特許第6943429号(P6943429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6943429エンゲージメント向上のための施策最適化システム、施策最適化方法、プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943429
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】エンゲージメント向上のための施策最適化システム、施策最適化方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20210916BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20210916BHJP
【FI】
   G06Q10/10 320
   G06Q10/06 328
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-179068(P2017-179068)
(22)【出願日】2017年9月19日
(65)【公開番号】特開2019-53677(P2019-53677A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2020年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】福井 知宏
(72)【発明者】
【氏名】西井 一輩
(72)【発明者】
【氏名】井口 昭二
(72)【発明者】
【氏名】山本 純一
【審査官】 阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−104308(JP,A)
【文献】 特開2016−207165(JP,A)
【文献】 特開2016−139323(JP,A)
【文献】 特開2016−143356(JP,A)
【文献】 特開2006−235809(JP,A)
【文献】 特開2009−129124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0078804(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部、エンゲージメント状態分類部、要因分類部、コメントセットソート部、質問表示部、回答入力部、コメント表示部、および、カウント部を有し、
前記記憶部は、
組織に属する個人のアンケートデータ、
エンゲージメント状態カテゴリー、
要因カテゴリー、
2択のクローズ質問と一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントとが対になった、複数のコメントセット、ならびに、
前記エンゲージメント状態分類部、前記要因分類部、および前記カウント部による結果を記憶し、
前記エンゲージメント状態分類部は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類し、
前記要因分類部は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類し、
前記コメントセットソート部は、
前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートし、
前記質問表示部は、
前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示し、
前記回答入力部は、
前記表示された前記クローズ質問に対する2択のうち一方の回答を入力し、
前記コメント表示部は、
前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記クローズ質問の一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示し、
前記カウント部は、
前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントし、
前記コメント表示部においてアドバイスコメントが表示されるまで、前記質問表示部による表示、および、前記回答入力部による入力を、繰り返す
ことを特徴とするエンゲージメント向上のための施策最適化システム装置
【請求項2】
前記コメントセットソート部は、
前記カウント部によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートし、
前記質問表示部は、
前記個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに基づいて、前記カウント数の多い順序にソートされた前記コメントセットを、順次、表示する、請求項1記載の施策最適化システム装置
【請求項3】
記憶工程、
エンゲージメント状態分類工程、
要因分類工程、
コメントセットソート工程、
質問表示工程、
回答入力工程、
コメント表示工程、
および、
カウント工程を有し、
前記記憶工程は、
組織に属する個人のアンケートデータ、
エンゲージメント状態カテゴリー、
要因カテゴリー、
2択のクローズ質問と一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントとが対になった、複数のコメントセット、ならびに、
前記エンゲージメント状態分類工程、前記要因分類工程、および前記カウント工程による結果を記憶し、
前記エンゲージメント状態分類工程は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類し、
前記要因分類工程は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類し、
