特許第6943812号(P6943812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

特許6943812検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法
<>
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000002
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000003
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000004
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000005
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000006
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000007
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000008
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000009
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000010
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000011
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000012
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000013
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000014
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000015
  • 特許6943812-検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943812
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】検査装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-111783(P2018-111783)
(22)【出願日】2018年6月12日
(65)【公開番号】特開2019-215208(P2019-215208A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−291939(JP,A)
【文献】 特開平09−105618(JP,A)
【文献】 特開2017−030824(JP,A)
【文献】 特開2003−291929(JP,A)
【文献】 特開2014−062771(JP,A)
【文献】 特開2015−054691(JP,A)
【文献】 特開2001−235426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0143808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 ー G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートであって、該PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリットを前記容器フィルムの平坦部に有するPTPシートを製造する際に用いられる検査装置であって、
前記カバーフィルムが取着された前記容器フィルムに対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光が照射された前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記照射手段は、
前記容器フィルムに照射される前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され、
前記画像処理手段は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記容器フィルムにおける明暗を判別することにより、前記切離用スリットを検出可能なスリット検出手段と、
前記スリット検出手段の検出結果に基づき、前記切離用スリットの良否を判定可能な判定手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記照射手段は、
前記所定の光の入射角度が、前記切離用スリットから反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ前記容器フィルムの平坦部から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定の大入射角に設定され、
前記スリット検出手段は、
前記画像データにおける明部を前記切離用スリットとして検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記照射手段は、
前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ前記切離用スリットから反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定の小入射角に設定され、
前記スリット検出手段は、
前記画像データにおける暗部を前記切離用スリットとして検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段の光軸が前記容器フィルムの平坦部の法線方向に沿って設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記スリット検出手段により検出された前記切離用スリットの幅が適正範囲内にあるか否かを判定することにより、
前記容器フィルムの厚み方向における前記切離用スリットの切込み深さが適正範囲内にあるか否かを判定可能としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【請求項6】
前記画像処理手段は、
前記切離用スリットの検出を行うにあたり、前記画像データにおける前記ポケット部又は前記内容物の位置を基に、該画像データに対し前記切離用スリットに係る検査枠を設定可能な検査枠設定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなるフィルム体に対し所定の光を照射可能な第2の照射手段と、
前記第2の照射手段とは前記フィルム体を介して反対側に設けられ、前記フィルム体を通過した光を撮像可能な第2の撮像手段とを備え、
前記画像処理手段は、
前記第2の撮像手段より出力される画像信号から取得された画像データに基づき、前記フィルム体における明暗を判別することにより、前記フィルム体を貫通したスリット貫通部を検出可能なスリット貫通部検出手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検査装置。
【請求項8】
前記容器フィルムは、透光性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項10】
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリットを前記容器フィルムの平坦部に形成するスリット形成工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離工程と、
前記切離用スリットに関する検査を行うスリット検査工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【請求項11】
前記スリット検査工程において、
前記カバーフィルムが取着された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射工程と、
前記所定の光が照射された前記容器フィルムを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において取得した画像データに基づき、前記容器フィルムにおける明暗を判別することにより、前記切離用スリットを検出するスリット検出工程と、
前記スリット検出工程における検出結果に基づき、前記切離用スリットの良否を判定する判定工程とを備え、
前記照射工程において、
前記容器フィルムに照射される前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定されていることを特徴とする請求項10に記載のPTPシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートに形成される切離用スリットに関する検査を行うための検査装置、及び、これを備えたPTP包装機、並びに、PTPシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品等の分野において用いられるブリスターパックシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。
【0003】
PTPシートは、錠剤等の内容物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0004】
一般に容器フィルムは透明樹脂材料等により形成され、カバーフィルムはアルミニウム箔等を基材として形成されている。
【0005】
