(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記縦方向連結部材は、V字状に屈曲した第1屈曲剛性部材と、逆向きのV字状に屈曲した第2屈曲剛性部材と、前記第1屈曲剛性部材の屈曲部と前記第2屈曲剛性部材の屈曲部とを回動可能に連結する屈曲部連結軸とを有する屈曲ユニットを備える、請求項3に記載の伸縮アーム構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者は、伸縮アームをより有効に活用できないかという点について、更なる検討を行った。その過程で、伸縮アームと面状部材とを組み合わせることによってより利用価値の高い伸縮アーム構造体となることを見出した。
【0009】
本発明の目的は、利用価値の高い伸縮アーム構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に従った伸縮アーム構造体は、平行な間隔で同方向に延びる上部伸縮アームおよび下部伸縮アームと、上下の伸縮アームを連結する縦方向連結部材とを備える。各伸縮アームは、中央連結軸を介して2個の剛性部材を回動可能に連結した複数個のX字状のクロスユニットと、隣接するクロスユニットの端部同士を回動可能に連結する2個の端部連結軸とを含む。伸縮アーム構造体は、さらに、上部伸縮アームの剛性部材と、平行な関係で同方向に延びる下部伸縮アームの剛性部材との間の空間を面状に閉塞する面状部材を備える。
【0011】
一つの実施形態では、縦方向連結部材は、上下の伸縮アームの中央連結軸または端部連結軸を連結するものである。
【0012】
また、一つの実施形態では、縦方向連結部材は、上下の伸縮アームの中央連結軸を連結する中央連結棒と、上下の伸縮アームの2個の端部連結軸を連結する2個の端部連結棒とを含む。面状部材は、一方側に位置する端部連結棒の位置で外側に屈曲し、中央連結棒の位置で内側に屈曲するように伸縮アームの長手方向に沿って蛇行して延びる柔軟性シート材である。
【0013】
また、一つの実施形態では、クロスリンクを構成する剛性部材は、第1剛性部材と、第2剛性部材とを含み、面状部材は、上部伸縮アームの第2剛性部材の全長部分と、下部伸縮アームの第2剛性部材の全長部分とを面状に接続するものである。
【0014】
また、一つの実施形態では、縦方向連結部材は、上下の伸縮アームの間隔を可変に連結するものである。例えば、縦方向連結部材は、X字状のクロスユニットを縦方向に複数個並べて連結したものである。他の形態として、縦方向連結部材は、V字状に屈曲した第1屈曲剛性部材と、逆向きのV字状に屈曲した第2屈曲剛性部材と、第1屈曲剛性部材の屈曲部と第2屈曲剛性部材の屈曲部とを回動可能に連結する屈曲部連結軸とを有する屈曲ユニットを備える。
【0015】
上部伸縮アームと下部伸縮アームとの間隔が可変である伸縮アーム構造体の場合、面状部材は、上下方向高さが可変である。面状部材の上下方向高さを変えるために、例えば面状部材は、柔軟性を有する1枚のシート材である。面状部材の上下方向高さを変えるための他の形態として、例えば、面状部材は、複数の板材によって構成されており、複数の板材は、互いに対して重なり合う折畳位置と、互いが同一平面上に連なる展開位置とをとり得るように構成されている。
【0016】
また、一つの実施形態に係る伸縮アーム構造体は、上部伸縮アームの複数個の端部同士を連結して形成された上部枠体と、下部伸縮アームの複数個の端部同士を連結して形成された下部枠体とを備える。
【0017】
また、一つの実施形態に係る伸縮アーム構造体は、上部伸縮アームの両端を連結して形成された上部円形枠体と、下部伸縮アームの両端を連結して形成された下部円形枠体とを備える。
【0018】
また、一つの実施形態では、伸縮アーム構造体は、上部伸縮アームの両端を連結して形成された上部円形枠体と、下部伸縮アームの両端を連結して形成された下部円形枠体とを備え、面状部材は、上部円形枠体と、下部円形枠体との間に配置された円周方向長さが可変の円筒形部材である。
【発明の効果】
【0019】
上記構成の本願発明によれば、利用価値の高い伸縮アーム構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】伸縮アーム構造体の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す伸縮アーム構造体の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】面状部材が内側に屈曲している部分を示す斜視図である。
