(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0024】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0025】
(実施の形態1)
以下で例示する本発明の一態様の電子機器は、2つの表示部と、当該2つの表示部への画像の表示を制御する制御部と、を有するものである。
【0026】
また、以下で開示する発明には、画像表示方法、コンピュータに画像の表示を制御させるためのプログラム、画像を表示可能な表示装置と、これを制御する制御装置とを有する表示システム等が含まれる。
【0027】
本発明の一態様の電子機器は、第1の表示部を有する第1の筐体、第2の表示部を有する第2の筐体を有する。また制御部は、第1の筐体、または第2の筐体内に設けられる。なお、制御部が第1の筐体または第2の筐体の外に設けられていてもよい。
【0028】
第1の筐体と第2の筐体とは、変形可能に連結されることが好ましい。このとき、2つの筐体は、第1の表示部と第2の表示部とが対向して互いに重なるように折り畳まれた形態と、第1の表示部と第2の表示部とが露出するように開いた形態と、に可逆的に変形可能に連結されていることが好ましい。また、第1の表示部と第2の表示部とがそれぞれ背中合わせに位置するように、2つの筐体が折り畳まれた形態に変形可能に連結されていることがより好ましい。
【0029】
このような構成とすることで、第1の筐体と第2の筐体を折りたたんだ状態では可搬性に優れ、開いた状態では、2つの表示部による広い表示領域により一覧性に優れる。
【0030】
第1の表示部及び第2の表示部を構成する表示装置(表示パネル、表示モジュールを含む)は、少なくとも一方がタッチセンサとしての機能を有することが好ましい。これにより、タッチ操作やスタイラスなどを用いて、直感的なユーザ入力を実現することができる。
【0031】
第1の表示部及び第2の表示部には、反射型の素子と、発光素子と、が混在した表示装置を適用することが好ましい。さらに反射型の素子のみで画像を表示すること、発光素子のみで画像を表示すること、及び反射型の素子と発光素子の両方により画像を表示することの可能な表示装置を適用することがより好ましい。
【0032】
これにより、外光が明るい際には、反射型の素子によって消費電力の低い表示を行うことができ、一方外光が暗い際には、発光素子により鮮やかな表示を行うことができる。また反射型の素子と発光素子とにより同時に表示を行うことで、消費電力が低減され、且つ鮮やかな表示を行うことができる。
【0033】
このとき、第1の表示部または第2の表示部の表示領域内に、上記のうち2種類以上の画像を同時に表示可能な構成とすることが好ましい。例えば、第1の表示部または第2の表示部の表示領域内に、反射型の素子のみにより表示される第1の画像と、発光素子のみにより表示される第2の画像と、反射型の素子及び発光素子の両方により表示される第3の画像のうち、2以上を同時に表示可能な表示装置とすることが好ましい。
【0034】
これにより、例えば、制御部によって第1の表示部または第2の表示部の表示領域に画像を表示する際、背景情報などの強調することが望まれない部分や、ユーザが注視していない部分、ユーザから見えない部分などに、反射型の素子のみを用いた第1の画像を表示することで、消費電力を低減することができる。さらに、特に強調したい部分や、ユーザが注視している部分などには、発光素子を用いた第2の画像または第3の画像を表示することで、当該部分のコントラストをより高めることができ、視認性を向上することができる。
【0035】
すなわち、本発明の一態様は、反射光のみを用いた表示、発光光のみを用いた表示、または反射光と発光光の両方を用いた表示を、第1の表示部または第2の表示部の表示領域内で使い分けることができる。
【0036】
[構成例]
以下では、本発明の一態様の電子機器のより具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0037】
図1(A)に、電子機器10の斜視図を示す。電子機器10は、筐体111、筐体112、ヒンジ113を有する。筐体111は表示部121を有し、筐体112は、表示部122を有する。
【0038】
筐体111と筐体112は、ヒンジ113により連結されている。筐体111と筐体112とは、ヒンジ113により、相対的に回転することができる。
【0039】
また、後述するように、筐体111と筐体112とは、脱着可能であることが好ましい。
【0040】
図1(A)は、表示部121と表示部122が露出するように開いた形態を示している。また、
図1(B)は、表示部121と表示部122が対向して互いに重なるように筐体111と筐体112とが折り畳まれた形態を示している。また、
図1(C)は、表示部121と表示部122とが互いに背中合わせとなるように、筐体111と筐体112とが折り畳まれた形態を示している。電子機器10は、
図1(B)に示す形態から、
図1(A)に示す形態を経て
図1(C)に示す形態に、可逆的に変形することができる。
【0041】
表示部121と表示部122には、それぞれ反射型の表示素子と、発光素子と、を有する表示装置(または、表示パネル、表示モジュール)を適用することができる。
【0042】
[ブロック
図1]
図2に、電子機器10のブロック図を示す。電子機器10は、制御部11、駆動部13、駆動部14、表示部121、表示部122を有する。制御部11は、演算部12を有する。
【0043】
表示部121及び表示部122は、それぞれマトリクス状に配置された複数の画素ユニット20を有する。画素ユニット20は、第1の画素21と、第2の画素22を有する。
【0044】
図2では、第1の画素21及び第2の画素22が、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応する表示素子を有する場合の例を示している。
【0045】
第1の画素21は、赤色(R)に対応する表示素子21R、緑色(G)に対応する表示素子21G、青色(B)に対応する表示素子21Bを有する。表示素子21R、21G、21Bはそれぞれ、外光の反射を利用した表示素子である。
【0046】
第2の画素22は、赤色(R)に対応する表示素子22R、緑色(G)に対応する表示素子22G、青色(B)に対応する表示素子22Bを有する。表示素子22R、22G、22Bはそれぞれ、光源の光を利用した表示素子である。
【0047】
駆動部13及び駆動部14は、それぞれ表示部121または表示部122内の複数の画素ユニット20を駆動する回路を有する。具体的には、画素ユニット20が有する第1の画素21、及び第2の画素22に、階調値を含む信号、走査信号、電源電位等を供給する。駆動部13及び駆動部14は、例えば信号線駆動回路及び走査線駆動回路などを有する。
【0048】
制御部11には、画像情報を含む映像信号S0が外部から入力される。制御部11は、表示部121または表示部122内の各画素ユニット20に供給する階調値を含む、4つの信号(信号S1、信号S2、信号S3、及び信号S4)を生成し、駆動部13及び駆動部14に出力する。また制御部11は信号S1、信号S2、信号S3、及び信号S4の他に、クロック信号、スタートパルス信号などのタイミング信号を生成して駆動部13及び駆動部14に出力する。
【0049】
信号S1及び信号S3は、それぞれ画素ユニット20の第1の画素21に与えられる階調値を含む信号である。ここでは、信号S1及び信号S3は、1つの画素ユニット20につき、表示素子21R、21G、21Bのそれぞれに与えられる3つの階調値の情報を含む。
【0050】
また、信号S2及び信号S4は、それぞれ画素ユニット20の第2の画素22に与えられる階調値を含む信号である。ここでは、信号S2及び信号S4は、1つの画素ユニット20につき、表示素子22R、22G、22Bのそれぞれに与えられる3つの階調値の情報を含む。
【0051】
信号S1、信号S2、信号S3、及び信号S4はそれぞれ、1の信号線により伝達するシリアル信号であってもよいし、複数の信号線により伝達するパラレル信号であってもよい。
【0052】
図2に示すように制御部11は、表示部121と表示部122に、それぞれ個別に信号を供給する機能を有する。したがって、表示部121と表示部122を、それぞれ個別に制御することができる。例えば、表示部121及び表示部122の一方に画像を表示し、他方を停止することもできる。
【0053】
また、制御部11は、画素ユニット20内の第1の画素21と第2の画素22を個別に駆動するように、信号S1及び信号S2または信号S3及び信号S4を表示部121及び表示部122に供給することができる。そのため、表示部121及び表示部122内で、第1の画素21のみを用いて表示する部分、第2の画素22のみを用いて表示する部分、第1の画素21及び第2の画素22の両方を用いて表示する部分、及び表示を行わない部分のうち、2つ以上が混在した表示を、表示部121及び表示部122に行わせることができる。
【0054】
ここで、演算部12は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサを用いることができる。またこれらマイクロプロセッサをFPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)によって実現した構成としてもよい。
【0055】
このとき、映像信号S0は、電子機器10とは別に設けられた中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)などにより生成され、制御部11に供給される構成としてもよい。または、演算部12がCPUを兼ね、演算部12が映像信号S0を生成する機能を有していてもよい。
【0056】
また、外部から入力される映像信号S0は、あらかじめガンマ補正などの補正がなされた信号であってもよい。また、演算部12が当該補正を行う機能を有していてもよい。演算部12は、映像信号S0に対して補正を行った信号を基に、信号S1、信号S2、信号S3、及び信号S4を生成してもよいし、生成した信号S1、信号S2、信号S3、及び信号S4のそれぞれに対して、補正を行ってもよい。
【0057】
演算部12は、プロセッサにより種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、これとは別のメモリに格納されていてもよい。
【0058】
演算部12はメインメモリを有していてもよい。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)、などの揮発性メモリや、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリを備える構成とすることができる。
【0059】
RAMとしては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられ、演算部12の作業空間として仮想的にメモリ空間が割り当てられ利用される。外部に設けられた記憶装置に格納されたオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータ等は、実行のためにRAMにロードされる。RAMにロードされたこれらのデータやプログラム、プログラムモジュールは、演算部12に直接アクセスされ、操作される。
【0060】
制御部11はプリント基板等の回路基板に実装され、駆動部13及び駆動部14はそれぞれ表示部121または表示部122が形成された基板に設けられる構成とすることができる。このとき、回路基板と駆動部13または駆動部14とはFPC(Flexible Printed Circuit)等を介して接続されていればよい。またこのとき、駆動部13及び駆動部14は、それぞれ表示部121または表示部122が形成された基板に、表示部121または表示部122を構成するトランジスタなどと同一の工程で形成されていてもよいし、駆動部13及び駆動部14の一部または全部がIC(Integrated Circuit)として当該基板に実装されていてもよい。または、制御部11及び駆動部13または駆動部14として機能する1つまたは複数のICを、当該基板に実装してもよい。または、制御部11及び駆動部13または駆動部14が、表示部121または表示部122が形成された基板に、表示部121または表示部122を構成するトランジスタなどと同一の工程で形成されていてもよい。
【0061】
[表示装置の構成例]
以下では、上記表示部121及び表示部122に用いることのできる表示装置について説明する。
【0062】
本発明の一態様の表示装置は、可視光を反射する第1の表示素子が設けられた画素を有することができる。または、可視光を発する第2の表示素子が設けられた画素を有することができる。または、可視光を透過する第3の表示素子が設けられた画素を有することができる。または、第1の表示素子と、第2の表示素子または第3の表示素子と、が設けられた画素を有することができる。
【0063】
本実施の形態では、可視光を反射する第1の表示素子と、可視光を発する第2の表示素子とを有する表示装置について説明する。
【0064】
表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光と、第2の表示素子が発する第2の光のうち、いずれか一方、または両方により、画像を表示する機能を有する。または、表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光の光量と、第2の表示素子が発する第2の光の光量と、をそれぞれ制御することにより、階調を表現する機能を有する。
【0065】
また、表示装置は、第1の表示素子の反射光の光量を制御することにより階調を表現する第1の画素と、第2の表示素子からの発光の光量を制御することにより階調を表現する第2の画素を有する構成とすることが好ましい。第1の画素および第2の画素は、例えばそれぞれマトリクス状に複数配置され、表示部を構成する。
【0066】
また、第1の画素と第2の画素は、同数且つ同ピッチで、表示領域内に配置されていることが好ましい。このとき、隣接する第1の画素と第2の画素を合わせて、画素ユニットと呼ぶことができる。これにより、後述するように複数の第1の画素のみで表示された画像と、複数の第2の画素のみで表示された画像、ならびに複数の第1の画素および複数の第2の画素の両方で表示された画像のそれぞれは、同じ表示領域に表示することができる。
