQoSフロー9がQoEの劣化を示すか否かだけでなく、当該QoSフロー9が示すQoEの劣化の程度も、通知された測定から判断することができる。その結果、基地局5は、所定のフローのUE3が体感したQoEが許容可能か否かを決定することができるのに加えて、当該QoEが許容限度を超える(または下回る)程度を判断することもできる。このように、基地局5は、異なるQoSフローのための様々なQoS要件/リソース割り当てを最適化するために、より多くの情報に基づいたアクションを取ることができる(例えば、すべてのQoSフローのQoEを可能な限り許容限度に近づけることができる)。
【0089】
したがって、これらの通知オプションの1つまたは複数を利用して、基地局5が、DRB全体のQoSパラメータを最適化すること、同一DRB上のすべてのQoSフローに割り当てるリソースを最適化すること、および/またはQoSフローレベルのグラニュラリティでの適切なフロー制御や優先順位付け(フロー形成)を実行することを可能にする情報を、基地局5に提供してもよい。
【0090】
ここで、複数の利点があるQoSフローレベルのグラニュラリティでの効率的なQoS管理を実現するためにUE3から受信したQoE情報を基地局がどのように使用することができるかを説明するいくつかの手順を、例として説明する。
【0091】
(QoE情報の使用)
上で説明したように、各QoSフローについて、UEで体感されるQoEと、設定されたQoS特性と比較した場合の各QoSフローが示すQoS性能とに応じて、以下の状況が発生する可能性がある:
(1)いずれのQoSフローについても、モニタリング対象QoSの許容限度を超えた劣化は見られず、いずれのQoSフローについても、UE3が体感したモニタリング対象QoEの許容限度を超えた劣化は見られない。
(2)少なくとも1つのQoSフローについて、モニタリング対象QoSが許容限度を超えた劣化を示すが、いずれのQoSフローについても、UE3が体感したモニタリング対象QoEの許容限度を超えた劣化は見られない。
(3)いずれのQoSフローについても、モニタリング対象QoSの許容限度を超えた劣化は見られず、少なくとも1つのQoSフローについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られる。
(4)少なくとも1つのQoSフローについて、モニタリング対象QoSに許容限度を超えた劣化が見られ、少なくとも1つのQoSフローについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られる。
図8から
図11はそれぞれ上記の状況の1つまたは複数において基地局5が取得したQoE/QoS情報を有益に使用する方法を示しているが、基地局は、取得したQoE/QoS情報を同様の方法で、必要に応じて異なる状況で使用してもよい。
【0092】
例えば、
図8は、状況(2)および(3)のコンテキストで取得したQoE/QoS情報を基地局5がどのように用いるかを示すメッセージシーケンス図である。
【0093】
図8のS802で、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S804では、基地局5は、それらの各QoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S802でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S806で通知する(例えば、
図7(A)から(C)の1つを参照して説明したように)。
【0094】
図8(A)では、UE3から通知されたQoE情報および基地局5によって(自局におけるQoS測定に基づいて、またはUE3から通知されたQoS測定結果に基づいて)取得されたQoS情報は、少なくとも1つのQoSフローについてモニタリング対象QoSが許容限度を超えた劣化を示すが、いずれにQoSフローについても、UE3が体感したモニタリング対象QoEの許容限度を超えた劣化は見られないことを示す。
【0095】
これは、より寛容なQoS要件で、すべてのQoSフローについて、UE3で十分なQoEを達成できる可能性があることを示す。これにより、S808では、基地局5は、通知されたQoE情報(および場合によっては、セル全体の負荷などの1つまたは複数の他のパラメータ)に基づいて(例えば、QoS要件を緩和するため)所定のDRBのQoSパラメータを更新し、UE3で当該DRB上のすべてのQoSフローについて許容可能なQoEが維持されるようにする。実際のQoE測定を通知する場合(QoE劣化フラグのみを通知する場合とは異なり)、
図7(B)および(C)を参照して説明したように、測定されたQoEが目標レベルを超える度合いは、DRBのQoSパラメータを更新するか否かに関する基地局の決定を通知するのに有益に用いることができ、QoSパラメータを更新する場合には、QoEの許容外の劣化を引き起こさずに更新を行うことのできる程度を通知してもよい。
【0096】
図8(B)において、UE3から通知されたQoE情報および基地局5によって(自局におけるQoS測定に基づいて、またはUE3から通知されたQoS測定結果に基づいて)取得されたQoS情報は、いずれのQoSフローについてもモニタリング対象QoSの許容限度を超えた劣化は見られないが、少なくとも1つのQoSフローについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られることを示す。