【
図4】伸縮アーム構造体の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】面状部材が内側に屈曲している部分を示す斜視図である。
【
図6】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す伸縮アーム構造体が縮んでいる状態を示す斜視図である。
【
図8】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す伸縮アーム構造体の両端を連結して形成された円筒形の伸縮アーム構造体を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す円筒形伸縮アーム構造体の平面図である。
【
図11】
図9に示す円筒形伸縮アーム構造体を最大限まで拡張した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す円筒形伸縮アーム構造体の平面図である。
【
図13】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図15】
図13に示す伸縮アーム構造体をやや縮ませた状態を示す斜視図である。
【
図17】
図13に示す伸縮アーム構造体を最も縮ませた状態を示す斜視図である。
【
図19】
図13に示す伸縮構造体のコーナー部を示す斜視図である。
【
図20】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図22】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【
図24】
図22に示す伸縮アームと
図23に示す円筒形面状部材とを組み合わせた状態の平面図である。
【
図25】
図23に示す円筒形面状部材が縮径した状態を示す斜視図である。
【
図26】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図27】高さ可変の面状部材の一例を示す図であり、(a)は3枚の板材が完全に重なり合っている状態を示し、(b)は3枚の板材が部分的に重なっている状態を示し、(c)は3枚の板材が同一平面に展開している状態を示している。
【
図28】
図26に示す伸縮アームを複数個用いて形成した多角形の伸縮アーム構造体を示す斜視図である。
【
図29】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図30】伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明の特徴を説明するために、いくつかの実施形態を例示的に挙げて説明する。各実施形態において同一の機能又は同等の機能を有する要素に対しては、同一の番号を付すことにより重複した記載を省略することがある。
【0022】
図1〜
図3は、本発明の一実施形態に係る伸縮アーム構造体を示している。伸縮アーム構造体10は、平行な間隔で同方向に延びる上部伸縮アーム11および下部伸縮アーム12と、上下の伸縮アームを連結する縦方向連結部材とを備える。
【0023】
上部伸縮アーム11は、中央連結軸11cを介して第1剛性部材11aと第2剛性部材11bとを回動可能に連結した複数個のX字状のクロスユニットと、隣接するクロスユニットの端部同士を回動可能に連結する2個の端部連結軸11dとを含む。同様に、下部伸縮アーム12は、中央連結軸12cを介して第1剛性部材12aと第2剛性部材12bとを回動可能に連結した複数個のX字状のクロスユニットと、隣接するクロスユニットの端部同士を回動可能に連結する2個の端部連結軸12dとを含む。
【0024】
図2および
図3から明らかなように、縦方向連結部材は、上下の伸縮アーム11,12の中央連結軸11c,12cを連結する中央連結棒14と、上下の伸縮アーム11,12の端部連結軸11d,12dを連結する2個の端部連結棒15とを備える。
【0025】
