(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用時に被験者の右脚の大腿に対して所定の締め付け圧で巻き付けることにより、前記右脚の前記大腿の筋肉にそれを内旋させる力を与えるものであり、帯状体である右脚ベルトと、
使用時に被験者の左脚の大腿に対して所定の締め付け圧で巻き付けることにより、前記左脚の前記大腿の筋肉にそれを内旋させる力を与えるものであり、帯状体である左脚ベルトと、
を備えており、
前記右脚ベルトと、前記左脚ベルトとはともに、それらの右脚の大腿又は左脚の大腿の外周に相当する長手方向の長さのうちの略半分の長さにわたる部分が伸びにくくなっている、
下半身補助器具。
前記右脚の大腿に対して巻き付けられた前記右脚ベルトと前記左脚の大腿に対して巻き付けられた前記左脚ベルトとを接続して、前記右脚ベルトと、前記左脚ベルトとにそれぞれ、前記右脚ベルトが巻き付けられた大腿の筋肉と前記左脚ベルトが巻き付けられた大腿の筋肉とを内旋させる方向の力を与えるようになっている回転防止部材、を備えている、
請求項1記載の下半身補助器具。
前記右脚ベルトと前記左脚ベルトとはともに、その使用時における上側の縁と下側の縁の双方が上に凸の曲線となっており、且つその上側の縁の長さがその下側の縁の長さよりも長くなるようにされていることにより、前記右脚ベルトと前記左脚ベルトとが前記被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合に、大腿に良くフィットするようになっている、
請求項1記載の下半身補助器具。
それらが被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合における前記右脚ベルトの外側と、前記左脚ベルトの外側とを、前記右脚ベルトの外側から、前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の左肩の上に至り、そこから前記被験者の胴体の前側を通って前記被験者の左脇の下に至り、そこから前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の右脇の下に至り、そこから前記被験者の胴体の前側を通って前記被験者の右肩の上に至り、そこから前記被験者の胴体の後側を通って前記左脚ベルトの外側に至るという経路で結ぶか、又はその逆の経路で結ぶことができるような長さとされた帯状体であり、その両端をそれぞれ、前記右脚ベルトの外側と、前記左脚ベルトの外側とに着脱自在に取付けられるようになっている、上半身用ベルトを備えている、
請求項1又は2記載の下半身補助器具。
それらが被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合における前記右脚ベルトの外側と、前記左脚ベルトの外側とを、前記右脚ベルトの外側から、前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の左肩の上に至り、そこから前記被験者の胴体の前側を通って前記被験者の左脇の下に至り、そこから前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の右脇の下に至り、そこから前記被験者の胴体の前側を通って前記被験者の右肩の上に至り、そこから前記被験者の胴体の後側を通って前記左脚ベルトの外側に至るという経路で結ぶか、又はその逆の経路で結ぶことができるような長さとされた帯状体である、上半身用ベルトを備えているとともに、
前記上半身用ベルトの、前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の左脇の下から右脇の下に至る部分の略中央と、前記回転防止部材の、前記被験者の胴体の後側を通って前記被験者の左側の腸骨の外側から右側の腸骨の外側に至る部分の略中央とを互いに結ぶことができるようにされた、上下接続部材を更に備えている、
請求項6記載の下半身補助器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大腿の筋肉が外旋することによって上記の如き不具合が生じることは予てから指摘されており、また、大腿の筋肉の外旋を解消することにより上記の如き不具合が解消される可能性があることも予てから指摘されている。
しかしながら、それを具体的にどうやって実現するのかという点については、現時点では現実的な解決策が存在しない。例えば、被験者に運動やストレッチ等を行わせたり、或いは被験者に対してマッサージを施術することにより外旋した大腿の筋肉を内旋させることにより、大腿の筋肉を理想的な状態に近づけることができる。
しかしながら、その効果は極めて一時的であり、十分だとは言いがたい。
【0005】
本願発明は、大腿の筋肉を内旋させることにより被験者の下半身を補助するための実用的な技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するものとして本願発明者は以下の発明を提案する。
その発明は、使用時に被験者の右脚の大腿に対して所定の締め付け圧で巻き付けることにより、前記右脚の前記大腿の筋肉にそれを内旋させる力を与えるものであり、帯状体である右脚ベルトと、使用時に被験者の左脚の大腿に対して所定の締め付け圧で巻き付けることにより、前記左脚の前記大腿の筋肉にそれを内旋させる力を与えるものであり、帯状体である左脚ベルトと、を備えている、下半身補助器具である。
かかる下半身補助器具は、ともに帯状体である右脚ベルトと、左脚ベルトとを備えている。右脚ベルトは被験者の右脚の大腿に巻き付けることで右脚の大腿の筋肉にそれを内旋させるような力を与える。他方、左脚ベルトは被験者の左脚の大腿に巻き付けることで左脚の大腿の筋肉にそれを内旋させるような力を与える。例えば、右脚ベルトは、大腿の筋肉を内旋させる方向で右脚の大腿に巻き付けられ、固定されるか、或いは、右脚の大腿に巻き付けられ所定の締め付け圧を与えるようにして右脚の大腿に固定された後、大腿の筋肉を内旋させる方向にずらされることにより、大腿の筋肉を内旋させる。左脚ベルトも同様である。
帯状体であるこれら右脚ベルトと左脚ベルトとは、それを右脚又は左脚に巻き付けた状態である程度長い時間(例えば20分以上、或いは例えば日常生活の中での2、3時間)使用することができる。それにより、被験者の大腿の筋肉は、運動、ストレッチを被験者が行ったり、被験者に対してマッサージを行ったときよりも良く内旋し、しかもその効果がより長時間保たれるようになる。
なお、大腿の筋肉に上述の如き内旋が生じると、腰痛、O脚が改善する場合がある。また、右脚ベルトと左脚ベルトにより強制的に内旋する力が与えられた大腿の筋肉の状態は歩行時に脚を既に踏み出した状態と似ているので、歩行の際に、より詳細には一歩一歩の動きの中で脚を踏み出そうとするときに、脚が自然に前に出易くなる。とは言え、右脚ベルトと左脚ベルトは、一歩一歩の動きの中で脚が後ろにさがっていくとき或いは後ろにさがった脚が後方に地面を蹴り出そうとする動きに対しては、その動きに対して抵抗となる力を大腿の筋肉、特には大腿の後側のハムストリングスの筋肉に与える。これにより、被験者は、自然に歩き出せはするものの、上述の抵抗により知らず知らずのうちに大腿の筋肉の筋力トレーニングを行っているような状態となるため、大腿の筋肉の筋力の向上が促進される。また、右脚ベルトと左脚ベルトにより強制的に内旋する力が与えられた大腿の筋肉の状態は座ったときに立ち上がろうとするときの筋肉の状態にも似ている。したがって、右脚ベルトと左脚ベルトを身に付けた被験者は、座った状態から起立するのも容易になる。