また、容器フィルムの平坦部には、PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切り離すことができるように切離用スリットが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
かかるPTPシートは、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成する工程、該ポケット部に内容物を充填する工程、該ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する工程、容器フィルムに切離用スリットを形成する工程、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く工程等を経て製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−87413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スリット形成工程においては、スリット形成装置が適正に動作していない場合や、たとえ動作していてもスリット形成刃の温度異常、取付け異常、刃の磨り減りや鈍り等により、切離用スリットが適正に形成されない不良品や、切離用スリットが不完全に形成される不良品、あるいはカバーフィルムまで切断されてしまう不良品など、スリット形成不良のPTPシートが発生するおそれがある。
【0009】
このため、本来ならば、切離用スリットに関して、容器フィルムにおける存在の有無や形成状態の良否などを検査する必要がある。
【0010】
しかしながら、透明樹脂材料等よりなる容器フィルムの平坦部に細線状に切込み形成される切離用スリットは、容器フィルム平坦部と区別することが難しく、適切に検出することが困難であった。そのため、従来、切離用スリットに関しては、何らの検査も行われてこなかった。
【0011】
上記のようにスリット形成工程において何らかの不具合が発生し、良品のPTPシートを生産できない状況になっても、かかる不具合が作業者に気付かれることなく生産が継続されてしまうと、不良品が数多く発生してしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PTPシートに形成される切離用スリットに関する検査を行うことのできる検査装置及びPTP包装機、並びに、PTPシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部(フランジ部)に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートであって、該PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリットを前記容器フィルムの平坦部に有するPTPシートを製造する際に用いられる検査装置であって、
前記カバーフィルムが取着された前記容器フィルムに対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光が照射された前記容器フィルムを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記照射手段は、
前記容器フィルムに照射される前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され、
前記画像処理手段は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記容器フィルムにおける明暗を判別することにより、前記切離用スリットを検出可能なスリット検出手段と、
前記スリット検出手段の検出結果に基づき、前記切離用スリットの良否を判定可能な判定手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0015】
尚、以下同様であるが、「容器フィルムの平坦部(フランジ部)」とは、「容器フィルムのうち、ポケット部が形成されておらず、カバーフィルムが取着される略平坦な部位(ポケット部非形成領域)」を指す。
【0016】
また、「切離用スリット」とは、容器フィルムの厚み方向に切り込んだ非貫通の切込線、いわゆるハーフカット線であって、所定方向に沿って延びる連続した断面略V字状の溝部を意味する。
【0017】
上記手段1によれば、カバーフィルムが取着された容器フィルムに対し照射手段から所定の光を照射し、該光が照射された容器フィルムを撮像手段により撮像する。
【0018】
ここで、容器フィルムに照射される所定の光の入射角度が、容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が撮像手段に略入射しない所定角度に設定されている。
【0019】
これにより、撮像手段により取得された輝度画像データにおいては、容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方が明るく、他方が暗く映ることとなる。
【0020】
従って、これらの明暗の差(輝度差)を考慮して所定の閾値を設定することで、所定方向に沿って連続する細線状の明部又は暗部として切離用スリットを検出することができる。結果として、PTPシートに形成される切離用スリットの良否を判定することができる。
【0021】
例えば入射角度が「特定角度又は特定角度範囲」よりも大きい大入射角で光を照射した場合、取得される輝度画像データにおいては、容器フィルムの平坦部に比べ切離用スリットが明るく映る。
【0022】
逆に、入射角度が「特定角度又は特定角度範囲」より小さい小入射角で光を照射した場合、取得される輝度画像データにおいては、容器フィルムの平坦部に比べ切離用スリットが暗く映る。
【0023】
尚、上記「特定角度又は特定角度範囲」は、容器フィルムの平坦部と切離用スリットが明暗により判別困難又は判別不能となる角度又は角度範囲(例えば30°以上45°未満)であって、切離用スリットの形状(V字角度など)や、容器フィルムの光の透過率、カバーフィルムの光の反射率等により定まるものである。従って、「特定角度又は特定角度範囲」は、製品の仕様ごとに異なる。
【0024】
また、上記手段1において、「前記照射手段は、前記容器フィルムに照射される前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され」とあるのを、「前記照射手段は、特定角度又は特定角度範囲(例えば30°以上45°未満)を除く所定角度に設定され」と換言することもできる。
【0025】
手段2.前記照射手段は、
前記所定の光の入射角度が、前記切離用スリットから反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ前記容器フィルムの平坦部から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定の大入射角(例えば45°以上90°未満)に設定され、
前記スリット検出手段は、
前記画像データにおける明部を前記切離用スリットとして検出可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0026】
上記手段2によれば、撮像手段により取得された画像データにおいて、容器フィルムの平坦部などに比べ、切離用スリットが明るく映ることとなる。このため、カバーフィルムに印刷された記号、文字、模様などの印刷部や、容器フィルムの平坦部に付着した異物等に影響を受けることなく、より適切に切離用スリットを検出することが可能となる。
【0027】
手段3.前記照射手段は、
前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ前記切離用スリットから反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定の小入射角(例えば0°以上30°未満)に設定され、
前記スリット検出手段は、
前記画像データにおける暗部を前記切離用スリットとして検出可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0028】
上記手段3によれば、撮像手段により取得された画像データにおいて、切離用スリットに比べ容器フィルムの平坦部などが明るく映ることとなる。このため、例えば容器フィルムの平坦部に付着した異物の検査や、容器フィルムとカバーフィルムとの間に存在する異物の検査、ポケット部に収容された内容物に付着した異物の検査など、PTPシートに係る他の検査をスリット検査と同時に行うことも可能となり、検査効率の向上を図ることができる。
【0029】
また、光の入射角度を小入射角とすることで、照射手段の位置(光軸)を撮像手段の位置(光軸)に近づけることができる。結果として、照射手段を設置するスペースの拡張を抑え、検査装置のコンパクト化を図ることできる。
【0030】
手段4.前記撮像手段の光軸が前記容器フィルムの平坦部の法線方向に沿って設定されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0031】
上記手段4によれば、容器フィルムに直交する方向から撮像することにより、容器フィルムを斜め方向から撮像する場合に比べて、所定の検査範囲全体を略均一に撮像することができる。結果として、検査精度の向上を図ることができる。
【0032】
手段5.前記判定手段は、
前記スリット検出手段により検出された前記切離用スリットの幅が適正範囲内にあるか否かを判定することにより、
前記容器フィルムの厚み方向における前記切離用スリットの切込み深さが適正範囲内にあるか否かを判定可能としたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【0033】
