(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記線状ラックは、通路内で直線状に移動し、前記通路は、前記可拡張支持要素を拡張するための流体を供給するようになっている、請求項1に記載の脊椎インプラント。
前記係止システムは、第2のピニオンを有する第2の係止要素をさらに備えており、前記第2の係止要素は、係止形態と解除形態との間で移動可能であり、前記第2の係止要素は、前記係止形態では前記収縮形態に向かう第2の可拡張支持要素の移動を阻止し、前記解除形態では前記収縮形態に向う前記第2の可拡張支持要素の移動を可能にし、前記係止形態と前記解除形態との間における前記第2の係止要素の移動は、前記第2のピニオンの回転によって発動されるように構成されており、前記線状ラックは、前記ピニオンおよび前記第2のピニオンを同時に回転させるために前記ピニオンおよび前記第2のピニオンに係合されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の脊椎インプラント。
前記係止システムは、上側ロック支持部材および下側ロック支持部材を含む複数の相互係合係止要素を備えており、前記上側ロック支持部材は多段支持面を有し、前記下側ロック支持部材は、前記係止形態にて前記上側ロック支持部材の前記多段支持面に係合すべく移動するように構成された多段支持面を有しており、前記少なくとも1つの係止要素は、前記上側ロック支持部材および下側ロック支持部材の1つである、請求項1〜8の何れか一項に記載の脊椎インプラント。
前記少なくとも1つの係止要素は、前記下側ロック支持部材であり、前記下側ロック支持部材は、前記ピニオンの回転に応じて、前記係止形態と前記解除形態との間で前記上側ロック支持部材に対して回転可能である、請求項9に記載の脊椎インプラント。
前記下側ロック支持部材は、前記第1および第2の部材の1つに剛結された軸を中心として前記上側ロック支持部材に対して回転可能である、請求項10に記載の脊椎インプラント。
前記可拡張支持要素は、シリンダ内に摺動可能に受容されたピストンを備えており、前記上側ロック支持部材は、前記ピストン内に配置され、前記下側ロック支持部材は、前記シリンダ内に回転可能に収容されている、請求項10または11に記載の脊椎インプラント。
前記第1および第2の部材の一方は、拡張方向に沿って延在する長孔を画成しており、前記第1および第2の部材の他方は、前記長孔内に受容された突起を備え、前記突起は、前記長孔の端に当接したとき、互いに離れる方向への前記第1および第2の部材のさらなる拡張を阻止するように構成されている、請求項1〜12の何れか一項に記載の脊椎インプラント。
前記少なくとも1つの可拡張支持要素は、第1の可拡張支持要素および第2の可拡張支持要素を含んでおり、前記突起および前記長孔は、前記第1および第2の可拡張支持要素間に配置されている、請求項13に記載の脊椎インプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような椎間板システムおよび方法の最適化のために、当技術分野において著しい努力が払われてきているが、さらに一層の改良が依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、拡張可能な椎体間インプラントならびに該インプラントを操作する方法に関する。本発明の態様による拡張可能な椎体間インプラントは、椎間腔の両側のそれぞれの椎体に係合するための互いに対向する第1および第2の表面を備えている。インプラントが収縮形態から拡張形態に拡張すると、第1および第2の表面は、互いに離れる方に移動する。インプラントの収縮を拘束するために、係止システムが設けられているとよい。係止システムは、第1および第2の表面が収縮形態に向かって逆に移動するのを阻止する係止形態と、第1および第2の表面が収縮形態に向かって逆に移動するのを可能にする解除形態と、を有しているとよい。係止システムは、1つまたは複数のピニオンの回転によって制御されるようになっているとよい。ピニオンは、ラックの線状運動によって制御されるようになっていてもよい。ラックは、係止システムを係止形態に向かって付勢するように構成されていてもよい。本発明の他の態様は、インプラントの最大拡張を拘束するためのストッパを備えているとよい。
【0008】
本発明の態様によれば、第1および第2の椎体間に配置される脊椎インプラントは、それぞれの椎体に係合するための第1および第2の表面を有する第1および第2の部材を備えている。第1および第2の表面は、椎間腔の両側のそれぞれの椎体に係合するインプラントの互いに対向する側にあるとよい。インプラントは、少なくとも1つの可拡張支持要素(拡張可能な支持要素)および係止システムを備えているとよい。可拡張支持要素は、収縮形態および少なくとも1つの拡張形態を有しているとよい。収縮形態は、第1および第2の椎体間へのインプラントの配置を容易にするようになっているとよい。拡張形態では、第1および第2の部材は、第1および第2の表面が収縮形態におけるよりも互いにさらに離れて配置されるように、互いに離れる方に拡張するようになっているとよい。係止システムは、係止形態と解除形態の間で移動可能な少なくとも1つの係止要素を備えているとよい。係止要素は、係止形態にあるとき、収縮形態に向かう可拡張支持要素の移動を阻止し、解除形態にあるとき、収縮形態に向う可拡張支持要素の移動を可能にするようになっているとよい。係止要素は、ピニオンも備えているとよく、これによって、係止形態と解除形態との間における係止要素の移動が、ピニオンの回転によって作動されるようになっているとよい。
