(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の金属蒸着フィルムは、トップフィルム層、接着剤層、金属層、及び、ベースフィルム層の順に積層され、上記トップフィルム層及び上記ベースフィルム層は、塩化ビニル樹脂を含有し、上記ベースフィルム層は、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを含有し、上記臭素系難燃剤の含有量は、上記塩化ビニル樹脂100重量部に対して1.2〜5.0重量部であり、上記三酸化アンチモンの含有量は、上記塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.5〜4.0重量部であることを特徴とする。なお、本明細書において、「フィルム」は、「シート」と同義であり、厚さによって両者を区別していない。
【0021】
図1は、本発明の金属蒸着フィルムの一例を模式的に示した断面図である。
図1に示した金属蒸着フィルム10は、トップフィルム層11、接着剤層12、金属層13、ベースフィルム層15が順に積層された積層体である。金属蒸着フィルム10は、上記金属層13と上記ベースフィルム層15との間にプライマー層14を有する。更に、粘着剤層16及びセパレーター17を備える。
【0022】
[トップフィルム層]
上記トップフィルム層11は、塩化ビニル樹脂を含有する。すなわち、トップフィルム層11は、ポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)と一般に呼ばれるものであってもよい。トップフィルム層11は、金属層13の表面を保護する役割を有するものであるが、PVCフィルムを用いることにより、高い透明性と比較的低温(約130℃)での良好な成形性を得ることができる。なお、ここでの「比較的低温」とは、塩化ビニル樹脂以外の透明樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)を成形する場合の成形温度(130℃超)と比べて低温であることを意味している。高い透明性は、金属層13によって得られる金属光沢感をより高めるために求められる。また、比較的低温での良好な成形性とは、金属蒸着フィルムを加熱しながら基材に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への追従性に優れることを指す。本発明の金属蒸着フィルム10は、トップフィルム層11及び後述するベースフィルム層15の両方に、難燃性に優れる塩化ビニル樹脂を含有すフィルムを用いることで、総発熱量の上昇を抑制することができる。
【0023】
上記塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体を挙げることができる。
【0024】
上記他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。50重量%を超えると、トップフィルム層11の耐屈曲性が低下するおそれがある。上記塩化ビニル樹脂のなかでも、寸法安定性が得られる点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
【0026】
上記塩化ビニル樹脂の平均重合度は特に限定されず、求められるフィルムの硬さや、硬さの調整に用いられる可塑剤の量に応じて調整されるものであり、例えば、750〜1300とされる。上記平均重合度の好ましい上限は1050である。上記平均重合度が750〜1300の範囲内であると、比較的低温での成形性が特に良好である。これに対して、上記平均重合度が750未満では、3次元曲面部を有する基材に成形した場合、上記基材端部に追従せず、裂けたり、割れが発生しやすくなるおそれがある。一方、上記平均重合度が1300を超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となるおそれがある。本明細書において、塩化ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
【0027】
上記トップフィルム層11は、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、従来から塩化ビニル樹脂に配合されているものを用いることができ、例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP))、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP)等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル;エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤等を挙げることができる。
【0028】
上記高分子ポリエステル可塑剤としては、例えば、フタル酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記可塑剤の数平均分子量は、例えば、350〜3000である。
