(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2カバーの前記板面保護部には、前記開放位置にて前記第1カバーの前記グラインダ本体への取り付け部に干渉することのないよう、該取り付け部を囲む凹部が設けられている、請求項1〜請求項14の何れか1項に記載のグラインダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホイールカバーは、被加工材の加工時に発生する火花や粉塵が飛散するのを抑制するのに利用されるが、飛散抑制効果を高めるために、先端工具を覆う面積を増やすと、ホイールカバーが被加工材に干渉して、グラインダの加工能力が低下することがある。
【0005】
このため、従来では、先端工具の種類毎(換言すれば、加工作業毎)に、ホイールカバーが用意されていた。
つまり、例えば、被加工材を研削・研磨を行う場合には、先端工具の面で被加工材を加工することになるので、ホイールカバーには、先端工具の外周の略半分をグラインダ本体側から覆うように構成されたものが使用される。
【0006】
また、被加工材を切断する際には、先端工具の外周部分に設けられた刃で被加工材を切断するので、ホイールカバーは、先端工具の外周の略半分をグラインダの本体側と外側の両面で覆うように構成されたものが使用される。
【0007】
しかしながら、このように被加工材の加工作業毎にホイールカバーを取り替えることは、作業者にとって非常に手間である。また、ホイールカバーを交換できるように、種類の異なるホイールカバーが用意されていても、グラインダに装着されていないホイールカバーは、グラインダから離れた場所に置かれることから、使用者によっては、ホイールカバーの置き場所を忘れ、紛失してしまうこともある。
【0008】
本開示の一側面では、グラインダにおいて、先端工具を覆うホイールカバーを交換することなく、被加工材の加工作業に応じて先端工具を覆う領域を変更できるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一局面では、グラインダは、先端工具を装着可能な出力軸を備え、出力軸の回転により先端工具を回転させて被加工材を加工するよう構成されたグラインダ本体と、グラインダ本体の出力軸に装着された先端工具を覆うホイールカバーと、を備える。
【0010】
また、ホイールカバーは、第1カバーと、第2カバーと、装着部を備える。
第1カバーは、グラインダ本体に取り付けられて、先端工具のグラインダ本体側の面である第1面の少なくとも一部を覆うようにものである。
【0011】
また、第2カバーは、先端工具のグラインダ本体とは反対側の面である第2面の少なくとも一部を覆うように構成されており、装着部を介して、第1カバーに装着される。
また、装着部は、第1カバーに対し、第2カバーを、先端工具の第2面を覆う被覆位置と、先端工具の第2面を開放させる開放位置との何れかに位置変更可能に装着するものである。
【0012】
このため、本開示のグラインダによれば、グラインダ本体に取り付けられた第1カバーに対し、第2カバーを、被覆位置若しくは開放位置の何れかとなるように装着できる。
従って、本開示のグラインダによれば、被加工材の加工作業に応じて、グラインダ本体に設けるホイールカバーを交換する必要がなく、グラインダの使い勝手を向上できる。
【0013】
また、先端工具の第2面を開放させて被加工材の加工作業(研削・研磨等)を行う場合、第2カバーを第1カバーから外して、グラインダから離れた場所に保管する必要がないので、使用者が第2カバーの置き場所を忘れ、紛失してしまうことを抑制できる。
【0014】
また、装着部は、第2カバーを、工具無し(所謂ツールレス)で第1カバーに装着できるように構成されている。このため、使用者は、第2カバーの第1カバーへの装着作業を極めて簡単に行うことができるようになり、これによっても、グラインダの使い勝手を向上できる。
【0015】
ここで、第1カバー及び第2カバーは、それぞれ、先端工具の第1面若しくは第2面に対し対向配置されて先端工具の板面を保護する板面保護部と、先端工具の外周端縁に対し対向配置されて先端工具の外周を保護する端縁保護部と、を備えていてもよい。
【0016】
この場合、第2カバーは、被覆位置では、板面保護部が、先端工具を挟んで第1カバーの板面保護部と対向するように配置され、開放位置では、板面保護部が第1カバーの板面保護部と重なるように配置されるようにするよい。
【0017】
そして、このように第2カバーを配置するためには、装着部は、第1カバー及び第2カバーの端縁保護部同士を接続するように構成するだけでよく、装着部の構成を簡単にして、容易に実現できるようになる。
【0018】
なお、先端工具の第2面を開放させるために、第2カバーの板面保護部を第1カバーの板面保護部に重ねた場合、第2カバーの板面保護部が、第1カバーのグラインダ本体への取り付け部分に干渉することが考えられる。
【0019】
このため、第2カバーの板面保護部には、第2カバーを開放位置に配置した際、第1カバーをグラインダ本体に取り付ける取り付け部に干渉することのないよう、その取り付け部を囲むように凹部が設けられていてもよい。
【0020】
一方、装着部は、第2カバーの端縁保護部に対し開位置と閉位置とに相対移動可能に取り付けられた係合部材を備え、係合部材は、閉位置で第1カバーの端縁保護部の周方向一端側に係合して、第2カバーを第1カバーに固定し、開位置でその係合が解除されて、第2カバーを第1カバーから取り外し可能となるよう構成されていてもよい。
【0021】
このようにすれば、係合具材を閉位置から開位置或いは開位置から閉位置へ変位させることで、第1カバーからの第2カバーの取り外し、及び、第1カバーへの第2カバーの取り付けを、極めて簡単に行うことができるようになる。
【0022】
このため、第2カバーを被覆位置と開放位置とに位置変更する際の作業が簡単になり、位置変更の作業が面倒で、使用者が、被加工材の加工作業に応じて第2カバーを位置変更しなくなるのを抑制できる。
【0023】
また、この場合、係合部材は、閉位置にて第1カバーの端縁保護部の周方向一端側に係合する係合端部を覆い、その係合端部の外側に、被加工材の加工時に発生する加工屑を溜める空間を形成する枠体が備えられていてもよい。
【0024】
このようにすれば、ホイールカバーによって、被加工材の加工時に発生する火花や粉塵が飛散するのを抑制できるだけでなく、これらの一部を加工屑として、係合端部と枠体との間に形成される空間内に溜めることができるので、グラインダ周囲に飛散する火花や粉塵の量を少なくすることができる。
【0025】
なお、枠体は、係合部材に対し、係合端部の外側に空間を形成する閉塞位置とその空間を開放する開放位置とに開閉可能に設けられていてもよい。このようにすれば、枠体を開放位置にすることで、係合端部と枠体との間の空間に溜まった加工屑を簡単に取り出すことができるようになる。
【0026】
一方、装着部は、第1カバーの端縁保護部に突設されて、当該端縁保護部の外周面の外側に嵌合孔を形成する嵌合枠を備えていてもよい。