【0067】
第1の画素が有する第1の表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。
【0068】
第1の表示素子には、代表的には反射型の液晶素子を用いることができる。または、第1の表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いることができる。
【0069】
第2の画素が有する第2の表示素子は光源を有し、その光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。特に、電界を印加することにより発光性の物質から発光を取り出すことのできる、電界発光素子を用いることが好ましい。このような画素が射出する光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。
【0070】
第2の表示素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)、半導体レーザなどの自発光性の発光素子を用いることができる。または、第2の画素が有する表示素子として、光源であるバックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを組み合わせたものを用いてもよい。バックライトとしては、LEDを光源としたエッジライト型のバックライトを用いると、表示装置の薄型化が容易となるため好ましい。
【0071】
第1の画素は、例えば白色(W)を呈する副画素、または例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。また、第2の画素も同様に、例えば白色(W)を呈する副画素、または例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。なお、第1の画素および第2の画素がそれぞれ有する副画素は、4色以上であってもよい。副画素の種類が多いほど、消費電力を低減することが可能で、また色再現性を高めることができる。
【0072】
本発明の一態様は、第1の画素で画像を表示する第1のモード、第2の画素で画像を表示する第2のモード、および第1の画素および第2の画素で画像を表示する第3のモードを切り替えることができる。
【0073】
また以下では、第1のモードにより表示された画像を第1の画像、第2のモードにより表示された画像を第2の画像、第3のモードにより表示された画像を第3の画像と呼ぶ場合がある。
【0074】
第1のモードは、第1の表示素子による反射光を用いて画像を表示するモードである。第1のモードは光源が不要であるため、極めて低消費電力な駆動モードである。例えば、外光の照度が十分高く、且つ外光が白色光またはその近傍の光である場合に有効である。第1のモードは、例えば本や書類などの文字情報を表示することに適した表示モードである。また、反射光を用いるため、目に優しい表示を行うことができ、目が疲れにくいという効果を奏する。
【0075】
第2のモードでは、第2の表示素子による発光を利用して画像を表示するモードである。そのため、外光の照度や色度によらず、極めて鮮やかな(コントラストが高く、且つ色再現性の高い)表示を行うことができる。例えば、夜間や暗い室内など、外光の照度が極めて小さい場合などに有効である。また外光が暗い場合、明るい表示を行うと使用者が眩しく感じてしまう場合がある。これを防ぐために、第2のモードでは輝度を抑えた表示を行うことが好ましい。またこれにより、眩しさを抑えることに加え、消費電力も低減することができる。第2のモードは、鮮やかな画像や滑らかな動画などを表示することに適したモードである。
【0076】
第3のモードでは、第1の表示素子による反射光と、第2の表示素子による発光の両方を利用して表示を行うモードである。具体的には、第1の画素が呈する光と、第1の画素と隣接する第2の画素が呈する光を混色させることにより、1つの色を表現するように駆動する。第3のモードは、第1のモードよりも鮮やかな表示をしつつ、第2のモードよりも消費電力を抑えることができる。例えば、室内照明下や、朝方や夕方の時間帯など、外光の照度が比較的低い場合や、外光の色度が白色ではない場合などに有効である。また、反射光と発光とを混色させた光を用いることで、まるで絵画を見ているかのように感じさせる画像を表示することが可能となる。
【0077】
続いて、
図3の各図を用いて画素ユニット20について説明する。
図3(A)〜(C)は、画素ユニット20の構成例を示す模式図である。
【0078】
第1の画素21は、表示素子21R、表示素子21G、表示素子21Bを有する。表示素子21Rは、外光を反射し、第1の画素21に入力される第1の階調値に含まれる赤色に対応する階調値に応じた輝度の赤色の光R1を、表示面側に射出する。表示素子21G、表示素子21Bも同様に、それぞれ緑色の光G1または青色の光B1を、表示面側に射出する。
【0079】
第2の画素22は、表示素子22R、表示素子22G、表示素子22Bを有する。表示素子22Rは、光源を有し、第2の画素22に入力される第2の階調値に含まれる赤色に対応する階調値に応じた輝度の赤色の光R2を、表示面側に射出する。表示素子22G、表示素子22Bも同様に、それぞれ緑色の光G2または青色の光B2を、表示面側に射出する。
【0080】
〔第3のモード〕
図3(A)は、外光を反射する表示素子21R、表示素子21G、表示素子21Bと、光を発する表示素子22R、表示素子22G、表示素子22Bの両方を駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。
図3(A)に示すように、画素ユニット20は、反射光である光R1、光G1、光B1と、発光光である光R2、光G2、及び光B2の6つの光を混色させることにより、所定の色の光25を表示面側に射出することができる。
【0081】
〔第1のモード〕
図3(B)は、外光を反射する表示素子21R、表示素子21G、表示素子21Bを駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。
図3(B)に示すように、画素ユニット20は、例えば外光の照度が十分に高い場合などでは、第2の画素22を駆動させずに、第1の画素21からの光(光R1、光G1、及び光B1)のみを混色させることにより、所定の色の光25を表示面側に射出することもできる。これにより、極めて低消費電力な駆動を行うことができる。
【0082】
〔第2のモード〕
図3(C)は、表示素子22R、表示素子22G、表示素子22Bを駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。
図3(C)に示すように、画素ユニット20は、例えば外光の照度が極めて小さい場合などでは、第1の画素21を駆動させずに、第2の画素22からの光(光R2、光G2、及び光B2)のみを混色させることにより、所定の色の光25を表示面側に射出することもできる。これにより鮮やかな表示を行うことができる。また外光の照度が小さい場合に輝度を低くすることで、使用者が感じる眩しさを抑えると共に消費電力を低減できる。
【0083】
また、上記第1のモード、第2のモード及び第3のモードは、表示部121及び表示部122の表示領域内において、部分的に実行することが可能である。すなわち、表示領域内の異なる部分で、それぞれ異なる表示モードを用いた表示を行うことができる。
【0084】
以上が画素ユニット20の構成例についての説明である。
【0085】
[ブロック
図2]
図4には、
図2とは一部の構成が異なる構成例を示している。
図4に示す電子機器10は、視点検出部31を有する。また表示部121と表示部122には、それぞれタッチセンサ35が設けられている。したがって、表示部121及び表示部122は、タッチパネルまたはタッチパネルモジュールと言うこともできる。
【0086】
図4において、駆動部13と駆動部14は、それぞれタッチセンサ35を駆動する機能と、タッチセンサ35により取得した位置情報を含む信号T1または信号T2を、制御部11に出力する機能を有する。
【0087】
タッチセンサ35としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、光学方式、感圧方式などのタッチセンサを用いることができる。例えば表示部121及び表示部122に対して行われる、タッチ操作、タップ操作、スワイプ操作、ピンチ操作などのジェスチャーを、入力操作(ユーザ入力ともいう)として検出することができる。
【0088】
視点検出部31は、ユーザの視点を検出し、その位置情報を制御部11に出力する機能を有する。
【0089】
視点検出部31は、例えば、ユーザの目を撮像する撮像装置と、撮像装置で得た画像情報から、ユーザが注視している視点の位置情報を算出し、制御部11に出力する演算装置と、を有する構成とすることができる。例えば、固定焦点式あるいは可変焦点式の光学装置(レンズ等)、または、可視光、赤外光、または紫外光等を二次元的に検出できるイメージセンサ等を備える構成とすることができる。
【0090】
視点検出部31は、撮像された画像にユーザの目が含まれている場合に、当該ユーザの目の瞳孔の向き、位置、及び視点検出部31からユーザの目までの距離等を算出することにより、ユーザが注視している視点の位置情報を算出することができる。
【0091】
視点検出部31が備える撮像装置は、2以上を離間して設けることが好ましい。例えば2つの撮像装置が、それぞれユーザの右目または左目を撮像することにより、ユーザの視点の位置情報をより正確に算出することができる。また、視点検出部31とユーザの目(または顔)との距離を測定することに特化した、赤外線センサ等のセンサを有していてもよい。
【0092】
[画像表示方法例1]
以下では、電子機器10に画像を表示する方法の一例について説明する。
【0093】
図5には、電子機器10を開いた状態の上面概略図を示している。
【0094】
〔テキストモード〕
図5では、表示部121に文書情報141aが表示され、表示部122に文書情報141bが表示された状態(テキストモード)を示している。例えば、文書情報を閲覧するためのアプリケーションが実行され、文書情報を含むファイルが読み出されて表示された状態と言うこともできる。
【0095】
ここでは、文書情報141a及び文書情報141bの一例として、教材を想定したテキスト文書における、特定の見開き2ページを表示している例を示している。これにより、電子機器10を教科書として用いることができる。
【0096】
ここで、電子機器10を教科書として用いる場合、テキストモードでは、表示部121及び表示部122には静止画が表示される期間が極めて長い。また、ユーザは表示部121及び表示部122を注視する時間が長くなる。そのため、表示部121及び表示部122に文書情報を表示する場合には、反射型の表示素子を用いた表示方法(第1のモード)を適用することにより、低消費電力で目に優しい表示を行うことができる。さらに、静止画を表示する際に、画面の書き換えの頻度(フレーム周波数ともいう)を低減することで、より効果的に消費電力を低くすることができる。
【0097】
また、文書情報141aや文書情報141bにおいて、テキスト情報と図面情報が混在している場合には、テキスト情報を第1のモードで表示し、図面情報を第2のモードまたは第3のモードで表示することで、図面情報をより強調した表示を行うことができる。特に、図面情報が動画コンテンツを含む場合には、より効果的である。また、テキスト情報を表示するエリアのみ、画面の書き換えの頻度(フレーム周波数ともいう)を低減する駆動を用いると、消費電力をより効果的に低減できるため好ましい。
【0098】
〔ノートモード〕
図6(A)では、表示部121及び表示部122に、ユーザが自由に書き込み可能である状態(ノートモード)を示している。
図6(A)では、表示部121及び表示部122に、罫線が表示された状態であり、スタイラス131や指などにより、自由に描画することができる。
図6(A)では、表示部121にユーザ入力画像142が表示された状態を示している。
【0099】
例えばノートモードでは、表示部121及び表示部122に設けられたタッチセンサ35により、スタイラス131や指等によるユーザ入力が検出されると、制御部11はその入力情報を基にユーザ入力画像142を生成し、表示部121または表示部122に表示させることができる。
【0100】
ノートモードでは、手書き入力の他、ソフトウェアキーボード等を用いたテキスト入力を行うこともできる。また、多角形、円、直線などを描画することのできる描画ツールを用いた描画を行うこともできる。
【0101】
ノートモードにおいて、例えば事前に用意された罫線などは第1のモードで表示し、ユーザ入力画像142を第2のモードまたは第3のモードで表示することで、消費電力を低減可能な上に、ユーザが書き込んだ情報のみを効果的に強調することができる。
【0102】
〔デュアルモード〕
図6(B)では、表示部121に文書情報141aを表示し、表示部122をノートとして用いる状態(デュアルモード)を示している。
【0103】
デュアルモードでは、一方の表示部121に文書情報141aを表示させながら、表示部122に自由に書き込みを行うことができる。これにより、一つの電子機器10で教科書とノートの2つの機能を持たせることができるため、より学習効果を高めることができる。
【0104】
〔書き込みモード〕
図6(C)は、
図5で示したテキストモードと同様に、表示部121に文書情報141aを、表示部122に文書情報141bを、それぞれ表示させた状態である。書き込みモードは、文書情報141aまたは文書情報141bに重ねて、ユーザが書き込んだユーザ入力画像146を表示することができるモードである。
【0105】
また書き込みモードでは、文書情報141aまたは文書情報141bのテキスト情報の一部を強調するためのマーカを描画することもできる。
【0106】
書き込みモードでユーザによって書き込まれたユーザ入力画像146は、第2のモードまたは第3のモードで表示することが好ましい。これにより、ユーザ入力画像146を文書情報141aまたは文書情報141bと重ねて表示した場合であっても、より強調することが可能で、これらを直感的に区別することが容易となる。
【0107】
なお、上記テキストモード、ノートモード、デュアルモード、書き込みモードは、ユーザが自由に切り替えることができる。
