(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6943489
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】バイオマスバーナー
(51)【国際特許分類】
F23B 30/04 20060101AFI20210916BHJP
F23G 5/20 20060101ALI20210916BHJP
【FI】
F23B30/04ZAB
F23G5/20 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-76435(P2020-76435)
(22)【出願日】2020年4月23日
【審査請求日】2021年4月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509349118
【氏名又は名称】有限会社長岡鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】長岡 喜洸
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−096446(JP,A)
【文献】
特開2001−254082(JP,A)
【文献】
特開昭55−160205(JP,A)
【文献】
特許第134598(JP,C2)
【文献】
登録実用新案第3142548(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3095138(JP,U)
【文献】
実開昭49−137381(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 30/04
F23G 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、内側空間が固体状燃焼物の燃焼室として設けられ、筒の軸心を中心に回転する回転筒状炉と、
前記回転筒状炉を、前記軸心が水平方向に延びるように受けて支持すると共に回転自在に受けるように、該回転筒状炉の外周に接するローラを備える複数のローラ受部と、
前記回転筒状炉を、前記軸心を中心に回転駆動させる回転駆動装置と、
前記回転筒状炉の一端を塞ぐように基部の側に固定されて配された筒端閉塞部と、
前記固体状燃焼物を前記燃焼室へ供給できるように、前記筒端閉塞部を貫通して設けられた供給路を備える燃焼物供給装置とを備えるバイオマスバーナーであって、
前記回転筒状炉の周壁に埋め込まれた状態に設けられ、長手方向に延びる複数の延長管部と、該延長管部から前記燃焼室内へエアを導くように接続されて該燃焼室内へ開口する複数のエア吐出管部とを備えるエア配管と、
前記エア配管にエアを送るように、前記筒端閉塞部を含めて前記回転筒状炉の一端の側を内包するように包囲壁に囲まれることで設けられ、前記複数の延長管部に連通する空圧室と、
前記空圧室へエアを供給する送風機とを具備し、
前記回転筒状炉の周壁の内周面が、前記筒端閉塞部の側から軸心の延長方向へ向かってテーパ状に拡径して設けられ、
前記燃焼物供給装置が、軸心が水平になるように配されたスクリューコンベアであって、前記固体状燃焼物を前記燃焼室へ供給する投入口が、該燃焼室の上側であって前記燃焼室の内部へ入り込んだ位置で開口して設けられ、
前記投入口の真下の前記燃焼室へバーナーノズルの先端が臨むように設けられた点火バーナーを備えることを特徴とするバイオマスバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、草木有機物(バイオマス)のチップ状、粒状、繊維状や粉状などの固体状燃焼物であって、所要の大きさよりも小さく形成された状態のものであるためフィーダーで自動的に移送することが可能な固体状燃焼物を、効果的に燃焼することができるバイオマスバーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマス燃料の燃焼装置としては、例えば、本出願人が、円筒状燃焼室を形成する外円筒部と、外円筒部の下側に連続して設けられた灰回収用ホッパー部と、平面形態円形のポット状に形成され、外円筒部の内周面と全周に亘って空隙が生じるように配され、底部を含むポット下部が固体燃料の被供給部として設けられると共に、空気供給孔部が設けられた燃焼用ポットと、燃焼用ポットの中央部に燃焼用の加圧空気を供給するように、先端部に加圧空気が噴出する複数の空気排出孔を備え、外円筒部の壁から挿入された状態に配された空気供給用パイプとを具備する(特許文献1参照)固体燃料の燃焼装置及びボイラー装置を提案してある。