この場合、第2カバーの端縁保護部には、第2カバーの端縁保護部が第1カバーの端縁保護部に重なり相対移動することで嵌合孔に挿入されて、第2カバーを第1カバーに固定する嵌合片を設ける。
【0027】
このようにすれば、上述した係合部材を用いることなく、第2カバーを第1カバーに極めて簡単に、所謂ワンタッチで取り付けることができる。
また、この場合、第1カバーの嵌合枠は、嵌合孔が端縁保護部の外周方向に開口するよう設けられていてもよく、或いは、嵌合孔が端縁保護部の外周方向と直交する方向に開口するよう設けられていてもよい。
【0028】
そして、嵌合孔が端縁保護部の外周方向に開口するように、第1カバーに嵌合枠が設けられている場合、第2カバーには、当該第2カバーの端縁保護部を第1カバーの端縁保護部に重ねたときに嵌合枠が挿入される挿入孔が設けられ、嵌合片が挿入孔の内部に突出されていてもよい。
【0029】
この場合、第2カバーの端縁保護部を第1カバーの端縁保護部に重ねることで、嵌合枠を挿入孔に挿入し、その後、第1カバーと第2カバーを外周方向に相対移動させれば、嵌合片が嵌合孔に挿入されて、第2カバーが第1カバーに固定されることになる。
【0030】
また、嵌合孔が端縁保護部の外周方向と直交する方向に開口するように、第1カバーに嵌合孔が設けられている場合、第2カバーの端縁保護部には、板面保護部とは反対側に突出するように嵌合片が設けられていてもよい。
【0031】
この場合、第1カバーと第2カバーとを、嵌合孔に嵌合片を挿入可能となるよう配置し、端縁保護部の外周方向と直交する方向に相対移動させれば、嵌合孔に嵌合片が挿入されて、第2カバーが第1カバーに固定されることになる。
【0032】
次に、装着部は、第2カバーの端縁保護部の外周方向両端に切り欠きを介して変形可能に設けられた係合突起にて構成されていてもよい。
この場合、係合突起は、通常時には、第1カバーの端縁保護部の外周方向両端に係合して第2カバーを第1カバーに固定し、変形時には、その係合が解除されて第2カバーを第1カバーから取り外し可能となるよう構成する。
【0033】
そして、装着部をこのように構成しても、第2カバーを第1カバーに所謂ワンタッチで取り付けることができる。また、第2カバーを第1カバーから取り外す際には、係合突起を変形させればよいので、その取り外し作業も極めて簡単に行うことができる。
【0034】
なお、係合突起は、切り欠きを介して端縁保護部の外周方向両端縁の幅方向一端側若しくは両端側に配置され、第1カバーの外周方向両端縁の幅方向両端側の角部に係合して、第2カバーを第1カバーに固定するよう構成されていてもよい。
【0035】
このようにすれば、係合突起は、第1カバーの外周方向両端縁の幅方向両端側の角部に係合されるので、被加工材の加工時に第1カバーの外周方向一端側から火花が噴出した際に、その火花が係合突起に当たって、係合突起が熱で劣化するのを抑制できる。
【0036】
なお、第2カバーは、装着部を介して第1カバーに装着されるので、第1カバーに比べ、被加工材の加工時に発生する火花が当たる領域を極めて小さくすることができる。従って、第2カバーは一般的なホイールカバーと同様、金属板にて構成することもできるし、合成樹脂にて構成することもできる。
【0037】
そして、第2カバーを合成樹脂製にすれば、第1カバーに第2カバーを装着することでグラインダが重くなるのを抑制し、グラインダの使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第1実施形態のグラインダの外観を表す斜視図である。
【
図2】第1実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図3】第2カバーの第1カバーへの取り付け手順を表し、
図3Aは係合部材が閉位置にある取り付け後の状態を表す斜視図、
図3Bは係合部材の第1カバーへの係合状態を表す斜視図、
図3Cは係合部材が開位置にある取り付け前の状態を表す斜視図である。
【
図4】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーを表し、
図4Aはホイールカバーをギヤハウジング側からみた平面図、
図4Bはホイールカバーを
図4Aの下方から見た側面図、
図4Cは
図4Bに示すIVC−IVC線断面図、
図4Dは
図4Aに示すIVD−IVD線断面図である。
【
図5】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図6】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーを表し、
図6Aはホイールカバーをギヤハウジング側からみた平面図、
図6Bはホイールカバーを
図4Aの下方から見た側面図、
図6Cは
図6Bに示すVIC−VIC線断面図、
図6Dは
図6Aに示すVID−VID線断面図である。
【
図7】第2カバーが被覆位置にあるときのグラインダを先端工具の上面側から見た平面図である。
【
図8】第2カバーが被覆位置にあるときのグラインダを先端工具の下面側から見た平面図である。
【
図9】第2実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図10】第1カバーの第2カバーへの取り付け手順を表し、
図10Aは係合部材が閉位置にある取り付け後の状態を表す斜視図、
図10Bは係合部材が開位置にある取り付け前の状態を表す斜視図である。
【
図12】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図14】第3実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図15】第1カバーの第2カバーへの取り付け手順を表し、
図15Aは取り付け後の状態を表す斜視図、
図15Bは取り付け前の状態を表す斜視図である。
【
図16】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図18】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図20】第4実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図21】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表し、
図21Aはホイールカバーを端縁保護部側からみた斜視図、
図21Bはホイールカバーを先端工具を覆う開口側からみた斜視図である。
【
図23】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図25】第5実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図26】第1カバーの第2カバーへの取り付け手順を表し、
図26Aは係合部材が閉位置にある取り付け後の状態を表す斜視図、
図26Bは係合部材の第1カバーへの係合状態を表す斜視図、
図26Cは係合部材が開位置にある取り付け前の状態を表す斜視図である。
