【文献】
道関隆国,植物発電によるワイヤレス植物モニタリングシステムを開発,1-2頁,2012年12月21日,https://www.u-presscenter.jp/item/3806.pdf,[2020年12月14日検索]
【文献】
村井(羽田野)麻理 ほか,植物の水吸収に着目して地上部と地下部の結びつきを考える,日本生態学会誌,2009年 月 日,第59巻,43-54頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
培地に設置された第1電極と前記培地において育成される植物に取り付けられる第2電極との間で生じる電気エネルギーの検出信号に基づいて、前記植物のサーカディアンリズムを検出し、検出された前記サーカディアンリズムの全体的な変動によって示される前記培地中の液量の変化を検出する
栽培管理方法。
培地に設置された第1電極と前記培地において育成される植物に取り付けられる第2電極との間で生じる電気エネルギーの検出信号に基づいて、前記植物のサーカディアンリズムを検出し、検出された前記サーカディアンリズムの全体的な変動によって示される前記培地の液量の変化を検出する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.栽培管理装置、栽培管理方法、コンピュータプログラム、及び栽培用具の概要]
【0014】
(1)実施形態に係る栽培管理装置は、培地に設置される第1電極を備える。第1電極は、1つでもよいし、複数でもよい。培地は、植物育成用の培地であり、例えば、土壌であるが、土壌以外の培地であってもよい。土壌は、圃場における土壌であってもよいし、プランター中の土壌であってもよい。
【0015】
実施形態に係る栽培管理装置は、培地において育成される植物に取り付けられる第2電極を備える。第2電極は、一つでもよいし、複数でもよい。植物の種類は特に限定されず、例えば、野菜、果樹、その他の樹木であってもよい。
【0016】
実施形態に係る栽培管理装置は、第1電極と第2電極との間で生じる電気エネルギーを検出するセンサを備える。センサは、第1電極と第2電極との間に流れる電流を計測するものであってもよいし、第1電極と第2電極との間で生じた電気エネルギーを蓄えて、その蓄電量(例えば、電圧)を計測するものであってもよい。センサは、第1電極と第2電極との間で生じた電気エネルギーを蓄え、蓄えられた電流が所定量になる毎に放電して信号を出力するものであってもよい。センサが出力する検出信号は、第1電極と第2電極との間で生じる電気エネルギーの量を示すものであればよく、その信号形式は特に限定されない。
【0017】
実施形態に係る栽培管理装置は、センサの検出信号に基づいて、植物のサーカディアンリズムと培地中の液量の変化とを検出する処理装置を備える。第1電極が培地に設置されているとともに第2電極が植物に取り付けられているため、センサの検出信号は、植物のサーカディアンリズムを示すとともに、培地中の液量の変化を示すものとなることを、本発明者らは見出した。処理装置は、そのような検出信号を分析することで、植物のサーカディアンリズムと培地中の液量の変化とを検出することができる。
【0018】
(2)実施形態に係る前記センサは、前記第1電極と前記第2電極との間で生じる電気エネルギー量に応じた時間間隔で前記検出信号を出力することができる。この場合、電気エネルギーが少なくても、検出信号の出力が可能である。
【0019】
(3)前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサの少なくともいずれか一つは、前記植物の栽培のために前記植物の近傍で用いられる栽培用具に設けられていてもよい。この場合、栽培用具に前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサの少なくともいずれか一つが設けられていることで、取り扱いが容易となる。植物の近傍で用いられる栽培用具は、例えば、土壌を収納するプランター等の容器、植物を誘引するための誘引資材、植物又は土壌の保護のために設置されるシート・ネットなどである。
【0020】