【0029】
上記トップフィルム層11における可塑剤の含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、10〜25重量部であることが好ましい。上記含有量が10重量部未満では、トップフィルム層11が硬くなり過ぎることで、成形性が低下し、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。一方、25重量部を超えると、トップフィルム層11が柔らかくなり過ぎることで、トップフィルム層11が軟らかくなり、強度が低下するため、3次元曲面部を有する基材に成形後、上記基材の端部から剥がれ易くなるおそれがある。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は、15重量部である。なお、トップフィルム層11及びベースフィルム層15は、積層されることから、基本的には同じ硬さであることが好ましい。そのため、トップフィルム層11及びベースフィルム層15は、厚さが同じであれば、可塑剤の含有量も同じであることが好ましい。
【0030】
上記トップフィルム層11は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル樹脂に一般的に配合されるものを使用することができる。
【0031】
上記安定剤としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン;ハイドロタルサイト等が挙げられる。上記金属石ケンの脂肪酸成分としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム等が挙げられる。また、上記安定剤としては、エポキシ系安定剤;バリウム系安定剤;カルシウム系安定剤;スズ系安定剤;亜鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤も使用することができる。上記安定剤を含有する場合、その含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、0.3〜5.0重量部が好ましい。また、上記紫外線吸収材を含有する場合、その含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、0.3〜2.0重量部が好ましい。
【0032】
上記トップフィルム層11の厚さは特に限定されないが、40〜200μmであることが好ましい。一般的に金属蒸着フィルムに積層するトップフィルム層は、厚みが薄い方が、より金属層の光沢を発現させることができるが、上記厚さが40μm未満では、3次元曲面部を有する基材上に成形した場合、金属蒸着フィルムが伸ばされるため、意匠性が低下するおそれがある。一方、上記厚さが200μmを超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となるおそれがある。また、金属蒸着フィルム10の総発熱量が増加するおそれがある。上記トップフィルム層11の厚さのより好ましい下限は50μmであり、より好ましい上限は100μmである。
【0033】
上記トップフィルム層11の表面には、必要に応じて、エンボス加工等の表面加工が施されていてもよい。エンボス加工によりトップフィルム層11の表面にエンボス形状(凹凸形状)を付与すれば、エンボス形状による質感の向上と金属層13による良好な金属光沢感の相乗効果によって、本発明の金属蒸着フィルムの意匠性を大きく高めることができる。上記トップフィルム層11が塩化ビニル樹脂を含有することで、エンボス加工により凹凸形状を付与でき、かつ成形時に凹凸形状を維持できる。ここで、エンボス加工による凹凸形状の付与は、転写率が60%以上であることが好ましい。上記転写率は、エンボス加工用の型(例えば、エンボスロール)に設けられた凹凸の深度に対する、フィルムに転写された凹凸の深度の割合を示し、例えば、型の凹凸深度が100μmで、フィルムの凹凸深度が50μmの場合、転写率は50%である。また、上記凹凸深度は、JIS B 0601(1994)に規定された最大高さ(Ry)に基づく値である。
【0034】
上記トップフィルム層11は、金属層13による金属光沢感をより高めるために、透明性が高いことが好ましく、具体的には、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。上記全光線透過率が80%未満であると、金属層13による金属光沢感が損なわれるおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、全光線透過率は、JIS K 7375に基づく値である。
【0035】
[接着剤層]
