特許第6943463号(P6943463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6943463金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943463
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 9/08 20060101AFI20210916BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
   D01F9/08 D
   B22D17/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-117165(P2019-117165)
(22)【出願日】2019年6月25日
(65)【公開番号】特開2021-4420(P2021-4420A)
(43)【公開日】2021年1月14日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】519231201
【氏名又は名称】株式会社U・M・R
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】安宅 榮治
(72)【発明者】
【氏名】上村 誠
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−249247(JP,A)
【文献】 特開2001−166780(JP,A)
【文献】 特開昭54−035130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 9/08
B22D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間部が形成された器具本体を備え、
前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有し、
前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、
前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている、金属繊維製造用器具。
【請求項2】
前記線状空間部は、前記柱状空間部に連通する第一線状空間部と、前記第一線状空間部に連通する第二線状空間部とを有しており、
前記第二線状空間部の通路断面積は、前記第一線状空間部の通路断面積よりも小さくなっており、前記第一線状空間部から前記第二線状空間部への間の部分において通路が絞られている、請求項1に記載の金属繊維製造用器具。
【請求項3】
前記器具本体の内部の前記空間部は、前記柱状空間部及び前記線状空間部を囲うように配置され、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる前記線状空間部の先端に連通する環状空間部を有する、請求項1又は2に記載の金属繊維製造用器具。
【請求項4】
前記器具本体は、不活性ガスを前記空間部に供給する不活性ガス供給路を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属繊維製造用器具。
【請求項5】
内部に空間部が形成された器具本体を有する金属繊維製造用器具と、
溶融させた金属を前記器具本体の内部の前記空間部に注入する注入ユニットと、を備え、
前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有し、
前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、
前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている、金属繊維製造装置。
【請求項6】
前記線状空間部は、前記柱状空間部に連通する第一線状空間部と、前記第一線状空間部に連通する第二線状空間部とを有しており、
前記第二線状空間部の通路断面積は、前記第一線状空間部の通路断面積よりも小さくなっており、前記第一線状空間部から前記第二線状空間部への間の部分において通路が絞られている、請求項5に記載の金属繊維製造装置。
【請求項7】
前記器具本体の内部の前記空間部は、前記柱状空間部及び前記線状空間部を囲うように配置され、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる前記線状空間部の先端に連通する環状空間部を有する、請求項5又は6に記載の金属繊維製造装置。
【請求項8】
前記器具本体は、不活性ガスを前記空間部に供給する不活性ガス供給路を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の金属繊維製造装置。
【請求項9】
内部に空間部が形成された器具本体を有する金属繊維製造用器具を用いて金属繊維を製造する方法であって、
前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有し、前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている、金属繊維の製造方法において、
溶融させた金属を前記器具本体の内部の前記空間部に注入し、前記空間部において金属を固化させるステップと、
前記器具本体の内部の前記空間部において固化させた金属から、前記線状空間部において繊維状に固化した金属を取り出すことにより金属繊維を得るステップとを含む、金属繊維の製造方法。
【請求項10】