栽培用具に、前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサのうちの一つだけが設けられている場合、他の二つは、後付けすることができる。栽培用具に、前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサのうちの二つが設けられている場合、残りの一つは、後付けすることができる。栽培用具に、前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサの全てが設けられていてもよい。
【0021】
(4)前記栽培用具は、誘引資材であるのが好ましい。誘引は、植物のつる・枝などを支柱等の誘引資材に固定することをいう。誘引資材は、例えば、支柱、ワイヤ、紐、ネット、トレリスである。誘引資材は、ワイヤ、紐、ネット等の単独では自立できない誘引資材を支持するための資材(例えば、支柱)も含む。
【0022】
(5)実施形態に係る栽培管理方法は、培地に設置された第1電極と前記培地において育成される植物に取り付けられる第2電極との間で生じる電気エネルギーの検出信号に基づいて、前記植物のサーカディアンリズムと前記培地中の液量の変化とを検出することを含む。
【0023】
(6)実施形態に係るコンピュータプログラムは、培地に設置された第1電極と前記培地において育成される植物に取り付けられる第2電極との間で生じる電気エネルギーの検出信号に基づいて、前記植物のサーカディアンリズムと前記培地の液量の変化とを検出する処理をコンピュータに実行させる。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0024】
(7)実施形態に係る栽培用具は、培地に設置される第1電極、植物に取り付けられる第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間で生じる電気エネルギーを検出するセンサの少なくとも一つを備える。栽培用具は、前記第1電極、前記第2電極、及び前記センサのうちの少なくとも二つを備えていてもよいし、全てを備えていてもよい。栽培用具は、植物近傍の地中に設置された第1電極と前記植物に取り付けられた第2電極との間で生じる電気エネルギーの検出信号を受信するための受信機を備えてもよい。
【0026】
図1は、栽培管理装置10を示している。栽培管理装置10は、検出装置20を備える。検出装置20は、第1電極21及び第2電極22を備える。第1電極21は、培地である土S中に設置される。第1電極21は、例えば、地表から地中に差し込むことによって設置される。第1電極21は、例えば、培地において育成される植物Tの近傍に設置される。第2電極22は、植物Tに取り付けられる。第2電極22は、例えば、植物の幹に取り付けられる。第2電極22は、例えば、幹中に差し込むことによって取り付けられる。第1電極21と第2電極22との間に介在する植物T及び培地Sに含まれる電解質によって、電気エネルギーが発生する。このように第1電極21及び第2電極22は、化学電池(ガルバニ電池)11における電極として機能し、発電部11を構成する。
【0027】
検出装置20は、センサ23を備える。センサ23は、第1電極21と第2電極22との間で生じる電気エネルギーを検出し、電気エネルギーを示す検出信号を出力する。検出信号は、例えば、無線によって、センサ23から受信機40へ送信される。検出信号は、有線で送信されてもよい。受信機40は、受信した検出信号を、処理装置30へ出力する。処理装置30は、検出信号を分析し、栽培管理に用いられるデータDを生成する。なお、受信機40から処理装置30への検出信号の送信は、有線であっても無線であってもよい。
【0028】
処理装置30は、例えば、コンピュータによって構成される。処理装置30は、プロセッサ31と、記憶部32と、を備える。プロセッサ31は、記憶部32に記憶されたコンピュータプログラム35を実行する。コンピュータプログラムは、検出信号を分析する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムコードを含む。検出信号の分析結果は、記憶部32のデータテーブル36に記憶される。分析結果は、ディスプレイなどの出力部33から出力されてもよい。出力部33は、
図1に示すように、検出信号が示す発電量の経時的変化を示すグラフD1,D2を出力してもよい。
【0029】
図2に示すように、センサ23は、蓄電部12を備える。蓄電部12は、例えば、キャパシタ(コンデンサ)により構成される。電極21,22間で生じる電気エネルギー(電荷)を蓄える。