これによれば、クリンカーの発生を可及的に防止するように、燃焼温度を高めて燃焼効率を向上できる。
【0003】
また、関連技術として、表面を無機質粘結材で被覆した可燃物或いは可燃物を含む材料を原料とし、該原料を、筒状の炉部内を該炉部の一端側にある投入口側から他端側にある排出口側へ送り、該原料の送り方向とは反対方向から着火させ、炉部の排出口側で前記可燃物を炭化させるべく、前記筒状の炉部を、軸線を中心に回転させる回転駆動装置と、前記炉部内に配され、前記原料を炉部の一端側にある投入口側から他端側にある排出口側へ送る螺旋状の送り羽根とを備える炭化炉において、前記送り羽根は、前記炉部の軸線に沿って中央部に中空流路が形成されるように、帯状の部材が炉部の内周面に固定されて螺旋状に設けられ、炉部の前記投入口側の区間において、送り羽根における螺旋の1ピッチの間隔に相当する隣り合う部位同士の間には、原料を掻き上げることのできる掻き上げ用羽根が設けられ、前記炉部は、金属材からなる筒状の内筒部材と、金属材からなり、前記内筒部材が内部に挿入されて二重筒を形成するために内筒部材よりも大径に設けられた筒状の外筒部材と、前記内筒部材と外筒部材との間隙に設けられた断熱材層とから成り、前記内筒部材は、加熱された際に前記外筒部材に対して熱膨張による伸長分を逃がすように、外筒部材に一端側で固定されて支持されると共に、他端側が長手方向にスライド可能に支持されていることを特徴とする炭化炉(特許文献2参照)が提案されている。これによれば、原料を適切に送り、炭化物を効率よく焼成できる利点はあるが、燃焼効果を向上できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−211255号公報(第1頁)
【特許文献2】特許第4118379号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオマスバーナーに関して解決しようとする問題点は、従来の燃焼装置では、バイオマスを燃焼する際には、クリンカーが発生し易く、燃焼が阻害されると共に灰の流動性が阻害されて灰の排出が詰まるため、そのクリンカーを含んだ灰を除去するために頻繁に運転を止めてメンテナンスしなければならないことに課題があり、効率的な燃焼ができない点にある。
そこで本発明の目的は、クリンカーの発生をより抑制するために燃焼温度をより高温にでき、固体状燃焼物をより長時間に渡って継続して燃焼させることができるバイオマスバーナーを提供することことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるバイオマスバーナーの一形態によれば、筒状に形成され、内側空間が固体状燃焼物の燃焼室として設けられ、筒の軸心を中心に回転する回転筒状炉と、前記回転筒状炉を、前記軸心が水平方向に延びるように受けて支持すると共に回転自在に受けるように、該回転筒状炉の外周に接するローラを備える複数のローラ受部と、前記回転筒状炉を、前記軸心を中心に回転駆動させる回転駆動装置と、前記回転筒状炉の一端を塞ぐように基部の側に固定されて配された筒端閉塞部と、前記固体
状燃焼物を前記燃焼室へ供給できるように、前記筒端閉塞部を貫通して設けられた供給路を備える燃焼物供給装置とを備えるバイオマスバーナーであって、前記回転筒状炉の周壁に埋め込まれた状態に設けられ、長手方向に延びる複数の延長管部と、該延長管部から前記燃焼室内へエアを導くように接続されて該燃焼室内へ開口する複数のエア吐出管部とを備えるエア配管と、前記エア配管にエアを送るように、前記筒端閉塞部を含めて前記回転筒状炉の一端の側を内包するように包囲壁に囲まれることで設けられ、前記複数の延長管部に連通する空圧室と、前記空圧室へエアを供給する送風機とを具備