【0009】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントは、ピニオンを回転させるための線状ラックを備えていてもよい。本発明のいくつかのこのような態様によれば、線状ラックは、可拡張支持要素を拡張するための流体を供給する通路内において直線的に移動するようになっていてもよい。本発明の他のこのような態様によれば、線状ラックは、係止要素を係止形態に向かって移動させるように付勢されるようになっていてもよい。例えば、線状ラックは、線状バネによって付勢されるようになっていてもよい。
【0010】
本発明の他の態様によれば、係止システムは、第2のピニオンを有する第2の係止要素をさらに備えていてもよい。本発明のこのような態様によれば、第2の係止要素は、第2のピニオンの回転によって、係止形態と解除形態との間で移動可能になっていてもよい。第2の係止要素は、係止形態にあるとき、収縮形態に向かう第2の可拡張支持要素の移動を阻止し、解除形態にあるとき、収縮形態に向う第2の可拡張支持要素の移動を可能にするようになっていてもよい。線状ラックは、ピニオンおよび第2のピニオンを同時に回転させるために、ピニオンおよび第2のピニオンに係合されていてもよい。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、可拡張支持要素は、流体によって拡張されるように構成されていてもよい。
【0012】
本発明の他の態様によれば、可拡張支持要素は、シリンダ内に摺動可能に受容されたピストンを備えていてもよい。本発明のいくつかのこのような態様によれば、係止要素は、シリンダ内に収容されていてもよい。
【0013】
本発明の他の態様によれば、係止システムは、上側ロック支持部材および下側ロック支持部材を含む、複数の相互に係合する係止要素を備えていてもよく、係止要素は、上側および下側ロック支持部材の1つであってもよい。本発明のこのような態様によれば、上側ロック支持部材は、多段支持面を有し、下側ロック支持システムは、係止形態において移動して上側ロック支持部材の多段支持面と係合するように構成された、多段支持面を有していてもよい。本発明のいくつかのこのような態様によれば、係止要素は、下側ロック支持部材であってもよく、該下側ロック支持部材は、ピニオンの回転に応じて、係止形態と解除形態との間において上側ロック支持部材に対して回転可能になっていてもよい。本発明の他のこのような態様によれば、下側ロック支持部材は、第1および第2の部材の1つに剛結された軸を中心として上側ロック支持部材に対して回転可能になっていてもよい。本発明のさらに他のこのような態様によれば、可拡張支持要素は、シリンダ内に摺動可能に受容されたピストンを備えていてもよい。本発明のこのような態様によれば、上側ロック支持部材は、ピストン内に配置されていてもよく、下側ロック支持部材は、シリンダ内に回転可能に収容されていてもよい。
【0014】
本発明の他の態様によれば、第1および第2の部材の一方は、拡張方向に沿って延在する長孔を画成していてもよく、第1および第2の部材の他方は、長孔内に受容された突起を備えていてもよい。本発明のこのような態様によれば、突起は、長孔の端に当接したとき、互いに離れる方への第1および第2の部材のさらなる拡張を阻止するようになっていてもよい。本発明のいくつかのこのような態様によれば、可拡張支持要素は、第1の可拡張支持要素および第2の可拡張支持要素を含んでいてもよく、突起および長孔は、第1および第2の可拡張支持要素間に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の他の態様によれば、インプラントは、湾曲したインゲン豆の形状を有していてもよい。
【0016】
本発明のさらに他の態様によれば、インプラントは、その長手方向中心軸に沿って直線形状を有していてもよい。
【0017】
本発明の他の態様によれば、第1および第2の椎体間に配置される脊椎インプラントは、それぞれの椎体に係合するための第1および第2の表面を備えている。第1および第2の表面は、椎間腔の両側において椎体に係合するために、インプラントの互いに対向する側にあるとよい。インプラントは、少なくとも1つの可拡張支持要素および係止システムを備えているとよい。可拡張支持要素は、収縮形態および少なくとも1つの拡張形態を有しているとよい。収縮形態は、第1および第2の椎体間へのインプラントの配置を容易にするようになっているとよい。拡張形態では、第1および第2の部材は、第1および第2の表面が収縮形態におけるよりも互いにさらに離れて配置されるように、拡張方向に沿って互いに離れる方に拡張するようなっているとよい。第1および第2の部材の一方は、拡張方向に沿って延在する長孔をさらに画成しているとよく、第1および第2の部材の他方は、長孔内に受容された突起を備えているとよい。突起は、望ましくは、長孔の端に当接したとき、互いに離れる方への第1および第2の部材のさらなる拡張を阻止するようになっている。
【0018】
本発明の他の態様によれば、長孔は、第1の部材に画成されていてもよく、突起は、第2の部材に設けられていてもよい。本発明のこのような態様によれば、突起は、第2の部材の開口内に取外し可能に固定されたピンから構成されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1−7Bは、本発明による椎体間インプラント10の実施形態を示している。インプラント10は、概して、ハウジング11および上部エンドプレート13を備えている。ハウジング11は、その内側に内部空洞15を画成している。上部エンドプレート13は、開口6を備えているとよい。開口6は、上部エンドプレート13の左右側間に延在する接続部材またはストラット44によって画成されており、内部空洞15に連通している。同様に、ハウジング11の底部12は、(図示されない)1つまたは複数の開口を備えているとよい。これらの開口は、内部空洞15に連通している。ハウジングの底部のこのような開口107の例が、