上記接着剤層12は、金属層13の表面にトップフィルム層11を貼り付けるための接着剤が硬化した層である。上記接着剤には、優れた接着性及び透明性を有するものが好適である。金属層13が、ベースフィルム層15上に点在した金属によって形成される場合、上記接着剤は、金属粒子間に浸透しやすいものであることが好ましい。また、上記接着剤は、金属蒸着フィルムを基材に貼り付けた後、60℃以上の高温環境(促進評価試験の条件)で保管した場合であっても、接着力が低下しないことが好ましい。
【0036】
上記接着剤は特に限定されず、例えば、ポリエステルポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤等を用いることができる。
【0037】
上記接着剤層12の厚さは特に限定されないが、5〜25μmであることが好ましい。上記接着剤層12の厚さのより好ましい下限は10μmであり、より好ましい上限は15μmである。
【0038】
上記接着剤層12は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。上記全光線透過率が80%未満であると、金属層13による金属光沢感が損なわれるおそれがある。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。
【0039】
[金属層]
上記金属層13は、本発明の金属蒸着フィルムの外観に金属光沢感を付与するための層である。上記金属層13は、アルミニウム又はインジウムを含有することが好ましい。アルミニウム及びインジウムは、伸展性に富む金属であることから、本発明の金属蒸着フィルムを3次元曲面部に貼り付けた場合であっても、クラックを発生することなく、ベースフィルム層15等の伸びに追従することができる。金属層13は、金属蒸着膜であることが好ましい。
【0040】
上記金属層13の形態は、金属光沢感を付与するものであれば特に限定されず、金属粒子が連続的に存在してベースフィルム層15を覆う膜を形成していなくてもよく、例えば、金属粒子がベースフィルム層15上に点在したものであってよい。
【0041】
金属層13は、全光線透過率が20%以下であることが好ましい。上記全光線透過率が20%を超えると、隠ぺい性が低下し、金属蒸着フィルムの伸長率に応じて金属蒸着フィルムの外観が変化するおそれがある。特に金属蒸着フィルムを100%以上伸長したときには、ベースフィルム層15の色が表面から見えやすい。金属層13の全光線透過率の好ましい下限は、5%である。上記全光線透過率が5%未満では、金属の量が多いため、金属蒸着フィルムが硬くなり、成形性が悪くなることがある。
【0042】
上記金属層13は、厚さが10〜60nmであることが好ましい。金属層13の厚みが上記範囲内であると、金属層13の全光線透過率を20%以下とすることができる。金属層13の厚さが10nm未満であると、隠ぺい性が低下し、金属調の意匠が得られないことがある。一方で、金属層13の厚さが60nmを超えると、金属膜が厚いため、金属蒸着フィルムが硬くなり、成形性が悪くなることがある。上記金属層13の厚さのより好ましい下限は20nmであり、より好ましい上限は50nmである。
【0043】
[プライマー層]
上記プライマー層14は、上記金属層13と上記ベースフィルム層15との密着性を高める層である。上記プライマー層14は、特に限定されず、例えば、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ポリ塩化ビニル系、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー系、ブチラール系等の樹脂を含有してもよい。
【0044】
上記プライマー層14の厚さは特に限定されないが、1〜10μmであることが好ましい。上記プライマー層14の厚さのより好ましい下限は3μmであり、より好ましい上限は7μmである。
【0045】
[ベースフィルム層]
上記ベースフィルム層15は、塩化ビニル樹脂を含有する。ベースフィルム層15は、金属層13を形成する下地材としての役割を有するものである。ベースフィルム層15の樹脂成分として塩化ビニル樹脂を用いることにより、金属蒸着フィルムを基材に貼り付ける際(成形時)に、3次元曲面部の形状への優れた追従性(成形性)が得られるという利点がある。
【0046】
上記ベースフィルム層15中の塩化ビニル樹脂は、組成及び平均分子量等の点で、トップフィルム層11中の塩化ビニル樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
上記ベースフィルム層15は、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンを含有する。臭素系難燃剤を用いることで、臭素原子が、燃焼反応において中心的な働きをするOHラジカル、Hラジカルをトラップするため、少ない添加量でも高い難燃性が得られる。臭素原子が活性OHラジカルと反応すると、下記反応式(a)によりHBrを生成する。
Sb
2O
3 + HBr → 2SbOBr + H
2O (a)
更に、臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを併用することで、臭化アンチモン(SbOBr)が生成し、ベースフィルム層の表面に被膜を形成する。上記臭化アンチモンは、下記式(b)〜(d)の反応を繰り返し、最終的にSb