【
図28】第2カバーが開放位置にあり、係合部材の枠体が開放位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図29】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表す斜視図である。
【
図31】第6実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図33】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーを表し、
図33Aはホイールカバーを先端工具を覆う開口側からみた側面図、
図33Bは
図33Aに示すXXXIIIB−XXXIIIB線断面図である。
【
図34】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの外観を表し、
図34Aはホイールカバーの平面図、
図34Bはホイールカバーを
図34Aの下方からみた側面図である。
【
図35】第7実施形態のホイールカバーの構成を表す分解斜視図である。
【
図37】第2カバーを
図35とは逆方向から見た斜視図である。
【
図38】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーを表し、
図38Aはホイールカバーをギヤハウジング側からみた平面図、
図43Bはホイールカバーを
図38Aの下方から見た側面図、
図38Cは
図38Bに示すXXXVIIIC−XXXVIIIC線断面図、
図38Dは
図38Bに示すXXXVIIID−XXXVIIID線断面図である。
【
図39】第8実施形態のホイールカバーの外観を表し、
図39Aは第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーの斜視図、
図39Bは
図39Aに示すホイールカバーの一部破断平面図である。
【
図41】
図39に示すホイールカバーを、
図39とは逆方向である先端工具を覆う開口側からみた状態を表す斜視図である。
【
図42】第2カバーが被覆位置にあるときのホイールカバーを表し、
図42Aはホイールカバーをギヤハウジング側からみた平面図、
図42Bはホイールカバーを
図42Aの下方から見た側面図、
図42Cは
図42Bに示すXXXXIIC−XXXXIIC線断面図、
図42Dは
図42Aに示すXXXXIID−XXXXIID線断面図である。
【
図43】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーを
図41と同方向からみた状態を表す斜視図である。
【
図44】第2カバーが開放位置にあるときのホイールカバーを表し、
図44Aはホイールカバーをギヤハウジング側からみた平面図、
図44Bはホイールカバーを
図44Aの下方から見た側面図、
図44Cは
図44Bに示すXXXXIVC−XXXXIVC線断面図、
図44Dは
図44Aに示すXXXXIVD−XXXXIVD線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のグラインダ1は、ディスク(円板)状の先端工具6を回転させて被加工材を加工(研削、研磨、切断等)するための所謂ディスクグラインダであり、グラインダ本体のハウジングとして、モータハウジング2及びギヤハウジング4を備える。
【0040】
モータハウジング2は、モータが収納される略円筒形状のハウジングであり、モータの回転軸は、モータハウジング2の前方に配置されるギヤハウジング4に向かって突出されている。なお、モータハウジング2のギヤハウジングとは反対側である後方には、リヤカバーが設けられ、その内部にモータの駆動回路等が収納されている。
【0041】
また、ギヤハウジング4は、モータハウジング2の前方の開口を閉塞するように設けられており、その内部には、モータの回転軸に連結されてモータの回転をモータの回転軸と直交する出力軸5(
図8参照)に伝達するギヤ機構が収納されている。
【0042】
出力軸5は、ギヤハウジング4から
図1における下方に突出されており、その突出部分には、
図8に示すように、ロックナット7を介して、先端工具6が固定される。なお、モータハウジング2やギヤハウジング4の内部構成については、特許文献1等に記載されており、公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
このように構成されたグラインダ1においては、リヤカバー内の駆動回路を介してモータが駆動され、モータの回転が、ギヤハウジング4内のギヤ機構を介して出力軸5に伝達される。
【0044】
このため、ロックナット7を介して、先端工具6を出力軸5に固定しておけば、モータの回転により先端工具6が回転して、研削、研磨、切断等の作業を行うことができる。なお、グラインダ1において用いられる先端工具6としては、研削砥石、切断砥石、ワイヤブラシ、等を挙げることができる。
【0045】
次に、ギヤハウジング4において、出力軸5が突出される部分は、出力軸5の中心軸と同軸で出力軸5を囲むように円筒形状になっており、この円筒部分の外周にホイールカバー8が装着されている。
【0046】
ホイールカバー8は、被加工材の加工時(換言すれば、研削、研磨、切断等の作業時)に発生する火花や粉塵が作業者側に飛散するのを抑制するためのものである。
本実施形態のホイールカバー8は、ギヤハウジング4の出力軸5周りの円筒部分に固定されて、先端工具6をギヤハウジング4側から覆う第1カバー10と、第1カバー10に対し装着可能な第2カバー30とを備える。
【0047】
図2に示すように、第1カバー10は、先端工具6のギヤハウジング4側の板面(第1面)に対向配置されて、この板面の一部(詳しくは略半分)を覆う半円形状の板面保護部12を備える。
【0048】
また、板面保護部12の外周端縁には、板面保護部12の板面と略直交するように屈曲されて、先端工具6の外周端縁に対向配置される端縁保護部13が設けられており、更に、端縁保護部13の板面保護部12とは反対側には、先端工具6の径方向内側に湾曲した湾曲部14が設けられている。
【0049】
なお、第1カバー10を構成する板面保護部12、端縁保護部13及び湾曲部14は、金属板にて一体形成されている。
また、板面保護部12には、ギヤハウジング4において出力軸5を囲む円筒部分に装着するための円環部16が設けられている。
【0050】
この円環部16は、円環の一部が開口しており、その開口両側は、円環の外側に屈曲されることにより、ギヤハウジング4の円筒部分を径方向内側に締め付けるための締付部17として構成されている。
【0051】
そして、その締付部17には孔が穿設されており、その孔に有頭のボルトを通しナットを螺合することで、第1カバー10は、ギヤハウジング4(換言すればグラインダ本体)に対し、しっかりと固定できるようになる。
【0052】
一方、第2カバー30は、第1カバー10と同形状であり、板面保護部32、端縁保護部33及び湾曲部34を備える。これら各部は、
