特許第6943498号(P6943498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6943498
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】泡安定化又は泡増強剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20210916BHJP
【FI】
   A23L2/00 T
   A23L2/00 U
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-199111(P2020-199111)
(22)【出願日】2020年11月30日
【審査請求日】2020年11月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591137628
【氏名又は名称】中野BC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】我藤 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】津井 雅也
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2020−188753(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/049829(WO,A1)
【文献】 特開2019−106903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A−1)糖類と、
(A−2)鎖状のアミノ酸若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、若しくはその塩
との混合物の焙煎物、又は
(B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール若しくはその塩の焙煎物を含有する穀物の処理物を含有する、炭酸ガスを含む飲料の泡安定化又は泡増強剤(但し、穀物の処理物が米糠タンパク質の分解物である場合、及び、炭酸ガスを含む飲料が茶である場合を除く)。
【請求項2】
穀物が白米である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
穀物の処理物が焙煎した白米の抽出物である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
穀物を焙煎する焙煎工程、及び焙煎した穀物を抽出する抽出工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の剤の製造方法。
【請求項5】
焙煎工程の品温が200℃255℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
焙煎した白米の水抽出物を含有する請求項1に記載の剤及び炭酸ガスを含む飲料。
【請求項7】
容器に注いだときの泡増加倍率が2倍以上である、請求項6に記載の飲料。
【請求項8】
容器に注いだときの泡消滅速度が90ml/分以下である、請求項6又は7に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡安定化又は泡増強剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は、炭酸ガスを含有する清涼飲料水の総称であり、その種類はきわめて多く、しかも消費者に人気のため、絶えず新製品が市場に出回っている。その特徴は飲用時の発泡現象による爽快な飲み心地である。炭酸水やラムネ、サイダーやコーラのような炭酸飲料は、グラスに注ぐと溶解していた炭酸ガスが発泡するが、その気泡は液面で即座に破裂、崩壊し、泡沫を形成することはほとんどない。
一方、ビールや発泡酒、発泡性リキュール、ノンアルコールビール等は、グラスに注いだ時の発泡性と液面に形成されたクリーミーな泡沫の持続性が見た目の商品価値だけでなくのど越しの良さやおいしさを演出し、商品自体の品質を大きく左右する。特に発泡酒やノンアルコールビール等は麦芽使用量が低い、または麦芽自体を使用していないので、ビールと比較して泡立ちと泡沫持続性が充分でない点が指摘されている。
そこで、安定的な泡の形成を促進したり、長時間安定な泡沫持続性を付与することを目的として米糠タンパク質の分解物を含有する、飲料用泡品質改良剤が開示されている(特許文献1)。当該発明は、玄米を精米したときに産出する米糠、すなわち白米でない部分を使用し、そのタンパク質をプロテアーゼ処理して利用するもので、加熱した白米から得られる泡安定化又は泡増強剤に関しての開示や記載は一切ない。
【0003】
また焙煎米に関しては、きつね色になる程度に加熱した煎り米に硬水を使用した熱湯を注いで沸騰させた米湯の上澄み液と、中国茶・緑茶の混合茶に同じく硬水を使用した熱湯を注いで得た茶湯とからなる混合液が泡立てられ、さらに該泡が少量の米飯に盛り上げられ、その上に細かく刻まれた煎り落花生が振りかけられていることを特徴とする茶と米を主体にした飲食物が開示されている(特許文献2)。当該発明は、煎り米から米湯を得、茶湯と混合した後泡立てているが、専用の木鉢に専用の茶筅を用いて、抹茶をたてる要領で人力にて行われている。これは液体に溶け込んだ炭酸ガスが陽圧の解放と同時に液体中で発泡し、液面において泡沫を形成する本発明における炭酸飲料の現象とは全く異なるものである。したがって、当該発明には、加熱した米から得られる泡安定化又は泡増強剤に関しての開示や記載は一切ない。
【0004】
一方で、発泡アルコール飲料の製造方法において、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を該発泡アルコール飲料の製造工程中にて添加することを特徴とする発泡アルコール飲料の製造方法が知られている(特許文献3)。また、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造方法において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することを特徴とする発酵アルコール飲料の製造方法が知られている(特許文献4)。しかし、これらの文献には、当該メイラード反応生成物が泡を安定化させ、又は泡を増強する作用を有することは一切記載されていない。このことは、特許文献3の段落0035において、メイラード反応生成物と、気泡・泡品質を改善する材料とが別々のものとして開示されていることからも明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−216931号公報
【特許文献2】特開平5−284910号公報
【特許文献3】特開2008−17776号公報
【特許文献4】国際公開第2006−064919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、泡安定化又は泡増強剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、穀物を加熱し、この加熱した穀物から得られた抽出液が炭酸飲料の泡質を改善することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]穀物又はその処理物を含有する、物質の泡安定化又は泡増強剤(但し、穀物の処理物が米糠タンパク質の分解物である場合、及び、物質が茶である場合を除く)。