図12Bのインプラント110の実施形態に示されている。
図1−7Bに示されているインプラント10の実施形態に戻ると、ハウジング11の底部12は、底部端面8を有しており、上部エンドプレート13は、上部端面9を有している。上部エンドプレート13は、ハウジング11の底部端面8の反対側に移動可能に接続されている。上部端面および底部端面は、患者内に配置されたインプラントの上下の椎骨に係合するためのインプラントの骨係合面である。さらに、インプラント10は、上部エンドプレート13をハウジング11から離れる方に平行移動させることによって、
図2A,2Bに示されている収縮形態から
図3A,3Bに示されている拡張形態に拡張可能になっている。
【0021】
インプラント10は、上部エンドプレート13の底面に取り付けられたピストン22の形態にある1対の可拡張支持要素を備えている。これらのピストン22は、ハウジング11内に画成された対応する1対のシリンダ16内に摺動可能に受容されている。シリンダ16に沿ったピストン22の摺動の結果として、前述したように、上部エンドプレート13が平行移動し、インプラント10を拡張させることになる。ピストン22およびシリンダ16は、流体圧システムの一部として機能するとよい。流体圧システムにおいて、シリンダの底部から離れる方へのピストン22の摺動は、以下に説明するようにかつ米国特許第8,992,620号(‘620特許)に記載されているように、シリンダ16内の加圧流体によって駆動されるようになっている。シリンダ16と該当するピストン22との間の摺動界面を通る加圧流体の漏れを阻止するために、Oリングの形態にあるとよいシール部材23が、該摺動界面を封止するように配置されている。シール部材23は、シリンダ16の外面に画成された対応する溝45内に着座されているとよい。(図示されない)代替例では、‘620特許のいくつかの実施形態において開示されているように、シール部材23は、シリンダ16内においてピストン22と共に摺動するように、ピストン22に取り付けられていてもよい。
【0022】
インプラント10は、上部エンドプレート13がハウジング11に向かって逆に平行移動するのを防ぐことによって、上部エンドプレート13の位置を係止する係止システムも備えている。この係止システムは、多数の相互に係合する係止要素を備えているとよい。例えば、インプラント10は、ハウジング11内に位置する1対の下側ロック支持体20と、上部エンドプレート13の底面に接続された対応する1対の上側ロック支持体17(
図6参照)と、を備えているとよい。
図6に示されているように、上側ロック支持体17は、それぞれのピストン22内に配置され、該ピストン22および上部エンドプレート13に対して固定されているとよい。実際には、上側ロック支持体17は、各々、上部エンドプレート13および各ピストンのいずれかまたは両方と一体に形成されているとよい。上側ロック支持体17は、反転した螺旋階段によく似た階段状の多段下側支持面18および垂直蹴上げ(riser)または位置合せ面46を有している。各ピストン22内に配置されているとよい下側ロック支持体20も、同様に、上向き螺旋階段によく似た階段状の多段下側支持面21および垂直蹴上げまたは位置合せ面47を有している。上側ロック支持体17の支持面18は、下側ロック支持体20の支持面21に係合するようになっており、上側ロック支持体の位置合せ面46は、下側ロック支持体20の位置合せ面47に係合するように構成されている。従って、上側および下側ロック支持体の両方の多段支持面は、係止要素の係止面を構成することになる。すなわち、下側ロック支持体20の多段上側支持面21に対する上側ロック支持体17の多段下側支持面18の係合によって、以下にさらに詳細に説明するようにかつ’620特許に記載されているように、上部エンドプレート13がハウジング11に向かって逆に平行移動するのを阻止することができる。
【0023】
上側および下側ロック支持体の階段状の多段面によって、インプラント10をいくつかの異なる拡張高さに係止することが可能になる。上側ロック支持体17の多段支持面18の底面は、ピストン拡張の終端の近くにおける拡張増分を小さくするために、上方向において徐々に増大する蹴上げ高さ(位置合せ面46)を備えているとよい。追加的または代替的に、下側ロック支持体20の多段支持要素21は、同じ理由によって、上方向において徐々に減少する蹴上げ高さを有しているとよい。上側ロック支持体17または下側ロック支持体20に対して種々の蹴上高さを設けることができる。例えば、例示的な一実施形態では、蹴上高さは、0.5mmから1.5mmの倍数で変更されてもよい。また、上側ロック支持体17の最下の多段支持面18および下側ロック支持体20の最上の多段支持面21は、種々の長さおよび幅を備えていてもよい。例えば、高レベルの拡張では、上側および下側ロック支持体17,20のそれぞれのわずかな数の支持面18,21しか係合しないことになるので、これらの支持面は、十分な支持材料をもたらすために、増大した幅を有していてもよい。
【0024】