【0030】
センサ23は、間欠電源部13を備える。蓄電部12に所定量の電荷が蓄えられると、間欠電源部13は、その電荷を放出させることによって電力を受け、作動する。蓄電部12から電荷が放出されると発電部11によって蓄電部12に再び電荷が蓄えられる。したがって、蓄電部12は、電荷の蓄積(充電)と放出(放電)とが繰り返し行われ、間欠電源部13は、蓄電部12が放電する度に間欠的に作動する。
【0031】
センサ23は、発電部11によって発電された電力によって、検出信号を送信することができるため、発電部11以外の電源(電池等)を必要としない。
【0032】
図3Aは、発電部11によって発電された電力を、蓄電容量10mFの蓄電部12に蓄えた場合における蓄電部12の電圧特性の例を示している。
図2に示すように、約1時間後に、蓄電部12の電圧は約0.8Vになる。間欠電源部13は、例えば、0.8Vが動作電圧であり、蓄電部12の電圧が0.8Vを超えると、蓄電部12に蓄えられた電力を、送信機14の電源電力として出力する。蓄電部12に蓄えられた電力が送信機14によって消費されると、蓄電部12には、再び電力が蓄えられる。蓄電部12の電圧が、電源部13の動作電圧に達するまでの時間は、発電部11の発電量に依存して変化する。
【0033】
送信機14は、電源部13から間欠的に供給される電力を受けて、信号を送信する送信動作を間欠的に行う。
図3Bは、例えば、送信機14が、約1時間ごとに、信号を送信することを示している。発電部11の発電量が多くなると、送信機14が必要な電力が蓄電部12に蓄えられる時間が短くなるため、送信機14は、頻繁に信号を送信することができる。例えば、
図3Cに示すように、発電量が多くなると、例えば、約30分ごとに信号を送信し、信号の送信間隔が小さくなる。このように、間欠的に送信される信号の間隔は、発電量を示す。本実施形態では、間欠的に送信される信号を、発電部11によって生じた電気エネルギーの検出信号として扱う。
【0034】
図4は、発電部11による発電の原理を示している。第1電極21は、カソードであり、植物Tが植えられている土の中に挿入される。第1電極21は、植物Tの近くに設置される。第1電極21は、ステンレス鋼などの不活性金属によって構成される。
【0035】
第2電極22は、アノードであり、植物Tに取り付けられる。第2電極22は、例えば、植物Tの幹に取り付けられる。第2電極22は、植物Tの枝に取り付けられてもよい。第2電極22は、植物T中に差し込まれ、植物T中の樹液(sap)と接触する。第2電極22は、植物Tへの差し込みが容易となるように、例えば、針状に形成される。第2電極22は、活物質を含む。活物質は、例えば、Znである。
【0036】
植物の培地である土Sは、一般に、負に帯電しており、土中の陽イオン(K
+,Ca
2+,Mg
2+など)を吸着している。陽イオンは、イオン交換により、植物Tの根から吸収され、植物Tの樹液中の水素イオンが、土中に放出される。植物Tに吸収された陽イオンは、植物Tの養分となる。
【0037】
植物Tに挿入された第2電極(Zn)22は、酸化して、Znイオンとなり、樹液中に溶解する。これにより、電子が、第2電極22から第1電極21へ流れる。土中に放出された水素イオンは、第1電極21において、第2電極22から流れてきた電子によって、水素に還元する。したがって、発電部11による発電の量は、土中の水素イオンの量に依存する。
【0038】
土中の水素イオンは、植物Tが光合成を活発に行っているほど増加する。すなわち、植物Tは、光合成のため、陽イオンを含む水を根から吸い上げるため、植物Tが光合成を活発に行っているほど、土中の水素イオンが増加し、発電量が増加する。一方、夜間のように、植物Tが光合成をおこなわず、呼吸だけを行っている場合、根からの水の吸い上げ量が少なくなり、土中の水素イオンが減少し、発電量が減少する。光合成は昼間において優位となり、呼吸は夜間において優位となるため、発電部11による発電量は、1日周期で増減を繰り返す、サーカディアンリズムを示す。サーカディアンリズムにおける昼夜の差の大きさは、光合成などの植物活動の活発さを示している。昼夜の差が大きいほど、植物が光合成などの活動を活発に行っていることになる。
【0039】