[2]穀物の処理物が、(A)糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱物又は(B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール若しくはその塩の加熱物を含有する、前記[1]に記載の剤。
[3]穀物が白米である、前記[1]又は[2]に記載の剤。
[4]穀物の処理物が加熱した白米の抽出物である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の剤。
[5](A)糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱物又は(B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール若しくはその塩の加熱物を含有する、物質の泡安定化又は泡増強剤。
[6](A)糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩との混合物の加熱物を含有する、前記[5]に記載の剤。
[7](B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール又はその塩の加熱物を含有する、前記[5]に記載の剤。
[8]穀物を加熱する加熱工程、及び加熱した穀物を抽出する抽出工程を含む、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の剤の製造方法。
[9]加熱工程の品温が225℃〜250℃である、前記[8]に記載の方法。
[10]加熱した白米の水抽出物及び炭酸ガスを含む飲料。
[11]容器に注いだときの泡増加倍率が2倍以上である、前記[10]に記載の飲料。
[12]容器に注いだときの泡消滅速度が90ml/分以下である、前記[10]又は[11]に記載の飲料。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、泡安定化又は泡増強剤を提供することができる。
好ましくは、本発明の剤は、キメ細やかな泡(例えば、麦芽やホップをふんだんに使ったビールにおけるキメ細やかでクリーミーな泡と同等以上の泡)を、麦芽やホップを用いずビール及びその他の炭酸飲料に付加することができる。更に好ましくは、本発明の剤を使用することにより、形成された泡が長期にわたり安定で、ビールの泡以上に長時間維持される。さらに好ましくは、泡安定化又は泡増強を目的とする対象物質への着色度合いが少ない。本発明は、泡が安定化した又は泡が増強した炭酸飲料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1〜5及び参考例1の、泡安定化作用の確認結果を示すグラフである。
図2図2は、実施例1〜5及び参考例1の泡増強作用の確認結果を示すグラフである。
図3図3は、実施例6〜11の泡安定化作用の確認結果を示すグラフである。
図4図4は、実施例6〜11の泡増強作用の確認結果を示すグラフである。
図5図5は、市販の各種ノンアルコールビール又はビールに対する実施例12の泡増強作用を示すグラフである。
図6図6は、市販の各種ノンアルコールビール又はビールに対する実施例12の泡安定化作用を示すグラフである。
図7図7は、実施例18〜23、参考例2及び3、並びに比較例2〜4の、泡安定化作用の確認結果を示すグラフである。
図8図8は、実施例18〜23、参考例2及び3、並びに比較例2〜4の、泡増強作用の確認結果を示すグラフである。
図9図9は、実施例1、4、12、17、21及び22の、EBC色度の確認結果を示すグラフである。
図10図10は、Wikipediaフリー百科事典による標準参照表(SRM及びEBC)の一覧表である(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%99%E6%BA%96%E5%8F%82%E7%85%A7%E6%B3%95)。図10のカラー写真については物件提出書を参照することができる。
図11図11は、実施例1、4、12、17、21及び22の、EBC色度の確認結果を示す写真である。図11のカラー写真については物件提出書を参照することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、穀物又はその処理物を含有する、物質の泡安定化又は泡増強剤(但し、穀物の処理物が米糠タンパク質の分解物である場合、及び、物質が茶である場合を除く)(以下、本発明の剤1ともいう。)を包含する。本発明の剤1は、穀物又はその処理物からなっていてもよく、穀物又はその処理物の他に、別の成分を含有していてもよい。
【0012】
穀物又はその処理物
穀物は、通常、イネ科に属する特定の草の食用種子であり、例として、米、小麦、トウモロコシ、大麦、えん麦、ライ麦、ライ小麦、キビ、ブルグル、モロコシ、ハト麦等が挙げられるが、より優れた本発明の効果が得られる点で、好ましくは、アミロースでんぷんを含む穀物であり、より好ましくは米であり、さらにより好ましくは白米である。穀物は、玄米又は発芽玄米でないことが好ましい。油分を含む穀物の場合は、脱脂してから使用することが好ましい。脱脂された穀物は泡の安定性がさらに向上している。
穀物の処理物は、アミロースの分解物(オリゴマー:例えば2〜100のグルコースの重合体)を含むことが好ましい。言い換えると、米、小麦、トウモロコシ、大麦、えん麦、ライ麦、ライ小麦、キビ、ブルグル、モロコシ、ハト麦等の処理物は、アミロースの分解物(オリゴマー:例えば2〜100のグルコースの重合体)を含むことが好ましい。穀物の処理物は、白米の抽出物であることが好ましく、白米の加熱抽出物であることがさらに好ましい。
穀物の処理物の形態は、特に限定されないが、種子の一部を削ったもの(即ち種子そのままではないもの)、又は種子を粉末化したもの等であってもよい。上記の「一部」とは、種子全体の0.01%以上100%未満であってもよい。粉末化は例えばボールミル等を用いて公知技術に従って行ってよい。
【0013】
白米として用いる米の種類は特に限定されないが、うるち米又はもち米が好ましい。うるち米は、アミロースを含むため本発明に好適である。もち米はアミロースを含まず、ほとんどがアミロペクチンで構成されているが、グルコースの重合体なのでこちらも本発明に好適に使用される。
うるち米の品種は特に限定されないが、通常白米として食している品種であればどれでも利用でき、例えばコシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち、ななつぼし、はえぬき、まっしぐら、キヌヒカリ、あさひの夢、ゆめぴりか、きぬむすめ、こしいぶき、つや姫、夢つくし、ふさこがね等が挙げられる。また、アミロース含量の多いインディカ米であるタイ米、カリフォルニア米、ジャポニカ米等も好適に利用することができる。
【0014】
もち米の品種は特に限定されないが、例えばヒデコモチ、こがねもち、峰の雪もち、ヒメノモチ、ココノエモチ、カグラモチ、らいちょうもち、マンゲツモチ、喜寿糯、若草もち、新大正糯、ミヤタマモチ、ヒヨクモチ等が挙げられる。
【0015】
また、日本酒の製造に使用する酒米も本発明に使用することができる。こちらも品種は特に限定されないが、例えば山田錦、五百万石、美山錦、雄町、秋田酒こまち、八反錦、ひとごごち、出羽燦々、吟風、越淡麗、亀の尾、トヨニシキ、キヨニシキ、千秋楽、松山三井、オオセト、アキツホ、朝の光、日本晴、愛国、うこん錦、レイホウ、ハナエチゼン等が挙げられる。