各下側ロック支持体20は、軸受部54を備えている。軸受部54は、シリンダ16の1つの内側に取り付けられた各軸56を受け入れ、該軸56を中心として回転するようになっている。軸56は、(例えば、ハウジングと一体に形成されることによって)、ハウジング11の底部分に取付けられているとよい。下側ロック支持体20の軸位置を軸56に対して拘束するために、ブッシュ58が、軸56の上端の近くの各溝60内に嵌入されているとよい。また、下側ロック支持体20は、各々、歯64を有するピニオン62を備えており、これによって、軸56を中心とする下側ロック支持体20の回転が、ピニオン62への回転力の付与によって制御されるようになっているとよい。
【0025】
図4A,4Bに示されているインプラント10の平断面図に示されているように、移植ハウジング11は、歯70を有するラック68を受け入れるためにハウジング11内に形成された通路66を備えているとよく、これによって、ラック68は、通路66内において前後に平行移動することができる。通路66は、各開口71を介してシリンダ16に連通している。ラック68は、開口71を介して、その歯70がシリンダ16内に配置された各下側ロック支持体20のピニオン62の歯64に係合するように、配置されている。これによって、下側ロック支持体20の回転位置を通路66内のラック68の平行移動位置によって制御することができる。ラック68は、線状バネ72によって特定方向に付勢されているとよい。具体的には、ラック68は、下側ロック支持体20が係止形態に向かって付勢されるように、バネ72によって付勢されているとよい。バネ72は、ラック68の肩76に係合するためのラック係合端74と、通路66内において横断面80に係合するための対向係留端78と、を有しているとよい。横断面80は、通路66の減径によって画成されているとよい。
【0026】
インプラント10のハウジング11は、外壁31を備えている。外壁31は、先端ノーズ32を画成する遠位端と係合領域33を画成する近位端とを有している。先端ノーズ32は、内方を向く側テーパ面34ならび上テーパ面35および底テーパ面36を有している。これらのテーパ面34,35,36によって、外傷をもたらすことなく、インプラント10を神経要素を超えて椎体間に挿入することが可能になる。遠位端は、インプラントのその場操作を促進する構造(例えば、インプラントの少なくとも部分的な回転を容易にする操縦要素)も備えているとよい。係合領域33は、送達工具アンカー37を備えている。送達工具アンカー37は、(図示されない)送達工具へのインプラント10の確実な取付けを可能にするものである。送達工具アンカー37は、例えば、米国特許第8,070,813号、第8,998,924号、第9,028,550号、2016年4月7日に出願された米国仮特許出願第62/319,460号(以下、‘460仮’と呼ぶ)または2017年4月6日に出願された米国特許出願第15/480,781号に示されている。これらの文献の全ての開示内容は、参照することによって、ここに完全に記載されるかのように含まれるものとする。係合領域33は、1つまたは複数の圧力入力ポート38も備えている。圧力入力ポート38は、インプラント10を拡張するために、シリンダ16の内部に加圧流体を送達するために用いられるものである。例えば、‘460仮に開示されているように、1つまたは複数の圧力入力ポート38は、密封係合して設置されるチューブを受け入れるようになっていてもよいし、または圧力入力ポート38の縁の周りに密封開口部を密封係合するようになっていてもよく、これによって、加圧流体(例えば、生理食塩水)が加圧入力ポート38内に供給されるようになっているとよい。係合領域33は、凹部82のような1つまたは複数の係合領域を備えていてもよい。凹部82は、‘460仮にも開示されているように、送達工具アンカー37に対してインプラント10の回転方向を固定するための回転止め特徴部として機能するために、送達工具に係合可能になっているとよい。ハウジング11の外壁31は、1つまたは複数の側開口50も備えている、側開口40は、ハウジング11の中心空洞15内に骨成長用空間をもたらすと共に、骨成長の過程の放射線撮像のための放射線透過性開口をもたらすものである。
【0027】
図4A,4Bに示されているように、ラック69を含む通路66は、加圧流体を圧力入力ポート38から開口71を介してシリンダ16の内部に送達するための圧力通路としても機能するようになっているとよい。(図示されない)代替的実施形態では、圧力入力ポート38は、通路66に連通する開口と異なるハウジング11の開口であってもよい。このような実施形態では、‘620特許のいくつかの実施形態に示されているように、(図示されない)別の圧力通路が、代替的または追加的に、加圧流体を圧力入力ポート38からシリンダ16の内部に送達するようになっていてもよい。
【0028】
インプラント10は、脊椎の互いに対向する椎体間の骨融合を容易にするために、該椎体間に移植されるように構成されている。折畳形態または収縮形態にあるインプラント10が
図2A,2Bに示されており、一例としての拡張形態にあるインプラント10が
図3A,3Bに示されている。折畳状態では、インプラント10は、最小の切開および最小の組織除去によって、椎間腔内に容易に挿入可能である。いったんこの椎間腔に挿入されたなら、インプラント10は、2つの互いに対向する椎体に対してそれらの椎体を引き離すように拡張され、これによって、椎間腔の高さを回復することができる。これによって、両椎体に対するインプラント10の安定した対抗性をもたらし、骨融合プロセスを最適化することができる。融合プロセスは、体内への挿入前および/または挿入後に、自家骨補填材および/または同種骨補填材、骨成長可能な素地、および/または骨成長刺激物質を内部空洞15に充填することによって、促進することができる。
【0029】