溶融させた金属を前記器具本体の内部の前記空間部に注入する前に、不活性ガスを前記空間部に供給するステップを含む、請求項9に記載の金属繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属繊維は、金属を細くして繊維状にした細線であり、直径が例えば10μm〜200μm程度のものである。
【0003】
このような金属繊維の製造方法としては、溶融紡糸法、切削法、線引き法等が知られている。これらの金属繊維の製造方法の内、溶融紡糸法は、原料となる金属材料を加熱して溶融させ、紡糸口金(ノズル)から一定速度で空気又は水の中に押し出し、繊維状に固化させて、金属繊維を製造する方法である。
【0004】
このような溶融紡糸法を適用した金属繊維製造装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−82411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、溶融紡糸法を適用した金属繊維製造装置においては、マグネシウム合金及びチタニウム合金等の空気との反応性が比較的高い金属材料(活性金属)から金属繊維を効率よく製造することは非常に困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、金属繊維を活性金属から効率よく製造することができる金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る金属繊維製造用器具は、内部に空間部が形成された器具本体を備え、前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有する。前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている。
【0009】
本発明の一態様に係る金属繊維製造装置は、内部に空間部が形成された器具本体を有する金属繊維製造用器具と、溶融させた金属を前記器具本体の内部の前記空間部に注入する注入ユニットと、を備える。前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有する。前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている。
【0010】
本発明の一態様に係る金属繊維の製造方法は、内部に空間部が形成された器具本体を有する金属繊維製造用器具を用いて金属繊維を製造する方法であって、前記器具本体の内部の前記空間部は、中空柱状に形成された柱状空間部と、前記柱状空間部の外周から外方に向かって延びる線状空間部とを有し、前記線状空間部は、前記柱状空間部の周方向に間隔をおいて複数形成されており、前記線状空間部はそれぞれ、前記柱状空間部の中心軸と直交する面上において屈曲して曲線状に延びている。金属繊維の製造方法は、溶融させた金属を前記器具本体の内部の前記空間部に注入し、前記空間部において金属を固化させるステップと、前記器具本体の内部の前記空間部において固化させた金属から、前記線状空間部において繊維状に固化した金属を取り出すことにより金属繊維を得るステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、金属繊維を活性金属から効率よく製造することができる金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る金属繊維製造装置の概略的な図である。
図2】金属繊維製造用器具の固定側器具を分割面側から見た概略的な斜視図である。
図3】金属繊維製造用器具の可動側器具を分割面側から見た概略的な斜視図である。
図4】金属繊維製造用器具の内部の空間部を注入口とは反対側から見た概略的な斜視図である。
図5】金属繊維製造用器具の内部の空間部を注入口とは反対側から見た概略的な平面図である。
図6図4に対応する、空間部において固化された金属の概略的な斜視図である。
図7図5に対応する、空間部において固化された金属の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0014】
[金属繊維製造用器具、及び金属繊維製造装置]
図1に示すように、金属繊維製造装置1は、注入ユニット2と、不活性ガス供給部3と、金属繊維製造用器具(以下、単に「製造用器具」という。)10と、を備える。
【0015】
金属繊維製造装置1は、特にマグネシウム合金及びチタニウム合金等の活性金属から金属繊維を製造することを目的とする装置である。
【0016】
先ず、注入ユニット2及び不活性ガス供給部3について説明する。
【0017】
注入ユニット2としては、鋳造方法の一種であるチクソモールディングにおける射出成形機の高速射出ユニットを用いることができる。この射出成形機の高速射出ユニット自体は、公知のものである。
【0018】
注入ユニット2は、シリンダー4と、原料ホッパー5と、スクリュー6と、ヒーター7とを有して構成される。
【0019】
原料ホッパー5からシリンダー4の内部に導入された金属材料(金属チップ)は、ヒーター7によってシリンダー4の内部で加熱して溶融され、液相成分と固相成分とが共存する半溶融状態(チクソトロピー)とされる。そして、半溶融状態とされた金属材料が、スクリュー6による押し出しによって、製造用器具10の内部の空間部11へ比較的高速で注入される。
【0020】
なお、注入ユニット2としては、鋳造方法の一種であるチクソモールディングにおける射出成形機の高速射出ユニットに限定はされず、鋳造方法の一種であるダイカストにおけるダイカストマシンの射出ユニットを用いることもできる。このダイカストマシンの射出ユニット自体は、公知のものである。