また、発電部11による発電の量は、土中の水素イオンの量だけでなく、土中の液量(水分量)にも依存する。電気エネルギーが生じるには、植物Tから土中に放出された水素イオンが、第1電極21に到達する必要がある。しかし、土中の水分が少ないと、水素イオンが、第1電極21に到達し難くなり、発電量が低下する。
【0040】
図5は、土Sが表面から乾燥していった場合における発電量の減少を示している。
図5Aにおいて、土Sには全体的に十分な水分量があるものとする。
図5において、土Sの範囲における斜線は、水分量が多い土の範囲を示し、土Sの範囲における白地は、水分量が少ない土の範囲を示している。
図5Aでは、第1電極21は、全体的に、水分量の多い土Sと接触している。第1電極21は、広い面積で、水分の多い土Sと接触しているため、植物Tから土Sに放出された多くの水素イオンが、第1電極21において還元され、比較的大きな電流i
1を発生させることができる。
【0041】
図5Bに示すように、土Sの表面が乾燥して、土Sの表面近傍の水分量が少なくなると、第1電極21のうち土Sの表面付近では、水素イオンが、第1電極21に到達し難くなる。この結果、発電に用いられる第1電極21の表面積が小さくなり、電流i
2が低下する。
図5Cに示すように、土Sの乾燥範囲がさらに広がると、第1電極21に到達できる水素イオンがさらに少なくなり、電流i
3がさらに低下する。
図5Dに示すように、土S全体が乾燥すると、電流i
4は、非常に小さくなる。
【0042】
このように、電極21,22が植物側及び土側それぞれにあることで、発電部11による発電量の変化が、植物Tのサーカディアンリズムを示すとともに、土S中の水分量の変化を示すものとなることを、本発明者らは見出した。
【0043】
ここで、土中の水分が少なくなると、植物による水分の吸い上げ量が少なくなるため、サップフローセンサーで樹液量を計測した場合においても、計測される樹液量が、土中の水分の低下によって減少することがありえる。しかし、
図5B,
図5Cのように、土Sの一部が乾燥したとしても、広範囲に根を張っている植物Tにとっては、十分に水分を吸い上げることができる場合があるため、樹液量は直ちには減少しないことがある。特に、乾燥した土壌を好む植物Tにとっては、多少の土の乾燥は、水分の吸い上げ量に大きな影響を与えないことがある。このように、サップフローセンサーによる樹液量の計測では、土の乾燥は、間接的かつ遅延した状態でしか捉えることができない。これに対して、本実施形態では、第1電極21に接している土の水分量の変化を直接捉えることができる。
【0044】
図6は、発電部11による発電量の変化を示している。ここでは、鉢植えのパキラに第2電極22を挿入し、鉢の中の土に第1電極21を挿入することで、発電を行った。
図6において、縦軸は、蓄電部12による蓄電時間(Charging time)であり、送信機14によって送信された検出信号の時間間隔に等しい。蓄電時間が短いほど、発電量が多いことを示している。
図6において、D1は、蓄電時間の時間的変化を示しており、日毎に増減を繰り返すサーカディアンリズムを示している。なお、検出信号の時間間隔が、サーカディアンリズムを示すことができるように、検出信号が、少なくとも昼1回及び夜1回を含む2回以上送信されるように、検出装置20が構成されているのが好ましい。
【0045】
図6において、D2は、D1の回帰直線を示している。D2が右肩上がりであることからも明らかなように、
図6に示すサーカディアンリズムD1は、右肩上がりになっている。これは、日が経つにつれて土Sが乾燥することにより、発電量がサーカデイアンリズムを示しつつも、全体的に発電量が低下して、蓄電時間が長くなったことを示している。なお、
図6において、Daは、D1のリズムを、D2の傾きが0になるように、移動させたものである。D1とDaの差は、概ね土の乾燥による影響を反映している。D2は、土の水分量の影響を低減したサーカディアンリズムを示している。
【0046】
このように、サーカディアンリズムD1は、土Sの水分量の影響を受けて、全体的に変動する。したがって、サーカディアンリズムD1における全体的な変動を抽出することで、土Sの水分量の変化を検出することができる。
【0047】
処理装置30は、蓄電時間を示す検出信号を、受信機40を介して受信すると、サーカディアンリズムを示す第1分析データと、サーカデイアンリズムの全体的な変動によって示される土中の液量の変化を示す第2分析データと、を求める分析処理を実行する。