図1に示されているように、インプラント10は、上部エンドプレート13の最大拡張を拘束するために(取外し可能であるとよい)停止ピン84を備えているとよい。具体的には、上部エンドプレート13は、遠位側に延在する突起86を備えているとよい。突起86は、該突起に画成された長孔88を有している。突起86は、ハウジング11内に画成された空間90内に受容されるようになっているとよい。この空間は、2つの壁92間に画成されているとよいが、代替的実施形態では、1つのみの壁92が設けられていてもよい。各壁92は、ピン開口94を備えているとよく、停止ピン84が、一方または両方の開口94内に受容され、空間90を横断し、上部エンドプレート13の突起86の長孔88を通過するようになっているとよい。これによって、停止ピン84は、
図7A,7Bに示されているように、いったん遠位側に延在する突起86の長孔88の底がピン84に係合したなら、上部エンドプレートのさらなる平行移動を阻止することによって、上部エンドプレート13の拡張を制限することになる。すなわち、
図7Aの収縮形態から
図7Bの拡張形態に移動し、長孔88の底がピン84に接触したとき、ハウジング11から離れる方への上部エンドプレート13のさらなる移動が阻止されることになる。追加的または代替的に、‘620特許に開示されているように、下側ロック支持体20の最上支持面が、(
図示されない)ロック支持ストッパを有していてもよい。ロック支持ストッパは、下側ロック支持体20が上側ロック支持体17に係合したときに下側ロック支持体20の過回転を阻止するために、上側ロック支持体17の最下位置合せ面46に係合するようになっている。
【0030】
操作において、上部エンドプレート13およびそこに取り付けられた上側ロック支持体17の拡張時に、ラック68を介して線状バネ72から加えられた力によって、下側ロック支持体20が、シリンダ16の周りを回転する。これによって、下側ロック支持体20の位置合せ面47が、上側ロック支持体17の位置合せ面46に対して押圧されることになる。具体的には、シリンダー16が加圧されると、ピストン22が上部エンドプレート13およびそこに取り付けられた上側ロック支持体17を持ち上げ、これによって、上側ロック支持体17の支持面18を下側ロック支持体20の支持面21から離昇させ、かつ下側位置合せ面46を上側位置合せ面47を超えて移動させる。上側ロック支持体17の位置合せ面46が下側ロック支持体20の位置合せ面47から分離したとき、各下側ロック支持体20のピニオン62の歯64と螺合したラック68に係合している係止アクチュエータ(すなわち、線状バネ72)が、下側ロック支持体20を回転させる。回転している下側ロック支持体20の支持面21は、持ち上げられた上側ロック支持体17の次の下位レベルの支持面18に移動し、最終的に、下側ロック支持体20の位置合せ面47が上側ロック支持体17の次のレベルの位置合せ面46に係合する。その結果、下側ロック支持体20および上側ロック支持体17は、この拡張レベルにおいて上部エンドプレート13を係止することになる。このプロセスは、各係止レベルにおいて繰り返される。
【0031】
係止構成要素の前述の操作は、
図4A,4Bおよび
図5A,5Bに示されている。具体的には、
図4Aは、インプラント10が収縮形態(
図2A,2B参照)にあるときの係止構成要素の形態を示している。この収縮形態では、ラック68は、通路66の最遠位位置(すなわち、
図4Aの最左位置)に位置しており、バネ72が圧縮されている。
図4Bは、インプラント10が拡張形態(
図3A,3B)にあるときの係止構成部品の構成を示している。図示されているように、
図4Bの拡張形態に移動すると、バネ72の圧縮が解放され、ラック68を通路66の遠位端から離れる右側に向かって押圧し、これによって、下側ロック支持体20は、ピニオン62によって反時計方向に回転する。
図5A,5Bも、
図5Aに示されている収縮形態と
図5Bに示されている拡張形態との間で移行する係止構成部品の移動を示している。
図5Bに示されているように、ピストン22は、下側ロック支持体20に沿って高い位置に前進している。
【0032】
インプラント10は、係止解除されてもよく、この場合、上部エンドプレート13をハウジング11に向かって逆方向に移動させることが可能である。具体的には、例えば、通路66の開端内(すなわち、図示されている実施形態では圧力入力ポート38内)に挿入された構成要素(例えば、比較的剛性のワイヤ)によって、ラック68をハウジング11の遠位端に向かって押圧することによって、ラック68を押し込むことができ、これによって、下側ロック支持体20を上側ロック支持体17から離脱するように回転させ、インプラント10を折畳むことが可能になる。
【0033】
本明細書に開示されている係止構成要素のラック/ピニオン設計によって得られると考えられるいくつかの利得の例として、ラック68がピニオン62に対して接線配置されており、(これによって、ピニオン62に加えられた力が常にピニオン62の回転中心から一定距離にあり)、その結果、下側ロック支持体の回転方向と無関係に、一定量のモーメントを両方の下側ロック支持体20に加えることができることが挙げられる。また、単一の線状バネ72を用いて単一ラック68を付勢し、これによって、両方の下側ロック支持体20のピニオン62を駆動させることによって、モーメント負荷を両方の下側ロック支持体に対して均等に加えることもできる。本明細書に開示されている係止構成要素の設計によって、両方の下側ロック支持体20は、同一の構造を有することができ、これによって、これらの構成要素の製造および組立を簡素化させることができる。実際、本設計の全体的な利得は、種々の副次的な構成要素を最小限しか使用せず、その結果、製造および組立が容易になり、かつ(特に、拡張形態から折畳むことを可能にするためのインプラントの係止解除に関して)使用の容易さおよび信頼性が改良されることにあると考えられる。