2O
3になるため、燃焼を効果的に抑制することができる。
5SbOBr → Sb
4O
5Br
2 + SbBr
3 (b)
4Sb
4O
5Br
2 → 5Sb
3O
4Br + SbBr
3 (c)
3Sb
3O
4Br → 4Sb
2O
3 + SbBr
3 (d)
【0048】
上記臭素系難燃剤の含有量は、上記塩化ビニル樹脂100重量部に対して1.2〜5.0重量部である。上記含有量が1.2重量部未満であると、十分な難燃性が得られず、総発熱量が増加する。一方、上記含有量が5.0重量部を超えると、難燃剤がベースフィルム層15からブルームし、金属層13及び/又は粘着剤層16との密着性が低下する。また、ベースフィルム層15の引張物性が低下するため、金属蒸着フィルムの伸張率が低下する。上記含有量の好ましい下限は1.5重量部であり、好ましい上限は4.5重量部である。
【0049】
上記臭素系難燃剤は、イソシアヌル酸化合物又はシアヌル酸化合物を含有することが好ましい。上記イソシアヌル酸化合物は、イソシアヌル酸に臭素原子が直接結合していないことが好ましい。臭素原子がイソシアヌル酸に直接結合していないことで、融点が低くなるため、塩化ビニル樹脂と混ざりやすく、ブルームしにくい。
【0050】
上記イソシアヌル酸化合物又はシアヌル酸化合物は、分子量が700以上であることが好ましい。一方で上記分子量が大きくなると、塩化ビニル樹脂と混ざり難くなる傾向があり、上記分子量が1100を超えると、ベースフィルム層15からブリード(吹き出し)しやすくなり、金属層13又は後述するプライマー層14、粘着剤層16との密着性が低下することがある。
【0051】
上記イソシアヌル酸化合物は、下記化学式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0052】
【化3】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、Brを含む直鎖状又は環状の炭化水素基である。)
【0053】
上記式(1)中のR
1、R
2及びR
3は、同一又は異なって、Brを含む炭素数1〜5の直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。上記式(1)で表される化合物が一分子中に含有する臭素原子の数は、1個以上であればよいが、3個以上有することが好ましく、6個以上有することがより好ましく、9個以上有することが更に好ましい。上記臭素原子の数の上限は、特に限定されないが20個であることが好ましい。上記式(1)中のR
1、R
2及びR
3は、同一であることが好ましい。
【0054】
上記化学式(1)で表される化合物の具体例としては、下記化学式(1−1)で表されるイソシアヌル酸トリス(2,3−ジブロモプロピル)(分子量:728.69、融点:110℃)が挙げられる。
【0056】
上記シアヌル酸化合物は、下記化学式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0057】
【化5】
(式中、R
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、Brを含む直鎖状又は環状の炭化水素基である。)
【0058】
上記式(2)中のR
4、R
5及びR
6は、同一又は異なって、Brを含む環状の炭化水素基であることが好ましい。上記環状の炭化水素基は、多環式であってもよいし、単環式であってもよい。上記環状の炭化水素基は、フェニル基であることがより好ましい。上記式(2)で表される化合物が一分子中に含有する臭素原子の数は、1個以上であればよいが、3個以上有することが好ましく、6個以上有することがより好ましく、9個以上有することが更に好ましい。上記臭素原子の数の上限は、特に限定されないが20個であることが好ましい。上記式(2)中のR
4、R
5及びR
6は、同一であることが好ましい。
【0059】
上記化学式(2)で表される化合物の具体例としては、下記化学式(2−1)で表される2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(分子量:1067.43、融点:230℃)が挙げられる。
【0061】
上記三酸化アンチモンの含有量は、上記塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.5〜4.0重量部である。上記含有量が0.5重量部未満であると、充分な難燃性が得られない。一方、4.0重量部を超えると難燃剤がベースフィルム層15からブルームし、金属層13及び/又は粘着剤層16との密着性が低下する。上記含有量の好ましい上限は3.0重量部である。
【0062】
上記ベースフィルム層15は、可塑剤を含有していてもよい。ベースフィルム層15中の可塑剤は、組成及び数平均分子量等の点で、トップフィルム層11中の可塑剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