【0097】
これは、DRBに割り当てられた現在のリソースや、QoSフロー間で当該リソースを共有する現在の方法では、UE3がすべてのQoSフローにおいて十分なQoEを達成することは不可能であることを示す。したがって、S810において、基地局5は、通知されたQoE情報に基づいて所定のDRBのリソース割り当てを最適化し、UE3が当該DRB上のすべてのQoSフローについて許容可能なQoEを確実に得るようにする。実際のQoE測定を通知する場合(QoE劣化フラグのみを通知する場合とは異なり)、
図7(B)および(C)を参照して説明したように、測定されたQoEが目標レベルを超える度合いは、リソースを最適化する方法に関する基地局の決定を通知するのに有益に用いることができる。基地局5は、当該最適化を、十分な追加リソースをDRBに割り当てることにより(例えば、QoS要件をより厳しくするように更新する)、および/またはQoSフローをDRBマッピングに変更することで実現してもよい。例えば、基地局は、許容外に劣化したQoEを示す1つまたは複数のQoSフローを、QoS要件がより厳しい別のDRBに再マッピングし、許容可能なQoEを示すQoSフローを既存のDRBにマッピングしたままとしてもよい。
【0098】
図9は、状況(4)のコンテキストで取得したQoE/QoS情報を基地局5がどのように用いるかを示すメッセージシーケンス図である。
【0099】
図9において、S902では、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S904で、基地局5は、それらのQoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S902でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S906で通知する(例えば、
図7(A)から(C)の1つを参照して説明したように)。
【0100】
図9では、UE3から通知されたQoE情報および基地局5によって(自局におけるQoS測定に基づいて、またはUE3から通知されたQoS測定結果に基づいて)取得されたQoS情報は、少なくとも1つのQoSフローについてUE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られ、許容限度を超えたQoEの劣化が体感された少なくとも1つのQoSフローについても、モニタリング対象QoSに許容限度を超えた劣化が見られることを示す。
【0101】
この状況において、許容可能なQoEを示す1つまたは複数のQoSフローは、それぞれのQoEプロファイルに設定された特性よりも優れた変更後のQoS性能(例えば、過剰進入レート)を示してもよい。これらのQoSフローのQoS性能が他のQoSフローと比較して改善されたことで、QoEが劣化(および/または他のフローのQoS劣化)する可能性がある。したがって、S908において、基地局5は、許容可能なQoEおよび変更後のQoS性能を示す「問題のある」QoSフローを識別し、当該フローは、それぞれのQoEプロファイルに設定された特性よりも優れた性能を示す(例えば、QoSプロファイルに設定されたレートよりも増加したデータレートを示すGBR QoSフロー、またはリソースの「フェアシェア」が増加した非GBR QoSフロー)。
【0102】
次に、S910において、基地局5は、フロー制御/優先順位付け(フロー形成)を実行して、識別された「問題のある」QoSフローが、劣化(QoE)を示す他のQoSフローに及ぼす影響を低下させる。
【0103】
図10は、このようなフロー制御が、基地局5においてどのようにしてQoSフローレベルのグラニュラリティで実行されるかを示す。
図10に示すように、フロー制御は、1つまたは複数のQoSバッファを使用して(例えば、
図5のQoSフロー制御モジュールによって)SDAPレイヤに適用してもよい。
図10(A)を参照すると、本例では、同一DRBを共有するフロー(すなわち、QoSフロー#1またはQoSフロー#2)にはフロー制御を適用せず、これらのフローは、事実上同一のパケット転送処理を受ける。
図10(B)を参照すると、本例では、QoSフローバッファで制御するQoSフローのパケットの一部をバッファリングすることで、DRBを共有するフローの一方(つまり、QoSフロー#1)にフロー制御を適用し、PDCPレイヤに転送するパケットを制限する。他方のフロー(すなわち、QoSフロー#2)はフロー制御の対象ではない。
【0104】
このように、基地局5は、特定のQoSフロー(例えば、「問題のある」フロー)のパケットをバッファリングすることで「QoSフローごと」のレート調整を実行して、DRB内でこれらのレートを低下させることができる(異なるQoSフローのパケットがDRBにマッピングされ、PDCPおよび下位レイヤに転送されて同化する前に)。そのため、このようなフロー制御を使用すると、異なるQoSフロー(QoSプロファイルが異なる)は、それらのQoSパラメータにより適した異なるパケット転送処理を、同一DRB内で有利に受けることができる。
【0105】
図11は、状況(4)のコンテキストで取得したQoE/QoS情報を基地局5がどのように用いるかについて別の例を示すメッセージシーケンス図である。
【0106】