し、前記回転筒状炉の周壁の内周面が、前記筒端閉塞部の側から軸心の延長方向へ向かってテーパ状に拡径して設けられ、前記燃焼物供給装置が、軸心が水平になるように配されたスクリューコンベアであって、前記固体状燃焼物を前記燃焼室へ供給する投入口が、該燃焼室の上側であって前記燃焼室の内部へ入り込んだ位置で開口して設けられ、前記投入口の真下の前記燃焼室へバーナーノズルの先端が臨むように設けられた点火バーナーを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるバイオマスバーナーによれば、クリンカーの発生をより抑制するために燃焼温度をより高温にでき、固体状燃焼物をより長時間に渡って継続して燃焼させることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかるバイオマスバーナーの形態例を示す縦断面図である。
【
図2】本発明にかかるバイオマスバーナーの形態例を示す横断面図(
図1のA−A線断面図)である。
【
図3】本発明にかかるバイオマスバーナーの形態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかるバイオマスバーナーの形態例を添付図面(
図1〜3)に基づいて詳細に説明する。本形態例のバイオマスバーナーは、草木有機物(バイオマス)などであって、例えばチップ状、粒状、繊維状や粉状などの固体状燃焼物を、効果的に燃焼させるための燃焼装置である。
【0012】
なお、チップ状、粒状、繊維状や粉状などのバイオマスとは、例えば、刈り取られ破砕された草、木材チップやオガ粉などの草質材や木質材の細分化された固体物や、籾殻などの元々粒状や粉状の流動性のある固体物である。また、以上の細分化された固体を流動性があるように適度に団粒化(ペレット化)したものや、きのこの菌床栽培で発生するきのこ廃培地や生ゴミ等の有機廃棄物を原料として粉粒状に乾燥させたものなども含まれる。つまり、所要の大きさよりも小さく形成された状態のものであって、フィーダー(固体燃料供給装置)で自動的に移送することが可能なバイオマス(固体状燃焼物)であればよい。
【0013】
10は回転筒状炉であり、筒状に形成され、内側空間が固体状燃焼物の燃焼室11として設けられ、筒の軸心を中心に回転するように設けられている。本形態例では、燃焼室11としての内側空間を区画する内周面12aが、後述するように固体状燃焼物(固体燃料)の送り方向へ徐々に拡径するテーパ状に設けられている。また、本形態例の回転筒状炉10の周壁12は、その外周壁(外周面12b)が鋼板で形成され、その内周壁13が、耐熱性セメントなどから成るキャスターによって形成されている。従って、その内周壁13は、所要の厚さがあり、耐熱性が高いと共に、所要の高い保温性を備えている。なお、本形態例では、回転筒状炉10の両端が、外周に径方向外側へ張り出す部分を備えるフランジ状の部材15a、15bによって補強されており、その回転筒状炉10の端面円形の形態を保持(保形)できるように形成されている。
【0014】
本発明は、これに限定されることなく、回転筒状炉10は、円筒状であって、内側空間が形成される周壁の縦断面の端面形状が平行に設けられていてもよい。なお、回転筒状炉10が、そのような円筒状に設けられた場合は、固体燃料を、その回転筒状炉10の根元部である一端側(固体燃料の供給側16)から、排出部である他端側(固体燃料が燃焼した後の灰を排出する側17)へ送るため、例えば、特許文献2に開示されているような螺旋状の送り羽根を設けるとよい。なお、その螺旋状の送り羽根は、連続的であるだけでなく、適宜断続的であっても良いのは勿論である。
【0015】