歩くのを補助する、また、座った状態から起立するのを補助するという右脚ベルトと左脚ベルトを身に付けた場合に被験者が得る効果は、被験者が若いときにはあまり必要がないし、またその効果を実感しにくいかもしれない。しかしながら、被験者が老齢といえる程度に高齢であったり、或いは何らかの理由により大腿の筋肉が万全でない場合には、右脚ベルトと左脚ベルトが生じる、歩くのを補助する、また、座った状態から起立するのを補助するという効果は、大きな意味を持つ。
【0007】
下半身補助器具は、回転防止部材を備えていてもよい。
回転防止部材は、前記右脚の大腿に対して巻き付けられた前記右脚ベルトが、前記右脚の前記大腿の筋肉を外旋させる方向に回転するのを妨げるとともに、前記左脚の大腿に対して巻き付けられた前記左脚ベルトが、前記左脚の前記大腿の筋肉を外旋させる方向に回転するのを妨げるものであり、被験者の身体に固定されるものとされる。このような回転防止部材があることにより、下半身補助器具の右脚ベルトと左脚ベルトは、それが被験者の脚の大腿に取付けられた状態で歩行を行う等の運動を被験者が行ったとしても、右脚の大腿の筋肉又は左脚の大腿の筋肉を外旋させる方向に回転しにくくなる。
回転防止部材は、上述したようなものであればどのようなものであっても良く、例えば、右脚の大腿に対して巻き付けられた右脚ベルトが、右脚の前記大腿の筋肉を外旋させる方向に回転するのを妨げるための第1の部材と、左脚の大腿に対して巻き付けられた左脚ベルトが、左脚の前記大腿の筋肉を外旋させる方向に回転するのを妨げるための第2の部材とに別れていても良いし、1つの部材にまとめられていても構わない。また、その構成は適宜決定することができるが、前記回転防止部材は、帯状体であってもよい。回転防止部材を帯状体とすることにより、下半身補助器具を比較的長時間身に付けるのが容易になる。他の場合もそうであるが、帯状体である場合においても、回転防止部材はその長さ方向に伸縮するような素材でできていても良い。
前記回転防止部材は、前記右脚ベルトと前記左脚ベルトとを互いに接続するようになっていてもよい。例えば、右脚ベルトと左脚ベルトとを被験者の体の前側で接続すれば、右脚ベルトの前側と左脚ベルトの前側とが互いに引っ張りあうことになる。これによれば、右脚ベルトと左脚ベルトには自然に、右脚の大腿の筋肉又は左脚の大腿の筋肉を内旋させる方向の力が働くことになる。
前記回転防止部材は、それらが前記被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合における前記右脚ベルトの後側と、前記左脚ベルトの後側とを、前記右脚ベルトの後側から前記右脚ベルトの外側を経て前記被験者の身体の前側を通って前記被験者の左側の腸骨の外側に至り、そこから前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の右側の腸骨の外側に至り、そこから前記被験者の身体の前側を通って前記左脚ベルトの外側を経て前記被験者の左脚ベルトの後側に至るという経路で結ぶか、又はその逆の経路で結ぶことができるような長さとされた帯状体であっても構わない。このような回転防止部材は、右脚ベルトと左脚ベルトに、右脚の大腿の筋肉又は左脚の大腿の筋肉を内旋させる方向の力を与えるものとなる。また、それに加えて、回転防止部材が上述の経路を辿る場合には、右脚ベルトの後側から右脚ベルトの外側を経て被験者の身体の前側を通って被験者の左側の腸骨の外側に至る部分で、回転防止部材は右側の大転子(或いはその付近)を通過し、また、右側の腸骨の外側から被験者の身体の前側を通って左脚ベルトの外側を経て被験者の左脚ベルトの後側に至る部分で、回転防止部材は右側の大転子(或いはその付近)を通過することになる。つまり、このような回転防止部材を用いると、左右の大転子(或いはその付近、以下も同様。)を外側から内側に向かって押すことができる。それによれば、例えば歩行時の大転子の左右方向の振れを抑えることができるようになるから、歩行がより安定するようになる。
回転防止部材は、右脚ベルト及び左脚ベルトとは別の部材となっていても良い。例えば、前記回転防止部材は、前記右脚ベルト及び前記左脚ベルトに対して着脱自在となっていてもよい。右脚ベルト及び左脚ベルトと回転防止部材を別部材とすることにより、右脚ベルト及び左脚ベルトの幅や伸縮性を変えることが容易になり、また右脚ベルト及び左脚ベルトに対して、幅、伸縮性、長さ等の異なる複数の回転防止部材から任意の回転防止部材を選択して組合せられるようになる。体型や体力等に併せて、回転防止部材を選択できるようにできるのは利益がある。他方、回転防止部材は、右脚ベルト及び左脚ベルトと、互いに着脱自在とされていなくても良く例えば一体でとされていても良い。例えば、前記右脚ベルトと、前記回転防止部材と、前記左脚ベルトとは、この順番で一連且つ一体とされた帯状体であってもよい。回転防止部材を、右脚ベルト及び左脚ベルトと一体とすれば、構造が簡単で、また取回しも容易になる。
【0008】
前記右脚ベルトと、前記左脚ベルトとはともに、それらの右脚の大腿又は左脚の大腿の外周に相当する長手方向の長さのうちの略半分の長さ(例えば、40〜50%の長さ)の部分が伸びにくくなっていても良い。なお、本願において、「伸びにくい」とは、帯状体の所定の位置における幅方向の全長を30cmの間隔を空けてそれぞれ固定し、その状態で、支持された部分の帯状体の中央に2kg重の荷重を下方向にかけた場合において、その伸び率(((伸びた後の長さ−元の長さ)/元の長さ)×100(%))が5%以下であることを意味するものとする。なお、上述の如き伸び率の測定方法を、本願では測定方法Aと称することにする。また、右脚ベルトと左脚ベルトとにおける上述の伸びにくい部分は、それら右脚ベルトと左脚ベルトとのうちの被験者の右脚と左脚の大腿に装着された場合における後側の部分とすることができる。これにより、ハムストリングの筋肉を効率よく内旋させられるようになる。
右脚ベルトと左脚ベルトは上述のように、大腿の筋肉を内旋させるために用いられるが、そのためには、大腿の筋肉が右脚ベルト又は左脚ベルトに対して追随して内旋するようにする必要がある。右脚ベルトと左脚ベルトの長さ方向の伸縮性が余りに大きいと、せっかく内旋させた筋肉が右脚ベルトと左脚ベルトに対して滑って外旋して元の位置に戻ってしまうことになる。右脚ベルトと左脚ベルトの一部が上述の如き伸縮性の小さい素材でできていると、右脚ベルト又は左脚ベルトに対する大腿の筋肉の滑りを防止することができ、それによりせっかく内旋させた大腿の筋肉が外旋してしまうことを防止することができるようになる。
とはいえ、右脚ベルト及び左脚ベルトは全体として見ればある程度の伸縮性を持っていた方が、大腿へ巻き付けたときのフィット感は高まる。そのような伸縮性は右脚ベルト及び左脚ベルトの長さ方向のうちの伸縮性が低い上述の部分以外の部分の伸縮性を、伸縮性が低い部分に比して大きくする(例えば、上述の測定方法Aで測定した場合に、その伸び率が少なくとも10%以上のものとする。)ことで担保することができる。なお、本願では、帯状体について伸縮性を有するという場合には、測定方法Aで測定した場合におけるその伸び率が10%以上であることを意味するものとする。
ともに帯状体である前記右脚ベルトと前記左脚ベルトとはともに、その使用時における上側の縁と下側の縁の双方が上に凸の曲線となっており、且つその上側の縁の長さがその下側の縁の長さよりも長くなるようにされていてもよい。それにより、前記右脚ベルトと前記左脚ベルトとが前記被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合に、右脚ベルトと左脚ベルトが、大腿に良くフィットするようになる。
【0009】