【0016】
米は精米されたものが好ましい。精米とは玄米を白米にする作業で、籾から取り出した状態の玄米は糠がついたままで茶色い色をしている。この玄米から茶色い糠の部分を削って白い米にする。一般的に精米後の白米は玄米の90〜93%の大きさになっているのが好ましい。
ロウカット玄米(東洋ライス社製)はロウ層を除いている玄米で、この工程や無洗米化の工程で糠も除かれているため本発明に利用できる。
【0017】
精米歩合は特に限定されないが、酒米のように精米歩合を下げた(より一層削った)高精白米も本発明に利用できるが、コストが抑えらえる点では通常の白米を用いることがより好ましい。精米歩合の範囲の例として、10〜93%、10〜90%、10〜80%、10〜70%、10〜60%、10〜50%、10〜40%、10〜30%等が挙げられる。
【0018】
穀物の処理物は、(A)糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱物又は(B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール若しくはその塩の加熱物を含有していてもよい。糖類、少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素、混合物、加熱物及び塩については、後述の説明を参照されたい。
【0019】
本開示は、(A)糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱物又は(B)グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール若しくはその塩の加熱物を含有する、物質の泡安定化又は泡増強剤(以下、本発明の剤2ともいう。)を包含する。本開示において、本発明の剤1及び本発明の剤2を合わせて、本発明の剤という。
【0020】
(A)における糖類として、例えばグリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース等のアルドース;ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のケトース;等の単糖であってもよく;スクロース、ラクツロース、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ネオヘスペリドース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース、トレハロサミン、マルチトール、セロビオン酸、ラクトサミン、ラクトースジアミン、ラクトビオン酸、ラクチトール、ヒアロビウオン酸、スクラロース等の二糖であってもよく;ニゲロトリオ―ス、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース等の三糖であってもよく;ニストース、ニゲロテトラオース、スタキオース等の四糖であってもよく;前記例示した二糖、三糖、四糖以外のオリゴ糖(例えば、五糖、六糖、七糖、八糖、九糖、十糖等)であってもよく;前記例示した二糖、三糖、四糖、オリゴ糖以外の多糖(例えばアミロース、アミロペクチン等のデンプン、グリコーゲン、セルロース、カードラン、パラミロン、キチン、デキストラン、ニゲラン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン、キシラン、グルコマンナン、レバン等)であってもよい。これらは、市販品として入手してもよく、公知の方法で製造してもよい。
【0021】
(A)における少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素について、詳述する。炭素数は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、1〜10000あることが好ましく、1〜1000であることがより好ましく、1〜500であることがさらに好ましい。鎖状については、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素として、例えば、鎖状アミノ酸、鎖状ペプチド、鎖状タンパク質、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、GABA(γ-アミノ酪酸)等が挙げられる。当該炭化水素は、本発明の効果を奏する限り、アミノ基以外の基(例えばカルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基等)により、さらに置換されていてもよい。鎖状アミノ酸はD体であってもL体であってもよい。鎖状アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸であってもよく、アルギニン、リシン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸であってもよく、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン等の中性アミノ酸であってもよい。これらは、市販品として入手してもよく、公知の方法で製造してもよい。
【0022】
混合物
糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩との混合物として、例えば、糖類を含む食品と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩を含む食品を水等の溶媒に加えた混合物を使用してもよく、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とを含む食品(例えば、白米等)を使用してもよい。さらには、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とを含む食品(例えば、白米等)に、更に糖類や、少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩を追加してもよい。
混合モル比(糖類;少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、0.01:1〜1:0.01であってもよく、0.1:1〜1:0.1であってもよく、0.5:1〜1:0.5であってもよく、0.8:1〜1:0.8であってもよい。
【0023】
(B)における、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、γ−アミノ酪酸、トレオニン若しくは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール又はその塩は、D体であってもL体であってもよい。中でも、L−グルタミン、L−グルタミン酸又はその塩が、特に泡のキメの細やかさに優れている点で好ましい。
【0024】
(A)又は(B)における塩としては、生理学的に許容される塩が好ましい。生理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の無機酸又は有機酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との、又はアルミニウムの水酸化物又は炭酸塩との塩;水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、t−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニン等の無機塩基又は有機塩基との塩等が挙げられ、ナトリウム塩であることが特に好ましい。