前記コメントセットソート工程は、
前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートし、
前記質問表示工程は、
前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示し、
前記回答入力工程は、
前記表示された前記クローズ質問に対する2択のうち一方の回答を入力し、
前記コメント表示工程は、
前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記クローズ質問の一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示し、
前記カウント工程は、
前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントし、
前記コメント表示工程においてアドバイスコメントが表示されるまで、前記質問表示工程による表示、および、前記回答入力工程による入力を、繰り返す
ことを特徴とし、前記各工程が、コンピュータにより実行されるエンゲージメント向上のための施策最適化方法。
【請求項4】
前記コメントセットソート工程は、
前記カウント工程によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートし、
前記質問表示工程は、
前記個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに基づいて、前記カウント数の多い順序にソートされた前記コメントセットを、順次、表示する、請求項3記載の施策最適化方法。
【請求項5】
請求項3または4記載のエンゲージメント向上のための施策最適化方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンゲージメント向上のための施策最適化システム、施策最適化方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等の組織においては、人事に関するデータを把握し、さらに、前記組織に属する従業員等の個人に対しても、定期的にアンケートの実施を行っている。しかしながら、人事に関するデータもアンケートも、現状の組織の状態を把握するツールにとどまっている。
【0003】
また、組織に対する従業員の満足等を分析するシステムも提案されている(特許文献1)。しかしながら、このシステムも、あくまでも現状の状態を把握するシステムにとどまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016−524230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、組織は、現状の把握も重要であるが、未来の状態を予測して、事前に対策をとることが極めて重要である。そこで、本発明者らは、組織が、未来に備えて事前に対策をとるために、人事関連データと従業員アンケートに基づいて、所定期間後における従業員の組織に対するエンゲージメントおよびパフォーマンスを予測し、その予測結果に基づき、組織パフォーマンスを予測するシステムを構築した。これによって、例えば、未来の組織パフォーマンスの予測を行うことが可能となるため、その予測結果から、例えば、組織のリスクや組織の強みを把握し、事前に対策を打つことが可能となる。
【0006】
しかし、前記システムによると、従業員の組織に対するエンゲージメントおよびパフォーマンスを予測できるが、それへの対策自体が最適となることが、さらに必要と考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、組織全体の改善において、個人の組織に対するエンゲージメントを向上するために、個人に提示する施策を最適化するシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のシステムは、エンゲージメント向上のための施策最適化システムであり、
記憶部、
エンゲージメント状態分類部、
要因分類部、
コメントセットソート部、
質問表示部、
回答入力部、
コメント表示部、
および、
カウント部を有し、
前記記憶部は、
組織に属する個人のアンケートデータ、
エンゲージメント状態カテゴリー、
要因カテゴリー、
2択のクローズ質問と一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントとが対になった、複数のコメントセット、ならびに、
前記エンゲージメント状態分類部、前記要因分類部、および前記カウント部による結果を記憶し、
前記エンゲージメント状態分類部は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類し、
前記要因分類部は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類し、
前記コメントセットソート部は、
前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートし、
前記質問表示部は、
前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示し、
前記回答入力部は、
前記表示された前記クローズ質問に対する2択のうち一方の回答を入力し、
前記コメント表示部は、
前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記クローズ質問の一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示し、
前記カウント部は、
前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントし、