本願の下半身補助器具は、それらが被験者の前記右脚又は前記左脚に取付けられた場合における前記右脚ベルトの外側と、前記左脚ベルトの外側とを、前記右脚ベルトの外側から、前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の左肩の上に至り、そこから前記被験者の身体の前側を通って前記被験者の左脇の下に至り、そこから前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の右脇の下に至り、そこから前記被験者の身体の前側を通って前記被験者の右肩の上に至り、そこから前記被験者の身体の後側を通って前記左脚ベルトの外側に至るという経路で結ぶか、又はその逆の経路で結ぶことができるような長さとされた帯状体であり、その両端をそれぞれ、前記右脚ベルトの外側と、前記左脚ベルトの外側とに着脱自在に取付けられるようになっている、上半身用ベルトを備えていても構わない。
このような上半身用ベルトが更に存在すると、被験者の両肩が後方に引かれることにより、被験者が胸を張った姿勢の良い状態を保てるようになる。また、上半身用ベルトは、特に被験者が歩行した場合において生じる、被験者の体の左右への振れと回転とに関して、振れた或いは回転した体に対して元の位置に戻ろうとする力を加えることにより、振れと回転とを小さくできるようにするとともに、歩行を補助する効果を生じることになる。
この場合、上半身用ベルトは、その長さ方向に伸縮性を有してもよい。これにより、上述の上半身用ベルトの効果がより強調されることになる。
上述したように、回転防止部材は、それらが被験者の右脚又は左脚に取付けられた場合における右脚ベルトの後側と、左脚ベルトの後側とを、右脚ベルトの後側から右脚ベルトの外側を経て被験者の身体の前側を通って被験者の左側の腸骨の外側に至り、そこから被験者の身体の後側を通って被験者の右側の腸骨の外側に至り、そこから被験者の身体の前側を通って左脚ベルトの外側を経て被験者の左脚ベルトの後側に至るという経路で結ぶか又はその逆の経路で結ぶことができるような長さとされた帯状体であるような場合がある。このような回転防止部材を有する下半身補助器具が上述の如き上半身用ベルトを備えている場合には、下半身補助器具は、前記上半身用ベルトの、前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の左脇の下から右脇の下に至る部分の略中央と、前記回転防止部材の、前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の左側の腸骨の外側から右側の腸骨の外側に至る部分の略中央とを互いに結ぶことができるようにされた、上下接続部材を更に備えていてもよい。このような上下接続部材があると、前記上半身用ベルトの、前記被験者の身体の後側を通って前記被験者の左脇の下から右脇の下に至る部分の略中央は下方に引っ張られることになり、これにより被験者の背筋は更に伸び、被験者の姿勢が更に矯正されることになる。この場合、上下接続部材は帯状体であってもよく、その場合、上下接続部材は、その長さ方向に伸縮性を有していても良い。
【0010】
本願発明者は、また、本願の課題を解決するための本願発明の一態様として、以下の如き下半身補助方法をも提案する。
その下半身補助方法は、例えば、被験者の右脚の大腿に対して帯状体である右脚ベルトを、前記右脚の大腿の筋肉を内旋させるような力を与えるような態様で前記右脚の大腿に巻き付ける過程と、被験者の左脚の大腿に対して帯状体である左脚ベルトを、前記左脚の大腿の筋肉を内旋させるような力を与えるような態様で前記左脚の大腿に巻き付ける過程と、を含む。これにより、右脚と左脚の大腿の筋肉をともに内旋させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい第1〜第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態、及びその変形例において共通する対象には共通する符号を付すものとし、共通する説明は場合により省略するものとする。
【0013】
≪第1実施形態≫
第1実施形態の下半身補助器具は、右脚ベルト、左脚ベルト、腰ベルト、及び上半身用ベルトを含んで構成されている。腰ベルトは、本願における回転防止部材の一例となるものである。
【0014】
図1に、本願の左脚ベルト10Lの一例を示す。
左脚ベルト10Lは、後述するように、被験者の左脚の大腿の周りに巻付け、左脚の大腿に固定した状態で用いられる。そのとき左脚ベルト10Lは、被験者の大腿の筋肉を押圧し、且つその筋肉に対して内旋する方向で力を加える。右脚ベルト10Rも同様であり、右脚ベルト10Rは、被験者の右脚の大腿の周りに巻付け、右脚の大腿に固定した状態で用いられる。そのとき右脚ベルト10Rは、被験者の大腿の筋肉を押圧し、且つその筋肉に対して内旋する方向で力を加える。
なお、右脚ベルトは、
図1に示した左脚ベルト10Lと鏡像の関係となる。もっとも、
図1に示した左脚ベルト10Lは上下対称に構成されているから、
図1の左脚ベルト10Lそのものを左右反転すれば、それは右脚ベルトになる。
以下、代表して左脚ベルト10Lの構成について説明する。なお、以下の左脚ベルト10Lの説明で使用した符号は、その符合中のLをRに置き換えることにより、右脚ベルトにおける同じ対象を示すものとする。例えば、以下の説明で、右脚ベルトの符号は10Rとなる。
【0015】
左脚ベルト10Lは、全体として帯状体として構成されている。左脚ベルト10Lは、これには限られないが矩形の本体部10L1と、その右側に伸びた2本の細長い、これもこの限りではないがこの実施形態では矩形とされた固定部10L2とを備えている。
本体部10L1と固定部10L2の長さ方向(
図1における左右方向)の長さを合計した長さは、少なくともその左脚ベルト10Lを使用する被験者の大腿の外周の長さよりも大きい必要(できれば、大腿の外周の長さよりも10cm以上は大きいのが好ましい。)がある。この実施形態では、被験者の大腿の外周の長さが凡そ35cmから50cmであると仮定して、本体部10L1と固定部10L2の長さ方向の長さを合計した長さを凡そ60cmとしている。
【0016】
本体部10L1は、布でできている。本体部10L1は略矩形であり、その長さ方向の長さはこれには限られないが、25cm内外である。この長さは、この左脚ベルト10Lを装着することが予定された被験者の大腿の外径が凡そ50〜60cmであることを考慮して決定されたものである。本体部10L1の長さは、左脚ベルト10Lを装着することが予定された被験者の大腿の外径の略半分の長さ、より詳細には大腿の外径の40〜50%の長さとするのが良い。また、本体部10L1の幅(
図1における上下方向の長さ)は、これには限られないが10cm内外である。これには限られないが、本体部10L1の幅は、5cm〜15cm程度とするのが好ましい。この幅が5cm以下になると左脚ベルト10L又は右脚ベルトを装着した被験者が痛みを感じることがあり、またこの幅が15cm以上となると被験者が歩行その他の動作を行いにくくなることがあるからである。
本体部10L1の表側には、左脚ベルト10Lを後述するようにして被験者の左脚の大腿に巻き付けた状態で、左脚の大腿に着脱自在に固定する目的を、後述する固定部固定部材との協働により実現するための本体固定部材10L11が取付けられている。なお、左脚ベルト10Lの表側とは、それを被験者の身体に固定したときに外側に露出する側の面を意味する。その逆側の面が、裏側である。表側、裏側の定義は、右脚ベルト、腰ベルト、及び上半身用ベルトを含む他の対象についても同様である。
本体固定部材10L11は、これには限られないがこの実施形態では、面ファスナ、より詳細にはベルクロテープである。もっとも、本体固定部材10L11と、固定部固定部材とは、それらの協働により左脚ベルト10Lを被験者の左脚の大腿に対して着脱自在に固定できるようなものであれば良く、例えば、ボタンとボタン穴、二本ホック、リングバネホック、アメリカンホックその他の金属ホック等に置換することも可能である。この実施形態では上述のように面ファスナである本体固定部材10L11は、接着、縫合等の公知或いは周知の適当な方法で本体部10L1に対して固定されている。