【0108】
モードの切り替え方法の一例としては、例えば、表示部121または表示部122に対して、横方向のスワイプ動作をすることでページ送りを実行し、また表示部121または表示部122に対して縦方向にスワイプ動作をすることで、各表示部の表示をテキストモードとノートモードとに切り替えることができる。また、書き込みモードに切り替える動作や、描画ツールを選択する動作等に関連付けられたアイコンを、表示部121または表示部122の一部に表示し、当該アイコンをタップすることで、書き込みモードに切り替える、または描画ツールを選択するなどすることができる。
【0109】
〔提出モード〕
図7は、ユーザが作成したユーザ入力画像142を提出先に送信する状態(提出モード)を示している。例えば、ノートモードまたはデュアルモードにおいて、提出動作に関連したアイコンを表示させ、これをタップすることにより、
図7に示すように提出するか否かを確認するためのウィンドウ145が表示される。
【0110】
ユーザ入力画像142の情報はデータ化され、無線通信等により、学校や企業などの機関が有するサーバに送信することができる。このとき、データには、ユーザ入力画像142のデータだけでなく、電子機器10やユーザを特定するための固有ID情報のほか、日時等の情報が含まれていることが好ましい。また、データは暗号化されて送信されることがより好ましい。
【0111】
これにより、ユーザが作成したユーザ入力画像142を、メールなどのアプリケーションを起動することなく、より簡便に提出することが可能となる。またユーザ入力画像142等を受け取る側(学校や企業などの機関)も、個別にメール等で送信された添付ファイルを扱う必要がないため、データの管理がしやすいといったメリットがある。
【0112】
以上が、画像表示方法例1についての説明である。
【0113】
[画像表示方法例2]
以下では、より消費電力が低減可能な表示方法の例について説明する。
【0114】
図8(A)には、
図5で示した文書情報141a及び文書情報141bが表示されている状態を示している。ここで、表示部121の領域151は、ユーザが注視している範囲、またはその近傍を含む領域である。
【0115】
また、
図8(B)では、ユーザが注視している範囲を含む領域151が、表示部122側に移った場合の例を示している。
【0116】
筐体111及び筐体112には、それぞれ表示面側にカメラ114が設けられている。一対のカメラ114は、上述した視点検出部31の一部として機能する。
【0117】
ユーザが注視している範囲を含む領域151は、第2のモードまたは第3のモードにより画像を表示することが好ましい。一方、ユーザが注視していない部分、すなわち、表示部121の領域151以外の部分、及び表示部122は、第1のモードで表示することが好ましい。これにより、表示部121及び表示部122の大部分を反射型の表示素子のみで表示することが可能なため、消費電力を効果的に低減することができる。
【0118】
また、領域151よりも外側の範囲に、動画コンテンツが含まれている場合、動画として表示するのではなく静止画として表示することが好ましい。すなわち、領域151よりも外側の範囲は、全て静止画として表示することが好ましい。さらにこの時、領域151よりも外側の範囲は、フレーム周波数を低減した表示を行うことで、さらに効果的に消費電力を低減できる。
【0119】
またこのとき、
図8(B)に示すように、領域151が、動画コンテンツが表示される部分に移動する、すなわちユーザが動画コンテンツを見る場合には、当該部分が静止画表示から動画表示に切り替わり、動画コンテンツが再生可能な状態とすることが好ましい。このとき、動画コンテンツは、領域151と重なった時点で自動的に再生されてもよいし、ユーザがその部分をタップするなどの動作により動画の再生が開始される、待機状態としてもよい。
【0120】
以上が、画像表示方法例2についての説明である。
【0121】
[筐体について]
電子機器10を教科書として用いる場合、筐体111及び筐体112は軽量であることが好ましい。例えば筐体111と筐体112とは、それぞれ10g以上1000g以下、好ましくは50g以上800g以下、より好ましくは50g以上500g以下、さらに好ましくは50g以上250g以下とすることが好ましい。2つの筐体を合わせた重さが500g以下であれば、専門書と同等またはそれ以下の重量となるため、特に子供が日常的に持ち歩く機器として好ましい。
【0122】
また、電子機器10を教科書等として用いる場合、数年に亘って使用できることが要求される。そのため筐体111と筐体112とは、耐候性や強度の高い材料を用いることが好ましい。例えば、チタン合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金などの合金、またはカーボン繊維等を用いることが好ましい。
【0123】
また、
図1、
図5等に示すように、筐体111と筐体112の端部に丸みを持たせ、端部に角部のない形状とすることで、子供が用いた場合であっても安全性に優れた機器とすることができる。
【0125】
[画像表示方法例3]
以下では、上記とは異なる電子機器の画像表示方法の例について説明する。
【0126】
図9(A)に、電子機器10の斜視図を示す。
図9では、表示部122を入力装置(キーボード等)として使用する場合の例である。このような形態とすることで、電子機器10を例えばノート型のPCとして使用することができる。
【0127】
また、
図9(B)では、筐体111と筐体112とを分離した場合の例を示している。
図9(B)では、筐体111の背面(表示部121とは反対側の面)に組み込まれた、支持部115により、筐体111が傾いた状態で保持されている。支持部115は、使用しない場合には筐体111に格納されることが好ましい。このように、一方の表示部を画面として用い、他方を入力装置として用いる場合に、これらを分離可能な構成とすることでより利便性の高い電子機器10とすることができる。
【0128】
筐体111と筐体112とを分離したとき、筐体111がタブレット端末機器等の携帯情報端末機器として機能し、筐体112は筐体111と無線通信が可能な入力機器として用いることができる。このとき、制御部等を筐体111内に集約することで、筐体112の内部構成を簡略化できるため、電子機器10を軽量なものとすることができる。また、筐体111と筐体112は、それぞれ独立して携帯情報端末機器として機能する構成としてもよい。
【0129】
なお、
図9(B)ではヒンジ113と筐体111との間で分離可能な例を示したが、これに限られない。例えばヒンジ113が2つに分離可能な機構を有していてもよい。または、ヒンジ113を用いずに、筐体111と筐体112とが、分離可能に連結する機構を有していてもよい。
【0130】
図10(A)には、筐体112の上面概略図を示している。表示部122の一部に、キーボードの一つのキーを模したオブジェクト143aを複数有する画像143が表示されている。複数のオブジェクト143aは、それぞれ入力動作と関連付けられている。
図10(A)に示すように、ユーザが指132等でこれをタップすることによりユーザ入力情報が制御部11に送信される。
【0131】
図10(B1)は、指132が一つのオブジェクト143aをタップしている様子を示している。また、
図10(B2)は、指132を破線で示している。
【0132】
このとき、指132などが触れたオブジェクトは、その大部分が指132等に隠れるため、ユーザから視認されない。そのため、指132等が触れたオブジェクトは、反射型の表示素子のみで表示する第1のモードで表示する、または表示を停止することが好ましい。これにより、消費電力を低減することができる。一方、指132等が触れないオブジェクトは、発光素子を用いて表示する第2のモードまたは第3のモードにより表示することができる。なお、十分に環境が明るい場合や、ユーザからの要求があった場合などには、指132等が触れない部分も第1のモードで表示可能な構成としてもよい。
【0133】
また、
図10(B3)に示すように、指132が触れたオブジェクトだけでなく、指132に覆われたオブジェクトもユーザから視認されないため、これを第1のモードで表示してもよい。このとき、表示部122が有するタッチセンサとして近接センサや、光学センサを有する構成とし、表示部122の表面から所定の距離内に位置する指132等の位置情報を取得すればよい。
【0134】
図10(C1)は、2つのオブジェクトを拡大した例である。
図10(C1)では、「E」と「R」の文字に対応したオブジェクトを示している。
【0135】
図10(C1)に示すように、キーの輪郭部分144aと、記号部分144bのみを表示し、それ以外の部分を表示しないことが好ましい。特に発光素子を用いた第2のモードまたは第3のモードで表示している場合、輪郭部分144aと記号部分144b以外に位置する発光素子を黒表示(すなわち、発光させない状態)とすることで、消費電力を最小限にすることができる。
【0136】
図10(C2)では、キー「R」を指132でタップした状態を示している。このとき、キー「E」は発光素子を利用した第2のモードまたは第3のモードで表示され、キー「R」は、反射型の表示素子のみを利用した第1のモードで表示される。キー「R」の大部分は、指132により覆われ、外光が届かないため、実質的に表示されない状態となる。
【0137】
以上が、画像表示方法例3についての説明である。
【0138】
本発明の一態様は、2つの表示部を有し、それぞれに、反射光により表示する第1の画像、発光光により表示する第2の画像、及び反射光と発光光とが混在した光により表示する第3の画像を表示することができる。また、一つの表示部に、第1乃至第3の画像のうち2つ以上を同時に表示することが可能となる。これにより、様々な表示方法を用いることが可能となる。また第1の画像を表示する面積を出来るだけ大きくすることで、消費電力を低減することが可能となる。一方で、より強調したい部分には、第2の画像または第3の画像を用いることで、消費電力を低減しつつ、よりストレスを感じさせない表示をユーザに提供することができる。
【0139】
さらに、タッチセンサなどの入力手段や、ユーザの視点を認識する手段を組み合わせることにより、ユーザが認識していない領域の表示の消費電力を削減できるため、より効果的にストレスフリーで且つ低消費電力な表示方法を実現することができる。
【0140】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0141】
(実施の形態2)
本実施の形態では、消費電力を低減できる表示方法等について説明する。より具体的には、変化の少ない画像と変化の多い画像とを部分的に区別し、変化の少ない画像は消費電力の少ない表示方法を適用することで、消費電力を削減できる表示方法の例について説明する。
【0142】
また本実施の形態で例示する方法は、撮像手段により撮像した画像と、ソフトウェアにより生成されるコンピュータグラフィックス(CG)等の画像とを合成して表示する、いわゆる拡張現実(AR:Augmented Reality)と呼ばれる表示技術にも適用することができる。
【0143】
本発明の一態様の表示システムに用いる表示装置は、第1の表示素子を有する第1の画素および第2の表示素子を有する第2の画素を有する。少なくとも第1の画素は、書き込まれたデータを連続する2以上のフレーム期間において保持することができ、データを書き換えることなく表示を維持することができる。
【0144】
したがって、変化の少ない画像を第1の画素を用いて表示を行い、変化の多い画像を第2の画素を用いて表示することで、電力消費を抑えることができる。
【0145】
[構成例]
図11は、本発明の一態様の表示システムを説明するブロック図である。
図11に示す表示システム60は、制御部600と、表示部610と、カメラ605(CAM)と、GPS(Global Positioning System)受信機606(GPS)と、データ入出力部607(I/O)と、タッチセンサ613(T−SEN)と、光センサ614(P−SEN)を有する構成とすることができる。なお、表示システム60に含まれる要素はこれらに限らず、その他の要素が含まれていてもよい。
【0146】
なお、
図11に示す表示システム60は、実施の形態1に示す電子機器10に適用することができる。ここで示す表示システム60は、実施の形態1における筐体111、筐体112、またはその両方に組み込むことができる。一方の筐体に組み込まれている場合には、表示システム60は2つの表示部121及び表示部122の両方を制御することができる。したがって以下で示す表示部610は、実施の形態1における表示部121、表示部122、またはその両方に対応する。
【0147】
制御部600は、データ処理回路601(CPU)、第1のメモリ602(RAM1)、第2のメモリ603(RAM2)および制御回路604(CON)を有する構成とすることができる。
【0148】
データ処理回路601としては、CPU(Central Processing Unit)などの演算回路を用いることができる。データ処理回路601は必要に応じて、第1のメモリ602、第2のメモリ603、制御回路604、カメラ605、GPS受信機606、データ入出力部607、タッチセンサ613、光センサ614等と相互に信号を授受するなど、表示システム60全体の制御を統括する機能を有する。
【0149】
第1のメモリ602および第2のメモリ603は、画像データを記憶する機能を有する。例えば、フレームメモリとして画像データを保持し、データ処理回路601から制御回路604へのデータ授受を可能とする。また、複数のフレームデータを保持することでフレーム間での画像データ比較等の処理を可能とする。
【0150】
第1のメモリ602は、第1の表示素子で表示する画像データを記憶する機能を有する。
【0151】
また、第2のメモリ603は、第2の表示素子で表示する画像データを記憶する機能を有する。
【0152】
制御回路604は、2種類の画像データが更新される頻度に合わせて表示部610の動作制御を実行する機能を有する。
【0153】
表示部610は、第1の表示素子を有する第1の画素611(PIX1)と第2の表示素子を有する第2の画素612(PIX2)を有する。第1の表示素子としては、例えば反射型の液晶素子を用いることができる。また、第2の表示素子としては、例えば発光素子を用いることができる。
【0154】