伸縮アーム構造体10は、さらに、上部伸縮アーム11の剛性部材11a,11bと、平行な関係で延びる下部伸縮アーム12の剛性部材12a,12bとの間の空間を面状に閉塞する面状部材13を備える。図示した実施形態では、面状部材13は、一方側に位置する端部連結棒15の位置で外側に屈曲し、中央連結棒14の位置で内側に屈曲するように伸縮アームの長手方向に沿って蛇行して延びる1枚の柔軟性シート材である。具体的には、面状部材13は中央連結棒14の外周面に当接して内側に屈曲し、端部連結棒15の外周面に当接して外側に屈曲している。上下の伸縮アーム11,12の伸縮動作に応じて面状部材13の屈曲角度も変化する。
【0026】
図1〜
図3に示した実施形態では、面状部材は、上下の伸縮アーム11,12の中央連結軸11c,12cを内側屈曲点としてそれよりも一方側(図では手前側)にのみ位置している。
【0027】
図4および
図5に示す実施形態に係る伸縮アーム構造体20は、2個の面状部材13および21を備える。
図5に示すように、中央連結棒14に近接して2個の軸棒22,23を設ける。手前側に位置する面状部材13は、一方側に位置する端部連結棒15の外周面に当接して外側に屈曲し、一方側の軸棒22の外周面に当接して内側に屈曲するように伸縮アーム11,12の長手方向に沿って蛇行して延びる柔軟性シート材である。奥側に位置する面状部材21は、他方側に位置する端部連結棒15の外周面に当接して外側に屈曲し、他方側の軸棒23の外周面に当接して内側に屈曲するように伸縮アーム11,12の長手方向に沿って蛇行して延びる柔軟性シート材である。
【0028】
図6および
図7は、他の実施形態に係る伸縮アーム構造体30を示している。
図6は、伸縮アーム構造体30が最も伸長している状態を示し、
図7は、伸縮アーム構造体30が最も縮んだ状態を示している。図示した実施形態では、面状部材31は、上部伸縮アーム11の第2剛性部材11bの全長部分と、下部伸縮アーム12の第2の剛性部材12bの全長部分とを面状に接続している。面状部材31は、例えば剛性のある板材、または剛性のある四角形の枠体内にシート材を装着したものであり、上下の第2の剛性部材11b,12bと一体になっている。
【0029】
図6に示す展開状態および
図7に示す縮小状態において、隣接する面状部材31間の隙間を閉塞するために、面状部材31は、先端部を折り曲げた先端折り曲げ部31aおよび後端部を折り曲げた後端折り曲げ部31bを有する。先端折り曲げ部31aと後端折り曲げ部31bとは、折れ曲がり方向が逆向きである。面状部材31の先端折り曲げ部31aは、伸縮アーム構造体30の展開状態および縮小状態において、伸縮アーム11,12の長手方向前方に位置する隣接面状部材の面部分に当接し、両面状部材間の隙間を閉塞する。面状部材31の後端折り曲げ部31bは、伸縮アーム11,12の長手方向後方に位置する隣接面状部材の面部分に当接し、両面状部材間の隙間を閉塞する。
【0030】
図8〜
図12は、さらに他の実施形態に係る伸縮アーム構造体40を示している。
図1〜
図7に示した実施形態では、クロスユニットの構成要素である第1剛性部材11a,12aおよび第2剛性部材11b,12bが直線的に延びる形状を有していた。それに対して、
図8〜
図12に示す伸縮アーム構造体40のクロスユニットの構成要素である剛性部材は、湾曲した形状を有している。
【0031】
図8〜
図12に示す伸縮アーム構造体40は、上方に位置する上部湾曲剛性部材43と、中間に位置する中間部湾曲剛性部材44と、下方に位置する下部湾曲剛性部材45とを備える。各湾曲剛性部材43,44,45は、両端連結軸11dが中央連結軸11cを通過する長手方向軸線に対して一方側にずれた湾曲形状を有する。各湾曲剛性部材43,44,45は、剛性のある四角形の板材で構成しても良いし、剛性のある四角形の枠体で構成しても良い。四角形の枠体を用いる場合には、枠内にシート材や、ガラス等を装着しても良い。
【0032】
中央連結軸で回動可能に連結される上下の湾曲剛性部材によってクロスリンクが形成さえる。図示した実施形態では、複数個の上部湾曲剛性部材43と、複数個の中間部湾曲剛性部材44とによって上部伸縮アーム41を構成し、複数個の中間部湾曲剛性部材44と、複数個の下部湾曲剛性部材45とによって下部伸縮アーム42を構成している。中間部湾曲剛性部材44は、上下の伸縮アーム間の空間を閉塞する面状部材としての役割を果たす。形状的に見れば、全ての湾曲剛性部材43,44,45は、面状の部材である。