上記手段5によれば、断面略V字状の溝部である切離用スリットの断面形状を基に、例えば切離用スリットの幅(切離用スリットの長手方向と直交する短手方向の幅)が狭い場合には切離用スリットの切込み深さが浅いと判定でき、切離用スリットの幅が広い場合には切離用スリットの切込み深さが深いと判定できる。
【0034】
つまり、撮像手段により取得した二次元画像データを基に、その奥行方向である容器フィルムの厚み方向における切離用スリットの切込み深さを推定することができ、より容易に切離用スリットの切込み深さの適否を判定することが可能となる。
【0035】
尚、切離用スリットの切込み深さが浅い場合には、PTPシートをシート小片に切離すことが困難となるおそれがある。一方、切離用スリットの切込み深さが深い場合には、PTPシートが不必要に破断しやすくなるおそれがある。
【0036】
手段6.前記画像処理手段は、
前記切離用スリットの検出を行うにあたり、前記画像データにおける前記ポケット部又は前記内容物の位置を基に、該画像データに対し前記切離用スリットに係る検査枠を設定可能な検査枠設定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の検査装置。
【0037】
上記手段6によれば、検査枠を設定することで、切離用スリットの検出をより容易かつより正確に行うことができ、検査効率及び検査精度の向上を図ることができる。
【0038】
尚、ポケット部又は内容物の位置特定は、撮像手段により取得した画像データを基に行ってもよいし、予め記憶手段に記憶したPTPシートの設計データを基に行ってもよい。
【0039】
手段7.前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなるフィルム体(PTPフィルムやPTPシート)に対し所定の光を照射可能な第2の照射手段と、
前記第2の照射手段とは前記フィルム体を介して反対側に設けられ、前記フィルム体を通過した光を撮像可能な第2の撮像手段とを備え、
前記画像処理手段は、
前記第2の撮像手段より出力される画像信号から取得された画像データに基づき、前記フィルム体における明暗を判別することにより、前記フィルム体を貫通したスリット貫通部を検出可能なスリット貫通部検出手段を備えたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の検査装置。
【0040】
例えばスリット形成装置の不具合等により、PTPフィルム等のフィルム体に形成される切離用スリットの切込み深さが深くなりすぎた場合には、カバーフィルムまで切断されてしまい、カバーフィルムの一部に切れ目、すなわちスリット貫通部が形成されるおそれがある。
【0041】
かかる場合、上記手段7によれば、第2の照射手段からフィルム体に対し照射された光の一部は、スリット貫通部を通過し、第2の撮像手段によって撮像されることとなる。そして、第2の撮像手段により取得された画像データにおいては、スリット貫通部が存在する箇所が他の正常な部位に比べ明るく映ることとなる。
【0042】
つまり、第2の撮像手段により取得された画像データにおいて明部が検出された場合には、カバーフィルムに切れ目(スリット貫通部)が形成されていると判断することができる。
【0043】
これにより、例えば切離用スリットの幅は適正範囲内にあるが、切離用スリットがフィルム体を貫通してしまった不良品など、反射光式の検査では検出できないような不良品をより確実に検出することができる。結果として、切離用スリットに関する検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0044】
ここで、フィルム体(容器フィルムの平坦部又はカバーフィルム)の法線方向に沿って第2の照射手段の光軸を設定し(入射角0°)、フィルム体の法線方向に沿って第2の撮像手段の光軸が設定されていることが好ましい。
【0045】
手段8.前記容器フィルムは、透光性を有する材料により形成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の検査装置。
【0046】
尚、「透光性を有する容器フィルム」には、光が透過する性質(透光性)を有するフィルムであって、光の透過率が極めて高く、該フィルムを通してその向こう側が透けて見える「透明の容器フィルム」が含まれるのは勿論のこと、透光性は有しているが、透過する光が拡散される又は透過率が低いため、該フィルムを通して向こう側にある物の形状等を明確に認識できない又は全く認識できない「半透明の容器フィルム」も含まれる。
【0047】
また、「透明」及び「半透明」は、透光性を有するフィルムの材質を示す表現であり、色彩の有無とは無関係である。従って、「透明」又は「半透明」の容器フィルムには、例えば「無色透明」又は「無色半透明」の容器フィルムは勿論のこと、「有色透明」又は「有色半透明」の容器フィルムも含まれる。
【0048】
手段9.上記手段1乃至8のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0049】
上記手段9のように、上記手段1等に係る検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において、スリット形成不良のPTPシート(不良品)を除外できる等のメリットが生じる。
【0050】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部に前記内容物が収容された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリットを前記容器フィルムに形成するスリット形成手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)とを備える。加えて、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える構成としてもよい。
【0051】
ここで、上記手段9において、上記検査装置を「スリット形成手段により切離用スリットが形成された後工程かつ切離手段によりPTPシートが切離される前工程」に配置した構成としてもよい。
【0052】
このようにすれば、スリット形成不良のPTPシート(不良品)を、スリット形成工程後のより早い段階で検出することができる。ひいては、PTPシートの製造をより早い段階で停止することができ、不良品の発生数を抑制することができる。
【0053】
また、帯状のPTPフィルムからPTPシートが切離される前工程においては、検査時において、検査対象とするPTPシート範囲の位置や向きが照射手段及び撮像手段に対して一定に維持されている。そのため、切離用スリットの検出や良否判定を行うにあたり、事前にPTPシート範囲の位置や向きを調整する必要もなく、より容易かつより高速に検査を行うことができる。ひいては、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0054】
また、上記検査装置を「切離手段によりPTPシートが切離された後工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【0055】
手段10.容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部(フランジ部)に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記PTPシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリットを前記容器フィルムの平坦部に形成するスリット形成工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離工程(シート単位に打抜く打抜工程を含む)と、
前記切離用スリットに関する検査を行うスリット検査工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【0056】
上記手段10によれば、上記手段9と同様の作用効果が奏される。従って、上記手段10において、上記スリット検査工程を「スリット形成工程よりも後工程かつ切離工程よりも前工程」に行う構成としてもよい。また、上記スリット検査工程を「切離工程よりも後工程」に行う構成としてもよい。
【0057】
手段11.前記スリット検査工程において、
前記カバーフィルムが取着された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射工程と、
前記所定の光が照射された前記容器フィルムを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において取得した画像データに基づき、前記容器フィルムにおける明暗を判別することにより、前記切離用スリットを検出するスリット検出工程と、
前記スリット検出工程における検出結果に基づき、前記切離用スリットの良否を判定する判定工程とを備え、
前記照射工程において、
前記容器フィルムに照射される前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムの平坦部及び切離用スリットのうちの一方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しかつ他方から反射及び出射した光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定されていることを特徴とする手段10に記載のPTPシートの製造方法。
【0058】
上記手段11によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】スリット形成装置を示す断面図である。
図6】スリット形成時におけるスリット形成刃やPTPフィルム等を示す部分拡大断面図である。
図7】スリット検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】スリット検査装置の配置構成を示す模式図である。