図1に示すように第2カバー30を第1カバー10の板面保護部32側から被せることができるように、第1カバー10よりも大きくなっている。なお、第2カバー30の板面保護部32、端縁保護部33及び湾曲部34は、第1カバー10と同様、金属板にて一体形成されている。
【0053】
また、第2カバー30の板面保護部32には、第2カバー30を第1カバー10に被せたときに、グラインダ本体への取り付け部である円環部16に干渉することのないよう、円環部16を囲むように凹部36が設けられている。
【0054】
また、第2カバー30の端縁保護部33において、外周方向一端側には、第2カバー30を第1カバー10に被せた際に、第1カバー10の端縁保護部13の外周方向一端側に係合できるように屈曲された屈曲部38が設けられている。
【0055】
また、第2カバー30の端縁保護部33において、外周方向他端側には、第2カバー30を第1カバー10に被せた際に、第1カバー10の端縁保護部13の外周方向一端側に手動で係合させるための係合部材40が設けられている。
【0056】
係合部材40は、屈曲部38と共に、本開示の装着部を構成するものであり、板状の連結部材52を介して、第2カバー30の端縁保護部33に取り付けられている。連結部材52は、第2カバー30の端縁保護部33に対し、係合部材40を、
図3Aに示す閉位置と
図3Cに示す開位置との間で変位可能に取り付けるためのものであり、係合部材40を開閉させるヒンジを構成している。
【0057】
つまり、
図2に示すように、連結部材52には、軸57を介して第2カバー30の端縁保護部33に回動自在に固定するためのヒンジ部56と、軸47を介して係合部材40を回動自在に固定するためのヒンジ部54とが設けられている。
【0058】
また、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向他端側には、その外周方向に直交する方向に軸57を配置し、その軸57にヒンジ部56を軸支できるように、板面保護部32側と湾曲部34側とに間隔を空けて設けられた一対の突出片39が設けられている。
【0059】
そして、連結部材52は、その突出片39の間にヒンジ部56を配置し、軸57を、一方の突出片39の孔からヒンジ部56を通って他方の突出片39の孔に至るように貫通させることで、第2カバー30の端縁保護部33に回動可能に取り付けられている。
【0060】
また、ヒンジ部54は、軸57に対し軸47が平行になるように、連結部材52に設けられている。そして、係合部材40には、このヒンジ部54を両側から挟むように一対の挟持片46が設けられている。この一対の挟持片46は、係合部材40の本体部分である外板42を屈曲させることにより構成されている。
【0061】
そして、係合部材40は、一対の挟持片46の間に連結部材52のヒンジ部54を配置し、軸47を、一方の挟持片46の孔からヒンジ部54を通って他方の挟持片46の孔に至るように貫通させることで、連結部材52に回動可能に取り付けられている。
【0062】
また、係合部材40の外板42において、端縁保護部33の外周方向外側には、第1カバー10の端縁保護部13の外周方向外側の端縁部分に係合可能に屈曲された係合端部44が設けられている。
【0063】
このように構成された係合部材40は、外板42を第2カバー30の端縁保護部33から離れるように引っ張ることで、
図3Bに示すように、軸47が端縁保護部33から離れて、係合端部44が、端縁保護部33の外周方向外側に変位する。そして、この状態で、外板42を操作して、係合端部44を端縁保護部33から離せば、
図3Cに示すように、端縁保護部33の外周方向他端が開放される。
【0064】
従って、このように第2カバー30の端縁保護部33の外周方向他端が開放されている状態では、第2カバー30を第1カバー10から取り外すこともできるし、第1カバー10に被せることもできる。
【0065】
第2カバー30を第1カバー10に被せて、第2カバー30を第1カバー10に固定する際には、
図3Cに示すように、まず、屈曲部38を第1カバー10の端縁保護部13に係合させる。
【0066】
そして、
図3Bに示すように、係合部材40を操作して、係合端部44を第1カバー10の端縁保護部13に係合させ、更に、係合部材40を第2カバー30側に押し込み、
図3Aに示すように、係合部材40を閉位置に配置する。
【0067】
この結果、第2カバー30は、
図4に示すように、端縁保護部33の外周方向両端で、屈曲部38と係合部材40とにより、第1カバー10に係合されて、第1カバー10にしっかりと固定されることになる。
【0068】
また、この状態では、第2カバー30の板面保護部32及び端縁保護部33は、第1カバー10の板面保護部12及び端縁保護部13と重なっている。このため、先端工具6は、ギヤハウジング4側の板面(第1面)と外周部分がホイールカバー8で覆われ、ギヤハウジング4とは反対側の板面(第2面)はホイールカバー8で覆われない、開放状態となる。
【0069】
従って、ホイールカバー8は、
図1に示すように、先端工具6のギヤハウジング4とは反対側の板面(第2面)を被加工材に当接させて、研削、研磨等の加工を行うのに適した状態となる。
【0070】
一方、ホイールカバー8の第2カバー30は、
図5に示すように、第1カバー10に対し、板面保護部32が第1カバー10の板面保護部12とは反対側に位置するように、配置することもできる。
【0071】
そして、第2カバー30をこのように配置した場合にも、係合部材40を上記と同様に操作して閉位置にすることで、
図6に示すように、第2カバー30を第1カバー10に対ししっかりと固定することができる。
【0072】
また、第2カバー30を第1カバー10から取り外す際にも、係合部材40を操作して、開位置にすることで、第2カバー30を第1カバー10から簡単に取り外すことができる。
【0073】
また、第2カバー30を
図5,
図6に示すように配置した場合、
図7及び
図8に示すように、先端工具6は、ホイールカバー8によって、ギヤハウジング4側の第1面とギヤハウジング4とは反対側の第2面との両方が覆われることになる。
【0074】
従って、ホイールカバー8は、先端工具6の外周部分を被加工材に当接させて被加工材を切断するのに適した状態となる。
上記のように構成された本実施形態のグラインダ1によれば、被加工材の加工を切断から研削・研磨、或いはその逆方向に変更する際、ギヤハウジング4からホイールカバー8を取り外して、加工に適したものに交換する必要がなく、その変更作業を簡単にすることができる。
【0075】
また、第2カバー30は、先端工具6のギヤハウジング4とは反対側の第2面の一部を覆う被覆位置と、第2面を覆わない開放位置とに、工具を利用することなく簡単に位置変更することができる。また、第2カバー30は、開放位置でも第1カバー10に装着しておくことができる。
【0076】
このため、被加工材の切断時に、第2カバー30をグラインダ1から離れた位置に保管する必要がないので、使用者が第2カバー30を紛失するのを抑制することができ、これによって、グラインダ1の使い勝手を向上できる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のホイールカバー8Aについて説明する。