本体部10L1はその全体がその長さ方向(
図1における左右方向)には伸びにくいようになっている。ここでいう「伸びない」とは、上述の測定方法Aによって本体部10L1と同等の材料の伸び率を測定した場合に、その伸び率が5%以下である、ということである。それを実現するためには、例えば、本体部10L1を構成する布を伸びないものとするか、面ファスナである本体固定部材10L11が本体部10L1の略全面を覆うようにするとともに、面ファスナを伸びないものとすれば良い。市販の面ファスナの1つであるベルクロテープは、一般に、どの方向にも非常に伸びにくいものとなっている。それを、本体固定部材10L11として採用するとともに、それを、それが本体部10L1の略全面を覆うようにして本体部10L1に固定することにより、本体部10L1の全体をその長さ方向に伸びにくいものとすることができる。
【0017】
固定部10L2は上述のように細長い矩形であり、ともに布でできている。2つの固定部10L2の構成は、
図1に示した左脚ベルト10Lでは完全に同じである。もっとも固定部10L2は、本体部10L1と同じ幅のもの1つにより構成されていても構わない。固定部10L2は、公知、周知の適当な方法、例えば縫合によって本体部10L1に対して固定されている。
これには限られないが、各固定部10L2の幅は、大凡本体部10L1の幅の半分である。この実施形態における各固定部10L2の長さ方向の長さは、これには限られないが本体部10L1の長さ方向の長さよりも長くされており、より詳細には35cm程度とされている。
固定部10L2を構成する布の裏側の先端には、固定部固定部材10L21が取付けられている。固定部固定部材10L21は、この実施形態では面ファスナであり、本体固定部材10L11に対して着脱自在に固定を行うことができるようになっている。公知、周知の適当な方法、例えば縫合によって固定部固定部材10L21は、固定部10L2に対して固定されている。
固定部10L2の表側の基端付近には、これも面ファスナ、より詳細にはベルクロテープでできたベルト表固定部材10L22が固定されている。ベルト表固定部材10L22は、後述するようにして、腰ベルトと、より詳細には腰ベルトに設けられたこれも面ファスナである腰ベルト裏左固定部材と着脱自在な固定をなすためのものである。その意味で、ベルト表固定部材10L22及び腰ベルト裏左固定部材は、必ずしも面ファスナである必要はなく、本体固定部材10L11と、固定部固定部材10L21と同様に、ボタンとボタン穴、金属ホック等に置換可能である。なお、以下の説明においても着脱自在な固定を行うために面ファスナを用いるという説明がなされる部分があるが、その場合における面ファスナも、ボタンとボタン穴、金属ホック等に置換可能である。
【0018】
固定部10L2は、その長さ方向に伸びる、伸縮性のある素材により構成されている。それにより、左脚ベルト10Lはその長さ方向に伸縮性を有している。これは、左脚ベルト10Lを被験者の左脚の大腿に固定するときに左脚ベルト10Lをその大腿の外周によくフィットさせるに役立つ。固定部10L2の伸縮性は、例えば、上述した測定方法Aで測定した場合のその伸び率が10〜40%程度、好ましくは20%±5%程度とすることができる。なお、固定部10L2に設けられるこの実施形態では面ファスナである固定部固定部材10L21及びベルト表固定部材10L22は、
図1(c)に示したように固定部材10L2の長さ方向におけるその先端の極一部の部分しか占めないため、固定部10L2の全長が伸縮性を持つに妨げとならない。
【0019】
次いで、腰ベルトの構成について、
図2を用いて説明する。
腰ベルト20は、上述したように本願の回転防止部材に相当するものであり、後述するようにして、被験者の右脚又は左脚の大腿にそれぞれ取付けられた右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lと接続される。腰ベルト20は、それと接続された右脚ベルト10Rに対して、右脚ベルト10Rを内旋方向に回転させる方向の力を加えるとともに、それと接続された左脚ベルト10Lに対して、左脚ベルト10Lを内旋方向に回転させる力を加える。
【0020】
この実施形態における腰ベルト20は、これには限られないが帯状体である。腰ベルト20は、腰ベルト本体21を備えている。これには限られないがこの実施形態における腰ベルト本体21は、
図2に示したように、細長い矩形形状であり、その幅はすべての部分で同一である。腰ベルト本体21の長さは、概ね被験者の腰周りを一周半できる程度の長さとするのが好ましく、この実施形態ではこれには限られないが、150cm程度としてある。また、その幅は、5cm〜15cm程度とするのが好ましい。その理由は、左脚ベルト10Lの幅を5cm〜15cmとすべき理由と同じである。この実施形態における腰ベルト本体21の幅は、これには限られないが5cm程度である。腰ベルト本体21は、その長さ方向に伸縮性を有する布でできている。腰ベルト本体21の伸縮性は、上述した測定方法Aで測定した場合のその伸び率が20〜40%程度、好ましくは30%±5%程度とすることができる。
帯状体である腰ベルト本体21の両端付近の表側には、後述する上半身用ベルトとの、より詳細には、それらのいずれもが面ファスナである上半身用ベルトの上半身用ベルト右固定部材、及び上半身用ベルト左固定部材とそれぞれ着脱自在な固定をなすための、それらのいずれもが面ファスナである、腰ベルト表右固定部材22R、及び腰ベルト表左固定部材22Lがそれぞれ固定されている。それらの腰ベルト本体21への固定の仕方は、既に述べた公知、周知技術によることができる。また、帯状体である腰ベルト本体21の長さ方向の中央付近の表側には、後述する上半身用ベルトとの、より詳細には、面ファスナである上半身用ベルトの上半身用ベルト中固定部材と着脱自在な固定をなすための、面ファスナである、腰ベルト表中固定部材22Cが固定されている。かかる腰ベルト表中固定部材22Cの腰ベルト本体21への固定も、既に述べた公知、周知技術によることができる。
腰ベルト本体21の両端付近の裏側の両端付近には、右脚ベルト10Rのベルト表固定部材10R22と着脱自在な固定をなすための腰ベルト裏右固定部材23Rと、左脚ベルト10Lのベルト表固定部材10L22と着脱自在な固定をなすための腰ベルト裏左固定部材23Lと、がそれぞれ設けられている。これらはいずれも面ファスナであり、腰ベルト本体21へ、既に述べた公知、周知技術により固定されている。
【0021】
次に、上半身用ベルトについて、
図3を用いて説明する。
上半身用ベルト30は、被験者が胸を張った姿勢の良い状態を保てるようにし、また、被験者の体が左右に振れるのを防止できるようにするためのものである。上半身用ベルト30は、後述するようにして、被験者の右脚又は左脚の大腿にそれぞれ取付けられた右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lと接続されるとともに、後述するようにして被験者の腰の周りに取付けられた腰ベルト20に接続される。
【0022】
この実施形態における上半身用ベルト30は、これには限られないが帯状体である。上半身用ベルト30は、上半身用ベルト本体31を備えている。上半身用ベルト本体31は、