図9】照明装置から照射された光の光路を説明するための模式図である。
図10】照明装置から照射された光の光路を説明するための模式図である。
図11】検査ルーチンを示すフローチャートである。
図12】別の実施形態に係るスリット検査装置の配置構成を示す模式図である。
図13】別の実施形態に係る照明装置から照射された光の光路を説明するための模式図である。
図14】別の実施形態に係る照明装置から照射された光の光路を説明するための模式図である。
図15】別の実施形態に係る透過光式の検査機構の配置構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0061】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0062】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の無色透明又は無色半透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。
【0063】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられたアルミニウム箔(アルミラミネートフィルム)などの不透明材料により形成され、透光性を有しない。
【0064】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物として錠剤5が1つずつ収容されている。
【0065】
PTPシート1の容器フィルム3の平坦部3aには、該PTPシート1を、2つのポケット部2が含まれるシート小片6単位に切離すことができるように複数の切離用スリット7が形成されている。各切離用スリット7は、PTPシート1のシート短手方向に沿って形成されている。
【0066】
尚、本実施形態における「切離用スリット」とは、容器フィルム3の厚み方向に切り込んだ非貫通の切込線、いわゆるハーフカット線であって、所定方向に沿って延びる連続した断面略V字状の溝部を意味する。
【0067】
さらに、PTPシート1のシート長手方向一端部には、ロットナンバー等の識別情報(図示略)が刻印されたタグ部8が形成されている。
【0068】
PTPシート1〔図1参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成されたフィルム体としての帯状のPTPフィルム9〔図3参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0069】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0070】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0071】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0072】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0073】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及び錠剤検査装置22が順に配設されている。
【0074】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される(充填工程)。
【0075】
錠剤検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0076】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0077】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0078】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム9が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0079】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム9の撓みを防止してPTPフィルム9を常時緊張状態に保持する。
【0080】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール33及び間欠送りロール34の順に掛装されている。間欠送りロール34は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール33は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,34間でのPTPフィルム9の撓みを防止する。
【0081】
間欠送りロール28とテンションロール33との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、スリット形成装置29、スリット検査装置30及び刻印装置31が順に配設されている。
【0082】
スリット形成装置29は、PTPフィルム9(容器フィルム3)の所定位置に切離用スリット7を形成するスリット形成手段としての機能を有する。
【0083】
スリット検査装置30は、PTPフィルム9(容器フィルム3)において切離用スリット7が適正に形成されているか否かなど、切離用スリット7に関する検査を行うためのものである。
【0084】
刻印装置31は、PTPフィルム9の所定位置(タグ部8に対応する位置等)に刻印を付す機能を有する。
【0085】
間欠送りロール34から送り出されたPTPフィルム9は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール34とテンションロール35との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。
【0086】
シート打抜装置37は、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。本実施形態において、PTPシート1は、そのシート短手方向がPTPフィルム9の搬送方向(フィルム搬送方向)であるX軸方向に沿うように、かつ、そのシート長手方向がフィルム搬送方向(X軸方向)と直交するPTPフィルム9の幅方向(フィルム幅方向)であるY軸方向に沿うように打抜かれる(図1図3図4等参照)。
【0087】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。但し、上記錠剤検査装置22やスリット検査装置30によって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0088】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0089】
なお、上記各ロール14,20,28,33,34などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0090】
また、図示は省略するが、PTP包装機10の下流側には、集積装置、移送装置、包装装置等が順に設置されている。そして、上記完成品用ホッパ40に収容されたバラのPTPシート1は、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で、集積装置において複数組ずつ積上げられる。積み上げられた複数のPTPシート1からなる集積体は、移送装置によってバンド結束されつつ包装装置へと移送され、包装装置においてピロー包装等される。
【0091】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下において、上記スリット形成装置29及びスリット検査装置30の構成について図面を参照して詳しく説明する。
【0092】
まずスリット形成装置29について説明する。図5はスリット形成装置29を示す断面図である。
【0093】
図5に示すように、スリット形成装置29は、基台151と、該基台151に立設された一対の支柱152と、該支柱152の上部に固定された固定プレート153とを備えている。
【0094】
固定プレート153には、受板154が垂下状態で支持されている。受板154は、その下面がフラット面となっている。また、受板154内には、冷却機構を構成する冷却水通路155が形成されており、該冷却水通路155を循環する冷却水によって、受板154が常に冷却状態に維持されるよう構成されている。
【0095】
支柱152は、ベアリング機構を介してスライドベース156に挿通されている。スライドベース156は、図示しない駆動手段によって上下動可能に構成されている。スライドベース156の上面には、加熱機構を有したヒータプレート157が載置固定されている。
【0096】
ヒータプレート157の上面にはスリッタ型158が載置固定されている。スリッタ型158には、切離用スリット7を形成するための複数のスリット形成刃159が並列状態で配設されている。スリット形成刃159は、ヒータプレート157からの伝達熱によって常に加熱状態に維持されるよう構成されている。
【0097】
そして、PTPフィルム9は、受板154とスリット形成刃159との間において、図5の紙面手前方向に向け間欠搬送されることとなる。
【0098】
複数のスリット形成刃159は、PTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)に沿って延びるとともに、PTPフィルム9の幅方向(Y軸方向)に対し等間隔に配置されている。
【0099】
複数のスリット形成刃159は、その先端(刃先)が全て同一高さとなるよう予め調整されている。さらに、スリッタ型158は、PTPシート1の仕様(切離用スリット7の幅や切込み深さ、切離用スリット7の形成間隔など)の違いに応じて交換可能に構成されている。
【0100】