前記コメント表示部においてアドバイスコメントが表示されるまで、前記質問表示部による表示、および、前記回答入力部による入力を、繰り返す
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の方法は、エンゲージメント向上のための施策最適化方法であり、
記憶工程、
エンゲージメント状態分類工程、
要因分類工程、
コメントセットソート工程、
質問表示工程、
回答入力工程、
コメント表示工程、
および、
カウント工程を有し、
前記記憶工程は、
組織に属する個人のアンケートデータ、
エンゲージメント状態カテゴリー、
要因カテゴリー、
2択のクローズ質問と一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントとが対になった、複数のコメントセット、ならびに、
前記エンゲージメント状態分類工程、前記要因分類工程、および前記カウント工程による結果を記憶し、
前記エンゲージメント状態分類工程は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類し、
前記要因分類工程は、
前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類し、
前記コメントセットソート工程は、
前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートし、
前記質問表示工程は、
前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示し、
前記回答入力工程は、
前記表示された前記クローズ質問に対する2択のうち一方の回答を入力し、
前記コメント表示工程は、
前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記クローズ質問の一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示し、
前記カウント工程は、
前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントし、
前記コメント表示工程においてアドバイスコメントが表示されるまで、前記質問表示工程による表示、および、前記回答入力工程による入力を、繰り返す
ことを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、前記本発明の施策最適化方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、個人に提示する施策を最適化できるため、結果として、例えば、組織に対するエンゲージメントを効率良く向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1の施策最適化システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の施策最適化システムのその他の例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の施策最適化方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態1の施策最適化方法の工程の一部の例を示す概略図である。
図5図5は、実施形態1の施策最適化方法の工程の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1の施策最適化方法の工程の一部の例を示す概略図である。
図7図7は、実施形態1の施策最適化方法の工程の一部の例を示す概略図である。
図8図8は、実施形態1の施策最適化方法の工程の一部の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の施策最適化システムにおいて、例えば、前記コメントセットソート部は、前記カウント部によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートし、前記質問表示部は、前記個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに基づいて、前記カウント数の多い順序にソートされた前記コメントセットを、順次、表示する。
【0015】
本発明の施策最適化方法において、例えば、前記コメントセットソート工程は、前記カウント工程によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートし、前記質問表示工程は、前記個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに基づいて、前記カウント数の多い順序にソートされた前記コメントセットを、順次、表示する。
【0016】
本発明において、「アンケートデータ」は、個人の組織に対するアンケートへの回答内容であり、アンケートの項目は、特に制限されず、例えば、会社に対する愛着、職務に対する満足度、上司との関係性、仕事への誠実さ、性格、職場の雰囲気、精神的負荷、仕事の忙しさ、同僚との関係性等があげられる。本発明は、例えば、アンケートデータの他に、さらに、人事関連データをあわせて使用してもよい。前記人事関連データは、前記組織における人事に関するデータであり、特に制限されず、例えば、勤怠情報、所属情報、異動歴情報、健康診断情報、業績評価情報、給与情報、資格情報、教育受講情報等があげられる。
【0017】
前記組織とは、特に制限されず、例えば、複数の個人が連携している団体であり、会社等の法人、役所、病院、地域コミュニティ等があげられる。前記組織の単位は、特に制限されず、例えば、会社でもよいし、会社における部署またはグループ等でもよい。
【0018】