【0025】
加熱
加熱方法は特に限定されず、公知の加熱方法を採用してよいが、より優れた本発明の効果が得れる点で、上記混合物を例えば約140℃〜約250℃、より好ましくは約225℃〜約250℃まで上昇させることができる方法が好ましく、例えば直火焙煎、釜焙煎、砂焙煎、熱風焙煎、ドラム焙煎、遠赤外線焙煎、過熱水蒸気焙煎等の焙煎(乾煎り)方法が好ましい。バッチ式でも連続式でもよいが、麦茶等を製造するために使用される連続式熱風焙煎を利用するのが好ましい。
【0026】
加熱することにより、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とのメイラード反応が生じ、両者のメイラード反応物が得られていてもよい。メイラード反応物は褐色度が強いが、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とを含む食品として、例えば、白米等を使用した場合には、驚くべきことに褐色度が少なく、ノンアルコールビール、ビール等の炭酸飲料等の物質に添加した場合に得られる生成物(飲料等)の着色が軽減され得る。
【0027】
物質
本開示において、物質は、液体、気体、固体のいずれであってもよいが、液体であることが好ましく、起泡性を有する液体であることがより好ましい。起泡性を有する液体として、炭酸ガスを含む飲料であることが好ましい。炭酸ガスを含む飲料として、例えば、ノンアルコールビール、発泡酒、ビール、酎ハイ、サイダー、コーラ、炭酸水等が挙げられる。特にノンアルコールビールは、麦芽使用量量が低い、または麦芽自体を使用していないので、ビールと比較して泡立ちと泡の持続性が充分でない点が指摘されていることから、本発明の剤を使用することにより、商品の付加価値を高めることができる。
また、その他の液体として、衣料用洗剤、台所用洗剤等の洗剤、シャンプー、洗顔料、メイク落とし、ボディーソープ、ハンドソープ等の化粧品等が挙げられる。気体として、起泡性スプレー等が挙げられる。固体として、固形石鹸等が挙げられる。
【0028】
本開示は、本発明の剤、又は後述の本発明の剤の製造方法により製造された剤、及び炭酸ガスを含む飲料を包含する。このような飲料は、容器に注いだときの泡増加倍率が2倍以上であることが好ましい。また、このような飲料は、容器に注いだときの泡消滅速度が90ml/分以下であることが好ましい。当該容器としては、例えば、メスシリンダー(例えば1000ml容量)又はビールグラス(例えば400ml容量)、ビールジョッキ(例えば600ml容量)若しくはタンブラー(例えば200ml容量)等の通常飲料の容器として使用されるコップ等の容器等が挙げられる。このような飲料の製造方法は、上記剤を添加する工程以外は、従来の炭酸ガスを含む飲料の製造方法に従ってよい。上記剤を添加する工程は、従来の炭酸ガスを含む飲料の製造方法におけるいずれの工程前後に実施してもよいが、ペットボトル、缶(アルミ缶若しくはスチール缶)又は紙パック等に飲料を充填する工程の直前又はペットボトル、缶(アルミ缶若しくはスチール缶)又は紙パック等を密閉する工程の直前であることが好ましい。このような飲料の製造から容器に注ぐまでの期間は、従来の炭酸ガスを含む飲料の保存期間と同じであってよい。
【0029】
特に好ましくは、本開示は、加熱した白米の水抽出物及び炭酸ガスを含む飲料を包含する。加熱した白米の水抽出物及び炭酸ガスを含む飲料は、得られる飲料の、加熱した白米の水抽出物添加による着色の度合いが少ない点で特に優れている。当該飲料は、キシロースとアミノ酸又はペプチドのメイラード反応物を含まないことが好ましい。
【0030】
本発明の剤の製造方法
本発明の剤として、穀物をそのまま使用してもよく、穀物の処理物を使用してもよく、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱物を使用してもよいが、より優れた本発明の効果が得られる点で、穀物の処理物を使用することが好ましい。
【0031】
穀物を処理する方法として、例えば、穀物を加熱する加熱工程、及び加熱した穀物を抽出する抽出工程を含む方法が挙げられる。すなわち、本開示は、穀物を加熱する加熱工程、及び加熱した穀物を抽出する抽出工程を含むことを特徴とする、物質の泡安定化又は泡増強剤の製造方法を包含する。
また、本開示は穀物を加熱し、得られた加熱された穀物を抽出することにより得られることを特徴とする、物質の泡安定化又は泡増強剤を包含する。
また、本開示は穀物を加熱し、得られた加熱された穀物を抽出することにより得られる、物質の泡安定化又は泡増強剤と、物質とを混合することを特徴とする、物質の泡安定化又は泡増強方法を包含する。
また、本開示は、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とを混合して得られた混合物を加熱する工程を含むことを特徴とする物質の泡安定化又は泡増強剤の製造方法を包含する。
また、本開示は、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩とを混合して得られた混合物を加熱することにより得られることを特徴とする、物質の泡安定化又は泡増強剤を包含する。
また、本開示は、糖類と少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素又はその塩との混合物を加熱することにより得られた生成物と、物質とを混合することを特徴とする、物質の泡安定化又は泡増強方法を包含する。
以下に各工程について詳述するが、穀物を処理する方法、又は物質の泡安定化又は泡増強剤の製造方法として、後述の実施例を参照することもできる。
【0032】
加熱工程
加熱方法は特に限定されず、公知の加熱方法を採用してよいが、より優れた本発明の効果が得れる点で、穀物(好ましくは米)の品温を約225℃〜約250℃まで上昇させることができる方法が好ましく、例えば直火焙煎、釜焙煎、砂焙煎、熱風焙煎、ドラム焙煎、遠赤外線焙煎、過熱水蒸気焙煎等の焙煎(乾煎り)方法が好ましい。バッチ式でも連続式でもよいが、麦茶等を製造するために使用される連続式熱風焙煎を利用するのが好ましい。穀物の形態は、加熱前又は加熱後において、特に限定されないが、種子の一部を削ったもの、又は種子を粉末化したもの等であってもよい。穀物として、米を使用する場合、生米でも浸漬米でもよく、また炊飯米、蒸米といったでんぷんをα化したものでもよく、粉末化したものでもよい。どの状態の米でも本発明の泡安定化作用に影響は及ぼさない。
尚、本開示において「約」は、±2を包含する概念である。
【0033】
品温は、例えば加熱対象物の表面温度を意味する。例えば、非接触式赤外線(IR)温度計(例えば、Fluke社製)を使用し、製品取扱説明書に記載の方法に従って、品温を測定することができる。
【0034】
加熱工程では、穀物(好ましくは米)の品温を約225℃〜約250℃まで上昇させることが好ましく、約230℃〜約250℃まで上昇させることがより好ましく、約240℃〜約250℃まで上昇させることがさらに好ましい。上記の範囲より品温が著しく低いと歩留まりが悪く、上記の範囲より著しく品温が高くなると米が炭化してしまう。
加熱時間としては、通常約10分〜約15分である。
【0035】
抽出工程