上記ベースフィルム層15における可塑剤の含有量は、上記樹脂成分100重量部に対して、10〜25重量部であることが好ましい。上記含有量が10重量部未満では、ベースフィルム層15が硬くなり過ぎることで、成形時にフィルムが破れてしまうおそれがある。一方、25重量部を超えると、ベースフィルム層15が柔らかくなり過ぎることで、ベースフィルム層15上に金属層13を形成し難くなるおそれがある。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は、15重量部である。
【0064】
上記ベースフィルム層15は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル樹脂に一般的に配合されるものを使用することができ、トップフィルム層11中の添加剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0065】
上記ベースフィルム層15の厚さは特に限定されないが、50〜200μmであることが好ましい。上記厚さが50μm未満では、本発明の金属蒸着フィルムが柔軟になり過ぎて施工性が低下するおそれや、耐候性が低下するおそれがある。一方、上記厚さが200μmを超えると、成形時の3次元曲面部の形状への追従性が不充分となるおそれがある。また、金属蒸着フィルム10の総発熱量が増加するおそれがある。上記ベースフィルム層15の厚さのより好ましい下限は60μmであり、より好ましい上限は100μmである。
【0066】
上記ベースフィルム層15の表面には、金属層13との密着性を向上させるために表面処理が施されてもよい。表面処理の種類としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等が挙げられる。
【0067】
[粘着剤層]
上記粘着剤層16は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を含有するものが挙げられる。なかでも、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、耐候性に優れるとともに、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
【0068】
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を含む粘着剤である。上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はその共重合体等が挙げられる。
【0069】
上記粘着剤層16は、例えば、粘着剤、架橋剤(硬化剤)等を含有する粘着剤組成物を支持体上に塗工して塗膜を形成した後、該塗膜を加熱乾燥することによって硬化させる方法によって形成できる。上記架橋剤(硬化剤)は、粘着剤中の官能基と化学反応又は相互作用をして架橋させる化合物である。上記架橋剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の公知の架橋剤を用いることができる。
【0070】
上記粘着剤は、本発明の金属蒸着フィルムに要求される特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、安定剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤、染料、顔料、無機フィラー等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0071】
上記粘着剤組成物の塗工量は、5〜90g/m
2(乾燥時重量換算)であることが好ましい。言い換えれば、上記粘着剤組成物を乾燥させた粘着剤層16の塗工量が5〜90g/m
2であることが好ましい。上記塗工量のより好ましい下限は10g/m
2である。上記塗工量のより好ましい上限は60g/m
2である。
【0072】
上記粘着剤層16の厚さは、10〜60μmが好ましい。上記厚さが10μm未満では、充分な粘着性を得ることができない場合がある。一方、上記厚さが60μmを超えると、金属蒸着フィルム10の総発熱量が増加するおそれがある。上記粘着剤層16の厚さのより好ましい下限は20μmであり、より好ましい上限は50μmである。上記粘着剤層16の厚さは、乾燥後の厚さである。
【0073】
[セパレーター]
セパレーター17を設けることにより、本発明の金属蒸着フィルムの製造、運搬、保存中に粘着剤層16が露出しないようにして、粘着剤層16の劣化防止や、本発明の金属蒸着フィルムの取扱い性向上が可能となる。セパレーター17は、基材への貼付の直前に剥離すればよい。
【0074】