20ローラ受部であり、回転筒状炉10を、前記軸心が水平方向に延びるように受けて支持すると共に回転自在に受けるように、回転筒状炉10の外周に接するローラ21を備えるもので、複数が配されている。本形態例では、回転筒状炉10の外周を補強するリング状に形成された部分であって軸方向に間隔をおいて二つが設けられたリング状補強部18に対応して二台ずつの四台が配されている。すなわち、一対のローラ受部20、20が、基部100に固定されて配され、一つのリング状補強部18に対して、そのリング状補強部18の外周の下側部の二点に当接して支持するように、前記軸心を中心に対称位置の両側にローラ21が接触された状態に配されている。そして、このように一対のローラ受部20、20がセットになって、二つのリング状補強部18のそれぞれに対して配された構成になっている。
【0016】
30は回転駆動装置であり、回転筒状炉10を、軸心を中心に回転駆動させるように構成されている。本形態例の回転駆動装置30は、ギャードモータ31、モータ側のスプロケット32、回転筒状炉10の外周に形成されたスプロケット状部33、そのスプロケット状部33及びモータ側のスプロケット32に掛け回されたチェーン34などから構成されている。なお、この回転駆動装置30は、本形態例に限定されるものではなく、他の既知の駆動手段を用いてもよいのは勿論である。
【0017】
40は筒端閉塞部であり、回転筒状炉10の一端を塞ぐように基部100の側に固定されて配された状態に設けられている。本形態例の筒端閉塞部40は、外形が円盤状に形成され、後述する空圧室70を構成する包囲壁71の端壁71aに支持片73を介して固定されており、回転筒状炉10の一端面として形成されているリング状平面14の部分に、同心円でリング状に重なるように形成されている。また、本形態例の筒端閉塞部40は、後述するエア配管60の燃焼用空気の供給側の開口端62を塞がないように、回転筒状炉10の外径よりも小さな直径の外径になっている。さらに、本形態例の筒端閉塞部40は、その外端壁(外端面41)が鋼板で形成され、その内端壁42が、耐熱性セメントなどから成るキャスターによって形成されている。従って、その内端壁42は、所要の厚さがあり、耐熱性が高いと共に、所要の高い保温性を備えている。
【0018】
50は燃焼物供給装置であり、固体
状燃焼物を燃焼室11へ供給できるように、筒端閉塞部40に設けられた貫通孔を貫通して設けられた供給路51を備える。本形態例の燃焼物供給装置50は、スクリューコンベアであり、燃料用ホッパー52から固体状燃焼物(固体燃料)を燃焼室11へ供給する手段として、供給路51を構成して固体燃料を送るための筒体53とその筒体53に挿入されたスクリュー54とを備える。55は、そのスクリュー54を回転駆動させる駆動モータ装置である。なお、本形態例では、このスクリューコンベアのスクリュー54は、その軸心が水平になるように配されており、固体燃料が、筒体53内を通って水平に送られる構造になっている。
【0019】
60はエア配管であり、回転筒状炉10の耐熱性セメントによって設けられた周壁12に埋め込まれた状態に設けられ、長手方向に延びる複数の延長管部61と、その延長管部61から燃焼室11内へエアを導くように接続されてその燃焼室11内へ開口する複数のエア吐出管部63とを備える。本形態例では、延長管部61にエア吐出管部63が連通するように直角に接続されている。また、本形態例では、具体例として
図1に示すように、円周等分の角度位置に設けられた12本の延長管部61と、その延長方向に200mm程度間隔で設けられた11本のエア吐出管部63とによって構成されているが、これに限定されず、その延長方向の間隔の長短や、間隔の粗密勾配などを、適宜に調整・設定できるのは勿論である。
【0020】
70は空圧室であり、エア配管60にエアを送るように、筒端閉塞部40を含めて回転筒状炉10の一端の側を内包するように包囲壁71に囲まれることで設けられ、前記複数の延長管部61に連通するように形成されている。また、80は送風機であり、空圧室70へエアを供給するように、その送風機80のエアの供給口81が空圧室70に接続され、基部100上に固定されて配されている。
【0021】
これによれば、燃焼用空気のエア供給源としての送風機80から、空圧室70に加圧空気が導入されることになり、その空圧室70で加圧空気が貯留されることで空気圧が安定化され、その加圧空気が、複数の延長管部61内へ可及的に均等に流入し、さらにその各延長管部61から複数のエア吐出管部63を通って燃焼室11内へ噴出される。なお、この送風機80は、所要の風量の加圧空気を調整可能に供給できるように風量調整手段を備えることができる。