溶媒を用いて加熱された穀物(好ましくは米)の抽出を行う。抽出溶媒としては、例えば、水、親水性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、極性溶媒(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等)又はそれらの混合物が挙げられるが、より優れた本発明の効果が得れる点で、水であることが好ましい。抽出温度は、抽出効率の観点から、約80℃〜約100℃が好ましく、約95℃〜約100℃が特に好ましい。抽出溶媒が水である場合、冷水、常温水、沸騰水等様々な温度帯の水を用いることができるが、抽出効率の観点から、沸騰水(約95℃から約100℃)が好ましい。温度帯の異なる水での複数の抽出を組み合わせてもよい。溶媒の体積(mL)は、加熱された穀物の質量(g)の約10倍程度が好ましい。エタノール溶液での抽出は抽出溶液の極性が下がるため好ましくない。抽出は常圧(約1気圧)で行うことが好ましいが、減圧又は加圧により行うこともできる。
【0036】
抽出時間は特に限定されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、約10分〜約60分が好ましく、約15分〜約55分がより好ましく、約30〜約45分がさらに好ましい。
【0037】
穀物を処理する方法、又は物質の泡安定化又は泡増強剤の製造方法において、加熱工程、抽出工程の他に、(1)抽出工程により得られた固体と液体を分離して、液体を得る工程、(2)上記(1)で得られた液体を常圧(例えば約1気圧)で加熱すること等により濃縮する工程、(3)上記(1)で得られた液体を公知の方法により濃縮乾固する工程、(4)上記(1)で得られた液体を公知の方法により減圧濃縮する工程等を含んでいてもよい。濃縮する工程では、ブリックス(アタゴ社製)値を参考にすることができ、ブリックス(アタゴ社製)値が例えば約12となるように濃縮することが好ましい。
【0038】
穀物を処理する方法、又は物質の泡安定化又は泡増強剤の製造方法において、加熱工程と抽出工程との間に、加熱した穀物を冷ます工程を含んでいてもよい。冷ます方法は、加熱を止めて、一定時間(例えば、2時間〜1日程度)放置して粗熱を取る方法等、公知の方法であってよい。粗熱が取れたかどうかは、例えば加熱工程後の穀物が手で触ることができる程度にまで穀物の温度が下がっていることを確認することにより、判断できる。
【0039】
効果の確認方法1(泡消滅速度(ml/分)又は泡消滅時間(分);泡の安定化作用)
泡を安定化させる対象の物質は、炭酸飲料等の液体、固形石鹸等の固体又は起泡性スプレー等の気体であるところ、これらの通常の使用方法に従って泡を発生させた際に、対象物質にその原料として本発明の剤を加えることにより、泡の持続時間が延長される場合に、本発明の剤により泡を安定化したと判断できる。
以下、対象物質が液体である場合についてより詳細に説明する。
例えば、1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製)に本発明の剤を10g秤量し、メスシリンダーの開口部の高さ(約40cm)から市販の炭酸飲料(例えばウイルキンソン、アサヒ飲料社製)、ノンアルコールビール又はビール等の液体200mlをシリンダーの側面を這わせながら一気に投入し、投入直後の泡の全体容量(ml)を測定する。液体投入直後から泡が消滅し液面が露出するまでの時間(泡消滅時間(分))を計測し、液体投入直後の泡の全体容量(泡形成容量)(ml)を泡消滅時間(分)で除して泡消滅速度(ml/分)を算出する。尚、本発明の剤を使用せずに、液体を容器に投入した直後の泡の全体容量が0mlである場合においては、その液体について泡消滅速度(ml/分)及び泡消滅時間(分)の測定は不可と判断する。
例えば、本発明の剤を使用せずとも、本発明の剤とは異なる泡安定化能を有する物質を含む等の理由で液体投入直後の泡の全体容量がある場合があるが、そのような場合において、本発明の剤を使用しない場合と比較して、本発明の剤を使用した場合の方が、液体の泡消滅速度(ml/分)が小さい場合、及び/又は泡消滅時間(分)が長い場合に、本発明の剤は、物質の泡の安定化作用を有すると判断することができる。
また、本発明の剤が入っている容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に液体を注いだときの泡消滅速度が90ml/分以下であることが好ましい。本発明の剤及び液体を含む組成物を容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に注いだときの泡消滅速度が90ml/分以下であることが好ましい。
また、本発明の剤が入っている容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に液体を注いだときの泡消滅時間が4.45分以上であることが好ましく、10分以上であることがさらに好ましい。本発明の剤及び液体を含む組成物を容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に注いだときの泡消滅時間(分)が4.45分以上であることが好ましく、10分以上であることがさらに好ましい。
【0040】
効果の確認方法2(泡形成容量(ml)又は泡増加倍率(倍);泡の増強作用)
泡を増強させる対象の物質は、炭酸飲料等の液体、固形石鹸等の固体又は起泡性スプレー等の気体であるところ、これらの通常の使用方法に従って泡を発生させた際に、対象物質にその原料として本発明の剤を加えることにより、その泡の容量が増加する場合に、本発明の剤により泡を増強したと判断できる。
以下、対象物質が液体である場合についてより詳細に説明する。
例えば、本発明の剤を使用しない場合(液体と本発明の剤とを混合しない場合等)と比較して、本発明の剤を使用した場合(液体と本発明の剤とを混合する場合等)の方が、容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に液体を投入した直後の泡の容量(泡形成容量)(ml)が大きい場合に、本発明の剤は、物質の泡の増強作用を有すると判断することができる。また、液体(例えば200ml)を容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に投入する前の液体の容量(ml)を1とした場合の、液体を容器に投入した直後の泡の全体容量(ml)の倍率(本開示において泡増加倍率ともいう)が2(倍)以上の場合に、本発明の剤は、特に優れた液体の泡の増強作用を有すると判断することができる。この場合において、本発明の剤を、投入前の液体と混合していてもよく、投入前の容器に入れていてもよい。すなわち、例えば液体が炭酸飲料である場合において、炭酸飲料200mlと本発明の剤10gとを混合し、混合溶液を容器に投入した直後の泡の全体容量が400mlの場合、泡増加倍率が2倍であると判断することができる。本発明の剤及び液体を含む組成物を容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(例えばイワキガラス社製))に注いだときの泡増加倍率が2倍以上であることが好ましい。
尚、本開示において、泡は、例えば、気泡及び泡沫(気泡の集合状態)の総称である。
【0041】
効果の確認方法3(泡のキメの細やかさ)
泡を増強させる対象の物質は、炭酸飲料等の液体、固形石鹸等の固体又は起泡性スプレー等の気体であるところ、これらの通常の使用方法に従って泡を発生させた際に、対象物質にその原料として本発明の剤を加えることにより、その泡のキメがより細やかになっている場合に、本発明の剤により泡のキメの細やかさを改善したと判断できる。