また、スリッタ型158には、その幅方向両端部においてストッパ160が立設されている。ストッパ160は、スリット形成刃159の先端よりも幾分(数μm〜数十μm程度)上方に突出している。
【0101】
これにより、スリッタ型158の上動時においては、ストッパ160が受板154の下面に当接することとなり、スリット形成刃159の所定量以上の上動が規制される。結果として、スリット形成刃159がPTPフィルム9(容器フィルム3)を貫通しないよう構成されている(図6参照)。
【0102】
次に、スリット検査装置30の構成について詳しく説明する。図7はスリット検査装置30の電気的構成を示すブロック図であり、図8はスリット検査装置30の配置構成を示す模式図である。
【0103】
図7,8に示すように、スリット検査装置30は、PTPフィルム9に対し所定の光を照射する照射手段としての照明装置52と、該光の照射されたPTPフィルム9を撮像する撮像手段としての撮像装置(カメラ)53と、照明装置52や撮像装置53の駆動制御などスリット検査装置30内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御処理装置54とを備えている。
【0104】
照明装置52は、水平搬送されるPTPフィルム9のフィルム幅方向(Y軸方向)に所定間隔をあけて配置された一対の照明52A,52Bを備えている(図8参照)。
【0105】
照明52A,52Bは、PTPフィルム9の下面側に位置する容器フィルム3に向け斜め下方から所定の光を照射可能に配置されている。本実施形態では、拡散白色光(可視光)を照射可能に構成されている。
【0106】
より詳しくは、照明52A,52Bは、その光軸(照射方向)JA,JBが、鉛直方向であるZ軸方向に視た平面視でフィルム幅方向(Y軸方向)に沿って設定されると共に、容器フィルム3の平坦部3aに対する入射角度α(平坦部3aの法線方向となす角度α)が70°の大入射角に設定されている。
【0107】
撮像装置53は、PTPフィルム9の真下に配置され、その光軸JCが容器フィルム3の平坦部3aの法線方向である鉛直方向(Z軸方向)に沿って設定されている。そして、撮像装置53は、PTPフィルム9における所定の検査範囲(1つ分のPTPシート1に相当する範囲)を撮像可能に構成されている。
【0108】
本実施形態では、撮像装置53として、CCDカメラが採用されている。勿論、これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。
【0109】
これにより、照明装置52(照明52A,52B)から照射された光がPTPフィルム9を照らし、該PTPフィルム9にて反射した反射光(容器フィルム3又はカバーフィルム4にて反射した反射光)が撮像装置53により二次元撮像されることとなる。
【0110】
ここで、撮像装置53によって撮像され取得された画像データ(輝度画像データ)は、該撮像装置53内部においてデジタル信号(画像信号)に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置54に入力される。
【0111】
そして、制御処理装置54は、取得した画像データをシェーディング補正した後、後述する画像データ記憶装置74に記憶する。尚、シェーディング補正は、PTPフィルム9における所定の検査範囲全体を照明装置52で一様に照らすことは困難であることから、かかる位置の相違による光の明暗により生じる輝度のばらつきを補正するために行われるものである。勿論、シェーディング補正を行わない構成としてもよい。
【0112】
その後、制御処理装置54は、該画像データを基に、後述するような画像処理や演算処理等を実施する。制御処理装置54が本実施形態における画像処理手段を構成する。
【0113】
ここで、制御処理装置54の構成について図7を参照して説明する。制御処理装置54は、スリット検査装置30全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース71(以下、「CPU等71」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72〜76は、CPU等71に対し電気的に接続されている。
【0114】
CPU等71は、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができる。
【0115】
画像データ記憶装置74は、撮像装置53により取得される輝度画像データなどを記憶するためのものである。また、検査時において、マスキング処理された後の画像データや、二値化処理された後の二値化画像データなどについても同様に画像データ記憶装置74に記憶される。
【0116】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0117】
設定データ記憶装置76は、例えばPTPシート1、ポケット部2、錠剤5及び切離用スリット7の形状及び寸法などを定めた設計データや、各種検査に用いる良否判定基準値(例えばスリット検査に用いるスリット幅の適正範囲)などを記憶するものである。
【0118】
次に、PTPシート1の製造工程について説明する。特にPTP包装機10において、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着された後の主要な工程について説明する。
【0119】
容器フィルム3にカバーフィルム4が取着された後のPTPフィルム9は、まず上記スリット形成装置29によって行われるスリット形成工程へ送られる。
【0120】
かかるスリット形成工程においては、まず、間欠搬送されるPTPフィルム9が停止すると、スリット形成装置29のスライドベース156(スリッタ型158)が上動する。
【0121】
そして、スリッタ型158のストッパ160が受板154の下面に当接し、スライドベース156(スリット形成刃159)の所定量以上の上動が規制された状態になると、PTPフィルム9は、図6に示すように、スリット形成刃159と受板154と間に挟み込まれた状態となる。
【0122】
このとき、スリット形成刃159の先端が容器フィルム3の平坦部3aに入り込み、容器フィルム3が所定量だけ切り込まれる。
【0123】
但し、スリット形成刃159は、該スリット形成刃159とストッパ160との高さの差に相当する分だけ、受板154の下面との間に隙間が生じる。これにより、PTPフィルム9の容器フィルム3には、所定厚さ分だけ残された状態で断面略V字溝状の切離用スリット7が形成されることとなる。
【0124】
尚、かかるスリット形成に際しては、スリット形成刃159がヒータプレート157からの伝達熱によって加熱されているため、スリット形成刃159の円滑な切れ込みが促進され、切離用スリット7をより精度よく形成することができる。
【0125】
一方、受板154は冷却水にて冷却されるため、スリット形成刃159からの熱が容器フィルム3の全般に行き渡ってしまうのが抑制される。従って、樹脂材料からなる容器フィルム3が切断されたり、融解されたりするといった事態が回避される。
【0126】
上記のように切離用スリット7の形成が終了すると、スライドベース156が元の位置に戻り、スリット形成工程が終了する。
【0127】
スリット形成工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、上記スリット検査装置30によって行われるスリット検査工程へ移行する。
【0128】
ここでスリット検査工程の流れについて図11のフローチャート等を参照して詳しく説明する。尚、図11に示すスリット検査工程に係る検査ルーチンは、PTPフィルム9が所定量、間欠搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
【0129】
間欠搬送されるPTPフィルム9が一旦停止すると、制御処理装置54は、撮像処理を実行する(ステップS1)。
【0130】
具体的に、制御処理装置54は、PTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて照明装置52及び撮像装置53を駆動制御し、停止したPTPフィルム9の容器フィルム3側の所定の検査範囲(検査対象となる1つ分のPTPシート1に相当する範囲)に対し照明装置52から光を照射すると共に(照射工程)、該光の照射された前記検査範囲を撮像装置53により撮像する(撮像工程)。
【0131】
そして、制御処理装置54は、撮像装置53により撮像された輝度画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。これにより、検査対象となる1シートあたりのPTPフィルム9の輝度画像データを取得することができる。
【0132】
ここで、図9に示すように、照明装置52(照明52A,52B)からPTPフィルム9に向け照射された光L01〜L04のうち、切離用スリット7の傾斜面(V字面)にて反射した光L02,L04が撮像装置53に入射する。一方、容器フィルム3の表面(平坦部3a)にて反射した光L01や、カバーフィルム4にて反射し容器フィルム3の表面(平坦部3a)から出射する光L03に関しては、撮像装置53に入射しない。
【0133】
尚、容器フィルム3は、空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する樹脂材料により形成されている。従って、照明52A,52Bから照射された光は、容器フィルム3に入射する際、及び、該光が再び容器フィルム3から出射する際に屈折し、その進行方向が変化する。
【0134】
このため、図10に示すように、照明52A,52BからPTPフィルム9に向け照射された光のうち、容器フィルム3の平坦部3aから容器フィルム3内に入射し、カバーフィルム4にて反射した後、切離用スリット7の傾斜面から出射する光L05,L06に関しても撮像装置53に入射することとなる。
【0135】
