(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のシステムにおいては、複数の磁界検知感度を有するため構成が複雑であるという問題があった。また、間口と一定の幅の検知エリアの設計と調整、複数の構成の検知エリアが複雑に同期するなどという問題もあった。また、エリアの周りを囲むように視認可能なロープを張り巡らして、その外周を、磁界を出力する検知線で囲むシステムにおいては、ロープと検知線とを別に設ける必要があるため、これも、オーダーメイドな構成で複雑になるとともに、設置に時間がかかるという問題があった。また、検知線を輪になったロープとして囲む仕組みではねじれによる磁界空間の範囲の変化と安定した連結が取り難いという問題があった。
【0005】
この発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、構成が簡単で、簡単に設置できる接近検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る接近検知装置は、領域を区切るために使用される長手部材を含む。長手部材は、少なくとも一方端部に外部設備に取り付け可能な取り付け部と、長手部材に取り付け可能な本体ユニットと、を含み、本体ユニットは、長手部材に沿ってその周囲に磁界を発生させるコイルに電流を供給する出力部と、外部に設けられたIDタグからの、磁界に応じて出力された信号を受ける受信部と、受信部がIDタグからの信号を受けたとき、警報を発する警報手段と、を含み、長手部材の各々は、本体ユニットの所定の出力に対して前記磁界の出力が所定の範囲になるように予め整えられた磁界発生装置を含む。
【0007】
好ましくは、磁界発生装置は、長手方向に所定のピッチで巻かれたコイルの共振周波数を一定にするコンデンサの同調回路である。
【0008】
さらに好ましくは、長手部材は、領域を区切るために使用されるコーンに取り付け可能なコーンバーである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の接近検知装置においては、長手部材に沿ってその周囲に磁界を発生させ、長手部材は、磁界の出力が所定の範囲になるように予め調整する磁界調整ユニットを含み、本体ユニットにおいて、IDタグからの、磁界に応じて出力された信号を受けると警報を発する。したがって、長手部材で所定の領域を繋いで囲むだけでIDタグを有する人等が接近すると警報を発することができる。
【0010】
その結果、構成が簡単で、簡単に広範囲な接近検知エリアを設置できる連結式接近検知装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る接近検知装置10を複数連結した時の全体構成を示す模式図であり、
図2はその場合の接近検知装置10のブロック図であり、
図3は接近検知装置10を複数連結した場合に、所定の数ごとに設けられる(ここでは3個)、本体ユニット20のブロック図である。なお、この所定の数は任意である。
【0013】
図1〜
図3を参照して、この実施の形態においては、接近検知装置10は、所定の領域を区切るために一定長の棒状の長手部材としてコーンバー30a〜30eを利用して図示のないIDタグを有する人等の接近を検出する警報装置である。
【0014】
接近検知装置10は、コーンバー30a〜30eに粗いピッチで均等な幅に巻かれた高周波磁界を発生させるコイルと高周波磁界の周波数に共振させるためのコイルと直列に接続されたコンデンサ35で構成される磁界調整ユニット(以下、コーンバーを含めて「トリガーバー」という)を含み、このコイルから発生される磁界に図示のないIDタグが反応する。高周波磁界はエリアコードでOOK変調され、IDタグにエリアコードを通信する。IDタグはエリアコードを受信すると自己のIDとともにエリアコードを電文として送信する。
【0015】
なお、ここで、トリガーバー30に含まれるコイルに同調用コンデンサ35を設けることにより、個々のトリガーバーからの磁界の出力が所定の範囲になるように予め調整する。
【0016】
トリガーバー30はコイルと同調コンデンサを含む構成である。したがって、トリガーバーを複数連結しても無調整で対応でき、従来の仕組みで必要であった同調設定が不要となる。
【0017】
すなわち、従来の仕組みでは、複数のコーンバー等を連結したときは、コイル全体を同調するために、同調用コンデンサを本体ユニット20に内蔵する必要があったため、コーンバーの取り付け本数に応じて同調用コンデンサの設定を変更する必要があった。同調コンデンサを内蔵し、