反射型の液晶素子は低消費電力で動作することができ、発光素子は視認性の高い表示を行うことができる。なお、第1の画素611が第2の表示素子を有し、第2の画素612が第1の表示素子を有する構成とすることもできる。
【0155】
第1の画素611および第2の画素612では、画像データの書き込みトランジスタとして、金属酸化物をチャネル領域に有するトランジスタを用いることが好ましい。このようなトランジスタは極めてオフ電流が小さく、画像データとして書き込んだ電位を長時間保持することが可能となる。したがって、複数のフレーム期間において、新たに画像データを書き込むことなく画像表示が維持できる、所謂アイドリングストップ駆動が可能となる。
【0156】
アイドリングストップ駆動では、画素に書き込んだ画像データを2フレーム以上に亘り保持することができる。これにより、画像データの書き換え頻度を少なくすることができるため、消費電力を低減することができる。
【0157】
第1の表示素子として用いることのできる反射型の液晶素子は、バックライトを必要としないため、画素部の消費電力は回路動作の消費電力と等しくなる。したがって、第1の表示素子を有する画素をアイドリングストップ駆動することが特に好ましく、画素部の消費電力は書き換え頻度に比例して低減することができる。
【0158】
カメラ605は、入射光に応じた撮像画像を取得する機能を有する。
【0159】
GPS受信機606は、通信衛星と通信することができ、受信位置を演算する機能を有する。
【0160】
データ入出力部607は、外部から画像データ等を取得する機能または外部に画像データ等を出力する機能を有する。例えば、データ入出力部607は有線または無線のネットワークと接続することができ、当該ネットワークを介して外部から画像データ等を取得することができる。また、データ入出力部607には画像データ等が記憶されたメディアが接続されてもよい。
【0161】
タッチセンサ613は入力手段であり、表示部610に重ねて設けられる。表示部610をユーザがタッチする動作を電気信号に変換してデータ処理回路601に出力する機能を有する。入力された情報はデータ処理回路601に出力することで、データ処理回路601で処理されるアプリケーションソフト用の入力信号として使用される。
【0162】
光センサ614は、表示システム60が使用される環境の照度を測定する機能を有する。データ処理回路601および制御回路604は、照度の情報を得ることで、使用する表示素子の選択、表示部610の輝度の変更および画像の色味調整などの処理を行うことができる。なお、光センサ614は、画素内に設けられていてもよい。また、本発明の一態様の表示システム60においては、タッチセンサ613および光センサ614を省くこともできる。
【0163】
上述した構成要素を有する表示システム60を用いることによって、複数の画像を合成して表示を行うことができる。例えば、ある被写体の画像をカメラ605で取得し、当該被写体に関する情報をデータ入出力部607から取得し、両者を合成して表示部610に表示することができる。
【0164】
なお、カメラ605で取得した画像Pを第1の画素611および第2の画素612の一方で表示し、データ入出力部607を介して取得した画像Qを第1の画素611および第2の画素612の他方で表示すると、画像Pと画像Qが重なって表示される領域が発生する。したがって、画像Pにおける画像Qが表示される領域は、黒画像に加工しておくことが好ましい。当該加工はデータ処理回路で行えばよい。なお、用途によっては、当該加工を不要としてもよい。
【0165】
画像Pに対する画像Qの合成位置は、第1の画像内の指定目印(マーカー)を利用して決定することができる。あるいは、GPS受信機606によって取得した位置情報、データ入出力部607を介して取得した情報およびカメラ605の撮像情報のいずれか、またはそれらの複合情報に基づいて演算した結果などから決定することができる。
【0166】
制御回路604は、第1のメモリ602から入力される画像データを第1の画素611に表示させる機能を有する。第1の画素611は反射型の液晶素子を有し、前述したアイドリングストップ駆動が可能である。したがって、書き換え頻度の少ない画像データを第1の画素611で表示したとき、特定のフレーム期間において第1の画素611を駆動するための周辺回路の動作を停止することができる。
【0167】
また、制御回路604は、第2のメモリ603から入力される画像データを第2の画素612に表示させる機能を有する。第2の画素612は発光素子を有し、動画表示に対して良好な表示応答性を有する。したがって、第2の画素612は、第1の画素611で表示させる画像データよりも書き換え頻度が多い画像を表示させることが好ましい。
【0168】
なお、アイドリングストップ駆動を行うフレーム数は予め設定した数とするほか、環境の変化を各種センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線などを測定する機能を含むもの)等を用いて認識させ、自動的に当該フレーム数を変化させてもよい。当該制御を行うことで、現実との整合性を向上させることができる。また、無駄な画像データの書き換えを抑制し、消費電力を低減させることができる。
【0169】
〔アイドリングストップ駆動〕
上述したアイドリングストップ駆動の一例について、
図12(A)乃至(C)を用いて説明する。
【0170】
図12(A)は、液晶素子653および画素回路651で構成される画素の回路図を図示している。
図12(A)では、信号線SLおよびゲート線GLに接続されたトランジスタM1、容量素子Cs
LCおよび液晶素子LCを図示している。
【0171】
図12(B)は、アイドリングストップ駆動ではない通常駆動モードにおいて、信号線SLおよびゲート線GLにそれぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。通常駆動モードでは、通常のフレーム周波数(例えば60Hz)で動作させることができる。
【0172】
当該フレーム周波数における連続するフレームの各期間をT
1、T
2、T
3としたとき、各フレーム期間でゲート線に走査信号を与え、信号線のデータD
1を画素に書き込む動作を行う。この動作は、T
1、T
2、T
3で同じデータD
1を書き込む場合であっても、異なるデータを書き込む場合であっても同じである。
【0173】
図12(C)は、アイドリングストップ駆動において、信号線SLおよびゲート線GLにそれぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。アイドリングストップ駆動では、低速のフレーム周波数(例えば1Hz)で動作させることができる。
【0174】
図12(C)では、当該フレーム周波数におけるフレーム期間をT
1、その中でデータを書き込む期間をT
W、データを保持する期間をT
RETで表している。アイドリングストップ駆動は、期間T
Wでゲート線に走査信号を与え、信号線のデータD
1を画素に書き込み、期間T
RETでゲート線をローレベルの電圧に固定し、トランジスタM1を非導通状態として一旦書き込んだデータD
1を画素に保持させる動作を行う。
【0175】
ここで、トランジスタM1として金属酸化物が適用されたトランジスタを用いることで、その低いオフ電流によってデータD
1を長時間保持することが可能となる。また、
図12(A)乃至(C)では液晶素子LCを用いた例を示したが、有機EL素子などの発光素子を用いても、同様にアイドリングストップ駆動は可能である。
【0176】
なお、
図12(A)に示す回路図において、液晶素子LCはデータD
1のリークパスとなる。したがって、適切にアイドリングストップ駆動を行うには、液晶素子LCの抵抗率を1.0×10
14Ω・cm以上とすることが好ましい。
【0177】
〔表示方法例〕
次に、表示の具体例について説明する。ここでは、第1の画素611に第1の表示素子が設けられ、第2の画素612に第2の表示素子が設けられる構成のときに、効率良くアイドリングストップ駆動ができる例について、
図13(A1)乃至(A3)および
図14を用いて説明する。
【0178】
図13(A1)乃至(A3)は後述する第1の画像P1として取得したビル群の画像に、後述する第2の画像Q1、Q2、Q3として取得した飛行体の画像を合成する例である。
図13(A1)乃至(A3)が連続して表示されることで、実際には存在しない飛行体がビル群の上方を飛んでいる動画を構成することができる。
【0179】
図13(A1)乃至(A3)の画像を構成するために、期間F1乃至F3において、取得、生成、または表示される画像の具体例を
図14に示す。
【0180】
まず、期間F1において、第1の画像P1としてビル群の画像をカメラ605で取得する。そして、画像を合成する領域が黒表示となるように第1の画像P1を加工し、第3の画像P1’を生成する。
【0181】
また、第2の画像Q1として飛行体の画像をデータ入出力部607から取得する。そして、第3の画像P1’で黒表示とした領域の元データと第2の画像Q1とを合成し、それらの領域以外は黒表示として第4の画像Q1’を生成する。
【0182】
その後、第3の画像P1’は第1の画素611に表示され、第4の画像Q1’は第2の画素612に表示されることにより、全体として
図13(A1)に示す画像が表示される。
【0183】
ここで、第1の画素611に表示された第3の画像P1’は、アイドリングストップ駆動により、期間F2以降も維持される。
【0184】
また、期間F2において、第2の画像Q2として飛行体の画像をデータ入出力部607から取得し、第4の画像Q2’を生成する。そして、第4の画像Q2’を第2の画素612に表示することにより、全体として
図13(A2)に示す画像が表示される。
【0185】
また、期間F3において、第2の画像Q3として飛行体の画像をデータ入出力部607から取得し、第4の画像Q3’を生成する。そして、第4の画像Q3’を第2の画素612に表示することにより、全体として
図13(A3)に示す画像が表示される。
【0186】
このように、元画像における画像を付加する領域を予め確保しておくことで、元画像のアイドリングストップ駆動を効率良く行うことができる。
【0187】
ここで、期間F1は、第1の画像P1を取得する期間、第3の画像P1’を生成する期間、第2の画像Q1を取得する期間、第4の画像Q1’を生成する期間、及び第3の画像P1’及び第4の画像Q1’を表示する期間を含む。第3の画像P1’及び第4の画像Q1’を表示する期間以外の期間では、期間F1よりも以前に合成され、表示された画像を表示しておくことが好ましい。また、期間F2、期間F3も同様に、第4の画像Q2’またはQ3’を第2の画素612に表示する期間以外の期間では、これよりも前に生成または合成された画像を表示しておくことが好ましい。
【0188】
以上が表示方法例についての説明である。
【0189】
〔半導体装置について〕
上述した各画素や、画素を駆動する回路に用いられるトランジスタなどの半導体装置には、半導体層に金属酸化物を適用することが好ましい。当該金属酸化物としては、例えば、後述するCAC−OS(Cloud−Aligned Composite−Oxide Semiconductor)などを用いることができる。
【0190】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減することができる。
【0191】
また、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された電子機器を実現できる。
【0192】
また、上述した画素や、当該画素を駆動する回路に用いられるトランジスタなどの半導体装置には、多結晶半導体を用いてもよい。例えば、多結晶シリコンなどを用いることが好ましい。多結晶シリコンは単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、かつアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができる。また極めて多くの画素を有する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減することができる。
【0193】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0194】
(実施の形態3)
以下では、本発明の一態様の表示装置に用いることのできる表示パネルの例について説明する。以下で例示する表示パネルは、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、発光モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示パネルである。
【0195】
[構成例]
図15(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置400は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置400は、回路GDと、回路SDを有する。また、方向Rに配列した複数の画素410、回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、および複数の配線CSCOMを有する。また、方向Cに配列した複数の画素410、回路SDと電気的に接続する複数の配線S1、および複数の配線S2を有する。
【0196】
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、液晶素子を駆動する回路GDおよび回路SDと、発光素子を駆動する回路GDおよび回路SDとを、別々に設けてもよい。
【0197】
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0198】
図15(B1)は、画素410が有する導電層311bの構成例を示す。導電層311bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層311bには、開口451が設けられている。
【0199】
図15(B1)には、導電層311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示している。発光素子360は、導電層311bが有する開口451と重ねて配置されている。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