従って、主として切離用スリット7から反射及び出射した光が撮像装置53により撮像されることとなるため、切離用スリット7が他の部位よりも部分的に非常に明るく映った輝度画像データが取得されることとなる。
【0136】
次に、制御処理装置54は、ステップS1において取得した輝度画像データに対し二値化処理を実行する(ステップS2)。
【0137】
具体的には、予め設定データ記憶装置76に記憶された所定の閾値δを基に、輝度画像データを、閾値δ以上を「1(明)」、閾値δ未満を「0(暗)」とした二値化画像データに変換する。
【0138】
これにより、切離用スリット7の形成部位が「1(明)」となり、容器フィルム3の平坦部3aなど、その他の部位が「0(暗)」となった二値化画像データが取得される。
【0139】
制御処理装置54は、二値化画像データへの変換が終わると、該二値化画像データを画像データ記憶装置74に記憶する。
【0140】
次に、制御処理装置54は、ステップS2で取得した二値化画像データに対して塊処理を実行する(ステップS3)。
【0141】
かかる塊処理においては、二値化画像データの「0(暗)」及び「1(明)」について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とが行われる。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積は撮像装置53の画素に応じたドット数で表される。
【0142】
次に、制御処理装置54は、スリット領域特定処理を実行する(ステップS4)。具体的に、制御処理装置54は、まず予め設定データ記憶装置76に記憶された設計データ等を用いて、二値化画像データにおけるポケット部2の位置を特定する。
【0143】
勿論、これに限らず、ステップS1において取得した輝度画像データを基に、二値化画像データにおけるポケット部2や錠剤5の位置を特定する構成としてもよい。
【0144】
続いて、制御処理装置54は、二値化画像データに対し検査枠を設定する検査枠設定処理を実行する。かかる検査枠設定処理を実行する制御処理装置54の機能により本実施形態における検査枠設定手段が構成される。
【0145】
具体的に、かかる検査枠設定処理では、PTPフィルム9の幅方向(Y軸方向)において、隣接する2つのポケット部2の間の領域、並びに、タグ部8が形成される側のPTPフィルム9の幅方向端縁部と、これに隣接するポケット部2との間の領域に対し、それぞれPTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)における前記検査範囲(1枚のPTPシート1に相当する範囲)の全域を含む検査枠を設定する。同時に、検査対象外となる検査枠外の領域に対しマスキング処理を行う。
【0146】
尚、ここで、ポケット部2を基準として検査枠を設定する構成に代えて、ステップS1において取得した輝度画像データを基に特定した錠剤5の位置を基準にして検査枠を設定する構成としてもよい。
【0147】
続いて、制御処理装置54は、各検査枠内において、切離用スリット7に相当する「1(明)」の連結成分の領域(スリット領域)を特定する。
【0148】
従って、ステップS2〜S4に係る一連の処理により本実施形態におけるスリット検出工程が構成されると共に、かかる一連の処理を実行する画像処理装置54の機能によりスリット検出手段が構成されることとなる。
【0149】
次に、制御処理装置54は、ステップS4において特定したスリット領域を基にスリット幅算出処理を実行する(ステップS5)。
【0150】
具体的に、かかるスリット幅算出処理では、PTPフィルム9の幅方向(Y軸方向)における各スリット領域の幅(スリット幅)Wxを算出する。
【0151】
次に、制御処理装置54は、ステップS5において算出したスリット幅Wxを基に、各切離用スリット7について良否判定処理を行う(ステップS6)。
【0152】
具体的には、ステップS5において算出したスリット幅Wxが、予め設定した適正範囲内(W1≦Wx≦W2)にあるか否かを判定する。かかる判定処理により本実施形態における判定工程が構成されると共に、かかる処理を実行する制御処理装置54の機能により判定手段が構成されることとなる。
【0153】
これにより、容器フィルム3の厚み方向における切離用スリット7の切込み深さが適正範囲内にあるか否かを判定することができる。つまり、断面略V字状の溝部である切離用スリット7の断面形状を基に、例えば切離用スリット7の幅Wxが下限値W1よりも狭い場合には切離用スリット7の切込み深さが浅いと判定でき、切離用スリット7の幅Wxが上限値W2よりも広い場合には切離用スリット7の切込み深さが深いと判定できる。
【0154】
ここで、スリット幅Wxが下限値W1よりも小さい場合には、スリット幅Wxが「0」の場合、すなわち切離用スリット7が形成されておらず、上記ステップS4のスリット領域特定処理においてスリット領域が特定されない場合も含まれる。
【0155】
尚、かかる判定処理は、検査範囲内(1枚のPTPシート1に相当する範囲)における5本すべてのスリット領域(切離用スリット7)について実行される。
【0156】
そして、制御処理装置54は、5本すべてのスリット領域のスリット幅Wxが適正範囲内にある場合には、ステップS7において良品判定を行うと共に、この結果を演算結果記憶装置75に記憶し、検査ルーチンを終了する。
【0157】
一方、5本のうち、スリット領域のスリット幅Wxが1つでも適正範囲内にない場合には、ステップS8において不良判定を行い、この結果を演算結果記憶装置75に記憶すると共に、その旨をPTP包装機10の不良シート排出機構等へ出力し、検査ルーチンを終了する。
【0158】
スリット検査工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、刻印装置31によって行われる刻印工程へ移行する。かかる刻印工程では、刻印装置31の可動型(符号略)が待機位置から作業位置へと移動するのに伴い、PTPフィルム9におけるタグ部8に対応する位置にロットナンバー等の識別情報が刻印される。
【0159】
刻印工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、シート打抜装置37によって行われるシート打抜工程へ移行する。シート打抜工程では、シート打抜装置37の可動型(符号略)が待機位置から作業位置へと移動することにより、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜く。その結果、PTPシート1がPTPフィルム9から分離され、図1に示すPTPシート1を得ることができる。
【0160】
以上詳述したように、本実施形態によれば、スリット検査装置30を備えることにより、PTPシート1に形成される切離用スリット7について検査を行うことができる。
【0161】
スリット検査装置30は、PTPフィルム9の容器フィルム3側の所定の検査範囲に対し照明装置52から光を照射すると共に、該光の照射された前記検査範囲を撮像装置53により撮像し、前記検査範囲に係る輝度画像データを取得するよう構成されている。
【0162】
また、スリット検査装置30においては、容器フィルム3に照射される光の入射角度(照明52A,52Bの光軸JA,JBの角度)αが、切離用スリット7から反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しかつ容器フィルム3の平坦部3aから反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しない70°の大入射角に設定されている。
【0163】
このため、スリット検査装置30によれば、容器フィルム3の平坦部3aなど他の部位に比べ、切離用スリット7が明るく映る輝度画像データを取得することができる。ひいては、このように取得された輝度画像データに対し、所定の閾値δを基に二値化処理を行うことによって、切離用スリット7を細線状の明部として検出し、切離用スリット7に関する検査を行うことができる。
【0164】
また、スリット検査装置30では、照明装置52から容器フィルム3に照射される光の入射角度αが70°の大入射角に設定されることで、切離用スリット7が明るく映り、容器フィルム3の平坦部3aなど他の部位が暗く映る輝度画像データを取得する構成となっているため、カバーフィルム4に印刷された記号、文字、模様などの印刷部や、容器フィルム3の平坦部3aに付着した異物等に影響を受けることなく、より適切に切離用スリット7を検出することが可能となる。
【0165】
さらに、スリット検査装置30は、切離用スリット7の幅Wxが適正範囲内にあるか否かを判定することにより、切離用スリット7の良否を判定する構成となっている。つまり、撮像装置53により取得した輝度画像データ(二次元画像データ)を基に、その奥行方向である容器フィルム3の厚み方向における切離用スリット7の切込み深さを推定し、その良否を判定する構成となっている。従って、スリット検査装置30によれば、切離用スリット7の切込み深さについて、より容易に良否判定を行うことができる。
【0166】
加えて、本実施形態では、スリット形成工程の終了後かつ刻印工程の前工程においてスリット検査工程が行われる構成となっている。これにより、スリット形成不良のPTPシート1(不良品)を、スリット形成工程後のより早い段階で検出することができる。ひいては、PTPシート1の製造をより早い段階で停止することができ、不良品の発生数を抑制することができる。
【0167】
また、帯状のPTPフィルム9からPTPシート1が打ち抜かれる前工程においては、検査時において、検査対象とするPTPシート1に対応する検査範囲の位置や向きがスリット検査装置30(照明装置52及び撮像装置53)に対して一定に維持されている。そのため、切離用スリット7の検出や良否判定を行うにあたり、事前にPTPシート1の位置や向きを調整する必要もなく、より容易かつより高速に検査を行うことができる。ひいては、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0168】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0169】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等であってもよい。