【0022】
このため、本形態例によれば、燃焼室11に供給された固体燃料へ、新鮮な空気を好適に送ることができ、燃焼効率を向上させ、燃焼温度を高めることで、クリンカーの発生を可及的に防止することができる。本形態例では、その燃焼温度を、ダイオキシンの発生がない1000℃以上とすることができている。そして、クリンカーの発生を防止できることで、効率のよい燃焼を適切に継続することが可能になる。また、回転筒状炉10内(燃焼室11)の温度を高温にすることができることで、エア配管60内を通過する送風空気(燃焼用空気)の温度が上昇し、固形燃料の燃焼効率を相乗的に高めることができる。
【0023】
すなわち、本形態例によれば、複数の均一性を持って配された燃焼用空気の噴出孔64構成する複数のエア吐出管部63を備えるエア配管60によって、全体的によりバランスよく燃焼用空気を安定的且つ合理的に供給でき、燃焼温度をより高温にできるため、固体燃料を効果的に燃焼させることができる。従って、本形態例のバイオマスバーナーによれば、クリンカーの発生をより抑制でき、固体状燃焼物をより長時間に渡って継続して燃焼させることができるという特別有利な効果を奏する。
【0024】
ところで、回転筒状炉10の一端面として形成されているリング状平面14と、筒端閉塞部40の内端壁42の面との間も一種の摺動状態になるが、完全に気密された状態にはなく、僅かな隙間がある状態になっている。また、空圧室70を形成する包囲壁71であって回転筒状炉10の一端にオーバーラップする側の円形リング縁状部を含む部分と、後述する回転筒状炉10の一端のフランジ状の部材15aを含む部分との間は、一種の摺動状態になるが、完全に気密された状態にはなく、隙間がある状態になっている。しかしながら、これらの隙間は、空圧室70内が送風機80からのエアの供給によって陽圧になるため、燃焼室11から燃焼空気が漏れ出ることを防ぐことになり、固体燃料を適切に燃焼させることができる。
【0025】
また、本形態例では、回転筒状炉10の周壁12の内周面12aが、筒端閉塞部40の側から軸心の延長方向へ向かってテーパ状に拡径している。なお、
図1に示す本形態例の傾斜角度(テーパ角の半分(コーヌス角))である勾配は、5/100になっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一つの基準として、上限のテーパ角が空気の剥離現象を防止できる7度以下(コーヌス角にすると3.5度以下、或いは勾配にすると約6/100以下)であって、下限の勾配が1/100以上の範囲にあると、固体燃料を適切に送ることができる勾配に設定できる。なお、その勾配の個々の具体的な仕様は、基本的には、送られる固体燃料(固体状燃焼物)に対応させて、適宜に設定されるものである。
【0026】
これによれば、特許文献2に開示されているような螺旋状の送り羽根を設けることなく、固体燃料を回転筒状炉10の根元部である一端側(固体燃料の供給側16)から、回転筒状炉10の排出部である他端側(固体燃料が燃焼した後の灰を排出する側17)へスムースに送ることができる。従って、固体燃料が燃焼した後の灰を、局所的に滞ることを可及的に防止して適切に排出でき、固体状燃焼物をより長時間に渡って継続して燃焼させることができ、効率的な燃焼に係る稼働を実現できる。
【0027】
また、本形態例では、燃焼物供給装置50の固体状燃焼物(固体燃料)を燃焼室11へ供給する投入口56が、その燃焼室11の上側に開口している。本形態例では、回転筒状炉10における燃焼室11を構成する根元部である一端側での内周面12aとの干渉を避けた最上部であって、その燃焼室11の内部へ差し込まれた状態に少し入り込んだスペースに、投入口56が開口・位置するように配置されている。そして、本形態例では、その投入口の真下に、後述する点火用バーナー90のバーナーノズルの先端が燃焼室11へ臨むように、燃焼物供給装置50の真下で、回転筒状炉10の軸心よりも下側の位置であって堆積した固体燃料を適切に着火できるように、点火用バーナー90が配置されている。