【0033】
湾曲した剛性部材を用いて上下の伸縮アーム41,42を形成しているので、伸縮アーム41,42の伸縮軌跡は湾曲線を描く。湾曲剛性部材43,44,45の数を増加して、上部伸縮アーム41の両端を連結し、さらに下部伸縮アーム42の両端を連結すれば、上部円形枠体および下部円形枠体を形成することができる。
【0034】
図9〜
図12は、
図8に示す伸縮アーム構造体の両端を連結して形成された円筒形の伸縮アーム構造体を示している。
図9は、円筒形伸縮アーム構造体を最も縮小した状態の斜視図であり、
図10はその平面図である。
図11は、円筒形伸縮構造体を最も拡張した状態の斜視図であり、
図12はその平面図である。これらの図から明らかなように、伸縮アームを構成する各剛性部材43,44,45として、幅方向に湾曲した面状の部材を用いれば、円筒面で囲まれた円柱空間(
図11,
図12)を形成できる。
【0035】
図13〜
図19は、さらに他の実施形態に係る伸縮アーム構造体50を示している。
図13および
図14は伸縮アーム構造体が拡張している状態を示し、
図15および16は伸縮アーム構造体が中間状態まで縮小している状態を示し、
図17および
図18は伸縮アーム構造体が最も縮小している状態を示している。
図19は、多角形の伸縮構造体のコーナー部を示している。
【0036】
図13〜
図19に示す伸縮アーム構造体50は、4個の上部伸縮アーム51の端部同士を連結して形成された四角形の上部枠体と、4個の下部伸縮アーム52の端部同士を連結して形成された四角形の下部枠体と、上部伸縮アーム51の第2剛性部材11bの全長部分と、下部伸縮アーム52の第2剛性部材12bの全長部分とを面状に接続する面状部材53とを備える。
【0037】
伸縮アーム構造体50は、多角形の隣接する辺の伸縮動作を連動させるように、多角形の枠体のコーナー部で隣接する2つの伸縮アームを連動可能に連結する連結機構54をさらに備える。図示した実施形態では、連結機構54は、多角形の枠体のコーナー部において、隣接する一方の辺の伸縮アームの内側端連結軸11dと、他方の辺の伸縮アームの外側端連結軸11dとを回動可能に連結する屈曲形状の第1折れ曲がり部材55と、隣接する一方の辺の伸縮アームの外側端連結軸11dと、他方の辺の伸縮アームの内側端連結軸11dとを回動可能に連結する第2折れ曲がり部材56と、第1折れ曲がり部材55と第2折れ曲がり部材56とをそれらの交差部で回動可能に連結するコーナー部連結軸57とを備える。
【0038】
図19に示すように、上下に位置する第2折れ曲がり部材56,56間には、面状部材58が設けられる。
【0039】
図13〜
図19に示した実施形態において、四角形の形状を崩すことなく相似関係で四角形の面積を拡張したり、縮小したりするためには、第1折れ曲がり部材55および第2折れ曲がり部材56の折れ曲がり角度を90度にする必要がある。
【0040】
図13〜
図19は四角形の伸縮アーム構造体の例を示したが、互いに接続する伸縮アームの数を変更することによって、三角形、五角形、六角形等の他の多角形も作ることができる。この場合、多角形の形状を崩すことなく相似関係で面積を拡張したり、縮小したりするためには、第1および第2折れ曲がり部材の折れ曲がり角度を所定の値にすることが必要である。具体的には、n角形の内角の和をA度とすると、第1および第2折れ曲がり部材の折れ曲がり角度をA/nとすることが必要である。例えば、四角形の枠体であれば折れ曲がり角度を90度にし、正三角形の枠体であれば折れ曲がり角度を60度とし、正5角形の枠体であれば折れ曲がり角度を108度とし、正六角形の枠体であれば折れ曲がり角度を120度とする。
【0041】
図20および
図21に示す実施形態は、面状部材の形状を除いて、
図13〜
図19に示した実施形態と同じである。
図20及び
図21に示す伸縮アーム構造体60の面状部材61は、
図6および
図7の実施形態と同様に、先端折れ曲がり部および後端折れ曲がり部を有する。
【0042】
図22〜
図25は、さらに他の実施形態に係る伸縮アーム構造体を示している。図示する伸縮アーム構造体70は、上部伸縮アームの両端を連結して形成された上部円形枠体と、下部伸縮アームの両端を連結して形成された下部円形枠体とを備える。この実施形態では、面状部材は、上部円形枠体と下部円形枠体との間に配置された円周方向長さが可変の円筒形部材71である。円周方向長さを可変とするために、円筒形部材71の円周方向の一方端と他方端とは接続されておらず、重なり合うようになっている。伸縮アーム構造体70が