図11では、S1102で、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S1104において、基地局5は、それらのQoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S1102でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S1106で通知する(例えば、
図7(A)から(C)のいずれかを参照して説明したように)。
【0107】
図11において、UE3から通知されたQoE情報および基地局5によって(自局におけるQoS測定に基づいて、またはUE3から通知されたQoS測定結果に基づいて)取得されたQoS情報は、少なくとも1つのQoSフローについてモニタリング対象QoSに許容限度を超えた劣化が見られ、少なくとも1つのQoSフローについて、UE3が体感したモニタリング対象QoEに許容限度を超えた劣化が見られることを示す。
【0108】
しかしながら、
図11の実施例では、基地局5は、S1108において、無線インタフェースを介した1つまたは複数のフローがQoS要件(例えば、データレート、遅延、またはその他の測定されたQoSパラメータ)を満たしていないとしても、すべてのQoSフローが進入トラフィックについてのQoSレート特性を満たすと判断する。
【0109】
この問題に対処するために、S1110で、基地局5は、UE3から通知されたQoE情報に基づいて低ビットレートでも十分なQoEを得ることのできる「柔軟な」QoSフローを識別する。「柔軟な」フローは、十分に高いQoEを示す各QoSフローのQoSフロー特性を調整し、UE3からのフィードバックをモニタリングすることで決定してもよい。あるいは、目標を大幅に上回るQoE測定がUEから通知された場合、当該QoSフローを黙示的に「柔軟な」フローとして識別してもよい。
【0110】
S1112では、基地局5は、識別された「柔軟な」QoSフローのビットレート要件を緩和し、これにより、許容外なQoEを示す他のQoSフローのためにリソースを解放する。このように、特定のDRBにマッピングされたすべてのQoSフローについてQoE目標を達成することができ、これにより全体としてのユーザ満足度を向上させることができる。
【0111】
図12は、1つまたは複数のQoSフローについて許容外なQoEの劣化が体感された状況において、取得したQoE/QoS情報を基地局5がどのように用いるかについて別の例を示すメッセージシーケンス図である。
【0112】
図12において、S1202では、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S1204で、基地局5は、各QoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S1202でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S1206で通知する(例えば、
図7(A)から(C)のいずれかを参照して説明したように)。
【0113】
本例では、基地局は、許容外なQoEの劣化を示すQoSフローを別のDRBにオフロードする。具体的には、
図12(A)において、基地局5は、S1208で、影響を受けるQoSフローを別の(例えば、QoS要件がより厳しい)既存のDRBに再マッピングすることにより、QoEが劣化した1つまたは複数のQoSフローをオフロードする。
図12(B)において、基地局5は、S1210で、1つまたは複数の新しいDRBを確立し、影響を受けたQoSフローを新しいDRBに再マッピングすることにより、QoEが劣化した1つまたは複数のQoSフローをオフロードする。
【0114】
図13は、取得したQoE/QoS情報を基地局5がどのように用いるかについて別の例を示すメッセージシーケンス図である。
【0115】
図13のS1302において、複数のQoSフローのそれぞれについてUE3が体感したQoEは、適切な測定を行うことでそれぞれモニタリングされる。UE3は、必要に応じて各QoSフローのQoS特性をモニタリングしてもよい。S1304で、基地局5は、各QoSフローに設定されたQoS特性に対する各QoSフローのQoS性能をモニタリングする。UE3は、S1302でのモニタリングの結果としてUE3が取得したQoE情報を、S1306で通知する(例えば、
図7(A)から(C)のいずれかを参照して説明したように)。
【0116】
本実施例では、基地局5は、S1308において、許容外なQoEの劣化を示すQoSフローのQoS情報を、対応するQFIに関連付けて、コアネットワーク7に提供する。コアネットワーク7のPCRF7−3はこの情報を受信し、S1310で、影響を受けたQoSフローに対応するUEサービスのQoSプロファイルを調整して、UEが知覚するQoEを改善する。例えば、PCRFは、GBR QoSフローのGFBRとMFBRを調整して、ストリーミングアプリケーション(例えば、ビデオストリーミング)でUE3が知覚するQoEを向上させることができる。
【0117】
(変形例および代替案)
以上、例示的な実施形態を詳細に説明した。当業者が理解するように、上記例示的な実施形態については複数の変形例および代替案が可能であり、そのようにして具現化された発明の恩恵を受けることができる。例示のため、これらの変形例および代替案についていくつかの例のみを説明する。
【0118】