図3に示したように、かなり細長い矩形形状であり、その幅はすべての部分で同一である。上半身用ベルト本体31の長さは、追って説明するような上半身用ベルトの使用方法に対応できる程度の長さとするのが好ましい。また、後述するように上半身用ベルト本体31は、その長さを調整できるようになっている。大まかにいえば、上半身用ベルト本体31の長さは例えば、それを装着する被験者の体格にもよるが、135cm〜200cmの間で決定される。これには限られないが、この実施形態の上半身用ベルト30は、その範囲でその長さを調節できるようになっている。また、その幅は、5cm〜15cm程度とするのが好ましい。その理由は、左脚ベルト10Lの幅を5cm〜15cmとすべき理由と同じである。この実施形態における上半身用ベルト本体31の幅は、これには限られないが5cm程度である。上半身用ベルト本体31は、その長さ方向に伸縮性を有する布でできている。上半身用ベルト本体31の伸縮性は、上述した測定方法Aで測定した場合のその伸び率が30〜50%程度、好ましくは40%±5%程度とすることができる。
帯状体である上半身用ベルト本体31の両端付近の裏側には、ともに面ファスナである腰ベルト表右固定部材22R、及び腰ベルト表左固定部材22Lとそれぞれ着脱自在な固定をなすための、それらのいずれもが面ファスナである、上半身用ベルト右固定部材32R、及び上半身用ベルト左固定部材32Lが取付けられている。それらの上半身用ベルト本体31への固定の仕方は、既に述べた公知、周知技術によることができる。
上半身用ベルト本体31の長さ方向の中央付近には、上半身用ベルト本体31の長さを調整するための長さ調整部材33が設けられている。長さ調整部材33は、公知、周知技術により実現することができ、これには限られないがこの実施形態では2つのバックルであり、これらバックル間の距離を調整することで、それらの間を往復する上半身用ベルト本体31の長さを変化させることにより、上半身用ベルト本体31の全長を調節できるようになっている。
また、上半身用ベルト本体31の長さ調整部材33を構成する2つのバックルに挟まれた部分には、上半身用ベルト30の使用時における下方に向けて伸びる、接続ベルト34が取付けられている。接続ベルト33は帯状体であり、また伸縮性を有している。その幅、伸縮性は、上半身用ベルト本体31に準じている。なお、接続ベルト34は、長さ調整部材33を構成するバックル間の距離を変化させたとしても常に、当該バックルの中央から垂れ下がった状態となるようになっている。接続ベルト34の下端の裏側には、腰ベルト20における面ファスナである腰ベルト表中固定部材22Cと着脱自在な固定をなすための面ファスナである上半身用ベルト中固定部材32Cが設けられている。かかる上半身用ベルト中固定部材32Cの上半身用ベルト本体31への固定も、既に述べた公知、周知技術によることができる。
【0023】
次いで、以上で説明した、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、腰ベルト20、及び上半身用ベルト30を含んで構成されている下半身補助器具の使用方法、及びその作用について説明する。
【0024】
まず、右脚ベルト10R及び左脚ベルト10Lを、被験者の右脚と左脚の大腿に固定する。
右脚ベルト10Rを被験者の右脚の大腿、より詳細には大腿の基端付近に固定する方法を
図4に示す。右脚ベルト10Rを被験者の右脚の大腿に固定するには、被験者は(なお、この実施形態では、被験者が自分で下半身補助器具を装着するものとして説明するが、補助者乃至施術者が被験者に対して下半身補助器具を装着することも勿論可能である。以下も同様である。)、右脚の大腿の前側に右脚ベルト10Rの本体部10R1の長さ方向の端部を位置させつつ、本体部10R1を片手で右の大腿に軽く押し付けてその位置を仮に固定し、次いで固定部10R2の長さ方向の端部を両脚の間から右脚の後方に回し、そこから右脚の外側を通して右脚の大腿の前側にまで持ってくる。このとき、固定部10R2にはそれがある程度引き伸ばされるようなテンションをかける。そして、固定部10R2の裏側における先端に位置する固定部固定部材10R21を、本体部10R1の表側における先端側の一定の範囲に位置する本体固定部材10R11に対して着脱自在に固定する。かかる固定を、2つの固定部10R2に対して行うことにより、右脚ベルト10Rは、被験者の右脚の大腿に巻き付けられた状態で右脚の大腿に固定される。
右脚ベルト10Rを右脚の大腿に巻き付けるときに右脚ベルト10Rの全体に適当なテンションをかけているので、右脚の大腿に取付けられた右脚ベルト10Rは、右脚の大腿の筋肉に対してそれを内旋させる力を付与する状態となる。
同様にして左脚ベルト10Lを被験者の左脚の大腿の基端付近に固定する。そうすると、左脚ベルト10Lは、左脚の大腿の筋肉に対してそれを内旋させる力を付与する状態となる。右脚ベルト10Rと、左脚ベルト10Lとを、被験者の右脚の大腿と左脚の大腿とに取付けた状態を
図5に示す。このとき、右脚ベルト10Rの本体部10R1と、左脚ベルト10Lの本体部10L1とはともに、右脚又は左脚の大腿の後側に位置する。
なお、
図5で図示を省略されているが、この状態では、ベルト表固定部材10R22が右脚の大腿の裏側に、ベルト表固定部材10L22が左脚の大腿の裏側に、それぞれ露出した状態となっている。
【0025】
次いで、腰ベルト20を、右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対して固定する。その方法を、
図6に示す。なお、
図6は被験者を前方から見た図であり、また同図では、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20のそれぞれについては、その詳細の図示を省略する。ただし、互いに着脱自在に固定された場合における、ベルト表固定部材10R22及び腰ベルト裏右固定部材23Rと、ベルト表固定部材10L22及び腰ベルト裏左固定部材23Lとについては、図示を行う。
腰ベルト20を、右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対して固定するにあたり、この実施形態では、被験者はまず、
図6(a)に示したように、右脚ベルト10Rと左脚ベルト10Lとを、右脚及び左脚の大腿にそれぞれ固定する。
次いで、被験者は、同(b)に示したように、左脚ベルト10Lのベルト表固定部材10L22に対して、腰ベルト20の腰ベルト裏左固定部材23Lを着脱自在に固定する。つまり、腰ベルト20はその基端が左脚の大腿の裏側に固定される。
次いで、被験者は、同(c)に示したように、腰ベルト20の先端側を腰の左側前方に回りこませ、更にそこから腰の右側前方の上方の腸骨の外側にまで至らせる。このとき腰ベルト20が、腰の左側の大転子DL付近(或いはその真上)を通るようにする。大転子は、大腿骨の最上部の腰の外側方向に突出している部分である。
次いで、被験者は、同(d)に示したように、腰ベルト20の先端側を腰の右側で身体の後側に導き、略水平に腰の右側の腸骨の外側にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(e)に示したように、腰ベルト20の先端側を腰の左側で身体の前側に導き、身体の前側で右脚ベルト10Rの付近にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(f)に示したように、腰ベルト20の先端を右の大腿の裏側に回りこませ、右脚ベルト10Rのベルト表固定部材10R22に対して、腰ベルト20の腰ベルト裏右固定部材23Rを着脱自在に固定する。なお、このとき、腰ベルト20は、腰の右側の大転子DR付近(或いはその真上)を通るようにする。
以上により、腰ベルト20の、右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対する固定が終了する。腰ベルト20を、右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対して固定したときの正面図、側面図、背面図をそれぞれ、