【0200】
図15(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。このとき、
図15(B1)に示すように、方向Rに配列する複数の画素において、複数の開口451が一直線上に配列されないように、それぞれ導電層311bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、隣接する2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することができるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
【0201】
また、
図15(B2)に示すような配列としてもよい。
【0202】
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
【0203】
また、反射電極として機能する導電層311bに設ける開口451の面積が小さすぎると、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0204】
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0205】
[回路構成例]
図16は、画素410の構成例を示す回路図である。
図16では、隣接する2つの画素410を示している。
【0206】
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C2、および発光素子360等を有する。また、画素410には、配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、および配線S2が電気的に接続されている。また、
図16では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、および発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
【0207】
図16では、スイッチSW1およびスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
【0208】
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソースまたはドレインの一方が配線S1と接続され、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、および液晶素子340の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
【0209】
また、スイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソースまたはドレインの一方が配線S2と接続され、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソースまたはドレインの一方、および配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソースまたはドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
【0210】
図16では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
【0211】
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
【0212】
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2および配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御する信号を与えることができる。
【0213】
図16に示す画素410は、例えば、反射モードの表示を行う場合には、配線G1および配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示することができる。また、発光モードで表示を行う場合には、配線G2および配線S2に与える信号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また、両方のモードで駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1および配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
【0214】
なお、
図16では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360とを有する例を示したが、これに限られない。
図17(A)は、一つの画素410に一つの液晶素子340と4つの発光素子(発光素子360r、発光素子360g、発光素子360b、発光素子360w)を有する例を示している。
【0215】
図17(A)では
図16の例に加えて、画素410に配線G3および配線S3が接続されている。
【0216】
図17(A)に示す例では、例えば4つの発光素子(発光素子360r、発光素子360g、発光素子360b、発光素子360w)を、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また発光モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
【0217】
また、
図17(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極311が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子360r、発光素子360g、および発光素子360bとを有する。発光素子360r、発光素子360g、および発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
【0218】
[表示パネルの構成例]
図18は、本発明の一態様の表示パネル300の斜視概略図である。表示パネル300は、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。
図18では、基板361を破線で明示している。
【0219】
表示パネル300は、表示部362、回路364、配線365等を有する。基板351には、例えば回路364、配線365、および画素電極として機能する導電層311b等が設けられる。また
図18では基板351上にIC373とFPC372が実装されている例を示している。そのため、
図18に示す構成は、表示パネル300とFPC372およびIC373を有する表示モジュールと言うこともできる。
【0220】
回路364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
【0221】
配線365は、表示部や回路364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC372を介して外部、またはIC373から配線365に入力される。
【0222】
また、
図18では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、または信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示パネル300が走査線駆動回路および信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して表示パネル300を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としてもよい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC372に実装してもよい。
【0223】
図18には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する導電層311bがマトリクス状に配置されている。導電層311bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
【0224】
また、
図18に示すように、導電層311bは開口を有する。さらに導電層311bよりも基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、導電層311bの開口を介して基板361側に射出される。
【0225】
また、基板361上にはタッチセンサを設けることができる。例えば、シート状の静電容量方式のタッチセンサ366を表示部362に重ねて設ける構成とすればよい。または、基板361と基板351との間にタッチセンサを設けてもよい。基板361と基板351との間にタッチセンサを設ける場合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサを適用してもよい。
【0226】
[断面構成例1]
図19に、
図18で例示した表示パネルの、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部、および表示部362を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。なお、タッチセンサ366は含まない。
【0227】
表示パネルは、基板351と基板361の間に、絶縁層220を有する。また基板351と絶縁層220の間に、発光素子360、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層134等を有する。また絶縁層220と基板361の間に、液晶素子340、着色層135等を有する。また基板361と絶縁層220は接着層161を介して接着され、基板351と絶縁層220は接着層162を介して接着されている。
【0228】
トランジスタ206は、液晶素子340と電気的に接続し、トランジスタ205は、発光素子360と電気的に接続する。トランジスタ205とトランジスタ206は、いずれも絶縁層220の基板351側の面上に形成されているため、これらを同一の工程を用いて作製することができる。
【0229】
基板361には、着色層135、遮光層136、絶縁層218、および液晶素子340の共通電極として機能する導電層313、配向膜133b、絶縁層117等が設けられている。絶縁層117は、液晶素子340のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。
【0230】
絶縁層220の基板351側には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層215等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層212、絶縁層213、および絶縁層214は、各トランジスタを覆って設けられている。また絶縁層214を覆って絶縁層215が設けられている。絶縁層214および絶縁層215は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい。
【0231】
また、トランジスタ201、トランジスタ205、およびトランジスタ206は、一部がゲートとして機能する導電層221、一部がソースまたはドレインとして機能する導電層222、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
【0232】
液晶素子340は反射型の液晶素子である。液晶素子340は、導電層311a、液晶312、導電層313が積層された積層構造を有する。また、導電層311aの基板351側に接して、可視光を反射する導電層311bが設けられている。導電層311bは開口251を有する。また、導電層311aおよび導電層313は可視光を透過する材料を含む。また、液晶312と導電層311aの間に配向膜133aが設けられ、液晶312と導電層313の間に配向膜133bが設けられている。また、基板361の外側の面には、偏光板130を有する。
【0233】
液晶素子340において、導電層311bは可視光を反射する機能を有し、導電層313は可視光を透過する機能を有する。基板361側から入射した光は、偏光板130により偏光され、導電層313、液晶312を透過し、導電層311bで反射する。そして、液晶312および導電層313を再度透過して、偏光板130に達する。このとき、導電層311bと導電層313の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板130を介して射出される光の強度を制御することができる。また光は着色層135によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
【0234】
発光素子360は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子360は、絶縁層220側から導電層191、EL層192、および導電層193bの順に積層された積層構造を有する。また導電層193bを覆って導電層193aが設けられている。導電層193bは可視光を反射する材料を含み、導電層191および導電層193aは可視光を透過する材料を含む。発光素子360が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口251、導電層313等を介して、基板361側に射出される。
【0235】
ここで、
図19に示すように、開口251には可視光を透過する導電層311aが設けられていることが好ましい。これにより、開口251と重なる領域においてもそれ以外の領域と同様に液晶312が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
【0236】
ここで、基板361の外側の面に配置する偏光板130として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、外光反射を抑制するために光拡散板を設けてもよい。また、偏光板の種類に応じて、液晶素子340に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0237】