【0048】
第1分析データは、例えば、各日における、最小の蓄電時間(最大の発電量)D1
min,D2
min,D3
minと、最大の蓄電時間(最小の発電量)D1
max,D2
max,D3
maxと、によって構成される。栽培の管理者は、例えば、1日の中における蓄電時間(発電量)の差の大きさによって、各日における光合成などの植物活動の活発さを把握することができる。
図7に示すように、第1分析データは、データテーブル36の第1分析データ領域36aに保存される。第1分析データは、D1から求めてもよいし、土の水分量の影響が低減されたD2から求めてもよい。なお、処理装置30が各日において受信した検出信号が、所定数未満(例えば、1日に2回未満)である場合には、植物の状態が悪化しているか、土が乾燥しすぎていることが懸念されるため、その場合、処理装置30は、アラートを出力してもよい。また、処理装置30は、受信した検出信号が、昼に所定数未満(例えば、1回未満)であるか、夜に所定数未満(例えば、1回未満)である場合に、アラートを出力してもよい。
【0049】
第2分析データは、例えば、1日毎の蓄電時間(発電量)の平均D1a,D2a,D3aによって構成される。蓄電時間(発電量)の平均値の変動は、サーカディアンリズムD1の全体的な変動を示し、土中の水分量の変化を示す。サーカディアンリズムの全体的な変動は、例えば、サーカディアンリズムD1の回帰分析により求められた回帰曲線又は回帰直線によって示されてもよい。
図7に示すように、第2分析データは、データテーブル36の第2分析データ領域36bに保存される。
【0050】
図7には、データテーブル36に保存される第1分析データ及び第2分析データの他の例も示している。
図7においては、潅水の前は、蓄電時間を示すサーカディアンリズムD1が右肩上がりであったのに対して、潅水によって、サーカディアンリズムD1全体が低下し、蓄電時間が短くなることを示している。
【0051】
図8は、検出装置20のバリエーションを示している。
図8Aにおいては、植物Tの誘引に用いられる誘引資材である支柱101に第1電極21が設けられている。第1電極21は、例えば、支柱101の下端を金属によって被覆することによって形成される。支柱101は、その下端が、培地である土壌S中に埋め込まれる。支柱101は、植物Tの誘引のため、植物Tの近傍に設置されるため、支柱101に第1電極21が設けられていることで、支柱101の設置作業によって、第1電極21を設置することができる。
【0052】
図8Aの支柱101には、センサ23を備えたセンサユニット102が設けられている。センサユニット102は、
図2に示すセンサ23を備え、支柱101に支持される。センサユニット102は、例えば、支柱101の長手方向中途に設けられる。支柱101にセンサ23が設けられていることで、支柱101の設置作業によって、センサ23を設置することができる。また、センサユニット102が支柱101に支持されていることで、センサユニット102の荷重が、植物Tにかかることを防止できる。
【0053】
センサユニット102は、支柱101の長手方向にスライド自在に、支柱101に設けられているのが好ましい。センサユニット102をスライド自在とすることで、センサユニット102を所望の高さに位置させることができる。センサ23と第1電極21とは、支柱101内又は支柱101外に設けられた導線26によって接続されている。
【0054】
図8Aのセンサユニット102には、フレキシブルな導線25を介して、第2電極22を備えた電極ユニット200が設けられている。電極ユニット200は、例えば、植物Tの幹に取り付けられる。電極ユニット200を植物Tに取り付けることで、第2電極22が、植物Tに挿入される。
【0055】
テープ・紐などの部材103によって、植物Tを支柱101に誘引することができるが、電極ユニット200を植物Tに取り付けることは、植物Tを支柱101に誘引することにもなるため、テープ・紐などの部材103による誘引個所を少なくしたり、省略したりすることができる。
【0056】
図8Bにおいては、第1電極21が、センサユニット102と一体的に設けられている。センサユニット102を備える第1電極21を土壌S中に挿入することで、第1電極21及びセンサユニット102が設置される。センサユニット102が第1電極21に支持されていることで、センサユニット102の荷重が、植物Tにかかることを防止できる。