上記セパレーター17としては特に限定されないが、粘着剤層16を損傷することなく容易に剥離できるものが好適であり、樹脂フィルム(離型フィルム)、紙(離型紙)、紙と被覆層との積層フィルム等が挙げられる。上記離型フィルムとしては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂フィルムが挙げられる。上記樹脂フィルムは、粘着剤層16と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって易剥離処理が施されることが好ましい。上記離型紙としては、上質紙、グラシン紙等が挙げられる。セパレーター17の厚さは、12〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。
【0075】
本発明の金属蒸着フィルムには、上記構成以外に、例えば、印刷層が設けられていてもよい。
【0076】
本発明の金属蒸着フィルム10は、有機樹脂層の総厚が100〜500μmであることが好ましい。上記総厚が100μm未満であると、施工性が低下するおそれや、耐候性が低下するおそれがある。一方、上記総厚が500μmを超えると、総発熱量を抑制することが困難となるおそれがある。上記有機樹脂層の総厚とは、トップフィルム層11、接着剤層12及びベースフィルム層15の厚さの合計をいう。金属蒸着フィルム10が、プライマー層14、及び/又は、粘着剤層16を備える場合には、プライマー層14の厚さ、及び/又は、粘着剤層16の厚さも含む。上記有機樹脂層の総厚には、金属層の厚さ及びセパレーターの厚さは含まない。上記有機樹脂層の総厚のより好ましい下限は120μmであり、より好ましい上限は300μmである。
【0077】
本発明の金属蒸着フィルム10は、総発熱量が7.2MJ/m
2以下であることが好ましい。上記総発熱量は、建築基準法第2条第9号および建築基準法施行令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験における総発熱量である。上記総発熱量の測定は、(財)建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」の「発熱性試験方法」に準じて行われる。具体的には、厚さ12.5mmの石膏ボードを下地材として、防火材料の発熱性試験装置(コーンカロリーメーター)を用いて行う。加熱開始後20分間の総発熱量が7.2MJ/m
2以下であると、防火材料としての総発熱量の基準(8MJ/m
2以下)を満たす。なお、本発明の金属蒸着フィルム10は、上記「防耐火性能試験・評価業務方法書」に記載の「加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと」及び「加熱開始後20分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kW/m
2を超えないこと」の基準も満たす。
【0078】
本発明の金属蒸着フィルム10は、100℃での伸張率が200%以上であることが好ましい。上記伸張率が200%以上であれば、3次元曲面への貼り付けに好適である。上記伸張率の上限は特に制限されないが、例えば400%である。上記伸張率は、引張試験機を用いてJIS K 7162に準拠して引張試験を行い、下記式から求めることができる。下記式中、Laは、引張試験を行う前の試験片の長さであり、Lbは、引張試験において試験片が破断した際の時の試験片の長さである。
伸張率(%)={(Lb−La)/La}×100
【0079】
本発明の金属蒸着フィルムは、従来公知の製造方法を利用して製造することができる。トップフィルム層11及びベースフィルム層15は、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によって作製することができる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
【0080】
接着剤層12は、例えば、トップフィルム層11上に接着剤組成物を塗工し、ベースフィルム層15上又はプライマー層14上に形成された金属層13と貼り合わせた後に、接着剤組成物を硬化させることで形成することができる。また、接着剤層12は、金属層13上に接着剤組成物を塗工し、トップフィルム層11を貼り合せた後に、接着剤組成物を硬化させることでも形成することができる。
【0081】
金属層13は、ベースフィルム層15上又はプライマー層14上に、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着法を用いて形成することができる。
【0082】
プライマー層14は、例えば、ベースフィルム層15上に、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法等を用いて、樹脂組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。
【0083】
粘着剤層16の形成方法は特に限定されず、例えば、セパレーター17上に直接バーコーター等を用いて、粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。この場合、セパレーター17上に形成した粘着剤層16を、ベースフィルム層15に貼り合わせることで本発明の金属蒸着フィルムを製造することができる。本発明の金属蒸着フィルムは、更に、必要に応じて、裁断、ロール状への巻き取り等の処理が行われる。