【0034】
本発明による椎間板インプラント110の他の実施形態が、
図8−12Bに示されている。別段の定めがない限り、
図8−12Bの実施形態の構成要素は、
図1−7Bに示されている実施形態の構成要素と同様である。さらに、
図1−7Bの参照番号と同様の
図8−12Bの参照番号(すなわち、100が加えられた参照番号)が、同様の要素に言及するのに用いられ、それ故、このような同様の要素は、
図8−12Bの実施形態に関連して別途検討されないものとする。以下、
図8−12Bのインプラントの実施形態と
図1−7Bのインプラント110の実施形態との原理的な違いについて検討する。
【0035】
上部エンドプレート113から遠位側に延在する突起186が、ハウジング111内に画成された空間190内に受容されている。
図8−12Bの実施形態において、この突起186は、
図1−7Bの実施形態の突起86と異なる幾何学的形状および位置を有している。例えば、
図4A,4Bに示されているようなインプラント10の片側(すなわち、前側)に沿って長手方向に延在する長く、細く、かつ略平面状の輪郭を有するのと違って、インプラント110の突起186は、より矩形状であり、前後方向においてインプラント110の幅を横切ってより長く延在している。
図9に示されているように、突起186は、インプラント110の幅を横切って前後方向に延在する2つのより長い壁192を有する矩形ボックス193内に画成された矩形空間190内に受容されている。好ましくは、突起186の幾何学的形状は、突起の少なくとも一部がシリンダ116の中心間に画成された中心軸を横切って延在するように、決められている。従って、ボックス193の空間190内の突起の186の相互作用によって、実施形態10におけるよりもさらに大きい安定性を上部エンドプレート113にもたらすことができる。すなわち、突起186をシリンダ116間およびピストン122間のより中心に配置させることによって、片側(すなわち、前側)に偏って配置されるときと比べて、上部エンドプレート113は、停止ピン184が最大拡張を制限するために突起186に作用したとき、インプラント110の長軸を中心とするトルクを受ける可能性が少なくなる。
【0036】
図8,10に示されているように、停止ピン184は、インプラント10の停止ピン84と比べてより円筒状の形状を有しているとよく、ボックス193のピン開口194ならびに(停止ピン184を受け入れる)突起186の長孔188も、これに対応して形作られているとよい。従って、突起186の幾何学的形状を変化させ、該突起186をピストン122間の中心に配置することによって、上部エンドプレート113の開口が再構成されることになる。具体的には、
図12Aに示されているように、突起186を中心に配置することによって、上部エンドプレート113の上部端面109に中心部分109Cがもたらされる。従って、上部エンドプレート113の開口は、中心部分109Cと、中心部分109Cを上部エンドプレート113の端部分109Eに接続する多数のストラット144とによって、多数の開口106に分割されることになる。このようなストラット144は、望ましくは、突起186から上部エンドプレート113の残りに停止力を伝達するための剛性および強度を上部エンドプレート113に与えることになる。
【0037】
図9に示されているように、インプラント110は、通路166に連通するハウジング111の孔内に受容される回転止めピン169を備えているとよい。これによって、回転止めピン169の遠位端は、望ましくは、ラック168の裏面に沿った平坦な側面173に当接し、これによって、ラック168が通路166に沿って平行移動する間、長軸を中心とするラック168の回転方向を拘束することになる。すなわち、ラック168がインプラント110内に組み込まれた後、回転止めピン169を孔内に配置することによって、回転止めピン169とラック168の裏面に沿った平坦な側面173との間の係合によって、ラック168がそれ自体の長軸を中心として回転するのを防ぐことができる。もしラック168のこのような回転が生じたなら、ラック168の歯170がピニオン162の歯164から離脱することになるだろう。
【0038】
図11に示されているように、インプラント110の上部端面109および底部端面108は、ある傾斜角で互いに配向されているとよい。この角度は、インプラント110が配置される椎間腔の両側における椎骨に対して所定の前湾角をもたらすように、予め決められているとよい。望ましくは、種々の所定の前湾角を有する多数のインプラント110が、外科医にとって利用可能になっているとよく、これによって、外科医は、状況に適するインプラントを選択することができる。
【0039】
図1−12Bに示されているインプラント10,110の外側形状は、略湾曲したインゲン豆形状(腎臓形状)を有しており、従って、TLIF技術に用いられる椎体間インプラントの形状と一致している。しかし、前述の係止システムの設計は、
図13A−17Bに示されているようなPLIF技術に用いられることが意図されたインプラント210に用いられてもよい。特段の定めがない限り、
図13A−17Bの実施形態の構成要素は、
図8−12Bに示されている実施形態の構成要素と同様である。さらに、
図8−12Bの参照番号と同様の
図13A−17Bの参照番号(すなわち、100が加えられた参照番号)は、同様の要素に言及するのに用いられ、それ故、このような同様の要素は、
図13A−17Bの実施形態に関連して別途検討されないものとする。
【0040】