図22に示す拡張状態から
図24に示す縮小状態に移行すれば、円筒形部材71は、
図23に示す拡径状態から
図25に示す縮径状態に移行する。
【0043】
図26は、伸縮アーム構造体のさらに他の実施形態を示している。図示する伸縮アーム構造体80は、複数のクロスユニットを連結した上部伸縮アーム11と、複数のクロスユニットを連結した下部伸縮アーム12と、上下の伸縮アーム11,12の間隔を可変に連結する縦方向連結部材81と、図示を省略した面状部材とを備えている。
【0044】
縦方向連結部材81は、複数のX字状のクロスユニットを連結した伸縮アームであり、その一方端が上部伸縮アームの端部連結軸11dに連結され、他方端が下部伸縮アームの端部連結軸12dに連結されている。
【0045】
縦方向連結部材81を構成する縦方向伸縮アームが上下方向を直線的に伸縮動作するように、上部伸縮アーム11の端部連結軸11dに鉛直方向下方に延びる上部案内部材82が設けられ、下部伸縮アーム12の端部連結軸12dに鉛直方向上方に延びる下部案内部材83が設けられている。上部案内部材82は、直下に位置する中央連結軸11cを受け入れる案内溝を有し、この中央連結軸11cが鉛直方向を直線的に移動するように案内する。下部案内部材83は、直上に位置する中央連結軸11cを鉛直方向を直線的に移動するように案内する。
【0046】
図示を省略した面状部材は、上部伸縮アーム11の第2剛性部材11bの全長部分と、下部伸縮アーム12の第2剛性部材12bの全長部分とを面状に接続するものである。図示した実施形態では、上下の伸縮アームの間隔が可変であるので、面状部材も上下方向高さが可変である。面状部材の上下方向高さを可変とするための構造例として、例えば、面状部材を蛇腹形状にすることが考えられる。あるいは、上部または下部の第2剛性部材11b、12bに沿ってシート巻き取りロールを取り付け、この巻き取りロールから柔軟性シートを引き出したり、ロールに柔軟性シートを巻き取るようにしても良い。
【0047】
さらに他の例として、
図27に示すように、複数の板材84,85,86で面状部材を構成しても良い。この場合、複数の板材は、互いに対して重なり合う折畳位置(
図27(a))と、互いが同一平面上に連なる展開位置(
図27(c))とをとり得るように構成されている。
図27(b)は、途中の位置を示している。複数の板材が重なっている状態から同一平面上に連なる展開位置への意向をスムーズに行うために、各板材84,85,86の端部に面取りを施すのが好ましい。
【0048】
図28は、
図26に示す伸縮アームを複数個用いて形成した多角形の伸縮アーム構造体を示す斜視図である。
図28に示す伸縮アーム構造体90が、
図13に示した伸縮アーム構造体50と異なるのは、縦方向連結部材および面状部材が高さ方向に可変である点だけである。
【0049】
図29は、さらに他の実施形態に係る伸縮アーム構造体を示している。図示する伸縮アーム構造体100は、上部伸縮アーム101および下部伸縮アーム102の伸縮動作に連動して、上部伸縮アーム101と下部伸縮アーム102との間隔も変化するように構成している。これを実現するために、上下の伸縮アームを連結する縦方向連結部材として、第1縦方向伸縮アーム103を備える。
【0050】
上部伸縮アーム101は、中央連結軸101cを介して回動可能に連結された第1剛性部材101aおよび第2剛性部材101bからなるクロスユニットを備えている。隣接する2つのクロスユニットは、2個の端部連結軸101dを介して回動可能に連結されている。
【0051】
同様に、下部伸縮アーム102は、中央連結軸102cを介して回動可能に連結された第1剛性部材102aおよび第2剛性部材102bからなるクロスユニットを備えている。隣接する2つのクロスユニットは、2個の端部連結軸102dを介して回動可能に連結されている。
【0052】
第1縦方向伸縮アーム103は、X字状のクロスユニットを備える伸縮アームであり、その上方端が上部伸縮アーム101の2個の端部連結軸101dに回動可能に連結され、その下方端が下部伸縮アーム102の2個の端部連結軸102dに回動可能に連結されている。