導電層191の端部を覆う絶縁層216上には、絶縁層217が設けられている。絶縁層217は、絶縁層220と基板351が必要以上に接近することを抑制するスペーサとしての機能を有する。またEL層192や導電層193aを遮蔽マスク(メタルマスク)を用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制するための機能を有していてもよい。なお、絶縁層217は不要であれば設けなくてもよい。
【0238】
トランジスタ205のソースまたはドレインの一方は、導電層224を介して発光素子360の導電層191と電気的に接続されている。
【0239】
トランジスタ206のソースまたはドレインの一方は、接続部207を介して導電層311bと電気的に接続されている。導電層311bと導電層311aは接して設けられ、これらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
【0240】
基板351と基板361とが重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接続層242を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部204は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層311aと同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204とFPC372とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0241】
接着層161が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部252において、導電層311aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層313の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板361側に形成された導電層313に、基板351側に接続されたFPC372から入力される信号または電位を、接続部252を介して供給することができる。
【0242】
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、
図19に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
【0243】
接続体243は、接着層161に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬化前の接着層161に接続体243を分散させておけばよい。
【0244】
図19では、回路364の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している。
【0245】
図19では、トランジスタ201およびトランジスタ205の例として、チャネルが形成される半導体層231を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。一方のゲートは導電層221により、他方のゲートは絶縁層212を介して半導体層231と重なる導電層223により構成されている。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示パネルを大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
【0246】
なお、回路364が有するトランジスタと、表示部362が有するトランジスタは、同じ構造であってもよい。また回路364が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部362が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。
【0247】
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212または絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0248】
基板361側において、着色層135、遮光層136を覆って絶縁層218が設けられている。絶縁層218は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層218により、導電層313の表面を概略平坦にできるため、液晶312の配向状態を均一にできる。
【0249】
[断面構成例2]
また、本発明の一態様の表示パネルは、
図20に示すように、画素に設けられる第1のトランジスタと、第2のトランジスタが重なる領域を有する構成であってもよい。このような構成とすることで、一画素あたりの面積を小さくすることができ、高精細な画像が表示できる画素密度の高い表示パネルを形成することができる。
【0250】
例えば、発光素子360を駆動するためのトランジスタであるトランジスタ205と、トランジスタ208が重なる領域を有するような構成とすることができる。または、液晶素子340を駆動するためのトランジスタ206と、トランジスタ205およびトランジスタ208の一方が重なる領域を有するような構成であってもよい。
【0251】
[断面構成例3]
また、本発明の一態様の表示パネルは、
図21に示すように、表示パネル300aと表示パネル300bが接着層50を介して貼り合わされた構成であってもよい。表示パネル300aは、表示部362aに液晶素子340およびトランジスタ206を有し、表示部362aを駆動する回路364aにトランジスタ201aを有する。表示パネル300bは、表示部362bに発光素子360およびトランジスタ205、208を有し、表示部362bを駆動する回路364bにトランジスタ201bを有する。
【0252】
このような構成とすることで、表示パネル300aおよび表示パネル300bのそれぞれに適した作製工程を用いることができ、製品歩留りを向上させることができる。
【0253】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0254】
〔基板〕
表示パネルが有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0255】
厚さの薄い基板を用いることで、表示パネルの軽量化、薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示パネルを実現できる。
【0256】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示パネルの局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0257】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いることができる。
【0258】
また、金属基板の表面を酸化する、または表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電着法、蒸着法、またはスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気で放置するまたは加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成してもよい。
【0259】
可撓性を有し、可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10
−6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示パネルも軽量にすることができる。
【0260】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ましい。
【0261】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。または、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0262】
可撓性を有する基板に、表示パネルの表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0263】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示パネルとすることができる。
【0264】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
【0265】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0266】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0267】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAC−OSなどを用いることができる。
【0268】
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
【0269】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0270】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0271】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのとき酸化物半導体を用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できる、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。
【0272】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×10
17/cm
3以下、好ましくは1×10
15/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
13/cm
3以下、より好ましくは1×10
11/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
10/cm
3未満であり、1×10
−9/cm
3以上の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0273】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0274】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
17atoms/cm
3以下とする。
【0275】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下にする。
【0276】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×10
18atoms/cm
3以下にすることが好ましい。
【0277】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor、または、C−Axis Aligned and A−B−plane Anchored Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0278】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0279】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0280】
<CAC−OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
【0281】
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0282】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0283】
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InO
X1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、In
X2Zn
Y2O
Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaO
X3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、Ga
X4Zn
Y4O
Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInO
X1、またはIn
X2Zn
Y2O
Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0284】
つまり、CAC−OSは、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0285】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO
3(ZnO)
m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga
(1−x0)O
3(ZnO)
m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0286】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0287】
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0288】
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0289】