【0021】
不活性ガス供給部3は、アルゴンガス及び窒素ガス等の不活性ガスを製造用器具10の内部の空間部11に注入するためのものである。不活性ガス供給部3は、例えば、不活性ガスが貯留されるガスタンクから構成される。
【0022】
次に、製造用器具10について説明する。
【0023】
製造用器具10は、鋳造装置における金型に対応し得るものであり、内部に空間部11が形成された器具本体12を備える。器具本体12は、固定側器具13と、可動側器具14とを有して構成される。
【0024】
器具本体12は、分割面15,16(図2及び図3参照)において固定側器具13と可動側器具14とに分割される。これらの固定側器具13と可動側器具14とは、分割面15,16が相互に当接する状態で、器具本体12の内部に空間部11を形成する。
【0025】
器具本体12(固定側器具13及び可動側器具14)は、鋳造装置における金型と同様の材質により形成されることが可能であり、例えば、耐熱性及び耐摩耗性を有する金属材料により形成される。
【0026】
図2に示すように、固定側器具13は、直方体形状に形成される。固定側器具13は、分割面15とは反対側の面に形成される注入口17を有する。また、固定側器具13は、注入口17に連なり、空間部11の一部分を形成する穴部18を有する。固定側器具13は、固定盤8に固定され、固定側器具13の注入口17が、注入ユニット2のシリンダー4のノズル4a(図1参照)に連結される。
【0027】
図3に示すように、可動側器具14は、直方体形状に形成される。可動側器具14は、空間部11の一部分を形成するために分割面16に凹設される凹部20を有する。凹部20は、後述する柱状空間部21の一部を形成する柱状凹部20aと、後述する線状空間部22を形成する線状溝20bと、後述する環状空間部23を構成する内周側環状溝20cとを有して構成される。可動側器具14は、移動盤9(図1参照)に装着され、移動盤9によって、分割面15,16を開閉可能に固定側器具13に対して移動される。
【0028】
また、可動側器具14は、不活性ガス供給部3からの不活性ガスを空間部11に供給する不活性ガス供給路19を有する。不活性ガス供給路19は、内周側環状溝20cよりもさらに外方に形成される外周側環状溝19aと、外周側環状溝19aと内周側環状溝20cとを繋ぐスリット19bと、外周側環状溝19aに連通するガス導入用孔19cとを有して構成される。なお、不活性ガス供給路19は、固定側器具13に形成されてもよい。
【0029】
次に、図4及び図5を用いて、製造用器具10の器具本体12の内部に形成される空間部11について説明する。
【0030】
図4及び図5においては、製造用器具10の器具本体12の形状を示しておらず、空間部11の形状のみを示している。
【0031】
図4及び図5に示すように、製造用器具10の器具本体12の内部に形成される空間部11は、柱状空間部21と、線状空間部22と、環状空間部23とを有して構成される。
【0032】
柱状空間部21は、中空柱状(本実施形態では、中空円柱状)に形成される。柱状空間部21は、鋳造装置における金型でいうところのスプルーに対応し得る箇所であり、注入口17から導入された金属材料が柱状空間部21に最初に流れ込む。
【0033】
線状空間部22は、線状に形成される。線状空間部22は、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる。線状空間部22は、柱状空間部21の周方向に間隔をおいて複数形成される。また、線状空間部22は、直線状に延びているのではなく、柱状空間部21の中心軸CLと直交する面上において屈曲して曲線状に延びている。
【0034】
線状空間部22は、鋳造装置における金型でいうところのランナーに対応し得る箇所である第一線状空間部24と、鋳造装置における金型でいうところのキャビティに対応し得る箇所である第二線状空間部25とを有する。第二線状空間部25の通路断面積は、第一線状空間部24の通路断面積よりも小さくなっており、第一線状空間部24から第二線状空間部25への間の部分において通路が絞られている。
【0035】
環状空間部23は、環状(本実施形態では、円環状)に形成される。環状空間部23は、柱状空間部21及び線状空間部22を囲うように配置され、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる線状空間部22の先端22aに連通する。
【0036】
[金属繊維の製造方法]
次に、本実施形態に係る金属繊維の製造方法について説明する。
【0037】
先ず、製造用器具10の可動側器具14を移動盤9により移動させて、分割面15,16を相互に接触させて閉じる。
【0038】
次に、分割面15,16を相互に接触させて閉じた状態において、溶融させた金属を製造用器具10の内部の空間部11に注入する前に、不活性ガスを不活性ガス供給部3から空間部11に供給する。これにより、空間部11の内部は不活性ガス雰囲気とされる。
【0039】
次に、温度が600℃程度の溶融させた金属を注入ユニット2を用いて製造用器具10の内部の空間部11に注入する。
【0040】
空間部11に注入された半溶融状態の金属は、柱状空間部21から線状空間部22へ流入する。半溶融状態の金属は、線状空間部22の第一線状空間部24から第二線状空間部25に流入する際に固化が促進され、固化した金属が、繊維状に延びて線状空間部22の先端22a側へと伸長(成長)する。線状空間部22において固化した金属は、ある程度の長さになると、その先端部が環状空間部23へと進入して収容される。