【0028】
これによれば、固体燃料を、燃焼物供給装置50の投入口56から燃焼室11へ合理的に落下させて供給することができる。つまり、供給した固体燃料によって、その投入口56が塞がれることを可及的に防止でき、その固体燃料をスムースに供給できると共に、逆火することも防止できる。また、バーナーノズルの先端が燃焼室11へ臨むように配されていることで、点火用バーナー90の送風によっても、固体燃料が送り方向へ押されることになり、その固体燃料をスムースに供給できると共に、逆火することも防止して安全性を向上できる。
【0029】
また、90は点火用バーナーであり、例えば灯油や重油などの液体を燃焼させるバーナーであって、バーナーノズルの先端を燃焼室11内に臨む形態に配設することで、固体燃料の着火をできるように設けておくとよい。そして、固体燃料が点火された後に燃焼しているときは、点火用バーナー90への液体燃料の供給を止めて送風機能のみを利用してもよい。この点火用バーナー90の送風機能によれば、火吹き竹の原理で燃焼用空気を燃焼室11へ好適に供給でき、固体燃料の燃焼効率を高めることができる。なお、点火用バーナー90の燃焼から送風のみへの切換えは、液体燃料の供給を止めるように制御することで容易に自動化できる。
【0030】
次に、回転筒状炉10の灰を排出する側17である他端側へ連続するように配置される構成の例について、簡単に説明する。
先ず、その他端側へ連続して、高温の燃焼空気を受けるチャンバー状の熱風炉を配置することができる。その熱風炉は、固体燃料から発生したガスが燃焼する部分であり、高温の炎になって燃える二次燃焼部とすることができる。そして、その熱風炉の内部には、熱交換器を配置することができる。例えば、その熱交換器によって加熱されることで発生する温風、温水又は蒸気等を利用できる形態とすることで、ボイラー装置を構成することができる。また、スターリングエンジンの受熱部を配置することで、発電を行うことができる。
【0031】
さらに、その熱風炉に連続するように、サイクロン集塵器を配置することで、排気に伴って排出された灰を好適に分離して、クリーンな排気を煙突から排出できる。
【0032】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0033】
10 回転筒状炉
11 燃焼室
12 周壁
12a 内周面
12b 外周面
13 内周壁
14 リング状平面
15a フランジ状の部材
15b フランジ状の部材
16 固体燃料の供給側
17 灰を排出する側
18 リング状補強部
20 ローラ受部
21 ローラ
30 回転駆動装置
31 ギャードモータ
32 モータ側のスプロケット
33 スプロケット状部
34 チェーン
40 筒端閉塞部
41 外端面
42 内端壁
50 燃焼物供給装置
51 供給路
52 燃料用ホッパー
53 筒体
54 スクリュー
55 駆動モータ装置
56 投入口
60 エア配管
61 延長管部
62 供給側の開口端
63 エア吐出管部
64 燃焼用空気の噴出孔
70 空圧室
71 包囲壁
71a 端壁
73 支持片
80 送風機
81 エアの供給口
90 点火用バーナー
100 基部
【要約】
【課題】クリンカーの発生をより抑制するために燃焼温度をより高温にでき、固体状燃焼物をより長時間に渡って継続燃焼させることができるバイオマスバーナーを提供する。
【解決手段】筒の軸心を中心に回転する回転筒状炉10と、回転筒状炉10の外周に接するローラ21を備える複数のローラ受部20と、回転筒状炉10を、前記軸心を中心に回転駆動させる回転駆動装置30と、回転筒状炉10の一端を塞ぐ筒端閉塞部40と、固体燃焼物を供給する燃焼物供給装置50と、回転筒状炉10の周壁に埋め込まれた状態に設けられ、長手方向に延びる複数の延長管部61と、延長管部61から燃焼室11内へエアを導くように接続されて開口する複数のエア吐出管部63とを備えるエア配管60と、回転筒状炉10の一端の側を内包するように包囲壁に囲まれることで設けられた空圧室70と、空圧室70へエアを供給する送風機80とを具備する。
【選択図】
図1