上記の例示的な実施形態では、ユーザ機器、基地局、および/またはコアネットワーク機能などを実装するための複数のソフトウェアモジュールを説明した。当業者が理解するように、当該ソフトウェアモジュールは、コンパイルされた形式またはコンパイルされていない形式で提供されてもよいし、コンピュータネットワークを介した信号として、または記録媒体上で、対応するハードウェアに供給されてもよい。さらに、このソフトウェアの一部またはすべてによって実行される機能は、1つまたは複数の個別のハードウェア回路を使用して実行してもよい。しかしながら、ソフトウェアモジュールは、対応のハードウェアの機能更新のためのアップデートを高速化するため、その使用がより望ましい。同様に、上記の例示的な実施形態ではトランシーバ回路を使用したが、トランシーバ回路の機能の少なくとも一部はソフトウェアによって実行することができる。
【0119】
ユーザ機器、基地局(gNB)およびコアネットワークノードの機能は、必要な機能を実現するソフトウェア命令を適宜使用してプログラムされた1つまたは複数のハードウェアコンピュータプロセッサを有する1つまたは複数のコンピュータ処理装置を使用して実装してもよい(例えば、
図4から
図6を参照して説明したコントローラの一部を形成する1つまたは複数のコンピュータプロセッサ)。さらに、本機能のすべてまたは一部は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)など1つまたは複数の個別集積回路を使用して、個別回路としてハードウェアで実装してもよいものとする。
【0120】
UE、gNB、およびコアネットワークノード/機能の説明で言及したコントローラは、例えばアナログまたはデジタルコントローラなどの任意の適切なコントローラを備えてもよい。各コントローラは任意の形態の処理回路を適宜備えてもよいものとし、これには、例えば、以下が含まれる(限定的ではない):1つまたは複数のハードウェアに実装されたコンピュータプロセッサ;マイクロプロセッサ;CPU(Central Processing Units:中央処理装置);ALU(Arithmetic Logic Units:算術論理ユニット);IO(Input/Output:入出力)回路;内部メモリ/キャッシュ(プログラムおよび/またはデータ);処理レジスタ;通信バス(例えば、制御、データおよび/またはアドレスバス);DMA(Direct Memory Access:ダイレクトメモリアクセス)機能;およびハードウェアまたはソフトウェアで実装されたカウンタ、ポインタ、タイマなど。
【0121】
上記の一実施例において、通信システム内のユーザ機器によって実行される方法は、少なくとも1つのDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)を用いて基地局とデータの通信を行うことであり、上記データが単一のDRBにマッピングされた複数のデータフローを用いて通信され、上記複数のデータフローの各々が当該データフローに固有のQoS(Quality of Service:サービス品質)特性のそれぞれのセットを有するように構成されることと、上記複数のデータフローについて少なくとも1つのQoE(Quality of Experience:ユーザ体感品質)パラメータを測定することと、上記少なくとも1つのQoEパラメータの上記測定に基づいてQoE情報を上記基地局に通知すること、を含む。
【0122】
上記測定することは、上記単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの各々について上記少なくとも1つのQoEパラメータをそれぞれ測定することを含む。
【0123】
上記通知されたQoE情報は、上記単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの少なくとも1つについてデータフロー固有QoE情報を含み、上記通知することは、上記データフロー固有QoE情報を、上記データフロー固有QoE情報に関連する上記データフローを識別する情報(例えば、QFI(QoS Flow Identifier:QoSフロー識別子))に関連付けて通知することを含む。
【0124】
上記方法は、少なくとも1つのデータフローについて、QoEが満足のいくレベルを下回ったか否かを判断することをさらに含む。
【0125】
上記通知されたQoE情報は、少なくとも1つのデータフローについて、QoEが満足のいくレベルを下回ったか否かを示す少なくとも1つの情報要素(例えば、少なくとも1つのQoEフラグ)を含む。上記QoEが満足のいくレベルを下回ったか否かを示す少なくとも1つの情報要素は、上記QoEが満足のいくレベルを下回った各々のデータフローについてのそれぞれの情報要素を含む。上記QoEが満足のいくレベルを下回ったか否かを示す少なくとも1つの情報要素は、上記単一のDRBにマッピングされたすべてのデータフローについてのそれぞれの情報要素を含む。
【0126】
上記通知されたQoE情報は、上記少なくとも1つのQoEパラメータの測定により取得された結果を含む。上記少なくとも1つのQoEパラメータの上記測定により取得された結果の通知は、上記QoEが満足のいくレベルを下回った各々のデータフローについてのそれぞれの上記結果を含む。上記少なくとも1つのQoEパラメータを測定して取得された結果の通知は、上記単一のDRBにマッピングされたすべてのデータフローについてのそれぞれの上記結果を含む。
【0127】