【0041】
次に、製造用器具10の可動側器具14を移動盤9により移動させて、分割面15,16を互いから離隔させて開いて、図6及び図7に示すような固化した金属26を製造用器具10の内部の空間部11から取り外す。
【0042】
そして、図6及び図7に示すような固化した金属26から、線状空間部22の第二線状空間部25において繊維状に固化した金属27を取り出す(切り出す)ことにより、金属繊維Aを得ることができる。得られる金属繊維Aの長さは、数cm〜数m程度である。
【0043】
本実施形態に係る金属繊維の製造方法においては、所謂バッチ式を採用しており、前述の工程が繰り返し行われる。
【0044】
[金属板材の成形]
前述のように、金属繊維が、本実施形態の金属繊維製造装置1を用いて製造される。
【0045】
製造された金属繊維は、例えば、積層され、金型を用いてプレス成形される。これにより、高強度金属材料を原料とする金属繊維から、例えば車両のドアパネル及びルーフパネル等の比較的大型の金属板材(大型成形品)を製造することが可能である。このため、金属繊維を、従来の用途である、フィルター及び保温材等の小型構造物の材料としてだけでなく、新しい用途である、車両のドアパネル及びルーフパネル等の大型構造物の材料として用いることが可能になる。
【0046】
以下、本実施形態による作用効果を説明する。
【0047】
(1)製造用器具10は、内部に空間部11が形成された器具本体12を備える。器具本体12の内部の空間部11は、中空柱状に形成された柱状空間部21と、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる線状空間部22とを有する。
【0048】
柱状空間部21は、鋳造装置における金型でいうところのスプルーに対応し得る箇所であり、線状空間部22が、鋳造装置における金型でいうところのランナー及びキャビティに対応し得る箇所である。
【0049】
このような線状空間部22を製造用器具10が有することにより、溶融させた金属を製造用器具10の内部の線状空間部22で冷却、固化させるため、空気との反応性が比較的高い活性金属から金属繊維を効率よく製造することが可能である。
【0050】
(2)器具本体12の内部の空間部11は、柱状空間部21及び線状空間部22を囲うように配置され、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる線状空間部22の先端22aに連通する環状空間部23を有する。
【0051】
このような環状空間部23を製造用器具10が有することにより、線状空間部22において固化した金属は、ある程度の長さになると、その先端部が環状空間部23へと進入して収容されるため、繊維状に延びる金属の伸長(成長)が妨げられることがない。
【0052】
(3)器具本体12は、不活性ガスを空間部11に供給する不活性ガス供給路19を有する。
【0053】
不活性ガス供給路19を製造用器具10が有することにより、空間部11の内部を予め不活性ガス雰囲気に置換することができるため、空気との反応性が比較的高い活性金属から金属繊維を効率よく製造することが可能である。
【0054】
(4)金属繊維製造装置1は、内部に空間部11が形成された器具本体12を有する製造用器具10と、溶融させた金属を器具本体12の内部の空間部11に注入する注入ユニット2と、を備える。器具本体12の内部の空間部11は、中空柱状に形成された柱状空間部21と、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる線状空間部22とを有する。
【0055】
柱状空間部21は、鋳造装置における金型でいうところのスプルーに対応し得る箇所であり、線状空間部22が、鋳造装置における金型でいうところのランナー及びキャビティに対応し得る箇所である。
【0056】
このような線状空間部22を製造用器具10が有することにより、溶融させた金属を製造用器具10の内部の線状空間部22で冷却、固化させるため、空気との反応性が比較的高い活性金属から金属繊維を効率よく製造することが可能である。
【0057】
(5)器具本体12の内部の空間部11は、柱状空間部21及び線状空間部22を囲うように配置され、柱状空間部21の外周から外方に向かって延びる線状空間部22の先端22aに連通する環状空間部23を有する。
【0058】
このような環状空間部23を製造用器具10が有することにより、線状空間部22において固化した金属は、ある程度の長さになると、その先端部が環状空間部23へと進入して収容されるため、繊維状に延びる金属の伸長(成長)が妨げられることがない。
【0059】
(6)器具本体12は、不活性ガスを空間部11に供給する不活性ガス供給路19を有する。
【0060】
不活性ガス供給路19を製造用器具10が有することにより、空間部11の内部を予め不活性ガス雰囲気に置換することができるため、空気との反応性が比較的高い活性金属から金属繊維を効率よく製造することが可能である。
【0061】
ところで、本発明の金属繊維製造用器具、金属繊維製造装置、及び金属繊維の製造方法は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 金属繊維製造装置
2 注入ユニット
10 金属繊維製造用器具
11 空間部
12 器具本体
13 固定側器具
14 可動側器具
19 不活性ガス供給路
21 柱状空間部
22 線状空間部
23 環状空間部
26 固化した金属
27 繊維状に固化した金属
A 金属繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7