例えば、本発明の剤を使用しない場合(物質と本発明の剤とを混合しない場合等)と比較して、本発明の剤を使用した場合(物質と本発明の剤とを混合する場合等)の方が、容器(例えば1000ml容量のメスシリンダー(イワキガラス社製))に物質を投入した直後の泡のキメの細やかであることを目視にて確認できる。
【0042】
効果の確認方法4(着色)
泡を増強させる対象の物質は、炭酸飲料等の液体、固形石鹸等の固体又は起泡性スプレー等の気体であるところ、対象物質にその原料として本発明の剤を加えても、本発明の剤を加えない場合の対象物質の色を変化させる度合いが少ない場合に、本発明の剤による着色の度合いが少ないと判断できる。
例えば、本発明の剤を使用しない場合(物質と本発明の剤とを混合しない場合等)と比較して、本発明の剤を使用した場合(物質と本発明の剤とを混合する場合等)の方が、得られる生成物の着色の度合いが少ないことを目視にて、さらには必要に応じて標準参照表(SRM及びEBC)の一覧表(例えばWikipediaフリー百科事典より入手可能、図10参照)と照らし合わせることにより、又は、EBC(European Brewery Convention)色素を測定することにより、又は分光光度計U-3210(日立製作所社製)により確認できる。EBC色素は、EBC標準法に基づき、430nmの吸光度(E430)を求めて、色度=E430×25の式から算出することができる。
本発明の剤1、とりわけ穀物の処理物が加熱した白米の水抽出物である場合は、それと物質とを混合して得られる生成物の着色の度合いが少ない点で特に優れている。
【0043】
組成物
本開示は、本発明の剤と物質とを含む組成物を包含する。
【実施例】
【0044】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
市販の白米(こしひかり、アイリスオーヤマ社製)150gを家庭用フライパンに投入し、ガスコンロにて中火で直火焙煎を行った。均一に焙煎するため、10秒に1回の頻度で撹拌し、非接触型の放射温度計(フルーク社製)で品温(白米の表面の温度)を測定しながら10分から15分かけて、品温を240℃に上昇させた。ガスコンロの火を止めて粗熱を取った後(火を止めてから10分以上経過後)、1000mlガラスビーカー(イワキガラス社製)に当該焙煎米50gと蒸留水500mlを加えた後、45分間沸騰させて熱水抽出(98℃)を行った。抽出終了後、200メッシュの篩にて固液分離を行い、焙煎米抽出液220mlを得た。本抽出液のブリックス(アタゴ社製)値は8.3であった。
【0046】
(実施例2)
市販の白米(ゆめぴりか、アイリスオーヤマ社製)を用いること以外は実施例1と同様に行った。最終的にブリックス値9.8の焙煎米抽出液を240ml得た。
【0047】
(実施例3)
市販の白米(あきたこまち、伊丹産業社製)を用いること以外は実施例1と同様に行った。最終的にブリックス値11.1の焙煎米抽出液を240ml得た。
【0048】
(実施例4)
市販のタイ米(木徳神糧社製)を用いること以外は実施例1と同様に行った。最終的にブリックス値11.6の焙煎タイ米抽出液を260ml得た。
【0049】
(実施例5)
市販のもち米(ヤマエ久野社製)を用いて、品温(もち米の表面の温度)を測定しながら25分から30分かけて、品温を240℃に上昇させたこと以外は実施例1と同様に行った。最終的にブリックス値7.8の焙煎もち米抽出液を245ml得た。
【0050】
(参考例1)
市販の玄米(株式会社大潟村あきたこまち生産者協会製)を用いること以外は実施例1と同様に行った。最終的にブリックス値8.5の焙煎玄米抽出液を260ml得た。
【0051】
(評価例1、実施例1〜5並びに参考例1)
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4又は実施例5で得られた焙煎米抽出液をそれぞれ常圧で加熱濃縮して、ブリックス値12.0に合わせた。また参考例1で得られた焙煎玄米抽出液もそれぞれ常圧で加熱濃縮して、ブリックス値12.0に合わせた。これらの検体を、上記した効果の確認方法1で泡安定化の効果測定を行いその結果を図1に示す。また、効果の確認方法2で泡の増強作用の効果測定を行いその結果を図2に示す。さらに、これらの検体について、上記した効果の確認方法3で、泡のキメの細やかさを確認した。
【0052】
図1の結果から、実施例1(こしひかりを使用)は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。尚、本開示において、エンジェルリングとは、例えば、炭酸飲料を一口、二口と飲み進めて炭酸飲料が減っていくにつれて、飲んだ後のグラスに泡が木の年輪のように付着した状態のことをいう。泡消滅速度は55.8ml/分であり、90ml/分以下であった。実施例2(ゆめぴりかを使用)は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。泡消滅速度は56.7ml/分であり、90ml/分以下であった。実施例3(あきたこまちを使用)は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁には細かな泡が付着する、生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。泡消滅速度は60.0ml/分であり、90ml/分以下であった。実施例4(タイ米を使用)は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。泡消滅速度は57.2ml/分であり、90ml/分以下であった。実施例5(もち米を使用)は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。泡消滅速度は45.6ml/分であり、90ml/分以下であった。
【0053】
図2の結果から、実施例1〜5並びに参考例1について泡の増加倍率が3倍以上となったので泡の増強作用が確認された。
【0054】
図1及び図2の結果から、参考例1(玄米を使用)は、炭酸水投入により3倍以上の泡増強効果が確認されたが、泡の粒が大きく、岩泡や高泡のような大きい泡で、キメの細やかさは確認できず、しかも泡切れが速かった。生ビールで言われるエンジェルリングもできなかった。泡消滅速度は90.0ml/分と、泡安定化作用は多少認められたが、実施例に比べると速度が速く、実施例ほどの泡安定化作用は見られなかった。これらの結果から、本発明の剤は、泡消滅速度が90.0ml/分以下、泡増加倍率が2倍以上であり、泡のキメが細やかである場合に、特に泡の安定化効果及び泡の増強効果が優れているといえる。
【0055】
(評価例2、実施例6〜11)