【0077】
本実施形態のホイールカバー8Aは、基本構成は、第1実施形態のホイールカバー8と同じであり、第1実施形態とは、本開示の装着部を構成する係合部材40Aの構成が異なる。そこで、以下の説明では、この相違点について説明し、第1実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与し、説明は省略する。
【0078】
図9に示すように、本実施形態のホイールカバー8Aにおいて、係合部材40Aは、外板42に設けられる一対の挟持片46Aの間隔が、第2カバー30の端縁保護部33に設けられた一対の突出片39を外側から挟むように設定されている。
【0079】
そして、係合部材40は、挟持片46Aにて突出片39を挟むように第2カバー30の端縁保護部33に配置することで、第2カバー30の端縁保護部33に直接取り付けられる。
【0080】
また、その取り付け時には、一対の突出片39の間にトーションばね58が設けられる。トーションばね58は、外板42の係合端部44A側が第2カバー30の端縁保護部33の外周方向一端側に係合するよう、係合部材40Aを付勢するのに用いられる。
【0081】
そして、係合部材40Aは、軸57を、一方の挟持片46Aの孔から、一方の突出片39の孔、トーションばね58の孔、他方の突出片39の孔、他方の挟持片46Aの孔へと順に通すことで、第2カバー30に対し開閉可能に取り付けられる。
【0082】
また、係合部材40Aは、第2カバー30に対し直接取り付けられ、軸57周りに回動するだけであるので、係合端部44は、外板42をL字状に屈曲させることで形成されている。
【0083】
このため、本実施形態の係合部材40Aは、係合部材40Aを操作しなければ、
図10Aに示すように、外板42の係合端部44A側が第2カバー30の端縁保護部33の外周方向一端側に当接されて、係合部材40Aが閉位置に保持される。
【0084】
また、係合部材40Aの係合端部44Aとは反対側を、第2カバー30の端縁保護部33に向けて押せば、係合部材40Aが軸57周りに回動して、
図10Bに示すように、係合部材40Aが開位置となる。
【0085】
このように係合部材40Aを開位置にすれば、第1実施形態のホイールカバー8と同様、第2カバー30を第1カバー10から取り外すこともできるし、第1カバー10に被せることもできるようになる。
【0086】
そして、
図10Aに示すように、第2カバー30を第1カバー10に被せて、係合部材40を閉位置にすれば、
図11に示すように、端縁保護部33の外周方向両端で、第2カバー30の屈曲部38と係合部材40Aとが、第1カバー10に係合される。このため、第2カバー30は、第1カバー10にしっかりと固定されることになる。
【0087】
また、この状態では、ホイールカバー8Aは、先端工具6のギヤハウジング4側の第1面と外周部分を覆い、ギヤハウジング4とは反対側の第2面は覆わない開放状態となり、研削、研磨等の加工を行うのに適した状態となる。
【0088】
一方、本実施形態のホイールカバー8Aにおいても、第2カバー30は、
図12に示すように、第1カバー10に対し、板面保護部32が第1カバー10の板面保護部12とは反対側に位置するように、配置することができる。
【0089】
そして、第2カバー30をこのように配置した場合にも、第2カバー30の屈曲部38と係合部材40Aとを第1カバー10に係合させることができるので、
図13に示すように、第2カバー30を第1カバー10に対ししっかりと固定することができる。
【0090】
また、この状態では、ホイールカバー8Aは、先端工具6のギヤハウジング4側の第1面とギヤハウジング4とは反対側の第2面との両方を覆うことになるので、先端工具6の外周部分を被加工材に当接させて被加工材を切断するのに適した状態となる。
【0091】
従って、本実施形態のホイールカバー8Aをグラインダ1に設けるようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のホイールカバー8Bについて説明する。
【0092】
本実施形態のホイールカバー8Bは、上述した各実施形態と同様、第1カバー10と、第2カバー30とを備える。第1カバー10及び第2カバー30は、基本構成は上記各実施形態と同じであるため、以下の説明では、上記各実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0093】
図14に示すように、第1カバー10の端縁保護部13の外周面には、第1カバー10の外周方向に嵌合孔を形成する複数の嵌合枠19が間隔を空けて突設された板体18が、溶接等によって一体的に組み付けられている。
【0094】
また、第2カバー30の端縁保護部33には、
図15Bに示すように、第2カバー30を第1カバー10に被せて、端縁保護部33,13同士を重ねたときに、第1カバー10の複数の嵌合枠19がそれぞれ挿入される複数の挿入孔37が設けられている。
【0095】
この挿入孔37は、嵌合枠19が挿入された状態で、第1カバー10に対し第2カバー30を端縁保護部33の外周方向に所定長さだけ相対移動できるように、嵌合枠19よりも大きくなっている。
【0096】
そして、各挿入孔37には、第1カバー10に対し第2カバー30を端縁保護部33の外周方向に相対移動させたときに、嵌合枠19にて形成される嵌合孔に挿入される嵌合片35が設けられている。
【0097】
この嵌合片35は、第1カバー10側の嵌合枠19と共に、第2カバー30を第1カバー10に装着する装着部を構成するものであり、各挿入孔37の外周縁から挿入孔37内に同一方向に突出されている。
【0098】
このため、本実施形態のホイールカバー8Bにおいて、第2カバー30を第1カバー10に固定する際には、まず、
図15Bに示すように、第2カバー30を第1カバー10に被せて、第1カバー10の嵌合枠19を第2カバー30の挿入孔37にそれぞれ挿入する。
【0099】
そして、第2カバー30の挿入孔37に設けられた嵌合片35が第1カバー10の嵌合枠19にて形成される嵌合孔に入るように、第1カバー10に対し第2カバー30を相対移動させる。
【0100】
この結果、第2カバー30は、嵌合片35が嵌合枠19内に嵌合されることにより、
図15A、
図16及び
図17に示すように、第1カバー10にしっかりと固定されることになる。また、この装着時には、第1カバー10に対し第2カバー30を相対移動させるだけでよいので、極めて簡単に、所謂ワンタッチで装着できることになる。
【0101】
なお、この状態では、ホイールカバー8Bは、先端工具6のギヤハウジング4側の第1面と外周部分を覆い、ギヤハウジング4とは反対側の第2面は覆わない開放状態となり、研削、研磨等の加工を行うのに適した状態となる。
【0102】
また次に、第1カバー10において、板体18は、各嵌合枠19が、端縁保護部13における板面保護部12と湾曲部14との間の中心位置となるように、端縁保護部13に設けられている。