【0170】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材料は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0171】
例えば上記実施形態では、容器フィルム3が、透光性を有する無色透明又は無色半透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。これに限らず、容器フィルム3が、透光性を有する有色透明又は有色半透明の材料により形成された構成としてもよい。
【0172】
また、容器フィルム3が、透光性を有しない不透明材料(金属材料や不透明樹脂材料など)により形成された構成としてもよい。但し、かかる場合には、照明装置52から容器フィルム3に照射される光として、上記実施形態のような拡散光ではなく、平行光(略平行光を含む)を用いることが好ましい。
【0173】
平行光を用いることにより、拡散光を用いた場合に比べ、明暗がよりはっきりするため、切離用スリット7を検出しやすくなる。加えて、切離用スリット7から反射した平行光の正反射光(反射光の正反射成分)だけが撮像装置53に入射する構成とすれば、容器フィルム3の平坦部3aにて反射した平行光の乱反射光(乱反射成分)の影響を抑え、より鮮明に切離用スリット7を検出しやすくなる。
【0174】
勿論、容器フィルム3が、透光性を有する透明又は半透明の材料により形成されている場合において平行光を照射する構成としてもよい。
【0175】
また、上記実施形態では、カバーフィルム4がアルミラミネートフィルムにより形成されているが、これに限らず、アルミニウムを基材とした他の不透明材料(アルミニウム単体で形成されているものを含む)や、他の金属材料や樹脂材料などを基材とした不透明材料により形成された構成としてもよい。
【0176】
(c)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数、形状などに関しては、上記実施形態に限定されるものではない。例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0177】
また、上記実施形態では、PTPシート1をPTPフィルム9の幅方向に1枚ずつ製造する場合に具体化したが、幅方向に2枚同時に製造したり、或いは、3枚以上同時に製造するようにしてもよい。
【0178】
(d)切離用スリットの構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態に係るPTPシート1の容器フィルム3の平坦部3aには、該PTPシート1を、2つのポケット部2が含まれるシート小片6単位に切離すことができるように、PTPシート1のシート短手方向に沿って複数の切離用スリット7が形成されている。
【0179】
これに限らず、PTPシート1のシート短手方向に沿って形成された切離用スリット7に代えて又は加えて、PTPシート1のシート長手方向に沿って形成された切離用スリットを有した構成としてもよい。
【0180】
また、1つ又は3つ以上のポケット部2が含まれるシート小片単位に切離すことができるように構成してもよい。
【0181】
(e)照射手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態に係る照明装置52は、水平搬送されるPTPフィルム9のフィルム幅方向(Y軸方向)に所定間隔をあけて配置された一対の照明52A,52Bを備えた構成となっている。
【0182】
これに限らず、例えば上記(d)に記載したように、シート短手方向に沿って形成された切離用スリット7に代えて又は加えて、シート長手方向に沿って形成された切離用スリットを有したPTPシート1を製造する場合においては、PTPフィルム9のフィルム幅方向(Y軸方向)に配置された一対の照明52A,52Bに代えて又は加えて、PTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)に所定間隔をあけて配置された一対の照明を備えた構成としてもよい。
【0183】
尚、かかる場合、一対の照明52A,52Bから光を照射してシート短手方向に沿って形成された切離用スリット7を撮像する第1の撮像処理と、PTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)に配置された一対の照明から光を照射してシート長手方向に沿って形成された切離用スリットを撮像する第2の撮像処理とを、同時に行う構成としてもよいし、異なるタイミングで行う構成としてもよい。
【0184】
また、全方位から光を照射可能な環状のリングライトを用いた構成としてもよい。かかる構成によれば、PTPシート1のシート短手方向及びシート長手方向に沿って切離用スリットが交差するように形成されたPTPシート1を製造する場合において奏効することとなる。
【0185】
また、上記実施形態に係る照明52A,52Bは、その光軸(照射方向)JA,JBが、鉛直方向であるZ軸方向に視た平面視でフィルム幅方向(Y軸方向)に沿って設定されるが、これに限らず、Z軸方向に視た平面視で異なる方向から照射する構成としてもよい。但し、Z軸方向に視た平面視で少なくとも切離用スリット7の長手方向に対し交差する方向から照射する構成となっていることが好ましい。
【0186】
(f)上記実施形態に係る照明52A,52Bの光軸(照射方向)JA,JBは、容器フィルム3の平坦部3aに対する入射角度α(平坦部3aの法線方向となす角度α)が70°の大入射角に設定されている。
【0187】
これに限らず、容器フィルム3に照射される光の入射角度αが、切離用スリット7から反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しかつ容器フィルム3の平坦部3aから反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しない他の大入射角(例えば45°以上90°未満のいずれか)に設定された構成としてもよい。かかる構成によれば、上記実施形態と同様、画像データにおける明部を切離用スリット7として検出可能となる。
【0188】
(g)上記実施形態に代えて、容器フィルム3に照射される光の入射角度αが、容器フィルム3の平坦部3aから反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しかつ切離用スリット7から反射及び出射した光が撮像装置53に略入射しない所定の小入射角(例えば0°以上30°未満のいずれか)に設定された構成としてもよい。かかる構成によれば、画像データにおける暗部を切離用スリット7として検出可能となる。
【0189】
例えば図12に示す照明52A,52Bは、その光軸(照射方向)JA,JBが鉛直方向であるZ軸方向に視た平面視でフィルム幅方向(Y軸方向)に沿って設定されると共に、容器フィルム3の平坦部3aに対する入射角度α(平坦部3aの法線方向となす角度α)が20°の小入射角に設定された構成となっている。
【0190】
かかる場合、図13に示すように、照明装置52(照明52A,52B)からPTPフィルム9に向け照射された光L11〜L14のうち、切離用スリット7の傾斜面(V字面)にて反射した光L11,L14は撮像装置53に入射しない。一方、容器フィルム3の表面(平坦部3a)にて反射した光L13や、カバーフィルム4にて反射し容器フィルム3の表面(平坦部3a)から出射する光L12に関しては、撮像装置53に入射する。
【0191】
また、図14に示すように、照明52A,52BからPTPフィルム9に向け照射された光のうち、切離用スリット7の傾斜面(V字面)から容器フィルム3内に入射し、カバーフィルム4にて反射した後、切離用スリット7の傾斜面から出射する光L15に関しても撮像装置53には入射しない。
【0192】
従って、主として容器フィルム3の平坦部3aから反射及び出射した光が撮像装置53により撮像されることとなるため、切離用スリット7が他の部位よりも部分的に暗く映った輝度画像データが取得されることとなる。
【0193】
また、図12に示すように、光の入射角度αを小入射角とすることで、照明52A,52Bの位置(光軸)を撮像装置53の位置(光軸)に近づけることができる。結果として、照明52A,52Bを設置するスペースの拡張を抑え、スリット検査装置30のコンパクト化を図ることできる。
【0194】
(h)大入射角で光を照射する第1の照明装置と、小入射角で光を照射する第2の照明装置を備え、両者(大入射角照射光と小入射角照射光)を切換える手段を備えた構成としてもよい。
【0195】
かかる構成の下、第1の照明装置から光を照射して容器フィルム3(切離用スリット7)を撮像する第1の撮像処理と、第2の照明装置から光を照射して容器フィルム3(切離用スリット7)を撮像する第2の撮像処理とを異なるタイミングで行い、切離用スリット7が他の部位よりも明るく映った輝度画像データと、切離用スリット7が他の部位よりも暗く映った輝度画像データを基に、切離用スリット7の良否判定を行う構成としてもよい。これにより、検査精度の向上を図ることができる。
【0196】
(i)上記実施形態では、照明52A,52Bから白色光(可視光)が照射される構成となっている。これに限らず、波長の異なる各種単色光など、他の光(赤外光や紫外光を含む)を照射する構成としてもよい。容器フィルム3やカバーフィルム4の材質の違いなど、PTPフィルム9の構成に応じて、切離用スリット7を検出しやすい光を照射することが好ましい。
【0197】