本発明において、「エンゲージメント」とは、例えば、組織に対する個人のエンゲージメントである。本発明において、「エンゲージメント状態」とは、特に制限されず、組織における個人の状態または組織に対する個人の状態を示すものであればよい。前記エンゲージメント状態は、例えば、活力の有無または強度、熱意の有無または強度、集中力の有無または強度、組織に対する満足度の有無または強度、組織に対する愛着の有無または強度、組織に対する好感度の有無または強度等があげられる。本発明において、前記エンゲージメント状態カテゴリーの種類および数は、特に制限されない。
【0019】
本発明において、「要因」とは、前記エンゲージメント状態の要因である。前記要因は、特に制限されず、例えば、同僚との関係、上司との関係、チーム枠、開放的組織風土、活性的組織風土、職務特性、組織公正性等があげられる。本発明において、前記要因カテゴリーの種類および数は、特に制限されない。
【0020】
本発明において、前記コメントセットは、2択のクローズ質問と一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントとが対になっている。前記2択のクローズ質問とは、2つの回答のうち、いずれか一方を選択することで回答できる質問である。前記2つの回答の組合せは、例えば、YES回答とNO回答の組合せ、同意回答と非同意回答の組合せ(例えば、「そう思う」/「そう思わない」等)等である。前記コメントセットにおいて、前記アドバイスコメントは、例えば、2つの回答のうち、どちらに紐づけて記憶してもよい。具体例として、YES回答/NO回答の場合、例えば、YES回答に紐づけて記憶されてもよいし、NO回答に紐づけて記憶されてもよい。以下の例では、2つの回答がYES回答およびNO回答であり、YES回答に前記アドバイスコメントが紐づけられた形態を示すが、本発明は、これには制限されない。
【0021】
つぎに、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。なお、以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0022】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の施策最適化システム10の一例の構成を示すブロック図である。施策最適化システム10は、記憶部11、エンゲージメント状態分類部12、要因分類部13、コメントセットソート部14、質問表示部15、回答入力部16、コメント表示部17、および、カウント部18を有する。
【0023】
記憶部11は、組織に属する個人のアンケートデータ、エンゲージメント状態カテゴリー、要因カテゴリー、複数のコメントセットを記憶する部である。前記アンケートデータは、例えば、新たなデータが得られる度に、記憶部11に記憶されることが好ましい。前記エンゲージメント状態カテゴリー、前記要因カテゴリー、前記コメントセットは、例えば、予め記憶部11に記憶されている。また、記憶部11は、さらに、後述するエンゲージメント状態分類部12、要因分類部13、およびカウント部18による結果を記憶する。
【0024】
施策最適化システム10は、例えば、さらに、入力部を有し、前記入力部により、前記個人のアンケートデータを入力し、記憶部11で記憶する。
【0025】
エンゲージメント状態分類部12は、前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類する。前記エンゲージメント状態カテゴリーへの分類は、例えば、前記アンケートの内容と前記エンゲージメント状態カテゴリーとを紐づけた評価基準に基づいて、行うことができる。
【0026】
要因分類部13は、前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類する。前記要因カテゴリーへの分類は、例えば、前記アンケートの内容と前記要因カテゴリーとを紐づけた評価基準に基づいて、行うことができる。
【0027】
コメントセットソート部14は、前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートする。前記コメントセットのソートは、特に制限されず、例えば、後述するカウント部18によるカウント結果が蓄積される前は、任意の順序に設定し、カウント部18によるカウント結果が蓄積されると、カウント結果に基づいて、順序を設定してもよい。前記カウント結果に基づくソートについては、後述する。
【0028】
質問表示部15は、前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示する。
【0029】
回答入力部16は、前記表示された前記クローズ質問に対する2択(YES/NO)のうち一方の回答を入力する。
【0030】
コメント表示部17は、前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記クローズ質問の一方の回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示する。具体例として、例えば、YES回答が入力された場合、YES回答に紐づけされたアドバイスコメントを表示する。このように、前記クローズ質問の提示と前記回答の入力により、あるエンゲージメント状態カテゴリーとある要因カテゴリーに属する個人にとって、適したアドバイスが表示されることになる。このアドバイスは、例えば、組織が望む個人のエンゲージメントに誘導する内容に設定することで、組織における個人のエンゲージメントを向上することが可能である。
【0031】