図7、8、9に示す。このとき腰ベルト20には適当なテンションがかかっている。それにより、右脚ベルト10Rには、腰ベルト20から、平面視した場合に反時計回りの力が加わり、左脚ベルト10Lには、腰ベルト20から、平面視した場合に時計回りの力が加わる。これら力は、右脚ベルト10R、左脚ベルト10Lの双方を、右脚又は左脚の大腿に対して内旋させる方向の力である。
なお、腰ベルト20を、右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対して固定する際には、腰ベルト20に上述の経路とは逆の経路を辿らせることも可能である。
【0026】
被験者は、上半身用ベルト30を用いずに、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20のみを装着することも可能である。
この状態においては、右脚の大腿の筋肉は右脚ベルト10Rにより内旋しており、左脚の大腿の筋肉は左脚ベルト10Lにより内旋している。それにより、被験者の腰痛、O脚が改善する場合がある。また、被験者は、歩行の際に、より詳細には一歩一歩の動きの中で脚を踏み出そうとするときに、脚が自然に前に出易くなる。他方、右脚ベルト10Rと左脚ベルト10Lは、一歩一歩の動きの中で、脚が後ろにさがるときと、後ろに残っている脚が後方に地面を蹴り出そうとする動きに対しては抵抗となる力を大腿の筋肉に与えるから、被験者は、自然に歩き出せはするものの、歩いているだけで、上述の抵抗により知らず知らずのうちに大腿の筋肉の筋力トレーニングを行うことになる。また、右脚ベルト10Rと左脚ベルト10Lを身に付けた被験者は、座った状態から起立するのも容易になる。
しかも、上述したように、右脚ベルト10Rと左脚ベルト10Lには腰ベルト20から、それを内旋させる方向の力が常に働く。したがって、それらを身に付けた被験者が歩行、起立等の動作を行ったとしても、右脚ベルト10Rによって内旋させられた右脚の大腿の筋肉は内旋した状態をよく保ち、左脚ベルト10Lによって内旋させられた左脚の大腿の筋肉も同様である。
また、腰ベルト20は、被験者の左右の大転子を外側から押すので、被験者が歩行を行うときに被験者の体が安定する。
被験者は、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20を装着した状態で、例えば、20分以上過ごすことが可能であり、歩行等の軽い運動を行うことができる。また、被験者は、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20のテンションがそれ程大きくないのであれば、個人差もあるが、その状態のまま、例えば2、3時間程度であれば日常生活を送ることもできる。
【0027】
次に、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20に加えて、上半身用ベルト30をも用いる場合について説明する。
上半身用ベルト30は、腰ベルト20に対して着脱自在に固定されることで、間接的に右脚ベルト10R、左脚ベルト10Lの外側に固定される。もっとも、上半身用ベルト30は、右脚ベルト10R、左脚ベルト10Lの外側に適当な固定部材を設けることにより、右脚ベルト10R、左脚ベルト10Lの外側に直接固定することも可能である。この場合には、腰ベルト20を使用せず、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び上半身用ベルト30のみを使用するという選択肢もある。
【0028】
上半身用ベルト30を腰ベルト20に対して固定する方法を、
図10、11に示す。なお、
図10は被験者を前方から見た図であり、また同図では、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20のそれぞれを、図の簡単のために省略している。ただし、互いに着脱自在に固定された場合における、腰ベルト表右固定部材22R、及び上半身用ベルト右固定部材32Rと、腰ベルト表左固定部材22L及び上半身用ベルト左固定部材32Lとについては、図示を行う。
なお、腰ベルト表右固定部材22R、及び腰ベルト表左固定部材22Lが右脚と左脚の大腿の外側に位置することは、例えば、
図8、
図9より明らかである。
腰ベルト20に上半身用ベルト30を固定するにあたり、この実施形態では、被験者はまず、右脚ベルト10R、左脚ベルト10L、及び腰ベルト20を上述したように装着する。
次いで、被験者は、
図10(a)に示したように、腰ベルト20の腰ベルト表左固定部材22Lに上半身用ベルト30の上半身用ベルト左固定部材32Lを着脱自在に固定する。つまり、上半身用ベルト30はその基端が左脚の大腿の外側に固定される。この実施形態では、上半身用ベルト30の基端が固定される部分は、左側の大転子付近(又はその真上)となる。被験者は、被験者の身体の後側を通して、上半身用ベルト30の先端側を被験者の右側の肩の上にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(b)、及び
図11に示したように、上半身用ベルト30の先端側を、被験者の右肩越しに、被験者の身体の後方から前方に移動させる。
次いで、被験者は、同(c)に示したように、上半身用ベルト30の先端側を、被験者の右脇の下を通して被験者の身体の後側に移動させ、その先端側を略水平に引っ張ることにより、被験者の左側の脇の下にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(d)に示したように、上半身用ベルト30の先端側を、被験者の左脇の下を通して被験者の身体の前側に引き出し、そのままその先端側を、被験者の身体の前側を通して、被験者の左の肩の上に至らせる。
次いで、被験者は、同(e)に示したように、上半身用ベルト30の先端側を、被験者の左の肩越しに被験者の身体の後側に移動させるとともに、上半身用ベルト30の先端を被験者の身体の後側を通して被験者の右脚の外側に至らせてから、上半身用ベルト30の上半身用ベルト右固定部材32Rを、腰ベルト20の腰ベルト表右固定部材22Rに対して固定する。つまり、上半身用ベルト30はその先端端が右脚の大腿の外側に固定される。この実施形態では、上半身用ベルト30の先端が固定される部分は、右側の大転子付近(又はその真上)となる。
以上により、上半身用ベルト30の、腰ベルト20に対する、或いは腰ベルト20を介しての右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対する固定が終了する。上半身用ベルト30を、腰ベルト20に対して、或いは腰ベルト20を介して右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lに対して固定したときの正面図、側面図、背面図をそれぞれ、
図12、13、14に示す。
このとき上半身用ベルト30には適当なテンションがかかっている。それにより、被験者の両肩が上半身用ベルト30によって後方に引かれることにより、被験者は胸を張った姿勢の良い状態を自然に保てるようになる。また、上半身用ベルト30は、被験者が歩行を行うときに被験者の体が左右に振れるのと回転するのを防止できるようになるので、被験者は例えば歩行時においても姿勢の良い状態をより良く保てるようになり、また上半身用ベルト30が被験者の歩行を補助する。
また、上半身用ベルト30の、腰ベルト20に対する固定を行う場合には、特に、
図14に示したように、
図10でその記載を省略していた、上半身用ベルト30の接続ベルト34の下端を、その直下にある腰ベルト20の略水平となっている部分の中央に接続することが可能である。かかる接続は、上半身用ベルト30の接続ベルト34の下端の裏側にある上半身用ベルト中固定部材32Cを、腰ベルト表中固定部材22Cに対して固定することにより行う。接続ベルト34の長さは、いずれも被験者の背中に当接している腰ベルト20の略水平となっている部分と、上半身用ベルト30の略水平となっている部分の間隔よりも幾らか短くなっている。したがって、上半身用ベルト30の上半身用ベルト中固定部材32Cを、腰ベルト20の腰ベルト表中固定部材22Cに対して固定すると、接続ベルト34は伸びテンションが入る。これによれば、被験者の上半身には後ろに反る方向の力がかかるから、被験者の姿勢は更に良くなる。