例えば容器フィルム3がPPやPVC等の無色透明又は無色半透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている場合には、容器フィルム3を透過しにくい光(例えば青色光や紫色光、紫外光など)を照射する構成としてもよい。
【0198】
(j)上記実施形態に係る撮像装置53は、その光軸JCが容器フィルム3の平坦部3aの法線方向である鉛直方向(Z軸方向)に沿って設定されている。これに限らず、所定の検査範囲(1つ分のPTPシート1に相当する範囲)を撮像可能な位置であれば、撮像装置53の光軸JCが容器フィルム3の平坦部3aに対し傾くように設定してもよい。
【0199】
例えば、図12に示す撮像装置53の位置と、照明52Aの位置を入れ替えた構成としてもよい(照明52Bについては省略する)。
【0200】
(k)上記実施形態では、切離用スリット7の幅Wxが予め設定した適正範囲内にあるか否かを判定することにより、切離用スリット7について良否判定処理を行う構成となっている。切離用スリット7に係る良否判定方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。
【0201】
例えばポケット部2と切離用スリット7との位置関係や、ポケット部2を基準とした切離用スリット7の傾き、切離用スリット7に係るスリット領域の面積などを基に良否判定を行う構成としてもよい。
【0202】
(l)上記実施形態に係るスリット検査装置30は、照明装置52及び撮像装置53からなる反射光式の検査機構のみを備えた構成となっている。これに加えて、スリット検査装置30が透過光式の検査機構を備えた構成としてもよい。
【0203】
透過光式の検査機構を備えることにより、切離用スリット7がPTPフィルム9を貫通し、カバーフィルム4まで切断されてしまった不良品を検出することができる。
【0204】
例えば図15に示すように、PTPフィルム9の下側(容器フィルム3側)に第2の照射手段として照明装置252を配置すると共に、PTPフィルム9の上側(カバーフィルム4側)に第2の撮像手段として撮像装置253を配置した構成としてもよい。
【0205】
図15に示す例では、容器フィルム3の平坦部3a及びカバーフィルム4の法線方向である鉛直方向(Z軸方向)に沿って、照明装置252の光軸、及び、撮像装置253の光軸が設定されている。
【0206】
例えばスリット形成装置29の不具合等により、PTPフィルム9に形成される切離用スリット7の切込み深さが深くなりすぎた場合には、図15に示すように、カバーフィルム4まで切断されてしまい、カバーフィルム4の一部に切れ目、すなわちスリット貫通部7aが形成されるおそれがある。
【0207】
かかる場合、図15に示す透過光式の検査機構によれば、照明装置252からPTPフィルム9(容器フィルム3)に対し照射された光のうち、スリット貫通部7aを通過した光L21は撮像装置253によって撮像される。一方、その他の光L22は容器フィルム3の平坦部3aなどに反射し、スリット貫通部7aを通過しない。従って、撮像装置253より取得された画像データにおいては、スリット貫通部7aが存在する箇所が他の正常な部位に比べ明るく映ることとなる。
【0208】
つまり、制御処理装置54は、撮像装置253により取得された画像データを基に、PTPフィルム9における明暗を判別することにより、明部が検出された場合には、カバーフィルム4に切れ目(スリット貫通部7a)が形成されていると判断することができる。従って、かかる制御処理装置54の処理機能により本実施形態におけるスリット貫通部検出手段が構成されることとなる。
【0209】
これにより、例えば上記実施形態において切離用スリット7の幅Wxは適正範囲内にあるが、切離用スリット7がPTPフィルム9を貫通してしまった不良品など、反射光式の検査機構では検出できないような不良品をより確実に検出することができる。結果として、切離用スリット7に関する検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0210】
また、上記(g)に記載したように、照明装置52(照明52A,52B)から照射される光の入射角度αを小入射角に設定した場合には、照明装置252を省略し、照明装置52を第2の照射手段として兼用することも可能となる。
【0211】
尚、上記構成に代えて、PTPフィルム9の下側(容器フィルム3側)に撮像装置253を配置し、PTPフィルム9の上側(カバーフィルム4側)に照明装置252を配置した構成としてもよい。かかる構成においては、撮像装置253を省略し、撮像装置53を第2の撮像手段として兼用することも可能となる。
【0212】
勿論、上述した各種透過光式の検査機構(照明装置252や撮像装置253等からなる透過光式の検査機構)を、上記実施形態に係るスリット検査装置30(照明装置52及び撮像装置53からなる反射光式の検査機構)とは一体ではなく、別体の検査装置として備えた構成としてもよい。つまり、PTPシートの製造工程において、反射光式の検査機構によるスリット検査工程と、透過光式の検査機構によるスリット検査工程を別工程(異なる位置)で行う構成としてもよい。
【0213】
(m)上記実施形態では、スリット形成工程の後工程かつ刻印工程の前工程においてスリット検査工程が行われる構成となっている。これに限らず、刻印工程よりも後工程かつシート打抜工程よりも前工程においてスリット検査工程が行われる構成としてもよい。
【0214】
また、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれた後工程において、コンベア39によって搬送されているPTPシート1に対しスリット検査を行う構成としてもよい。
【0215】
この際、スリット検査装置30がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン)に代えて、PTP包装機10とは別に、オフラインでPTPシート1を検査する装置としてスリット検査装置30を備えた構成としてもよい。また、かかる場合に、PTPシート1を搬送可能な搬送手段をスリット検査装置30に備えた構成としてもよい。
【0216】
但し、オフラインで検査を行う場合には、検査対象となるPTPシート1の位置や向きがスリット検査装置30に対して一定とならないため、切離用スリット7の検出や良否判定を行うにあたり、事前にPTPシート1の位置や向きを調整する必要がある。その結果、検査速度及び検査精度が低下するおそれがある。
【0217】
近年、PTPシート1の製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、各種検査の高速化が求められている。例えばPTP包装機10上で検査を行う場合には、1秒当たり100個以上の錠剤5を処理することが求められる場合もある。
【0218】
従って、インラインで検査を実行した方が生産性の向上を図る上では好ましい。
【0219】
(n)上記(m)に記載したように、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれた後工程において、コンベア39によって搬送されているPTPシート1に対しスリット検査を行う構成とした場合において、上記実施形態に係るスリット検査装置30(反射光式の検査機構)によるスリット検査のみならず、上記(l)に記載したような透過光式の検査機構によるスリット検査を行う構成としてもよい。
【0220】
例えばコンベア39のベルト部材を透光性部材により構成すると共に、コンベア39の下側からPTPシート1に対し所定の光を照射可能な照射手段を配置し、PTPシート1を通過する光を上方に配置した撮像装置により撮像することにより、PTPシート1に形成されたカバーフィルム4に切れ目(スリット貫通部7a)を検出することができる。
【0221】
(o)上記実施形態では、容器フィルム3の平坦部3aや切離用スリット7の明暗を判別するにあたり、輝度画像データを二値化する処理を行っているが、これに限らず、輝度を計測したり、多値化処理や差分処理等を行うことにより、切離用スリット7等の明暗を判別する構成としてもよい。
【0222】
(p)上記スリット検査装置30によってスリット検査を行うと共に、他の検査を同時に行う構成としてもよい。つまり、スリット検査装置30をスリット不良とは異なる他の異常を検出する検査装置として兼用する構成としてもよい。
【0223】
例えば容器フィルム3の平坦部3aに付着した異物の検査や、容器フィルム3とカバーフィルム4との間に存在する異物の検査、ポケット部2に収容された錠剤5に付着した異物の検査などをスリット検査と同時に行う構成としてもよい。
【0224】
ここで、例えば照明装置52が大入射角で光を照射する構成では、撮像装置53により取得される画像データにおいて、容器フィルム3の平坦部3aなど他の部位に比べ、切離用スリット7が明るく映るため、スリット検出用の閾値と、異物検出用の閾値を別々に設定するなど、異なる複数の閾値で二値化処理を行うことにより、切離用スリット7とは別に上記異物を暗部として検出することが可能となる。
【0225】
一方、照明装置52が小入射角で光を照射する構成では、撮像装置53により取得される画像データにおいて、容器フィルム3の平坦部3aなど他の部位に比べ、切離用スリット7が暗く映るため、例えば切離用スリット7に相当するシート短手方向に沿って連続する細線状の暗部をマスク処理等により除外した他の暗部を異物として検出することができる。
【符号の説明】
【0226】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、3a…平坦部、4…カバーフィルム、5…錠剤、7…切離用スリット、9…PTPフィルム、10…PTP包装機、29…スリット形成装置、30…スリット検査装置、52…照明装置、53…撮像装置、54…制御処理装置、74…画像データ記憶装置、159…スリット形成刃、α…入射角度、Wx…スリット幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15