図13A−17Bのインプラント210の実施形態と
図8−12Bのインプラント110の実施形態との間の原理的な違いの1つは、PLIFインプラント210が、
図8−12Bに示されているインプラント110と比べて、その長手方向中心軸に沿って略直線状の外側形状を有していることにある。しかし、
図8−12BのTLIFインプラント110と同様、
図13B―17BのPLIFインプラント210は、
図15Bに示されているように、前後方向において(すなわち、インプラント210の長軸に沿って)底部端面108に対してある傾斜角で配向された上部端面209を有しているとよい。さらに、TLIFインプラント110と同様、PLIFインプラント210は、種々のこのような所定の前湾角を備えているとよい。また、
図16に示されているように、上部端面209および底部端面208は、横方向において(すなわち、インプラント210の幅方向において)、互いに対していくらか傾いた角度を有しているとよい。
【0041】
図15Bに示されているように、PLIFインプラント210の先端ノーズ232の上下テーパ面235,236は、種々の角度で傾斜した多数の分割平面から構成されているとよい。例えば、上テーパ面235は、インプラント210の長軸に対して近位側上分割平面235Bよりも急勾配の角度を有する遠位側上分割平面235Aを備えているとよい。同様に、底テーパ面236は、長軸に対して近位側底分割平面236Bよりも急勾配の角度を有する遠位側底分割平面236Aを備えているとよい。先端ノーズ232の上下テーパ面235,236におけるこのような多数の角度は、望ましくは、上下テーパ面235,236がインプラントの遠位側シリンダ216を横断するのを避けながら、インプラントの最遠位端における高さを減少させることによって、インプラント210の外傷をもたらさない挿入性を改良することになる。
【0042】
図8−17Bの実施形態に示されているように、インプラントの上部端面および底部端面は、インプラントの上下の椎骨との摩擦係合を高めるための表面特徴部を備えているとよく、この表面特徴部は、骨成長を受け入れるための追加的な領域をもたらすことにもなる。例えば、
図8および
図12A,12Bに示されているように、底部端面108および上部端面109は、ピラミッド状突起196の格子を備えているとよい。
図13A,13Bおよび17A,17Bの実施形態に示されているように、底部端面208および上部端面209は、インプラント10の幅方向に沿って延在する線状稜線298を備えていてもよい。突起196がTLIFインプラント110に関連して示されており、稜線298がPLIFインプラント210に関して示されているが、これらの特徴部の各々は、代替的に、他の形式のインプラントに用いられてもよい。さらに、上記の表面特徴部は、
図8−17Bの実施形態に関連して示されているが、このような表面特徴部は、
図1−7Bの実施形態に適用されてもよい。
【0043】
本明細書に開示されているインプラント10,110,210の構成要素または構成要素の一部のいくつかまたは全ては、例えば、レーザー急速製造(LRM)技術を用いて、積層造形または3D印刷プロセスによって作製されるとよい。追加的または代替的に、構成要素または構成要素の一部のいくつかは、多孔材料、例えば、多孔金属から作製されてもよい。このような多孔金属は、多孔性の市販純チタン素地またはTRITANIUMの商品名でHowmedica Osteonics Corp.によって製造されているような多孔チタン合金(例えば、Ti6Al4V合金)の形態にあるとよい。多孔材料を作製するためのいくつかのこのようなプロセスを含む、本明細書に開示されているインプラント10,110,210の構成要素のいくつかまたは全てを作製するための積層造形プロセスの例が、米国特許第7,537,664号、第8,147,861号、第8,350,186号、第8,728,387号、第8,992,703号、第9,135,374号、および第9,180,010号、ならびに米国特許出願公開第2006/0147332号に開示されている。これらの文献の全てが、参照することによって、ここに完全に記載されるかのように含まれるものとする。一例を挙げると、上部エンドプレート13,113,213およびハウジング11,111、211の底部12,112,212は、3D印刷を介して形成された多孔チタン素地から準備され、インプラント10,110,210の種々の特徴部は、これらの構成要素の機械加工によって、さらに輪郭付けされるとよい。例えば、表面特徴部(例えば、ピラミッド状突起196および線状稜線298)は、底部端面8,108,208および上部端面9,109,209を機械加工することによって、多孔素地に輪郭付けされるとよい。しかし、インプラント10,110,210の少なくとも一部において、多孔材料は、中実または稠密材料によって補完されてもよいし、または中実または稠密材料に置き換えられてもよい。例えば、ピラミッド状突起196および/または線状稜線298の頂部は、中実材料から形成されるとよいが、これらの特徴部に相互接続する周囲の基部は、多孔素地から形成されるとよい。中実(非多孔性)材料は、作動流体を密閉するインプラント10,110,210の部分に用いられてもよい。滑らかな表面仕上げによって構成される中実材料が、互いに摺動する構成要素間の界面に沿って用いられてもよい。中実材料は、脊椎によって加えられる負荷に対して追加的な構造的完全性が必要とされるインプラント10,110,210の部分に用いられてもよい。例えば、上部エンドプレート13,113,213の周辺は、中実材料から構成されるとよい。