上記方法は、上記単一のDRBにマッピングされた複数のデータフローの少なくとも1つについて少なくとも1つのQoSパラメータを測定することをさらに含む。
【0128】
上記通知することは、上記少なくとも1つのQoSパラメータの上記測定に基づいてQoS情報を上記基地局に通知することをさらに含む。
【0129】
上記別の実施例において、通信システム内の基地局によって実行される方法は、少なくとも1つのDRB(Data Radio Bearer:データ無線ベアラ)を用いてUE(User Equipment:ユーザ機器)とデータの通信を行うことであり、上記データが単一のDRBにマッピングされた複数のデータフローを用いて通信され、上記複数のデータフローの各々が当該データフローに固有のQoS(Quality of Service:サービス品質)特性のそれぞれのセットを有するように構成されることと、上記少なくとも1つのQoSパラメータの測定に基づくQoE(Quality of Experience:ユーザ体感品質)情報を上記基地局で受信することと、上記受信したQoE情報に基づいて、単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローのQoSを最適化するアクションを実行すること、を含む。
【0130】
上記複数のデータフローのQoSを最適化するアクションは、上記単一のDRBにマッピングされたデータフローの少なくとも1つについてのQoS要件を調整することと、上記単一のDRBにマッピングされたデータフローの少なくとも1つについて割り当てられるリソースを最適化することと、上記単一のDRBにマッピングされたデータフローの少なくとも1つのデータフローを、上記単一のDRBにマッピングされたデータフロー以外の少なくとも1つに応じて制御することと、上記複数のデータフローの少なくとも1つを異なるDRBに再マッピングすることと、QoEが満足のいくレベルを下回った少なくとも1つのデータフローに関する情報をコアネットワークに送信して、コアネットワーク機能が上記データフローのQoSパラメータの最適化を行えるようにすることと、の少なくとも1つを含む。
【0131】
上記方法は、上記単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの少なくとも1つについての少なくとも1つのQoS測定の結果を取得することをさらに含む。上記複数のデータフローについてのQoSを最適化するアクションは、少なくとも1つのQoS測定の上記取得された結果に基づいている。
【0132】
上記少なくとも1つのQoS測定の上記結果は、上記基地局において測定を行うことにより取得される。上記少なくとも1つのQoS測定の上記結果は、上記UEから上記結果を受信することにより取得される。
【0133】
上記アクションは、上記複数のデータフローの少なくとも1つのデータパケットをバッファリングすることで、上記複数のデータフローの少なくとも別の1つに対して、上記複数のデータフローの少なくとも1つにおけるデータのフローを制御することを含む。
【0134】
QoS特性の各々のセットはそれぞれのQoSクラス(例えば、QCI(Quality Class Identifier:品質クラス識別子)/5QIで表される)に関連付けられる。
【0135】
上記複数のデータフローの各々は、当該データフローのQoS特性の上記セットを表すQCI(Quality Class Identifier:品質クラス識別子)/5QIと、ARP(Allocation and Retention Priority)、UL(UpLink:上りリンク)およびDL(DownLink:下りリンク)の少なくとも1つのGFBR(Guaranteed Flow Bit Rate:保証フロービットレート)パラメータ、ULおよびDLの少なくとも1つのMFBR(Maximum Flow Bit Rate:最大フロービットレート)パラメータ、通知制御パラメータ、および、RQA(Reflective QoS Attribute:リフレクティブQoS属性)パラメータのうちの少なくとも1つと、を含むそれぞれのQoSパラメータセットに関連付けられている。
【0136】
単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの少なくとも1つは、GBR(Guaranteed Bit Rate:保証ビットレート)データフローであり、上記単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの少なくとも1つは、非GBRデータフローであってもよい。上記単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの各々は、GBRデータフローであってもよい。
【0137】
単一のDRBにマッピングされた上記複数のデータフローの各々は、non−GBR(non−Guaranteed Bit Rate:非保証ビットレート)データフローであってもよい。
【0138】
種々の他の変更は、当業者にとって明らかであるため、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【0139】
本出願は、2017年9月29日に出願された英国特許出願第1715920.3号に基づく優先権の利益に基づいており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。