カウント部18は、前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントする。このカウント結果は、記憶部11に記憶される。これによって、あるエンゲージメント状態カテゴリーに分類された場合、また、ある要因カテゴリーに分類された場合に、いずれのコメントセットが相対的に多く選択されているかという結果を、蓄積することができる。例えば、組織に属する複数の個人の回答から、前記紐づけしたカウントを行うことによって、前記組織全体における、選択される前記コメントセットの傾向・頻度がわかるようになる。
【0032】
そして、前記カウント結果が蓄積されると、コメントセットソート部14は、例えば、カウント部18によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートしてもよい。そして、質問表示部15は、例えば、前記個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに基づいて、前記カウント数の多い順序にソートされた前記コメントセットを、順次、表示してもよい。これによって、分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび要因カテゴリーに応じて、選択が予想される適したコメントセットの順に、質問表示部15において、前記コメントセットのクローズ質問が表示されるため、より効率的に、組織に適したアドバイスコメントを、個人に対して表示することができる。具体的には、組織全体の傾向が反映された順序でクローズ質問が表示されるため、組織に対して最適化されたアドバイスコメントを、効率よく提示することができる。
【0033】
質問表示部15、コメント表示部17は、例えば、モニター等の表示画面等があげられる。
【0034】
図2に、施策最適化システム10の具体的な構成の一例を示す。図2は、施策最適化システム10のブロック図である。記憶部11は、アンケートデータ111、エンゲージメント状態カテゴリー112、要因カテゴリー113、コメントセット114、各種結果(エンゲージメント状態分類結果、要因分類結果、カウント結果)115が記憶されている。
【0035】
本実施形態の施策最適化システム10は、例えば、サーバと端末とを有し、前記サーバと端末とが、ネットワークを介して接続可能であってもよい。前記ネットワークは、例えば、通信回線網であり、特に制限されず、公知のコンピュータネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記ネットワークは、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN(Local Area Network)等があげられる。施策最適化システム10が前記サーバと前記端末とを有する場合、例えば、前記各部は、それぞれ、サーバと端末とのいずれかが有し、ネットワークを介して前記システムとして起動すればよい。
【0036】
つぎに、本実施形態の施策最適化方法について、図3図6を用いて説明する。図3は、前記施策最適化方法のフローチャートであり、図4〜6は、前記施策最適化方法における各ステップの概略図である。本実施形態の施策最適化方法は、例えば、図1および図2に示す本実施形態の施策最適化システム10を用いて、次のように実施できる。なお、本実施形態の予測方法は、図1図2の施策最適化システム10の使用には限定されない。
【0037】
(A1)記憶工程
前記記憶工程は、前記エンゲージメント状態カテゴリー、前記要因カテゴリー、前記複数のコメントセットを記憶する。前記複数のコメントセットは、例えば、それぞれ識別番号(ID)と紐づけして記憶される。さらに、前記個人のアンケートデータが記憶される。また、後述する各工程で得られた結果、例えば、前記エンゲージメント状態の分類結果、前記要因の分類結果、および、前記カウント結果も記憶される。
【0038】
(A2)エンゲージメント状態分類工程
前記エンゲージメント状態分類工程は、前記個人のアンケートデータから、前記個人を、前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類する。前記エンゲージメント状態カテゴリーは、前述のように、例えば、種類および数は、特に制限されない。また、一人の個人は、例えば、1つの前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類されてもよいし、複数の前記エンゲージメント状態カテゴリーに分類されてもよい。一例として、図4に、前記エンゲージメント状態カテゴリーを例示する。図4は、前記エンゲージメント状態カテゴリーを8種類に分類した例である。前記分類の指標は、熱意の強度、活力の強度、集中の強度であり、熱意の強度は、強い(熱意:働きたい)、弱い(皮肉:働かなければならない)で表され、活力の強度は、強い(活力:元気がみなぎる)、弱い(脱力:元気が出ない)で表され、集中の強度は、強い(没頭:集中している)、弱い(散漫:集中できない)で表される。この4つの指標により、実線で表す4つのグループと、点線で表す4つのグループとに分類できる。実線で表す4つのグループと、点線で表す4つのグループとは、熱意と活力の指標は同じであり、集中の強度で分類したグループである。前記アンケートデータから、例えば、これら8種類のカテゴリーに分類することができる。
【0039】
(A3)要因分類工程