なお、この実施形態における接続ベルト34は、その上半身用ベルト30側の端部が上半身用ベルト30に固定されており、また腰ベルト20側の端部が腰ベルト20に対して着脱自在とされていたが、この関係を逆転させることも可能であるし、双方の端部をそれぞれ上半身用ベルト30と腰ベルト20に対して着脱自在にすることも可能である。
上半身用ベルト30を用いる場合にも、その着用時間は、上半身用ベルト30を用いない場合の着用時間に準ずる。
【0029】
<変形例1>
変形例1にかかる下半身補助器具について説明する。
もっとも、変形例1の下半身補助器具は、その構成、使用方法のすべてにおいて、第1実施形態のそれらと変わることが殆どなく、特にその使用方法については完全に同一である。
唯一異なるのは、下半身補助器具に含まれる右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lの構成である。
第1実施形態の場合と同様に、左脚ベルト10Lを例に取って変形例1の左脚ベルト10Lの構成を説明する。なお、変形例1においても、右脚ベルト10Rは、左脚ベルト10Lと鏡像の関係にある。
【0030】
変形例1にかかる下半身補助器具に含まれる左脚ベルト10Lは、その本体部10L1及び固定部10L2の全体が、その使用時における上側に向けて凸の形状となっている。より詳細には、変形例1にかかる下半身補助器具に含まれる左脚ベルト10Lは、その使用時における上側の縁と下側の縁の双方が、上に向かって凸の曲線(例えば、円弧の一部、或いは楕円その他の二次曲線の一部)となっている。人間の大腿は通常、上に向かって太くなっている。したがって、左脚ベルト10Lが、第1実施形態の場合のときのようにその長さ方向のすべての部分で同幅であると、左脚ベルト10Lを左脚の大腿に巻き付けたとき、左脚ベルト10Lの下方の部分では大腿との間に隙間が生じることがある。そうすると、左脚ベルト10Lで左脚の大腿の筋肉を内旋させることが上手くいかなくなるおそれがある。上述の上に向かって凸の曲線が、左脚ベルト10Lが左脚の大腿に巻き付けられたときに左脚ベルト10Lが左脚の大腿によくフィットするようなものとなっていれば、そのような不具合の発生を抑制できることになる。
そのような観点からすると、左脚ベルト10Lの上側の縁に沿う上に凸の曲線の長さは、その下側の縁に沿う上に凸の曲線の長さよりも長い方が良い。その意味では、左脚ベルト10Lと右脚ベルトの長さ方向の両側部分の縁は、それらがともに直線であるのであれば、
図15に示したように下方に向けて狭まるようにされているのが良い。
【0031】
<変形例2>
変形例2にかかる下半身補助器具について説明する。
もっとも、変形例2の下半身補助器具は、その構成、使用方法のすべてにおいて、第1実施形態のそれらと変わることが殆どない。
唯一異なるのは、下半身補助器具に含まれる右脚ベルト10R、及び左脚ベルト10Lの構成、及びその被験者の右脚又は左脚の大腿に対する取付け方である。
第1実施形態の場合と同様に、左脚ベルト10Lを例に取って変形例2の左脚ベルト10Lの構成を説明する。なお、変形例2においても、右脚ベルト10Rは、左脚ベルト10Lと鏡像の関係にある。
【0032】
変形例2にかかる下半身補助器具に含まれる左脚ベルト10Lは、
図16に示されたように構成されている。
変形例2の左脚ベルト10Lは、第1実施形態の場合と同様の本体部10L1と、2つの固定部10L2とを備えている。左脚ベルト10Lの幅は第1実施形態の場合と同様であるが、その長さは、第1実施形態の場合よりも若干長い。
変形例2の左脚ベルト10Lにおける本体部10L1の長さは、第1実施形態の場合と同程度であり、固定部10L2の長さは第1実施形態の場合よりも概ね15cm程度長くなっている。
変形例2の左脚ベルト10Lでも、その表側に本体固定部材10L11が取付けられている。また、変形例の左脚ベルト10Lには第1実施形態におけるものと同様に本体固定部材10L11に対して着脱自在とされている固定部固定部材10L21が設けられている。ただし、変形例2の固定部固定部材10L21は、第1実施形態の場合と異なり、固定部10L2の裏側ではなく、表側に固定されている。
また、変形例2の左脚ベルト10Lの本体部10L1の裏側には、第1実施形態の場合に存在していなかったメッシュシート10L15が、略その全面にわたって設けられている。メッシュシート10L15はメッシュ状の公知又は周知の布であり、左脚ベルト10Lを被験者の左脚の大腿に固定したときにおける蒸れを防止したり、肌触りをよくしたりするためのものである。
また、変形例2の左脚ベルト10Lでは、第1実施形態の場合に存在していたベルト表固定部材10L22は存在しない。
また、変形例2の左脚ベルト10Lの固定部10L2が取付けられているのとは反対側の長手方向における端部には、縦並びに2つのバックル10L17が取付けられている。バックル10L17は、全体として細長い矩形に構成され、矩形の孔を備えている。上下2つのバックル10L17の孔の大きさ、形状はそれぞれ、上下に並んだ固定部10L2をそれぞれ貫通させられるようなものとなっている。
バックル10L17の本体部10L1に対する固定はどのようなものであっても構わないが、この実施形態では、バックル10L17を貫通して折り返された布製の布片10L16の両端部を、本体部10L1の端部の表裏両側にそれぞれ縫合することによりそれをなしている。
【0033】
かかる右脚ベルト10Rと、左脚ベルト10Lとは、その使用方法、特には被験者の脚の大腿への取付け方が第1実施形態と異なる。
左脚ベルト10Lを例に取り、それを被験者の左脚の大腿に取付ける方法について説明を行う。かかる説明には
図17を用いる。
変形例2の左脚ベルト10Lを左脚の大腿に取付けるには、本体部10L1が後側、固定部10L2が前側となるようにして、且つその裏側が左脚の大腿に対向するようにして、股の間に左脚ベルト10Lを通す。そして、その状態で、バックル10L17が左脚の外側後方に位置するように調整しつつ、上下のバックル10L17のそれぞれに、前側から上下の固定部10L2の先端をそれぞれ通す。
図17はその状態を示している。そして、今度は固定部10L2の先端を脚の前方へ矢示したように引っ張り、固定部10L2の先端の固定部固定部材10L21を、本体固定部材10L11に対して着脱自在に固定する。この場合においても、左脚の大腿に左脚ベルト10Lを固定する場合に、左脚の後方外側から前方内側に向けて力を加える(固定部10L2を引っ張る)ので、それにより、左脚の大腿の筋肉は内旋する。
左脚の大腿に左脚ベルト10Lを固定した状態を
図18に示す。
要するに、変形例2の左脚ベルト10Lは、第1実施形態の場合と異なり、バックル10L17を通した固定部10L2をバックル10L17で折り返してから本体固定部材10L11に対して固定する。かかる折り返しを行うため、変形例2の左脚ベルト10Lでは、その固定部固定部材10L21が、第1実施形態の場合と異なり、固定部10L2の表側に固定されているのである。
【0034】
変形例2による下半身補助器具の以降の使用方法は、第1実施形態のそれと同様である。つまり、変形例2による下半身補助器具は第1実施形態の場合と同様、腰ベルト20、及び上半身用ベルト30と組み合わせて用いることができる。