図7のトリガーバーの直列共振回路部分だけが直列に連結するようにするとトリガーバーの連結を増やしても
図8のように共振周波数が変化しないという効果がある。
【0018】
次に、本体ユニット20について説明する。本体ユニット20は、本体ユニット20全体を制御するCPU21と、インターフェース22を介してCPU21に接続された本体ユニットに電力を供給する電源ユニット23と、高周波磁界を発生させるコイルに電流を供給する出力部24と、IDタグからの、磁界に応答して出力された信号を受ける受信アンテナ26と、受信アンテナ26がIDタグからの信号を受けたとき、警報を発する警報手段としての回転灯27と、複数のトリガーバーを接続する場合に使用する中継コネクタ25と、赤外線センサ28、LANケーブルを含む。
【0019】
連結されたトリガーバー30はいずれの端を接続されても同じ構成になり、高周波磁界も軸に対称に生成されるため連結部付近も周囲と同じ向きの一定な磁界が生成される。
【0020】
トリガーバー30は、上記したように、少なくとも一方端部に外部設備(例えばコーン41等)に取り付け可能な取り付け部と、本体ユニット20に取り付け可能な中継コネクタ25と、を含む。
【0021】
ここで、コーンとは、注意を喚起する必要のある場所に載置される一般に赤い色の円錐形状物であって、その頂部にドーナツ状の輪を取り付け可能であり、ドーナツ状の輪を両端に有するコーンバーがトリガーバーとして作動する。
【0022】
電源ユニット23は、電源コンセントもしくは蓄電池より本体ユニット20に電源を供給する装置をいう。
【0023】
赤外線センサ28は、トリガーバーに接近する人や車両がIDタグを有していないときに、人等の接近を検出するために設けられる。
【0024】
なお、トリガーバーにはそれに内蔵され、その軸に沿ってその周囲を荒いピッチでコイル状に巻きつく、上記したコイルに対応する、磁界を発生させる電線31,32が設けられている。
【0025】
次に具体的に説明する。まず、所望の領域を区分するために複数のコーン41〜46を並べ、その間にトリガーバー30a〜30eを設置する。また、トリガーバー30は、中継コネクタ25を介して相互に接続される。
【0026】
本体ユニット20は、その内部に設けられた定電流電源を調整するためのボリュームVRを有してもよい。定電流電源とすることで接続数に関係なく一定の磁界エリアを持つトリガーバーにする事が出来る。なお、線31を往復させてその周囲に磁界を形成する線32と、エリア番号の区別やその接近による複数の本体ユニット20より発生する磁界が衝突しないように、本体ユニット20間で通信を行う線33、34とを含む。
【0027】
中継コネクタ25は、上記したそれぞれの線31〜34の入力端子と出力端子とを有し、それによって、隣接するトリガーバー30間の信号を中継する。
【0028】
なお、最後のトリガーバー30eの端部側には、終端コネクタ29が設けられ、終端コネクタ29では、往復の線31,32が短絡接続され、それによって、本体ユニット20からの電流は本体ユニット20へ戻され、トリガーバー30の周囲で磁界が形成される。
【0029】
図4は、隣接するトリガーバー30を連続して配置する場合の平面図(
図4(A))と、側面図(
図4(B))である。
図4を参照して、トリガーバー30(ここでは、30b)は、コーンバー本体35と、コーンバー本体35の両端部に設けられたコーン係合部36a,36bとを含む。コーン係合部36a,36bはドーナツ状で、その開口部をコーンの頂部に係合する。図に示すように、隣接するコーン42,43間において、コーンの頂部にコーン係合部36a,36bを介してトリガーバー30bを設ける。隣接するトリガーバー30a、30cはその上下に配置される。
【0030】
次に、IDタグについて説明する。
図5はIDタグの構成を示すブロック図である。
図5を参照して、IDタグ50は、IDタグ50全体を制御するMPU51と、MPU51に接続された3つのXYZの受信アンテナ52a〜52cと、それぞれのアンテナ52a〜52cに接続されたXYZ軸方向の信号処理部53a〜53cと、発信/変調部55と、送信アンテナ56と、それぞれの要素に電源を供給する電池54とを含む。
【0031】
次に、この発明の実施の形態の具体例について説明する。
【0032】