【0053】
図示した実施形態に係る伸縮アーム構造体101は、上部伸縮アーム101の第2剛性部材101bと下部伸縮アーム102の第2剛性部材102bとを平行な関係で支え、さらにそれらの間隔を可変にする第2縦方向伸縮アーム104を備える。
【0054】
第2縦方向伸縮アーム104は、第1剛性部材104aと第2剛性部材104bとからなるX字状のクロスユニットを備える伸縮アームである。上方に位置するクロスユニットの第1剛性部材104aおよび第2剛性部材104bの上方端は上部伸縮アーム101の第2剛性部材101bに連結され、下方に位置するクロスユニットの第1剛性部材104aおよび第2剛性部材104bの下方端は下部伸縮アーム102の第2剛性部材102bに連結されている。その連結の態様は以下の通りである。
【0055】
第2縦方向伸縮アーム104の上方の第1剛性部材104aの上方端は上部伸縮アーム101の第2剛性部材101bに定点で回動可能に連結され、上方の第2剛性部材104bの上方端は上部伸縮アーム101の第2剛性部材101bに回動可能に連結されるとともに、第2剛性部材101bに沿ってスライドし得るように連結されている。第2縦方向伸縮アーム104の下方の第2剛性部材104bの下方端は下部伸縮アーム102の第2剛性部材102bに定点で回動可能に連結され、下方の第1剛性部材104aの下方端は下部伸縮アーム102の第2剛性部材102bに回動可能に連結されるとともに、第2剛性部材102bに沿ってスライドし得るように連結されている。
【0056】
図示していないが、上部伸縮アーム101の第2剛性部材101bの全長部分と下部伸縮アーム102の第2剛性部材102bの全長部分との間に高さ可変の面状部材が設けられる。高さ可変の面状部材として、例えば、蛇腹状のシート部材、ロールに巻かれたシート部材、複数の板材からなる構造等を採用できる。
【0057】
図29の伸縮アーム構造体100の動作は以下の通りである。上下の伸縮アーム101,102が伸長すれば、第1縦方向伸縮アーム103も連動して伸長し、それに伴って第2縦方向伸縮アーム104も伸長する。逆に、上下の伸縮アーム101,102が縮小すれば、第1縦方向伸縮アーム103も連動して伸長し、それに伴って第2縦方向伸縮アーム104も縮小する。
【0058】
図29の実施形態では、上下の伸縮アームおよび縦方向伸縮アームが連動して伸長し、かつ連動して縮小するものであったが、縦方向伸縮アームの上端および下端を上下の伸縮アームの長手方向に隣接する2個の中央連結軸または2個の端部連結軸に連結するようにすれば、上下の伸縮アームの伸長動作に連動して縦方向伸縮アームが縮小動作を行い、上下の伸縮アームの縮小動作に連動して縦方向伸縮アームが伸長動作を行うようになる。
【0059】
図30は、他の実施形態に係る伸縮アーム構造体110を示している。
図30に示す伸縮アーム構造体110が、
図29に示した伸縮アーム構造体100と異なっているのは、第1縦方向伸縮アームの形状だけである。
【0060】
図示する伸縮アーム構造体100の第1縦方向伸縮アーム120は、V字状に屈曲した第1屈曲剛性部材121と、逆向きのV字状に屈曲した第2屈曲剛性部材122と、第1屈曲剛性部材121の屈曲部と第2屈曲剛性部材の屈曲部とを回動可能に連結する屈曲部連結軸123とを有する屈曲ユニットを2個備える。2個の屈曲ユニットは、その端部同士が回動可能に連結されている。
【0061】
第1縦方向伸縮アーム120の上方端は、上部伸縮アーム101の長手方向に隣接する2個の中央連結軸101cに回動可能に連結される。また、第1縦方向伸縮アーム120の下方端は、下部伸縮アーム102の長手方向に隣接する2個の中央連結軸102cに回動可能に連結されている。
【0062】
図30に示した伸縮アーム構造体によれば、
図29に示した伸縮アーム構造体と同様に、上下の伸縮アームの伸縮動作と、縦方向連結部材の伸縮動作とを連動させることができる。
【0063】
以上、図面を参照してこの発明のいくつかの実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更を加えることが可能である。
【0064】
例えば、
図26または
図28の実施形態に、
図29に示した第1縦方向伸縮アーム103や、
図30に示した第1縦方向伸縮アーム120を適用しても良い。