ただし、変形例2における下半身補助器具の左脚ベルト10Lには、腰ベルト20と左脚ベルト10Lを接続する際に用いたベルト表固定部材10L22が存在しない。しかしながら、変形例2の左脚ベルト10Lにおいて本体部10L1の表側の略全面を覆っている本体固定部材10L11は、それに固定部10L2の固定部固定部材10L21が固定されたときにも、その固定部10L2寄りの部分が固定部10L2により覆われないで露出した状態となっている。そして、その露出した本体固定部材10L11は、バックル10L17の直ぐ後、つまり左脚の後側に位置する。バックル10L17の直ぐ後で露出した本体固定部材10L11を第1実施形態におけるベルト表固定部材10L22の代わりに用いることで、変形例2における下半身補助器具でも、腰ベルト20と左脚ベルト10Lとの着脱自在な固定をなすことができる。
腰ベルト20と右脚ベルト10Rとの着脱自在な固定も同様に行うことができる。
腰ベルト20に対する上半身用ベルト30の着脱自在な固定については第1実施形態と変わらない。
【0035】
≪第2実施形態≫
第2実施形態の下半身補助器具に付いて説明する。
第2実施形態の下半身補助器具は、一言で言えば、第1実施形態の下半身補助器具における右脚ベルト10R、腰ベルト20、及び左脚ベルト10Lをこの順で一体にしたものである。
【0036】
第2実施形態の下半身補助器具は、上述したように、基本的には一体ものである。
下半身補助器具は、
図19に示したように、一連の本体50を備えている。本体50は、これには限られないが、その長さ方向のすべての部分で同幅の帯状体である。言い換えれば、本体50はかなり細長い矩形である。その長さは、後述するような下半身補助器具の使用方法を実行できる程度であり、被験者の体格にもよるが、多くの場合、200cmから300cm程度である。また、その幅は、これには限られないが、5cm〜15cm程度である。幅をそうする理由は、第1実施形態で左脚ベルト10Lの幅を同様にしたのと同じ理由からである。
【0037】
下半身補助器具の本体50には、その一端側の端部付近の表側と裏側に一組の固定部材51A、51Bが設けられており、また、その他端側の端部付近の裏側と表側に一組の固定部材52A、52Bが設けられている。
一組の固定部材51Aと、固定部材51Bとは、互いに着脱自在な固定が可能とされている。また一組の固定部材52Aと、固定部材52Bとは、互いに着脱自在な固定が可能とされている。
表側にある固定部材51Aと、52Aとは、その一方が本体50の長さ方向の端部付近にあり、その他方が本体50の長さ方向の端部付近から、被験者の大腿の外周の長さより幾らか短い距離だけ本体50の長さ方向の中央に近い位置にある。
他方、裏側にある固定部材51Bと、固定部材52Bとは、その一方が本体50の長さ方向の端部付近にあり、その他方が本体50の長さ方向の端部付近から、被験者の大腿の外周の長さより幾らか短い距離だけ本体50の長さ方向の中央に近い位置にある。ただし、固定部材51Bと、固定部材52Bは、それらとそれぞれ対になるものである固定部材51A又は52Bが本体50の長さ方向の端部付近にある場合には本体50のやや内側よりに位置し、それらとそれぞれ対になる固定部材52A又は51Bが本体50の長さ方向のやや内側よりに位置する場合には本体50の端部付近に位置するようにされる。
【0038】
本体50の中央付近には、本体50の長さ方向の長さを調整するための長さ調整部材53が設けられている。長さ調整部材53の構造、機能は、第1実施形態における長さ調整部材33のそれらに同じである。
【0039】
次に、第2実施形態の下半身補助器具の使用方法、及びその作用について説明する。その説明に
図20を用いる。図中の被験者は前を向いている。なお、
図20では、本体50と、互いに固定されたときにおける固定部材51A及び固定部材51Bと、互いに固定されたときにおける固定部材52A及び固定部材52Bとのみを示す。
この下半身補助器具を用いるにはまず、
図20(a)に示したように、端部にあり且つ表側にある固定部材52Aを表側にした状態で、固定部材52Aのある端部を被験者の片足(これには限られないが、この実施形態では左脚とする。)の大腿の後方に位置させる。そして、本体50の先端側を、被験者の左脚の外側から前側に持ってくる。
次に、同(b)に示したように、本体50の先端側を股の間を通して再び脚の後方まで持ってくる。そして、本体50の裏側にある固定部材52Bを固定部材52Aと着脱自在に固定する。この状態で、本体50は、左脚の大腿の外周に固定された状態となる。このとき、本体50のうちの固定部材52Aから固定部材52Bにわたる部分は、左脚の大腿に対して内旋する方向で巻き付けられたので、左脚の大腿の筋肉にはそれを内旋させる方向の力が加わる。つまり、本体50のうちの固定部材52Aから固定部材52Bにわたる部分は、第1実施形態における左脚ベルト10Lと同様に機能することになる。
ここから先の本体50の扱いは、第1実施形態における腰ベルト20の扱いと同様である。
次いで、被験者は、同(c)に示したように、本体50の先端側を腰の左側前方に回りこませ、更にそこから腰の右側前方の上方の腸骨の外側にまで至らせる。なお、このとき、本体50は、腰の左側の大転子付近(或いはその真上)を通るようにする。
次いで、被験者は、同(d)に示したように、本体50の先端側を腰の右側で身体の後側に導き、略水平に腰の左側にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(e)に示したように、本体50の先端側を腰の左側で身体の前側に導き、身体の前側で右脚の大腿の外側付近にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(f)に示したように、本体50の先端側を右の大腿の裏側に回りこませ、右の大腿の裏側を略水平に横切らせた上で、股の位置にまで至らせる。このとき、固定部材51Aが右の大腿の裏側のやや内よりに位置するようにする。なお、このとき、本体50は、腰の右側の大転子付近(或いはその真上)を通るようにする。
次いで、被験者は、同(g)に示したように、本体50の先端側を股の間から身体の前方に至らせ、そのまま右の大腿の前側の外側の位置にまで至らせる。
次いで、被験者は、同(h)に示したように、本体50の先端を右の大腿の外側から右の大腿の後側に至らせ、その先端の裏側にある固定部材51Bを、固定部材51Aに着脱自在に固定する。これにより、本体50のうちの固定部材51Aから固定部材51Bに対応する部分は、右の大腿の外周を一周した状態となる。つまり、かかる部分は、第1実施形態における右脚ベルト10Rと似た状態になる。しかしながら、本体50のうちの固定部材51Aから固定部材51Bに対応する部分は、右の大腿の周りをその筋肉を外旋させる方向に一周しているから、そのままでは第1実施形態における右脚ベルト10Rと同じようには機能しない。そこで、この状態で被験者は、本体50のうちの固定部材51Aから固定部材51Bに対応する部分を把持して、強制的に内旋方向に回転させる。それにより、本体50のうちの固定部材51Aから固定部材51Bに対応する部分は、右脚の大腿の筋肉を内旋させることになるので、第1実施形態における右脚ベルト10Rと同様に機能することになる。
【0040】
第2実施形態における下半身補助器具の機能は、第1実施形態における右脚ベルト10R及び左脚ベルト10Lに腰ベルト20を組合せた場合の機能と同じである。
本体50のうちの第1実施形態における右脚ベルト10Rとして機能する部分(右脚の大腿を一周している部分)と、第1実施形態における左脚ベルト10Lとして機能する部分(左脚の大腿を一周している部分)とには、本体50のうちの、腰の前を交差しその後大腿の裏に回り込んでいる部分から、上記2つの部分を内旋方向に回転させようとする力がはたらく。これは、第1実施形態における腰ベルト20が、右脚ベルト10Rと左脚ベルト10Lとに与えていた力に等しい。