【0103】
同様に、第2カバー30において、挿入孔37及び嵌合片35は、端縁保護部33における板面保護部32と湾曲部34との間の中心位置となるように、端縁保護部33に設けられている。
【0104】
このため、本実施形態のホイールカバー8Bにおいても、第2カバー30は、
図18に示すように、第1カバー10に対し、板面保護部32が第1カバー10の板面保護部12とは反対側に位置するように、配置することができる。
【0105】
そして、第2カバー30をこのように配置する場合にも、上記と同様の手順で、第2カバー30を第1カバー10に簡単に(所謂ワンタッチで)固定できる。
つまり、この場合、第1カバー10の板面保護部12が第2カバー30の湾曲部34側に位置するように、第1カバー10を第2カバー30の内側に配置し、板面保護部32,12同士を重ねて、第1カバー10の嵌合枠19を第2カバー30の挿入孔37にそれぞれ挿入する。
【0106】
そして、その後、第2カバー30の挿入孔37に設けられた嵌合片35が第1カバー10の嵌合枠19にて形成される嵌合孔に入るように、第1カバー10に対し第2カバー30を相対移動させる。
【0107】
この結果、第2カバー30は、
図18及び
図19に示すように、板面保護部32と第1カバー10の板面保護部12との間に先端工具6を挿入できるように板面保護部32,12同士を対向配置した状態で、第1カバー10にしっかりと固定されることになる。
【0108】
そして、この状態では、ホイールカバー8Bは、先端工具6のギヤハウジング4側の第1面とギヤハウジング4とは反対側の第2面との両方を覆うことになるので、先端工具6の外周部分を被加工材に当接させて被加工材を切断するのに適した状態となる。
【0109】
従って、本実施形態のホイールカバー8Bをグラインダ1に設けるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のホイールカバー8Cについて説明する。
【0110】
本実施形態のホイールカバー8Cは、上述した各実施形態と同様、第1カバー10と、第2カバー30とを備える。第1カバー10及び第2カバー30は、基本構成は上記各実施形態と同じであるため、以下の説明では、上記各実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0111】
図20に示すように、第1カバー10の端縁保護部13の外周面には、第1カバー10の外周方向に直交する方向に嵌合孔を形成する複数の嵌合枠21が間隔を空けて突設された板体20が、溶接等によって一体的に組み付けられている。
【0112】
一方、第2カバー30の端縁保護部33には、湾曲部34が設けられておらず、端縁保護部33の板面保護部12とは反対側は、真っ直ぐに伸びている。そして、端縁保護部33には、板面保護部12とは反対側の開口端縁に切り欠き60を形成することで、第1カバー10の嵌合枠21にて形成される嵌合孔に嵌合可能な嵌合片61が設けられている。
【0113】
このように構成された本実施形態のホイールカバー8Cにおいては、第1カバー10側の嵌合枠21及び第2カバー30の嵌合片61が、本開示の装着部として機能する。
そして、これら各部の機能によって、第2カバー30を、
図20,
図21,
図22に示すように、先端工具6の第2面を覆う被覆位置に配置しても、或いは、
図23,
図24に示すように、先端工具6の第2面を覆わない開放位置に配置しても、第1カバー10に対ししっかりと固定できるようになる。
【0114】
つまり、第2カバー30を第1カバー10に装着する際には、第2カバー30の端縁保護部33の開口端縁を第1カバー10の端縁保護部13に当てて、端縁保護部33,端縁保護部13の板面同士が重なるように相対移動させる。
【0115】
このようにすれば、第2カバー30の複数の嵌合片61を、第1カバー10の嵌合枠21にて形成される嵌合孔に嵌合させて、第2カバー30を第1カバー10にしっかりと、しかもワンタッチで固定できるようになる。
【0116】
従って、本実施形態のホイールカバー8Cをグラインダ1に設けるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のホイールカバー8Dについて説明する。
【0117】
本実施形態のホイールカバー8Dは、基本構成は、第1実施形態のホイールカバー8と同じであり、第1実施形態とは、装着部としての係合部材40Bの構成が異なる。そこで、以下の説明では、この相違点について説明し、第1実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与し、説明は省略する。
【0118】
図25に示すように、本実施形態のホイールカバー8Dにおいて、係合部材40Bは、外板42Bに設けられる一対の挟持片46Bが、外板42Bの係合端部44Bよりも更に先端方向に伸びて、係合端部44Bの両側に配置される一対の枠片48として構成されている。
【0119】
また、この一対の枠片48には、軸47と平行となるように軸49が設けられ、この軸49には、軸49よりも係合端部44B側の外板42Bを覆う枠体50が設けられている。また、この枠体50の軸49とは反対側の先端部は、係合端部44B側に屈曲されて、係合端部44Bとの間に空間を形成する枠体端部51として構成されている。
【0120】
そして、本実施形態の係合部材40Bは、第1実施形態の係合部材40と同様、連結部材52を介して、第2カバー30の端縁保護部33に取り付けられる。
このため、
図26Bに示すように、外板42Bを第2カバー30の端縁保護部33から離れるように引っ張ることで、軸47が端縁保護部33から離れて、係合端部44Bが、端縁保護部33の外周方向外側に変位する。
【0121】
従って、この状態で、外板42Bを操作して、係合端部44Bを端縁保護部33から離せば、
図26Cに示すように、係合端部44Bを囲む枠片48及び枠体50も端縁保護部33から離れる。
【0122】
そして、このように係合部材40Bが第2カバー30の端縁保護部33から開放されている状態では、第2カバー30を第1カバー10から取り外すこともできるし、第1カバー10に被せることもできる。
【0123】
また、第2カバー30を第1カバー10に被せて、第2カバー30を第1カバー10に固定する際には、第1実施形態のホイールカバー8と同様の手順で、外板42Bを操作すればよい。
【0124】
つまり、
図26Cに示すように、まず、屈曲部38を第1カバー10の端縁保護部13に係合させ、次に、
図26Bに示すように、係合端部44を第1カバー10の端縁保護部13に係合させて、係合部材40を第2カバー30側に押し込む。
【0125】
この結果、第2カバー30は、
図27に示すように、端縁保護部33の外周方向両端で、屈曲部38と係合部材40B(詳しくは係合端部44B)とにより、第1カバー10に係合されて、第1カバー10にしっかりと固定されることになる。
【0126】