図6は、この発明の実施の形態の具体例を示す図であり、ここでは、3つの具体例を示す。
【0033】
まず、
図6(A)を参照して、第1の具体例について説明する。この実施の形態においては、接近する人等がIDタグ50を有し、トリガーバー30が発生するトリガー磁界をIDタグが検出して、信号を出力することによって、回転灯を発光させる。ここで、トリガーバー30は、3本接続している。なお、ここで、トリガーバー30を囲む矩形の中にIDタグ50が侵入すると、回転灯27が回転する。また、連続する最後のトリガーバー30の終端に終端コネクタ29を接続する。
【0034】
次に、
図6(B)を参照して、第2の具体例について説明する。この実施の形態においては、接近する人等がIDタグを有さない場合、トリガーバー30がトリガー磁界を発生しても人等の検出ができないため、赤外線センサ28で人等を検出し、それによって、回転灯27を点灯させる。接近する人等がIDタグを有する場合、トリガーバー30が形成するトリガー磁界によりIDタグを検出することで、回転灯27は点灯しない。
【0035】
次に、
図6(C)を参照して、第3の具体例について説明する。この実施の形態においては、3本のコーンバーが2組連続して接続される。ここでも、トリガーバー30が囲む矩形の中にIDタグ50が侵入すると回転灯27が回転する。ここでは、2組が異なるタイミングで磁界を発信することで連続して接続できる。
【0036】
ここでは、
図6(C)を示すため3本のトリガーバー30と3本のトリガーバー30を別のセットとし、中継コネクタ25で接続し、別々の本体ユニット20としたが、この一組に直列接続できる最大限の数の制限となる原因は電線の抵抗成分、回路Qによる通信帯域および組み合わせて利用される人感検出装置の検出範囲による。人感センサを組み合わせる必要が無い条件では最大限に連結できる。例えば、トリガーバー30の長さを1.5mで規定すると四角く囲った3m四方程度のエリアがトリガーバー30を8台設けることで構成できる。
【0037】
次に、単一のトリガーバー30を用いた場合の等価回路について説明する。
図7は、この場合の具体的構成(A)と、その等価回路(B)を示す図である。
【0038】
図7(A),(B)を参照して、トリガーバー30は、往復で設けられたインダクタンスL1の線(コイル62)と同調
コンデンサC1とを含み、その周囲に磁界61が発生する。
【0039】
図8は、これが複数連結された場合の具体的構成(A)と、その個々の等価回路(B)と、合成した等価回路(C)を示す図である。
【0040】
図8(A)〜(C)を参照して、トリガーバー30が複数連結された場合も、図(C)に示すように、L=3×L1,C=C1/3の同調コイルCとを含む、共振回路を構成する。すなわち、共振周波数は変化しない。
【0041】
次に、この発明に係る接近検知装置の具体的な応用例について説明する。
図9は、具体的な応用例を示す斜視図である。
図9を参照して、ここでは、4つのコーンで四角形を形成して、所定の領域を4本のトリガーバー30a〜30dで囲んでいる。この場合、図中61で示す領域に所定の強度の磁界が発生する。
【0042】
次に、さらなる具体例について説明する。
図10は、
図9に示した例の応用例を示す図である。
図10(A)は、矩形の領域で、危険な穴(図の中央の黒い部分)を囲んだ例であり、
図10(B)は、矩形の領域で、重機の作業エリアを囲んだ例である。
【0043】
いずれの場合も、上記した所定の効果が得られる。
【0044】
上記実施の形態においては、人等の検出に、赤外線センサ28を組み合わせたが、周囲を監視するカメラを設け、画像認識を人感センサとしてもよい。また、IDタグを検出した時にカメラを作動させ監視するようにしてもよい。
【0045】
なお、上記実施の形態では、IDタグを所持しない人等を検知するために赤外線センサを用いた場合について説明したが、これに限らず、赤外線以外のもの(例えば路面に敷く感圧センサ、コーンバーの振動を検出する振動センサ)を使ってもよい。あるいはトリガーバーに静電近接センサの電線を組み込み、コイルと同様に連結してトリガーバーへの接近物体を静電容量の変化を検出すことも可能である。また、警報として回転灯27を示したがトリガーバーにLEDイルミネーションの様なトリガーバーそのものを連結して表示機としてもよい。
【0046】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。