市販の白米(金芽米、東洋ライス社製)150gを家庭用フライパンに投入し、ガスコンロにて中火で直火焙煎を行った。均一に焙煎するため、10秒に1回の頻度で撹拌し、非接触型の放射温度計(フルーク社製)で品温(白米の表面温度)を測定しながら10分から15分かけて、品温をそれぞれ200℃、225℃、230℃、240℃、250℃、255℃まで上昇させた焙煎米を作製した。粗熱を取った各焙煎米のL値を色彩色差計(コニカミノルタ社製)にて測定した結果、200℃焙煎米は51.1、225℃焙煎米は45.9、230℃焙煎米は45.9、240℃焙煎米は41.3、250℃焙煎米は38.7、255℃焙煎米は35.6であった。なおL値とは、黒のL値を0とし、白のL値を100として、焙煎米の明度を色彩色差計で測定したものである。次に1000mlガラスビーカー(イワキガラス社製)にそれぞれの焙煎米50gと蒸留水500mlを加えた後、45分間沸騰させて熱水抽出(98℃)を行い、抽出終了後、200メッシュの篩にて固液分離を行い、それぞれの温度帯の焙煎米抽出液を得た(それぞれ、実施例6、7、8、9、10、11)。焙煎米抽出液のブリックス値と回収量を表1に示した。また、得られた焙煎米抽出液をそれぞれ加熱濃縮して、ブリックス値12.0に合わせ、これらの検体を、上記した効果の確認方法1で、泡安定化の効果測定を行いその結果を図3に示す。また、効果の確認方法2で泡の増強作用の効果測定を行いその結果を図4に示す。また、これらの検体について、上記した効果の確認方法3で、泡のキメの細やかさを確認した。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例6(200℃焙煎米抽出液)については、図3より、良好な泡安定化作用が見られたが、表1にあるように他の実施例に比べて歩留まりがよくない。実施例7〜10(それぞれ225℃、230℃、240℃及び250℃の焙煎米抽出液)は、いずれも炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁には細かな泡が付着する、生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。泡消滅速度は90ml/分以下であり、良好な泡安定化作用を発揮した。実施例11(255℃の焙煎米抽出液)は、図3に示すように、泡消滅速度は68.6ml/分で、90ml/分を下回っているものの、泡の質が粗く、泡切れが速く、キメの細やかさも劣っていた。また、図4より、について、実施例11は2倍以上という優れた効果を示し、実施例6〜10は3倍以上とさらに優れた効果を示した。これらの結果から、本発明の剤は焙煎工程における米の品温が225℃〜250℃の範囲であることが特に好ましいことがわかった。
【0058】
(評価例3、実施例12)
実施例4で用いた市販のタイ米150gを家庭用フライパンに投入し、ガスコンロにて中火で直火焙煎を行った。均一に焙煎するため、10秒に1回の頻度で撹拌し、非接触型の放射温度計で品温(米の表面温度)を測定しながら10分から15分かけて、品温を240℃に上昇させた。次に1000mlガラスビーカーに当該焙煎米50gと蒸留水500mlを加えた後、常温で一晩静置させた。翌日200メッシュの篩にて固液分離を行い、浸漬後の焙煎米を回収し、これにさらに500mlの蒸留水を加え45分間沸騰させて熱水抽出(98℃)を行った。抽出終了後、200メッシュの篩にて固液分離を行い、焙煎米抽出液360mlを得た。本抽出液のブリックス値は6.8であった。
【0059】
得られた焙煎米抽出液をブリックス値12.0に加熱濃縮して実施例12を得た。市販のノンアルコールビールに実施例12を添加する実験を行った。市販のノンアルコールビールとして、商品名オールフリー(サントリービール社製)、商品名ドライゼロ(アサヒビール社製)、商品名麦のくつろぎ(サッポロビール社製)及び本物のビールである商品名プレミアムモルツ(サントリービール社製)を用いた。1000ml容量のメスシリンダー(イワキガラス社製)に実施例12の剤10gを秤量し、メスシリンダーの開口部の高さから市販のノンアルコールビール又はビール200mlをシリンダーの側面を這わせながら一気に投入し、上記した効果の確認方法1〜3で、泡安定化の効果、泡増強の効果及び泡のキメの細やかさへの影響を確認した。結果を図5及び図6に示す。
【0060】
市販のノンアルコールビール、商品名オールフリー(サントリービール社製)、商品名ドライゼロ(アサヒビール社製)、商品名麦のくつろぎ(サッポロビール社製)、および本物のビールである商品名プレミアムモルツ(サントリービール社製)について、本発明の剤を添加することによりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡がより多く形成されたことを確認した。また、図5の結果から、本発明の剤(実施例12)を添加した方が、すべての市販商品において泡形成容量が増加した。このことから本発明の剤は市販のノンアルコールビールの泡を増強するだけでなく、本物のビールにおいてもその効果を発揮することを確認した。また、図6の結果から、本発明の剤を添加した方が、すべての市販商品において泡消滅時間が延長した。このことから本発明の剤は市販のノンアルコールビールの泡を増強するだけでなく、泡の安定性をも高めることが確認され、その効果は本物のビールにおいても発揮されることを確認した。本発明の剤を添加したすべての市販商品において、キメの細やかな泡質であることも確認された。
本発明の剤を添加したノンアルコールビールおよびビールは、本発明の剤無添加のものより、泡形成容量が増加し、泡消滅時間が延長され、泡持ちが延長し、泡が安定化され、泡が増強され、泡質が向上したことを確認した。また味についても、それぞれの商品の特性を損なうことはなかった。
【0061】
(評価例4、実施例13〜17及び比較例1)
下記表2の試薬と蒸留水10mlとを混合し、得られた混合物を270℃マッフル炉で30分間加熱(品温240℃)して得られた剤について、上記した効果の確認方法1〜3で、泡安定化の効果、泡増強の効果及び泡のキメの細やかさへの影響を確認した。尚、表2中、米デンプンは、日本コーンスターチ社製であり、米粉からアルカリ処理でタンパク質を除いたものであり、デンプン試薬は、シグマ社製であり、バレイショとタピオカの混合物由来のデンプンを含む。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例13〜17の剤は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を示したが、比較例1の剤は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても劣る結果となった。このことから、米由来に限らないデンプンとアミノ酸又はタンパク質の混合物の加熱処理物は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を発揮することが確認された。
【0064】
(評価例5、実施例18〜23、参考例2及び3並びに及び比較例2〜4)
下記表3の試薬と蒸留水10mlとを混合し、得られた混合物を270℃マッフル炉で30分間加熱(品温240℃)して得られた剤について、上記した効果の確認方法1〜3で、泡安定化の効果、泡増強の効果及び泡のキメの細やかさへの影響を確認した。
【0065】
【表3】
【0066】
泡安定化及び泡増強についての結果を、それぞれ図7及び図8に示す。
【0067】
泡安定化について、図7より、実施例18〜23の剤並びに参考例2及び3の剤を使用したときの泡消滅速度が90ml/分未満であった。一方、比較例2の剤を使用したときの泡消滅速度が120ml/分であった。比較例3及び4の剤ではそもそも泡が発生しなかった。
【0068】
泡増強について、図8より、実施例18〜23の剤並びに参考例2及び3の剤を使用したときの泡増加倍率は2倍を超えていた。一方、比較例2の剤を使用したときの泡倍率は0.9倍であった。比較例3及び4の剤ではそもそも泡が発生しなかったので泡倍率は0倍であった。
【0069】
泡のキメの細やかさについて、実施例18〜23の剤は、優れた効果を示したが、参考例2及び3並びに比較例2〜4の剤は、劣っていた。