他の例では、ストラット44,144,244および/または中心部109C,209Cの一部(例えば、ストラットに接続するためにインプラントの長手方向に沿って中心部を横切って延在する1つまたは複数の線状セグメント)は、中実材料から構成されるとよく、これによって、上部エンドプレート13,113,213への強度を高め、突起86,186,286によって加えられた負荷を上部エンドプレート13,113,213の残りに伝達することができる。代替例では、追加的な構造的完全性が必要とされるインプラント10,110,210の部分は、多孔金属材料から構成されてもよいが、この材料の密度は、これらの部分において大きくなっているとよい。中実部分および多孔部分の両方を有するインプラントの例および該インプラントを作製する方法は、2015年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/245,004号および2016年1月13日に出願された米国特許出願第14/994、749号に開示されている。これらの文献の開示内容の全てが、参照することによって、ここに完全に記載されるように含まれるものとする。
【0044】
前述の本発明の実施形態に図示されていないが、本発明の実施形態によるインプラント10,110,210は、米国特許第9,028,550号(‘550特許)に開示されているように、骨補填材を導通させるための1つまたは複数の骨補填材注入導管を備えていてもよい。この文献の開示内容の全てが、参照することによって、ここに完全に記載されるかのように含まれるものとする。例えば、骨補填材注入導管は、骨補填材をインプラント内におよびインプラントの周りに投与するために、1つまたは複数の骨補填材出口ポートに連通しているとよい。一例を挙げると、‘550特許に開示されているように、少なくとも1つのこのような骨補填材出口ポートは、内部空洞15,115,215に連通しているとよく、これによって、インプラント10,110,210の内部空洞を骨補填材によって充填することができる。骨補填材は、インプラントの係合領域33,133,233に配置されるとよい骨補填材入力ポートを通って骨補填注入導管に供給されてもよく、これによって、骨補填材をインプラント送達工具から骨補填材注入導管内に供給することができる。
【0045】
代替的または追加的に、本発明の実施形態によるインプラント10,110,210は、2016年1月13日に出願された米国特許出願第14/994,697号(‘697出願)に開示されているように、流動可能な材料がインプラント内にまたはインプラントを通って流れることを可能にする1つまたは複数のマニホールド、溝、または通路を備えていてもよい。この文献の開示内容の全てが、参照することによって、ここに完全に記載されるかのように含まれるものとする。例えば、前述したような多孔部分を有するインプラント10,110,210の実施形態において、インプラント内の1つまたは複数の通路は、‘697出願に開示されているように、このような多孔部分の1つまたは複数に連通し、流動可能な材料をこれらの多孔部分内におよび/またはこれらの多孔部分を通して供給するようになっているとよい。流動可能な材料は、インプラントの係合領域33,133,233に配置されているとよい入力ポートを介してインプラントの内部通路に供給されるとよく、これによって、流動可能な材料をインプラント送達工具によって供給することができる。このような内部通路を介して分配される流動可能な材料の一例として、流動可能な骨髄穿刺液が挙げられる。
【0046】
開示されているインプラント10,110,210の実施形態は、インプラント10,110,210を拡張するために流体圧によって駆動されるピストン22,122,222およびシリンダ16,116,216を備えているが、他の形態の可拡張支持要素が、代替的に用いられてもよい。例えば、‘620特許に開示されているように、インプラント10,110,210は、ベローズ、回転カムリフト機構、回転スクリューリフト機構、または他のこのような装置によって拡張されてもよい。さらに、可拡張支持要素は、(例えば、個別の流体圧通路によって)個別に制御され、これによって、複数の可拡張支持要素が異なる垂直位置に拡張されるようになっていてもよい。このような実施形態では、上部エンドプレート13,113,213は、各可拡張支持要素に付随する個別のプレートの形態を取ってもよいし、または‘620特許に開示されているように、それらの異なる垂直位置に適合するように可拡張支持要素に対して枢動するように配置されてもよい。本発明による他の代替的な実施形態では、ピストンおよびシリンダ内に配置される代わりに、上側および下側ロック支持体は、‘620特許に開示されているいくつかの実施形態におけるように、ピストンおよびシリンダの周りに配置されてもよい。
【0047】
本明細書に開示されている実施形態は、1対の可拡張支持要素(例えば、2つの対応するシリンダに組み合された2つのピストン)および1対の係止要素(例えば、2つの対応する下側ロック支持体20,120,220に組み合された2つの上側ロック支持体17,117,217)が設けられているインプラント10,110,210を示しているが、代替的実施形態では、このような各構成要素の1つのみが設けられていてもよい。さらに他の実施形態では、3つ以上の各構成要素が設けられていてもよい。
【0048】
本発明を特定の実施形態を参照してここに記載してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示的実施形態に対して多数の修正がなされてもよいこと、および添付の請求項によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。