前記要因分類工程は、前記個人のアンケートデータから、前記個人のエンゲージメント状態の要因を、前記要因カテゴリーに分類する。前記要因カテゴリーは、前述のように、例えば、種類および数は、特に制限されない。また、一人の個人は、例えば、1つの前記要因カテゴリーに分類されてもよいし、複数の前記要因カテゴリーに分類されてもよい。一例として、図5に、前記要因カテゴリーへの分類方法を例示する。図5に示すように、前記アンケートデータに基づいて、同僚との関係を評価し、所定の閾値(TOL:例えば、偏差値60)以上の場合(YES)、カテゴリー1に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、開放的組織風土を評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー2に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、職務特性を評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー3に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、活性提起組織風土を評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー4に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、上司との関係を評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー5に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、チームワークを評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー6に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、組織公正性を評価し、閾値以上の場合(YES)、カテゴリー7に分類し、前記閾値未満の場合(NO)、カテゴリー8に分類する。
【0040】
(A4)コメントセットソート工程
前記コメントセットソート工程は、前記複数のコメントセットから、表示するコメントセットの順序をソートする。後述するカウント工程の結果が蓄積されていない場合は、例えば、記憶されている前記複数のコメントセットを、任意の順序(例えば、IDの順番)にソートする。前記カウント工程の結果が蓄積されている場合については、後述する。
【0041】
(A5)質問表示工程
前記質問表示工程は、前記ソートしたコメントセットの前記クローズ質問を表示する。
【0042】
(A6)回答入力工程
前記回答入力工程は、前記表示された前記クローズ質問に対する2択の回答(YES/NO)のうち一方の回答を入力する。ここで、前記アドバイスコメントが紐づけられているYES回答が入力された場合には、次の(A7)コメント表示工程に移り、前記アドバイスコメントが紐づけられていないNO回答が入力された場合には、前の(A5)質問表示工程に戻り、YESコメントが入力されるまで、前記ソートされたコメントセットの順に、前記質問を表示する。
【0043】
(A7)コメント表示工程
前記コメント表示工程は、前記入力された回答に、紐づけされたアドバイスコメントがある場合、前記紐づけされたアドバイスコメントを表示する。本実施形態の場合、YES回答に紐づけされた前記アドバイスコメントを表示する。
【0044】
図6に、前記(A5)質問表示工程、前記(A6)回答入力工程、および前記(A7)コメント表示工程における、表示の概略を示す。図6(A)に示すように、前記(A5)質問表示工程で、コメントセットID No.1のクローズ質問が表示され、前記(A6)回答入力工程でYESを入力すると、前記クローズ質問に対応するアドバイスコメントが表示される。他方、図6(B)に示すように、(A5)質問表示工程で、コメントセットID No.1のクローズ質問が表示され、前記(A6)回答入力工程でNOを入力すると、再度、(A5)質問表示工程に戻り、コメントセットID No.2のクローズ質問が表示される。そして、アドバイスコメントが表示されるまで、クローズ質問の表示が順次繰り返される。
【0045】
(A8)カウント工程
前記カウント工程は、前記アドバイスコメントが表示されると、前記表示したアドバイスコメントのコメントセットと、前記個人の分類されたエンゲージメント状態カテゴリーと、前記個人の分類された要因カテゴリーとを、紐づけてカウントする。組織における複数の個人についての、前記カウント工程の結果を蓄積することによって、例えば、組織全体において、各コメントセットが、どのようなエンゲージメント状態のカテゴリーに分類された個人によって選択されている傾向にあるのか、どのような要因カテゴリーに分類された個人によって選択されている傾向にあるのか、さらにどのようなエンゲージメント状態のカテゴリーと要因カテゴリーの組み合わせに分類された個人によって選択されている傾向にあるのかについて、統計を取ることができる。
【0046】
図7に、前記カウント工程におけるカウントの概念図を示す。組織に属する複数の個人について、アンケートデータに基づき、エンゲージメント状態カテゴリーと要因カテゴリーとの分類を行い、さらに、アドバイスコメントが表示されると、エンゲージメント状態カテゴリーと要因カテゴリーとコメントセットとが紐づけされて、選択されたコメントセットに対して、選択した個人の人数がカウントされる。図7の表に示すように、該当する要因カテゴリーとエンゲージメント状態カテゴリーとの組み合わせの欄において、選択されたコメントセットのIDについて、カウントが行われる。例えば、コメントセットID No.1は、要因カテゴリーがNo.1であり且つエンゲージメント状態カテゴリーがNo.1である2名によって、選択され、アドバイスコメントが表示されたという結果である。これらのカウント結果は、記憶部11に記憶される。
【0047】