なお、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0290】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0291】
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0292】
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0293】
また、CAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
【0294】
また、例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0295】
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaO
X3などが主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0296】
ここで、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、GaO
X3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0297】
一方、GaO
X3などが主成分である領域は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaO
X3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0298】
したがって、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaO
X3などに起因する絶縁性と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(I
on)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0299】
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0300】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0301】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなどを用いる場合に適している。
【0302】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0303】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0304】
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0305】
また、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0306】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0307】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10
−5[g/(m
2・day)]以下、好ましくは1×10
−6[g/(m
2・day)]以下、より好ましくは1×10
−7[g/(m
2・day)]以下、さらに好ましくは1×10
−8[g/(m
2・day)]以下とする。
【0308】
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0309】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0310】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0311】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0312】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0313】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素子などを用いることができる。
【0314】
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることができる。
【0315】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
【0316】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0317】
また、反射型、または半透過型の液晶素子を用いる場合、偏光板よりも外側に、フロントライトを設けてもよい。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい。LED(Light Emitting Diode)を備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
【0318】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0319】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0320】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0321】
EL層には低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0322】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0323】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の波長(例えば350nm乃至750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは、緑色および赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0324】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層または燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。
【0325】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0326】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、またはこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0327】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。また銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接して金属膜または金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0328】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形成することができる。
【0329】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、および電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、それぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0330】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0331】
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0332】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0333】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0334】
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0335】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0336】
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0337】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0338】
(実施の形態4)
本発明の一態様の入出力パネルの構成について、
図22および
図23を参照しながら説明する。
【0339】
図22は、本発明の一態様の入出力パネルの構成を説明する図である。
図22は入出力パネルが備える画素の断面図である。
【0340】
図23は、本発明の一態様の入出力パネルの構成を説明する図である。
図23(A)は
図22に示す入出力パネルの機能膜の構成を説明する断面図であり、
図23(B)は入力ユニットの構成を説明する断面図であり、
図23(C)は第2のユニットの構成を説明する断面図であり、
図23(D)は第1のユニットの構成を説明する断面図である。
【0341】
なお、本明細書において、1以上の整数を値にとる変数を符号に用いる場合がある。例えば、1以上の整数の値をとる変数pを含む(p)を、最大p個の構成要素のいずれかを特定する符号の一部に用いる場合がある。また、例えば、1以上の整数の値をとる変数mおよび変数nを含む(m,n)を、最大m×n個の構成要素のいずれかを特定する符号の一部に用いる場合がある。
【0342】
本構成例で説明する入出力パネル700TP3は、画素702(i,j)を有する(
図22参照)。また、入出力パネル700TP3は、第1のユニット501と、第2のユニット502と、入力ユニット503と、機能膜770Pと、を有する(
図23参照)。第1のユニット501は機能層520を含み、第2のユニット502は機能層720を含む。
【0343】
[画素702(i,j)]
画素702(i,j)は、機能層520の一部と、第1の表示素子750(i,j)と、第2の表示素子550(i,j)と、を有する(
図22参照)。
【0344】
機能層520は、第1の導電膜、第2の導電膜、絶縁膜501Cおよび画素回路530(i,j)を含む。なお、図示しない画素回路530(i,j)は、例えば、トランジスタMを含む。また、機能層520は、光学素子560、被覆膜565およびレンズ580を含む。また、機能層520は、絶縁膜528および絶縁膜521を備える。絶縁膜521Aおよび絶縁膜521Bを積層した材料を、絶縁膜521に用いることができる。
【0345】
例えば、屈折率1.55近傍の材料を絶縁膜521Aまたは絶縁膜521Bに用いることができる。または、屈折率1.6近傍の材料を絶縁膜521Aまたは絶縁膜521Bに用いることができる。または、アクリル樹脂またはポリイミドを絶縁膜521Aまたは絶縁膜521Bに用いることができる。
【0346】
絶縁膜501Cは、第1の導電膜および第2の導電膜の間に挟まれる領域を備え、絶縁膜501Cは開口部591Aを備える。
【0347】
第1の導電膜は、第1の表示素子750(i,j)と電気的に接続される。具体的には、第1の表示素子750(i,j)の電極751(i,j)と電気的に接続される。なお、電極751(i,j)を、第1の導電膜に用いることができる。
【0348】
第2の導電膜は、第1の導電膜と重なる領域を備える。第2の導電膜は、開口部591Aにおいて、第1の導電膜と電気的に接続される。例えば、導電膜512Bを第2の導電膜に用いることができる。第2の導電膜は、画素回路530(i,j)と電気的に接続される。例えば、画素回路530(i,j)のスイッチSW1に用いるトランジスタのソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜を第2の導電膜に用いることができる。ところで、絶縁膜501Cに設けられた開口部591Aにおいて第2の導電膜と電気的に接続される第1の導電膜を、貫通電極ということができる。
【0349】
第2の表示素子550(i,j)は、画素回路530(i,j)と電気的に接続される。第2の表示素子550(i,j)は、機能層520に向けて光を射出する機能を備える。また、第2の表示素子550(i,j)は、例えば、レンズ580または光学素子560に向けて光を射出する機能を備える。
【0350】
第2の表示素子550(i,j)は、第1の表示素子750(i,j)を用いた表示を視認できる範囲の一部において視認できるように配設される。例えば、第2の表示素子550(i,j)が射出する光を遮らない領域751Hを備える形状を第1の表示素子750(i,j)の電極751(i,j)に用いる。なお、外光を反射する強度を制御して画像情報を表示する第1の表示素子750(i,j)に外光が入射し反射する方向を、破線の矢印を用いて図中に示す。また、第1の表示素子750(i,j)を用いた表示を視認できる範囲の一部に第2の表示素子550(i,j)が光を射出する方向を、実線の矢印を用いて図中に示す。
【0351】
これにより、第1の表示素子を用いた表示を視認することができる領域の一部において、第2の表示素子を用いた表示を視認することができる。または、入出力パネルの姿勢等を変えることなく使用者は表示を視認することができる。または、第1の表示素子が反射する光が表現する物体色と、第2の表示素子が射出する光が表現する光源色とを掛け合わせることができる。または、物体色および光源色を用いて絵画的な表示をすることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規な入出力パネルを提供することができる。
【0352】
例えば、第1の表示素子750(i,j)は、電極751(i,j)と、電極752と、液晶材料を含む層753と、を備える。また、配向膜AF1と、配向膜AF2とを備える。具体的には、反射型の液晶素子を第1の表示素子750(i,j)に用いることができる。