図8Bのセンサユニット102には、フレキシブルな導線25を介して、第2電極22を備えた電極ユニット200が設けられている。
【0057】
図8Cにおいては、第2電極22を有する電極ユニット200が、センサユニット102と一体的に設けられている。電極ユニット200を植物Tに取り付けることで、センサユニット102が植物Tによって支持される。植物Tの幹が、センサユニット102を支持できる程度の強度を有する場合に好適である。
図8Cのセンサユニット102には、フレキシブルな導線26を介して、第1電極21が設けられている。
【0058】
図9は、
図8に示す電極ユニット200のバリエーションを示している。
図9Aの電極ユニット200は、一対の挟持体201,202を備える。挟持体201,202の長手方向一端側には、第2電極22が設けられている。一対の挟持体201,202は、第2電極22側が近接離反可能なように、連結片203,204によって連結されている。連結片203,204は、軸205まわりに回動自在に連結されている。一対の挟持体201,202は、図示しないバネによって、第2電極22側が近接するように付勢されている。挟持体201,202の他端側を近接させるように操作することで、第2電極側が開き、植物Tの表面から、第2電極22を挿入させることができる。挿入された第2電極22は、バネによって、挿入状態が保持される。
【0059】
図9Bの電極ユニット200は、一対の挟持体221,222が、ボルト223とナット224によって植物Tに取り付けられる。一対の挟持体221,222の対抗内面には、第2電極22が設けられている。一対の挟持体221,222によって植物Tを挟みこむように取り付けることで、第2電極22が植物Tに挿入される。
【0060】
図9Cの電極ユニット200は、ベルト状部材210を備える。ベルト状部材210には、第2電極22が設けられている。ベルト状部材210は、植物Tに巻き付けられる。ベルト状部材210は、例えば、その先端に設けられた接着剤又は面ファスナー等の固定部材211によって、ベルト状部材210の長手方向中途部に固定され、植物Tへ取り付けられる。ベルト状部材210を植物Tに巻き付けることで、第2電極22が植物Tに挿入される。
【0061】
図9Dの電極ユニット200は、センサユニット102と一体的に設けられている。
図9Dに示す構造は、
図8Cに示すセンサユニット102と電極ユニット200とが一体的である構造の一例である。
図9Dに示す電極ユニット200は、センサユニット102との間で植物Tを挟持する挟持体231を備えている。挟持体231は、センサユニット102に設けられた連結片232によって、軸233まわりに回動自在に、センサユニット102に連結されている。挟持体231は、センサユニット102に設けられた第2電極22が挿入された植物Tを、センサユニット102とともに挟持することができる。挟持状態は、図示しないバネによって保持される。なお、第2電極22は、挟持体231側に設けられていてもよい。
【0062】
図10は、検出装置10の他の例を示している。
図10においては、センサユニット102は、植物Tの誘引資材であるネット110に取り付けられている。センサユニット102は、例えば、フック102aなどによって着脱自在にネット(誘引資材)110に取り付けられている。センサユニット102が着脱自在であることで、誘引資材110におけるセンサユニット102の位置の変更が容易である。
【0063】
図10において、植物Tの誘引資材には、ネット110のほか、ネットを支持する支柱111もある。支柱111には、植物Tが直接誘引されるネット110が取り付けられる。支柱111は、その下端が土壌中に差し込まれる。
図10において、第1電極21は、支柱111とは別に設けられているが、支柱111の下端に、第1電極21を設けてもよい。
【0064】
図10においては、支柱111には、センサ23から送信された検出信号を受信する受信機40が設けられている。支柱111が受信機40を備えていることで、受信機40の設置が容易となる。なお、受信機40は、複数のセンサ23から検出信号を受信することができる。
【0065】
図11及び
図12は、第1電極21と第2電極22の対応関係のバリエーションを示している。