【0084】
本発明の金属蒸着フィルムの用途は特に限定されず、種々の基材に貼り付けて用いることができる。本発明の金属蒸着フィルムによれば、塗装よりも簡易かつ安全な方法で、塗装品と同等の金属光沢感を基材に付与することができる。また、本発明の金属蒸着フィルムは、従来の加飾フィルムでは装飾することが困難であった3次元曲面部を有する基材の表面であっても装飾できることから、3次元曲面部を有する基材を装飾するのに特に適している。すなわち、3次元曲面部を有する基材と、上記3次元曲面部を覆う金属蒸着フィルムとを備える加飾成形品であって、上記金属蒸着フィルムは、本発明の金属蒸着フィルムから上記セパレーターを剥離したものであり、上記粘着剤層を介して上記3次元曲面部に貼り付けられている加飾成形品もまた、本発明の一態様である。
【0085】
上記基材の材質は特に限定されないが、樹脂成形品等のプラスチック系基材に本発明の金属蒸着フィルムを貼り付ければ、プラスチック系基材を用いる利点を得つつ、金属調の外観を得ることができることから、利用価値が高い。上記基材の種類は特に限定されないが、例えば、携帯電話用カバー、自動2輪車用部品、車両用内装部品が挙げられる。また、本発明の金属蒸着フィルムは、総発熱量が抑制されているため、家屋の内装に用いることができる。そのため、金属板、石膏ボード等の基材に対しても適用可能である。
【0086】
本発明の金属蒸着フィルムを基材へ貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、ラッピング、熱成形、真空成形が挙げられる。ラッピングの具体例としては、ドライヤーで金属蒸着フィルムを温めて軟らかくしながら、プラスチック系基材に沿わせて貼り付ける方法が挙げられる。また、真空成形の具体例としては、真空・圧空成形機としてTOM成形機(布施真空社製、型番:NGF−0406)を使用し、ヒーターの加熱温度80〜140℃で、プラスチック系基材に、金属蒸着フィルムを貼り付ける方法が挙げられる。真空成形によれば、金属蒸着フィルムと基材の間に空気が入ることを効果的に防止できる。家屋の内装に用いる場合には、本発明の金属蒸着フィルムから上記セパレーターを剥離し、加熱を行わずに、上記粘着剤層を介して基材に貼り付けることもできる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)
トップフィルム層として、平均重合度1000のポリ塩化ビニル(PVC)100重量部に対して、可塑剤としてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)を23重量部添加し、PVCコンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、バンバリーミキサーで溶融混練した後、逆L字型カレンダーにてシート状に成形し、厚さ80μmのPVCフィルムを作製した。
【0089】
上記で得られたトップフィルム層の一方の面に、コンマバーコーターにて乾燥厚さが10μmとなるようにポリエステルポリウレタンポリオールを含有する接着剤(大日精化社製、セイカボンド)10g/m
2を塗工した。
【0090】
ベースフィルム層として、平均重合度1000のPVC100重量部に対して、臭素系難燃剤として下記化学式(1−1)で表されるイソシアヌル酸トリス(2,3−ジブロモプロピル)を含有する臭素系難燃剤を3.5重量部、三酸化アンチモンを2.5重量部、可塑剤としてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)を20重量部添加し、PVCコンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、バンバリーミキサーで溶融混練した後、逆L字型カレンダーにてシート状に成形し、厚さ70μmのPVCフィルムを作製した。
【0091】
【化7】
【0092】
上記で得られたベースフィルム層の一方の面に、コンマバーコーターにて乾燥厚さが3μmとなるようにポリエステル系樹脂5g/m
2を塗工し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層の表面に、真空蒸着法により、厚みが40〜50nmであり、全光線透過率が1〜5%のアルミ蒸着層を形成した。
【0093】
そして、プライマー層上に形成された金属層とトップフィルム層上に塗工された接着剤とが互いに接する向きにして、ニップロールで圧着することにより貼り合わせ、ベースフィルム層、プライマー層、金属層、接着剤層及びのトップフィルム層の順で積層された積層体を得た。
【0094】