そして、前記(A8)カウント工程でカウントされた結果が蓄積されると、前記(A4)コメントセットソート工程において、前記カウント部によるカウント結果に基づいて、前記エンゲージメント状態カテゴリーおよび前記要因カテゴリーの組み合わせに対して、カウント数の多い順序に前記コメントセットをソートする。前記カウント結果の蓄積によって、組織全体において、あるエンゲージメント状態カテゴリーに分類された個人グループ、ある要因カテゴリーに分類された個人グループ、さらに、エンゲージメント状態カテゴリーと前記要因カテゴリーのある組み合わせに分類された個人グループによって、どのコメントセットが選択されたのか、その傾向が、わかる。このため、例えば、前記カウント結果に基づいて、前述のようにソートすることによって、前記組織における傾向が反映された順序で、コメントセットを順次表示できる。そして、そのような順序でコメントセットを表示することによって、例えば、組織に対して最適化された施策を、個人個人に、各カテゴリーに応じて提示することができる。これによって、より効率的に、組織に対するエンゲージメントを向上し、結果的に、より良い組織への改善を図ることができる。
【0048】
図8に、前記コメントセットソート工程における、カウント結果に基づくソートの概念図を示す。例えば、個人が、要因カテゴリーがNo.1に分類され、且つ、エンゲージメント状態カテゴリーがNo.1に分類された場合を想定する。前述した図7の表に基づくと、要因カテゴリーNo.1且つエンゲージメント状態カテゴリーNo.1に分類された個人グループは、コメントセットID No.1−3を選択しているため、図8(A)の表に示すデータが抽出できる。そして、要因カテゴリーNo.1且つエンゲージメント状態カテゴリーNo.1に分類された個人グループにおいて、最も選択されたコメントセットは、ID No.3の33人であり、次が、ID No.2の10人、次が、ID No.1の2人である。したがって、要因カテゴリーNo.1且つエンゲージメント状態カテゴリーNo.1に分類される個人に対しては、図8(B)の表に示すように、コメントセットは、No.3、No.2、No.1の順番にソートされ、この順序で、クローズ質問が表示されることになる。このように、個人が分類されたエンゲージメント状態カテゴリーおよび要因カテゴリーに応じて、マッチしたコメントセットを表示することで、より効率よく、適したコメントセットに基づくアドバイスコメントを提示できる。その結果、組織が求めるエンゲージメントに、個人を誘導することが可能となる。
【0049】
[実施形態2]
本実施形態のプログラムは、前記実施形態1の施策最適化方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。本実施形態のプログラムをコンピュータにインストールし、実効することによって、本発明の施策最適化システムと施策最適化方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPUは、例えば、前記記憶部、前記エンゲージメント状態分類部、前記要因分類部、前記コメントセットソート部、前記質問表示部、前記回答入力部、前記コメント表示部、および、前記カウント部として機能し、処理を行う。
【0050】
前記コンピュータは、例えば、CPU、メインメモリ、記憶部と、入力インターフェイス、表示コントローラ、データリーダ/ライタ、通信インターフェイスを備える。これらの各部は、バスを介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0051】
前記CPUは、前記記憶部に格納された、前記本実施形態のプログラム(コード)を前記メインメモリに展開し、これらを所定の順序で実行することにより、各種の演算を実施する。前記メインメモリは、一般的に、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶部である。前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供できる。前記プログラムは、例えば、前記通信インターフェイスを介して接続されたインターネット上で流通するものでもよい。
【0052】
前記記憶部は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置等があげられる。前記入力インターフェイスは、CPUと入力部との間のデータ伝送を仲介する。前記入力部は、例えば、キーボードおよびマウス等があげられる。
【0053】
前記データリーダ/ライタは、前記CPUと記録媒体との間のデータ伝送を仲介し、前記記録媒体からの前記プログラムの読み出し、および前記コンピュータにおける処理結果の前記記録媒体への書き込みを実行する。前記通信インターフェイスは、前記CPUと、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0054】
前記記録媒体は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0055】
前記施策最適化システムは、例えば、プログラムがインストールされたコンピュータでもよいし、各部に対応したハードウェアを用いて実現可能でもよい。また、前記施策最適化システムは、例えば、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されてもよい。
【0056】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、個人に提示する施策を最適化できるため、結果として、例えば、組織に対するエンゲージメントを効率良く向上できる。
【符号の説明】
【0058】
10 施策最適化システム
11 記憶部
12 エンゲージメント状態分類部
13 要因分類部
14 コメントセットソート部
15 質問表示部
16 回答入力部
17 コメント表示部
18 カウント部
図1
図2
図3
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図6
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図8