図11Aでは、一つの第1電極21に対して、複数の第2電極22a,22b,22cが設けられている。複数の第2電極22a,22b,22cに対応して、第1電極21と第2電極22a,22b,22cとの間には、複数のセンサ23a,23b,23cが設けられている。複数の第2電極22a,22b,22cは、例えば、複数の植物Tに取り付けることができる。また、複数の第2電極22a,22b,22cは、一つの植物Tの異なる部位、例えば幹と枝、に取り付けることができる。センサ23a,23b,23cは、複数の第2電極22a,22b,22cに対応しているため、各第2電極22a,22b,22cに流れる電流を検出することができる。したがって、センサ23a、23b、23cの検出信号により、複数の植物Tそれぞれの状態又は、一つの植物Tにおける複数の部位における状態を検出することができる。
【0066】
図11Bでは、
図11Aと同様に、一つの第1電極21に対して、複数の第2電極22a,22b,22cが設けられている。ただし、センサ23は、第1電極21に対応して、一つだけ設けられている。この場合、複数の第2電極22a,22b,22cがあることにより、第1電極21に流れる電子の量を多くでき、発電効率を高めることができる。
【0067】
図12Aでは、一つの第2電極22に対して、複数の第1電極21a,21b,21cが設けられている。複数の第1電極21a,21b,21cに対応して、複数のセンサ23a,23b,23cが設けられている。複数の第1電極21a,21b,21cは、例えば、植物T周辺の異なる位置に設置される。センサ23a,23b,23cは、複数の第1電極21a,21b,21cに対応しているため、各第1電極21a,21b,21cに流れる電流を検出することができる。したがって、センサ23a,23b,23cは、培地Sの異なる位置における水分量を検出することができる。
【0068】
図12Bでは、
図12Aと同様に、一つの第2電極22に対して、複数の第1電極21a,21b,21cが設けられている。ただし、センサ23は、第2電極22に対応して、一つだけ設けられている。この場合、複数の第1電極22a,22b,22cがあることにより、第1電極において還元される水素の量を多くでき、発電効率を高めることができる。
【0069】
なお、
図11A,11Bにおいて、第1電極を複数設けたり、
図12A,12Bにおいて、第2電極を複数設けたりしてもよい。
【0070】
図13は、処理装置20におけるデータの記憶の仕方の変形例を示している。
図13の処理装置30は、受信機40を介して、複数の検出装置20a,20b、20cそれぞれから検出信号を受信する。各検出装置20a,20b,20cのセンサ23は、検出信号を、検出装置20a,20b,20c毎の識別子(ID)を示す情報とともに、受信機30へ送信する。なお、一つの検出装置が複数のセンサ23を備えている場合、識別子はセンサ毎のものであってもよい。
【0071】
処理装置30は、受信した識別子を参照することで、受信した検出信号が、どの検出装置20a,20b,20cからのものかを判別することができる。処理装置30は、各検出信号から得られた第1分析データ及び第2分析データを、データ領域36a,36bに保存する際に、識別子毎に分類して保存することができる。例えば、複数の検出装置20a,20b,20cが、複数の植物Tの個体毎に設けられている場合、各個体を、識別子によって区別して管理することができる。また、データテーブル26においては、第1分析データ及び第2分析データには、潅水又は施肥といった栽培に関して行われた作業の記録である栽培データを、栽培データ領域36cに保存することができる。
【0072】
なお、各検出装置20a,20b,20cには、識別子に対応した表示250が付されているのが好ましい。表示250は、栽培管理者などが、各検出装置20a,20b,20cの識別子を視認するためのものである。表示250は、例えば、識別子が印刷されたラベルを検出装置20a,20b,20cに貼付されたものとすることができる。
【0073】
表示250は、センサ23(センサユニット102)に付されていてもよいし、第1電極21に付されていてもよいし、第2電極22に付されていてもよいし、
図8Aに示す支柱101のように、検出装置を備える栽培用具に付されていてもよい。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。