厚さ100μmのセパレーター(二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、東レ社製「ルミラー(登録商標)」)を用意し、一方の面に、コンマバーコーターにて乾燥厚さが40μmとなるようにポリエステル系粘着剤(日立化成株式会社製、ハイボン7663)を塗工し、粘着剤層を得た。次に、粘着剤層を介してセパレーターと上記積層体とを貼り合わせ、セパレーター上に形成された粘着剤層を上記積層体のベースフィルム層側に転写した。これにより、実施例1の金属蒸着フィルムを得た。実施例1の金属蒸着フィルムの構成を下記表1に示す。表1中、イソシアヌル酸トリス(2,3−ジブロモプロピル)は、「Br−(1)」と記載した。
【0095】
(実施例2及び比較例1〜4、6及び7)
ベースフィルム層における、臭素系難燃剤及び/又は三酸化アンチモンの含有量を変更した点以外は、実施例1と同様にして金属蒸着フィルムを作製した。比較例1は、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンのいずれも添加しなかった。比較例2は、臭素系難燃剤のみを添加し、三酸化アンチモンを添加しなかった。比較例3は、臭素系難燃剤を添加せずに三酸化アンチモンのみを添加した。
【0096】
(実施例3)
実施例3は、下記化学式(2−1)で表される2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジンを含有する臭素系難燃剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして金属蒸着フィルムを作製した。表1中、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジンは、「Br−(2)」と記載した。
【0097】
【化8】
【0098】
(比較例5)
比較例5は、難燃剤をトップフィルム層に添加し、ベースフィルム層に添加しなかった点以外は、実施例1と同様にして、金属蒸着フィルムを作製した。
【0099】
なお、接着剤層、金属層、プライマー層及び粘着剤層は、すべての実施例及び比較例で同じにした。
【0100】
(評価試験)
実施例及び比較例で作製した金属蒸着フィルムについて、下記の方法により、(1)外観、(2)総発熱量、及び、(3)ブルームを評価した。総合評価として、(1)〜(3)のすべての評価結果に×がない場合を○、(1)及び(2)の評価結果に×がなく、(3)の評価結果が×である場合を△、(1)及び(2)のいずれかの評価結果が×である場合を×とした。結果を下記表1に示した。
【0101】
(1)外観
金属蒸着フィルムのトップフィルム層側の表面における光沢、輝度感を目視にて観察し、以下の基準により評価した。判定基準を以下に示す。
(判定基準)
〇:トップフィルム層側の表面が白濁していない
×:トップフィルム層側の表面が白濁している
【0102】
(2)総発熱量
厚さ12.5mmの石膏ボートに金属蒸着フィルムを張り付けた後、(財)建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」及び「防火材料の発熱性試験装置(コーンカロリーメーター)」に基づきコーンカロリーメーター燃焼試験を行い、総発熱量(MJ/m
2)を測定し、以下の基準により評価した。判定基準を以下に示す。
(判定基準)
〇:上記総発熱量の平均値が6.0MJ/m
2以下である
△:上記総発熱量の平均値が6.1〜7.2MJ/m
2の範囲内である
×:上記総発熱量の平均値が7.2MJ/m
2を超える
【0103】
(3)ブルーム(吹き出し)の発生
ベースフィルム層に添加した難燃剤が、ベースフィルム層の表面に吹き出していないかを、以下の基準により評価した。判定基準を以下に示す。
測定方法:60℃×1週間後、50℃95%RH×1週間後
(判定基準)
〇:ベースフィルム層の表面を手で触り、手に拭き出し物が付かない
×:ベースフィルム層の表面を手で触り、手に拭き出し物が付く
【0104】
【表1】
【0105】
表1から分かるように、実施例1の金属蒸着フィルムは、外観、ブルームの発生及び総発熱量のいずれについても良好な結果であった。実施例2の金属蒸着フィルムは、総発熱量の評価がやや劣るものの、外観及びブルームの発生の評価は良好であった。分子量が大きい臭素系難燃剤を用いた実施例3では、ブルームが発生し、総発熱量の評価がやや劣るものの、外観は良好であった。
【0106】
一方、比較例1の金属蒸着フィルムは、難燃剤として臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンのいずれも添加しなかったため、総発熱量を充分に抑制することができなかった。比較例2及び3の金属蒸着フィルムは、臭素系難燃剤のみ又は三酸化アンチモンのみを含有するため、総発熱量を充分に抑制することができなかった。比較例4の金属蒸着フィルムは、臭素系難燃剤及び三酸化アンチモンの含有量が少なかったために、総発熱量を充分に抑制することができなかった。比較例5は、トップフィルム層に難燃剤を添加したため、光沢感が損なわれ、外観の評価が劣っていた。臭素系難燃剤の含有量が多い比較例6、三酸化アンチモンの含有量が多い比較例7では、ともにブルームが発生した。更に、比較例7は、三酸化アンチモンの含有量が多いため、フィルムが伸び難く、裂けやすかった。