そして、この状態では、第2カバー30の板面保護部32及び端縁保護部33は、第1カバー10の板面保護部12及び端縁保護部13と重なっているため、先端工具6の第2面はホイールカバー8Dで覆われない開放状態となる。
【0127】
また、この状態では、研削、研磨等の加工を行うのに適した状態となるが、被加工材の研削、研磨時には、切断時よりも火花や粉塵が発生し易くなる。しかし、本実施形態のホイールカバー8Dにおいては、係合部材40Bが、先端工具6の回転方向先端側に配置されることになるので、係合部材40Bに設けられた枠体50と外板42Bとの間の空間内に火花や粉塵が入る。
【0128】
つまり、枠体50は、枠体端部51で係合端部44を覆うように構成されていることから、
図27Cに矢印で示すように、枠体端部51と係合端部44との間の隙間から火花や粉塵が入り、枠体50と外板42Bとの間の空間内にこれらが加工屑として蓄積される。
【0129】
従って、本実施形態のホイールカバー8Dによれば、被加工材を研削・研磨する際には、被加工材から発生する火花や粉塵の一部が、加工屑として、枠体50と外板42Bとの間の空間内に蓄積されて、周囲に飛散する火花や粉塵の量を少なくすることができる。
【0130】
また、枠体50は、枠片48に対し、軸49を介して回動可能に取り付けられているため、
図28に示すように、外枠42B及び係合端部44を覆う位置から、これらから離れた位置へと開放させることができる。
【0131】
このため、枠体50を
図28に示すように開放させることで、第2カバー30を第1カバー10から外すことなく、被加工材の加工によって蓄積された加工屑を取り出し、空間内を掃除することができる。
【0132】
また、本実施形態のホイールカバー8Dにおいても、第2カバー30は、
図29に示すように、第1カバー10に対し、板面保護部32が第1カバー10の板面保護部12とは反対側に位置するように、配置することができる。
【0133】
そして、第2カバー30をこのように配置した場合にも、第2カバー30の屈曲部38と係合部材40Bとを第1カバー10に係合させることができるので、
図30に示すように、第2カバー30を第1カバー10に対ししっかりと固定することができる。
【0134】
また、この状態では、ホイールカバー8Dは、先端工具6のギヤハウジング4側の第1面とギヤハウジング4とは反対側の第2面との両方を覆うことになるので、先端工具6の外周部分を被加工材に当接させて被加工材を切断するのに適した状態となる。
【0135】
従って、本実施形態のホイールカバー8Dをグラインダ1に設けるようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態のホイールカバー8Eについて説明する。
【0136】
本実施形態のホイールカバー8Eは、上述した各実施形態と同様、第1カバー10と、第2カバー30とを備える。第1カバー10及び第2カバー30は、基本構成は上記各実施形態と同じであるため、以下の説明では、上記各実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0137】
図31に示すように、本実施形態では、第1カバー10の端縁保護部13の外周方向両端部分に、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向両端部分を差し込むための差し込み部26が設けられている。
【0138】
この差し込み部26は、端縁保護部13の外周面との間に、第2カバー30の端縁保護部33を差し込むための隙間を形成するためのものであり、
図32に示すように、端縁保護部13の外周面に対し間隙を介して対向配置される板状部材にて構成されている。
【0139】
なお、板状部材は、弾性を有する金属板にて構成されており、端縁保護部13の外周面との間で、第2カバー30の端縁保護部33を挟持する。
また、差し込み部26は、第1カバー10の端縁保護部13の外周方向両端側から、端縁保護部13の外周面に沿って他端方向に開口しており、その開口端には、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向両端に形成された溝に嵌合可能な突条28が設けられている。
【0140】
一方、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向両端部分には、第1カバー10に被せた際に、第1カバー10の差し込み部26を挿入するための開口部67が形成されており、その開口部67の奥には、差し込み部26の突条28を嵌入するための嵌入溝68が設けられている。
【0141】
この開口部67及び嵌入溝68は、第2カバーの差し込み部26及び突条28と共に、本開示の装着部を構成するものである。
従って、本実施形態のホイールカバー8Eにおいては、この装着部の機能によって、第2カバー30を、
図33に示すように、先端工具6の第2面を覆わない開放位置に配置しても、
図34に示すように、先端工具6の第2面を覆う被覆位置に配置しても、第1カバー10に対ししっかりと固定できるようになる。
【0142】
また、第2カバー30を第1カバー10に装着する際には、第1カバー10の端縁保護部13と差し込み部26との間に、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向先端部分が入るように、第1カバー10に対し第2カバー30を相対移動させればよい。
【0143】
このため、第1カバー10に対する第2カバー30の装着及び取り外しを、工具を利用することなく、極めて簡単に(所謂ワンタッチで)行うことができる。
従って、本実施形態のホイールカバー8Eをグラインダ1に設けるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態のホイールカバー8Fについて説明する。
【0144】
本実施形態のホイールカバー8Fは、上述した各実施形態と同様、第1カバー10と、第2カバー30とを備える。第1カバー10及び第2カバー30は、基本構成は上記各実施形態と同じであるため、以下の説明では、上記各実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
【0145】
図35に示すように、本実施形態では、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向両端部分に、湾曲部34との境界に沿って所定深さの切り欠き71が設けられている。
この切り欠き71は、第2カバー30の湾曲部34の外周方向両端部分を端縁保護部33から切り離すことで、その湾曲部分34を外側に弾性変形できるようにするためのものである。
【0146】
そして、この切り欠き71にて端縁保護部33から切り離された湾曲部34の先端部分は、板面保護部32側に屈曲されて、湾曲部34の先端面72を構成しており、その先端面72には、第1カバー10の外周方向両端部分を差し込むことができるように、第2カバー30の内側に折り曲げられた差し込み部73が形成されている。なお、この差し込み部73は、本開示の係合突起に相当する。
【0147】