【0070】
以上より、実施例18〜23の剤は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を示したが、比較例2〜4の剤は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても劣る結果となった。また参考例2及び3の剤は、泡安定化及び泡増強について優れた効果を示したが、泡のキメの細やかさの点で劣っていた。このことから、糖類と少なくともアミノ基で置換された炭化水素若しくはその塩との混合物の加熱処理物は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を発揮することが確認された。尚、糖類と少なくともアミノ基で置換された炭化水素又はその塩との混合物の加熱処理物は、飲料への着色が確認された。
【0071】
(評価例6、色度の測定)
上記に記載した効果の確認方法4(着色)の方法に従って、430nmの吸光度(E430)を求めて、色度=E430×25の式からEBC色度を算出した。検体として実施例1、実施例4、実施例12、実施例17、実施例21及び実施例22の剤を用いた。10g秤量した各検体と、市販の炭酸水(ウイルキンソン、アサヒ飲料社製)200mlとを混合し、得られた各水溶液の吸光度を測定した。結果を図9及び11に示す。米を用いて得られた本発明の剤(実施例1、4及び12)のEBC色度は10以下であり、通常のビールの色度とほぼ同じかそれ以下であった。一方、試薬を用いて得られた本発明の剤(実施例17、21及び22)のEBC色度は70以上あり、一般的な黒ビールの色度を上回っていた。(図10参照)
【0072】
(評価例7、実施例24)
市販の琉球もろみ酢(井藤漢方製薬社製)200mlを家庭用フライパンに投入し、ガスコンロにて中火で加熱を行った。均一に加熱するため、10秒に1回の頻度で撹拌し、非接触型の放射温度計で品温(液の表面温度)を測定しながら約30分かけて、品温を200℃に上昇させた。次に蒸留水200mlを加えよく撹拌を行った後、ろ紙(アドバンテックNo.2)でろ過を行った。ろ液のブリックス値は2.7であった。
【0073】
実施例24で得られたろ液をブリックス値12.0に濃縮して、上記した効果の確認方法1〜3で、泡の安定化作用、泡の増強作用及び泡のキメの細やかさの確認を行った。その結果、琉球もろみ酢から得られた実施例24の剤は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡増加倍率は3.4倍、泡消滅速度は59.1ml/分と良好であった。泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングも形成し、実施例24の剤の添加は、キメの細やかな質の良い泡を形成した。
もろみ酢とは、沖縄の名産品である泡盛を蒸留した際に産出する蒸留残渣から作られる飲料であり、原料由来の糖類とアミノ化合物(少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素)が豊富に含まれている液状物である。このことから、焼酎の蒸留残渣はもとより、ジャガイモを原料とするデンプン工場の液状残渣や、穀物加工所から出る廃液、さらには昆布やわかめ、魚介類等の水産物加工所から出る廃液等、糖類とアミノ化合物(少なくともアミノ基で置換された鎖状の炭化水素)とを含むものであれば固体液体を問わず、本発明に利用可能である。
【0074】
(評価例8、実施例25〜33)
L−アルギニン(シグマ社製)、L−アラニン(シグマ社製)、L−プロリン(シグマ社製)、GABA(γ−アミノ酪酸)(片山化学工業社製)、L−トレオニン(片山化学社製)、L−グルタミン(シグマ社製)、L−グルタミン酸(シグマ社製)、グルタミン酸ナトリウム(シグマ社製)又は2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(関東化学社製)と蒸留水10mlとを混合し、得られた混合物を270℃マッフル炉で30分間加熱(品温240℃)して得られた剤(実施例25〜33)について、上記した効果の確認方法1〜3で、泡安定化の効果、泡増強の効果及び泡のキメの細やかさへの影響を確認した。
【0075】
泡安定化について、実施例25〜33の剤を使用したときの泡消滅速度が90ml/分以下であった。泡増強について、実施例25〜33の剤を使用したときの泡増加倍率は2倍を超えていた。実施例25〜33の剤は、炭酸水投入によりキメの細やかなマシュマロのようなクリーミーな泡を形成し、泡の減少とともにシリンダーの内壁に生ビール業界で言われるエンジェルリングを形成した。実施例30〜32の剤(原料として、L−グルタミン、L−グルタミン酸又はグルタミン酸ナトリウムを使用)は、特に泡のキメの細やかさが優れていた。
【0076】
以上より、実施例25〜33の剤は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を示した。このことから、L−アルギニン、L−アラニン、L−プロリン、GABA(γ−アミノ酪酸)、L−トレオニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム又は2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールの加熱処理物は、泡安定化、泡増強及び泡のキメの細やかさのいずれについても優れた効果を発揮することが確認された。尚、これらはいずれも、飲料への着色が確認された。
【0077】
(本発明の剤及び炭酸ガスを含む飲料の製造例)
恒温器で保存しておいた4℃の、ペットボトルに充填されている市販の炭酸水(ウイルキンソン、アサヒ飲料社製)500mlのキャップを開封し、実施例1〜24で製造されたそれぞれの剤25gをペットボトルの口部より静かに添加し、再度手でキャップを閉め、静かに撹拌した後4℃で1日保存した。それぞれを、1000ml容量のメスシリンダー(イワキガラス社製)に200ml注いで泡の評価を行った。実施例の剤を添加したこれらの炭酸水は、いずれも、容器に注いだときの泡増加倍率が2倍以上であり、また、泡消滅速度が90ml/分以下であった。例えば実施例1の剤では、泡増加倍率は2.25倍、泡消滅速度は52.9ml/分であった。実施例の剤を添加していない炭酸水(ウイルキンソン、アサヒ飲料社製、4℃で保存)を1000ml容量のメスシリンダー(イワキガラス社製)に投入した直後の泡容量は0であり、泡増加倍率は0、及び、泡消滅速度は測定不可であった。また、実施例の剤1〜12を添加した炭酸水は、いずれも、実施例の剤13〜23を添加した炭酸水と比較して、剤添加による着色の度合いが少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の剤は、食経験が豊富な米等の穀物を原料とし、加熱という非常に簡単な工程を経るだけで、麦芽やホップをふんだんに使ったビールにおけるキメ細やかでクリーミーな泡を、麦芽やホップを用いずビール及びその他の炭酸飲料に付加することができる点が特に優れている。
【要約】
【課題】本発明の目的は、泡安定化又は泡増強剤を提供することである。
【解決手段】穀物又はその処理物を含有する、物質の泡安定化又は泡増強剤(但し、穀物の処理物が米糠タンパク質の分解物である場合、及び、物質が茶である場合を除く)。
【選択図】図1
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