【0353】
例えば、屈折率2.0近傍の透明導電膜を電極752または電極751(i,j)に用いることができる。具体的には、インジウムとスズとシリコンを含む酸化物を電極752または電極751(i,j)に用いることができる。または、屈折率1.6近傍の材料を配向膜に用いることができる。
【0354】
例えば、第2の表示素子550(i,j)は、電極551(i,j)と、電極552と、発光性の材料を含む層553(j)と、を備える。電極552は、電極551(i,j)と重なる領域を備える。発光性の材料を含む層553(j)は、電極551(i,j)および電極552の間に挟まれる領域を備える。電極551(i,j)は、接続部522において、画素回路530(i,j)と電気的に接続される。具体的には、有機EL素子を第2の表示素子550(i,j)に用いることができる。
【0355】
例えば、屈折率2.0近傍の透明導電膜を電極551(i,j)に用いることができる。具体的には、インジウムとスズとシリコンを含む酸化物を電極551(i,j)に用いることができる。または、屈折率1.8近傍の材料を発光性の材料を含む層553(j)に用いることができる。
【0356】
光学素子560は透光性を備え、光学素子560は第1の領域、第2の領域および第3の領域を備える。
【0357】
第1の領域は第2の表示素子550(i,j)から可視光を供給される領域を含み、第2の領域は被覆膜565と接する領域を含み、第3の領域は可視光の一部を射出する機能を備える。また、第3の領域は第1の領域の可視光を供給される領域の面積以下の面積を備える。
【0358】
被覆膜565は可視光に対する反射性を備え、被覆膜565は可視光の一部を反射して、第3の領域に供給する機能を備える。
【0359】
例えば、金属を被覆膜565に用いることができる。具体的には、銀を含む材料を被覆膜565に用いることができる。例えば、銀およびパラジウム等を含む材料または銀および銅等を含む材料を被覆膜565に用いることができる。
【0360】
[レンズ580]
可視光を透過する材料をレンズ580に用いることができる。または、1.3以上2.5以下の屈折率を備える材料をレンズ580に用いることができる。例えば、無機材料または有機材料をレンズ580に用いることができる。
【0361】
例えば、酸化物または硫化物を含む材料をレンズ580に用いることができる。
【0362】
具体的には、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ580に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ580に用いることができる。
【0363】
例えば、樹脂を含む材料をレンズ580に用いることができる。具体的には、塩素、臭素またはヨウ素が導入された樹脂、重金属原子が導入された樹脂、芳香環が導入された樹脂、硫黄が導入された樹脂などをレンズ580に用いることができる。または、樹脂と樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む樹脂をレンズ580に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0364】
[機能層720]
機能層720は、基板770および絶縁膜501Cの間に挟まれる領域を備える。機能層720は、絶縁膜771と、着色膜CF1と、を有する。
【0365】
着色膜CF1は、基板770および第1の表示素子750(i,j)の間に挟まれる領域を備える。
【0366】
絶縁膜771は、着色膜CF1と液晶材料を含む層753の間に挟まれる領域を備える。これにより、着色膜CF1の厚さに基づく凹凸を平坦にすることができる。または、着色膜CF1等から液晶材料を含む層753への不純物の拡散を、抑制することができる。
【0367】
例えば、屈折率1.55近傍のアクリル樹脂を、絶縁膜771に用いることができる。
【0368】
[基板570、基板770]
また、本実施の形態で説明する入出力パネルは、基板570と、基板770と、を有する。
【0369】
基板770は、基板570と重なる領域を備える。基板770は、基板570との間に機能層520を挟む領域を備える。
【0370】
基板770は、第1の表示素子750(i,j)と重なる領域を備える。例えば、複屈折が抑制された材料を当該領域に用いることができる。
【0371】
例えば、屈折率1.5近傍の樹脂材料を基板770に用いることができる。
【0372】
[接合層505]
また、本実施の形態で説明する入出力パネルは、接合層505を有する。
【0373】
接合層505は、機能層520および基板770の間に挟まれる領域を備え、機能層520および基板770を貼り合せる機能を備える。
【0374】
[構造体KB1、構造体KB2]
また、本実施の形態で説明する入出力パネルは、構造体KB1と、構造体KB2とを有する。
【0375】
構造体KB1は、機能層520および基板770の間に所定の間隙を設ける機能を備える。構造体KB1は領域751Hと重なる領域を備え、構造体KB1は透光性を備える。これにより、第2の表示素子550(i,j)によって射出される光を一方の面に供給され、他方の面から射出することができる。
【0376】
また、構造体KB1は光学素子560と重なる領域を備え、例えば、光学素子560に用いる材料の屈折率との差が0.2以下になるように選択された材料を構造体KB1に用いる。これにより、第2の表示素子が射出する光を効率よく利用することができる。または、第2の表示素子の面積を広くすることができる。または、有機EL素子に流す電流の密度を下げることができる。
【0377】
構造体KB2は、偏光層770PBの厚さを所定の厚さに制御する機能を備える。構造体KB2は第2の表示素子550(i,j)と重なる領域を備え、構造体KB2は透光性を備える。
【0378】
または、所定の色の光を透過する材料を構造体KB1または構造体KB2に用いることができる。これにより、構造体KB1または構造体KB2を例えばカラーフィルターに用いることができる。例えば、青色、緑色または赤色の光を透過する材料を構造体KB1または構造体KB2に用いることができる。また、黄色の光または白色の光等を透過する材料を構造体KB1または構造体KB2に用いることができる。
【0379】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリシロキサン若しくはアクリル樹脂等またはこれらから選択された複数の樹脂の複合材料などを構造体KB1または構造体KB2に用いることができる。また、感光性を有する材料を用いて形成してもよい。
【0380】
例えば、屈折率1.5近傍のアクリル樹脂を構造体KB1に用いることができる。また、屈折率1.55近傍のアクリル樹脂を構造体KB2に用いることができる。
【0381】
[入力ユニット503]
入力ユニット503は検知素子を備える。検知素子は、画素702(i,j)と重なる領域に近接するものを検知する機能を備える。これにより、表示部に近接させる指などをポインタに用いて、位置情報を入力することができる。
【0382】
例えば、静電容量型の近接センサ、電磁誘導型の近接センサ、光学方式の近接センサ、抵抗膜方式の近接センサまたは表面弾性波方式の近接センサなどを、入力ユニット503に用いることができる。具体的には、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式または赤外線検知型の近接センサを用いることができる。
【0383】
例えば、静電容量方式の近接センサを備える屈折率1.6近傍のタッチセンサを入力ユニット503に用いることができる。
【0384】
[機能膜770D、機能膜770P等]
また、本実施の形態で説明する入出力パネル700TP3は、機能膜770Dと、機能膜770Pと、を有する。
【0385】
機能膜770Dは第1の表示素子750(i,j)と重なる領域を備える。機能膜770Dは機能層520との間に第1の表示素子750(i,j)を挟む領域を備える。
【0386】
例えば、光拡散フィルムを機能膜770Dに用いることができる。具体的には、基材の表面と交差する方向に沿った軸を備える柱状構造を有する材料を、機能膜770Dに用いることができる。これにより、光を軸に沿った方向に透過し易く、他の方向に散乱し易くすることができる。または、例えば、第1の表示素子750(i,j)が反射する光を拡散することができる。
【0387】
機能膜770Pは、偏光層770PB、位相差フィルム770PAまたは構造体KB2を備える。偏光層770PBは開口部を備え、位相差フィルム770PAは偏光層770PBと重なる領域を備える。なお、構造体KB2は開口部に設けられる。
【0388】
例えば、二色性色素、液晶材料および樹脂を偏光層770PBに用いることができる。偏光層770PBは、偏光性を備える。これにより、機能膜770Pを偏光板に用いることができる。
【0389】
偏光層770PBは第1の表示素子750(i,j)と重なる領域を備え、構造体KB2は第2の表示素子550(i,j)と重なる領域を備える。これにより、液晶素子を第1の表示素子に用いることができる。例えば、反射型の液晶素子を第1の表示素子に用いることができる。または、第2の表示素子が射出する光を効率よく取り出すことができる。または、有機EL素子に流す電流の密度を下げることができる。または、有機EL素子の信頼性を高めることができる。
【0390】
例えば、反射防止フィルム、偏光フィルムまたは位相差フィルムを機能膜770Pに用いることができる。具体的には、2色性色素を含む膜および位相差フィルムを機能膜770Pに用いることができる。
【0391】
また、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜などを、機能膜770Pに用いることができる。
【0392】
例えば、屈折率1.6近傍の材料を拡散フィルムに用いることができる。また、屈折率1.6近傍の材料を位相差フィルム770PAに用いることができる。
【0393】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0394】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に適用可能な表示モジュールについて説明する。
【0395】
図24(A)に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005に接続された表示パネル6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリ6011を有する。
【0396】
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示パネル6006に用いることができる。これにより、高い歩留まりで表示モジュールを作製することができる。
【0397】
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示パネル6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0398】
また、表示パネル6006に重ねてタッチパネルを設けてもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル6006に重畳して用いることができる。また、タッチパネルを設けず、表示パネル6006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
【0399】
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0400】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ6011による電源であってもよい。バッテリ6011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0401】
また、表示モジュール6000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
【0402】
図24(B)は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
【0403】
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
【0404】
表示パネル6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリ6011と重ねて設けられている。表示パネル6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
【0405】
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示パネル6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
【0406】
発光部6015は、例えば表示パネル6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
【0407】
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができる。特に、発光部6015として、使用者に視認されず、且つ使用者にとって無害である赤外線を発する光源を用いることが好ましい。
【0408】
受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
【0409】
導光部6017a、導光部6017bとしては、少なくとも光6018を透過する部材を用いることができる。導光部6017a及び導光部6017bを用いることで、発光部6015と受光部6016とを表示パネル6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いることが好ましい。これにより、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
【0410】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。