このように構成された本実施形態のホイールカバー8Fにおいては、
図35,
図36に示すように、第1カバー10に対し第2カバー30が被覆位置となるように配置することもできるし、
図37,
図38に示すように、第2カバー30を
図35とは逆方向(つまり開放位置)に配置することもできる。
【0148】
そして、第2カバー30は、被覆位置に配置しても、開放位置に配置しても、湾曲部34の先端部分に設けられた、係合突起としての差し込み部73を使って、第1カバー10にしっかりと固定することができる。
【0149】
つまり、第2カバー30を第1カバー10に取り付ける際には、第2カバー30の湾曲部34の先端面72を外側に変形させて、差し込み部73と湾曲部34との間に、第1カバー10の外周方向両端部分を差し込む。
【0150】
このようにすれば、
図38に例示するように、差し込み部73と湾曲部34との間に、端縁保護部13と湾曲部14との境界部分(
図36では端縁保護部13と板面保護部12との境界部分)が挟持されて、第2カバー30が第1カバー10に固定されることになる。
【0151】
従って、本実施形態のホイールカバー8Fをグラインダ1に設けるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態のホイールカバー8Gについて説明する。
【0152】
本実施形態のホイールカバー8Gは、上述した各実施形態と同様、第1カバー10と、第2カバー30とを備える。
第1カバー10及び第2カバー30は、基本構成は第7実施形態と同じであり、第7実施形態と異なる点は、第2カバー30の外周方向両端部分を、切り欠き81を介して端縁保護部33から切り離し、その両端部分を外側に弾性変形できるようにしたものである。
【0153】
そこで、以下の説明では、上記各実施形態と同一部分については、図に同一の符号を付与して説明を省略し、上記各実施形態と異なる部分について説明する。
図39,
図40に示すように、本実施形態のホイールカバー8Gにおいては、第2カバー30の端縁保護部33の外周方向両端部分が、板面保護部32側及び湾曲部34側でこれらに平行な2本の切り欠き81を介して、端縁保護部33の幅方向に3分割されている。
【0154】
そして、その3分割された中央の端縁保護部33は、外側に弾性変形可能な弾性片82として、端縁保護部33の外周方向両端から突出されている。なお、本実施形態では、第2カバー30は、金属板ではなく合成樹脂にて構成されており、弾性片82は合成樹脂の弾性にて変形する。
【0155】
また、弾性片82において、端縁保護部33の外周方向両端から突出された部分は、端縁保護部33と略同じ幅となるように、幅方向に張り出している。そして、その張り出し部83の弾性片82とは反対側端縁には、第1カバー10の外周方向両端縁の幅方向両端側の角部に係合可能な一対の係合突起85が設けられている。
【0156】
次に、第2カバー30の端縁保護部33の中央部分2カ所にも、切り欠き87を介して、外側に弾性変形可能な弾性片88が設けられている。
この2カ所の切り欠き87は、端縁保護部33の外周方向に沿った2本のスリットと、2本のスリットを端縁保護部33の外周方向外側で連結するスリットとにより構成されており、弾性片88は、切り欠き87の内側に位置する端縁保護部33の一部で構成される。
【0157】
そして、この弾性片88において、弾性変形により最も大きく変位する先端部分には、第2カバー30を第1カバー10に装着した際に、第1カバー10の端縁保護部13に当接される突起89が設けられている。
【0158】
このように構成された本実施形態のホイールカバー8Gにおいては、第2カバー30の外周方向両端から突出された弾性片82に設けられた係合突起85が、本開示の装着部として機能する。
【0159】
そして、この係合突起85によって、第2カバー30を、
図41,
図42に示すように、先端工具6の第2面を覆う被覆位置に配置しても、或いは、
図43,
図44に示すように、先端工具6の第2面を覆わない開放位置に配置しても、第1カバー10に対ししっかりと、しかも、ワンタッチで固定できるようになる。
【0160】
つまり、第2カバー30を第1カバー10に装着する際には、係合突起85が第1カバー10の端縁保護部13の外周方向端縁と係合するよう、第2カバー30を第1カバー10の上から被せてスライドさせるだけでよい。
【0161】
従って、本実施形態のホイールカバー8Gをグラインダ1に設けるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、第2カバー30の端縁保護部33の中央部分2カ所に、弾性片88が設けられている。そして、第2カバー30を第1カバー10に装着した際には、
図42,
図44に示すように、弾性片88の突起89が第1カバー10の端縁保護部13に当接されて、弾性片88が外側に変位する。
【0162】
このため、第2カバー30を第1カバー10に装着した際には、弾性片88の変位によって、係合突起85と第1カバー10とがしっかりと係合されることになり、第2カバー30を第1カバー10に装着した際に生じるがたつきを抑制できる。
【0163】
また更に、係合突起85は、弾性片82の先端側で幅方向に張り出した張り出し部83の幅方向両端に設けられており、第2カバー30を第1カバー10に装着した際には、第1カバー10の外周方向両端縁の幅方向両端側の角部に係合される。
【0164】
このため、被加工材の加工時に第1カバー10の外周方向一端側から火花が噴出した際に、その火花が係合突起85に当たって、係合突起85が熱で劣化するのを抑制できる。
従って、本実施形態のホイールカバー8Gによれば、第2カバー30を合成樹脂にて構成しても、被加工材の加工時に発生する火花によって第2カバー30が劣化するのを抑制できる。また、第2カバー30を合成樹脂性にすることで、グラインダが重くなるのを抑制し、グラインダの使い勝手を向上できる。
【0165】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
例えば、第1実施形態〜第7実施形態では、ホイールカバーを構成する第1カバー10及び第2カバー30は、金属製であるものとして説明したが、第8実施形態と同様、ホイールカバーの軽量化のために、第2カバー30を合成樹脂にて構成してもよい。
【0166】
なお、この場合、第1実施形態のホイールカバー8等で第2カバー30に外付けする係合部材40は、強度や耐久性を確保するために金属製にするとよい。
また、第1実施形態のホイールカバー8等で第2カバー30の外周方向一端側に設ける屈曲部38は、第8実施形態の係合突起85のように、第1カバー10の外周方向端縁の幅方向両端側の角部に係合するように構成するとよい。
【0167】
このようにすれば、被加工材の加工時に第1カバー10の外周方向一端側から火花が噴出した際に、その火花が屈曲部38に当たって、屈曲部38が熱で劣化するのを抑制できる。
【0168】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。